あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010
あさひかわ緩和ケア講座
2010
第8講
第8講 看護ケア
看護ケアⅡ
Ⅱ
(口腔ケア・リンパ浮腫ケア)
(口腔ケア・リンパ浮腫ケア)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010(
腔
浮腫
)
(
腔
浮腫
)
旭川赤十字病院
血液腫瘍内科病棟 緩和ケア認定看護師
蟹谷 和子
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010口腔ケア
口腔ケア
口腔ケアとは
口腔ケアとは
歯垢や食物の残りカスを取り除いたり、歯磨き、うがい
などで口腔を清潔に保つ
歯石の除去 義歯の手入れや摂食嚥下訓練やリハビリ
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010歯石の除去、義歯の手入れや摂食嚥下訓練やリハビリ
テーションとしての言語訓練
口腔ケアとは、口腔の疾病予防、健康の保持
増進、リハビリテーションによりQOLの向上を
めざした科学であり、技術である
(日本口腔ケア学会)
唾液の働き
唾液の働き
1日の唾液の総分泌量:
1~1.5L/日
・
咀嚼および嚥下の補助作用
・洗浄作用
(口腔内細菌の停滞・増殖を防ぐ)
・歯および粘膜の保護作用
・味覚に関与する溶媒作用
(おいしく食べるのに重要)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 (柿木保明・山田静子編著:看護で役立つ口腔乾燥と 口腔ケア、10貢、医歯薬出版、東京、2007より引用)(おいしく食べるのに重要)
・pHの緩衝作用
(酸・アルカリ物質を中和する能力)
・発音・発声における円滑作用
(円滑力が低下すると構音・発声が
困難になる)
・抗菌作用など
自分で歯磨きができない
経口摂取量が低下し、口腔内の自浄作用が低下
口呼吸による口腔内の乾燥が著しい
不顕性誤嚥による肺炎のリスクが高い
口腔ケアの適応
口腔ケアの適応
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010不顕性誤嚥による肺炎のリスクが高い
カンジダや口内炎などトラブルがある
爽快感を得たい
※口腔のセルフケアが可能な場合は、負担の
ない範囲でなるべく患者本人に実施してもらう
口腔ケアの手順
口腔ケアの手順
姿
勢
リ
ラ
ク
口
腔
視
野
含
嗽
・
ブ
ラ
舌
粘
膜
洗
浄
評
価
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010ク
セ
|
シ
ョ
ン
腔
内
観
察
野
の
確
保
口
腔
清
拭
ッ
シ
ン
グ
膜
の
清
掃
浄
・
嗽
価
と
確
認
口腔ケアの方法
口腔ケアの方法
1.姿勢を整える
誤嚥を予防するために、座位やセミファーラ位
2.含嗽・口腔清拭
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010.含嗽
腔清拭
水や先口液などで
湿潤
(含嗽ができない場合は、スポ
ンジブラシなどを使用)
湿潤剤配合洗口液には、ヒアルロン酸
ナトリウムが配合されていて、保湿効果
がある。
口腔ケアの方法
口腔ケアの方法
3.歯のブラッシング
歯ブラシの毛先の部分を歯面に当て、
毛先が広がらない程度の軽い力(約150~200g)
で小刻みにこする
図 ブラッシング法 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010で小刻みにこする。
磨き残しの多い部分に 気をつける 歯間ブラシ 歯ブラシ デンタルフロス口腔ケアの方法
口腔ケアの方法
4.舌・粘膜清掃
歯ブラシや舌ブラシ、スポンジブラシを使用する。舌苔
は軽い力(約50g)でこする。強い刺激は、舌の糸状
乳頭まで除去し、感染や疼痛の原因となる。
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 平滑舌疼
一度で全てを除去せず, 回数を重ねて行う 舌ブラシ スポンジブラシ 糸状乳頭が消失し、 滑らかになってしまう口腔内を湿潤するケア
口腔内を湿潤するケア
①はじめに口唇全体にオーラルバランス®やワセリン、リップク
リームなどを塗布(ケア時に口唇を進展しやすくし、痛みも軽
減できる)
②スポンジブラシを用いて水または微温湯で口腔粘膜全体に
湿潤させる。乾燥が強い場合は保湿剤(オーラルバランス®
やオリーブ油、白ゴマ油など)を3~4時間ごとに塗布する
