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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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阪 与 番 号 甲 第 1 647

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論文内容の要旨

Usefu l ness of and  F actors Associated w i t h  Globa l  Assessment Scale  ( G A S )   Scores i n   Suicide At t empters 

(自殺企図者における総合評価尺度( GAS )の有用性と その関連因子 について)

(梅津美貴,大塚耕太郎,遠藤仁, 吉岡靖史,小泉文人,水谷歩未,大沼禎史, 三 田俊成,工藤薫,

三候克巳福本健太郎, 中村光,遠藤重厚,酒井明夫)

( BM C  P sychiatry  (投稿審査中))

I . 研究目的

自殺は多元的な要因により生じるため,そのリスクを一元的に考察するのは困難であり,

包括的な臨床評価が必要となる.総合評価尺度 G l o b a l Assessmen t  Scale ( G A S )は心理 ・ 社 会的な全般的機能水準を評価する尺度で, 自殺企図発生 との関連性が指摘されてきたし かしこれまで自殺企図と GAS 得点との関連を詳細に検討した報告はない.本研究では

p

自 殺企図症例を GAS 得点別に区分し,背景因子,精神症状,企図後の対応などに関して各得点 群の特質を抽出し, それに応じた具体的対応策を検討することを目的とした

I I . 研究対象ならび方法

2006 年 4

1 日から 20 1 3 年 3

3 1 固までの 7 年間,岩手医科大学附属病院一次二次救 急外来と , 併設する高度救命救急、センターを受診した 208930 件(精神科救急患者は 1 1 8 9 5 件)を母集団とした.このうち,自殺企図の診断基準を満たした 1 3 1 7 件を研究対象とした.

対象を GAS の得点に従って, 20 点以下の低得点群, 2 1 点以上から 40 点以下の中得点群, 4 1 点以上の高得点群の 3 群に分類し,調査項目に関して 3 群問で、の比較検討を行った.調査 項目は,教育年数,同居状況,就労状況などの背景因子,国際疾病分類第 1 0 改訂版「精神お よび行動の障害 j による診断分類,当院への初診もしくは再診,受診時の精神科受診歴,精 神 科通院継続の有無,自殺企図前の相談の有無,自殺企図歴(過去,過去一年以内),動機,手 段,ホームズ社会的再適応評価尺度( H olmessocia l readjustment rating sca l e )の生活 変 化 単 位

(1

if  e  change uni t s :   L CU ),オックスフォード大学版簡易精神症状評価尺度 ( O x f o r d  university version brief psychiatric rating s c a l e : B P RS )の日本語版の総合 得点,身体的重症度,処置内容, 救急外来における転帰などである.

3 群聞の比較において, 比率の検定にはが検定,平均値の検定には一元配置分散分析, 2 群間の検定には Bonf e r r o n i 法を用いた.また, GAS 得点との関連因子 を明らかにする目的で,

全調査項目を自殺企図前の項目,企図後の項目に分け,調査項目を説明変数, GAS 得点群を それぞれ従属変数として,多重ロジスティック回帰分析を行った.いずれの検定において も有意水準は開とし,有意確率を数字で示した.すべての統計処理は S PSS 2 1 .   0  J  for  Windows を使用した.なお,データは個人が特定可能な項目は除外し, データの管理や処理 の過程でも個人情報の保護に配慮した.本研究は岩手医科大学医学部倫理委員会の承認を 得ている .

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E

研究結果

l .   GAS 得点別の低得点群は

323

件,中得点群

539

件, 高得点群 426 件であった.

2 . 低得点、群では,高年齢,男性,無職,初診,気分障害,ストレス値の高いライフイベントに より初回の自殺企図で致死的な手段を選択し,既遂に至る例が多かった.低得点群出現の リスクとしては,男性,加齢,無職,ス ト レス値の高いラ イフ イベントが挙げられ,他群 と比 べて 自 殺既遂に至るオッズが 5 倍で、あった

3 . 中得点群では,女性,再来,精神科通院中,ストレス値の低いライフイベントで精神症状 が重篤となり精神科入院する割合が高かった.過去の 自 殺企図歴が危険因子として抽出さ れ た

4 . 高得点、群では,若年,女性,有職者,神経症で対人関係を中心としたストレス値の低いラ イフイベン ト で非致死的な企図手 段により帰宅となる割合が高かった.対人関係や相談が 危険因子として挙げられた.

