工作機械製造業の現状と問題点と対応策 岩田憲明
I 現 状
1 工作機械製造業の地位 2 工作機械製造業の現状
Ⅱ 問題点 1 メーカーの乱立 2 大手ユーザーの内作化 3 発展途上国の迫上げ 4 非切削加工の増大
Ⅲ 対応策 1 新技術の開発 2 財務体質の改善 3 生産性の向上 む す び
本稿においては,まず工作機械製造業の地位現状を考察し,ついで工作機械 製造業わもついくつかの根本的問題点を明らかにし,最後にこの間凰点を克 服するために工作機械製造業の個別企業がとるべき対応策について論じる。
I 現 状 1工作機械製造業の地位
工作機械とは日本工業規格(JI S)によると「主として金属の工作物を 切削等によって不要部分を切屑にして取り除き,所要の形状に作り上げる枚 城である」と定義されている。したがって,プレスや努断機のような切屑を
出さない塑性加工機械は含まれていない。
このような工作機械を製造する工作機械製造業は,産業分類においては一 般機械製造業のなかに,それはまたさらに上位では機械製造業のなかに属す
るものである。
さて機械製造業は産業椛造審議会総合部会報告(昭和
49年
9月
13日)によ ると,今後のわが国経済を支えるものとして極めて重要なものとして位置づ けられている
Oすなわち,全製造業生産額に占める機械製造業の割合は,昭 和45 年の
30.896から昭和
60年には
35.096まで上昇し,またわが国の全商品輸 出に r~ める機械輸出の比率も日目和 45年の 46.25ちから昭和 60年には 68.2961こま で高まることが j 閉山されている
Oこのように機械製造業はわが国の産業構造 に占める比
mを明大するとともに,わが国の輸出の最も主要な担い手として 成長することが期待されている
Oこのように機械製造業の成長に対し大きな期待が寄せられているのは,わ が国の狭い国土,之しい資源・エネルギー,深刻な環境問題,優秀・勤勉な 労働力十与を考えると,機械製造業はわが国にとって最も適した産業であると いえるからである
Oさらに機械製造業は,科学技術の進歩とともに絶えず新
表
1機械製造業の内部構成 (単位:千人・億円)
君 主 械 製 造 業
タ
〉 製 造 業 一般機械 1'11tl<\mt~.I,,"i5mttJJitI │工作機械 電気機械輸送機械精密機械
事 業 所 数
702,
586 112,
290 53,
469 1,
981 28,
077 20,
483 10,
261従 業 日 数
1, 1
783 3,
682 1,
161 67 1,
329 942 250製品
11¥荷 額
809,
619 26, 1
642 71,
155 3,
422 85,
610 93,
801 1, 1
076付 加 価 値 叙
29, 1
917 97,
891 30,
732 1,
563 33,
817 28,
527 4,
815付 l 加 人 価 当 値 り 額千円
2,
477 2,
659 2,
648 2,
330 2,
544 3,
027 1,
928付加価値率労
36.1 37.4 43.2 45.7 39.5 30.4 43.5前
卜
J:1業 所 数 ( 1
00.0)( 1
160.00.)0 47.71 .
8 25.0 18.2 9.1従 業 日 数 ( 1
00.0) (31 .
3)3
1 .
51 .
8 36.1 25.6 6.8 100.0!
戎
(32.3)4.2
製 品 I l H r ; Y 領 ( 1
0.00) 27.21 .
3 32.7比│付加利 l 醐
100.0
4.9 I
( 1
00.0) (3130.05.)0 31 .
41 .
6 34.6 29.1資料:通夜行「工業統計調査4
7年 」
しい産業,新しい商品が出現する可能性がある分野であり,フロンティア産 業としての性格を持つことができる数少ない産業だからである
1)。
このように成長を期待される機械製造業に占める工作機械製造業の地位に ついてつぎに考察してみよう
D工業統計調査(昭和 47年)によると工作機械製造業の機械製造業全体に占 める割合は事業所数で1.
8%,従業員数で1.
8タム製品出荷額で1.
3 %,付 加価値額で1.
6%である
Dかくして工作機械製造業の機械製造業全体のなか に占める量的な地位はけっして高いものではない
Oこれは諸外国においても 同様である口ちなみに付加価値額構成比はアメリカにおいて
4.496( 1
960年) ,イギリス1.
