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駒澤大学佛教学部論集 8 006黒丸 寛之「道元禅師と宏智頌古(二)」

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(1)

五 八

第 十 一 則

両 病 挙 、 雲 門 大 師 云 光 不 二 透 脱 有 二 両

病 叩 一 切 処 不 γ 明 、 面 前

γ

是 一 。 透 二 得 一 切 法 空 隠 隠 地 似 γ 有 二

相 似 亦 是 光 不 二 透 脱 殉 又 法

二 両 般

殉 得 F 到 二 法

二 法

不 レ 忘 、 巳 見 猶 存 堕 二

法 身 辺 哨 是 一 。 直

透 得 放 過 即 不 可 、 子 細 点 検 将

気 息 →

是 病 。   こ の 公 案 は 、

が 参 禅 学

上 の 用 心 を 示 し て 、 我 執 と 法 執 を 両 般 の 病 と し て 斥 け た も の で あ る 。 道 元 禅 師 に は こ の 本 則 に つ い て の 直

な 提 唱 は

ら れ な い が 雲 門 の 「 透 法 身 の 句 」 に つ い て 『 永 平 広 録 』 に 二

所 の 上 堂 語 が 存 す る の で 、 本

稿

で は 間

な 関 連 事 項 と し て こ の 本 則 を 取 り 上 げ た 。 『 永 平 広 録 』 の 上 堂 語 は 次 の 如 く で あ る 。   上 堂 。 記 得、 僧 問 二 雲 門 噛 如 何 是 透 法 身 句 。 雲 門 日 、 北 斗 裡 蔵 γ 身 。 師 日 、 雲 門 老 人 只 道 二 得 法 身 句 噛 未 7 道 二 得 透 法 身 句 刈 或 有 7 問 二 大 仏 如 何 是 透 法 身 句 噛 即 向 7 伊 道、 法 身 裡 蔵 レ 身 。 下 座 。   ( 巻 第 二 ) 上 堂 。 記 得 僧 問 二 雲 門 → 如 何 是 透 法 身 句 。 門 日 北 斗 裡 蔵 ン 身 。 師 日 、 雲 門 道 也 太 熬 道 、 祗 道 二 得 八 九 成 嚇 或 有 レ 人 問 二 永 平 如 何 是 透 法 身 句 → 祗 向 γ 伊 道 、 杓 二 晉 釈 迦 噛 斗 二 量 達 磨 鴫       ( 巻 第 四 )   『 永 平 広 録 』 第 二 巻 は 大 仏 寺 語 録 で あ り 、 第 三 巻 以 下 は 永 平 寺 語 録 で あ る が

師 は 雲 門 の 透 法 身 の 句 と し て の 「

斗                       ヘ     ヘ                                                                       ヘ     マ     マ 裡 に 身 を 蔵 す 」 の 語 は 、

身 の 句 の 道 取 で あ っ て 、 透 法

の 句 の 道

で は な い と い う の で あ る 。 す な わ ち 道 元 禅

か ら は 、 雲 門 の 語 は 法 身 辺 を 示 し た も の で あ る が 、 更 に こ れ を 透 脱 す る と こ ろ が な け れ ば 透 法 身 の 句 と は な ら な い と す る の で あ っ て 、 証 上 の 修 行 を 説 く 道 元 禅 の 面 口 が よ く 表 れ て い る 。 こ の

点 か ら

れ ば 、

 

智 頌 古 』 の 本 則 は 、 修 行 上 の 実 際 の 用 心 を 示 し た も の と し て 参 学 す べ き で は あ る が 、 さ ら に 本 分 上 よ り す る 透 法 身 の 開 演 を 残 し て い る と い う こ と に な る で あ

(2)

NII-Electronic Library Service ろ う 。 第 十 二 則   地 蔵

地 蔵 問 二 修 山 主 →

処 来 。

来 。 蔵 云 、 南 方 近 日 仏 法 如 何 。 修 云 、 商 量 浩 浩 地 。 蔵 云 、

如 我 這 裏 種 レ 田

簿

γ 飯 喫 。 修 云 争 二 奈 三

何 Q 蔵 云 、 彌 喚 二 甚 陛 一

三 二

幻 相 の 行 履 が 示 さ れ て い る こ と は 、 証 を

れ ぬ 修 こ そ 仏

で あ る こ と を 指 摘 さ れ た も の と い え よ う 。 第 十 三

  臨 済 瞎 驢

、 臨 済 将 レ 示 レ 滅 嘱 二 . 二 聖 叩 吾 遷 化 後 不 γ 得 ン 滅 二 却 吾 正 法 眼 蔵 幻 聖 云

二 却 和 尚 正 法 眼 蔵 叩 済 云 、 忽 有 7 人 間 〆 汝

生 対 。 聖

便

喝 。 済 云 、 誰 知 吾 正 法 眼 蔵 向 二 這

滅 却 。

N工 工一Eleotronlo  Llbrary  Servloe   道 元

師 は 『 永 平 広 録 』 巻 第 六 の 上 堂 語 に こ の 本 則 を 挙 げ て 、 次 の よ う に 述 べ て い る 。   地 蔵 和 尚、 紹 修 山 主 雖 二 恁 麼 道 → 永 平 老 漢 又 有 二 道 処 殉 不 下 如 二 三   界 見 中 三 界 が 入 出 何 妨 無 二 内 外 → 遮 莫 商 量 浩 浩 地 、 世 人 愛 処 我 何 愛 。   既 到 一 這 裡 畢 竟 作 麼 生 。 良 久 日 、 地 蔵 和 尚 春 農 早、 這 裡 種 γ 田 搏 レ   飯 喫 。   右 の 上 堂 語 は 『 石 頭 和 尚 草

歌 』 の 「 住

人 鎮 常 在 、 不 γ

三 中

与 二 内 外 世 人 住 処 我 不 レ 住 、 世 人

処 我 不 レ 愛 」 ( 大 正 五 一 ・ 四 六 一

C

) の 句 に 基 づ い て 「 不 如 三 界 見 三 界 」 の

地 か ら 、 地 蔵 和 尚 の 平 常

の 仏 法 を 挙

し た も の で あ る 。 こ の 本 則 に つ い て 宏 智 頌 古 で は 「 種 ノ 田 摶 レ 飯 家 常 事 、 不 二 是 飽 参 人 不 γ

