開水路 におけ る最大乱子の諸特性*
松 岡 保 正**
1 . ま え が き
土木工学が対象とする開水路の流れはすべて乱流状態にあるが,その流れの実用的な抵抗 別は
Ma nni ngや Ch6 z y
に代表 され る古典的なものであ り,半経験的な実験公式の域を出 ない.乱流抵抗別に一歩接近 したものとしては, Prand
tlの混合距離理論にもとづ く平均流 速の対数分布別がある. この対数分布則は実際の流れの流速分布を非常に良 く説明 している ために,その理論的なうらづけが種 々試み られてきた.Monin
とObo ukho v
よる相似理論(1),Ma l kus ( 2 )
に よるエネルギー退散最大 とい う変分原理にもとづ くもの,井上の乱子理論(3)にもとづ くものなどがある. このうちで井上のものは近代乱流理論の
1
つである乱子理論にもと づ くものであ り乱流の内部構造に深 く根ざ している. これによると,平均流速分布,摩擦抵 抗などはすべて,流れの中の最大乱子の特性に より説明され る.すなわち,乱流場には最大 乱子か ら最小乱子にいたるあ らゆる階級の乱子が幅広いスペ ク トルで分布 しているにもかか わ らず,平均流速分布形成のもととなる運動量輸送は最大乱子に よる効果のみで十分説明で きるのである.乱流場の各乱子域のうちで,エネルギーカスケー ドを行 う中間乱子域の特性については,
Ko l mo go r o v
の相似理論や井上の乱子理論,さらにはKr a ic hnan
の理論などに よりかな り 十分な説明が行なわれている.また,エネルギー逸散をおこな う最小乱子域についても種 々 の理論的な接近が試み られている. これに対 して,乱流場で最 も支配的な最大乱子に関 して は,理論的な研究は全 くない.それは最大乱子が著 しい非線型性を示すか らである.最大乱 子は平均流 と乱流場を連結す る窓 口にあた り,平均流のひずみにもとづいて レイノルズ応力 を通 じ平均流か ら乱流場へのエネルギーを導入す る役 目を浜 じている.最大乱子の特性 としては,まず幾何学的特性 として,そのスケールが考え られ る.乱子の スケールに関 しては,接地気層においては乱子の長 さが乱子の存在す る高度の
10
倍,幅およ び厚さは0 . 4 5
倍程度であると主張す る井上(4)のものがあるが,一般には定説がない.運動学 的特性 としての乱子速度は,流れ方向で摩擦速度の2 . 8
倍,鉛直方向で摩擦速度の程度であ ることが知 られている.力学的特性 としてのエネルギー伝達率に関 しても大体の傾向は知 ら れているが特に定説は見当 らない.本研究は,開水路流れにおける最大乱子のこれ らの特性を実験的に研究す る第一歩 として, レイノルズ数が大きく乱流皮の大 きい現地水路におけ る実測か ら, これ らの諸特性の鉛直分 布を明 らかに しようとしたものである.
★ 昭和5
0
年1
月 土木学会中部支部研究発表会において発表… 土木工学科助手
原稿受付 昭和5
0
年10
月6日
80
長野工業 高等 専門学校紀要・第
6号2 . 乱子速度と乱子のスケール 2・1
乱読理論一般乱流場には,最大乱子か ら最小乱子にいた るあ らゆる階級の乱子が巾広 く存在 している.
そのあ りさまは
Ri c h a r d s o n
の詩が うたっているように(5). 平均流か ら最大乱子へ流入 した エネルギ‑は,中間乱子領域をカスケー ドしてゆき,最後には粘性の作用で熱エネルギーへ と逸放 してゆ く. これを井上の乱子理論に従 って定式化す ると次の ようである.まず,階級 Aの乱子の直径を ス,その乱子速度を vAとす ると,
誓 彩
CO n s t( ‑
i),・ ・ ・ ・ ・ ‑. ・ ・ ・ ・
・・(1) と表わされ る(6). 亡は普通, 単位時間単位質量当 りの乱流エネルギーの逸散率 といわれ るが, 隣 り合 う階級の乱子間のエネルギー伝達率 ともみなされ る.近代乱流理論の成果はこの簡単な式に集約 されているわけであるが,その表現形式はいろ いろある.歴史的には
Ko l mo g o r o v
の構造函数表示が最初であるが, これ と同等な ものとして井上流に相関係数で表わせば(D,次式のようになる.
