長野工業高等専門学校紀要 ・第
2 5
号( 1 9 9 2 ) 1
噴流せん断層の衝突による直管共鳴音に対する低減法
倉津英夫 羽田喜昭 小幡輝夫
The metltod of attenuation for the acoustic resonance of the pipe by impingement of the shear layer of a jet
Hideo KURASAWA Yoshiaki HANEDA and Teruo OBATA
Se l f ・ s us t a i n e do s c i l l a t i o no fas h e arl a y e ro c c u r si nt hej e t ‑ pi p es y s t e mwhe napi p e i spl a c e dc o a xi a l l yw it har o un dj e taxi s .Theve l o c i t yf l u c t ua t i o ni nt h i sp he no me no n c o me st oha veape r i o d i c a lr e gu l a r i t y,a n dt h e nt hi sp h e no me no ni sa c c o mpa n i e dbya p u r et o n er a d i a t i n gf r o mt hel e a di n ge d g eo ft h epi p e .Tho u g ht h el e ve loft hi st o n ei s g e ne r a l l yve r ys ma l l ,ahi ghs o u ndl e ve Hsp r o d u c e dbyt hec o u p l i n go ft hea c o u s t i c r e s o n a n c eo ft hepi p et ot hepe r i di co s c i l l a t i o no ft he月o wi nt h ej e t .
Ⅰ nt hi spa p e rs e v e r a lme 仇o dsa r ep r o po s e di no r d e rt oa t t e n ua t et heac o u s t i c r e s o n a c ep r o d u c e dbyt hi sc o u pl i n g, a ndt h ee f fe c to fa t t e n ua t i o nf o rva r io usme t ho d si s i n v e s t i ga t e de xp e r i me n t a l l y.
1
.
緒 言噴流の ような自由せ ん断層の遷移領域 においては,そ こに存在す るか く乱 が下流方向 に向 か って大 きな運動を伴 いなが ら発達 して行 く. このか く乱が物体 に衝突す るとき, レベルは 小 さいがそ こか ら音 が発生 し,その昔 がか く乱 の成長 を制御 して くる.両者 の間に一つ のフ ィー ドバ ックル‑プが形成 され,せん断層 の自励振動 が発生 しか く乱 の振舞 いは周期的 にな る. この ような自励振動現象は従来 よ り数多 くの研究結果(1ト(6)があ り,エ ッジ音, キ ャビテ ィ音,せ ん断層音 と称せ られる具体例 が挙 げられ る.
このような現象に関連 して,丸 い ノズルから噴出 した空気噴流 の中に ノズル と同径 の直管 を置 くと,噴流速度,直管 までの距離 によ りそ こか ら大 きな共鳴音が発生 して くる. この音 の発生 はもともとせん断層 の流体的自励振動に起因す るが, この詳細 な発生機構 については 既 に報告(7)してきた通 りである.
工業的な観点か らす ると,共鳴音 の発生 は騒音 として捉 えられ る場合がほ とん どであ る.
特 に近年掃除機 を始め として各種工業製品では,その性能 の一つ として低騒音化 が重要 な課
●平成
3
年1 0
月 日本音響学会秋季研究発表会にて一部発表 日 機械工学科 助教授=●機械工学科 講師 HH 帝京大学 助教授
原稿受付 平成 4年5月
29
日題 となってきている.また快適 な生産環境を維持す る場合 にも,各種工業装置系で発生す る 音 を制御す ることが重要である.音の発生 は様々な要因で発生 して くるが(8)(9),その発生機 構 はまだ十分明 らかでない場合 も多 く,その防止方法 も確立 されていない場合 も多い.
本研究では,流れの持っか く乱 とそ こに存在す る音響系 とによる共鳴音,すなわち前述 の 円形噴流におけるせん断層の自励振動 と直管の音響的固有振動数 との相互作用によ り発生す る共鳴音の低減 について検討す る. ここでは具体的ない くつかの低減方法を提起 し,その効 果を定量的に比較 し,またその原因についても検討を加 えた.