参 飽 明 知 無 二 所 求 こ と

し て い る が 、 『 永

』 で     コ     ゐ       ヘ    ヘ                                                             ヘ     ヤ       へ     も          マ は 「 既 到 二 這 裡 畢 竟 作 麼 生 」 と し て 「 這 裡 種 7 田 摶 グ

」 と

べ て い る よ う に 、

に 至 る 時 節 を 俟 た ず 、 直 下 に 諸

実     道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 )   『

済 録 』 の 「 行 録 」 に 収 録 さ れ て い る 右 の 本 則 は 、   『 正 法 眼 蔵 』 で は 「 仏 道 」 の 巻 に

用 さ れ て い る 。

 

「 仏 道 」 の

で は 、 道 元

師 が 宗 名 を 否 定 す る 因 み に 、

済 が 遷 化 に

ん で 「 吾 が 正 法 眼

を 滅 却 す る こ と を 得 ざ れ 」 と 嘱 し て 、   「

が 禅 宗 」 と も 「

が 臨

宗 」 と

一・ 口 わ な か っ た こ と を 中 心 と し て 説 か れ て い る が 、 こ の 本 則 に 関 す る 提 唱 は 次 の

く で あ る 。   た と ひ 滅 却 は 正 法 眼 蔵 の 理 象 な り と も、 か く の ご と く 付 属 す る な   り 。 向 二 這 瞎 驢 辺 一 滅 却、 ま こ と に 付 属 の 誰 知 な り 。 臨 済 門 下 に   は 、 た だ 三 聖 の み な り 。 法 兄 法 弟 に お よ ぼ し 、 → 列 せ し む べ か ら   ず 、 ま さ に 明 窓 下 安 排 な り 。 臨 済 三 聖 の 因 縁 は 仏 祖 な り 。 今 日 臨   済 の 付 属 は 、 昔 日 霊 山 の 付 属 な り  

済 と 三 聖 の 因 縁 は 仏 祖 の 行 業 と し て

揚 さ れ 、

済 に よ っ て 「 誰 知 吾 正 法 眼 蔵 向 二 這 瞎 驢 辺 滅 却 」 と

さ れ た 正 法                                         五 九

(3)

    道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) 眼 蔵 の

の 霊 山 会 上 に お け る 正 法

槃 妙 心 の 付 属 に 異 ら な い と さ れ る 。 そ の

相 承 の 源

と し て

承 さ れ る 霊 山 の 付 属 に つ い て は こ れ を 主 題 と し て 『 正 法 眼

華 』 の 巻 が 撰 述 さ れ 、 ま た 「 面 授 」 の 巻 、   「

道 」 の

、 お よ び 「 密 語 」 の 巻 等 に お い て そ の 宗 教 的 意

が 明 ら か に さ れ て い る 。

十 八 則   趙 州 狗 子 挙 、

問 二

州 →

子 還 有 二 仏 性 一 也 無 。 州 云 、

。 僧 云

一 入 這 箇 皮 袋 殉 州 云 、 為 他 知 而 故 犯 。 又 有 7

子 還 有 二 仏 性 也 無 。 州 云 無 。 僧 云 、 → 切 衆 生

二 仏 性

子 為 二 什

。 州 云

有 業 識 在 。   趙 州 狗 子 の 公 案 は 、 い わ ゆ る

の 公 案 と し て 中 国 ・ 日 本 の 禅 界 に 普 く 知 ら れ る が 、 宏 智 頌 古 の 本 則 で は 、 有 仏 性 と 無 仏 性 の 公

か ら 成 っ て い る 。 道 元 禅

は 『 正 法 眼

仏 性 』 の 巻 で 、

の 「 有 」 と 「 為 他 知 而 故 犯 」 、 お よ び 「 無 と 「 為 伊 有

」 の 道 著 に つ い て 抽 提 し 仏 性 の 本 質 を 明 ら か に し て い る 。   「 仏 性 」 の 巻 の 該 当

所 の 要 旨 を 抜

し て み る と 、

ず 「

」 の 意 味 に つ い て 、   こ の 有 の 様 子 は 、 教 家 の 論 師 等 の 有 に あ ら ず 、 有 部 の 論 有 に あ ら   ざ る な り 。 す す み て 仏 有 を 学 す べ し 。 仏 有 は 趙 州 有 な り 、 趙 州 有 六 〇   は 狗 子 有 な り 、 狗 子 有 は 仏 性 有 な り 。 と 説 か れ る よ う に 、 こ の 有 は 「 仏

」 す な わ ち 「 仏 性

」 で あ る と さ れ る 。 し た が っ て 、 そ れ は

無 の 有 で な い こ と は 明 ら か で あ り 、 悉 有 仏 性 ( 悉 有 は 仏 性 ) に 於 け る 有 仏 性 の 意

と 解 し て よ い で あ ろ う 。 そ し て 、 こ の 有 に 関 連 す る

の 「 為 他 知 而 故 犯 」 と は 、   こ の 語 は 世 俗 の 言 語 と し て ひ さ し く 途 中 に 流 布 せ り と い へ ど   も 、 い ま は 趙 州 の 道 得 な り 。 い ふ と こ ろ は し り て こ と さ ら を か   す と な り 。 … … … … 知 而 の ゆ え に 故 犯 あ る べ き な り 。 し る ぺ し   こ の 故 犯、 す な は ち 脱 体 の 行 履 を 覆 蔵 せ る な ら ん 、 こ れ 撞 入 と 説   著 す る な り 。 脱 体 の 行 履、 そ の 正 当 覆 蔵 の と き、 自 己 に も 覆 蔵   し 、 佗 人 に も. 覆 蔵 す 。 と 開 演 さ れ 、

而 故 犯 と は 脱 体 の 行 履

1

す な わ ち 仏 性 自

の は た ら き を 示 し た 言 葉 と し て 拈

さ れ て い る 。   次 に 趙 州 の 「

」 に 就 い て は 、   趙 州 い は く 無 。 こ の 道 を き き て 習 学 す べ き 方 路 あ り 仏 性 の 自   称 す る 無 も 恁 麼 道 な る べ し 、 狗 子 の 目 称 ナ る 無 も 恁 慶 道 な る べ   し 、 傍 観 者 の 喚 作 の 無 も 恁 麼 道 な る べ し 。 そ の 無 わ つ か に 消 石 の   日 あ る べ し 。 と し て 、 無 の 恁 麼 時 に は 仏 性 も

