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論文の内容の要旨 氏名:福

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:福 麻佐美

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名:アンジオテンシン変換酵素2の喘息気道炎症に対する抑制作用についての検討

気管支喘息(以下,喘息)は,「気道の慢性炎症を本態とし,臨床症状として変動性をもった気道狭窄(喘 鳴,呼吸困難)や咳で特徴付けられる疾患」と定義されている.喘息の治療薬としては吸入ステロイド薬

inhaled corticosteroidICS)が基本となる.しかし,「高容量吸入ステロイドに加えて,その他の長期 管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療を要する喘息,あるいはこうした治療にもかかわ らず『コントロール不良』である喘息」と定義される重症喘息は,全喘息患者のうち 510%と考えられ ている.このように現行の治療に抵抗性を示す患者も多いため,新たな治療につながる病態解明は急務で ある.本研究では,喘息の治療標的となり得る分子を同定し,それに対する候補薬剤の投与による気道炎 症の抑制効果の有無を検証した.

ハウスダストダニ抗原(house dust miteHDM)誘導性マウス喘息モデルは,抗原曝露を繰り返すご とに段階的に気管支肺胞洗浄液中の好酸球数が増加した.同モデルの肺組織を用いて網羅的遺伝子発現解 析を行い,この好酸球性炎症増幅とは逆に段階的に発現が低下する遺伝子として angiotensin converting enzyme 2ACE2)を同定した.HDM 投与により発現が低下するため,この遺伝子が喘息の病態に対し て抑制的に機能している可能性があると考えた.そこで,ACE2 を活性化する薬剤である diminazene aceturateDIZE)を HDM 誘導性マウス喘息モデルに投与し,好酸球性気道炎症に対する抑制効果の有 無を検証した.HDM誘導性マウス喘息モデルにおいて,HDM単独投与群と比較し,HDM/DIZE投与群 では,気管支肺胞洗浄液中の好酸球数の有意な低下を認め,肺組織における炎症性細胞の浸潤も有意に抑 制された.同様に,粘液産生細胞の過形成も HDM単独投与群と比較しHDM/DIZE投与群では有意に抑 制された.また,HDM単独投与群において認めた気道過敏性亢進は,HDM/DIZE投与群において有意に 抑制した.HDMによるアレルギー性気道炎症を誘導するサイトカイン(IL-5およびIL-13)は,HDM 独投与群と比較し,HDM/DIZE 投与群において有意な低下を認めた.また,制御性 T 細胞から産生され IL-10は,HDM単独投与群では減少するが,HDM/DIZE投与群において有意な上昇を認めたことから,

DIZE は炎症に対する防御機構を賦活化すると考えられた.さらに,気道上皮細胞から産生される IL-33 およびCCL20は,HDM単独投与群と比較し,HDM/DIZE投与群において有意に抑制された.このこと からDIZEは,獲得免疫系および自然免疫系に作用し,両側面からHDMによるアレルギー性気道炎症を 抑制することが示唆された.

以上より,網羅的遺伝子発現解析により同定したACE2の活性化薬DIZEは,HDM誘導性のアレルギ ー性気道炎症に対する抑制効果があることを証明した.DIZE は,喘息に対する新規治療薬となる可能性 が示唆された.

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