2. 実験装置および測定方法
最初 に発生す る共鳴音に対 し,具体的な防止方法を取 りつけていない系での実験装置 につ いて述べる. この実験では音響特性を測定す る関係上,特殊 な風洞を用いて空気噴流を作 り 出 した.すなわち,通常の風洞では送風機等か ら発生す る各種 の音 はそのまま気流中に含 普 れ,騒音 レベルの高い噴流になって くる. ここで は送風機 の前後 に吸収型 の消音器 を設置 し,かつ送風機そのものを実験室外 に置 くことにより,噴流出口での騒音 レベルを極力押 さ えた.本実験での流速
9. 4 m/
Sを例 に示す と,噴流を流 した場合 と流 していない場合 の音圧レベルの差 は
l dB
以内に留まっている.このような噴流中に,図
1
に示す ように噴流 と同軸に直管を挿入 した. ノズル断面 は直径2 8 mm
の円形で,噴流の出口前 に1 0 0 mm
のス トレー ト部分が存在す る. このため ノズルの 管壁で,既に境界層が発達 して くることになる.一方,挿入 した直管はノズル径 と同様 に, 内径2 8 mm
で外径 は3 4 mm
である.斑管の上流側 は6
●の外 テーパで,先端 の厚み は1mm
に仕上 げてある. この実験で用 いた管長 は一定で,L=3 9 0 mm
を用い, この管長 の選択 は 従来 の研究結果(7)を背景にして選択 した. また,用いた主な記号は図中に示す通 りである.以後,図
1
に示 した噴流 と直管の関係を韮本系 と呼ぶ ことにし,本研究では韮本系で発生す る共鳴音 に対 し,様々な防止方法を試みた.実験 はノズル出口流速
U
.を9. 4 m/
Sと一定 に し,dtu‑管の位班を上流か ら下流へ移動 させ た.せん断層中での速度情報に対す る測定 は Ⅰ型 の熱線 プローブを用い,その波形お よびス ペク トルを調べた.直管‑の噴流衝突により発生す る音 は,
征野の後拙3 0 0 mm
の位置 に1 / 2
インチのマイクロホンを置 き,精密騒音計で測定 した.なお本災験 において, ノズル出口で の噴流の持つ特性 は管壁部分での境界層部分を除 くと一様で,乱れの大 きさは通常の風洞 と 比較 して大差ないことを確認 している.
3. 具体的な防止方法
挿入 した荘管か らの共鳴音の発生 原因の一つには,後述す るように ノ ズルか らDLf出 した噴流が,層流か ら ランダムな乱流状態に移行す る時 に 生 じる大 きな的形成 にある. この渦 は噴流のポチソシャル コア領域 と外 側の静止領域 との間に形成 され るせU。
;出口速度 l:ノズル,一直管間距離L
;直管の長さd
;ノズル出口直径r
;半径方向の座標 Z;流れ方向の座標Bll
基本になる実験系Z=二
噴流せん断層の衝突による直管共鳴音に対する低減法 (a)多孔板を用いる方法
空孔率
▲ I 0.00
2
0.ー5 3 0.37 A 0.60 (b)金網を用いる方法 (C) ト リ ッピングワイヤを用いる方法図
2
ノズル側に取 りつけた各種防止法ん断層領域 に作 られ,下流方向に向か って成長す る.渦の物体への衝突 によ り空力音 が発生 し,それがまた渦の発生を制御 し,結果 として流れが周期的にな り自励振動が発生す る.更 にこの自励振動が,直管か らの共鳴音 を誘起 して くる.
以上のことか ら共鳴音を防止す る一つの方法 として, ノズル出口での壁面近 くのせ ん断層 領域 を何 らかの方法で制御 し渦の形成 に影響を与 えることが考えられる. このような考 えか
ら,せん断層の振舞いに影響を与 えると予測 される次の
3
種類の防止方法を試みた.(a) 多孔板 による方法
ノズル出口端 に厚 さ
2. 5 mm
の多孔板を取 りつける.寸法 は図2( a )
に示す通 りで,中心部 分 を直径22 mm
の穴で くり抜 き,残 りの部分に直径1. 2 mm
の小 さな孔 を開 けた.小 さな孔 の部分の割合 は,次式 に示す空孔率(
A) によって定義づける.^‑ndL , 2 /
(d
2‑d
I2)但 し
,n
は孔 の個数,d
♪は孔の直径,d
はノズル径,d
lはくり抜いた穴 の直径で,実験 は図 中の表 に示す4
種類の空孔率について行 った.ここで中心部分を直径
2 2mm
の穴で くり抜いた理由は,渦の形成 は噴流の外側領域 に限定 され,中心部分の流れは直接関係 しないこと.更 に,中心部分を くり抜 くことによ り流れに 対す る抵抗をできるだけ小 さくし,圧力損失を小 さ くす る
90
ことにある.(b)金網 による方法 ノズル出口端 に平織金網 を 取 りつける. この場合 も多孔 板の場合 と同 じ理由か ら,中 心部分を放電加工 によ り直径
2 2 mm
の穴で切 り取 った.金 網 は木枠にたるまない ように 取 りつけ,図2
(b)に示す よ うgPl
d
S0・5 10 1・5 2・0
1/d 2.5 3.