、 狗 子 も 無

観 者 も ま た

で あ る と い う 、 無 の 尽 界 ( 消 石 の 日 ) が 説 か れ る 。 言 う ま で も な く 、 こ の 無 は 絶 対 無 、 す な わ ち 無 限 絶

の 事 実 を い う

(4)

NII-Electronic Library Service も の で あ る 。 そ し て 、 無 の 様 相 が 「 為 佗 有 業 識 在 」 と さ れ る 所 以 は 、   こ の 道 旨 は 、 為 佗 有 は 業 識 な り 業 識 有、 為 佗 有 な り と も 狗 子   無 、 仏 性 無 な り 業 識 い ま だ 狗 子 を 会 せ ず 、 狗 子 い か で か 仏 性 に   あ は ん た と ひ 双 放 双 収 す と も 、 な ほ こ れ 業 識 の 始 終 な り 。 と い う 如 く 、 為 佗

は 業 識

i

す な わ ち 狗 子 が 業 識 有 即

と し て 、 そ れ

が 絶 対 的 な 生 命 の 真 相 で あ る こ と を 指

さ れ て い る 。 こ の

の 開 演 は 『 永 平 広 録 』

一 の 上 堂 に も 、   上 堂 云 、 但 看 業 識 太 茫 茫、   一 切 衆 生 無 仏 性 、 下 座 。 の 語 が 見 ら れ 、 一

衆 生 の 業 識

茫 の 現 実 の

に 、 衆 生 に

在 し

は 衆 生 を 超 越 す る が ご と き 仏 性 は あ り

な い こ と が 示 さ れ て い る 。   『 永 平 広 録 』 に は 又 、 次 の 上 堂

と 頌 古 二 首 が 存 す る 。   上 堂 。 挙 二 趙 州 狗 子 無 仏 性 狗 子 有 仏 性 一 了 、 師 乃 日 今 日 永 平   有 二 山 偈 殉 亀 毛 兎 角 非 二 同 類 → 春 日 花 明 如 二 月 開 → 業 識 性 将 諸 仏 性 (   趙 州 主 丈 一 条 来 。                             ( 巻 第 六 )   全 身 狗 子 全 身 仏、 箇 裡 難 レ 論 有 也 無 、 } 等 売 来 還 自 買、 莫 レ 憂 折 本   又 偏 枯 。                                       ( 巻 第 九 )   有 無 二 仏 性 不 7 造 二 衆 生 命 ハ 雖 γ 似 二 酪 成 τ 蘇 、 猶 如 二 滅 尽 定 →                                                 ( 巻 第 九 )   以 上 の 所 説 に よ っ て 見 る に 、 道 元 禅 師 は 趙 州

子 の 公

に 就 い て は 、 原 典 に 従 っ て

仏 性 ・ 無 仏 性 の 宗

を の べ て 、 い     道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) わ ゆ る 無 字 の 公 案 と し て 重 視 さ れ た 「 無 」 の 一

の み を 、 特 に 取 り 上 げ て 論 ず る こ と は な か っ た こ と を 窺 う こ と が で き る 。

十 九 則

 

雲 門 須 弥 挙

問 二 雲 門 ハ 不 起 一 念 還 有 γ 過 也 無 。

云 、 須 弥 山 。   こ の 本 則 に 就 い て の 宏 智 禅 師 の 頌 は 次 の よ う で あ る 。   不 起 一 念 須 弥 山   超 陽 法 施 意 非 r 慳   肯 来 両 手 相 分 付   擬 去 千 尋   不 γ 可 レ 攀   滄 海 濶   白 雲 閑   莫 卜 将 二 毫 髪 一 著 中 其 間 上   仮 鶏 声 韻 難 レ   謾 7 我   未 三 肯 模 胡 放 二 過 関 一   宏 智 頌 古 で は 、 最 初 に 不

一 念 の 当 体 が 雲 門 の い う 須 弥 山 で あ る こ と を 示 し 、 「 還 っ て 過 有 り や ま た

し や 」 と

二 念 に 亙 っ た 僧 の 問 に 対 し て 、 第 四 句 に 「 擬 し 去 ら ば 千 尋

づ べ か ら ず 」 と し て 擬 滞 す る こ と を 戒 め 、 次 い で 「 滄 海 濶 く 白 雲 閑 な り 」 と 須

山 の 風 光 を の べ て い る 。   道 元 禅 師 は 『

平 広 録 』

一 に こ の 公 案 を 挙 げ て 、   須 弥 山 也 須 弥 山   親 見 二 拈 花 自 破 顔 一 念 百 年 一. 一 万 日   樵 夫 消 息   在 二 山

と 説 き 、 雲

に お い て 「 須

山 」 と し て 表 現 さ れ た 木

の 面 目 は 、 釈 尊 の 拈 華 の 時 節 に は 迦 葉 の 破 顔 微

と な り 、 ま た

夫 の 面 目 は 山 を

れ る こ と が な い よ う に 、

に 「 須

山 」 の                                           六 一 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(5)

道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) 万 里 → 条 鉄 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。 第 二 十

 

地 蔵 親 切 挙 地 蔵 問 二 法 眼 { 上 座 何

。 眼 云 、 逝 灑

脚 。 蔵 云

麼 生 。 眼 云 、 不 〆 知 。 蔵 云 、 不 知 最 親 切 。 眼 谿 然 大 悟 。   『 永 平 広 録 』 に こ の 本 則 を 提 唱 し た 上 堂 語 と 頌 古 一 首 が 収 録 さ れ て い る 。 す な わ ち 上 堂 語 で は 、 本 則 に

