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雑誌名 熊本大学教育学部紀要. 人文科学

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熊本大学学術リポジトリ

熊本県内の地域子育て支援センターの現状と課題 : 障害児とその保護者の支援の観点から

著者 肥後 祥治, 宇都宮 絢子

雑誌名 熊本大学教育学部紀要. 人文科学

巻 57

ページ 113‑120

発行年 2008‑12‑19

その他の言語のタイ トル

The Present state and Problems at Regional

Support Centers for Child Rearing in Kumamoto

Prefecture : From the View Point of Supporting

Children with Disabilities and Their Parents

URL http://hdl.handle.net/2298/10614

(2)

熊本県内の地域子育て支援センターの現状と課題

-障害児とその保護者の支援の観点から-

肥後祥治・宇都宮絢子*

ThePresentstateandProblemsatRegionalSupportCenters forChildReari、ginKumamotoPrefecture

-FromtheViewPointofSupportingChildrenwithDisabilities

andTheirParents-

ShQjiHIGo,AyakoUTsuNoMIYA

(ReceivedOctoberL2008)

EarlrystageremedialeducationsystemsinJapanweredesigncedbytheideaofinsutitution-based hehabilitationManyparentswhosechildrenhavesomedisabilitiesareexpectededthattheirchildrencanget profeccinalsupportsatrehabilitioncentersofchildrenwithdisabilites・UnfOrtunetlly,thesetypeofexpectetions donotmaterialzefOrthemostpartbecauseoflackoftheprofessionalfacilitiesandprofessinalslnthese circumstances,theroleofreagionalsupportcentersforchildrearingareveryhelphfillfOrparentswhoeschildren havesomedisabilitiesThepurposeofthispaperistoclearfythepresentstateofactivitiesandproblemsof reagionalsupportcentersfOrchildrearinginKumamotoPrefecture,especiallysupportsfOrchildrenwith disabilitiesandtheirfamilly・Wedistributedquestionnairesto85reagionalsupportcentersfOrchildrearingand therateofthecollectionofquestionnaireswas72.9%・Theresultsofthissurveyincluedthenumberof interviewsaboutdisabilitycases,relevantaganciesandtypesofprofessionalstheyusuallycooperatedwith,the numberofchildrenwhoacceptedremedialeducationprograms,occasionswhenprofesionalinfOrmationwere neededandproblemsabouteacheachcenter.

Keywords:SupportcenterfOrchildreanng,survey,Kumamotoprefecture,CBR

どもとして受け入れられている子どもの数を圧倒的に 上回っていることを見いだした(7.7倍~209倍).こ のことはこの時期熊本市においては,決して大規模 な療育専門機関とは言い難い「発達相談窓口」におい て療育サービスが提供されていた時期であることを考 えると,多くの障害児やリスク児と保護者が支援を受 けられずにいた可能性を示すものである考えられた このように考えてくると,熊本市において1歳半健診 や3歳児健診が,障害児やリスク児の支援を行うため のシステムとして機能していると言い難いといえよう.

このような状況は,他の熊本県下の市町村においても 類似した状況があるのではないかと筆者らは考えてい

る.

障害児やリスク児の支援システムを考える上では,

障害の早期発見もきることながら,支援・療育機関等 によるフォローの実施や療育の充実が望まれる.しか 1.問題と目的

日本における障害児の療育システムを考えるとき,

母子保健法にもとづいて実施されている1歳半健診及 び3歳児健診は,障害のある子どもや障害を抱えるリ スクの高い子ども(リスク児)を早期に発見し療育 機関につなぎ早期の指導や支援を実現する上で大き

な役割を果たしている.しかし,このシステムが機能 するためには,これらの健診においてリスク児や障害 児として抽出された子どもを受け入れ,指導や支援を 展開する機関が存在することが前提となる.筆者らは,

岩橋(2005)の研究で収集されたデータを分析する ことで,熊本市内の5つの保健センター各管内におい て要精密検査,要治療に分類された子どもの合計は, 幼稚園,保育園,無認可保育所などで,障害がある子

