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(1)

博 士 論 文

グローバル化における日本医薬品企業の経営戦略 に関する一考察

平成

22

年

1

月

長崎大学大学院経済学研究科 経営意思決定専攻

宮崎 勝年

(2)

グローバル化における日本医薬品企業の経営戦略 に関する一考察

宮崎 勝年

(3)

グローバル化における日本医薬品企業の経営戦略に関する一考察

宮崎 勝年

目 次

序論 本研究の目的と構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

第

1

章 グローバル化と日本医薬品企業・・・・・・・・・・・・・・・ 4 第

1

節 グローバル化と日本医薬品企業 ・・・・・・・・・・・・・ 4 第

2

節 医薬品グローバル市場の特質・・・・・・・・・・・・・・・15

第

2

章 日本医薬品産業の特質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 第

1

節 「医薬品」の製品としての特質・・・・・・・・・・・・・・19 第

2

節 医薬品研究開発プロセスの特質・・・・・・・・・・・・・・26 第

3

節 日本医薬品産業の特質・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

第

3

章 日本医薬品企業におけるグローバル化の戦略パターン・・・・・37 第

1

節 「医薬品産業ビジョン」から見る日本医薬品企業戦略・・・・37 第

2

節 日本医薬品企業のグローバル化に関する事例研究・・・・・・44

(

1

)武田薬品工業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44

(

2

)萬有製薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58

(

3

)中外製薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67

第

4

章 日本医薬品企業の経営戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・74 第

1

節 日本医薬品企業のグローバル戦略・・・・・・・・・・・・・74 第

2

節 日本医薬品企業の選択肢・・・・・・・・・・・・・・・・・85 第

5

章 本研究の結論と今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・97

参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99

付録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110

(4)

序論 本研究の目的と構成

まず本研究の分析対象を明確にしておく。医薬品には大きく分けて医療用医薬品と一般 用医薬品とがある。これらは研究開発の方法、販売の方法は大きく異なっており、全く違 う事業ドメインである。

本研究は、前者の医療用医薬品を分析対象においたものである。医療用医薬品とは医師 によって使用され、医師が出す処方箋もしくは指示によって患者が使用する医薬品であり、

病院、診療所を介してしか購入できないものである。一方、一般用医薬品は消費者が自分 の判断にて薬局等で購入できるものである。厚生労働省「薬事工業生産動態統計」による と、

2005

年の日本医薬品市場は全体で

7

兆

5635

億、その内、

6

兆

9030

億が医療用医薬品 である。実に

90%近くを医療用医薬品が占めており、本研究も医療用医薬品を分析対象に

進めて行く。

世界の医薬品市場は

2005

年で約

60

兆円の市場規模であり、 そのシェアはアメリカ

44%、

日本

11%、欧州29%、その他16%となっており、単独の国ベースで言えば日本は世界第2

位の市場規模となっている。

図

1-1 世界の医薬品市場規模

2,524億ドル 3,332億ドル 6,014億ドル

1994年

Japan 21%

Europe 27%

Rest of World

18%

N.A merica 34%

1998年

Japan 16%

Europe 26%

Rest of World

16%

N.A merica 42%

2005年

Japan 11%

Europe 29%

Rest of World

16%

N.America 44%

出所:厚生労働省医政局経済課監修『創薬の未来』2007 年、p.130 より

しかし、日本医薬品市場は世界第2位の市場であるが、厚生労働省の試算によると

2005

年度に

33

兆円とされる国民医療費は、制度改革を行った後でも

2025

年に

56

兆円まで達す ると予測され、医療費は年々膨張して行く事が想定されている

1)

。日本政府は、病気がちな 高齢者が増加する中で医療費は増加の一途を辿り、国としても医療費を抑制して財政の逼 迫度合いを緩和しなければならない状況から、医療費抑制政策を推進しなければならない。

1

) 厚生労働省「医療給付の将来見通し」http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken02/01.html

(5)

具体的には、医療に対する薬剤使用の比率を下げる方策(公的保険によるDPC

2)

の普及)、

先発医薬品が特許の切れた後発品医薬品

3)

に切り替える方策や患者さんに処方される医薬 品を保険償還時に少数しか認めない方策、また今まで公的保険で認めていた医薬品を一般 用医薬品に移行させて公的保険の請求を軽減するなどの方策を実施している。また平成

19

年度「高齢社会白書」によると、今後の日本の総人口は長期の人口減少過程に入り、

2025

年に人口

1

億

2,000

万人を下回った後も減少を続け、2046 年に

1

億人を割って

9,938

万人 となり、2055 年には

8,993

万人になると推計されている

4)

。以上のように長期的には日本 医薬品市場は拡大よりも縮小方向に向かっている。

さらに政府は

2007

年の「骨太方針」で後発医薬品の比率を

3

割とする目標を掲げている ため、具体的に厚生労働省は、

2013

年度までに全国

145

ヶ所の国立病院で使用する後発医 薬品の比率を数量ベースで現在の

2

倍以上に引き上げる方針を決めている。比較的規模が 大きい国立病院での使用例を示し、患者や医師に根強い後発医薬品への品質に対する抵抗 感を和らげ、低価格の後発医薬品の普及を促し、医療費抑制に繋げる狙いがある。この後 発医薬品への切り替えは、日本医薬品企業の収益に大きく影響する

5)

。加えて、近年日本医 薬品市場における欧米医薬品企業のシェア拡大により、日本医薬品企業が獲得できる市場 シェアは小さくなってきている。

日本医薬品市場は、医薬品研究開発、製造に医薬品企業全体が共通する規制に加え、従 来は医薬品卸などの流通も国内の医薬品企業別の系列に色分けされており、欧米医薬品企 業または国内の異業種(食品、化学など)企業も参入しにくい特質を成していた。そのた め欧米医薬品企業が海外で画期的な新薬を開発しても、そのほとんどが日本医薬品企業と の合弁販売会社を作る、又は販売委託の形で契約しない限り、日本市場には参入できなか った。

そのため欧米医薬品企業の中でもファイザーやアストラゼネカは、前述した日本医薬品 市場の特質に対応して、古くから日本市場に取り組み、地道に売上げを上げて、確固たる 基盤を構築している企業もある。また米メルク社のように萬有製薬を

100%子会社として日

本市場に取り組んでいるケースもあり、その取り組み方は様々である。

ところで従来の欧米医薬品企業は、

M&A

による規模の拡大によって成り立ってきた側面 がある。しかし、従来の欧米医薬品企業のビジネスモデルが成功を続けるには、ブロック バスターと呼ばれる大型新薬を絶えず開発、発売する事が前提条件であるが、医薬品の研 究開発のリスクは高く、世界的に新薬候補品が枯渇しつつある。