9労
(1959年) ,フランス
4.296( 1
959年),西ドイツ
4.3 96( 1
959年)でイタリア1.
4%( 1
959年)である
2)表
1)以上のように工作機械製造業の機械製造業に I~î める量的地位はけっして高 いものではない。しかし工作機械は「機械をつくる機械」であり,全機械製 造業にその資本設備を供給するものとして,質的な而から位置づけられ,注
目されるべきものである
Oすなわち,アメリカの多量生産工作機械はアメリカの自動車製造業を
nuし,スイスの精密工作機械はスイス l 時計製造業の発展をもたらした。
このように工作機械は一国の産業基盤である機械製造業の生産性の向上 や,技術進歩に密接な関連を有するがゆえに,経済の発展・拡大とともに近 代産業のなかの基礎部門としての地位を与えられているのである
O2 工作機械製造業の現状
工作機械製造業は昭和
30年代からはじまる日本経済の肖度成長の過担にお いて大いに発展したが,昭和
48年末のオイルショックによっておこったわが 国経済の低成長経済への移行で大きな打撃をこうむった。
昭和
48年の年間受注額は
2592億円であったが,昭和
49年は
1900億円と大幅 ( 注 1) 通商産業省機械情報産業局編,
昭和
50年代の機械産業,通商産業訓査会,昭利
J50年 ,
p. 5.( 注 2) 産業構造調査会編,日本の産業椛造第 4 と さ , Jilll(~j 産業研究社,昭和 39年,
p. 95.
に減少し,さらに昭和
50年は
1546億円と,なんと昭和48 年の約
6割へと減少 した。
その後昭和
51年2197 億円,昭和
52年2
681億円と旧水準を回復し,さらに昭 和5
3年には3029 億円と史上初の3
000億円の大台を尖破し,工作機械製造業は
まさに好況下にある。(日本工作機械工業会6
8社調)
このようにオイノレショック後受注が約
6割と大幅に減少し,大手企業にも 経営不振に陥ったところが続出する状態にまでなったが,乙のように急激に 受注が回復しさらに伸長したのは, 自動車,家電,精密といった輸出産業が 円高対策でコスト低減に努め,関辿下請けを含めやむにやまれぬ生産段階で の合理化,省力化に乗り出してそのために設備投資需要が増加したためであ
る
O他方工作機械製造業各社は受注の減少に対処するため人員削減や一部では 工場売却などの減量経営を実行した。これがため乙乙数年間で業界全体の従 業員数はピーク時に比べ
209o以上減少した口
こうした中で前述のごとく予想
1以上のピッチで受注が増加したことから,
各社の利益もまた急速な向上を示した
8〉o乙のように工作機械製造業は現在好況下にある
oしかし工作機械製造業は 次に述べるような根本的問題点を有している
Oそこで工作機械製造業各社が 今後ともその存続を維持し成長・発展していくためにはそれら問題点につい て積極的に対処する必要がある。工作機械製造業の根本的問題点について考 察することにしよう。
日リ
' sr
且r
HU
題 占
H1 メーカの舌
L立
工作機械製造業の根本的問題点としてまずあげられるのはメーカーの乱立 による過当競争である
o工作機械製造業6
8社のシェアは昭和
45年70% ,昭和
50年7296 ,52 年7896 と上昇してきたが最近1
0年間7
096台にある
Oまた工作機
( 注
3)日刊工業新聞,昭和5
4年
3月
16日 。
械一機種あたりのメーカーが非常に多いのである。
たとえば
10社以上が手がけている機種をあげれば次のようである
o日本 工 作 機 械 工 業 会
111社調)
普 通 旋 盤
* 単 軸 自 動 旋 盤
* 多 軸 自 動 旋 盤 ひ ざ 形 フ ラ イ ス 円 筒 研 削 平 面 研 削 工 具 研 削 ホプ盤
* 単 能 専 用 機
* 複 合 専 用 機
* NC
旋 盤
NC
フライス マシニングセンター
とくに*印は20 社以上が手がけている機種である。
このように一機種当りのメーカー数が多く,工作機械製造業上位
5社 の 市 場 占 有 率 は20 数パーセントにすぎない。
