• 検索結果がありません。

090 日本教育政策学会年報第 27 号 2020 年 特集 2: これからの地域と学校の関係性を考える 地域 学校づくりを ESD の観点で考える 大学の役割を問いながら 梅澤 収 はじめに秋田の事例報告を受け静岡県の地域 学校状況を報告するとともに 地域消滅の可能性のある中で これからの地域 学

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "090 日本教育政策学会年報第 27 号 2020 年 特集 2: これからの地域と学校の関係性を考える 地域 学校づくりを ESD の観点で考える 大学の役割を問いながら 梅澤 収 はじめに秋田の事例報告を受け静岡県の地域 学校状況を報告するとともに 地域消滅の可能性のある中で これからの地域 学"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特集2:これからの地域と学校の関係性を考える

地域・学校づくりを ESD の観点で考える

──大学の役割を問いながら

梅澤 収

はじめに 秋田の事例報告を受け静岡県の地域・学校状況を報告するとともに、地域消 滅の可能性のある中で「これからの地域・学校」をどうしていくか、学校はど うあるべきなのか、教師はどのように活動していくのかを、ESD の観点から 考えたい。さらに、約10年間の取組んだ大学の教員養成改革と3年間のコンソ ーシアム事業の経験と省察から、「学校・教師の内発的実践の基本的枠組み」 を、これからの大学の役割も視野に入れて提起する。本報告は、当日の報告・ 議論をもとに加筆したものである。 静岡の地域・学校の現状と施策 静岡の状況と施策を簡潔に述べる。静岡県は、総人口364.3万人(2019.5.1 現在、以下同じ)35市町からなる。2つの政令市(静岡市69.2万人と浜松市 79.1万人)と富士市(25.3万人)、沼津市(19.5万人)等23市と、5郡で構成 する12町がある。5郡とは、賀茂5・田方1・駿東3・榛原2・周智1(数字 は町数)の各郡であるが、平成大合併で53町村が12町となった(1)。県は伊豆 半島振興担当の副知事を置いて、人口減の顕著な賀茂郡〈東伊豆町・河津町・ 南伊豆町・松崎町・西伊豆町〉と下田市の「賀茂地区」の重点振興に取組んで いる。過疎化が深刻な郡部の自治体は、打開策は難しいものの今後の方向性を 国・県と連携して自己決定できるが、政令市・市に合併した旧町村地域は、過 疎化の対応策を自己決定できない。県内状況を見ると、文部科学省通知 (2015.1.27)以降から、多くの自治体は人口減に対応した「学校適正配置策」 を検討、併せて小中一貫校(義務教育学校)、コミュニティスクール、地域学 校協働本部、地域教育コーディネーター、及び ICT 化による遠隔教育等の導 入などを検討し工程表を作成している。国・県の教育政策の方針に沿って学校

(2)

と地域の新たな関係性を模索している状況であるが、将来ビジョンを根本的に 問いつつ、その自治体ならではの「これからの地域と学校の関係性」を内発的 に構築していくことを期待したい。また、大学の役割はこの重要な課題への対 応に本質的に迫るものでありたいし、その責任の重さを肝に銘じるべきであろ う。 国立大学・教育学部の改革の取組み 国立大学の「ミッションの再定義(教員養成分野)」(2013.11)によって、 本教育学部は、ʞLocally, Nationally, Globallyʟの視点で「教員養成・研修 統合型のシステムの構築」をビジョンに掲げて、この間の改革に取組んできた。 Locally には、教職大学院(2009)、共同大学院博士課程(愛知教育大学と 共同設置2012)を設置した。2016年には、学部に初等学習開発学専攻(21世紀 型学習と ESD のカリキュラムと授業実践力を得意分野とする小学校教員の養 成を目的:学生定員15名)と養護教育専攻(同10名)を開設した。 Nationally には、2012年から福井大学「教育実践ラウンドテーブル」に構 成団体として参加するとともに、県内の実践ラウンドもほぼ毎年実施してきた。 Globally には、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUniv. Net)に参加し(2013.1)、ユネスコスクール研修会(2014.3)、ESD 関連科 目の開設、学生国際交流(2013年度から毎年度)や国際会議(インドネシア教 育大学、ガジャマダ大学)の共同開催等、教師教育の ESD・国際化活動を行 ってきた。 以上の取組みを行うために、教育学研究科附属組織として「教員養成・研修 高度化推進センター」(2014.4)を設置した。課題も有しているが、大学院・ 教育学部の構成員で協働して行う新規プロジェクトや調査研究の母体となって いる。なお、学部・大学院に置かれた複数センターの全学教職センター (2015.3)への組織統合や教職大学院への一本化(2020.4月予定)の動きがあ るが、組織・連携の実績やビジョン等を内発的(実質的)に構築することなく、 形式上統合しただけでは組織を活性化させるものとはなりえない。この点、 2022年度をめどに静岡大学と浜松医科大学との統合再編構想(1法人2大学: 1法人のもとに静岡キャンパスと浜松キャンパスの2大学を設置)が進行中で あるが、形式上の統合を優先し将来構想・ビジョン等の構築過程=大学内の合 意形成が軽視されていることも同質の問題である。さらには、教員育成協議会