さらに、医薬品の研究開発は

10

年以上の長期間を要し、1つの医薬品に多額のコストが かかり、新薬を投入するためには継続的に研究開発ができるだけの規模とコストを吸収で

2) DPC:DPC

とは、Diagnosis Procedure Combination の略で、従来の診療行為ごとに計算する「出来高払い」方式

とは異なり、入院患者の病名や症状をもとに手術などの診療行為の有無に応じて、厚生労働省が定めた

1

日当たりの診 断群分類点数をもとに医療費 を計算する新しい定額払いの会計方式

3)

後発医薬品:特許期間が消失した際に発売される医薬品

4

)www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2007/zenbun/html/j1112000.html

5

)日本経済新聞 2009 年 3 月 26 日

(6)

きるだけの企業体力が必要とされてきた。日本医薬品産業と米国医薬品産業の売上高研究 開発比率を比較検討すると日本医薬品企業1社当たりは

2006

年で

14.8%、米国企業1社当

たりは

16.2%

とさほど変わりはないが、金額で見れば日本企業1社あたり

858

億、米国企 業1社あたり

4069

億と

5

倍程度の開きがある

6)

。このように研究開発の規模においても日 本医薬品企業と欧米医薬品企業では企業体力が大きく違い、その結果として生み出される 医薬品の数においても海外から日本市場に導入されている数が増加し、欧米医薬品企業の 日本医薬品市場におけるプレゼンスが高まってきた要因の1つとされている

7)

。

今後、日本医薬品市場が規制緩和を受けて、日本医薬品市場がグローバル市場の一部に なって行く可能性を考えると、日本医薬品市場における欧米医薬品企業のプレゼンスの上 昇を踏まえ、今後日本医薬品企業が成長、存続するために国内だけに留まるのか、海外展 開を拡大して行くのか、その経営戦略が求められる。

本研究は、日本医薬品企業が、どのようにして経営戦略を立てて行動すべきかについて 考察する事が大きなテーマである。

欧米医薬品企業のビジネスモデルを全面的に取り入れるという戦略も1つの選択肢とし てはとしては考えられる。しかし、第

3

章で示すように

2005

年度の世界医薬品企業の売上 高(規模と業績)で見ると、日本最大手の医薬品企業である武田薬品工業でも

17

位であり、

欧米医薬品企業のように規模を追求したとしても相当の時間と費用、加えて新薬開発費用 をかけなければならないため、大きなリスクを抱え込む事も想定しなければならない。

本研究は、以上のような状況を踏まえ、第1章において日本医薬品企業についての現状 と分析を行い、第2章で日本医薬品市場の特質や日本医薬品企業の特質、医薬品の製品と しての特質について検討を加えた。

さらに第3章では、厚生労働省の「医薬品産業ビジョン」を踏まえ、グローバル化に対 する活動の方向性を見出すため、日本医薬品企業の中でグローバル化に積極的な企業を取 り上げてケーススタディを行い、その傾向を導き出し、日本医薬品企業のグローバル化に おける選択可能な経営戦略を明確にする。

第4章では、前章からの日本医薬品市場におけるグローバル化と医薬品産業の特質につ いての分析、それに加え代表的な日本医薬品企業の3社のケーススタディを踏まえ、日本 医薬品企業のグローバル化における経営戦略の選択肢を提示するために、競争戦略と提携 戦略について定義し、その先行研究とそのフレームワークを確認し、日本医薬品企業の経 営戦略の選択肢を考察する。

第5章では、本研究の要約に加え、今後の課題を示し、日本医薬品企業グローバル戦略 を示して行く。

6)

日本製薬工業協会[2008]、pp.36-72

7)

吉森 [2007]、p.270

(7)

第1章 グローバル化と日本医薬品企業

第1節 グローバル化と日本医薬品企業

医薬品の創製は、科学技術の急速な進歩によって、多くの病気の克服、寿命の延長に始 まる大きな恩恵をもたらし、加えて交通手段や

IT

の急速な発達を背景として、グローバル 化が進展した事によって、さらに世界中に恩恵をもたらしている。

グローバル化の一般的な定義は、「ヒト、モノ、カネ、そして情報の国境を越えた移動が 地球的規模で盛んになり、政治的、経済的、あるいは文化的な境界線、障壁がボーダレス 化する事によって、社会の同質化と多様化が同時に進行すること

1)

」であり、また佐和[2001]

は「グローバリゼーションとは、単に経済にのみかかわる現象ではなく、政治、技術、文 化など、人間社会のあらゆる側面において同時進行しつつある、地球規模での均質化へ向 けての過程を意味する。グローバリゼーションが極限まですすむか否か、いいかえれば、

地球規模での均質化が実現するか否か、そしてまた均質化が必要なのか否かについては、

意見の分かれるところであろう。しかし、プロセスとしてのグローバリゼーションの進行 は、それを食い止めようと、いくらあがいてみても仕方のない、不可逆的な現象なのであ る

2)

」と指摘している。

グローバル市場でボーダレス化が進行して行く

21

世紀においては、医薬品産業を含めた ライフサイエンス分野を、各先進国で経済発展の牽引分野の1つと位置づけ、国家戦略と して取り組みを強化している。科学技術は経済成長をもたらす重要なものであり、公的資 金の政策的投入や企業の研究開発投資の増大、研究支援を推進する制度改革が各国で進ん でいる。

日本企業でもグローバル企業の場合は、電機、自動車産業に代表されるように地球全体 を市場とし、それを1つの単位として捉え、世界中に製造、販売、調達、研究開発拠点な どを設置し、経営活動を行っている。医薬品産業においても、他産業に比べて高い研究開 発リスクと人体に直接影響があるために、承認に至るまでに様々な規制を多く抱えていな がらも、世界各国での最先端の研究成果をいかに効率よく利用し、スピードを上げて医薬 品開発を行い、世界各国で販売活動を拡大展開し、収益の最大化を図って行くかが重要で ある。

実際に世界の売上高の上位企業にある医薬品企業の全てがグローバルに研究開発や販売 等の事業活動を展開しており、すでに新薬の世界同時開発・販売が主流になってきている。

このような状況において、欧米医薬品市場のみならず、新興国である東ヨーロッパやアジ ア等を含めた国際共同治験

3)

が世界規模で進んでいる。

八木・大久保[2008]は、国際共同治験の新興国における実施が進んできた要因について

3

1

)『経済辞典第3版』有斐閣 1998 年p.280

2

) 佐和[2001]、pp.190-191

3)

国際共同治験:1つの試験を行う上において、実施国の数が2つ以上で行われている試験

(8)