工 作 機 械 製 造 業 に お い て は , 決 定 的 な 技 術 が な い こ と が こ の よ う に 一 機 種 当りのメーカー数を多くしているように思われる
o一機種あたりのメーカー数が多いため受注獲得の際に各社が競合し販売秩 序が混乱するなど適当競争になりがちである
o2 大手ユーザーの内作化
工作機械製造業界のもつ根本的問題点の第二は大手ユーザーの内作化およ び改造の増大である心。
大 手 ユ ー ザ ー は , ユ ー ザ ー と し て 工 作 機 械 を 長 い 間 使 用 し , そ こ で 得 た 笠
ぐ 注
4)工作機械マニュア
jレ,流通システム開発センター,昭和5
3年 ,
p. 36.宮な技術的知識を整理した形で持っており,どのような工作機械にすべきか がよく判っていると自負しているところも多い。しかも,自社の技術的知識 をベースに工作機械の内製化を行なっており,民業材料調査研究所の調査に よると,一般機械,輸送機械,電気機械の大手ユーザーでは,最近の
5年間 に設置された工作機械のうち
2096弱が自社製になっている
D米国では,ユーザーが
Jrtl:で工作機械を製作することはほとんどなく,メ ーカーが予め設定した仕様の中から,適宜,状況に応じて選択した仕様(広 い;意味での汎用機)の製品をメーカーより購入している
Oわが国の工作機械メーカーが今後より発展していくためには,米国での状 況を目指して,このような状況を逆転する必要があろう。
同じ産業材料調査研究所の調査によれば,大手ユーザーが自社製工作機械 を作る主たる理由は次のようである。
O
設備に対する要求がよく判っている。
O
工機部門の効率を高めるため口
。購入するより安くつく。
O
保守等に便利である
D上記要因のうち,工機部門の効率を高める以外は,工作機械メーカーと競 合上決まるものである。この事柄はメーカーに固有のノウハウ,パテントが 一般的に存在していないことを表わす
oかくして工作機械製造業各社は高品 質で低価格の製品をつくるべく新しいパテント,ノウハウを開発しなければ ならない。
3
発展途上国の追上げ
わが国工作機械製造業をおびやかすものとして発展途上国の追上げがあ る 。
発展途上国製品の競争力はその価格にある
o東南アジア,とくに台湾の工
作機械は,わが国のものと比べてかなり安い。昭和5
1年に台湾から輸入され
た普通旋盤(ベッド上の振りが
1000mm未満)の平均価格が 86 万 7 千円である
のに対して,わが国の昭和
51年,問機械における平均は
245万
3千円で,が
J%の価格になっている的。
このような発展途上国製品の価格競争力の強さは,労働賃金の低いことに よる。
これ程の価格差があっても現在まだ国産機が十分に対応できるのは,はっ きりした性能差があるからである
oしかし,台湾,韓国などにおける工作機械製作に対する技術進歩はめざ ましく,数年後には現在のわが国水準まで到達するであろうと言われてい る
o4
非切削加工の増大
前に述べたように日本における工作機械は狭義の切削加工機械を意味して いるが,外国では鍛圧機械を含む場合も多く,さらに広く解釈してダイキャ スト機,モー
jレディング機等を含めることもある
O加工技術の理想は目的とする機械あるいは部品を最も簡単に製作する乙と にあるので,切屑を出す加工技術は,徐々にではあるが切屑を出さない方向 に向いつつあることを常に念頭におく必要がある
o小型自動車のエンジンが精密なアノレミダイキャストで製作され, シリンダ やパノレブ のすべり部分には鋼製パイプを鋳ぐるみ,取付けボ
Jレト孔までキャ ストするようになると, トランスファーマシンもその切屑作業の大半がなく なり,軽く仕上切削をするのと,ねじ立ての程度になる
Dこのように加工技術の進歩はいわゆる工作機械の作業分野を徐々に浸蝕し ている
oただし,これら塑性加工機械を作るための機械としても工作機械が 不要になることはない。
以上工作機械製造業のもつ根本的問題点について考察してきたが,つぎに 個別企業の対応策について述べよう。
E 対 応
策
l 新技術の開発
現在わが国工作機械製造業は好況である
Dとくに数値制御
(Numerical( 注
5)工作機械マニュアノレ.