(3)

と教員育成指標に対して、大学(教育学部)が組織としてどう連携・協働の枠 組みを構築していくのかという問題とも共通している。要するに、大学とは何 かを問いつつ、将来ビジョンを共有して大学(改革)のガバナンス(全学・学 部間の連携とマネジメント)をどう構築するかの問題である。

これらの改革経緯の中で、ʞLocally, Nationally, Globallyʟの視点で教師 教育の改革を総合的に推進するために、「ESD・国際化ふじのくにコンソーシ アム事業(2016-2018)」に主幹大学として取組んだ。この事業は、ユネスコ国 内委員会が公募するユネスコ活動補助金(グローバル人材の育成に向けた ESD の推進事業)であり、「コンソーシアム」(連合体)を形成し「ESD の実 践・普及及び国内外におけるユネスコスクール間の交流等を促進する」ことで 「国際的視野を持つグローバル人材の裾野を広げることを目的」(公募要領)と していた。公募の趣旨が、教員養成学部のミッションに合致するとともに、グ ローバルな視野で県内の教師教育の改革を推進できる基盤を構築できると考え た。具体的な諸活動とその成果と課題については参考文献の報告書(2)を参照 していただきたい。大学が主幹するのであるから大学の役割を活かした「大学 ならでは」のコンソーシアムのあり方を議論して、「育成」「知的支援・助言」 「発掘・発信」「つなげる」の4つの役割を柱として3年間の活動を行った。 SDGs の登場(2016年度から) その後、2016年からは SDGs の流れが主流となっていく(3)。ESD は、文部 科学省(ユネスコ国内委員会)と環境教育の関連で環境省が所管する取組みで あったが、SDGs(持続可能な開発目標。17ある)が2015年9月国連「持続可 能な開発サミット」(2015.9)で採択されると、日本では内閣府に SDGs 推進 本部(本部長:内閣総理大臣)を設置(2016.5)、円卓会議等を経て公表され た「拡大版 SDGs アクションプラン2018」(2018.6)では、日本版「SDGs モ デル」の3本の柱として、① SDGs と連動した官民挙げた「Society 5.0」の 推進、② SDGs を原動力とした地方創生、③ SDGs の担い手である次世代・ 女性のエンパワーメントが提示された。その後「アクションプラン2019」 (2018.12)が公表されると、多くの省庁で SDGs 関連予算が組まれ、また経 団連をはじめ企業の側でも SDGs に取組む表明がなされた。SDGs は国の政 策の目玉となっており、「SDGs 未来都市」選定(県内では静岡市と浜松市が 補助金なしで選定)や国の各省庁予算等を通じて自治体の施策や取組みが行わ

(4)

れている。 地方創生や SDGs について、政府や自治体は、政策スローガンや財政措置 を前面に打出して取組んでいる。しかし、自治体が実態を把握して内発的にプ ログラムを企画立案し実施してその成果と課題を検証しているであろうか。国 の予算措置や施策の方針(指導等もある)に合わせた「辻褄合わせ」が行われ ると、質の高い取組みとならないばかりか、国に間違った情報を上げることに なる。 3年間の ESD・国際化コンソーシアム事業を通じて考えたことは、「大学は そういうところをひと潜りして考える」役割があるということである。 ESD の学校改革力~潜在可能性~