い て   師 云 若 是 興 聖 向 二 地 蔵 和 尚 一 道 。 不 知 是 最 親 切 、 知 也 最 親 切、   親 切 一 二 任 最 親 切 囎 且 問 、 親 二 切 箇 甚 腰 殉           ( 巻 第 一 ) と 説 き 、 ま た 頌 古 に は   騰 騰 〜 了 又 騰 騰   行 脚 何 関 曲 直 繩   若 欠 二 大 成 方 一 寸 一   其 知 弥 少   二 三 升                                         ( 巻 第 九 )   と 詠 ん で い る 。 道 元 禅 師 が 「 不 知 是 最 親 切 、 知 也

親 切 」 と の べ て い る の は 薬 山 惟

が 「 兀 兀 地 の 思 量 は 什

ぞ 」 と の 問 に 対 し て 「 思 量 は 箇 の 不 思 量 底 な り 」 と 言 っ た こ と ば を

起 さ せ る 。 薬 山 の い う 思 量 ( 知 ) と 不 思 量 ( 不 知 ) と は 、 も と よ り 相 対 的 関

に あ る の で は な く 、 兀 兀 地 ( 打 坐 ) の 思 量 が 不 思 量 で あ る こ と を 示 し て い る の で あ り 、 右 の 上 堂 語 で は 「 且 ら く 問 う 、

の 甚 麼 に か 親 切 な る や 」 と い う 「 甚 麼 」 こ そ 参 究 す べ き 課 題 で あ る 。   『 正 法 眼

』 の 巻 に 、   偏 参 の 宗 旨 、 た だ 玄 沙 に 参 学 す べ し … … … … 雲 巌 道 吾 等 、 在 薬 山 六 二 四 十 年 の あ ひ だ 功 夫 参 学 す る こ れ 偏 参 な り 、 二 祖 そ の か み 嵩 山 に 参 学 す る こ と 八 載 な り 皮 肉 骨 髄 を 偏 参 し つ く す 、 偏 参 は た だ 只 管 打 坐 身 心 脱 落 な り 。 と

唱 さ れ て い る こ と は 偏 参 行

の 本 質 を 明 ら か な ら し め る も の で あ る と 同 時 に 、 本 則 に 於 け る 地 蔵 の 「 不 知 是 最

切 」 の 語 は 、 道 元 禅 師 の 宗 義 か ら は 「 只 管

坐 ・

心 脱

」 の 世 界 に 契 当 す る も の と 見 る こ と が で き よ う 。 第 二 十 一 則 雲 巌 掃 地 挙 雲 巌 掃 地 次 、 道 吾 云 、 太 区 区 生 。 巌 云 、 須 γ 知 γ

下 不 二 区 区 一 者 皿 吾 云

則 有 二

二 月 一 也 。

二 起 掃

云 、 這 箇 是 第 幾 月 。 吾

便

休 去 。 玄 沙 云 、 正 是 第 二 月 。 雲 門 云 奴 見 レ 婢 殷 勤 。  

の 本 則 に 基 づ く 宏 智

師 の 頌 古 は 次 の よ う で あ る 。   借 来 聊 爾 了 二 門 頭 得 ン 用 随 γ 宜 即 便 休   象 骨 巌 前 弄 7 蛇 手   児 時   做 処 老 知 γ 羞   こ の 頌 で は 、 第 一 句 に 雲 巌 の 掃 地 を

二 句 に 道 吾 の 月 の 話 頭 を 、 第 三 句 と

四 句 に 玄 沙 と 雲 門 に つ い て 、 そ れ ぞ れ の 宗

を の べ て い る 。 第 三 第 四 句 は 雪 峰 看 蛇 の 公

( 宏

頌 古

二 十 四 則 ) に お け る 玄 沙 と 雲 門 の 対

の こ と を 頌 し た も の で あ る か ら 、 こ の 本 則 の 宏

頌 古 は 四 人 の

者 を 点 検 し

(6)

NII-Electronic Library Service 評 価 し た も の に な っ て い る 。   道 元

師 は 『 永 平 広 録 』

九 に 、   『 景 徳 伝 燈 録 』 に 拠 っ て こ の 公 案 を

げ 、   誰 人 掃 「 地 更 看 γ 月   禿 帚 放 γ 光 透 二 大 虚   千 万 月 中 重 二 此 月 一   縦   云 二 第 二 又 何 初                               ( 流 布 本 ) と 頌 し て い る 。 宏 智 頌 古 で は 雲 巌 の 掃 地 に つ い て 「 借 り 来 っ て 聊 繭 と し て 門 頭 を 了 ず 」 と の べ て い る の に 対 し て 、

元 禅 師 は 「 禿 帚 光 を 放 っ て 大 虚 に 透 る 」 と し ま た 道 吾 の い う 月 に っ い て 前 者 が 「 用 ゆ る こ と を

、 宜 し き に 随 っ て す な わ ち 休 す 」 と 詠 ん で い る の に 対 し 、

師 は 「 千 万 月 中 に 此 月 を 重 ぬ 」 と な し て い る よ う に 、 こ の

量 に お け る 掃 地 ・ 看 月 を 第 一 義 の 仏 法 と し て 示 し て い る こ と が 明 ら か で あ る 。 ま た 『 永 平 広 録 』 で は 、

沙 と 雲 門 の

に つ い て は 尋 . 凵 及 し て い な い が 、 そ の 方 が こ の 公

の 原 形 に 即 す る も の と 思 わ れ る 。 第 二 十 三 則

 

面 壁 挙 魯 祖 凡 見 二

来 一 便 而 壁 。 南 泉 聞 云 、 我 尋 常 向 〆 他 道 、 空

以 前 承 当 、 仏 未 二 出 世 時 会 取 、 尚 不 レ 得 二 箇 半 箇 → 他 恁 麼 塑 年 去 。

智 頌 古 と 永 平 広 録 の 頌 古 は 次 の ご と く で あ る 。 淡 中 有 レ 味   妙 超 二 情 謂 一   綿 綿 若 〆 存 兮 象 先   兀 兀 如 γ 愚 兮 道 貴   道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) 玉 雕 レ 文 以 喪 〆 淳   珠 在 レ 淵 而 自 媚   十 分 爽 気 兮 清 磨 二 暑 秋 一   一 片 閑 雲 兮 遠 分 二 天 水 一 吾 師 独 歩 転 身 路   数 見 二 僧 来 一 絶 二 異