pp. 51""52.Control
,
NC)工作機械,およびマシニングセンター
(MachiningCenter~
MC)
の需要のや
+1びは著しい。
しかしこのような工作機械製造業には
Eで述べたような構造的,根本的問 題点が伏在している
Dこのような業界にあってその存続を維持し成長・発展
していくために個目
JIib:業としてなすべきことは新技術の開発である
D同業他社との過当競争(現在
NC,
MCなどの花形機種において特に競争 が激しく,適正価格の実現は難しいとされている)に打ち勝つためにも,ま た需要を先取りして大手ユーザーの内作化を防ぐためにも,さらに追い上げ の急な発展途上国製品と十分に対抗していくためにも,また非切削加工とい う他業界の進出に対応していくためにも工作機械製造業としては新技術を開 発することがなによりも主要である
O技術開発の方向としては次のものがある
6)。 ( イ ) 粘度の向上(計測技術の向上,機械の高剛性化) ( ロ ) 信籾性の向上
付能率の向上(操作性の向上,
マテリアルハンドリング及びローダの開発と標準化,
切屑処理方法の開発,
段取り持え対応技術の開発によるフレキシビリティ化,
アイドノレタイムの減少,
高馬力化)口
( ニ ) コストダウン(省資 ilJ~[, 機構簡素化の研究)。
( ホ ) 有力化(複合化,
周辺機器の開発,
ソフトウェアの開発,
メインテナンス・フリー)
0ト ) 安全性
( 注
6)工作機械白存,日本工作機械工業会,昭和5
1年 ,
pp. 112........115.( ト ) 無公害性(騒音の低減,
切削剤・研削剤の排水処理)
さて乙れら技術開発は,各企業においては技術開発部門を設けて短期的お よび中期的テーマを実行させている。大企業においてはさらに研究所を別に もち,長期的テーマをそこで受け持たせている
o各企業の研究投資額をみると,売上高の1.
0‑1 .
5%が多く,また研究部門 人員は全従業員のうち約
10%を占めている
oこの点においてわが国の他産業 また外国企業と比較して大きく劣っている
O企業を存続・成長させていくた めには新技術を開発することが絶対的に必要であり,そのためには各企業は 投資額を増額し,さらに専門技術者,研究者などの人員も増加させなければ ならない
o2 財務体質の改善
自己資本比率の国際比較を行なうと,四輪車,軽電気,自動車タイヤ,百 貨庖などの欧米に劣らない高い自己資本比率をもっ企業もあるが,一般にわ が国企業の自己資本比率は欧米に比べて平均では低い。すなわち,普通鋼,
総合化学の基礎資材部門や一般機械部門では,欧米に比べ水準は大きく劣っ ている。(表
2)工作機械製造業の自己資本比率は,昭和
30年代前半の高度成長期における 高収益とそれを背景とする増資とによって昭和
37年下期には
3396に達した が,その後次第に低下傾向にあり,昭和
49年下期には一般機械製造業の水準 を下回る
21%となって,昭和
49年のアメリカ工作機械製造業
10社の平均
41%(Moody's lndustrial Manual)
に比べ格差が著しい。
さて三菱総合研究所の調査によれば,自己資本比率の水準別に今後の企業 の経営目標をみると大きな追いがみられるというの。すなわち経営目標とし て
F量的拡大指向」をあげた企業の割合は,自己資本比率の大小とそれほど かかわりなく約
18%であるが
I新技術・新製品の開発」を今後の経営目標 としてあげた企業の割合は,全体の
2896であるが,自己資本比率が
1096未満
( 注
7)経企庁調整局編,安定成長下の企業体質の強化改善. f l H 和
52午.
p. 16表
2企業レベルの自己資本比率の国際比較(1
973年)
(%)業 種 │ 企 業 名 │ 企 業 : i E ¥ 業 名 四 輪 車 トヨ(タ
60自 工
.2 4) G.M. (61 .
91)フォ
Jレクスワーゲン
(30.48)軽
定屯烹Zba気 松 下
(4電
9.3器
5)ワー
jレプーノレ
(53.27)自動車タイヤ プリジストン
(37.24)グッドイヤー
(44.08)ダ ン ロ ッ プ
(41 .