0
35 図3
基本系における直管挿入位置に対する音響特性に ノズル端 に密着 させ て置 いた. また使 用 した金網 は線径
0. 2 m
m か ら0. 4 m
m の間 で1 0
,2 0 ,3 0
メ ッシ ュの3
種類 を選 んだ.(C) トリッピソグ ワイヤによる方法
図
2(
C)
に示す通 り, ノズル内壁 に直径1. 5 m
m の針金 を環状 に して取 りつけた. この 目的 紘, ノズル内壁 に形成 され る境界 層 を層流 か ら乱流 に遷移 させ ることにあ る.取 りつ け位置 は ノズル出口端 よ り上流方向に向か って0,1 0 ,5 0 ,8 0 m
m の4
種類 の位置であ る.4.
実 験 結 果4‑ 1
基本系における音響特性基本系 におけ る音圧 レベル と直管挿入位置 との関係 を図
3
に示す.直管 を下流方向 に移動 す ると図 中P
。,P
l,P
2な どに示 され るよ うに,音圧 レベルが急増す る位置 が現 れ る. この 大 きさは流速 に依存す るが,本実験 ではいず れ も
8 0 dB
を越 えてい る. 自由噴 流 の場合 あ るいは図3
で L,ベルの低 い位置 で はいずれ も4 6 dB
程度 の値 で あ る こ と か らす ると,その差 は極 めて大 きい. し たがって, この よ うな音 が実際 のIE業装 置系 の中で生 じて くると大 きな騒音 問題となる可能性 があ る.
音圧 レベルの急増 は,せ ん断層 中下流 方 向 に向 か って成 長 す るか く乱 (潤) と,その盲管への衝突 によって発生す る 圧力/くル スに よ り起 こる自励振動 にその 原因があ る. 自励振動 が起 こる と, さら にそれが直管 の持つ音響的固有振動 を励 起 し大 きな共鳴音 を作 り出す. この よ う
な共鳴音 はまた流れの中に よ り明瞭 な渦 の存在 を伴 う.
渦 が形成 された可視化 の一例 を図
4
に 示 す.可 視 化 は ス モ ー ク ワイ ヤ法(10)に よるものであ る.聴 くした部屋 の中で, ワイヤに流動パ ラフイソを塗布 し通電加 熱 に よ り気化 させ,それを噴流 の トレーサ としてス トロボを瞬間的に閃光 させ, 写d.撮影 した.実験条件 は噴流出 口流速
9. 4 m/
S,管長3 8 0 m
m でその挿 入位 置 は/ 6 2 m m ( d/J =2. 2
1)で あ る.写 真 は何校かのlr;'井 を並べた ものであ るが, 大 きな制が形成 さJtF流方向に移 動 して図
4
基本系におけるせん断層の可視化( Uo =9. 4 m/ S ,L‑3 8 0 mm)
噴流せん断層の衝突による直管共鳴音に対する低減法
い く様子が理解で きる.共鳴の発生 によ り渦が増大 させ られることも事実 であ るが,渦が共 鳴発生 の大 きな原因 となっている.そ こで具体的 な防止方法の ところで述べたが,可視化結 果 に見 られ るよ うな渦形成 を制御す ることによ り音 の発生が抑制で きると期待 され,次 の定 量的な結果 を得た.