つの点を指摘している。第1に被験者の確保である。開発競争が激化し、治験に必要な被 験者数が増加する中、アメリカなどの治験先進国においては、治験に必要な被験者を短期 間で集める事が容易ではなくなってきている。そのため、新興国で多くの被験者を確保す る必要性が高まっている。第2に開発コストの軽減である。先進国に比べて相対的に開発 コストの低い新興国での治験を増加させる事は、開発コスト全体の軽減に対して効果的な 手段の1つとして考えられる。第3に新興国としての市場性の位置づけの向上が考えられ る

4)

。

他方、こうした急速なグローバル化の時代の中で、世界各国でイノベーションの重要性 への認識が高まってきており、産業の国際競争力を高めて行く上で、研究開発の成果を速 やかに国内外の市場へ届け、経済的、社会的価値への転換につなげるため、発明、技術革 新、基礎研究の成果の実用化等のプロセスにおいても

ISO、ICS

に代表されるような国際 的ルールの統一の形成も必要である。

以上のような背景から、自動車、電機を始めとしたグローバル企業と同様に日本医薬品 企業のグローバル化は避けられない状況にあり、この節では日本医薬品企業のグローバル 化について、第1に「規制緩和から見たグローバル化」、第2に「日本医薬品市場における 外資系医薬品企業のプレゼンス上昇からみたグローバル化」、第3に日本医薬品企業の「海 外売上比率から見たグローバル化」という3点から、日本医薬品市場に大きな変化が伴い、

日本医薬品企業がグローバル市場において活動を展開しなければならない必要性について 考察して行く。

まず第1に「規制緩和から見たグローバル化」について考察する。一般に日本市場全体 の特質を考える上で、藤野[2000]は

90

年代に急速に拡大している外国企業の対日投資を「価 格破壊=低価格志向型」 、「規制緩和=新市場対応型」、「リストラ支援=グローバル戦略型」

という3つの類型で捉え、特に「規制緩和=新市場対応型」において、従来規制などのた めに新たな進出が難しかった事業分野において規制緩和が進んだ結果、新たな市場機会が 一気に出現するため、チャンスに積極的に対応しようとする企業が国内外から参入してい る

5)

」ことを指摘している。

長銀総研調査[1994]によれば、 「外資系企業にとって対日投資が困難な理由として①30 年 以上にわたる様々な外資参入規制②株式持ち合いなどを背景にした売上げ成長志向・低利 益許容の競争環境③系列取引等の長期継続的な日本的商慣行④地価・税率・採用等の事業 運営上の高コスト⑤外国企業側の戦略⑥外国企業側の努力不足

6)

」の6つの理由を挙げてお り、日本市場が規制、独特の商慣行で守られてきた点を指摘している。

次に日本市場の障壁構造について、ツィンコータ/ウオロノフの主張に基づいて、その特 質を考察して行く。日本の市場を輸入障壁の観点から見た場合、 「

70

年代当時日本は、同じ 経済水準にある他国に比べて、製品輸入の割合が少なく、総輸入額に占める製品輸入の割

4

) 八木/大久保[2008]、p.1

5

) 藤野[2000]、p.158

6

)長銀総合研究所[1994]、p.19

(9)

合は、1979 年にはわずか

26%にすぎなかった。これに対しアメリカではその割合は58%

であり、

EC

諸国では

62

%であった。同時に日本では国内総生産(

GDP

)に対する製品輸 入の割合はわずか

2

%程度であったが、それはアメリカの水準の半分にしかすぎなかった。

このような数字は過去数十年間にわたって一定の水準のままに維持され、そしてまた製品 輸入が他の先進諸国に比べて低水準にあり、外国とは異なる特徴があった

7)

」と指摘されて いる。

さらに割合については、 「消費財の割合がわずか

20

%以下であるに過ぎず、他の製品の大 部分は、資本財か中間財であり日本が独自の最終製品や機械類を生産するのに用いられる 製品であった

8)

」と指摘している。

また通常の障壁は関税や輸入割当であり、 「

1960

年代中頃において、実施されていた日本 の関税率は

21

%もの高さに達しており、これは他の先進諸国と比較した場合、その当時で はかなり高い水準であり、輸入制限品目の数もかなり残存し、工業製品では

50

品目、農産 物では

60

品目が制限品目

9)

」とされていた。また関税や輸入割当の背後には、非関税障壁 が存在し、もっとも防御的な観点に立つ非関税障壁は、製品の安全性ならびに人体への健 康の安全性に関するものであり、それらは食品と医薬品の分野で特に厳しいものであった。

例えば、「当時新しい医薬品が海外から日本において承認される場合、輸入されるために は、外国で評価、承認されたものであるにも関わらず、再度の臨床テストを日本にて実施 するだけでなく、事前の非臨床試験を反復して実施すること

10)

」が必要であった。

つまり外国企業にとっては、自国の国家機関によってすでに証明されたテストでは承認 されないために、テストのための手続きを、もう1度最初からやり直さなければならなか ったのである。さらにテストは「商品が到着した後で、日本の国内で行う必要があり、ま た認可の証明書は、通常日本の代理店に与えられ、外国の製造業者に与えられなかった。

もし代理店を変更した場合には、その製造業者は、検査のための手続きをすべてもう1度 実施しなければならなかった

11)

」としている。

加えてポ-ター、竹内[2000]は日本市場・産業において国際競争力の観点から、その持 続性に疑問がある事を指摘している。

グローバル市場において日本の国際競争力の特質は、第1にその競争力を持つ産業の数 が比較的少数であった事であり、第2に日本が競争力を有する産業においても、日本企業 の収益率が国際水準よりも慢性的に低かった事であり、第3に日本国内における産業別の 生産性に大きな格差がある事であり、国際競争力に富んだ日本(家電製品、自動車等)と 競争力に欠ける日本(農業、化学、日用品、医療製品、ソフトウェア等の製造業とサービ ス産業全般)の2つの日本の要素を示し、その格差を指摘している

12)

。

7

)ツィンコータ/ウオロノフ[1989]、p.6

8

)ツィンコータ/ウオロノフ[1989]、p.7

9)

ツィンコータ/ウオロノフ[1989]、pp.8-9

10) ツィンコータ/ウオロノフ[1989]、p.8

11) ツィンコータ/ウオロノフ[1989 、p.11

]

12)

ポーター/竹内[2000]、pp.8-14

(10)

さらに日本企業は「輸出できる程の競争力をつけるまでは幼稚産業として保護する必要 があるという名目の下に、貿易障壁やその他競争を抑制するような様々な規制によって守 られてきた。実際には、これらの産業は永久に競争力をつけることはなく、今でもその多 くは保護されたままである

13)