43)百 貨 居 一
(45.7越
4)フェデラノレ・デ(ノマー
2ト ) マークス&スペンサー
58.7 (53.41)
総合電気機械 日 立 製
(27作
.1所
8) G.E. (44.40)ジ ー メ ン ス
(36.07)通 信 機 械 日 本
(2電 1 .
9気
9) I.T.T. (39.90)フ ィ リ ッ プ ス
(3917)一般産業機械 小 松 製
(20作
.6所
8)ハーベスター
(45.67)キ ャ タ ピ ラ ー
(5942)立日fz.
通 銅 新 日 本
(20製
.6鉄
2) u.s.スチー
Jレ アウグスト・ティッセン
(55.09) (23.57)カ メ
フキ ャ ノ ン
(38.69)ポ ラ ロ イ ド
(83.48)ツアイス・イーコン
(42.47)総 合 化 学 = 菱 ( 化 成
5)13.2
デ ュ ポ ン
(74.37) 1. C.1 .
(46.46)資料:通商産業省産業政策局「世界の企業の経営分析」
表 3 自己資本比率別今後の経営目標
(%)7711 的拡削諮問問│その吋数2品
と低い企業においてはわずか
12.5%であり,他方自己資本比率35% 以上と高 い企業においては
42.9%と前者の
4倍 弱 の 数 値 を 示 し て い る 表
3)かくして自己資本比率の改善は企業活動を活力あるものとすることが期待 される
Dわが国工作機械製造業各社は「新技術・新製品の開発」を進めなければな らないが,このような活力ある企業活動を行なうためにはまず自己資本比率 の改善に努力しなければならない。
当面,自己資本比率を21% から
30%にまで高めることを目標としなければ ならない。
3
生産性の向上
工作機械製造業各社は以上のように自己資本比率を向上することにより財 務体質を改善し,それを背景として新技術の開発を積極的に進めなければな らない。さらに標準化を推進し,直間比率を是正し, Z D ・Q Cなどの改善 運動を活発に実施してコストダウン,すなわち生産性の向上に努めなければ ならない口
① 設計の合理化と標準化
機械設計技術者は,一般に機械設計にその生きがいを見出し,一つの芸術 品を作り上げるという気持ちで自分の趣味に合った設計を行いがちである
oしたがって他の機種と比較した場合,非常に似かよった部品でわずかに寸法 の異なるものを設計することもしばしば生ずる。
機械を設計する場合,その部品点数ができる限り少ないことが望ましい。
このことは生産される全機種のトータノレで考えるべきで,機種間で部品をで きる限り共通化すべきである。設計技術者が異なっても類似部品をできる限 り共通部品にもって行くことが設計の合理化につながり,ひいては仕掛品の 減少にもつながる。
この対策としてグループ・テクノロジー
(GroupTechnology,
G T)の 導入は不可欠であり,そのための標準化を実施するように心がける必要があ
る 。
クツレープ・テクノロジーの導入は設計の合理化という利益をもたらすのみ ならず,乙れにより類似部品の効率的な生産が可能になるなど,生産活動の 面においても大きな利益が期待されるのである。
② 直間比率の是正
各国の直接工の従業員全体に対する比率をみると,アメリカ
75必 (1963年) ,西ドイツ
76%( 1
964年) ,イギリス
79必(1
954年) , フランス
8796 (1938年)これに対してわが国工作機械製造業
(27社)は
51.6'96(昭和
50年)と著しく低い。すなわち間接人員の比率が約50% と非常に高い。(表
4, 表
5)さて月間売上 l億円の場合の理想的人員構成すなわち理想的直接工比率は
61労(ただし
N C旋盤については
54%,大型機については75%) であるとい う(日本工作機械工業会調)口かくして当面の目標を60% として直間比率の 是正に努力すべきである
o表
6)③ 改善運動の徹底
V A (Value Analysis)
や
VE (Value Engineering)により資材賀,
工数の低減を図らなければない。
さらに工数の低減,在庫の圧縮を実現させるために
Q C,サークル活動や
ZD
運動など全従業員参加による職場の改善運動を活発に実施しなければな らない。
表
4職種別従業員構成比率 (単位:
%)f
職 種
(S5 536社
.9) (S5 410社
.9) (S4 485社
.9) (S2 570社
.9)間 喜
Z務 員
17.8 20.3 20.1 17.0技
b下 j 員
12.7 15.7 16.8 20.8接
問 接 工
15.6 13.3 12.7 10.4員 計
46.1 49.3 49.6 48.2直( 直 接 接 工貝 )
53.9 50.7 50.4 51 .
