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 国家基幹技術の X 線自由電子レーザープロジェクトの進展

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科 学 技 術 動 向 2006 年 12 月号

8 Science & Technology Trends December 2006 9

  ナノテク・材料分野  TOPICS NanoTechnology & Materials

 X 線自由電子レーザー(XFEL)は、放射光とレーザーの特徴を併せ持つ光で、従来の手法では実現不 可能な分析を可能にする技術として注目されており、第 3 期科学技術基本計画において国家基幹技術の 一つとして位置付けられている。2006 年 4 月に X 線自由電子レーザー計画合同推進本部が立ち上げら れ、建設 ・ 運営が進んでおり、2010 年の完成を目指している。2006 年 11 月 7 日、 第 1 回 X 線 自由電子レーザーシンポジウムが開かれ、従来の放射光とレーザーの違いや、両者の特長を兼ね備えた XFEL の特徴、XFEL の建設状況、またユーザの視点から見た XFEL の魅力などがそれぞれ報告された。

トピックス 6

 国家基幹技術の X 線自由電子レーザープロジェクトの進展

 X線自由電子レーザー(XFEL)は、放射光注1)

とレーザーの特徴を併せ持つ光で、従来の手法で は実現不可能な分析を可能にする技術として注目 されており、第3期科学技術基本計画において国 家基幹技術の一つとして位置付けられている。そ の建設・運営については、C理化学研究所と譛高 輝度光科学研究センターが 2006 年4月に合同で立 ち上げた XFEL 計画合同推進本部が行っている。

 プロジェクト初年度である今年、2006 年 11 月7 日(火)に第1回X線自由電子レーザーシンポジ ウムが開かれた。SPring‐8注2)と XFEL の関係や XFEL の建設状況について、またユーザの視点か ら見た XFEL の魅力・特徴などが発表された。

 シンポジウムでは、坂田東一 XFEL 計画合同推 進本部長や北村英男光源建設グループディレクタ ー他より、なぜ今 XFEL が必要なのか、従来の放 射光やレーザーとの違いは何かが説明された。X 線の発見や放射光、レーザーの実用化は、科学技 術の未知の領域を大きく切り開いてきた。現在の 放射光は非常に短い波長の光(X線)を高輝度で 作り出すことができるが、その位相は揃っていな いため、観察できる試料の結晶性等による制限を 受ける。一方、レーザーは、強く、かつコヒーレ ントな光を出すことが出来るが、レーザー媒質や 共振器ミラーの性能の制限で短波長側の発振が難 しかった。現状では、150nm 程度が実用レーザー としてこれまでの方法で作り出せる短波長の限界 と言われている。

 XFEL は、これら放射光とレーザーの両方の特 長を兼ね備えていることが一番の魅力となってい る。XFEL の完成後、その能力を有効活用するた め、プロジェクトでは XFEL 利用推進協議会を設 置、その中で 11 の利用推進研究課題を選考し予備 的研究をスタートさせている。ライフサイエンス 分野での同研究課題選定者で慶応義塾大学の中迫 雅由教授は、ユーザサイドからの XFEL の利点に ついて発表を行った。1分子レベルの構造解析を 行うには波長の短いX線が不可欠であるが、これ

まで SPring‐8等でのX線は位相が揃っていない ため、長時間をかけて試料を結晶化する必要があ った。しかし XFEL は非常に高輝度で、かつコヒ ーレントなX線が得られるため、試料を結晶化す ることなく、1分子レベルの散乱パターンが取得 できる。このことによって、これまで重要とされ ながらも明らかにされていなかった膜タンパク質 等の機能や特性を調べることが出来る。

 このように、放射光とレーザーの特性を併せ持 った光を作り出せるようになったのは、アンジュ レータと呼ばれる装置と、優れた電子ビーム加速 器の威力による。特に、同推進本部の新竹積加速 器建設グループディレクターや田中均軌道解析グ ループディレクターらが開発した高度な電子ビー ム加速器は、同様に XFEL の開発に着手している 欧米諸国に比べコンパクトで、かつ安価な XFEL の実現を目指す上で大きな期待を集めている。

 田中グループディレクターからは、試験加速器 によるレーザー発振の成功に関する発表があった。

同敷地内に建設された試作機は、2010 年の完成を 目指す本体と比べ規模は小さいものの、XFEL 実 現のための基本的要素が盛り込まれており、独自 技術を用いた本加速器システムの妥当性と潜在能 力を確認することができた。

 XFEL は 2010 年の完成を目指し、5年間総額で 355 億円の予算を計画している。建設地は SPring‐8と 隣接している。

注1 放射光:光速に近い速度で走る荷電粒子が、減速、

円運動などの加速度運動をするときに放射される電磁波。

注2 SPring‐8:兵庫県播磨にある世界最高性能の大型 放射光施設。その技術的特徴から第3世代と呼ばれる。

XFEL の技術的概念図

http://www.spring8.or.jp/

参照

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