」と指摘している。

ポ-ター/竹内は、「競争力のない産業は、総じて非効率である一方、多数の雇用を生み 出し、一種の社会保障制度としての役割を果たしてきた。様々な政府の政策や介入によっ て保護されているために、これらの産業ではこれまで企業の統廃合やリストラクチャリン グなどが起こらなかった。このような競争力のある日本とない日本の2つが存在してきた 事の帰結は、極端に高い生活コストである。いくつかの製品やサービスの価格水準を日本 と英国、米国間で比較すると、日本の価格水準があらゆる面で、非常に高いことを示して いる。唯一の例外は、医療分野であり、この産業は政府の規制によってコストが抑えられ ている一方、サービスの向上、治療方法のイノベーション、新薬の開発といった面では遅 れている

14)

」としている。

宮内[2001]は、日本とアメリカを規制の面から比較し、 「

70

年代から始まったアメリカの 規制撤廃は、規制産業の生産額で

GNP

に占める比率を

1988

年までに

6.6%

まで低下させ、

それまで

17%

だった規制比率を押し下げた。他方日本では、

90

年代に入ってから漸く規制 緩和を進めてきたが、依然として護送船団方式が大きな勢力を保ち、日本の規制比率は

1995

年時点で

34.1%、2000

年時点でも

33.4%となっており、アメリカと比べて大きな違いがあ

る

15)

。この護送船団方式はユーザーや消費者が求めていない商品やサービスしか作り出せ ない企業でも、外からの競争を排除し、高い価格を認めることによって存続させなければ ならない。そのため、創意工夫のない商品が存在したままで、かつ価格が高止まり、その コストを負担しているのはユーザーや消費者になる。この護送船団方式によって、競争が 発生せず、イノベーションが起こらなくなると述べ、中でも金融業と医療分野はより統制 色の強い事業分野

16)

」であると指摘している。

以上のように、日本市場そのものにおいて国際競争力がない産業は規制が強く、閉鎖的 な市場であるという特質があった。

次に日本医薬品産業について考察する。医薬品産業では「医薬品」という他の製品に比 べ、規制が強い製品特質を持っており、上記に指摘した日本市場における商慣行に加え、

医薬品製造販売承認を得るためには各国の医薬品承認基準に合わせた試験が行わなければ ならなかった。そのため莫大な費用がかかる治験

17)

を幾度も行わなければならない事から、

迅速な新薬普及の観点からも医薬品承認審査の基準の調和が求められてきた。

こうした背景から

1991

年に日・米・欧の薬務当局と業界団体による官民共同の会議がス

13)

ポーター/竹内[2000]、pp.8-14

14)

ポーター/竹内[2000]、p.13

15)

宮内[2001]、pp.22-23

16)

宮内[2001]、p.62

17)

治験:医薬品は、動物実験や臨床試験を行い、有効性や安全性を確認した上で厚生労働大臣に製造販売承認の申請を

行うが、この製造(または輸入)承認申請に必要な臨床試験を治験と称し、薬事法に定められている。

(11)

タートし、1993 年より日米欧の三極による

ICH(日米欧医薬品規制調和国際会議:

International Conference on Harmonization of Pharmaceuticals for Human Use

)

18)

によ り、医薬品の品質、安全性、有効性についてのガイドラインが作られ、日本では

1997

年

4

月から改正薬事法により、 「医薬品の臨床試験の実施基準:

GCP

」が法制化され、

1998

年

4

月より本格的な実施となった。この事により承認審査に関する基準の統一化が図られ、海 外で実施した治験データを一部活用する等の進展が見られた。

その代表的な例として「バイアグラ」のケースが挙げられる。バイアグラはアメリカ市 場で

1998

年

4

月に発売されたが、遅れる事わずか

1

年あまりの短期間で日本でも発売が可 能になった。この事は、ICH 以前の医薬品は各国の承認基準に合わせた試験が行わなけれ ばならなかったが、主要国間での臨床データの相互活用が日本でも本格的に利用される事 になり、日本医薬品市場にとって画期的な出来事であった。

ICH

によって、図

1-1のように日本は市場規模では世界第2位ながら、今までその市場

の閉鎖性と厳格な薬価制度を持つ市場であったが、アメリカ、ヨーロッパに加え、日本で も医薬品の同時承認申請の体制ができつつあり、日本医薬品市場もグローバル市場の一部 に取り込まれる基盤が作り上げられた。

また

2007

年6月「規制改革推進のための3カ年計画」が閣議決定された。この計画にお ける医薬品の規制改革については、国際共同治験(日本のみならず他の国々で共同の臨床 試験を行う事)をより活用する方針が示された。すでにICHの指針を踏まえたGCP等を遵 守して収集・作成された外国の臨床試験のデータは、国際共同治験も含めて日本における 承認審査資料として受け入れている。この計画は、日本の医薬品の開発・承認をさらに促 進するために治験データの受け入れ基準を明確にするなど、治験が早期かつ効率的に行わ れるシステムの構築を行うよう促している。この国際共同治験は世界で同時に治験を実施 するもので、新薬の承認・発売を早める事ができ、世界における日本の医薬品産業の競争 力に繋がるものである

19)

。

さらにこの計画では、欧米諸国で承認された医薬品について、日本での迅速な承認を促 進する事も示された。現在、欧米で標準的に使用されていながら、日本では承認されてい ない医薬品も多く、迅速に日本の国民に提供できる様、今後専門家の意見を聞きながら、

医療上の必要性が高いものを対象に、必要な治験を早期に実施するよう指導するとともに、

優先的な承認審査などを行う事としている

20)

。

また日本医薬品市場の独自の規制の1つに「薬価基準制度」がある。この薬価基準制度 は他の先進国と比べて特徴的であり、この事が欧米医薬品企業の参入障壁の1つと指摘さ

18) ICH:医薬品規制に関する世界共通のガイドライン作りを目指して活動する国際会議。新薬の許認可の基準は国によ

って異なるため、共通のガイドラインを定める事によって、国際間の調和を進めデータの相互受け入れを行う事を目的 に

1990

年

4

月に発足。これまでに

50

以上のガイドラインが合意され、各国で実施に移されている。構成メンバーは、

日米

EU

三極の医薬品規制当局と産業側の

6

つの団体、またオブザーバーとして

WHO,EFTA

(欧州自由貿易連合)、カ ナダ保健省が加わっており、事務局を

IFPMA(国際製薬団体連合会)に置いている。

19)

日本製薬工業協会[2008]、p.40

20)

日本製薬工業協会[2008]、p.40

(12)

れてきた。日本の薬価算定が公定価格であるのに対し、アメリカ、イギリス、ドイツでは 新薬の価格設定は原則として医薬品企業が自由に価格を決められる自由価格制度となって いる。

現在の日本の方式では、新たに承認された新薬の薬価は「類似薬効比較方式」、「原価計 算方式」と呼ばれる方式で算定される。特に「類似薬効比較方式」では、すでに薬価基準 に収載されている医薬品の中から、効能・効果、薬理作用、組成・化学構造式、投与形態、

