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海上保険における免責条項の形態

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(1)

海上保険における免責条項の形態

その他のタイトル Exception Clauses in Marine Insurance

著者 亀井 利明

雑誌名 關西大學商學論集

5

4

ページ 303‑333

発行年 1960‑10‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00021717

(2)

海上保険取引において最も重要な事項は危険負担と損害填補の問題である︒けだし︑海上保険の効用がこの二面

に存するからである︒しかし︑海上保険者の負担する危険と損害︑免責する危険と損害は極めて複雑難解なものに

なっている︒これは海上保険自体の性格にもよるが︑実際には免責条項の多様性によるものと考えられる︒そこで

本稿ほ免責条項の形態を明らかにし︑それを分類整理しようとするものである︒

一︑海上保険契約の消滅と免責

包括責任主義の下においてほ原則として一切の海上危険が︑列挙責任主義の下においては原則として列挙された

一切の海上危険が保険者によって負担されることはいうまでもない︒しかして︑かかる保険者の危険負担責任は保

険期間によって時間的に限定されるとともに一定の事由によって消滅したり免除されたりするものである︒危険負

海上保険における免責条項の形態︵亀井︶

海上保険における免責条項の形態

(3)

304 

担責任が消滅するということは保険契約の消減叉は終了を意味し︑危険負担責任が免除されることはいわゆる免責

保険契約消減の形態

保険契約の消減は保険契約の無効︑失効及び解除の三形態に分類することができる︒保険契約の無効ほ契約上の

効力が何人の主張をまつまでもなく当然に最初から生じないことである︒わが国商法は保険金額が保険価額を超過

した場合におけるその超過部分︵六三一条︶︑保険契約の当事者の一方叉は被保険者が事故の生じないこと又は既に

生じたことを知っているとき︵六四二条︶︑他人のためにする保険契約において保険契約者が委任を受けていない旨

を保険者に告げなかったとき︵六四八条︶の三つを無効原因としている︒換言すれば被保険利益の欠如︑危険の不存

在及び他人のための保険契約における委任欠如の不告知を無効としているわけである︒貨物約款第二条においては

他の保険契約存在の不告知︑他人のための保険契約の不告知︑危険の不存在を無効原因となし︑船舶約款第二条ほ

保険契約者又は被保険者の詐偽行為︑他の保険契約存在の不告知︑他人のための保険契約の不告知︑危険の不存在

を無効原因としている︒保険契約が無効となれば︑その効力が最初から生じないのであるから︑契約当事者は保険

契約上の債務を負担しない︒従って︑保険者は最初から危険負担責任を負わないとともに保険契約者は保険料の支払を要しないのであり︑若し︑既に保険料を支払っていたならばその全額の返還を請求し得る︒しかし︑この一般

原則に対して商法及び約款は制限を設けている︒すなわち︑商法は保険契約の全部又は一部が無効なる場合におい

て保険契約者及び被保険者が善意であり且つ重過失なき場合に限り︑保険契約者に保険料の一部又は全部の返還請

求権を認めている︵六四三条︶︒約款においては一般原則が否定されており︑保険者は保険料全額請求権を有するも

[1] 

(4)