R( r ) ‑1‑( 去 ) 2 ′ 3 . ・ ‑‑・ ・ ・ ・ . ‑( 2 )
ここにLo
は最大乱子のスケール,r
は乱流場におけ る相関点間の間の距離である.Ob o u kh o v,We i z s a k e r ,He i s e n b e r g
流にスペ ク トルで表わせば,F( A) ‑Ce 2 / 3 k‑5 / 3 ‑‑・ ・ ・ ・ ・ ・
・・・(3) ここにC
は普遍定数, k
は波数である. これ らの式はいずれ も中間乱子域でのみ成立す るも のである.これ らの式を,われわれが普通に使用す る
1
次元Eu l e r
的な時間,周波数形式に変換す る と,R(
T)‑1‑( 去 ) 2 ′ 3
,・ ・ ・ ・ ・ ・
・・ ・ . ・ ・
・・・(4) F(n)‑(
# 3(i)2'
3e 2 ′ 3 n ‑5 ' 3 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ‑・ ・ ・
・・・(5) となる. ここにTo ‑Lo /
おはは最大乱子の通過時間,n
ほ乱子の通過周波数,
Cは普遍忌数, 盃は平均流速である.これ らの式は本来その理論構成 の仮定か らして,中間乱子域においてのみ成立するもので あ るが, これを拡張使用 し, 最大乱子にまで適用できるとす るのが井上,
I . a nd a u‑ Li f s h i t z
の考え方である.すなわち,(1)と同 じ形式が最大乱子の乱子速度 V。とそのスケール ん との 問に も成立 して,1
71
:た こ,な る関係が成立す ると主張す るものである.
・ ・ ‑・ ‑‑ ‑( 6 )
開水路に おけ る最大 乱子 の諸特性
81
2・2最大乱子のスケールと速度の評価法
一般に乱れの速度は流速変動の標準偏差で
∨
蒜訂のように与え られ るが, これは,内容的 には乱れのエネルギースペ ク トル密度をF( n)
とすれば,ZLIB
‑ ∫ o n F( n) dn, ・‑・‑‑‑・ ・ ( 7)
であることか らもわかるように,あ らゆる階級の乱子速度か らの寄与か ら成 り立っている.
しか し, これがほぼ最大乱子の乱子速度に等 しいことは井上の乱子理論か らも明 らか で あ
る (7).
一方,最大乱子のスケールは,水路のスケールか ら一義的に決定 されるはずであるが;そ の推定には種 々の方法がある.乱流構造 とは無関係であるが,普通良 く用い られるものに積 分スケールとセ ミスケールがある.積分スケールは,
Lx ‑ 可 o w R ( T ) dT・
‑・.・・・・・・・・・・(8)に よって求め られ る. セ ミスケールは, 自己相関係数R(で
)
を指数関数で近似 し, R(I)が0 . 6
に落ちる時の 丁を求め, その2
倍の時間と平均流速 との環 としてえられる.一方,乱流 構造 と結びつけた求め方 としては, (4 )
式に示す井上の自己相関係数表示か ら求める方法, ェネルギースべ ク t/レを求め,最大の エネルギー に相当す る周波数no
を最大乱子の周波数 であるとして,L. = 旦
no
I ‑・‑‑‑‑(9 )
により推定する方法,流れ方向の流速変動の同時空間相関を測定 し,その値が 0に落ちる距 離を最大乱子のスケールとす る方法などがある.
エネルギー伝達率については,退散スペ ク トルに よって次のように表わされ る.
e = q
LEn2F(n)dn. ・・・・‑‑・‑・(10)これを求めるには最小乱子域 の逸散スペ ク トルの測定が必要であるが,一般的には,その測 定が困難なため,定数 Cを与えて中間乱子域のスペ ク トル(5)式か ら求め られ る.