*熊本県立球磨養護学校

(113)

(3)

114 肥後祥治・宇都宮絢子

し,これらの専門的な支援・療育機関の急激な増加は,

どこの自治体においても見通しを持ちにくいのが現状 であろう.このような支援・療育機関による専門的な 療育サービスの展開の在り方は,施設中心型リハビリ テーション(Institution-BasedRehabilitatio、:IBR)

の考え方に基づく療育サービスの展開であるといえる が,熊本市におけるIBRの考えに基づく療育サービス の展開は,限界にきており今後の展望が見いだせない 状況であると考えられる

このIBRの考え方と対局をなすのが,地域に根ざし たリハビリテーション(Community-Based

Rehabilitation:CBR)という考え方である.この考え 方には,各種の側面があることを肥後(2003)が整 理しているが,実際の療育システムを構築する上では CBRの「潜在的社会資源の発掘と運用」という考え 方が有用であろう.存在しない施設を新たに作るので はなく,現在ある資源を発掘,再開発しそれらを運用 することで必要な機能を持たせようとするものである 著者らは,この考えにもとづいて,熊本市をはじめと する地方での療育システム構築を検討したいと考えて いる.本研究では,就学前の療育システムづくりの大 きな手がかりとなることが期待される「子育て支援セ ンター」の現状と課題を調査することを目的としてい る.

子育てを,家庭の中だけでなく地域全体で支援しよ うとするアイデアは,「今後の子育て支援のための施 策の基本的方向について(文部,厚生,労働,建設4 大臣合意,1994)」いわゆる「エンゼルプラン」の中で ねらいとして掲げられており,その基盤形成を図るた めにエンゼルプランでは,地域子育て支援センター事 業の拡充を課題として挙げた地域子育て支援セン ター事業は1993年に設立され,子育て家庭等へ育児 不安に関する相談指導や子育てサークルの育成などを 通して地域の子育て家庭に対する育児支援を行うこと を目的としている.保育所との併設によりその数は 年々増加し,平成15年には全国2500ケ所にものぼり,

その活動は地域の特性を生かした独自のものが展開さ れてきた(山田,2007).しかし子育て支援センター を保育所の一部と捉えている人は少なくない.山下 (2006)は,熊本県の子育て家庭でその実態等を把握 しているのは4割弱程度であると述べているJBRの 考えに基づく大規模療育施設がない中身近に配置さ れている「子育て支援センター」の現状と課題を明ら かにし地域の障害児支援の核としていくための手だ てを考えていくことは,非常に重要な課題といえよう.

2.方法

1)対象

熊本県内における地域子育て支援センター85ケ所 を対象に,アンケートによる調査を実施した

2)調査内容

質問項目は,選択項目5項目記述項目7項目(う ち3項目は数値の記述)の計12項目から構成された その内容は以下の通りであった.

①センターの事業内容(1項目)-選択

②年間相談件数(2項目)

a]年間の相談件数一数値記述

bそのうち障害がある,またはその疑いのある子 どもに関する相談件数一数値記述

③相談内容について(2項目)

a・主な相談内容一選択

b選択項目の子育てに関する相談の内容一記述

④連携機関及び紹介機関(2項目)

a・連携している機関一選択

b相談後,紹介している機関一選択

⑤療育活動について(3項目)

a.受け入れている障害のあるまたはその疑いのあ る子どもの数一数値記述

b療育活動の内容一選択

c・支援の際,参考にしている資料やメデイアー記

⑥専門知識の必要性について(1項目)一記述

⑦今後の課題(1項目)-記述 3)調査手続き

ヨガ査は郵送法を用いて行われた各センター宛にア ンケートを郵送し記入後に同封した封筒にアンケー ト及びセンターで発行きれているガイドブックや資料 などを同封して返信するよう依頼した.調査期間は平 成19年10月中旬から12月下旬までであった

3.結果

熊本県内の地域子育て支援センター全85ケ所に調 査票を郵送し,62ケ所からの回答があった回収率は 72.9%であった.

