均衡成長と安定条件
その他のタイトル A Note on Balanced Growth and its Stability Conditions
著者 神保 一郎
雑誌名 關西大學經済論集
巻 13
号 3
ページ 319‑338
発行年 1963‑09‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/15440
研究ノート
均 衡 成 長 と 安
最近における理論経済学の最も重要なトピックの︱つは経済
成長の問題であろう︒一国の国民所得が今後どのような大きさ
ただちに一国全体の社会的厚生の大きさに結び付く︒そのよう
な意味において理論家達に深い関心を呼びおこすだけの意義の
あるのは勿論のことであったであろう︒それに加えて経済政策
経済成長に関する議論は経済学の歴史と共に古い︒スミスを
始めとする古典派の経済学者が経済の︑所謂︑定常状態えの途を
分析した時︑何らかの意味において経済成長の議論が提出され
たのであった︒しかし近代における経済成長理論の必要は先
﹁均衡成長と安定条件﹂ では更にその感を深くしている︒
︵神
保︶
八七
インズ・モデルによって戦後のアメリカ経済の失業を予測しよ
( 1 )
ずマーシャルによって強調され︑更にそれはハロッドの書物の
ドードーマー・モデルと呼ばれているものがその中心をなして
いる︒それはケインズの﹁一般理論﹂の動学化であってその投
一方︑一九四五年の<ー
E
Dayにエバート・ヘーゲン合E v e r t
H s: g
e n)
とノラ・カーク︒ハトリック
( N
o r
a
K i
r k
p a
t r
i c
k )
はケ
いる
︒
の存在量の変動に経済の成長が大きく左右されることを示して の目標として成長率が高く掲げられている昨今のわが国の状態る︒彼等のモデルでは資本のみが稀少財であって︑この稀少財 資関数は加速度原理によって所得の変動と結び付けられてい に拡大し又するであろうかは︑所得の分配率を一定とする限り︑後に独立に成長理論を展開したドーマーのものと共に︑ハロッ 出現によって具体化され白熱化されたのであった︒彼の主張は
定 条 件
神
保
郎
320
心とした簡単なスケッチである︒ るや︑この問題も主として投入産出モデルの立場から見られる れた
T o
o l
として多くの人達の注目を集めるに至ったのである︒( 2 )
うとした︒この予測の結果は余りにも無惨な適中率を示した︒
これに反し︑レオンティエフ
( W a s s i l y W . L e o n t i e f )
の投入
産出モデルによって為された予測は可成りの高い確率を示した
のであった︒このことは経済学者達の前に産業間の取引を無視
する巨視的モデルが如何なる危険を含んでいるかということ
と︑又このモデルにもとづく分析の大きな不充分性を提示した
のであった︒このようにして投入産出モデルは巨視的分析の優
そして経済成長理論が経済理論の中で重要な地位を占めるに至
に至ったのである︒この投入産出モデルの動学化はすでに四〇
年代の終りよりグッドウィン
( R . M . G o o d w i n )
を始め多くの
( 3 )
人びとによって手がけられ︑一九五三年にはその創始者である
( 4 )
レオンティエフによって大きく一歩進められたのであった︒
以下はこのような多部門成長モデルについて︑安定条件を中
註( 1
)
M a r s h a l l ,
A ;
"
M e c h a n i c a l a n d ・ B i o l o g i c a l A n a l o
‑ g i e s i n E c o n o m i c s
"
, E c o n o m i c J o u r n a
l M a r c h ,
1898
( 2)
B r o n f e n b r e n n e r
;
"
T h e C o n s u m p t i o n F u n c t i o n
関西大学﹃経済論集﹄第十三巻第三号
ためには石炭がやはり必要であり︑鉄を製造するには鉄が必要
C o n t r o v e r s y "
, T h e S o n t h e r n
E c o n o m i c J o u r n a l , J a n
, '
u a r y ,
1948
( 3)
G
o o d w i n , R i c h a r d M . ; "
T h e M u l t i p l i e r
a s a t M r i x ̲
‑ , E c o n o m i c J o u r n a l , D e
c e m b e r ,
1 9 4 9 , p p .