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010やオリ ブ油、白ゴマ油など)を3
4時間ごとに塗布する
スポンジブラシ を水で湿らせ、 軽く絞る オーラルバランス を2cm程度スポン ジブラシに取る唾液腺マッサージ
唾液分泌を促すケア
唾液分泌を促すケア
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 耳下腺 示指から小指の4本 を頬に当てて,上の 奥歯あたりを後ろか ら前へぐるぐる回す ように押す. 顎下腺 親指をあごの骨の内 側のやわらかい部分 に当て,耳の下から あごの下まで5カ所く らいを順番に押す. 舌下腺 両手の親指をそろ え,あごの真下から, 舌をつきあげるよう にグッと押す終末期がん患者に生じやすい
終末期がん患者に生じやすい
口腔トラブル
口腔トラブル
口腔トラブル 主な原因 口内乾燥 ・脱水や絶食による唾液分泌減少 ・放射線治療による有害事象 ・口呼吸や酸素投与 ・抗精神薬・オピオイドなど 口臭 ・唾液分泌減少やケア不足による細菌の貯留や歯周病の悪化 ・吐物、痰、食物残渣などの口内残留や壊死組織 味覚障害 ・低栄養によるビタミンや亜鉛などの微量元素の欠乏 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 味覚障害 ・低栄養によるビタミンや亜鉛などの微量元素の欠乏 ・化学療法や放射線治療の有害事象 ・カンジダ症 粘膜の脆弱 性(口内炎な ど) ・唾液分泌減少による抗菌作用の低下、日和見感染 ・ビタミンや微量元素欠乏による粘膜の脆弱化 ・化学療法や放射線治療の有害事象 舌苔・痂皮様 痰付着 ・口腔乾燥やケア不十分による洗浄不足 義歯不適合 ・体重減少 ・ケア不足による歯肉の腫脹や潰瘍 神津三佳:口腔内と口唇のケア,がん看護14(7),773貢,2009 より引用 一部改変終末期がん患者への口腔ケア
終末期がん患者への口腔ケア
目的 :
口腔トラブルによる苦痛の予防、
または苦痛の緩和
・嘔気や呼吸困難などによりケア時間や体位に制限がある
腔ト ブ
原因が除去しきれな
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010患者・家族を含めた医療チームで口腔ケアの目標を設定し、
最小の苦痛で、最大の効果が得られるようなケアを早期から
検討
・口腔トラブルの原因が除去しきれない
・患者や家族、医療者の口腔ケアへの認識が多様である
・口腔トラブル以外の苦痛な症状に注意やケアが集まりやすい
ので、口腔トラブルへの対応が後手に回りやすい
口腔乾燥の症状
口腔乾燥の症状
唾液 ・白く濁り糸を引く、細かい泡状になって粘膜に付着
・義歯粘膜面に唾液がついていない
舌
・舌乳頭が委縮して、舌背は平滑化
・舌苔が多く付着
・溝状舌がみられ食物残渣が付着
・舌側縁部に歯列の型がつく
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010口蓋 ・乾燥した喀痰や粘膜上皮が付着
頬粘膜・粘膜が委縮し伸展しにくい、出血しやすい
歯肉 ・歯垢や食物残渣が多く付着し炎症を起こしている
・出血しやすく、乾燥している
口唇 ・伸展しにくい、口角にびらんや潰瘍がみられる
歯
・急にう歯が増える
西川史江:口腔乾燥,がん看護13(2),99貢,2008増刊 より引用 一部改変口腔乾燥のケア
口腔乾燥のケア
洗口液を用いて含嗽(刺激性の少ないノンアルコールの液を使用)
頻回の含嗽は粘性成分のムチンを失わせるので乾燥を助長させる
ブラッシング
事前に水で湿らせておく
歯肉にブラシの毛先が当たらないように、毛先の角度を調整する
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 口蓋粘膜・頬粘膜・歯肉清掃
口腔の奥から手前に転がすように行う
とくに汚染しやすい口腔底や口腔前庭を丁寧に行う
口唇口腔粘膜保護
2~4時間毎の定期的保湿が効果的
保湿剤は液体よりジェルタイプの方が口腔内にとどまりやすい
舌背以外にも舌下や頬粘膜に薄く塗りのばす
口臭
口臭
口臭の原因 (6割が舌苔で生産)
口腔内 未治癒のう歯、不良充填物内での腐敗、歯周病、舌苔、
口腔乾燥、口腔内のがん、義歯に付着している歯垢
全身性 耳鼻咽喉・肺・上部消化管の疾患、耳鼻咽喉のがん、重
症の糖尿病・肝硬変・尿毒症
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010ケア
・舌苔・口腔内のケア~保湿剤や洗口液などの使用
10~20倍に希釈したオキシドール液の使用
・口腔内嫌気性菌を抑制する口臭予防剤を3~4回/日使用