4‑ 2
各種防止 を用いた場合の音響特性( a)
多孔板 を用いた場合多孔板 を ノズル出口端 に取 りつ けた場合の音響特性 の結果 を図
5 ( a)
に示す.A‑0
は, 中 心 を¢2 2
の穴 で くり抜いただ けで小 さい孔 は全 く開いてい ない.^=0. 6
は半分以上,小 さ な孔 を開けた場合である.1‑0
では上流側 で7 0 dB
を越 える音圧 レベルが存在す る と同時 に,下流方向のJ / d‑0. 5
以上 で も大 きな ピークこそ出現 しないが音 圧 レベル全体 が高 い値 に留 ま り,多孔板 の効果 は小 さい. A‑0. 1 5
にす ると最大6 0 dB
以下 にな り,音圧 t/ベルは大 きく減少 して くる. しか し,∫ / d>1. 3
での下流域で共鳴音 の発生 はないが,や は り全体 に大 きめの値 に留 まっている.1‑0. 3 7 ,0. 6 0
とさらに空孔率 を大 き くす ると,両者 とも高い ピ ークは出現せず,共鳴 は発生 して こない. したが って,空孔率 を大 きくす ると,効果的であ ることがわかる.ところで
1=0
の多孔板 の取 りつけは, ノズル出口端 にオ 1)フイスを有す る系 に対応づ け られ る.空孔率が0
以外では純粋 なオ リフィスの特性 とは異 なってこようが,似た傾 向を示 す ことも事実であろ う.オ リフィスが存在す ると,図6
に示す よ うに縮流 を伴 った噴流 となって, ノズル出口後 にや は り
渦を形成 して くると推測 で き (a)挿入直管内径
2 8 mm
の場合 る(ll). した が って この よ うな場合 には,図
6
の破線 で示 す よ うにオ リフィスの径 と同 一径 の内径2 2 mm
の直管 を置 くと,渦が衝突 し大 きな共鳴 音が発生す る可能性 を持 って いる.これを調べ るため に,内径
2 2 mm
,t外径2 6 mm
,長 さ3 9
0ー0 0.5
1 . 0
1.5 2・O l/d (b)挿入直管内径2 2 mm
の場合mm
の直管 を挿入 し,多孔板9 0
を取 りつけ音響特性 を測定 し た.結 果 を 図
5
(b)に示 す.1‑0
お よび1‑0. 1 5
で は上 流側でい くつかの音圧 レベル のピークが発生 し多孔板 の効 果 は小 さ く,下流側 で もかな り大 きな値 に な って い る.1‑0. 3 7
と空孔率 を大 き くす る と,∫ / d<1
で は大 きな音由PldS
2.5 3.0 3・5
0.5 1.0 1・
5
210 2・5 310 3・5 1Jd図5 多 孔板を取りつけた場合の音響特性
が発生す るが,下流域 に置かれ ると音圧 レベルは非常 に小 さくなる. さらに
入=0. 6
にす る と多孔板の効果 は大 きく,上流側でも高々6 5 dB
が最大で,他 は極めて小 さく下流側 では全 く共鳴音 は発生 してこない. このように直径22 mm
の直管では直径28 mm
の場合 に比較す る と,多孔板の効果 はやや減少す ることがわかる. より一層空孔率を上 げることによりかな り 効果を上げられ ると期待できるが,工作設備等の問題か ら空孔率の大 きなものの制作 が難 しく,現段階では確認 していない.