教 三 面 壁 失 二 他 功 一         ( 宏 智 頌 古 ) 設 欲 三 為 レ 君 談 二 得 半 一 還     ( 永 平 広 録 巻 九 )   本 則 で は 魯 祖 の 而 壁 に つ い て 、 南 泉 が そ の 真 義 を 説 示 し た 内

に な っ て い る 。 宏 智 頌 古 は 、 そ の 本 則 全 体 の 宗 意 を

学 的 に

現 し た も の で あ る が 永 平 広 録 で は 右 の 頌 古 に 「

祖 宝 雲

師 尋 常 見 二 僧 来 便 面 壁 」 と 題 し て い る こ と か ら も 知 ら れ る よ う に 、

祖 の 面 壁 そ の も の を 詠 ん で い る こ と が 明

で あ る 。

二 十 七

法 眼 指 簾 挙 、 法 眼 以 γ 手 指 γ

。 一 失 。 時 有 三 一 僧 同 去 捲 γ 簾 。 眼 云 、 一

  『 永 平 広 録 』 に 次 の 上 堂 語 が あ る 。   ヒ 堂 日 、 記 得 、 法 眼 一 日 坐 次、 忽 指 二 面 前 簾 子 殉 時 有 二 二 僧 → 同 去   巻。 法 眼 目 一 得 一 失 。 師 口 永 平 不 二 恁 麼 道 而 良 久 日 、 開 ノ 池 不 〆   待 7 月 、 池 成 月 自 来。                           ( 巻 第 一. 一 )   本 則 に お け る

眼 の 「 一 得 一 失 」 の 語 は

啄 同 時 の 独 白 の 宗 風 を 発 揮 し た も の で あ る が 、 そ れ に よ っ て 学 人 が す べ て

意 を 学

し う る と い う も の で は な い 。 こ れ に

し て 道 元 禅                                         六 一 二 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(7)

    道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) 師 の 「 池 を 開 い て 月 を 待 た ず 池 成 っ て 月 お の ず か ら

る 」 の 二 句 は 、 修 行 の ほ か に 証 果 を 期 さ な い 不 染 汚 の 仏

が 、 特 定 の 対

( 本 則 で は 二

) に 限 ら れ る こ と な く 垂 示 さ れ て い る も の と し て 注 目 し た い 。       第 三 十

 

大 随 劫 火  

、 僧 問 二 大 随

火 洞 然 大 千 倶 壌 、 未

這 箇 壊 不 壊 。 随 云 、   壊 。 僧 云 、 恁 麼 則 随 〆 他 去 也 。 随 云 、 随 〆 他 去 。

問 二 竜 済 嚇   劫 火 洞 然 大 千 供 壊 、 未

壊 不 壊 。 済 云 、 不 壊 。 僧 云 、   為 〆

不 壊 。 済 云 、 為 レ 同 二 大 千 →   こ の 木 則 の

半 の 部 分 ( 僧 問 二 大 随 か ら

云 随 〆

去 ま で ) は 、 雪 竇 頌 古 第 二 十 九 則 と 同 】 で あ る 。 雪

で は 本 則 後 半 の 竜

と の 問 答 は 存 し な い か ら 、 そ こ で は 「 這 箇 壊 か 不 壊 か 」 の 問 に 対 し て 「 壞 」 と し て の み 宗 要 を 示 し た の を 、 宏

で は 同 じ

に つ い て 「 壊 」 と 「 不 壊 」 と を 併 せ て 示 す こ 」 ; 一 辷 つ ご 、   二 D 凶 自 再 う h 弘 仁 財 二 嗣 罫 月. 寉 二 し ぐ 、

6

ニ レ 一 ハ 、     (   臣              U             」   6   ノ 〆 弓 豆   ‘   コ 匚 囲 匡 /   フ     [   F 非 に ト ・ 石   ケ        レ     ー 丶  」 !     L     〔   7

ら れ る 。 し た が っ て 、 そ れ ぞ れ の 本 則 に 基 づ い て 詠 ま れ る 頌 の 内 容 も お の ず か ら 異 な っ て い る 。     宏 智 頌 古             雪 竇 頌 古   壊 不 壊               劫 火 光 中 立 二 間 端 一   随 γ 他 去 也 大 千 界     衲 僧 猶 滞 二 両 重 関 一 句 裏 了 無 二 鈎 鎖 機 一 脚 頭 多 被 二 葛 藤 礙 一 会 不 会 分 明 底 事 丁 寧 勲 知 心 拈 出 勿 二 商 量 一 輸 二 我 当 行 相 買 売 可 γ 憐 一 句 随 7 他 語 万 里 区 区 独 往 還 六 四   雪 竇 頌 古 で は

問 せ る

の 脚 下 を

検 し 、

頌 古 で は 本 則 全

の 宗 意 を の べ て い る 。 こ れ に

し て 、 道 元 禅

の 頌 古 は 次 の よ う で あ る 。   披 毛 載 角 同 γ 他 去   劫 火 洞 然 不 二 転 頭   墨 穴 死 灰 消 息 断   誰 能 向 ド   此 問 二 因 由 一                   ( 永 平 広 録 第 九 巻 ・ 流 布 本 )   披 毛 戴 角 同 7 他 去   劫 火 洞 然 不 二 転 頭 一   枯 木 死 灰 猶 焼 尽   有 二 何 面   目 一 恨 二 因 由 冖                   ( 永 平 広 録 第 九 巻 ・ 門 鶴 木 )   永 平 広 録 の 流 布 本 と 門

本 で は 第 三 句 と 第 四 句 、 お よ び 第 一 句 の

の 字 に 相

が 見 ら れ る が 、 何 れ も 「 随 他 去 」 の 真

義 を 直 下 卒 直 に 開 演 さ れ て い る こ と が 明 瞭 で あ る 。       第 三 十 六 則

 

馬 師 不 安   挙 、 馬

師 不 安 。 院 主 問 、 和 尚 近 日 尊

如 何 。 大 師 云 、 日   面 仏 月

仏 。   雪 竇 頌

( 第 三 則 ) 古 は 次 の

く で あ る 。 と

智 頌 占 お よ び 永 平 広 録 所 収 の 頌

(8)