例:ハイザック®(揮発性硫化物をキレート化して消臭)
症の糖尿病 肝硬変 尿毒症
西川史江:口臭,がん看護13(2),102貢,2008より引用味覚障害
味覚障害
原因
・薬剤~抗がん剤や抗ヒスタミン薬、抗うつ剤など
・放射線治療~味蕾細胞の破壊、口腔粘膜の炎症、
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010唾液腺分泌機能の低下
・口腔清潔習慣~カンジダや舌苔が発生し、味孔
(味蕾の入り口)が塞がる
・亜鉛欠乏~食事摂取量の低下
食事の工夫
味覚障害
味覚障害
食事内容の工夫
味覚鈍麻・濃い味付け
・はっきりした味の料理
・だしをきかせたり、薬味・香辛料・酸味などを利用
・亜鉛を含む食品を摂取
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010亜鉛を含む食品を摂取
・感じにくくなっている味覚を通常より濃い味付けにする
悪味症・
異味症
・苦味や金属味など違う味がしたり、嫌悪感を覚える食
品は避ける
・塩味を控えてだしをきかせたり、ゴマ・ゆずなどの香り
や酢を利用
味覚過敏・薄味または素材そのもので食べる食品・料理を選択
川地香奈子:味覚異常,がん看護13(2),108貢,2008増刊 より引用 一部改変口腔粘膜炎
口腔粘膜炎
原因
・義歯などの物理的刺激
・感染症
・熱症や薬剤
・抗癌剤や放射線照射
・口腔乾燥
・栄養不良
ケア
・
口腔内の清潔保持(歯ブラシで粘膜を傷つけない)
を含まな 洗
液や水など 含嗽
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010アルコールを含まない洗口液や水などで含嗽
疼痛が強い場合は生理食塩水を使用
• 口腔内保湿
グリセリン入り含嗽や保湿剤・白ゴマ油などの使用
• 疼痛コントロール
キシロカインを使った含嗽+NSAIDS
モルヒネの使用
うがいは 『ガラガラ』で はなく『グチュ グチュ』で!出血傾向のある場合のケア
出血傾向のある場合のケア
• 柔らかい歯ブラシかスポンジブラシを使用
(歯ブラシは状況に応じて)
• ケア実施前に保湿剤を粘膜に塗布し、全体を湿
潤させる
出血している時は 頻回に強く含嗽しない
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010• 出血している時は、頻回に強く含嗽しない
• 歯肉を傷つけないように、歯ブラシ、スポンジブラ
シは湿らせておく
• 血ぺいは絶対にはがさない
血ぺいが自然に落ちるのを待つ。それまでの間は
血ぺいの上から保湿剤をのせて、湿潤させておく。
口が開かないときのケア
口が開かないときのケア
理由
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 開口障害 ・顎関節炎 ・関節の腫瘍 ・顎骨骨折 ・顎関節拘縮 ・筋委縮、筋力低下 開口拒否 ・過去の不快な体験 ・口腔ケア時に感じ る痛み ・羞恥心 ・信頼関係の欠如 意思疎通が不 可能な場合 ・意識障害 ・認知症 など2
2段階によるアプローチ
段階によるアプローチ
第1段階
第2段階
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010第1段階
・口周囲のマッサージ ・口唇をつまんで動かす ・口腔前庭・頬粘膜、さら に歯列に沿って歯およ び歯肉を撫でる ・『撫でる』というところ を刺激の少なそうなも のから始める ・快適さを感じてもらう ・苦痛の少ないことから 根気よく口腔トラブルに応じた薬剤
口腔トラブルに応じた薬剤
口腔乾燥 口腔用保湿 剤 ウエットケアプラス、オーラルバランス、ビ バジェルエット、リフレケアH、マウスウォッ シュ、グリセリン、絹水、オーラルウエット 口内炎 ステロイド 外用薬 ケナログ、デキサルチン、アフタッチ、 サルコート あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 口腔内カンジダ 抗真菌薬 フロリードゲル、イトリゾール、ファンギゾン 口腔内の痛み ハチアズレ・キシロカイン含嗽液、アズノール・キシロカイ ン軟膏 口臭 ハイザック 舌苔 オキシドール OPTIM ステップ緩和ケアhttp://gankanwa.jp/tools/step/skill/oral_care.html より引用 一部改変症例
・40歳代 男性 膵臓がん PS:3 ・使用薬剤:オピオイド・ステロイド ・自覚症状:味が変、食べ物がおいしく感じない、口渇 ・ケア:1回/日のブラッシング、水やアズレン含励行に加え、フロリードゲル服 用開始 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 カンジダ 3日後 最期までスイー ツや差し入れを 楽しめた口渇に対する口腔ケア