6従 業
民計
100.0 100.0 100.0 I資料:日本工作機械工業会「工作機械工業従業員構成比較」
表
5各国の直接工比率
国 男
IJ年 l 従 苧 数 │ 直 号 工 l t
%人
59,
611人
Iア メ カ
1963 79,
895 75西
ドイ
ツ 1964 28,
051 21,
285 76イ ギ ス
1954 89,
660 70,
513 79フ
フン ス
1938 7,
500 87資料:日本工作機械工業会「工作機械統計要覧
J43年
表
6月間売上
l億円の場合の理想的人員構成 (単位:必)
会 調 数査 社
直 接 人 員 間 接 人 員 合計 比直接 率 干 丑
機 械 州 電 気 1 r ト 鶴 │ 捕 手 当 管 理 l r │ 計 b
~%b
京)汎
機 用 ~ 旋 盤
4I
25 4 48 9 4 4 6 6 3 32 80 60│
フライス盤
5 27 5 3 1I
46 10 4 3 5 5 1I
28 74 62研 削 盤
4I
26 20 4 3I
53 5 6 5 1I
28 81 65大 形 機
I4 i 41 1 30 1 6 I 7 1 84 1 6 1 7 I 3 1 5 1 5 1 2 1 28 1112 ! 75i
専 用 機
1 3 1 29 1 32 i 6 1 3 ‑1 70 118 1 23 1 2 1 4 1 6 I 2 1 55 1125 1 56 INI N C 旋 盤
1 5 119 118 1 7 1 5 I 49 112 I 8 1 5 1 8 1 5 1 3 I 41 1 90 I 54 I品 z ラヴ
1 6 1 21 116 1 7 1 3 1 47 111 I 6 1 5 1 5 I 6 1 1 1 34 I…
i計 │ 延3
1126 1 20 1 5 I 4 155 110 I 8 I 4 I 6 1 5 1 2 1 35 I 90 161 I資料:日本工作機械工業会,
51年
6月調 注:直接その他=熱処理鍛造,板金塗装等
製造間接=資材・倉庫・運搬・生産技術・工程・品質管理等
む
す び
工 作 機 械 製 造 業 の 機 械 製 造 業 全 体 に 占 め る 量 的 地 位 は た と え ば 付 加 価 値 額
構成比1.
696とけっして高いものではないが, し か し 工 作 機 械 は 「 機 械 を つ
く る 機 械 」 で あ り , 全 機 械 製 造 業 に そ の 資 本 設 備 を 供 給 す る も の と し て , 質
的 な 面 か ら 位 置 づ け ら れ , 注 目 さ れ る べ き も の で あ る 。
この工作機械製造業は石油ショック後需要が約
4割減少するという深刻な 不況に落ちいったが,その後自動車,家電などの輸出産業において円高対策 のため合理化投資,省力化投資の需要が増大し,その結果工作機械製造業の 景気は急速に回復し昭和
53年の需要は過去の最高水準を突破し現在まさに好 況下にある
Oしかしこのように好調な状態にある工作機械製造業であるが,今回の不況 が示すように景気による変動が大きく収益が非常に不安定であり,さらに次 のような構造的,根本的問題点を有している
Oそれは6
8社のシェアが70% 台 にあり,また一機種あたりのメーカーが乱立しており適当競争であること,
さらに大手のユーザーにおいては王作機械をメーカーから購入せず内作化す る傾向があること,また発展途上国も技術水準を着実に向上させているこ と,さらに鍛造など非切削加工が今後増大すると見込まれることである
Oこれら工作機械製造業の根本的問題点に対処するために個別企業としては なによりもまず,工作機械の精度や信頼性や能率などを向上させなければな らない。すなわち新技術の開発が必要なのである
O新技術の開発を積極的に行なうためには,研究投資額や研究人員を増加さ せなければならない。さらにこのような積極的経営をする背景として,日己 資本比率すなわち財務体質を改善しなければならない。
また工作機械製造業各社はグループ・テクノロジーを導入して標準化を推 進し,直接工の比率(直間比率)を増大・させ,さらに
V A,
VE,
ZD,
QC