ESD(Education for Sustainable Development)は、「持続的な開発(発 展)のための教育」と訳され、2002年日本主導により「ESD10年(2005-2014)」のユネスコ活動を経て、その後「ESD グローバル・アクションプラ ン」(GAP: Global Action Plan 2015-2019)が進行中である(4)。日本ユネス

コ国内委員会によれば、ESD とは、「貧困・人権・平和・開発等の現代社会の 課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行 動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを 目指す学習や活動」と解説し、「持続可能な社会の担い手(にないて)を育成 する教育」と規定する。ESD 推進拠点と位置づけられる「ユネスコスクール」 は、1,116校(2018.10)となっている。学校教育の施策では、2008年版学習指 導要領や第1期教育振興基本計画(2008)では、「持続可能な社会の担い手を 育成する教育」「持続可能な社会の構築」の表現が既に盛り込まれた。2017年 版学習指導要領では、新設された前文において「持続可能な社会の創り手(つ くりて)」の表現となったが、「持続可能な社会〈をつくる/の構築/づくり〉」 の表現も文中使用されている。また、振興計画第Ⅱ期(2013)と第Ⅲ期(2018) にも継承されている。 日本ユネスコ国内委員会(2017)は、学校等で ESD を実践されている者に 対して次のメッセージを発している(5) 持続可能な社会の担い手を創る教育である ESD が、新学習指導要領全 体において基盤となる理念として組み込まれ…ESD の実践で取り組まれ

(5)

てきた学習内容や方法は、新学習指導要領等に示された〈主体的・対話的 で深い学び〉の実現に向けた授業改善という改訂の方向性にも資するもの であり、地域や外部機関、世界と連携して学際的かつ体系的に構築する ESD の編成プロセスは、〈カリキュラム・マネジメント〉の具体的な実践 にもつながる。 ユネスコ(2018)では、「全体性」「総合性」を意味するʞホリスティック holisticʟを用いて「機関包括型」「組織全体の」のアプローチで教育改革を 推進することを提唱している。これまでの学校を ESD の観点から改革してい くために、具体的には、①教授・学習方法の改革だけでなく、②教育課程経営 (カリキュラム・マネジメント)、③学級(教室)経営、④学校・地域の連携・ 協働関係など、学校組織全体を包括的に再構築していくことを提唱してい る(6) しかし、これらの呼びかけ・提言等にも関わらず、学校現場レベルでは、積 極的に取組む学校も散見されるものの、未だ点段階にとどまっている。コンソ ーシアム事業を通じてその壁が大きく立ちはだかっていることを痛感したが、 それは、ESD を一般論として肯定するものの、ESD の持つ「ホリスティック (全体的、総合的)な学校改革力(潜在可能性)」が理解されていないこと、ま たその複層的な改革力を活かして ESD 実践をどのように行うかの道筋・戦略 のイメージ(枠組み)がないために、実践の一歩を踏み出せない学校が多いこ とである。 ESD がそのような多様で複層的な改革力(潜在可能性)を持つならば、教 育政策(学)は、学校現場からその改革力の具体像とそれを発揮する方策を提 示する必要がある。その枠組みを提示することは、「メッセージ」で示された ように、次期学習指導要領がめざす「21世紀型学びを各学校で実現するための 理論と実践の枠組み」を ESD の観点で提供することであり、その枠組みはま た、今後の日本の学校・教師の在り方を問い直し、その機能・役割等を転換し ていくことにもなると考える。 ESD の学校改革力を開化させる 以上もとに課題を再設定すると、①国立教員養成学部は、国連・ユネスコが 提唱する「SDGs に基づく ESD」を日本の学校教育現場で本格的に実践する にはどうしたらよいかに積極的に取組んでいくこと、②今般の教育改革と連動

(6)