1)センターの事業内容

結果をFig.1に示した.全体回答数は62で,「育児 不安についての相談指導」,「親子の触れ合い活動の場 の提供」は,回答のあった全センターで行われている ことがわかった次いで「地域の保育資源の情報提 供」と「子育てサークルの育成及び支援」も高く,子

(4)

育て支援センター事業の一貫性が見てとれるその他 の中には,子育て講演会や育児講座,子育て情報誌の 発行といった保護者支援,乳幼児健診への関わり,地 域社会資源との連携や地域の公園に赴いての支援など 地域に密着した支援を行っているセンターも見られ,

地域の独自性を生かしながら支援を行っているところ もあった.また,妊婦さんへの育児教室などの出生前 の「プレママ指導」を行うところもあった

2)1年間の相談件数

年間合計相談数に関する情報は,59件収集された しかしその内調査時に開設したてから1年未満の施 設が4件あった(この資料は除いた)また回答は,

相談件数の実数と記載しているものが多いが10~20 といった記載や約20件といった回答があり,記載者 により正確さの面で差が見られた10~20といった記 載の場合は,最大値を採用し約20と表現された資 料は20としてそのまま入力を行ったその55施設に おける相談件数の合計8637件となった]センターの 相談件数は1554件であり,最大値が1940件,最小値 で1件であったが所在する地域の人口等の影響を受 けて相談数は,散らばりが大きかったその結果を,

Fig.2に示した

3)1年間の障害に関する相談件数

相談の中で障害児あるいはその疑いのある子供に関 する相談件数に関して情報の提供があったのは42施 設であり,その合計は343件であったlセンターにつ き82件であったがこの値も施設間の差が大きかっ た障害関連の相談件数の総相談件数に占める割合 (障害関連相談比率)の比率をFig3に示した全体の 238%が障害関連相談比率0%であったが10%未満 (0%を除く)の施設が15施設あり,全体の357%で あった

4)多い相談の内容

該当するものにチェックをつける形態で「多い相談 内容は何かに関する質問を行い,62施設から157の回 答を得た結果をFig4に示した子育てに関するも のや子どもの発達相談が主な内容であったその他の 意見では,親同士家族同士の関係について,子育て サークルを公的にできないかどうかという意見や母親 の日常生活の中で抱えるストレスや悩みに関する相談 があるとの回答がみられた

また,「子育てに関する」という項目の内容が暖昧 であり範囲も広いため,記述項目で別途回答しても

らったものをKJ法の手続きを用いて整理したものを Fig5に示した記述項目は268件あった,それらは,

「保護者の家庭やライフスタイルに起因する問題」

「日常生活の中での相談」「子どもに関する相談」の 3つに整理することができた「保護者の家庭やライ

010203040506070 育児不安についての相識露 」62

地域の保育資源の情報提供

\L児保育などの棡亟的実施・普及促進 親子の触れ合い活、力の場の提供

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Fig.21年間の相談件数

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施設数

Fig3障害関連相談比率

(5)

116 肥後祥治・宇都宮絢子

フスタイルに起因する問題」は,「家庭内の問題」

「保護者の心の問題」「就園問題」「子どもとの関わ りの問題」の4つのサブカテゴリーから構成されてい た「日常生活の中での相談」は,「悩みや不安,スト レスとして感じる日常」「資源の利用」「通常の育児 への具体的なアドバイス」3つのサブカテゴリーが含 まれる「子どもに関する相談」の中には,「子ども同 士のトラブル」「子どもの成長・発達の中での悩み」

の2つのサブカテゴリーと,「保護者の家庭やライフ スタイルに起因する問題」の中の「子どもとの関わり の問題」を共有している構造が考えられたまた「家 庭内の問題」「悩みや不安,ストレスとして感じる日 常」「子ども同士のトラブル」「子どもの成長・発達 の中での悩み」なども「保護者の心の問題」に大きな 影響を及ぼす可能性があると考えられた