口渇に対する口腔ケア
生命予後が1~2か月以内と考えられるがん
患者の口渇は、口腔ケアなどの看護ケアが有
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010効である
(終末期癌患者に対する輸液治療のガイドライン
第1版より)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010リンパ浮腫ケア
リンパ浮腫ケア
リンパの働き
リンパの働き
<リンパ液の成分>
細胞で不要になった老廃物や白血球などに分解された
蛋白成分、リンパ球などの細胞成分、侵入してきた細菌、
脂肪など
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010脂肪など
z過剰な組織液を血液中に戻す
z血液中のタンパク成分量を維持
z細菌・ウイルスや異物が血液循環に進入するのを防ぐ
リンパ系の特徴(1)
リンパ系の特徴(1)
1.リンパ管の自動運搬能:
一定のリズムで自律的な収縮運動(10回/分)
2.弁構造:集合リンパ管には弁があり逆流を防ぐ
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用3.筋肉ポンプ:筋肉運動や関節運動、マッサー
ジなどで流れが促進(10~20倍)
リンパ系の特徴(2)
リンパ系の特徴(2)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座201020104.その他:腹式呼吸、動静脈血流や胃腸運動も
リンパ運搬を補助
どの一つが欠けてもリンパ運搬に支障がでる!!
• 表在リンパ管
四肢や体表面を走行
• 深部リンパ管
腹腔と胸腔内を走行
リンパ系の特徴(3)
リンパ系の特徴(3)
表 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 表 在 リ ン パ 管 深 部 リ ン パ 管 文献8より引用 一部改変 文献9より引用表在リンパ管のしくみ(1)
表在リンパ管のしくみ(1)
• 毛細リンパ管
・弁構造がない ⇒ あらゆる方向に流れる可能性
・全身に張り巡らされている ⇒ 側副リンパ路として
機能
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用表在リンパ系のしくみ(2)
表在リンパ系のしくみ(2)
• 集合リンパ管:弁構造がある
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用• リンパ分水嶺:
リンパの流れを区分する境界線
表在リンパ系のしくみ(3)
表在リンパ系のしくみ(3)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010•それぞれの領域の主要
リンパ節に流れるしくみ
•境界線を境に弁は反対
向き
文献9より引用• 主要リンパ連絡路:主要なリンパ節間では、毛細リン
パ管が多く、密になっている
表在リンパ系のしくみ(4)
表在リンパ系のしくみ(4)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用深部リンパ系のしくみ
深部リンパ系のしくみ
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用 一部改変浮腫の原因となる疾患
浮腫の原因となる疾患
浮腫の成因 全身性浮腫 局所性浮腫 毛細血管内圧の上 昇 心不全、腎不全・腎炎など 静脈性浮腫(静脈瘤や 深部静脈血栓症など) 廃用性浮腫 血漿膠質浸透圧の 肝硬変、ネフローゼ、蛋白 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 低下 漏出性胃腸症など 血管透過性の亢進 アレルギー性浮腫、炎 症性、血管性浮腫など その他 内分泌疾患による浮腫、 薬剤性浮腫、特発性浮腫 など リンパ管の損傷・ 発育障害 リンパ浮腫(原発性・続 発性)などリンパ浮腫~定義
リンパ浮腫~定義
リンパの輸送障害に組織間質内の細胞性蛋白
処理能力不全が加わって高蛋白性の組織間液
が貯留した結果起きる臓器や組織の腫脹
(国際リンパ学会)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010(国際リンパ学会)
• 原発性(一次性)リンパ浮腫
発症の原因疾患が確定しない~リンパ管の発育不全・
形成不全など
• 続発性(二次性)リンパ浮腫