させながら、「ESD と21世紀型学びを両輪に学校・教師を改革していく基本的 枠組み」を大学が学校現場と連携・協働して構築することである。 学校で子どもたちが、持続可能な開発(目標)に貢献する知識・技能・価値 観・態度を学び、当事者意識をもって活動し主体的な行動変容をもたらすには、 これからの学校・教師はどのように内発的な取組をする必要があるのか。これ が、これからの学校教育の大きなテーマとなっている。これまで義務教育の歴 史構造的研究をしてきた者からすると、ESD と SDGs の観点は、今の社会・ 地域及び学校が大きな歴史構造的な転換期にあり、そのシステム転換の必要性 を当事者が認識し、内発的にその方向で取組んでいく枠組みが求められている ことを教えてくれる。また、その枠組みの構築のためには、ESD の改革力 (潜在可能性)と大学の役割(大学のあり方を問い組織改革を伴うことが必須) を活かすことであると考える。 そこで、コンソーシアム事業最終年度の国際会議(2018.11)において、 ʞESD × PLCʟをテーマにシンポジウムを行ったが、その議論を参考にしな がら「ESD × PLC の教育実践研究~ダイバーシティな社会に開かれた学校・ 教師の改革のための枠組み構築」をまとめた(7)。PLC(Professional Learn-ing Community: 専門職学習共同体)とは、日本ではいわゆる「校内研修」 であるが、地域・学校の現状・課題、そして子どもの様子を把握して、地域・ 学校の今のいい所と課題、それを未来に繋げていく学びをどう地域学校協働で 行っていくかを実践していくことである。校内研修の再構築の取組みは、カリ キュラム・マター(問題)でもあるものの、総合的な学校改革にも繋がってい るのであり、「カリキュラム改革が学校・教師の働き方改革の本丸である」と 考えている(8)。教員の働き方改革は、これからの学校(経営)のあり方を問 いながらカリキュラム改革をしない限りは実現しないであろう。 教員養成学部は、養成・研修の総合的な教師教育の視点から、この枠組みに 積極的に参画し、有効な役割を果たす役割が期待される。県・市町の教育委員 会と学校と連携して総合的な学校改革の調査研究を進めるには、大学・大学院 は、大学教員だけでなく、大学学部生・院生(教員の卵)、教職大学院等(現 職教員。博士課程も含む)の参加の枠組みを構築することが不可欠である。連 携・協働のための新しい枠組みを協議し実践と検証・修正を行う、そのプロセ スを重視すること自体が、教師をはじめとする当事者(ステークホルダー)の 未来に向けて内発的なエンパワーメントを高めるとともに、特に「教師の

(7)

de-cent work〈やりがいのある〉仕事」を生み出すことができる。 ecological 教師 agency 論 国連・ユネスコの ESD の観点で ESD × PLC の枠組みを提起してきたが、 PISA 調査で教育政策に大きな影響を与えている OECD の教育政策の枠組み を検討したい。 OECD(2015)は、ʞEducation 2030ʟを公表し、2030年の近未来に求めら れるコンピテンシーを検討し、その育成につながるカリキュラム・教授法・学 習評価等を検討するプロジェクトを開始している。第1期の終了年(2019)を 前にまとめた「ポジション・ペーパー」(中間報告)では、「社会を変革し未来 を作り上げていく」コンピテンシーとして、①新たな価値を創造する力、②対 立やジレンマを克服する力、③責任ある行動をとる力を提起し、そのために 「教育課程や教育制度を変革していく上でのデザイン原理や教育制度」を共同 研究しているという。カリキュラムのデザイン原理について、「概念・コンテ ンツ・トピック」では「生徒エージェンシー」が、「学習プロセス」では「教 師エージェンシー」をそれぞれ第1項目に掲げている(9)。文部科学省・教育 課程企画担当者報告(2019)はこれに注目しているので、次の次の学習指導要 領の考え方に反映されることが予想される。この報告によれば、agency は 「自ら考え、主体的に行動して、責任を持って、社会変革を実践していく力」 の意味ととらえているが、日本語(和訳)を提示していない。また、「オート ノミー×」とは異なり「主体性△」とし、3つの特徴として①将来的な目標を 見据える力、②批判的な思考力、③現状に疑問を持つ力等を挙げる。 一方、国連・ユネスコは、2015年にʞUNESCO Education 2030ʟを採択 している(韓国・仁川宣言)。この文書は、「教育を通じて生活を変えること」 「教育が開発(development)のための主要な原動力」で「他の SDGs 達成 に重要」であるから、「1つの新教育アジェンダ」=「誰も取残さない、ホリ ス ティッ ク で、ス ケー ル の 大 き い、意 欲 的 な」(holistic, ambitious and aspirational, leaving no one behind)「教育課題」に危機感を持って取組む としている(10)