537
1555
C h i p m a n , o J h n S .
; "
T h e M u l t i
, S
e c t o r M u l t i p l i e r " , E
ミ 8 o m e t r i
g
V o l . 1 8 , O c t o b e r ,
1 9 5 0 ,
p p .
355
1374
M e t z l e r , L l o y d A
. ;
"
A M u l t i p l e
, R
e g i o n T h e o r y o f I n c o m e a n d T r a d e " ,
E c o n o m e t r i c a , V o l . 1 8 , O c
1
t o b e r ,
1 9 5 0 , p p ,
329 1 354
(4 )
L e o n t i e f , W a s s i l y W . ; "
D y n a m i c A n a l y s i s "
S t u d i e s i n t h e S t r 1
̀
c t u r e o f A m e r i c a n E 80momy|_ et —
ミー The i c a i a m d E m p i r i c a l E 4 p l
o
ミt i o n s i n I n p u t ‑ O u t p u t A n a l y s i s , e d . b y L e o n t i e f , W . i i W , ,
1 9 5 3 ,
p p ,
5 3
ー
9 0
経済はn個の産業部門からなっており︑第・1番目の産業の総
産出量をX︐で示すこととしよう︒このXーは他の産業に投入財と
して使用されるか︑自己の産業に再投入されるか︵石炭を掘る
である︶︑最終需要として家計︑政府等に売却されるかのいず
( 1 )
れかである︒そこで第・
1
産業の産出物であって第j産業に投入 一︑単純静学モデル八八
慮すれば 物の量を示すこととなるであろう︒
﹁均 衡成 長と 安定 条件
﹂
︵神 保︶
X n i +
X n2 +⁝⁝+Xnn+c
勺1 1
x .
される投入量を
X i ︑
第・
1
産業の産出物に対する最終需要をC i で
ぶ1+xビ+⁝⁝十X1n+
C 1
"
"
X
1
ぷ1
+X
22
十:
・・
・・
十X
2n
+C
21
1 X
2
れだけ配分されるかを示している︒
( 1
・ 1 )
式で正方形に並
んでいる石について横に読むことはこのような意味を持ってい
る︒これを縦に見て行けばどのようなことが言えるであろう
か︒例えば一番左側に並んでいる巧について言えばこれはXを
( 1
・ 1 )
(1
—a11)X1ーa12X2
1⁝⁝ ーa 1n Xn 1 1 C
1
ーa
21
X1
+︵
←
1a2 2) X2 ー⁝
⁝ー
0
2nX
n=
C2
示すとこの経済は次の連立方程式で示されるであろう︒
(l•l) (1•2)
ai
j1
1X
ij
[ X
;
とおくならば
a i
X
を一単位生産するに必要な第・1
産業の産出は( 1
・ 2 )
を考 産出するために投入された各産業の産出物の量である︒ここで ここでは方程式の一っ︱つが各産業の産出物がどの産業にど
A~O,
x~o.
c~o
A1
1
X1
1
ヽ , ヽ
〇 ・ '
• . ~ ~ I ‑ '
• N)I ‑ '
・ ビ ト
~ : ~ ~
忌 ; ほ は
.
.. . .
: : : :
...
: . : . . . :
~ : ~ ~
: : 芍¥;'
ヽ
ぉ…ぉど
, 、'. ,
ヽ?
p
…;;;S
八九
(1•3)
?
I ' .
0 ・ ・ . . o , ‑ . .
. , ‑ . . o
: . •
. . ・ 0 .
0 ・ .