のとされている︒但し︑保険者の責に帰すべき事由によって無効となった場合には保険料の全額を返還すべきもの

と規定している︵輝輝呻い芸疇一項︶︒元来︑保険契約の無効の場合には保険者は一時といえども危険を負担しなか

② 

ったのであるから︑保険料不可分の原則の適用はあり得ない︒従って︑理論上保険者の保険料全額請求権を認むべ

次に︑保険契約の失効の場合であるが︑これは保険契約が有効に成立したに拘らず一定の事実が発生したとき契

約が消減することを意味する︒わが国商法は保険者が破産した場合において保険契約者が契約の解除をしないで三

保険者の責任開始前において航海を変更したる場合︵八二四条一項︶︑

険における船名の確定通知義務の違反︵八二八条二項︶を失効原因としている︒貨物約款においてほ予定保険におけ

る船名確定通知義務の違反︵八条︶及び貨物の数量・保険金額の確定通知義務の違反︵九条︶を失効原因とし︑船舶

約款においては保険契約者又は被保険者の責に帰すべき事由によって危険を著しく変更叉は増加したとき︵六条︶︑

保険契約者又は被保険者の責に帰すべからざる事由によって危険を著しく変更又は増加した場合の通知義務違反

︵七条二項︶を失効原因としている︒しかして︑理論上被保険利益の不存在及び危険の不存在が無効原因となるのと

同様に︑被保険利益の消減及び危険の消滅も失効原因となる︒保険契約が失効する場合は保険者の危険負担開始前

と危険負担開始後とに分って考える必要がある︒前者は保険者が全く危険負担責任を負わなかったのであるが︑後

者は失効原因発生まで危険負担責任を負ったのである︒従って︑前者の場合は原則として保険者に保険料請求権が

後者の場合は保険料不可分の原則によって既に経過を始めた保険料期間の保険料

に対する全額請求権が保険者にある︒しかしながら︑商法は前者の場合︑失効が保険契約者又は被保険者の行為に

予定保

(5)

306 

解除の規定が存在しない︒

﹈ ﹇ 

ついても同様である︒

よらなかったときに限り︑保険者に保険料の半額請求権を認めている︵六五︑五条︶︒他方︑約款においては保険契約

の失効は無効の場合と同様に︑原則として保険者が保険料全額請求権を有するものと規定し︑例外として失効が保

険者の責に帰すべき事由によった場合には︑保険料の半額︵貨物約款二三条︶又は失効の翌日より日割を以って計算

したる既収保険料の未経過部分︵船舶約款1二条︶を返還すべきものとしている︒

次に︑保険契約の解除であるが︑これは保険関係の解消を意味する︒商法は保険契約者による解除と保険者によ

る解除とを規定している︒前者は危険開始前における契約の全部又は一部の任意解除︵六五一1

場合︵六五一条一項︶であり︑後者は告知義務違反の場合︵六四四条︶である︒危険開始前における保険契約者の任意

解除の場合には︑保険者は何等危険負担責任を負っていないのであるから︑保険料を返還しなければならないので

あるが︑その半額に相当する金額を返還手数料として請求し得る︵商法六五五条︶︒保険者の破産によって保険契約

者が契約を解除した場合には将来に向ってのみその効力が生じる︒けだし︑解除があるまでは保険者は危険を負担

していたのであるから︑その効果は既往に遡及しない︒この点については告知義務違反による保険者の契約解除に

この場合保険料不可分の原則によって当該保険料期間内の保険料の返還を要しな

い︒但し︑保険者が任意に一部の保険料を返還することは自由である︒船舶約款においては船舶の状態の検査叉は

報告を拒んだとき︵五条二項︶︑保険期間中保険の目的の価額が著しく減少したとき︵八条︶を解除原因とし︑解除の

翌日より日割を以って計算した既収保険料の未経過部分を返還すべき旨規定している︵ニー条︶︒貨物約款には契約

(6)

費用を填補する責に任ぜず﹂︑`約款において

以上述べた如く︑保険契約の無効︑失効︑解除は保険契約それ自体が消減する結果︑爾後保険者は危険負担責任

③④ 

を負わないのである︒そのため原則として消減部分に対する保険料返還の問題が生ずる︒これに対して︑免責の場

合は保険契約が有効に存続するも︑ある一定の事由について危険負担責任叉ほ損害填補責任を負わないのである︒

保険契約の消減の場合と同様に免責には三種の形態がある︒すなわち︑無責︑狭義の免責︑爾後免責がそれであ

る︒無責とは最初から保険者が負担していない事由について責任がないことをいう︒すなわち︑海上保険において

は海上危険に非ざる事故について保険者は無責である︒例えば保険期間開始前の危険︑海上危険たり得ない性質的

危険︵発生の程度が確定的であるか又は航海事業に何等の関係なく発生するところの物の性質又は瑕疵の顕現︶︑

特約なき場合の陸上危険或は各種の間接損害などがそれである︒また︑英文海上保険証券を使用する場合︑それに

列挙されない危険︵非列挙危険︶について保険者に責任がない場合にも無責又は不担保という表現がとられること⑤ がある︒この場合は先に述べた無責の場合と若干相違した用語法である︒