剤形区分、剤形・用法などから見て新薬ともっとも類似したものを比較薬として選び、1 日あたりに使用する薬剤の価格比較する事によって算定され、臨床試験のデータに基づく 画期性、有用性(有効性と安全性) 、市場性により加算されて行く方式である。

外国ですでに販売されている医薬品については、「算定された価格が外国の価格(アメリ カ、イギリス、ドイツ、フランス)の平均の

1.5

倍を越える場合、または

0.75

倍未満の場 合は、算定された価格と外国平均価格を用いて調整される。この結果、日本の新薬の価格 は、外国価格に比べて低いものが多くなる傾向にあると言われており、その結果、価格を 自由に決められないことと相まって医薬品企業の新薬開発意欲を損なうことになる

21)

」と も指摘されている。

医薬品業界関係者と厚生労働省の間で「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」において 薬価基準制度の改革の議論も行われている。厚生労働省は

2007

年8月に「新医薬品産業ビ ジョン」を策定し、さらにその具体化に向けて、革新的医薬品・医療機器創出のための5 ヶ年戦略を踏まえアクションプランを取りまとめた。

このプランでは薬価制度、薬剤給付の今後のあり方について厚生労働省は「海外で我が 国よりも高い薬価が期待できる医薬品については、海外で先に上市(筆者注:製品を市場 に投入することを表す業界用語)した方が薬価算定に有利であり、国内先行開発に不利な 算定方式になっており、イノベーションを適切に評価し、国際的に競争力のある市場とし、

同時に医療保険財政の持続可能性を確保していくためには、特許期間中にリスクとイノベ ーションに見合うリターンが得られ、かつ特許期間満了後は再審査期間を経た上で、後発 医薬品に着実に置き換わるという仕組みに向けた検討が必要である

22)

」と指摘している。

現行制度の下では、特許が切れた新薬でも薬価は時間をかけてゆっくりと価格が下がっ て行くために、日本医薬品企業の日本市場での経営基盤が一気に揺らぐ事はなく、競合医 薬品が出たとしても、医師との人間関係の強さなどによって市場支配力が強くなれば、医 薬品そのものの競争以外の要素が働くため、日本医薬品企業は当分の間、十分な利益が確 保できる状況にあり、その結果、他国に比べ後発品市場が未発達であった事も日本医薬品 企業の利益水準を保つ事に寄与してきた。

しかし新薬価制度になると、新薬価格決定制度の面でも海外の医薬品市場とほぼ同じ条 件が整うことになり、日本医薬品市場のグローバル化への推進が大きく進展する事になる。

21)

日本製薬工業協会[2008]、p.27

22)

厚生労働省医政局経済課[2007]、p.64

(13)

また医薬品製造の側面でも、欧米の基準に統一される状況にある。医薬品の品質を確保 するためには、原料の受け入れから最終製品の包装、出荷にいたるまで、十分な管理のも とで作業が行われなければならない。国内では薬事法に基づく「医薬品の製造管理及び品 質に関する規則」と「薬局等構造設備規則」が定められており、これらを指して

GMP

(

Good Manufacturing Practice)と呼ばれている。特に「医薬品の製造管理及び品質に関する規

則」は

1994

年

4

月以降、メーカーの遵守事項から許可要件に変更されており、万が一、製 造管理や品質管理に不備があれば業務停止を命じられる。

日本国内で製造した医薬品を欧米へ輸出する場合にも、国内工場について欧米の薬務当 局 に よ る 査 察 を 受 け な け れ ば な ら な い 。 ア メ リ カ に は

CGMP

(

Current Good Manufacturing Practice)と呼ばれ、世界で最も厳しいとされる生産管理基準が存在して

おり、冒頭で述べたjavascript:comment('../keyword/ich' , 'ich' , 4 )ICHで原薬の製造に関す る「医薬品の製造管理及び品質に関する規則」の統一を目指して協議が進んでおり、医薬 品の製造分野にもグローバル化の波が押し寄せようとしている

23)

。

以上のように、規制緩和が進展してくると、海外において承認されている医薬品が以前 と比べ日本市場に容易に導入しやすくなり、日本医薬品市場で欧米医薬品企業のプレゼン スが上昇している大きな要因となっている事が考えられる。

第2に日本市場における「欧米系医薬品企業のプレゼンス上昇からみたグローバル化」

の進展について確認する。前述のグローバル化の大きな要因として挙げた規制緩和の点に 加え、日本医薬品市場そのものが革新性のない新薬開発体質を歴史的に抱えていたことが もう1つの大きなポイントである。

戦後、欧米からの製品輸入や技術導入によってスタートした日本の医薬品企業は、1970 年代あたりから独自の開発力を高め、いまや海外で売上げ上位に入る医薬品も生み出して きている。さらにICH javascript:comment('../keyword/ich' , 'ich' , 4 )による規制緩和で、

各国の医薬品企業と同様に海外展開に積極的に取り組みはじめている。

一方で、図

1-1

に示したように日本医薬品市場は、アメリカに次いで世界第

2

位の規模 を持つだけに、欧米医薬品企業の進出も盛んになってきている。

欧米医薬品企業の進出当初は日本医薬品企業と販売提携する形が一般的だった。日本の 医薬品市場は、研究開発規制に加え、以前は医薬品卸などの流通も日本医薬品企業系列に 色分けされており、外資系または日本国内の異業種(食品、化学など)企業は参入しにく かった。そのため欧米医薬品企業が海外で画期的な新薬を開発しても、そのほとんどが日 本の医薬品企業との合弁販売会社を作るか、又販売委託の形で契約しない限り、日本医薬 品市場には参入できなかった。また「1951 年~1960 年当時は日本の医薬品製造は製造法特 許制度を採用していたため、同じ新薬でも製造法が異なる特許を日本で取得すれば、製造 販売することができ、このことが日本医薬品産業から画期的な医薬品ではなく、類似医薬

23) http://www.seiyaku-navi.jp/tenbou/tenbou09.html

(14)

品が続出した原因ともなり、また多くの特許係争裁判も起こった

24)

」と述べられている。

医薬品特許権の問題は「日本では製造法のみが特許として認められる制度(製造法特許 制度)によって日本医薬品産業は外国からの模倣であるとの指摘から、1976 年に新薬の物 質そのものが特許として認められる物質特許制度が施行されたため、この頃になり日本の 医薬品企業の研究開発が活発になってきたという歴史的背景がある

25)

」と指摘されている。

欧米医薬品企業は次第に自社での販売力を整え、完全自販体制に移行する企業が増加し、

図

1-2

に示すように、欧米医薬品企業の日本国内での売上高のシェアはすでに

30

%程度に 達しており、今後、

javascript:comment('../keyword/ich' , 'ich' , 4 )ICHの合意がさらに進展

し、海外の臨床データがより利用できるようになれば、

40

%以上になるとも予想されてい る

26)