. . ., ̲ . O••• 0 0
ヽ ,
ここ で
a i は各財の投入量の比率を示しているから投入係数と
呼ぶこととする︒︹
I
ーA︺はレオンティエフ・マトリックスと名づけられているものである︒0がn次のベクトル或はマトリ
. J
ック スを 示す もの とす る︒ 1,
︑
X︑Cは全て現実の経済からの
統計調査にもとづいて作成されたものであるから負の値を取る
ことはあり得ない︒故に ︹
I
ーA︺Xよ り
ととれば
( 1
・ 3 )
式は次のようになる︒
ここ
ヽ で │
an
1X
1 │
ぉ
aX2
│⁝
⁝+
(1
‑a
,,
,,
)X
,,
1 1
c , ,
(1•4)
322
場しないことになる︒さくなければならぬことを示している︒
あった各アクティヴィティの選択の問題はここでは舞台には登
一トンの石炭を掘り出 第一の条件
1
a│
u>
O
は第一財の投入量は産出量よりも小
生産のアクティヴィティしかないと考えているがら︑アクティ ヴィティ・アナリシス
( Ac t i vi t yA na ly si s)
の主要な課題でキンス・サイモンの条件の経済的意義を考えてみよう︒ 投入産出モデルでは︑一財を作るのに︱つの生産技術︑即ち
( j 1 1 1 . 2 , . . .
,
n )
1 1 f j ( a g a g
. .
.
こ ど
︶
1 1 1 f i ( N 1 1 / X 1 , X 2 J I X ; ,
⁝
3 X n j [ X
; )
さてここで︑このモデルの生産関数に目を転じることとしよ う。
XJ
は和5、•…••初投入によって生産されるのであるから我々は衆知の方法によって次のように表現されるであろう︒
X1 1 1
fJ( ぎ
ぎ
⁝
9さ ︶
( j 1 1 1 , 2 ,
・ : i n
)
(1•5)
ここでレオンティエフはこのシスティムをオペレーショナル なものにするため︑その産出量の変動があっても各投入量相互 間の比は変化しないという︑非常に大胆なそして厳しい仮定を
( 3 )
おいている。そして
(1•
5 )
式が一次の同次性を満足する︑
即ち規模に関して報酬不変
( co n s ta n t re tu rn t o s ca l e )
ると仮定すれば であ
(1•6)
を満足していなければならぬ︒その理由を考察するためにホー
1
ーーさ臼
a n•
. . .
•
ー
a n 1
1
ーa 1 1
Vo
︾
1
ーa u
1
│
a 1 1 ー 含1
ーaほ ーa二v o 9
1
ーaほ│
l l 1 a
̲ a
椙
Vo
‑
⁝⁝⁝⁝⁝‑
ー 含
1
ー0 器
↑ ー 含
⁝
⁝
⁝
⁝
. . . .
aー .
•.
品
⁝
⁝
⁝
⁝
ー 含
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝ ー
a 1 n
—
!12n
> ︒
•
•
..