次に︑狭義の免責の場合であるが︑これは本来保険者に責任があるが︑法律又は約款の規定によって特定の事故

⑥ 

について責任を免がれることを意味する︒例えば︑戦争危険を担保しないとか小損害を填補しないというような場

合がそれである︒わが国商法において﹁保険者︵ほ︶之を填補する責に任ぜず﹂︑﹁保険者ほ左に掲げたる損害又ほ

﹁当会社は直接なると間接なるとを問わず左記事由︵左の事由︶に因

りて生じたる損害を填補する︵の︶責に任せず﹂などと規定している場合がそれである︒

次に︑爾後免責であるが︑これは一定の事情が発生すれば︑保険者がそれ以後一切の危険負担責任を免ぜられる

従って︑この場合には保険料返還の問題が生じない︒

(7)

308 

(4)  (3)  (2) 

合によっては不担保という語を使用する︒ 海上保険における免責条項の形態︵亀井︶

ことを意味する︒従って︑それは失効の場合に類似しているが︑なお保険契約が存続している点が相違している︒

狭義の免責の場合は特定の危険や特定の損害についてのみ保険者は責任を免がれるのに対し︑爾後免責は一定の事

商法八二四条においては保険者の責任開始前における航海の変更について失効を規定し︵第一項︶︑保険者の責任

開始後における航海の変更について爾後免責を規定している︵第二項︶︒

合であり︑危険の条件的制限と呼ばれる場合である︒商法が﹁保険者は其変更︵又は増加以︶後の事故に付き責任

を負うことなし﹂と規定し︑約款が﹁当会社は左の場合に於ては爾後生ずべき損害を填補する︵の︶責に任ぜず﹂

⑧ 

と規定している場合などがそれである︒

以上述べた如く︑

が︑無責と狭義の免責とは現実に区別し難い場合もある︒そこで︑以下この両者を単に免責という語で表現し︑場

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Gr ee na cr e,   Ma ri ne   In s u ra n c e,   i t s   P ri n c ip l e s  a nd   Pr a c t i c e ,   4 th   e d .   1 9 3 4 .   p .   3 2 9 ;   R i t t e r D,   as   Re ch t  d er   Se e v er s i ch e r un g .   1 9 2 2 .   S . 2 0 1 , A  nm .  2 9 ;   Da nj on ,  T ra it e  d e 'd r o it  

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九年・六六七頁参照︒

葛城博士・条解貨物海上保険普通約款論・昭和舟四年・ニ九一頁︒

勝呂博士•海上保険

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改訂新版>昭和舟年・ニ五八頁参照。

英法における保険契約の消減と保険料返還の関係は以下の通りである︒すなわち︑一七七七年の

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は﹁この問題に適用される二つの確立した一般原則がある︒その第一は次の通りである︒すな 等しく免責といっても理論上無責︑ 情発生後一切の危険負担責任が終了するのである︒

狭義の免責及び爾後免責の三者に分類できるわけである 一般に︑爾後免責となるのほ危険変動の場

(8)

(6)  (5) 

わち︑危険が開始しなかった場合には︑それが被保険者の過失︑希望叉は意思によるとその他の原因によるとを問わず︑保 険料は返戻されねばならない︒何故ならば︑保険契約は損害填補契約であり︑保険者は被保険者に損害を填補する責任を負 担することに対して保険料を受取り︑それが如何なる原因によるとを問わず︑保険者が事実上その責任を負担しないならば