NII-Electronic Library Service 宏 智 頌 古 日 面 月 面 星 流 電 巻 鏡 対 7 像 而 無 〆 私 珠 在 レ 盤 而 自 転 君 不 / 見 鈷 鎚 前 百 錬 之 金 刀 尺 下 一 機 之 絹 江 西 曾 有 ゾ 仏 雪 竇 頌 古 日 面 仏 月 面 仏 五 帝 三 皇 是 何 物 二 十 年 来 曾 苦 辛 為 γ 君 幾 下 二 蒼 竜 窟 一   屈   堪 γ 述 明 眼 衲 僧 莫 二 軽 忽 一               日 月 以 為 レ 面   何 事 未 二 相 備 囲 γ 碁 逢 二 敵 手 一                                       ( 永 平 広 録 第 九 巻 )   雪 竇 頌

で は 馬 祖 の 「 日 面 仏 月

」 に 就 い て 、

 

「 五 帝 三 皇 是 れ 何

ぞ 」 と い う 禅 月 貫

の 無 呈 礙 を あ ら わ す 語 に よ っ て 生 死 透

の 境 地 を 示 し 第 三 句 以 下 は 学 人 に 対 す る 厳 し い 提 撕 と な っ て い る 。   宏 智 頌 古 で は 「 星 流 れ 電

く 」 が ご と き 馬

の 無 礙

在 の 心 境 を 、 明 鏡 ・ 珠 玉 に た と え て 頌 し た 後 、 本 来 人 を 意

す る 百 錬 の 金 ・ 一

を 徹 見 せ し め よ う と の 宗

が 窺 わ れ る 。   ま た 道 元

師 の 頌 古 で は 、 宏 智 頌 古 の 明 鏡 止 水 の

を さ ら に 一 歩 進 め 、

 

「 何 事 か 未 だ 相 備 ら ざ る 」 と の 本 来 成

の 立 場 か ら 馬 祖 の 日 面 仏 月 面 仏 の 道 取 は 「 碁 を 囲 ん で

手 に

う 」 が ご と く 、 対 機 に 応

る 遊 戯 三

地 と し て こ れ を 頌 さ れ た も の と 見 る こ と が で き よ う 。     道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) 第 四 十 則   趙 州

僧 問 二 趙 州 → 学 人 乍 入

林 乞 帥 指 示 。 僧 云 喫 了 。 州 云 洗 二 鉢 盂 去 。 州 云 、 喫

了 也 未 。   『 永 平 広 録 』 第 六 巻 に 、

の 本 則 に 基 づ い て 次 の 上 堂 語 が あ る 。   趙 州 古 仏 既 恁 麼 道 。 永 平 今 有 二 山 偈 叩 良 久 云 、 翠 竹 桃 花 是 画 図 、   胡 蘆 藤 種 纒 二 胡 蘆 → 赤 鬚 胡 更 胡 鬚 赤 、 喫 粥 了 兮 洗 二 鉢 盂 噸   こ の 道 元

師 の 偈 を 宏

古 と 対 比 し て み る と 、 次 の よ う で あ る 。 宏 智 頌 古 粥 罷 令 三 教 洗 二 鉢 孟 豁 然 心 地 自 相 符 而 今 参 飽 叢 林 客 且 道 其 間 有 γ 悟 無  

智 頌 古 で は こ の 本 則 を 頌 す る に 、 る を 宗 要 と す る

の 面 目 が 顕

で あ り 竹 桃

を 一 幅 の 画 と し て 大 自 然 の 実 相 を 証 す る 、

環 の 宗 風 が お の ず か ら

明 で あ る 。       第 四 十 七

 

樹 挙 、   永 平 広 録 翠 竹 桃 花 是 画 図 胡 蘆 藤 種 纒 二 胡 蘆 赤 鬚 胡 更 胡 鬚 赤 喫 粥 了 兮 洗 二 鉢 孟             心 地 相

し 而 今 参

せ                     永 平 広 録 で は

                        我 転 法 ・

僧 問 二 趙 州 ハ

是 祖 師 西 来

。 州 云 、 庭 前 栢

子 。                                     六 五 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(9)

道 元 禅 師 と 宏 智 頌 占 ( 黒 丸 )   趙 州 栢 樹 子 の 公

に 就 い て は 『 正 法 眼 蔵 』 に 「 栢 樹 子 」 の

が あ り 、

 

『 永 平 広 録 』 に は

六 巻 ・ 第 七 巻 の 上 堂 語 と 第 八

の 小 参 普 説 、 お よ び 第 九

に 偈 頌 二 首 ( 流 布 本 ) な い し 三 首 ( 門 鶴 本 ) が あ っ て 、 そ の

が 開 演 さ れ て い る 。 尤 も 、 道 元

師 が こ の 公

用 さ れ た

典 は 『

燈 会 要 』 ( 第 六 巻 趙 州 章 ) で あ る と さ れ る ( 岩 波 文 庫 渉 典 他 ) が 、 『 趙 州 禅 師 語

』 の 原 文 は 次 の よ う で あ る 。   時 有 僧 問 如 何 是 祖 師 西 来 意 。 師 云 庭 前 栢 樹 子 。 僧 云 和 尚 莫   将 境 示 人 。 師 云 我 不 将 境 示 人 。 云 如 何 是 祖 師 西 来 意 。 師 云 、   庭 前 栢 樹 子 。   『 宏

』 の 本 則 は 、 こ の 一 連 の 問 答 の

初 の 部 分 だ け で あ る の に 対 し 道 元

師 の 著 述 で は す べ て

の 全 文 を 提 唱 さ れ て い る か ら 、 こ の 公 案 に 関 し て は 宏 智 頌 古 か ら の 直 接 的 な 引 用 例 と は な ら な い 。 け れ ど も こ の 本 則 は 、 趙 州 狗 子 の 公