•
1
ーa m n
(1•7)
ーa
g
1
a 1
2
ーa 2 1
即ち
( 4 )
さて連立方程式
( 1
・ 4 )
はホーキンス・サイモンの条件︑ 関西大学﹃経済論集﹂第十三巻第三号
九〇
﹁均衡成長と安定条件﹂ ︹I
│A
︺1 1 B
ととれば
( 1
・ 5 )
式は
︵神 保︶
n個の産業の全てに対してホーキンス・サイモンの条件がこ
: . 1
—
0
2 2>︒
即ちこれは第一の条件が第一財について述べたものを第二財
に対しても主張したことになる︒
のような主張を持っていることは容易に証明しうるであろう︒
l I V o
l l 1
a 2
2 1
( 1
│
a11
)
(1 ー •d22)>
( 1
ー 合︶>
l l 1
2 l l 2
1
( 1
│
a 1
1 )
これを展開すれば︑
( 1
ー' a
1 1 )
( 1
ー
a 2 2 )
ー
a1
2a
21
>︒
先に述べたように
A~Oであるから、a12~0、a21~0であり、従って
a12a21~0。又第一の条件によって
11auVo
︒故に │
a 2 1
している︒さて第二の条件は
1
│
a
11
一>
︒
│
a1
2
1
│
a
22
は全くナンセンスであり経済的に意味が全くない︒第一の条件 すために一トン以上の石炭を使用したり︑一石の米を産出するのに一石以上の米を投入せねばならぬとしたら︑その生産方法
は第一財についてこのようなことが起ってはならないことを示
九
B X
11c
とな
る︒
Bに対してBー
iB 1 1
BB
‑1 1 1 I
ー
と な る よ う な マ ト リ ッ ク ス ー を
B
の 逆 行 列 と い う
CB
ー
(1•
9
B
)
式の両辺に左からーを掛ければ︑B‑ 1B
X 1
1x 11 B
ーi
c
しかるにXが現実的な意味を持っためには非負でなければ
ならない︒故に
B1
1C=;X~O
(1・8)
c~o
であるから、非負のベクトルとの稜が非負となるため ー
にはーも非負でなければならない︒BB
1~0
—(1•9)
B r s
をBにおける
b r S
の余 因子
︑
I B I
をBの行列式とするならば
B 1 1 B 2 1
⁝ ⁝
B ̀ 1 1
B ー 111[
壼]11-i-_:•
~· ··…:::.~::
" 0
B 1 n B 2 , ,
·…••
B . .
,
ホーキンス・サイモンの条件が成立するから
IB I>
︒
324
更にホーキンス・サイモンの条件に立入って考察するため要を満たすために︑その財に対する派生的需要をカバーするか とを意味するものであることがわかった︒ 生産のために直接投入される量よりも大きくなければならぬこ ら︑ホーキンス・サイモンの条件は第・
t
財の産出量は第i財の このことは一からn
までの全ての産業について主張し得るか でなければならない︒即ち1
│ f
>
︒
b n n >
︒
た だ し
A2
1
1
AxA故に B-1~0
b .
;
~o
( T =
1 .
2 ,
. .
,
, n‑ 1 )
関西大学﹃経済論集﹄第十三巻第三号
( 1 ・ 1 0 )
であるためには︑
B 1 1
B21…•••B`
, 1 B 1 2
B22…•••
B n 2 I I V o
•••••••••.•••.••••••••••
B i n B2 n⁝
⁝B nn
でなければならない︒一方︑
I B I
を展開すれば
/ B l
1 1
b n
1 B n 1
+ b ,
2 B n 2 +⁝ +b m B n n
> 0
(1•11)
である︒又
Bn1~0
B n n>︒
であるから︑ホーキンス・サイモンの条件が成立するためには
(1•12)
︹I
│A
︺AC
1 1
AC │
A2 C
終需要があった場合︑各産業はどれだけの産出物を生産すれば
よいであろうか︒先ずここで最終需要と丁度等しいだけのもの
を生産すればよいであろうか︒そうすれば︑
︹I
│A
︺C=C
ーAC
c
となってCだけの産出量では4だけの最終需要が不足することになる︒これは産出物が最終需要に対して配分されるだけで
はなくてCの生産のためにやはりCが一部分投入物として需
要されねばならぬ事実を示している︒そこでこの不足分だけを
カバーするために経済が≪だけの産出量を追加したとすれば
c となりやはり吠だけの産出量が不足する︒そして
2
だけの産A A
出物をこの経済が更に生産に追加したとすれば
︹IーA︺
A さ
= A2 C
ーA
さ
c となって
8
だけの産出物がCだけの最終需要を満すためにやA はり不足することとなる︒この経済がこのようにして最終需 に︑多少の迂回生産を行なうことにしたい︒ここでCだけの最九
﹁均衡成長と安定条件﹂
︵神
保︶
(1·9)式によって〔IーA〕ー1~0であるからこれを(1
九
単位産出するに必要な第一産業に対する派生需要であり︑第
︹I
‑A
︺
N.