保険者が保険料を受取ったことに対する約因が消減し︑従って保険者は当然これを返戻すぺきだからである︒

第二の原則は次の通りである︒すなわち︑若し︑全危険が一且開始したならば︑その後に保険料の返戻はあり得ない︒何故 ならば保険料は航海の性質及び長さに依存するとはいえ︑一旦危険が開始するならば︑たとえそれが二十四時間以下しか継 続しなくとも危険は負担されたのであり︑契約は単一の全危険に対ある契約であり︑その対価の一部とはいえども返戻さる べきではないからである﹂と述べている

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訳本固四一四頁による︒なお︑

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18

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等参照︶︒かくて︑英法においては︑契約の消減が危険開始前なるときは保険料が返戻され︑危険開始後には返戻さ

れない︒但し︑後者の場合︑危険が可分なる場合︑すなわち保険料が可分なる場合にはその部分の保険料を返戻せねばならな

( M. I

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§8

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英米法においては免責を

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というが︑その場合の免責はここでいう狭義の免責である︒

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とは保険証券上の負担からある特定の危険を除外する条項である﹂と定義し︑その例として傷害保険における ガス吸入によって生ずる死亡を例示している

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$ 実際家は一般にこのような表現を行うようであるが︑文献には現われていない︒しかし︑横尾登米雄氏の見解ほこれに近 ぃ︒横尾氏は非列挙危険は不担保危険であっても免責危険でないとされ︑両者を﹁無税﹂と﹁免税﹂の概念を用いて説明さ れている︒曰く︑﹁われわれが﹃免税﹄というときには本来は課税さるべきものが特定の条件に該当するがゆえに課税され ないことをいい︑本来課税されないものは﹃無税﹄と呼んで区別する︒同様に﹃不担保危険﹄といわないで﹃免責危険﹄と

海上保険における免責条項の形態︵亀井︶

(9)

310 

免責条項

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はある一定の事由について保険者の責任が免除される規定で

ある︒すなわち︑保険者の危険負担責任叉は損害填補責任を制限する法律上又は約款上の条項を意味する︒しかし

て免責事由の規定のみを目的とした独立の約款ほ免責約款と呼ばれるが︑そうでない約款の一条項として免責事由

が規定されていることがある︒そのため︑ここでは如何なる形式であれ法律上の免責規定︑免責約款及び特定の約

款中の免責規定はすべて免責条項という用語で一括することにする︒けだし︑これらは本質的に保険者の責任の制

(8)  (7) 

海上保険における免責条項の形態︵亀井︶

いうときには︑免責約款なかりせば担保されるべきであった危険が免責約款に該当するがゆえに担保されなくなるそういう

危険を意味するのである﹂と︵近因単数説の欠陥・保険学雑誌四0

これに対して︑葛城照三博士は否定的立場をとられている︒博士は英国海上保険法第一条を引用して︑海上保険契約は本来

一切の海上危険を保険者が負担すぺきものであるが︑海上保険契約の実際においては︑海上危険の特定に当って英法が列挙

責任主義をとり︑危険約款によって本来海上保険者の負担すぺき危険を制限したのであるから︑非列挙危険を免責危険と呼

んで差支えないとされている︒そして︑危険約款に列挙されないことによって担保されない危険を普通免責危険︑保険証券

上明文をもって免責された危険を特別免責危険と呼ばれている︵英文積荷保険証券論・ニニ八ー九頁︶︒

危険約款の解釈に関して十九世紀初葉以前においてほ包括責任主義が採用されていた︒それが列挙責任主義に変ってきたの

であって︑英国海上保険法第一条の立法趣旨が本来の海上保険の精神を規定したものであるならば︑理論上葛城説を可とす

る︒しかし︑免責約款によって担保されない危険と列挙されないことによって担保されない危険とを横尾氏流に説明するの

も実務上一理がある︒

英法においてほ

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(10)

(1) 

③ 

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1 1

限であって︑保険取引の実質上何等相違するところがないからである︒

さて︑かかる免責条項は実に複雑多岐に亘っており︑その合理的分類は困難であるが︑以下その主要なものにつ

法定免責条項と約定免責条項

法定免責条項が存在すればそれと同一内容の約定免責条項の存在は不必要である︒しかし︑前者が存在しても疑

を避けるために︑それと同一内容が約定免責条項とされることがある︒例えば︑英国海上保険第五五条第二項⑮号

及びc号において︑航海の遅延及び保険の目的の固有の瑕疵又は性質の免責を規定しているが︑貨物約款における

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2.