5)連携機関

どのような専門家や専門機関と連携をとっているか に関する質問の結果は,Fig6に示した

最も多かったのが保健師であり,施設の9割が保健 師との連携を行っていた最も少なかったのは,大学 教員次に特別支援学校であったその他の意見の中 には,民生員助産師母子推進員,乳幼児診断医師 などが上げられていたまた「保健師を介して他の機 関との連携をはかっている」という意見もある一方,

「専門機関に相談するほどでもない」という意見も見 られたまた熊本市においては「子育てほっとス テーション各施設」と全子育て支援センターが回答し ており,市内で相互に連携するネットワークが確立さ れている様子が見られた

6)相談後の紹介機関

障害のある子どもやその疑いのあるこどもへの紹介 機関に関す質問への結果をFig7に示した最も多 かったのが保健センターであり,次に療育センター,

医療機関の順であった.保健師を通して療育センター や心理相談員医療機関等に繋げているという意見も あった.

7)療育的支援の状況

この項目では①療育活動を行っている中で受け入れ ている障害をもつ子どもの人数,②療育活動の内容 (選択),③参考にしている資料(記述)以下の3つの 項目に分けて質問がなされた

①療育活動を行っている中で受け入れている障害を もつ子どもの人数:結果をFig8に示した子育て支 援センター自体で療育活動を行っているというところ があまりないのか,受け入れ人数はほとんどが無回答 であった回答があった23センターのうち,半数以 上は0人であり,一番多いところでも10人という結果 であった0人と回答しているところには発達が

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親・子育てサークルに関する、】報提供

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制度や行政のこと

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その他

Fig.4相談内容の概要

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Fig.7相談後の紹介機関

ゆっくりの子ども,行動面に気になる点がある子ども はいるが,特に診断がないのではっきりとは言えない というものもあったまた発達などの問題に関わら ず,来所された子どもはみんな受け入れているという 回答も見られた.

②療育活動の内容:活動内容に関して回答している 子育て支援センターは全15センターであった活動 内容の結果をFig9に示した.結果を見てみると,特 別な用具や作業の手間のかかる活動ではなく,ある程 度手軽に活動のできるものばかりであるその他に

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Fig.5子育てに関する悩みの構造

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Fig.8療育を受けている子供の人数 Fig9療育活動の内容

あったのは,親支援を行っているときに子どもの様子 を自由行動で見極める,という回答があったまたあ るセンターにおいては,療育活動としてではなく,全 ての子どもに提供している活動であるため療育支援と は言えないという回答もみられた

③参考にしている資料:回答があったのは2センター

のみであった1つは,「七田教育研究所」という幼児 教育法を推奨しているインターネットページと,もう

ひとつは,「いま子どもたちが危ない」古今社一子 どもメディア,山本文子箸「いのちの花桜園」という 書籍であった.

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(7)

118 肥後祥治・宇都宮絢子

障害に関連した相談件数は,センターにより大きな幅 があった(Fig.2,Fig.3).これは,都市部と地方で の人口の差や,保護者や周囲の障害の理解と関係があ ると思われるが,今回の調査で収集した資料では分析 ができなかった.今後の課題としたい障害に関する 相談であると思われる事例が一件もなかったセンター が,10カ所あった(23.8%).

2)子育て支援センターにおいて多い相談内容 子育て支援センターおいて多い相談内容は,「子育 てに関する悩み」「子どもの発達相談」についてで あった(Fig.4).この「子育てに関する悩み」は,

「保護者の家庭やライフスタイルに起因する問題」,

「日常生活の中での相談」,「子どもに関する相談」の 3つに整理することができた(Fig.5).最後の「子ど

もに関する相談」の中には「発達についての相談」や

「子どもの性格や気になっている行動」といった発達 障害や発達遅滞に関連するものもあった.また「保 護者の心の問題」,「家族内の問題」,「通常の育児への 具体的アドバイス」といった内容が含まれていた

選択肢による回答,記述による回答の分析からも,

発達障害や発達の遅れといった問題への対応は,子育 て支援センターにおける重要な課題の一つであると考 えて良いと思われる.現在まで,この相談がなかった 子育て支援センターにおいても,今後,保護者や周囲 の障害に対する関心や理解が進めば関連の相談が持ち 込まれるようになると思われる.

