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保育現場で生かせる音楽の力量 ~保育者養成校におけるピアノ奏法~

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Academic year: 2021

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保育現場で生かせる音楽の力量

~保育者養成校におけるピアノ奏法~

青 木 千 佳

Aoki Chika

はじめに

幼児期の子どもたちは、模倣を通して様々なものを吸収し成長していく。動作だけでな く言葉や感情もすべて受け入れるため家庭生活では親が、外部では身近な人が対象になる。

そのため、保育現場の保育者もその対象になる存在である。

保育者は子どもたちに、音楽を通してどのようにアプローチしていけばよいか。また、

そのために保育者を目指す学生が、ピアノの基礎から音楽性を身につけるにはどうすれば よいか。保育現場の音楽活動に求められるピアノ奏法について言及する。

保育現場の音楽活動は、ピアノを使用する保育所、または幼稚園が多いため、保育者に は生活の歌や、季節の歌、音楽会などの行事のピアノ伴奏、そして歌唱指導が求められて いる。本学幼児教育学科では保育者養成のための器楽指導として、ピアノを用いた授業を 行っている。初心者から経験者まで個々のレベルは様々であるため、指導者には、一人一 人の能力を瞬時に判断し適切な指導が求められる。そこで、ピアノを弾くために必要な音 楽の基礎であるソルフェージュの重要性と現場で求められるピアノ奏法について考察して いきたい。

Ⅰ.ソルフェージュの重要性

ピアノを弾くためには、まず楽譜を正確に読む必要がある。音を読み、リズムを叩く、

このような基礎練習のことを「ソルフェージュ」という。楽譜を読み取る力、つまり「読 譜力」をつけ、自分が出す音やリズムがどのようになっているのかを理解することで、音 楽の基礎を学ぶことが目的である。音感を育てるために、音を読むときは声に出して歌う。

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それは音の高低を体で感じることにより、弾くときに脳から指先への伝達をよりすばやく 促すためである。さらにリズムのみを声に出して読む、手で叩く、などを訓練することで 体の中に取り入れリズム感を養う。このとき、もっとも大切なことは「耳をつかう」とい うことである。なぜなら、音楽技能におけるレッスンの指導法について丸山(2001)は、

「演奏指導の場合、言語による指導以外に、演奏法を実際にデモンストレーションしたり、

歌うことによってその表現法を示したりすることが重要な教育方法となる」とあるⅰ。つ まり、教師の模範演奏をよく耳で聴き、自分が出している音は正しい音とリズムなのか、

間違ったまま音やリズムを弾いていないかを聴きわけるようになるためにも、常に聴く習 慣を身につけさせることが狙いである。

ただし、読む・歌う・聴く・弾く、そして理解力は一人一人の習熟度が異なるため、そ の子にあった適切な指導をすることが最も必要である。このような練習方法を継続するこ とで、譜読みが早くなり正確に音をとらえることが出来るようになる。その結果、眼(読 譜)と耳(音)と手(鍵盤)が同時に作用することができるようになりピアノを弾くため の基礎力がついていくのである。

Ⅱ.現場で求められるピアノ奏法

保育者には、幼児が歌を歌うとき、ピアノを用いて伴奏するという重要な役割がある。

伴奏は正確に弾くだけではなく、保育者は幼児を誘導しながら楽しく歌わせたい。しかし 既成の楽譜のまま弾くと、幼児の発声では出にくい音域で書かれている場合がある。その ような場合は、「移調」といって楽曲の形を変えずに原曲より高く、または低く音域を変え て弾くことを求められる。器楽の授業では1年前期の導入で移調奏を行っている。この移 調奏はコードを用いて行うことで、和声感ⅱを育てることにも役立っている。

また、ピアノを弾きながら歌詞を歌う「弾き歌い」は、ピアノ経験者でもあまり体験し たことがなく、初めは指先に気を取られてしまい口が動かなくなってしまったりする。そ のため練習方法として、まず歌詞を覚えさせてから①右手+歌、②左手+歌、③両手+歌、

というように、右手のメロディーと口の動きが同時になるまで片手ずつ練習を行う。幼児 は保育者の歌う声・ピアノと一緒に歌うため、保育者は声の大きさ、メロディー(右手)

と伴奏(左手)のバランス、さらに幼児が歌っているテンポに注意しながら弾き歌いをす る。教育の現場では生の音と生の声の指導のほうが、より子どもに沿って対応できるから である。

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それと同時に歌には歌詞があり、歌詞は意味を伴う。人間の感情をメロディーにのせて 表現できるということは、音楽が持つひとつの魅力でもある。保育者が歌の意味を理解し 楽しんで歌うことで、子どもにその気持ちが伝わり子どももいきいきと楽しく歌えるよう な心の交流ができるのではないか。したがってピアノを弾くときも歌詞の内容を感じ、気 持ちを込めて弾くことが望ましい。そのためにも保育者が「音楽を感じる心」を持つこと が大切であると考える。

幼児期の音楽教育は、聴覚、視覚、触覚などの感覚的な働きを通して、子どもの心の中 に入り込んでいく。保育者は模倣される存在であることを意識し、子どもに示すことも忘 れてはならない。音楽の基礎から表現力を身につけ、子どもと音楽を心から楽しみ、保育 の中でピアノを上手に使いこなせるような保育者を育成していきたい。

【註】

ⅰ河口道朗編著 丸山太郎著(2001)『音楽教育入門―基本理念の構築』音楽之友社、p.51

ⅱ和音(例ドミソ、ドファラ、シレソなど)の連結を耳で感じること。

【参考文献】

呉暁(1991)『ピアノの上達はソルフェージュから』音楽之友社

小林洋子(1994)『子どもの音楽にせまる―先生とおかあさんへ―』近代文藝社 谷田貝公照(2004)『保育内容シリーズ⑤【音楽】』一藝社

加納美智子(2006)『今日からできる7歳までのシュタイナー教育』学陽書房

ヴァージニア・ホッジ・ミード(2006)『ダルクローズ・アプローチによる子どものための音楽 授業』ふくろう出版

参照

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