悪性腫瘍に伴う手術・放射線治療、リンパ管炎、
悪性腫瘍の増悪など
リンパ浮腫の特徴
リンパ浮腫の特徴
• 一般的に腕または足のむくみが多い
• 片側性が多い(下肢は両側にも起こる)
両側の場合は、左右差があることが多い
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010• 痛み・しびれは少ない
• 蜂窩織炎・角化・象皮症・リンパ漏などの合
併症がある
• 利尿剤による浮腫の改善は少ない
リンパ浮腫の臨床分類
リンパ浮腫の臨床分類
期
皮膚の状態と特徴
0期
(潜伏期)
リンパ管シンチなどでリンパ管の閉塞はあ
るが、臨床的には浮腫がない状態
Ⅰ期
浮腫が軽度で水分が多く、指で押すと圧迫
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010期
(可逆期)
浮腫が軽度で水分が多く、指で押すと圧迫
痕が残る 安静臥床で浮腫が軽減する
Ⅱ期
(不可逆期)
浮腫が強く硬くなり、繊維化や脂肪増生で
圧迫しても痕が残らず、安静では改善しな
い
Ⅲ期
(象皮期)
皮膚が硬さを増して角化がみられ、放置す
ると潰瘍を形成したり象皮症になる
リンパ浮腫の合併症
リンパ浮腫の合併症
z 蜂窩織炎
z リンパ漏・・・蜂窩織炎を来しやすい
z 象皮症・皮膚硬化・・・感染を起しやすい
z 急性皮膚炎
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010z 急性皮膚炎
z 白癬・皮膚感染症・・・
蜂窩織炎を起しやすい
z 色素沈着
z 関節機能障害
z 褥創・・・
感染を起しやすい
リンパ浮腫は炎症をきっかけに悪化しやすい
蜂窩織炎
蜂窩織炎
蚊に刺されたような赤い斑点が所々に出現する場合が多
い。突然患肢全体が赤くなり高熱が発生する場合もある。
<
症状>
疼痛を伴う広範囲の発赤
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010疼痛を伴う広範囲の発赤
38℃以上の発熱
炎症反応の上昇
適切な治療をしなければ敗血症
治療を中断してしまうと、組織間隙内のどこかに潜んでい
た細菌が何かの機会に再び増えて再発する。
リンパ浮腫による影響
リンパ浮腫による影響
視覚的 な影響 自尊心 の低下 自立性 の低下 あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010リンパ
浮腫
経済的 負担 職場で の困難 楽しみ・ 趣味の 制限 セクシャ リティへ の影響患者教育・セルフケア支援
患者教育・セルフケア支援
• 皮膚や循環系・リンパ系の働き
• リンパ浮腫の徴候
• スキンケア
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010• セルフマッサージ
• 圧迫療法・運動療法
• 日常生活行動の注意事項
• トラブル発生時の対処
など
治療の4本柱
治療の4本柱
• スキンケア
• 医療徒手リンパドレナージ(MLD)
• 圧迫療法
• 運動療法
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010運動療法
※4つの方法を併用することで大きな効果が生まれる
※医師の診察を受けてから指示のもとに治療を開始
※知識と技術を習得したセラピストが浮腫の状況に応じ
て適切に実施する
※特に症状に合わない弾性圧迫衣の着用や無理な圧
迫療法は、症状悪化や炎症を招く原因になる
複合的理学療法
複合的理学療法
スキンケア
免疫力の低下、皮膚乾燥、
傷などにより感染を起こし
やすいため清潔や保湿を
保つ
MLD
患肢に溜まっているリンパ
液を側副路を介して、健
康なリンパ節から深部リン
パ管に誘導する
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010保つ
パ管に誘導する
圧迫療法
患肢を外部から適度に
圧迫することで、リンパ
液の再貯留を防ぐ
運動療法
弾性包帯や弾性圧迫
衣を用いた状態で筋肉
ポンプ作用を促す
MLD
MLDの禁忌
の禁忌
原則的
禁忌
感染症による急性炎症、心性浮腫・心不全、
深部静脈血栓症、急性静脈炎など
相対的
禁忌
悪性疾患(症状緩和として状況に応じて可能)
局所的
(頸部)甲状腺機能亢進症 頸動脈洞症候群
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010局所的
禁忌
(頸部)甲状腺機能亢進症、頸動脈洞症候群
重症な不整脈、頸部の急性疾患など
(腹部)急性・慢性疾患、開腹手術の既往、
腸閉塞、放射線治療後、大動脈瘤など
※圧迫療法:原則的禁忌~心性浮腫、心不全など