と と も に 古 来 叢 林 に 知 ら れ た 公

で も あ る の で 、 敢 て こ N に 取 り 上 げ る こ と に し た 。   『 正 法 眼 蔵 栢 樹 子 』 で は 初 め に

の よ う に 述 べ て い る 。   こ の 一 則 の 公 案 は 趙 州 よ り 起 首 せ り と い へ ど も, 必 竟 じ て 諸 仏   の 渾 身 に 作 家 し き た れ る と こ ろ な り た れ か こ れ 主 人 公 な り 。 い   ま し る べ き 道 理 は 、 庭 前 栢 樹 子 こ れ 境 に あ ら ざ る 宗 旨 な り 。 栢 樹   子 こ れ 自 己 に あ ら ざ る 宗 旨 な り 和 尚 莫 以 境 示 人 な る が ゆ え に 、   吾 不 以 境 示 人 な る が ゆ え に 。   趙 州 の い う 「 庭 前 の 栢 樹 子 」 は 、 境 ( 他 ) を 以 て 人 ( 自 ) 六 六 に 示 し た も の で は な い こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。

な わ ち 人 と

・ 自 と 他 と の 相 対 的 立 場 か ら は 、 祖 師 西

意 を 示 す

樹 子 の 宗 旨 は 承

さ れ な い こ と を 意

し て い る 。 こ の 趙 州 の 道 は 仏 法 の 極 意 を 問 う 僧 の 質 問 に 対 応 し た も の で あ る か ら 、 世 法 に よ っ て は 把 捉 さ れ 得 な い こ と は 当 然 で あ ろ う 。 し か し 、 学 人 の 間 に は 誤 っ て 理 解 す る も の が 稲 麻 竹 葦 の

く で あ っ た   へ       む と し う   近 代 学 人、 不 レ 会 二 趙 州 意 ハ 不 レ 学 二 趙 州 言 幻 深 可 二 憐 憫 一 者 也 。 或 云   趙 州 為 7 不 7 令 二 学 人 之 一 点 見 解 門 所 以 前 来 也 道 二 庭 前 栢 樹 子 → 後 頭 也   道

前 栢 樹 子 叩 或 云 、 一 切 言 語 悉 是 説 レ 禅 、 所 以 前 後 同 以 道 二 栢 樹   子 一 也 。 如 〆 是 等 之 輩 如 二 稲 麻 竹 葦 殉 然 而 於 二 趙 州 道 処 → 将 γ 著 二 春 夢 一   也 未 γ 得 在 。                             ( 永 平 広 録 第 七 巻 )   道 元 禅 師 は 語 を つ い で 次 の ご と く 示 し て い る 。   今 有 γ 人 間 二 永 平 如 何 是 祖 師 西 来 意 → 向 γ 他 道、 蒼 波 迢 迢 渉 二 . 二 周 而 他   若 道 三 和 尚 莫 二 以 γ 境 示 7 人 、 須 二 向 γ 他 道 ハ 吾

一 以 γ 境 示 τ 人 。 他 又 問 下   如 何 是 和 尚 不 = 以 γ 境 示 τ 人 底 道 b 祗 向 γ 他 道 。 霊 山 瞬 目 豈 時 節 、 微   笑 破 顔 尚 未 ゾ 休 、 四 五 千 条 花 柳 巷 、 二 三 万 座 管 絃 楼。   ( 同 右 )   こ り

E

堂 云 艇 で ま 『 王 去 艮 成 百 封 子 コ

D

で 重 べ て ハ る

待 の 関 係 を 超 え た 世 界 が 詠 ま れ て い る が 、 そ の 骨 子 は 『 永 平 広 録 』

六 巻 の 上 堂 語 に お い て も 同 一 で あ る 。   師 日 、 南 無 趙 州 古 仏、 拈 二 出 西 来 宗 旨 噛 西 来 意 若 何、 庭 前 栢 樹 子 、   不 二 以 γ 境 示 7 人 、 ロ ハ 将 〆 栢 挙 似 。 敢 問 、 諸 禅 徳 要 7 会 一 這 箇 道 理 一 麼 。   良 久 日 莫 下 将 二 江 南 橘 畦 喚 作 中 江 北 枳 如             ( 流 布 本 )

(10)

NII-Electronic Library Service       ( 註 ) 門 鶴 木 で は

の 部 分 は 次 の よ う で あ る 、       趙 州 古 栢 立 二 庭 前 剛 爾 北 誰 疑 橘 与 μ 枳 。  

師 西 来 意 は 只 箇 の 栢 樹 子 で あ っ て 、 そ れ は 江 南 の

を 以 て 江 北 の 枳 と な す よ う で は な ら な い 、 と

は 説 か れ る の で あ り 、   「 栢 樹 子 」 は 彼 此 対 待 の 関

に な い こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。 そ し て 『 永 平 広 録 』 第 入 巻 の

至 小 参 で は 、 一 句 毎 の 著 語 に よ っ て 宗 要 が 示 さ れ 、 こ の 公

義 が の べ ら れ て い る 。     ( 師 日 以 下 が 禅 師 の 著 語 )   冬 憂 小 参 。 挙 僧 問 二 趙 州 蝋 如 何 是 祖 師 西 来 意 。 師 臼 濔 香 頭 是 吾   舌 頭 。   州 云 、 庭 前 栢 樹 子 。 師 日 覿 颪 難 γ 呈 向 上 機 、 家 風 万 古 為 γ 人 旛 。   僧 日 、 和 尚 莫 二 以 γ 境 示 τ 入 。 師 日 、 剛 突 二 眼 晴 一 看 二 北 斗 殉   州 云 、 吾 不 二 以 7 境 示 τ 人 。 師 日 、 不 7 鳴 γ 条 風 帯 二 春 声 幻   僧 日 、 如 何 是 祖 麟 西 来 意 。 師 日 、 明 年 更 有 二 新 条 一 在 、 撩 瓢 乱 春 風   卒 未 γ 休 。   州 去 、 庭 離 栢 樹 子 。 師 灣 、 誰 向 二 遣 頭 …

緞 叩   今 雖 二 恁 麼 → 更 有 二 永 平 道 取 → 要 〆 聴 麼 。 良 久 云 歳 寒 知 得 青 松 意 、   又 掘 二 霊 根 一 峯 頂 栽 。     久 立 衆 慈   伏 惟 珍 重 。   以 上 に よ っ て 、

兀 禅 師 が こ の 趙 州

樹 子 の 公

を 再 三 に 亙 っ て

唱 さ れ て い る こ と が 知 ら れ る と 岡

に 、 人 ・ 境 の 間 が 極 限 に ま で 一 元 化 さ れ 、 つ い に は 大 自 然 の み と な っ た 「

    道 元 禅 鯒 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 ) 樹 子 」 の 世 界 が 現 成 し て い る こ と を