3 . 観測およびデータ処理 3・1
測 器最近は,実験水路における乱れの計測に用いられ る流速計 としては,受感部の寸法が小さ いことか らホ ッ トフイルム流速計全盛の感がある. しか しこの流速計は流体内に熟 した受感 部をさらすため,水中の使用には原理的に問題があると考え られ る. この他の測器 としては, 超音波流速計, レーザー流速計,プロペ ラ式流速計などが普通考え られるが, ゴミなどの浮 遊物がある現地水路で,容易に しかも長時間安定 した測定をす る場合にはプロペ ラ式流速計 が最適である.プロペ ラ式流速計で乱れを計測す る場合,測器の大きさに よって生 じるエネ ルギースペ ク トルの高周波端の切断が問題とされ るが,本研究は最大乱子を対象 としてお り, 流速計の寸法は最大乱子の寸法 よりもはるかに小さいためこの点での問題はない.
8 2
長野工業 高等 専門学校紀 要 ・第6号本研究には外径
1 . 3 c m
,金属性4
枚羽根の小型 プロペ ラ流速計を用いた.測定原理は,プ ロペ ラが1
対 の白金電極の間を回転す るとイソピーダンスの変化に よってパルスが生 じるよ うにな ってお り, これを数えて流速を求めるとい うものである.今回の観測においては,こ のパルスを動歪計に よって電圧パルスに変換 し, さらに充放電式の周波数一電圧変換装置に よってアナ ログ変換 した後, p‑パスフィルターで リップルを取 り除いて レコーダーに記録 した.なお, この流速計の時定数は,観測時の流速の範囲内では0. 1 2
秒程度である.1
次元スペ ク トルを測定す る場合,測器の寸法 と慣性に より高周波端の切断が生 じるため, 時定数 T*と測器の寸法 Lに よるスペ ク トルの切断状況を検討 してお く必要がある.いま, 時定数 で*,空間寸法 上の測器で
Ede r
流に測定す ると, 実際にえ られ るのは主流 方 向の1
次元 スペ ク トル,F.・,・(k
l ) ‑ J J :
∞@・・,iK,
a)dk2
dk 3 ・
が変形 した,
F ^E , ・ ( k l ) ‑l T k射 二
等穿 き¢・・,・(K)dk2dkBI・‑‑‑‑
‑
(l l )
・‑‑ ・‑ ‑
‑( 1 2 )
である( 8 ) .
ここにKは波数べ ク レレ, ¢LJ・は定常‑様な乱流場におけ るスペ ク トル密度テソソル
, L*
ほ応答距離でL'‑
‑u
T*と表わされ る. 本研究に用いた流速計はT *‑0 .1 2
秒,I=1 ・ 3 c m
であるか ら,仮にu ‑‑7 0 c m/ s
ee,波数を0. 0 21 /c m‑
1(周波数n ‑ 1 . 41 /s e
c‑
I) とす ると上式 よりエネルギースペ ク トル密度は其値に対 し9 5 %
の値 となる.畠・2
戟 測 水 路小型流速計に よる観測は
2
種 の水路について行な った.各 々の水路についてその断面形状 を図1
,図2
に示す.両方の水路 とも3万が コンク 1)‑ トで ライニングされてお り,畏業用 水路の上流部であ るため浮遊物が少な く長時間安定 した測定ができる.観測地点は,水路の 撃 曲の影響が入 らない ように上流に向って水路の幅 の10倍以上の直線部分がえ られる場所を 選 んだ.測定は,水路の中央に鋼管を固定 し,銅管に沿 って流速計の高 さを変えて行なった.なお, 流速計はこの装置に より, 銅管の影響を受けない よう鋼管か ら上流側へ
2 0 c m離 してセ ッ ト
されている.