この点、OECD と UNESCO の教育政策文書の違いを検討しておく必要が ある。ESD は、「持続可能な社会の創り手」の育成をめざし、グローバルな視 点で課題に向き合い思考し行動する学びを学校教育に求める。それは、「空間

(8)

軸」(地域・日本・アジア・世界)、そして「時間軸」(過去・現在・未来)の 双方から現在の教育活動・教育実践を問い直す「大きな枠組み」を提示し、学 校及び子どもたちの活動にリアリティをもたらす。人類史的・世界的な課題を 学校の地域性の文脈でどう学ぶかをメインテーマとしている。それゆえ、 SDGs と ESD の観点で地域・学校の組織を包括的に再構成していく観点を欠 いたままでは、OECD の「コンピテンシー論」を基礎にした枠組みは有効に 機能しないと思われる。「ESD はホリスティックで変容的な教育であり、内容 と結果、教育学、学習環境を学ぶことを大切にしている」のであり、OECD のコンピテンシー論はその学びをデザインするための参考となる枠組みである が、逆ではない。

そこで、ESD × PLC の枠組みとʞteacher agencyʟの関係であるが、 Priestley(2015)のʞecological approachʟを参考にして、「教師の内発的 な実践のための基礎理論」として位置付けたい(11)。ecological な視点で自分 の学校をこれからどうしていくのかと問うことは、これはʞsustainableʟと いう視点でもある。地域・学校をʞsustainable(持続可能な)」ʟものにして いくにはどうしたらよいのかを、子ども達が学んでいくことができるようにす るために学校・教師のあり方と役割を見直していく。また、その取組の実績と 知見に基づいて教育政策に発信し、制度や条件を発信していくことを含んで、 「ecological 教師 agency 論」であると捉えたい。 一方で、行政学や政治学や経営学では、agency 論は「依頼人(principal) と代理人(agent)の関係」で扱われ、特に「agent が好き勝手やらせないた めにどう管理・統制していくか」が大きなテーマとなっている。想起されるの は、民間委託論や独立行政法人と国立大学法人化の理論も、「agency 理論」 である。そういう意味で、教育学において「内発的」かつ「エコロジカルな教 師 agency 論」を良質な枠組みとなるように検討を続けたい。併せて教育政 策学会や教育行政学会の役割は、今の国立大学法人制度の持っている負の問題 (実態)や構造的な問題点をどう考え、それをどの実践的に改革していくのか も考える必要がある。 おわりに 社会・地域及び学校が大きな歴史構造的な転換期にあり、そのシステム転換 を内発的にどのように行っていくのかを、ESD や大学の役割の観点から考察

(9)

し報告した。秋田の実践事例も、ESD の観点で学校・教師が内発的に実践・ 活動を行うための枠組みを構築して、さらに発展させていくことを期待したい。 注 (1)静岡県(2010) (2)参考文献の一連の報告書を参照のこと。なお伊藤博隆(2017)を参考のこ と。 (3)SDGs 動向の詳細については配布資料10頁参照。 (4)ESD 動向の詳細については配布資料6-7頁参照。なお、国立政策研究所 (2014.3)は ESD の研究報告書をまとめている。 (5)ユネスコ国内委員会(2017)を参照。同委員会(2016、2018)発行の『手 引』がある。 (6)GAP2015-2019。A.Leicht et al.(2018)は、SDGs 教育の最新研究であ る。 (7)コンソーシアム(2019-a)で詳細を確認されたい。 (8)梅澤収(2018)でこれからの教科外活動と21世紀型カリキュラムについて 検討した。 (9)文部科学省(2018)「OECD Education 2030 プロジェクトについて」及 び OECD(2018)を 参 照 の こ と。シュ ラ イ ヒャー(2019)や セ ン ゲ (2014)も参考となる。