る こ と が で き る 。   ま た 『 永 平 広 録 』

九 巻 に は 、 次 の 頚 占 二

な い し 三 首 が 存 す る 。   ( 門 鶴 本 ) 無 根 栢 樹 掛 二 虚 空 祖 意 西 来 何 後 前 古 仏 守 γ 株 枝 葉 落 代 γ 他 一 諮 窯 二 天 然  兀 地 図 γ 弼 年 歳 積 雪 霜 一 骨 在 二 庭 前 一 趙 州 莫 レ 道 西 来 意 古 節 中 才 豈 自 然 有 μ 僧 問 瓢 道 誚 彊 老 ロ ハ 道 庭 晶 別 栢 樹 枝 端 的 之 言 雖 二 是 妙 担 恨 祖 師 来 意 遅   ( 流 布 本 ) 無 根 栢 樹 大 虚 懸 祖 意 西 来 徹 黒 後 先 一 古 仏 守 レ 株 枝 葉 落 只 留 二 寅 実 【 飽 孤 風 煙 一 ( 上 の 一 首 な し ) ( 上 の 頌 に 全 同 ) 第 四 十 九 則

 

洞 山

真 挙 、 洞 山 供 二 養 雲 巌 真 一 次 、 遂 挙 二 前 遨 γ

話 →

問 、

巌 道 二 祇 這 是 意 旨 如 侮 。 山 云 、 我 当 時

会 二

師 意 殉 僧 云 、 未

雲 巌 選 知 ゲ

。 山 激 、

不 ゲ 知 〆

争 解

道 噛

知 γ

争 肯 恁 麼

。                                         六 七 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(11)

    道 元 禅 師 と 宏 智 頌 古 ( 黒 丸 )   『 永 平 広 録 』 第 七 巻 に こ の 本 則 を 挙 し た 上 堂 語 が あ り 、

師 は 頌 の 形

で 洞 山

の 宗 旨 を の べ て い る が 、 そ れ は

智 頌 古 に 基 づ く も の で 、 両 者 の 問 に 宗 義 上 の 基 本 的 な 相

は 見 ら れ な い 。                 『 永 平 広 録 』               後 に 洞 山 が 示 誨 せ る ん ぱ 争 か 恁 麼 に 道 う こ と を 解 せ ん 。 か 肯 て 恁

わ ん 。 」 超 え た 祇 ・ 這 ・ 是 の 境 界 を 来 . 偏 中 至 . 兼 中 到 ) の

旨 に よ っ て 巧 み に 表 現 し て い る こ と が 知 ら れ る 。      

五 十 二 則

山 法

  挙 、

山 間 二 徳 尚 座 噛

真 法 身 猶 若 二 虚 空 哨 応 レ 物 現 γ 形

二 水     宏 智 頌 古   争 解 二 恁 麼 道   五 更 難 唱 家 林 暁   争 肯 恁 麼 道   千 年 鶴 与 二 雲 松 一 老   宝 鑑 澄 明 験 二 正 偏 一   玉 機 転 側 看 二 兼 到 一   門 風 大 振 兮 規 歩 綿 綿   父 子 変 通 兮 声 光 浩 浩   『 宏 智 頌 古 』 意 旨 に つ い て   永 平 広 録 争 解 二 恁 麼 道 明 星 出 現 大 千 暁 争 肯 恁 麼 道 鶏 足 山 開 迦 葉 老 古 鏡 円 明 照 二 正 偏 玄 機 高 転 自 兼 到 門 風 歴 劫 綿 綿 父 子 声 光 浩 浩     と も に 雲 巌 の い う 「 祗 這 是 」 の             「 若 し 有 る こ と を 知 ら ず           若 し 有 る こ と を 知 ら ば 争 と の 道 取 を 挙 げ 、 そ の

知 ・ 所 知 を    

曹 五 立 ( 正 中 偏 ・ 偏 中 正 ・ 正 中                                           六 八

月 → 作

説 二

応 底 道 理 叩 徳 云 、

覿

p 井 。 山 云 、 道 即 太 黙

、 只

二 得 八 成 噸 徳 云 、 和 尚 又

何 。 山 云 、

p 驢 。   道 元 禅 師 は 『

平 広 録 』 第 五 巻 に 右 の 本 則 を 挙 げ て い る が 、 そ の 示 衆 の 語 は

智 頌 古 に

づ い て い る と 見 ら れ る 。   宏 智 頌 古 驢 観 レ 井 井 觀 γ 驢 智 容 無 7 外 浄 涵 有 γ 余 肘 後 誰 分 γ 印 家 中 不 レ 蓄 7 書 機 糸 不 F 掛 梭 頭 事 文 彩 縦 横 意 自 殊   本 則 と 宏 智 頌 占 の 驢 宗 意 を 、 永 平 広 録 で は 更 に 井 、 透 徹 し た 一 元 の 境 地 を 開 き 、 名 r り 五 口 乙 寸   ご 、   伝 ユ 水 6 一 よ 訶 り 、 ¥ ー   ‘  一 一 = 口 彫 」 丿     ヒ                 「 〃 歪 現 の 語 を 用 い て 、 本 則 の な ど 、 こ の 頌 古 に は 禅 師 の 公 案 拈 提 の 特

を 見 る こ と が で き る と 思 う 。                                           (

完 )   永 平 広 録 驢 觀 ノ 井 井 覲 〆 驢 井 覦 レ 井 驢 覿 F 驢 身 容 心 儀 無 7 限 応 物 現 形 有 レ 余 活 眼 環 中 照 廓 〆 虚 芥 城 劫 石 妙 窮 7 初 腰 頭 縦 帯

流 袋 家 裡 何 無 二 字 書 一   井 を 蜆 井 、 驢 を 戯 る と い う 公 案 の         井 を 覿 騨 、 驢 を 観 る と し て       ま た 宏

頌 古

三 ・ 四 句 の 智 ・ 一 セ

F

じ く 第 三 ・ 四 句 に 身 ・ 心 応 ・   「

の 真 法 身 」 を

截 に 開 示 さ れ る

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