3)連携機関と相談後の紹介機関

子育て支援センターが最も連携を強めているのは,

保健師や保健師が所属する地方行政機関である.次い で,療育センター,心理相談員,子育てサークルと続 くが,療育センターの相談は,保健師への相談の半分 にも満たない最も少なかったのが「大学教員」で

あった(Fig.6).この結果は,地域において,もっと アクセスしやすい連携先,専門職が保健師であること,

他の機関と比べて数的にも物理的に身近であるという ことであろう.障害児の疑いのある子どもに対する紹 介機関は,保健センターが最も多く,次に療育セン ター,次いで医療機関であった(Fig.7)この傾向は 連携機関と類似の傾向を示している.「子育て支援セ ンター-保健師一専門機関」という照会のルートを考 えているという記述も見られたこのように考えてく ると就学前のシステム構築においては,「子育て支援 センター-保健師」という照会ルートが現在頻繁に用 いられていることを認識しなければならない.専門機 関からの情報の提供先としてこのルートが地方におけ る重要な柱であることがわかった.

4)子育て支援センターにおける療育活動の現状 子育て支援センターは,障害児に特化した施設でな 8)専門的知識を必要と感じた場面

支援を行っていく上で専門的知識をどのような場面 で必要と感じるかについて記述されたものをカードに 書き出しKJ法の手続きを用いて整理した結果を Fig.10に示した.カードに書かれた項目数は,54項目 であった(35施設から回答).

「対応ができているので感じない」,「様々場面で常 日頃から感じる」,「適切な答えを出せる良き相談者に なろうと思うとき」の大きく3つに整理が可能であっ た「適切な答えを出せる良き相談者になろうと思う 時」は,「保護者あるいは子どもの課題が見えた時」,

「保護者とのラポール形成が必要な時」,「広い領域の 専門的な知識が必要だ」「相談内容次第で感じる」の 4つのサブカテゴリーに整理することができた.

、)センターの課題

子育て支援センターの課題等について自由記述して もらった結果を内容ごとにカードに書き出しKJ法の 手続きを用いて整理した.カードに書かれた項目数は,

60項目であった(38施設).結果は,Figllに示した

「特にない」との意見もあったが,「解決して欲しい 問題」として,遊具施設等の整備,人員増の希望,事 業予算の問題などの問題が挙げられていた他の課題 としてあげられたものは,4つに整理きれ,今後の方 向性や現在の問題への取り組みの処方菱といった内容 のものであった1つ目は「保護者へのアプローチ」

として,課題や困難を抱える保護者への支援と保護者 教育の必要性を述ぺるものであった「評価と夢に基 づく事業改善」と「つながり.連携の構築」,「人的資 源の開発」は,この「保護者へのアプローチ」と関係 を持ちながら,解決して欲しい問題への取り組みの一 つの方向性を示すものであったこの中で筆者らが関 心をもったのは,サブカテゴリーの「地域社会とつな がりのある子育ての展開」,「既存のネットワークの再 評価と再構築」,「理想と理念に基づくセンター創り」

であった.

4.考察

1)子育て支援センターの事業内容と相談件数 障害児の保護者支援に関わる可能性のある「育児不 安についての相談指導」「親子の触れ合い活動の場の 提供」の2つの事業が回答のあったすべてのセンター において実施きれていたことは,センターという場に おいて,障害児の保護者支援のきっかけを提供できる 可能性を示しているものと考えられる(Fig]).ただ,

これらは,障害児に特化した事業はないということを 明確にしておく必要がある.1年間の総相談件数及び

(8)

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Figll子育て支援センターの今後の課題

(9)

120 肥後祥治・宇都宮絢子

いことは,先に述べたが,その内の7施設から療育を 行っている子どもの人数の資料が得られた(Fig.8).