(b) 金網を用いた場合
金網 を用いた結果を図
7
に示す. この程度の目の粗 さを持っ と,目の粗 さに関係な くいず れ も共鳴音 は全 く発生 してこない.音圧 レベルは,直管の挿入位置に関係 な く極めて小 さ く 一定であ り, この効果 は基本系での音響特性を示す図3
と比較す るとき顕著である.更に多 孔板に比較すると流動抵抗 も非常 に小 さ くな り, この点か らも優れた防止方法 といえる. 普 た,構造状か ら多孔板 のような縮流を起 こす こともな く,それによる渦の発生 もない と推定 で きる.( C )
トリッピソグワイヤを用いた場合 トリッピングワイヤを用いた結果を図8
に示 す.取 りつけ位置 は4
種類である. ノズル出口 端 に取 りつけたS‑0
の場合では基本系 と比較 し大 きな相違が な く,その効果 はほ とん どな い. これはノズル出口端 に小 さなオ リフ ィスを 取 りつけた場合に相当 し,やは り縮流によって 渦が発生すると考 えられる. このため,音圧 レ ベルの低下にほとんどその効栗 が現 れ なか った とみ られ
7 0
る・S=1 0
にす る と・そ の効 等60 果 は極めて大 きくなる. ノズ 、 己 ル出口端近 くに直管が位置す るときは多少音圧 レベルが上 昇す るが,その他では一様 に レベルが小 さ くな る.S‑5 0
紘, トリッピングワイヤ法の ヰ で最 もそゐ効果 は大 きく, 共鳴は発生せず極めて小 さな 値 になる. これは ノズル内壁 での境界層が, トリッピソグ ワイヤにより層流か ら乱流 に 遷移 し, ノズル出口でのせん 断層部分でのか く乱が ランダ ム化 されたため と考 え られ る.更 に Sを大 き く し,S‑
90
8070印5gPldSト bzzl e
図
6
オ リフィスによる縮流と渦の形成85 1・0 1・5 2.0 2.5 3,0
1/
d図
7
金網を取 りつけた場合の音響特性3.5
0.5 1.0 1.5 2.0
1/d 2.5 3.0 3.5 図
8
ト1)ッビングワイヤを取 りつけた場合の音響特性噴流せん断層の衝突 による直管共鳴音 に対する低減法
8 0
にす る と,∫ / d‑0. 3
にSPL
の鋭い山が出現 し,音圧 レベルが大 きくなる.今 の段階 では なぜ このような山が出現す るか明 らかではない. このように, トリッピソグワイヤ法では適 切 な取 りつけ位置が存在 している.4‑ 3
波形およびスペク トルの比較せ ん断層中 (約
r / R‑
1,Ⅹ/ ∫ ‑0. 5
の位置)での速度変動 をホ ットワイヤお よび熱線流速 計にて測定 した.熱線流速計か らの出力信号は高速 フー リエ変換器に入れ, スペク トル分析 を行 った.ただ し, ここでの窓関数は‑ニソグを用いた. また,直管の挿入位置は,いずれ も基本系での音圧 レベルが最 も大 きくなるl / d‑0. 7 5
に固定 してある.図
9
に基本系および各防止法を適用 した場合での速度の変動波形お よびスペ ク トルを示 す.図9 ( a)
は,基本系の場合でJ / d=0. 7 5
の位置では,図3
で示す通 り8 5dB
の大 きな共鳴 音P
lが発生 している. このとき速度の波形 は一定振幅で周期的に変動 してい ることがわか る.対応 してスペク トルには41 0Hz
に最 も卓越 した成分が現れ, この高次成分 も出現 して くる. ピーク周波数の41 0 Hz
は,管長か ら計算 され る音響的固有振動数 と一致 してお り, 共鳴周波数 となっている. このように共鳴音が発生 している状態では,せん断層のか く乱 は 周期的に変動 し,かつその周波数は直管の固有振動 と一致 して くることがわか る.更 にこの 周波数は,図4
の可視化結果 に示す渦の発生周波数 とも一致 しているが確認 されている.図
9
(b)は1‑0. 6
の多孔板 を取 りつけた場合の結果である.速度の波形か らは明 らかに周 期性が観測で きない.比較的大 きな乱れの中に小 さなか く乱 が重畳 してい るよ うに思われ る.スペク トル分布では1. 2 kHz
近辺にい くつかの卓越 した成分が観測 され るが, これが何 に原因す るか今の段階では確定できない. この点を除 くと,波形が ラソダム化 した ことに対 応 し,鋭いど‑クは存在 してこない.メッシュ
2 0
の金網 を取 りつけた場合の結果を図9(
C)
に示す.速度波形に周期性が観測 され ず, ランダムな状態 になっていることが認め られる. また,多孔板 と比較す ると高い周波数 を持 った小 さなか く乱 の重畳 も存在 していない.スペ ク トル分布 では,7 5 0 Hz
にわずかに 小 さな卓越成分が見 られ るが,その他では21 0 Hz
を最大 に して右下が りのなだ らかな分布 となっている.すなわち,特定の変動成分を持 ったか く乱が存在せず,周期性が失われてい ることがわかる. このように,金網 によるせん断層中のか く乱のランダム化が,共鳴音発生 の防止につながった といえる.図
9( d )
は, トリッピングワイヤをS‑5 0
に取 りつけた場合である.速度波形 は金網 の場合 と同様に,周期性は見 られず ランダムな波形になっている.更 に,スペク トルで も卓越 した 周波数成分は全 く出現せずに,1 9 5 Hz
を最大 に してなだ らかな分布 となってい る. これ は ノズル内壁に形成 される境界層が, トリッピングワイヤの存在 により層流か ら乱流 に遷移 し たため と考えられる. このため, ノズルから噴出 した噴流の持つせん断層 は既 に乱流 に遷移し,金網 の場合 と同様 にランダムな流れになった と考 えられる.