~I
A" +1は非負の値を持つマトリックスであるから =N.
︹I
ーA
︺
=
I-A•
十
1から
︑
11
(I
+A
+ A
2 +
. .
.
+A
く︶
︹I
│A
︺
C( l + A +
A
2 +
. . .
+
A•
十⁝
︶
さてここで
とと ろう
︒
であり、A~OであるからZV+1ーZf11
A"+
l~Q‘ 即ちZV+1
II
VZ
こど
のっ
はリの増加関数である︒てN
︹I
│A
︺
Nv
11
︹I ーA
︺︵ I十 A十 A2 十⁝ ヽ十 Aく )
I I
︹I十A十A平⁝十Aく︺ー(A十A2十Aa十⁝ +
A
"
+
1 )
上
I+A+A2 +
. .
.
+
A•]I
—
(I+A+
A2 +
⁝+Aく︶A
(1•13)
IB
I 1 1
b1
1B
11
+b
はB
12
+
⁝
⁝ +
b1 n
B 1n
>︒
る需要を考慮した上で︑最終需要Cを満すに必要な産出量を
︹I
ーA
︺ N
= N
[I
—
A]iiI
N ,
+1
11
(I
+A
+ A
2 十
⁝
+ A' +A :+ 1 )
( 5 )
l i m
Av
+ 1
11
0と
仮定
すれ
ば︑
P
←8
Zし11
(I
+A
+A
2 +:'+Aく︶ が最終的にこの経済が生産しなければならない産出量となる︒ たちで次々と産出量を付加して行ったとすれば
ツZは上に有界な単調増加列である︒即ち
N V
は>が増加す
るに従ってどんどん大きくなって行くが︹IーA︺ー1よりは大
きくなり得ない︒故に兄は必ず収束する︒
l i m N
N , =
L * ︒
さてここで
: .
N=
(I
│A
︺
‑ 1
だから︹I│A︺ーicは直接間接に派生した各産出量に対す
示していることになる︒ホーキンス・サイモンの条件によれば
ところでb11
11
1ー
au
, b 12 1
11
a 1 2 , ・ ・ ・ , b i n 1
1│
an
1で
ある
B1
1
>
a1
1B
11
+
a1
2B
12
十⁝
⁝⁝
十a
1n
B1
.
(1•
14
)
これを(1・10)式と比較すれば右辺の第一項は第一財の
I B
N.~ 〔
Iー
A〕ー
1︵ 用
1 1
1.
2 .
3
⁝ )
13 )式 の両 辺に 左か らか けれ ば︑
3 2 . 6
t iv e )
の最終需要を産出しているからである︒ は勿論このような条件を満足していなければならない︒何故ならばそれは何よりも現実のデーターにもとづいてつくられたものであり︑現実的なものは必ずセミ・ボジティプ
(s em
i , p o
s i‑
註( 1
)
レオンティエフは一九四一年に出版された
Th eS tr uc
‑
︹
I
ーA︺X=C
フの投入産出モデル 関西大学﹃経済論集﹄第十三巻第三号
項以下は他産業からの派生需要である︒何故ならば第一財に対
して
I B 単位の最終需要があったとすれば︑逆マトリックスの示
すところに従って第一財を生産するためのアクティヴィティは
1 1
1
単位で稼動される︒1
単位の第一財が生産される︒そしB B
てそのうちから
0
1 1 B 1 1
単位だけの財は再投入される︒又第
2
二財を生産するアクティヴィティはーの水準で稼動される︒B このことは0 12
B 1 2
だけの第一財の投入を必要とすることを
意味する。以下同様にして (1•
1 5)
式の右辺が派生需要を示
しているのがわかる︒このことは個の産業の全てに対して主
張しうるから︑ホーキンス・サイモンの条件は派生需要の全て
をカバーして︑猶余りある総産出量の可能な即ち経済的に有効