療育活動の内容については,15カ所から回答があり,

「手遊び・指遊び」,「音楽活動」,「絵本の読み聞か せ・紙芝居」,「身体活動」,「ブロックや積木を使った 遊び」といった活動が上位の5つであった(Fig.9).

子育て支援センターにおいて行われる療育活動は,保 育の経験を生かしたもので,個別化されたプログラム と言うよりは,子どもと関わる上で基本となるような 活動を展開しているところがほとんどであると考えら

れる.

5)子育て支援センター職員にとっての専門的知識 専門知識に関する自由記述の質問に対し35施設か らの回答があったセンター職員の多くが専門的な知 識への関心があることが明らかとなった専門性を身 につけたいと思う職員は,保護者のために適切な答え を出せる良き相談相手になりたいと思う際に専門性を 意識しているようである.関心のある領域も子どもの 健康状態に関すること,子どもの発達に関すること,

利用者の子どものに関する医学的知識,遊びと幅広い また,保護者とコミュニケーションを深めたり,ラ ポールを形成することにも関心を示している.ざらに 保護者あるいは子どもに課題を感じた時専門的な知識 を意識しているといえる(Fig.10).

6)子育て支援センターの今後の課題

子育て支援センター職員は,様々現状の問題を解決 してもらいたいと考えている.問題がないと考えてい る施設もあるが,それは少数にすぎない資金面,人 員面,施設面といった,組織で言えば目に見えるハー ドな構造(古川,1990)に関しての問題意識が明確 である.一方,「理想と理念に基づくセンター創り」

「地域とつながりのある子育ての展開」といった考え を基盤として,「既存のネットワークの再評価・再構 築」,「人的資源の再開発」といった取り組みの必要性 を認識している.この指向性は,地域に根ざしたリハ ビリテーション(Community-BasedRehabilitation:

CBR)のもつ「潜在的社会資源の発掘と運用」とい う考え方(肥後,2003)と軌を-にしている.子育て 支援センター職員は,IBR的なパラダイムしか提示き れいない中で,その実,CBR的な問題解決の方向性 を厳しい現状と理想のなかでうすうす感じているので はないだろうか

7)今後の課題

今回の調査で,熊本県下の子育て支援センターの事 業の現状やサービス内容,職員の専門性への意識やセ ンターの課題に関する状況を大まかに整理分析するこ とができたまた,地域の子育て支援センターにおけ る連携や障害児の紹介ルートについても明らかにする

ことができたまた,各センターが,厳しい状況の中 夢や理想,理念を手がかりにしながら,困難な状況の

もとCBR的と称され得るような手法を選択しよう としていることを知り得たのは,大きな収穫であった

今後はこれらの資料を基に専門機関としての大学 で子育て支援センターへの支援をどのようにしていく べきかを考えていきたいそれらは,求められている 従来の専門的知識にとどまらず,「理想と理念に基づ

くセンター創り」「地域とつながりのある子育ての展 開」「既存のネットワークの再評価・再構築」「人的 資源の再開発」を実現するための情報や事例,方法論 等も含まれるべきであろう.

参考文献

l)古川久敬(1990):構造こわし-組織変革の心理 学一,誠心書二房.

2)肥後祥治(2003):地域に根ざしたリハビリテー ション(CBR)からの日本の教育への示唆.特殊 教育学研究41(3),345-355.

3)岩橋潤平(2005):熊本市内における就学前児の 療育の現状と課題一幼稚園・保育園等の調査を基 に-平成年度熊本大学教育学部養護学校教員養成 課程卒業論文.

4)山田美津子(2007):支援センターとしての保育 所の役割教育と医学,55(2),22-27.

5)’11下雅彦(2006)子育て再発見一それでもやっぱ り,子育ては楽しい一ミネルヴァ書房.

参照

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