図
1
現地水路 (水路1) 図2
現地水路 (水路2)
3・3
観 測 時 間流れを
Eu l e r
流に測定す る場合,測器の寸法 と慣性に より高周波端の切断が生 じる一方, 観測時間γに よって低周波端の切断が生 じる.低周波端の切断は測定精度に影響 し,また, 不必要に長時間観測をす ると流量変動li:ギに影響 され ることもあるので最小限必要な観&rl時 間(9)を選ぶ必要がある.開水路におけ る最大乱子の諸特性
8 3
今,観測時間
T
の測定か ら求めた乱子速度を(
言巧T
,積分時間スケールを( Tx )
Tとすれば, (u7i
),
/u
T2‑1‑ %
IoT(T‑T)R(T)dT・ ・・・・・・‑・‑・
・( 1 3 ) T<To
,かつTo <T
の場合Ko l mo g o r o v
の局所等方性理論を拡張解釈 して,272(1‑R(丁))‑C(言u‑T)2/3,
と佼定すれば,
(
7 2) T / p ‑1‑i 芋, ( Tx ) T / Tx ‑( 1 ‑ ‡ 芋)
:′2とな る.実際の観測に当 っては井上の考え方に従 って簡単に,
T=1 0 0
三tL
‑・‑‑‑
‑( 1 4 )
‑・ ・ ・ ‑・ ‑‑( 1 5 )
‑・‑‑‑
‑
(1 6)
‑‑・‑・
‑
・(
17) に よって観測時間を選んだ. Zは水路床か らの高 さである.今回の観測ではエネルギースペク トルのピークを見易 くす るため
( 1 7 )
に よるT
よりも長 く観測 した.結果 の整理 の都合上, 同一 の水路におけ るT
は同 じ値 とした.3・4
データ処理観測に よってえ られた流速データか ら, 自己相関お よびエネルギースペ ク トル密度を求め るため
,: 0. 2 5
秒間隔で72 0
個を読み とった.最大ず らし数は 〟 ‑144個 とした.観測時問の 割にず らし時間を長 く取 ると,自由度が小 さくな って精度が低下す るため本来ず らし時間は 観測時問の1 /1 0
以下であることが望ましいが,今回はエネルギースペ ク トルの集中を, より 直観的にす るために最大ず らし数を大 きくした.なお,相関お よびェネルギースペ ク トル密度は
Bl a c kma n‑ Tut ( e y
法に よって求め,得 ら れたスペ ク トル密度には‑ ミソグウィソ ドゥをかけて平滑化 した.4 . 観 測 結 果
以下において,水路
1
お よび水路2
における一連 の観測か ら得 られた結果を示す.まず最 初に,乱子速度,最大乱子のスケール,エネルギー伝達率を求め るもととな った一連 のグラフの うち
, 1
例 として水路1
におけ るZ‑9 5 c m
の点に関す るものを図3‑
図7
に示す.Z‑95 c m
においては, 平均流速が1 0 4 c m/
see, 乱子速度が8. 4 c m/ s
ec であ った. 図3
より,( 8 )
式を用いてT
,求めると0 . 25
秒 とな り,積分スケールはL3 r ‑2 6 0 c m
になる.図4
は 自己相関の うち, ラグタイムの小さな範囲に着 日し,指数函数 (図中の直線)で近似 した ものである. このときセ ミスケールは1 8 5 c m
となる. 図5
はエネルギースペ ク トル密度のグ ラフであ り,中間乱子域では‑5 /3
乗則が良 く成立 している.高周波部分で直線か ら外れて くるのほ,3・1で述べたいわゆる高周波端のエネルギースペ ク トルの切断である.エネルギ ー集中を直観的にす るために nF(n)‑l o g
nにプpッ トし直 したものが 図6
である. この曲 線の ピークの周波数か ら式(9)に よって最大乱子を求め るとL0 ‑8 7 0 c m
がえ られ る.なお, 図5
におけ る‑5 /3
乗の直線に( 5 )
式をあてはめるとエネギルー伝達率は0. 8 9 c m
2/seC3とな る.長野工業高等専門学校紀要 ・第
6
号図
3
自 己 相 関 係 数5.0
図
4 R( I )
の指数関数近似(333S/ltH3)(u)hu
1:V i1.5
図
6
エネルギ ースペ ク トル00‑(:3.S/ztu)(u)h1
o・01 0・l n(1/see) 1 図
5
ェネルギ ースペ ク トル密度●●●●●●●●一■■●