等こにおいてほ︑これらの免責を附記している︒

元来︑約定免責条項は法定免責条項を変更したり︑法定免責条項として規定されなかった事由を定めているもの

である︒この場合には周知の如く︑約定免責条項が優先して適用される︒しかして︑ある一定の事由に関して約定

免責条項が存在しなくても︑それが法定免責条項に定められておれば反対の特約なき限り勿論これが適用される︒

以下︑法定免責条項によって除外された事由︵免責事由︶を列挙して見よう︒ て︑これは形式上の分類に過ぎないわけである︒ ﹈ ﹇ 法律で定められた免責規定が法定免責条項であって︑

約款で定められた免責規定が約定免責条項である︒従っ

(11)

312 

(2) 

1

1 1

したるときは保険者は其変更叉は増加以後の事故に付き責任を負うことなし︵︵日︶八二五条︑︵独︶八一四条︑︵仏︶︱︱︱

(1) 

U O )  

(9)  (8)  (7)  (6)  (5)  (4)  (3)  (2) 

航海の変更を行う決意が明らかとなった時から責を免かれる︵四五条二項︶

1 1

離路の時から責を免かれる︵四六条一項︶

1 1

遅延が不当となった時から責を免かれる︵四八条︶

1 1

期間保険において被保険者が秘かに知りながら船舶を不堪航の状態で就航せしめた場合︑その不堪航に起因

する一切の損害︵三九条五項︶

1 1

被保険危険に近因して生じない一切の損害︵五五条一項︶

1 1

被保険者の故意の不法行為に起因する一切の損害︵五五条二項a

号 ︶

1 1

遅延に近因して生じた損害︵五五条二項b

号 ︶

1 1

保険の目的の通常の自然消耗︑通常の漏損及び破損︑固有の瑕疵又は性質︑鼠若くは虫に近因して生ずる損

害︑又は海上危険に近因して生じない機関の損傷︵五五条二項c

号 ︶

1 1

被保険危険を避けるため叉はこれを避けることに関連して生じたのでない共同海損損害叉は共同海損分担額

1 1

(日・独•仏)

④ 

保険者の責任が始まりたる後航海を変更したるときは保険者は其変更後の事故に付き責任を負うことなし

被保険者が発航を為し若くは航海を継続することを怠り又は航路を変更し其他著しく危険を変更若くは増加

(12)

U O )  

(9) 

保険者が保険契約に基づいて責任を負わない事故による共同海損の分担額︵︵独︶八三六条︶

1 1

その性質上特別に毀損又は減少し易い物品を告知しなかった場合の損害︵︵仏︶三五五条︶

1 1

⑧ 

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1 1

保険価額の一定割合︵日は二光︑独は三劣︑仏は一彩︶を超えざる単独海損︵︵日︶八一

1 ‑ 0

1

1 1

(7)  (5) 

1

1 1

りて生じたる損害((日)八二九条一号、(独)八ニ一条ニ・――-•四号、(仏)五一二三条及び五三一条)

11

性質的危険及び被保険者

船舶保険及び運賃保険において発航の当時安全に航海を為すに必要なる準備を為さず又は必要なる書類を備

1 1

⑥貨物保険又は希望利益保険において傭船者︑荷送人又は荷受人の悪意若くは重大なる過失に因りて生じたる

1 1

(4)  (3) 

水先案内料︑ 五一条)

11 航海の遅延·離路•その他の危険変動(爾後免責)

貨物保険又は希望利益保険の場合に於て船舶を変更したるときは保険者は其変更以後の事故に付き責任を負

保険の目的の性質若くは瑕疵︑其自然の消耗又は保険契約者若くは被保険者の悪意若くは重大なる過失に因

入港料︑燈台料︑検疫料其他船舶又は積荷に付き航海の為めに支出した費用︵︵日︶八二九条四

(13)