。

図

1-2 外資系企業の出荷金額の推移

5,201,578 5,147,037 5,316,683 5,380,674

5,747,667 5,652,621 5,699,119 5,516,845

6,031,303 5,868,638

6,338,697 6,410,737 6,520,581 6,617,437 6,903,045

965,417 1,029,071 1,054,768 1,077,664 1,164,058 1,161,408 1,239,534 1,322,789

1,540,548 1,501,208

1,793,590 1,976,302

2,174,298 2,161,708 2,034,224 18.6

20.0 19.8 20.0 20.3 20.5

21.7 24.0

25.5 25.6

28.3 30.8

33.3 32.7

29.5

- 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年)

金額(百万円)

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 構成比率(%)

総出荷額(A)A 外資系企業出荷額(B)B 構成比(B/A)B/A

出所:厚生労働省「新医薬品産業ビジョン」2007 年資料編 、p.11 より

表

1-1

に示すように日本医薬品市場における医薬品売上高を

2000

年と

2005

年を比較す ると日本国内の医薬品市場のトップは武田薬品工業で、次いでアステラス製薬が2位にラ ンクインしているが、欧米医薬品企業がより上位に進出し、そのプレゼンスが高まってき ている事が明らかである。

また表

1-3

に示すように日本国内市場の伸びが鈍化する中で海外部門の業績が上昇して いる企業が好調に推移しているほか、欧米医薬品企業、後発品医薬品企業の躍進が目立っ ている。このうち欧米医薬品企業については、上位

20

社までに

6

社が、中でも第

3

位にフ

24) 日本薬史学会[1995]、p.110

25)

日本薬史学会[1995]、p.17

26) http://www.seiyaku-navi.jp/tenbou/tenbou07.html

(15)

ァイザー、第

5

位に中外製薬(ロシュグループ)、第

8

位にノバルティス ファーマの

3

社 がトップ

10

にランクインするなど、日本医薬品市場においてもグローバル化が進んでいる 様子が伺える。なお、アベンティス ファーマについては、

2006

年1月にサノフィ・サンテ ラボと合併し「サノフィ・アベンティス」が発足したため、

2005

年度の業績を公表してい ないが、

20

社以内にランクインは確実であり、このため欧米医薬品企業は、

7

社が

20

位以 内にランクインしていることになる。

表

1-1

合併による国内医薬品売上高ランキング(

00-05

)

順

位 社名

医薬品売上高

順

位 社名

医薬品売上高

1 武 田 薬 品 工 業 582,886 1 武 田 薬 品 工 業 831,152

2 三 共 367,930 2 ア ス テ ラ ス 製 薬 571,500

3 山 之 内 製 薬 302,531 3 フ ァ イ ザ ー 394,738

4 大 正 製 薬 249,004 4 三 共 318,127

5 エ ー ザ イ 228,900 5 中 外 製 薬 314,524

6 第 一 製 薬 227,450 6 エ ー ザ イ 283,000

7 藤 沢 薬 品 工 業 189,696 7 第 一 製 薬 278,193

8 塩 野 義 製 薬 186,055 8 ノバルティス ファーマー 253,000

9 中 外 製 薬 181,223 9 大 塚 製 薬 213,687

10 萬 有 製 薬 169,747 10 大 正 製 薬 203,996

11 大 塚 製 薬 161,988 11 三 菱 ウ ェ ル フ ァ ー マ 196,818 12 田 辺 製 薬 161,568 12 大 日 本 住 友 製 薬 192,613 13 フ ァ イ ザ ー 製 薬 156,710 13 萬 有 製 薬 185,320 14 ノバルティス ファーマー 144,300 14 グラクソ・スミスクライン 180,000 15 グラクソ・スミスクライン 138,800 15 塩 野 義 製 薬 170,100 16 小 野 薬 品 工 業 129,384 16 ア ス ト ラ ゼ ネ カ 162,843 17 協 和 醗 酵 工 業 127,300 17 田 辺 製 薬 152,489 18 ウ ェ ル フ ァ イ ド 125,102 18 小 野 薬 品 工 業 143,244 19 ア ベ ン テ ィ ス フ ァ ー マ 115,200 19 協 和 醗 酵 工 業 139,305 20 住 友 製 薬 113,965 20 大 鵬 薬 品 工 業 112,448 21 大 日 本 製 薬 110,000 21 帝 人 フ ァ ー マ 105,700

22 明 治 製 薬 109,859 22 明 治 製 薬 102,200

23 大 鵬 薬 品 工 業 92,867 23 久 光 製 薬 89,950

24 バ イ エ ル 薬 品 89,846 24 参 天 製 薬 88,833

25 ア ス ト ラ ゼ ネ カ 85,700 25 ア ボ ッ ト ジ ャ パ ン 86,094 26 三 菱 東 京 製 薬 83,411 26 日本ベーリンガーインゲルハイム 83,867 27 参 天 製 薬 81,831 27 ヤ ン セ ン フ ァ ー マ 83,848 28 フ ァ ル マ シ ア 81,533 28 バ イ エ ル 薬 品 83,278

29 日本ベーリンガーインゲルハイム 72,533 29 味 の 素 83,227

30 帝 人 71,308 30 大 正 富 山 医 薬 品 82,700

(注)一部推定

2000年          (単位:百万円) 2005年          (単位:百万円)

05

03 分社化 05 01

03

03 メルク子会社

03 北陸製薬+

ダイナボット

02 大正製薬と富山 化学の合弁で設立 01 J&J子会社

出所:厚生労働省「新医薬品産業ビジョン」2007 年資料編 、p.2 より

また表

1-2

に示すように、日本医薬品市場における医薬品輸出入額で検証してみると、日

本から海外へ輸出した金額は

1996

年には

2056

億円、同時に日本に輸入された金額は

4893

億円と輸入超の状況であるが、

10

年後の

2006

年において日本から海外へ輸出した金額は

(16)

3721

億と

1665

億増加している。

しかし同時に日本に輸入された金額は

9912

億円と

5019

億の増加であり、日本医薬品市 場における海外からの輸入額はかなりのペースで伸びてきている。

日本医薬品市場の中の企業間の競争においても、グローバル化が進行している事を伺わ せている。

表

1-2

日本医薬品輸出入額

金額(A) 対前年伸率 金額(B) 対前年伸率 金額 B/A(倍)