な条件を示したものであるといいうるであろう︒レオンティエ
t ur e o f Am er ic an Econom
y, 1 91 9
19 39 ,
1
An
Em pi ri ca l A pp l i ca t i on o f E qu il ib ri um An al y‑ s i s . 1 s , t e d
. では家計の活動も産業の一部門と考えるク
ローズド・ッスティム
( cl o s ed sy st em )
を使用して
いる︒又第i産業の産出物の同じ産業えの投入量を計
算に入れず
X J
を純産出量として議論を進めている︒
( 2 )
産業連関表はわが国(‑九五一年︑一九六一年︶を始
めイタリー(‑九五0年︶ノールウェイ︵一九五0
年 ︶
アメリカ︵一九︱︱ー九年︑一九四一年︑一九四七年︶イ
ギリス︵一九五0年︶世界各国で次々と作製され︑又
追加されている︒
( 3 )
L eo n t ie f , W as si ly . W
;
i b i d 2 nd ed . 1 9 5 1. p p. 37
ー
4 1.
山田勇・家本秀太郎共訳﹁アメリカ経済の構造
ーー産業連関分析の理論と実際﹂昭三十四年一1
一七
ー四
二ページ又この仮定の妥当性については
Sa mu el so n, P. A.
;
•
Ab st ra ct of a Th eo re m Conc er ni ng u S b
ー
s ti t u ta b i li t i n y Op en e L on ti ef
Models•
i n T j al l i ng
c•
Ko op ma ns
・e d. , A c ti v i ty An al ys is of r P od uc ti on
g d
A ll o c at i o n. 1 95 1 . p p. 14 2
ー
1 4 6 , Ko op ma ns , T ja l l in g C̲
. ;
A
•
lt er na ti ve Pr oo f o f t he Su b s ti t u ti o n Th eo re m f or Le on ti ef M od el s i n th e Ca se o f Th re e
Industries•.
i n T ja l l in g
C•
Ko op ma ns d . e i b i d . , p p. 14 7 1 15 4 Ar ro w, e K nn et h
J.;
A
•
lt er na ti ve
九四
Pr oo f o f th e S ub s t u t i t io n T he or em f o r L eo nt ie f Mo de ls i n t he G en er al C a s e" . i n T ja l l in g C . Ko op ma ns d . e i b i d . ,
p p.
155
J1 6 4 , . ~ti'~
土 ^ 宰
F
﹁ 志
i
業連関論入門﹂昭三一年一
0ニー一五ニページ︑山田
勇著﹁産業連関の理論と計測﹂昭和一ーー六年三下ー四七
ペー
ジ︒
( 4)
Ha wk in s,
D .
a
nd H. A .
S
im on
;
•
oS me Co nd it io ns Mo f ca ro ec on om ic
Stability•.,
E co n o me t r ic a N, o.
17
Ju ly ,0 c t o be r
1
,9 4 9 .
p p2 4 5 .
1 2 4 8 .