31.4 

9

以上が英・日。独•仏国の法定免責事由であるが、独法においては海上保険契約に特別約款を挿入した場合の当

然の免責を規定しているが︵八四九条乃至八五二条︶︑これは約定免責条項における疑を除去するためのものである︒

なお以上の法定免責条項には各種の免責阻却事由が付されている点に注意すべきである︒

普通免責条項と爾後免責条項 ﹈ 

法律に規定されているか約款に規定されているかによって法定免責条項と約定免責条項とに分類したのである

が︑これらの条項が免責︵無責と狭義の免責︶を規定するか爾後免責を規定するかによって︑普通免責条項と爾後免

責条項に分類することができる︒すなわち︑免責の形態による分類である︒免責と爾後免責の意義及び法定免責条

項中の各々の帰属については前項及び前段において述べた通りである︒しかして︑一般に︑普通免責条項はわれわ

れが通常いうところの免責条項であって︑免責危険又は免責損害を定めた条項であり︑爾後免責条項は一般に危険

変動及び担保違反の効果を定めたものである︒従って︑この分類は特定の事故のみの免責か一切の事故の免責かに

よるものともいえる︒なお︑爾後免責条項には原則として免責阻却事由が附せられている︒

絶対的免責条項と相対的免責条項

c ou v e rt s )

と免責危険

( r i s q u e s e x c l u s )  

﹈ ﹇ 保険者は原則として一切の海上危険を負担するわけであるが︑

⑧ 

に分っている︒しかして︑保険約款においては免責危険を二つのカテゴリ

ーに分類している︒すなわち︑その一は如何なる場合においても免責される危険

( r i s q u e s e xc l u s  d an s  t o us   l e s   c a s )  

であり︑他lは特約なき限り免責される危険

( r i s q u e s e xc l u s 

mo in s  d e  s t i p u l a t i o n   c o n t r a i r e )

である︒前者は絶対的

約款においては危険を経験上担保危険

( r i s q u e s

(14)

フランス貨物約款第八条は相対的免責条項である︒すなわち︑

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ほこれらの免 免責危険であり︑後者は相対的免責危険である︒かくて︑前者を定めた条項が絶対的免責条項であり︑後者を定めた条項が相対的免責条項である︒この区別は主として実際的理由に基づくものである︒けだし︑理論上保険者が負担することがいささかも不可能でないところの或る種の危険が絶対的免責危険とされていることがあるからであ

⑨ 

る︒わが国貨物約款改正理由書によれば︑絶対的免責条項に列挙された危険は︑その性質上又は公序良俗に反する理由上特約を以ってしてもそれを負担し得ないものとしている︒しかし︑絶対的免責と相対的免責との区別の標準

は海上保険の本質からくるものではなく︑海上保険経営の実際からくるものである︒

フランス貨物約款第七条は絶対的免責条項である︒すなわち︑

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⑱からゆまでの四種の危険を列挙している︒⑱号は罰金︑没収︑徴発︑封鎖違反︑密

輸︑禁制又は秘密の商取引︑損害賠償︑差押︑差押を解除されるための担保の提供等であり︑⑮号は固有の瑕疵︑虫

喚︑衛生又は消毒の措置︑気温の影響等であり︑c号は保険契約の利害関係者の故意︑過失︑荷造の不完全等であ

り︑⑪号は航海の遅延︑相場の変動︑検疫・寵港の諸費用︑荷揚期間︒陸揚遅延期間の諸費用︑その他倉敷料・碇

泊費用︑輸出入の禁止による損害︑商業経営又は商取引に生じた障害等である︒

責を達法危険の免責︑保険の目的の内部に関する免責︑被保険者側の行為に関する免責︑商業危険の免責と特徴づ

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海上保険における免責条項の形態︵亀井︶ 6こ

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参照

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