1991 146,723 15.8 419,145 2.1 272,422 2.86

1992 173,052 17.9 465,168 11.0 292,116 2.69

1993 164,023 △5.2 437,852 △5.9 273,829 2.67

1994 158,454 △3.4 431,619 △1.4 273,165 2.72

1995 172,866 9.1 461,114 6.8 288,248 2.67

1996 205,654 19.0 489,346 6.1 283,692 2.38

1997 236,197 14.9 512,006 4.6 275,809 2.17

1998 249,888 5.8 489,149 △4.5 239,558 1.96

1999 274,098 9.7 521,843 6.7 247,745 1.90

2000 294,398 7.4 513,636 △1.6 219,238 1.74

2001 331,628 12.6 611,895 19.1 280,267 1.85

2002 351,825 6.1 677,236 10.7 325,411 1.92

2003 368,768 4.8 716,502 5.8 347,734 1.94

2004 383,028 3.9 769,196 7.4 386,168 2.01

2005 367,664 △4.0 905,966 17.8 538,302 2.46

2006 372,115 1.2 991,234 9.4 619,119 2.66

(単位:百万円、%)

年 輸  出 輸  入 入  超

出所:経済産業省「通商白書」 (1991~2006)より

第3に「日本医薬品企業の海外売上高比率から見たグローバル化」の観点から考察する。

日本の人口高齢化で年々増大する医療費を抑えるため、政府は

2

年に

1

度の薬価改定を 行い、価格の引き下げ傾向を強め、景気の影響を受けず安定している反面、伸び率では低 成長であり、図

1-3

に示すように日本医薬品市場は頭打ちの状況にある。

そのため日本医薬品企業の売上高を伸ばす方法は、第1に日本医薬品市場で新薬を投入 しつつ、いかに薬価改定による落ち込みを防ぐか、第2に日本医薬品企業にとって、海外 市場でどれだけ売上高を伸ばせるかの2点が重要になる。

図

1-4

に示すように、日本医薬品企業の売上高上位4社の海外売上高の推移を

1996

年か ら

2006

年の

10

年間で比較してみると、この

10

年で4倍に増加しており、さらに表

1-3

に おいて日本医薬品企業各社の

2006

年決算を検証して行くと、海外での売上比率の高いとこ ろが全体の売上げも大きく伸ばしており、その数字は海外売上比率

50%程度になるなど、

国内売上高とほぼ同等になっている事が示されている。

このように海外展開の進展の違いが、各社業績の差になってあらわれている。

(17)

図 1-3 日本医薬品市場の規模

51,369 52,016 51,470 53,167 53,807

57,477 56,526 56,991

55,168 60,313

58,686

63,387 64,107 65,206 66,174

69,030

60,127 61,002 60,342 62,030 62,666

66,822 65,979 66,568

64,349 69,061

66,850

71,373 71,739 72,501 73,148

75,635

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年)

(億円)

医療用医薬品 医薬品全体

        ※医薬品市場規模=出荷金額-輸出金額

出所:厚生労働省「新医薬品産業ビジョン」2007 年資料編、p.8 より

図 1-4 売上上位 4 社(武田、アステラス、第一三共、エーザイ)の国内・海外売上高及び海 外売上高比率の経年変化

棒グラフ:売上上位4社の国内・海外売上高   折れ線:売上上位4社の国内・海外売上高比率の平均

0

1000 2000 3000 4000 5000 6000

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 0 25 50 75

国内売上高 海外売上高 海外売上高比率

金 額

(

億 円

)

国 内

・ 海 外 売 上 高 比 率

%

(年度)

出所:政策研ニュース No24 2008 年 2 月、p.14 より

(18)

表

1-3 2006

年日本医薬品企業財務比較(連結決算)

社名 総売上高

(百万円)

経常利益

(百万円)

経 常 利益率

(%)

純利益

(百万円)

売上高 利益率

(%)

総資産

(百万円)

自己資本 比  率

(%)

総資産 利益率

(%)

自己資本 利益率

(%)

海外売上

(百万円)

海外売上 高比率

(%)

武田薬品工業 1,305,167 585,019 44.8 335,805 25.7 3,072,501 78.8 10.9 13.9 643,600 49.3 アステラス製薬 920,624 197,813 21.5 131,285 14.3 1,470,701 74.7 8.9 12.0 450,062 48.9 第一三共 929,506 152,086 16.4 78,549 8.5 1,636,835 77.5 4.8 6.2 356,700 38.4 エーザイ 674,111 110,462 16.4 70,614 10.5 792,114 69.7 8.9 12.8 410,765 60.9 大塚製薬 853,948 113,983 13.3 52,874 6.2 982,113 45.8 5.4 11.7 337,566 39.5

大日本住友製薬 261,213 43,181 16.5 22,605 8.7 382,535 79.8 5.9 7.4 - -

三菱ウェルファーマ 227,517 39,307 17.3 24,305 10.7 323,364 75.4 7.5 10.0 - -

塩野義製薬 199,759 28,113 14.1 18,594 9.3 429,569 80.4 4.3 5.4 26,063 13.0 田辺製薬 177,531 32,346 18.2 20,174 11.4 297,087 78.1 6.8 8.7 17,271 9.7

大正製薬 242,071 24,926 10.3 15,420 6.4 631,929 86.3 2.4 2.8 - -

小野薬品工業 141,711 56,587 39.9 35,271 24.9 504,815 88.0 7.0 7.9 2,446 1.7 協和発酵工業 354,274 30,901 8.7 12,694 3.6 378,870 63.8 3.4 5.3 64,196 18.1 大鵬薬品工業 132,992 38,798 29.2 24,511 18.4 333,193 87.7 7.4 8.4 14,095 10.6

久光製薬 109,791 27,001 24.6 15,847 14.4 141,143 73.1 11.2 15.4 - -

参天製薬 100,485 20,843 20.7 13,147 13.1 159,098 80.8 8.3 10.2 13,333 13.3

ツムラ 91,227 14,643 16.1 13,152 14.4 143,378 47.7 9.2 19.2 - -

科研製薬 76,415 7,667 10.0 4,602 6.0 100,900 59.9 4.6 7.6 - -

杏林製薬 77,093 8,655 11.2 4,842 6.3 124,039 79.2 3.9 4.9 - -

持田製薬 74,066 10,238 13.8 6,030 8.1 109,707 68.6 5.5 8.0 - -

キッセイ薬品工業 64,215 2,520 3.9 1,570 2.4 163,583 75.3 1.0 1.3 - -

(注)海外売上が10%未満の場合、有価証券報告書への記載義務がない。

出所:2007 年各社有価証券報告書より筆者作成

第2節:医薬品グローバル市場の特質(アメリカ医薬品市場を中心に)