(10)UNESCO(2015), Education 2030 Framework for Action。木 村 (2019)参照。

(11)M.Priestley et als.(2015)参照。iterational(反復的), projective(未 来投影的),practical-evaluative(実践-評価)の3次元の総合的な枠組み を図示している。 参考文献 ・ESD・国際化ふじのくにコンソーシアム事業(静岡大学主幹) (2017-a)『教員養成に関する国際会議2016報告書』/(2017-b)『初年度(平 成28年度)事業報告書(全体版)』/(2017-c)『初年度(平成28年度)事業 報告書(分冊版)』 (2018-a)『第3回 ESD 実践研究会 トークセッション講演録』/(2018-b) 『第4回 ESD 実践研修会・研究集会シンポジウム講演録』/(2018-c) 『ESD・国際化と教員育成支援に関する国際会議 2018報告書』/(2018-d) 『平成29年度成果報告会報告書』 (2019-a)『ESD・国際化と教員育成支援に関する国際会議2018報告書』/ (2019-b)『実践研究ラウンドテーブル in 静岡2018報告書』/(2019-c)『平

(10)

成30年度成果報告会報告書』/(2019-d)『コンソーシアム事業(2016-2018)評価会会議録』 ・伊藤博隆(2017)「ESD・国際化ふじのくにコンソーシアム(国内事例121紹 介)」地球環境パートナーシッププラザ(GEOC) ・木村大輔(2019)「SDGs を教育で扱うことの目的って?」 ・国立政策研究所(2014.3)『学校における持続可能な発展のための教育 (ESD)に 関する研究』(最終報告書)

・A. Leicht, J. Heiss and W. J. Byun(eds)(2018),Issues and Trends in Education forSustainable Development. 2018 UNESCO

・文部科学省(2015)「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手 引の策定について(通知)」2015.1.27

・文部科学省(2018)「OECD Education 2030 プロジェクトについて」 ・日本ユネスコ国内委員会(2016)『ESD(持続可能な開発のための教育)推進

の手引(版)』、同(2018)『同(改訂版)』

・OECD(2018),The future of education and skills: education 2030: the future we want(Education2030 position paper).

・M.Priestley, G.Biesta, S.Robinson(2015),Teacher Agency :An Ecolo-gical Approach. Bloomsbury Academic

・P.M.センゲほか(2014)『学習する学校─子ども・教員・親・地域で未来の学 びを創造する─』リヒテルズ直子訳 英治出版 ・白井俊(2019)「OECD における Agency に関する議論について」 ・静岡県(2010)「静岡県の平成の大合併(2010.3.31現在)」 ・A.シュライヒャー(2019)『教育のワールドクラス─21世紀の学校システムを つくる─』鈴木寛・秋田喜代美監訳 企画・制作ベネッセコーポレーショ ン 明石書店 ・梅澤収(2018)「これからの教科外活動の理論と実践─21世紀型カリキュラム 改革をめざして─」静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要第28 巻19-28頁

・UNESCO(2015),Education 2030 Framework for Action

・ユネスコ国内委員会(2017)「持続可能な開発のための教育(ESD)の更なる 推進に向けて~学校等で ESD を実践されている皆様へ(メッセージ)」

参照

関連したドキュメント

「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー

 調査の対象とした小学校は,金沢市の中心部 の1校と,金沢市から車で約60分の距離にある

ところで、モノ、ヒト、カネの境界を越え た自由な往来は、地球上の各地域の関係性に

取組の方向 0歳からの育ち・学びを支える 重点施策 将来を見据えた小中一貫教育の推進 推進計画

取組の方向 安全・安心な教育環境を整備する 重点施策 学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画 学校の改築.

ピアノの学習を取り入れる際に必ず提起される

北区では、地域振興室管内のさまざまな団体がさらなる連携を深め、地域のき

D