相対的禁忌~高血圧、狭心症、不整脈など
MLD
MLDのポイント
のポイント
方向 ・リンパ液の流れに逆らわず、一定方向に行う
・流したい方向のリンパ節にむかって行う
圧力 ・優しく撫でるくらいの軽い圧で行う
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010・手の圧を均等にかけ、柔らかく皮膚上を移動
速度 ・1秒間に1回程度の速度
順序 ・健康なリンパの領域をマッサージしてから、
浮腫の部分のマッサージに入る
・リンパ液を隣の領域に移動させていく
MLD
MLD手技
手技
静止クライス
指もしくは手掌全体で皮膚に接触し、
皮膚と皮下部分に円運動を加える手
技(身体のいたる部分に用いることが
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010出来る)
ポンプ手技
母指と示指の間の部分を排液方向に
向けて置き、手掌全体で圧を加える手
技(主に四肢や乳房に用いられる)
MLD
MLD手技
手技
シェップ手技
四肢後面を手掌全体で交互にすくう
ような手技(主に前腕・下腿に用いる)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010ドレ一手技
手掌全体を体表に接触させ、適度に
圧をかけながら前方へ柔らかく皮膚
を動かす手技(主に体幹部など広い
面のところに用いる)
MLD
MLD注意点
注意点
• もまない
• さすらない
• たたかない
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010• 強すぎない
• 痛くない
• 早くなりすぎない
• 手をまわすことにこだわらない
MLD
MLDでの
でのリンパ浮腫治療組み立て
リンパ浮腫治療組み立て
1.基本的知識の理解
リンパ分水嶺、リンパ連絡路
2.考えの構築
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座201020102.考えの構築
禁忌の有無、リンパ浮腫の部位、
有効に使える主要リンパ節部位
3.患者への応用
手順(前処置→患肢の処置→後処置)
適切な体位(仰臥位、腹臥位、横臥位、座位)
前処置と後処置の重要性
前処置と後処置の重要性
• 健康な体幹皮膚に対して前処置を行い、患肢
から誘導してくるリンパ液が吸収されやすい状
態をあらかじめ作る
特にリンパ分水嶺上ではマッサ ジを集中的
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010特にリンパ分水嶺上ではマッサージを集中的
に行い、リンパ液が健康な領域に流れやすく
する。
• 後処置として再度健康な体幹をマッサージし、
リンパ液の誘導をよりいっそう促す
前処置(体幹)
前処置(体幹)
1.両肩後ろ回し、または両上肢の上下運動(10回)
2.腹部マッサージ、または腹式呼吸(5回)
(乳び槽に流入するリンパの流れを促す)
3 健康な主要リンパ節のマ サ ジ
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座201020103.健康な主要リンパ節のマッサージ
例)左上肢リンパ浮腫:右腋窩リンパ節と
左ソケイリンパ節
左下肢リンパ浮腫:左腋窩リンパ節
4.患肢と健康な主要リンパ節を結ぶ体幹のマッサー
ジ(主要リンパ連絡路の活用)
・患肢の中枢端から始め、次第に末梢をマッサー
ジしていく
・患肢の関節から関節までを何等分かに分けて、
中枢側の方から末梢側へ、また常に流したい主
患肢の処置
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010要リンパ節に向けてマッサージしていく
• 後幹)
前処置をもう一度マッサージし、深部へと効果的
にリンパ液を誘導する
後処置(体幹)
MLD
MLDの手順
の手順
患肢:右上肢
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用MLD
MLDの手順
の手順
患肢:左下肢
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 文献8より引用• 弾性圧迫包帯
• 弾性圧迫衣
圧迫療法
圧迫療法
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010空気式マッサージ器
空気式マッサージ器
• 使用の前後に、患肢の中枢部や、体幹部分
をマッサージを行う必要がある
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010• マッサージ器のみを行うことは、推奨されない