o・5 1∫(see) 5 10 図
7
井上の相関表示への近似開水路における最大乱子の諸特性 図
7
は井上流 の相関係数表示を した もので直線は2 / 3
乗 を示 している. グラフよ りTo
は3 . 6
秒であるか ら最大 乱子の長 さはエ0 ‑3 6 5 c m
とな る.4・1
乱 子 速 度流れ方 向の乱子速度は流れ方 向の混合に関係 し,流速 変動の標準偏差 ∨;声 で表わ され る.それについて縦軸 を相対水深
j Y / H
とし,横軸を平均流速 との比示
可 iiとしてプ ロッ トした ものを図
8
に示す.傾向 としては,他 の多 くの実験 お よび観測 と同様に水路床に向って増加 し てい る.1.0「
○ ●
○ ●
0 ○ ● ●
く
〉 ●
0
●
○ ○ ● ●
Oe
0 . 0 5 0 . 1 0 0 . 1 5 0 . 2 0
Jiラ/百
図8 乱子の相対速度I
.0
コ:
\
N 0.5
●1ネルr‑スぺタIルのど‑タに上る o 井 lの札‑T巧詮 に上る
5.0 Lo/lt
図
9
最大乱子スケール1 0 . 0
4・2
乱子のスケール最大乱子のスケールを推定す るには本文2・1で述べた ような方法が あ る. 最初に, 乱流 構造に もとづいた方法である井上の方法 とエネルギースペ ク トル曲線の ピー クか ら推定す る 方法で求めた ものについて,縦軸を相対水深,横軸を水深 との比
Lo / H
と して プ ロッ トし た ものを図9に示す.図が示す とうり,いずれの方法で求めた場合に も最大乱子 のスケール は水路床に向 って小 さくな る傾 向が良 く出ている. また,エネルギースペ ク トルか ら求めた ものは井上の乱子理論に よるものの1 . 5
倍2
倍にな ってい るようである.次に積分 スケール1 . 0
コ =
\ N 0 . 5
(●0I●0⊂0)● ●
00●●
o
● ●
約分スケール○● 〇七ミスケ一・ル
0 1 L, /l l 2
3図
1 0
積分スケールの鉛直分布1 . 0
≡ :
\
N 5 . 0
+水
和l
f O水
和2
● ○○
● ●● ● ●
○5 e( c m
2/s
ec
3)図1 1
ェネルギ‑伝達率8 6
長野工業高等専門学校紀要 ・第6
号について図
9と同様にプpッ トしたものを図1 0
に示す.図が示す とお り,セ ミスケールか ら 求めた ものは水路床に向って小 さくな る傾向を示 しているが,積分時間スケールか ら求めた ものは明瞭な傾向が現われていない.セ ミスケールは余越の求めた ものと同様 の傾向を示 し てい る. なおZ‑ 1 1 5 c m
におけ る積分時間スケールは求め られなか ったのでプロッ トして ない. この原因については考察の所で触れ ることにす る.4・3
エネルギー伝達率エネルギ‑伝達率は逸散スペ ク トルか ら求めるのが普通であるが,今回の観測に使用 した 流速計では退散スペ ク トルを求め ることができないので,中間乱子域で
‑5 /3
乗別が成立 し てい るものとしてエネルギースペ ク トル密度分布か ら(5)式に よって Sを求めた. このとき, 普遍定数C
は0 . 5
に近い値をとることが良 く知 られている. このように して求めた Sについ て縦軸を相対水深,横軸を Sとしてプ ロッ トした ものが図11である.図が示 しているとうり Sは水路床に向って増大 している様子が良 くうかがえる. しか し,余越の求めた りこ比較 し て中には10
倍に も達す るものがあるので,余 りは っきりした ことは言えない.5 . 考 察
乱子の相対速度については他の実験および観測 と同様の結果が得 られたが,積分スケール については満足な結果が得 られなかった.その
原田は積分スケールが 自己相関係数を もとに し て求め られた ことに よる. そ の 例 が観測
1
の3 = ‑ 1 1 5 c m
におけるものである. これを図1 2
に 示す. このように,いつまでも相関が 0に落ち ない場合積分時間スケールは求め られない. こ の様 なことが起 るのは水平乱流場の影響ではな いか と考えて,水路の幅B
と水深H
の比が異な る水路で長時間の観測を して み た (表 1).観 測には直径1 3 c m