以上各種防止を行 った場合,いずれ も速度の波形はランダムにな り,スペク トルか らはほ ぼ卓越 した成分が消え,全体 になだ らかな分布 に移行 している. これは共鳴が発生 してい る 場合のように渦が周期的に発生 し,せん断層に自励振動が起 こっている安定 した流れ とは明 かにバターンが異なっている. このように周期的な渦の崩壊が,共鳴音の発生防止 につ なが った といえる.
(a)基本系の場合
旺
…
Ll
5,
㍍ C(b)多孔板 の場合
帆
.F
m ‑: ‑: I ‑T
l M 亡 ▲
LIN ▲OLS亡C Xi .0314SEC Y: ‑38.20●V(C)金網 の場合
旺…三千后 。
(d) トリッピング ワイヤの場合
二 ‑ :t=
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▲
■■●LINZ l H J
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1
0.OHt工 . !
‑15.
51dB Vニ ー
‑ :
I図9 基本系お よび防止法を取 りつけた場合の速度の波形 とスぺ タ レ レ
噴流せん断層の衝突による直管共鳴音に対する低減法
5.
結 言円形噴流の中に直管を置 くと挿入位置により音圧 レベルが急激に増大 し,直管の管長 によ って決まる共鳴音が発生 して くる.共鳴音 の発生位置 は,本流速では概ね直径 の
3
倍以 内に 限定 されている. このような共鳴音の発生 は既に報告 してきたが,噴流せん断層中に形成 さ れる渦が重要な役割を果た している. この事実を踏 まえ,具体的に音を低減化す るために3
つの方法 を試み,次の結論を得た.(1)具体的な防止方法 として, ノズル出口端に中心部分を くり抜いた多孔板 を取 りつける方 法,同様 に中心部分を くり抜いた金網を取 りつける方法お よびノズル内壁 に トリッピング
ワイヤを取 りつける方法を提案 した.
(2)多孔板の場合には,他の 2つに比較す るとその効果 は小 さい.特に空孔率が小 さい と悪 いが, これを大 きくす ると効果的であることが確認 された. また,空孔率を大 き くす るこ
とは流動抵抗を減 らす上で も有利である.
(3)本実験で使用 した金網のメッシュサイズでは,いずれ も共鳴音 は全 く発生せず非常 に効 果的であ り,かつ金網 は空孔率 も大 きい ことか ら流動抵抗 も非常 に小 さく, この点で も優 れた防止方法であるといえる.
3
つの方法の中では最 も簡単で効果的であった.(4) トリッピングワイヤ法ではその取 りつけ位置によ り大 きく影響 され, ノズル出口端 ある いは逆 にかな り上流 に取 りつけると効果が小 さい.出口端か ら
50 mm
程度上流に取 りつけ た とき,最 も効果的で共鳴音 は発生 しなかった.(5)防止策を施 し,共鳴音が発生 しない場合の速度変動 の波形およびスペク トル分析の結果 をみると,速度の波形は周期性がな くな りラソダム化 して くる.対応 して,そのスペ ク ト ル分布 においても大 きく卓越 した成分がなくなることが確認 された. これはノズル出口直 後 に形成 されて くる大 きな渦が,各防止法により壊 されたため と推測できる.
なお,本研究の一部 は,㈲浅間テクノポ リス開発機構,平成
3
年度研究補助金 によ り行わ れた.関係各位 に心か ら感謝申し上げます.参 考 文 献
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(7) 倉沢,小幡他 "軸対称噴流一有限長直管の自励振動現象〝日本機械学会論文集
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号,S
6 2
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