(5)AVがゼロに収束する条件については第五節の定理二
によって与えられる︒
前節での議論は産出物は最終需要として費消されてしまう か︑或は投入物として利用されるかの何れかであり︑これが静 一期の遅れを考慮した動学モデルを検討することにしよう︒即
( 1 )
ち
t
期の産出量はt +
期の投入量と最終需要に配分される︒1
﹁均 衡成 長と 安定 条件
﹂
さ
( t
)︑最終需要を
C (
t )
とすれば
︵神
保︶
X (
t )
1
1
A X
( t
+
1 )
+
C (
t +
1 )
九五
t期の産出量を
X (
t )
︑第
・
1
産業から第i産業之の投入量をC (
t +
1 ) 1
1
g C
( t
)
これを
(2・2)‑
式に代入すればX (
t +
1 ) 1 1
g
X (
t )
学的に進行した︒ここでは産出と投入或は費消との間に時間の
長率と呼びこれをg
としよう︒そうすれば︑
二`単純動学モデル成長というのは︑
﹁一期間内に一定の比率で各財の産出量が増 さてここでこのようなモデルにおいて均衡成長
(b al an ce d gr ow th ) が可能であるか否かをさぐってみよう︒
加︵或は減少︶し︑生産された各産出量間の比率が一定に維持
( 2 )
される﹂場合である︒ここで均衡成長の可能な成長率を均衡成
(2•3)
或は
X (
t )
1
1
A X ( t
+
1 ) +
C (
t +
1 )
ぶ
1 C t
+
1 )
+X 1 2 C
t +
1 )
+⁝⁝
+ ざ
( t
+
1 )+
s
( t
+
1 ) 1
1
X 1
( t
)
X 2 1 C
t +
1 )
+ ヽ 椙( t
+
1 ) ,+
⁝⁝
+ さ 這 .
︵
t+
1 )
+ C
2 (
t +
1 ) 1 1
X 2 ( t
)
X n 1 C
t +
1 )
+ ヽ は2 C t
+
1 )
+⁝⁝ '
+ X
m n
( t
+
1 )
+c A
( t
+
1 ) 1
1
X n
( t
)
(2・1)
(2•2)
ここで均衡
328
であれば
X
は必ずゼロ・ベクトルでなければならない︒しかし
Xが経済的に意味を持つ解であるためには少なくとも︱つの
財の産出量がプラスでなければならない︒そのためには︹
Pl
ーA︺のn個のベクトルが﹁次独立であってはならない︒故に としよう︒この場合︹PI
ーA
︺の
n
個の縦ベクトルが一次独立 ︹p J
│ A︺X
=
゜
うな場合tを落して( 2 ・ 5 )
と書くことができる︒ここでCは最終需要を示すベクトルで
あるから勿論セミ・ポジティヴ
( s e m
i , p
o s i t i v e )
でなければな
らず︑又Xについても同じことがいえる︒gとXとの関連を
よく試べるために
( 2
・ 5 )
式の縮約方程式を
(2・6)
ぷx <
2 )
1 1
A X
< 2 )
A 1 X <
1 )
"
= AX l ( )が定まる︒即ち ︹
PL
│ A
︺X=C ば期間とは全く関係はないこととなる︒
( 2 , 4 )
式はそのよそれを固有値といい ただし
p1 1
1
jg であ って
︑
(2•4)
C ( t )
を時を通じて一定とすれ 関西大学﹃経済論集﹄第十三巻第三号
(2•7)
き
( p )
には
n
個の根がある︵重根があれば重複して数える︶︒
, h , A 2 ,
·…
••-in
がそれであるとすれば︑それに対応して固有ベクトル
x c 1 ) , x c 2 ) ,
…••" •
x c n )
••••••••••••••••••••••••
A n X ( n )
1 1
AX Cn )
が成立する︒
全ての固有値︵或は特性方程式の特性根︶のうち
さ ︱ I I V
︱ ざ
( 2 ・ 8 )
( i 1 1
1,
2 ,
⁝
︾
n )
となるような固有値
A f
をフロベニウス根と呼ぶ︒フロベニウ ︹
PF
ー邑
X ( t )
1 1
C ( t )であ り︑
代数方程式にはその次数だけの数の根があるから 或いは
=g AX (t )
+ g
C ( t )
[
I
—
gAJX(t)
1 1
g C ( t )
1 1
A, gX (t )+ g C
( t ) .
れば
で
(P) 11 P:
+
R
i Pn ‑1 +
⁝
+ g n
ー 1
+P an 11 0
これを
( 2
・ 6 )
式の特性方程式という︒
P
について展開す‑P I
ーA
l
11 0
九六