の充電式 プロペ ラ流速計を用5
r( se e
) 10 15 図12 自己相関係数表 1 観測した水路の断面形と流速
(lJaS/lur3)(u)hu5
D1 0・01
n( I /s
ee)0.I図13 ェネルギースペクトル分布
開水路に おけ る最大 乱子 の詰特性
8 7
いた.その結果を図13
に示す.これ より大 レイノルズ数の水路においては
,B/ H
が増大す ると鉛直乱流場 の最大乱子に 相当す る周波数 よりもはるかに低周波の部分でもエネルギースペ ク トルの ピークが現われて くる. これが,水平乱流か らの乱れのエネルギー‑の寄与である.同様の結果は余越凹 の, 実河川での測定においては,更に明瞭に現われている.以上の理由で,現地水路お よび実河 川の ようなB/ H
の大 きな開水路においては, 積分 スケールに よって乱子のスケールを推 定す る方法は適切ではないと言える.エネルギー伝達率については,発電式 プロペ ラ流速計を用いた場合,オーダー的には余越
冬 ¢
らが求めたものと変 らないが,同一 の水路でも,小型 プロペ ラ式流速計で求めた ものは,数 倍のオーダーになる. この原因についてはわか らない.参考 までに 8を最大乱子のスケール と乱子速度に よって
E ‑a(
∨ ;罪) 3 /Lo
と表わ して普遍常数aの値を求めた ところ,水路1
で は0.83
,水路2
では0.85
となった.6 .
あ と が き本文では開水路鉛直乱流場におけ る最大乱子の諸特性について観測 し,その結果を報告 し てきたが,要約す ると次のようになる.
i)
井上の乱子理論お よび中間乱子域におけ るエネルギースペ ク トルの集中か ら求 め た 最大乱子のスケールは水路床に向 って小さ くな っている. また,後者は前者のほぼ1 . 5
倍か ら2.5
倍程度にな っている.ii) ェネルギー伝達率は水路床に向 って増大 している.
iii)
β/
〝 の大 きな現地水路では, そ の値が大 き くなると水平乱流の影響で積分時間ス ケールが求まらない ことがあるため,積分 スケールに よる乱子のスケールの推定 は 適 切ではない.なお,データの解析には,長野高専電算センターの
FACOM 230‑25
を使用 した.謝 辞
本研究を進めるにあた り,終始適切なご指導を賜 った信州大学工学部余越正一郎助教授お よび同富所五郎助手に心か ら感謝致 します.
参 考 文 献
(1)
Mo ni
r),A.S.andYag lo m,A.M.:St a t i s t i c alFl ui dMe c ha ni c s .Me c hani c so fTur bu・
l e nc e , γ o l .1 ( MI T pr e s s ) ,p. 2 7 5,( 1 9 6 5 ) .
( 2 ) Ma l kus ,W .Ⅴ. R . : Out l i neo ft he o r yo fTu r bul e ntShe a rFl o w , ∫ . Fl ui dMe c h. 15 21
,( 1 9 5 6 ) .
( 3 )
井上栄一 :地表風の構造(4),気象集誌,28,21 9,( 1 9 5 0 ) . ( 4 )
井上栄一 :穂波の研究( 3 ) ,
ll,1 47,( 1 9 5 5 ) .
( 5 ) ( 1 )
に同 じP.1 3 .
(6
) Lan d a u a ndLi f s hi t z:Fl ui dMe c han i c s ,( Pe r gmonPr e s s ) .p. 1 21 ,( 1 9 5 9 ) .
( 7 )
井上栄一 :地表風の構造( 3 )
,気象集誌2 8,3 6 7
,(1 9 5 0) .
8 8
長野工業高等専門学校紀要 ・第6号( 8
) 余趨正一郎 :開水路乱流場 と測器の特性,信州大学工学部紀要,第3 0
号,1 2 9
,( 1 9 71 ) . ( 9 )
〟 :最大乱子の寿命時間 と通過時間,信州大学工学部紀要,約3 0
号,1
19 ,( 1 9 71 ) .
的 /y :河川におけ る乱流エネルギー逸散率について,京都大学防災研究所年報,約
11号B
,1 91 ,( 1 9 6 8 ) .
帥余越正一郎 :河川乱流のエンス トpフ ィー,土木学会中部支部講済要 旨