リンパ浮腫指導管理料(
リンパ浮腫指導管理料(2008
2008年)
年)
診療報酬
診療報酬 100
100点
点
1.病院に入院中の患者で、子宮悪性腫瘍、子宮
付属器悪性腫瘍、前立腺悪性腫瘍または腋窩
部郭清を伴う乳腺悪性腫瘍に対する手術を
行ったものに対し、手術を行った月、またはそ
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010行ったものに対し、手術を行った月、またはそ
の前月もしくは翌月のいずれかに、リンパ浮腫
に対する適切な指導を実施した場合に、1回限
り算定できる
・リンパ浮腫重篤化予防の弾性着衣の購入費用は、
療養費払いの対象
2.当該保険医療機関入院中にリンパ浮腫指導管
理料を算定した患者であって、当該保険医療機
関を退院したものに対して、当該保険医療機関
において 退院した日の属する月またはその翌
リンパ浮腫指導管理料(
リンパ浮腫指導管理料(2010
2010年)
年)
診療報酬改定
診療報酬改定 100
100点
点
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010において、退院した日の属する月またはその翌
月にリンパ浮腫の重症化等を抑制するための
指導を再度実施した場合に、1回に限り算定す
る。
(入院中の算定に加え、外来での算定ができるよ
うになった)
緩和ケア領域でのリンパ浮腫
緩和ケア領域でのリンパ浮腫
• 目標
QOLの維持・向上と合併症の予防
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座201020101.浮腫による圧迫感・不快感や疼痛の軽減
2.皮膚の損傷、感染の予防や改善
3.関節の可動性の保持や改善
症例
症例
• 30歳代 女性
胃がん(リンパ節切除後) がん性腹膜炎
行ったケア
・スキンケア(保湿・外傷予防)
あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010(保湿
傷
防)
・安楽な体位の確保
・MLDのリスクを説明し、ケアプラン
を作成
・刺激の少ない柔らかいマッサージ
・スキンケアと外果部周囲のほぐし
手技を中心
・死亡後に最期のマッサージ
⇒ おだやかな柔らかい表情へ変化
リンパ浮腫診療ガイドライン
リンパ浮腫診療ガイドライン
リンパ浮腫診療ガイドライン作成委員会(2008)
クリニカルクエスチョン
推奨グ レード 1.リンパ浮腫に弾性着衣による圧迫療法を行った場合、行わなかっ た場合と比べてリンパ浮腫を軽減させるか C 2.リンパ浮腫に多層包帯法を行った場合、行わなかった場合と比べ てリンパ浮腫を軽減させるか C あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 てリンパ浮腫を軽減させるか 3.リンパ浮腫に対するリンパドレナージを行った場合、行わなかった 場合と比べてリンパ浮腫を軽減させるか C 4.リンパ浮腫患者に間欠的空気圧ポンプを行った場合、行わなかっ た場合と比べてリンパ浮腫が減少するか D 5.リンパ浮腫患者に対して運動療法を行った場合、行わなかった場 合と比べて治療効果が良好か D 6.リンパ浮腫患者に対する肥満の評価は有用か Cリンパ浮腫診療ガイドライン
リンパ浮腫診療ガイドライン
リンパ浮腫診療ガイドライン作成委員会(2008)
クリニカルクエスチョン
推奨グ レード 7.リンパ節切除後の蜂窩織炎は、リンパ浮腫の発症増悪の危険 因子となるか B 8.リンパ浮腫患者に対する心理社会的介入を行った場合、行わな D あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010 かった場合と比べて患者のQOLを改善するか 9.リンパ浮腫患者に薬物療法を行った場合、行わなかった場合と 比べてリンパ浮腫の軽減に有効か E 10.リンパ浮腫患者に外科治療を行った場合、行わなかった場合と 比べてリンパ浮腫の改善に有効か D 11.リンパ浮腫患者に複合的治療(弾性着衣、弾性包帯、MLD、運 動、スキンケア)以外の治療を行った場合、行わなかった場合と 比べてリンパ浮腫の改善に有効か Dz
口腔トラブルは、口腔乾燥から始まると言っ
てよく、乾燥を予防するケアが大事
z
口腔ケアは一つの単なるケアではなく、生き
ることの尊厳を支援するケアである
Take Home Message!
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あさひかわ緩和ケア講座 あさひかわ緩和ケア講座20102010