医薬品ビジネスをグローバルに捉えた場合に、医薬品企業にとってアメリカは最も重要 な市場となっている。前掲の図

1-1

によれば、世界の主要国における医薬品市場シェアを

1994

年と

2005

年の

12

年間で比較してみると、世界全体の市場は

1994

年の

2524

億ドル

(

25

兆円)から

11

年後の

2005

年には

6014

億ドル(

60

兆円)と増加している。その国別 のシェアを見るとアメリカは

1994

年では

34%

であったが

2005

年には

44%

へ増加し、日本 は

21%

から

11%

へ、ヨーロッパ(

EU

)は

27%

から

29%

となっている。

特にアメリカ市場のシェアは、他の先進国と比べても飛躍的に伸び、またそのシェアも 世界市場の5割弱を占めている。このアメリカ市場にどう取り組むかが、世界の医薬品企 業にとって重要な点である。

伊原[2004]によれば、アメリカ市場の成長要因の理由について次の3つの点が指摘され ている。第1の要因は「自由価格制」であり、アメリカは、ほぼ完全な形で自由薬価制度 が維持されている唯一の先進国である。第2の要因は「規制および政策動向」、第3の要因 は「医薬品企業によるマーケティング戦略」である

27)

。

第1の自由価格制であるが、アメリカ以外のヨーロッパ諸国、日本の医療は国が直接運 営(イギリス、イタリア)するか、あるいは政府の関与が強い保険方式(フランス、ベル ギー、ドイツ、日本等)で、医療費抑制政策(特に後発医薬品:日本を除く)を代表とす る厳しい価格抑制策により、医薬品市場の伸びが抑えられている。

しかしアメリカのような自由価格制の場合、医薬品価格形成にあたっては医療サービス

27)

伊原 [2004]、p.140

(19)

価格において供給者と需要者の間での情報の非対象性が色濃く反映されやすい。つまり高 度に専門的で広範な知識を持った供給者側(この場合は医薬品企業)に対抗しうるだけの 十分な情報を、需要者側(患者あるいは医師)が持ちうる事が困難であり、このため自由 競争に委ねた場合には、価格形成として医薬品企業に有利な方向に引っ張られやすく、容 易に医薬品の価格が高くなる傾向が指摘されている

28)

。このためアメリカ市場では新薬の 価格が他の市場に比べ、より高くなる傾向がある。

第2にアメリカの「規制および政策動向」の観点から見て3つの重要な点が挙げられる。

1つ目は

FDA29)

における審査体制の変化であり、2つ目にはアメリカ固有のシステムであ る「マネジドケア」

30)

による処方薬利用による押し上げ効果、3つ目には「メディケア」

31)

による外来薬剤給付の拡大の3点である。

1つ目の

FDA

における審査体制ついては、

1980

年代後半の新薬審査期間は平均で

30

~

35

ヶ月に達していたが、

1998

年にはこれが平均

11.7

ヶ月にまで短縮される事になった。

これは

1992

年に法制化された「

Prescription Drug User Fee Act

」という制度の創設によ る影響が大きいとされている。この制度は、申請メーカー側がFDA審査プロセス効率化実 現のためのコスト増加分を手数料の形で負担する見返りとして、FDA側は原則として12 ヶ月以内(その後

1997

年に

10

ヶ月以内に短縮)での審査完了を約束するものである。こ うしたFDAによる審査体制の変化を背景に、年間の新規化合物承認件数は

1990

年代前半の

20

件台から、1996~1999 年には

30

件台以上へと増加した

32)

。

2つ目にはアメリカ固有のシステムである「マネジドケア」による処方薬利用について 述べる。

1990

年代初期までは、アメリカの医療は、医療費の決定者は医療サービス供給者 であり、そのための医療費の高騰を抑えるため、医療を受ける側が医療の利用可能種類、

及び価格を保険会社が管理、制限する事により医療費の低減を目的として民間医療保険の 方式が広まった

33)

。

このマネジドケア型保険による処方薬の積極利用にあたっての理論的な背景は、薬剤経 済性評価

34)

と呼ばれる概念であり、これは総医療費に占める処方薬コスト構成比を見て、

総医療費ベースで相対的に高価な新規性の高い薬剤を使った方が使わない場合の入院、外 来を比べた際に新規性の高い薬剤を使う場合と使わない場合に総医療費はどちらが安く済 むかという概念である。

この概念が、新規性の薬剤が発売されて高価格のものであっても、効果が良ければ入院 期間が少なく済み、また外来の通院の日数が減るなど総医療費が安く済むと、新規性の高

28)

伊原 [2004]、p.140

29) FDA: Food and Drug Administration

の略で、米国食品医薬品局であり日本の厚生労働省にあたる。

30)

マネジドケア::社会保障費削減のために過需要を減らすシステムの総称.社会保障を受ける側と提供する側に社会保 障費を抑制する規制を行う管理統制システムである。http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/jimusyo/111NY/INDEX.HTM

31)メディケア:アメリカの公的な医療保険制度は、65歳以上の高齢者を対象としたメディケアと低所得者向けのメデ

ィケイドの2種類しかなく、その他の個人や企業は民間の医療保険制度に加入しなければならない。

32)

伊原 [2004]、p.142

33)

吉森 [2007]、pp.16-19

34)

薬剤経済性評価:医療政策の導入は主に欧州諸国で進んでおり、各国毎に独立した機関が設立され、保険償還の可否

と言った意思決定等に利用されている。

図

図 1-3                      日本医薬品市場の規模  51,369 52,016 51,470 53,167 53,807 57,477 56,526 56,991 55,168 60,313 58,686 63,387 64,107 65,206 66,174 69,03060,12761,00260,34262,03062,66666,82265,97966,56864,34969,06166,85071,37371,73972,50173,148 75,635 0 10,000
表 1-3                2006 年日本医薬品企業財務比較(連結決算)  社名 総売上高 (百万円) 経常利益(百万円) 経 常 利益率 (%) 純利益 (百万円) 売上高利益率(%) 総資産 (百万円) 自己資本比  率 (%) 総資産利益率(%) 自己資本利益率(%) 海外売上(百万円) 海外売上高比率(%) 武田薬品工業 1,305,167 585,019 44.8 335,805 25.7 3,072,501 78.8 10.9 13.9 643,600 49.3 アステラス製薬
表 3-3                 武田薬品工業  事業再編( 1999 年~ 2003 年) 出所:武田薬品アニュアルレポート 2003、p.31 より  図 3-3 に示すように「リュープロレリン(一般名)」、「ランソプラゾール(一般名)」は 1,000 億円を超え、武田薬品の海外売上高比率をより高めた。しかし、売上高は TAP ファ ーマシューティカル・プロダクツ ( イリノイ州 ) は米アボット社との合弁であっため、武田薬 品が得る利益は限られていた。 そのため米アボット社の持ち株を買収して
表 4-8                      日本医薬品企業の海外研究所数  年度 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 会社数 7 9 12 14 15 14 13 12 10 研究所数 18 22 24 24 26 29 23 19 23 (注)会社数は有効回答社数(実績のあった会社数)                                     出所:日本製薬工業協会『DATE  BOOK  2008』2008 年、p.22 より

参照

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