N. 結 語

GAS 低得点群の特徴はこれまで指摘されてきた 自 殺ハイリスク者の特性と類似してお り,初回自殺企図で致死的な手段を選択する可能性が高いため,医療機関と即応的連携や,

周囲の関係者がゲートキーパーとして対応できるような教育的アプローチが必要と考え られる.精神科通院中の症例については,適切な精 神医学的評価と並行して, ライフイベン ト 等の社会的問題も評価したうえでたとえば休職者に対する復職フラグラムのような社 会的機能を向上させるアプローチも重要と考えられる .

GAS 中得点群は,ストレス値の低いライフイベントでも自殺企図が繰り返されるような 潜在的リスクが想定される.ストレスに対するコ ーピングを高める精 神療法的アプローチ を継続的に行っていくことが重要と考えられる .

GAS 高得点群では,精神科通院を継続している割合が低いため,地域における身近な支援 が重 要と思われる.また, 精神科通院中 の症例では,自殺リスクを軽減させるために,疾病 教育や通院継続の必要性を指導し症状の安定維持を図ることが目標となる.

v . 学位申請後経過

※1  最終審査後, J o u r n a lo f  P s y c h i a t r y  1 8 巻 1 号に 2 0 1 5 年 1 月掲載.

※ 2  査読による内容の変更は不要で、あった.

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論文審査結果の要旨

論文審査担当者

主 査 教 授 井 上 義 博 ( 救 急医学 講座)

副 査 教 授 坂 田 清 美 ( 衛 生 学 公 衆 衛生 学講座)

副 査 講 師 星 克 仁 ( 神 経 精 神 科 学 講 座 )

総合評価尺度 Globa l Assess m e n t  Sca l e  ( G A S )は,心理 ・ 社会的な全般的機能水準を評価 する尺度で,自殺企図発生との関連性が指摘されている.しかし自殺企図と GAS 得点を詳 細に検討した報告はない.本研究論文は GAS の得点を 2 0 点以下の低得点群、 2 1 〜 40 点の 中 得点群 , 4 1 点以上の高得点群の 3 群に分け属性,家庭環境,社会環境,精神医療との関 わり,自殺企図等詳細な項目について比較検討したその結果低得点群は高年齢,男性,

無職,精 神科初診,気分障害,ストレス値の高いライフイベントで致死的な自殺手段等,

中 得点群は女性,精神科再来や通院中,スト レス値の低いライフイベントでの入院等,高 得点群は若年,女性,有職者, 神 経症、ストレス値の低いライフイベントで非致死的な自 殺手段等の特徴を有する事が判明した.さらに本論文では, 各々に対する臨床的対応にも 言及している.これにより GAS を用い, 得点によって症例の傾向を把握し,適切な対応を 計画する事が可能となった.新しい知見であり学位に値すると考えられる.

試験 ・ 試問の結果の要旨

GAS の得点 と症例の傾向,それぞれの傾向に対する 臨床的対応等について試問し,的確 な解答を得た学位に値する学識を有していると考える.

参考論文

1 )慢性不眠の訴えに対する睡眠薬 ・ 抗不安薬の多剤大量投与で過鎮静を呈していた 1 症 例アクチグラフと p o l y s o m n o g r a p h y による客観的睡眠評価の有効性(横由美貴他

1 2 名 と共著 )

精神科治療学, 2 7 巻 , 9 号(2 0 1 2 ) :  p 1 2 1 7 ‑ 1 2 2 2 .  

2) Q u e t i a p i n e 投与中に Q T c 延長を来した統合失調症の 1 例 ( 佐 賀 雄 大 他 9 名と共著)

臨床精神薬理, 1 6 巻 , 2 号(2 0 1 3 ) :  p 2 5 5 ‑ 2 6 0 .  

3)  A  study on t h e  r e l a t i o n s h i p  b e t ween chief comp l a i n t s  of p a t i e n t s  a d m i t t e d  t o  p s y c h i a t r i c  e m e r g e n c y  s e r v i c e s  and t h e i r  d i a g n o s e s  end o u t c o m e s   (精神科救急 における受診時主訴に関する背景因子及び精神医学的診断からの検討)(富沢秀光 他 7 名との共著)

岩手医学雑誌, 6 5 巻 、 2 号(2 0 1 3 ) :  p97‑ l l l .  

4 )  Aripiperazo l eとv a l proa t e の併 用が有効で、あった双極性感情障害の 1 例(水谷歩未 他 9 名と共著)

臨床精神薬理, 1 6 巻 , 7 号( 2 0 1 2 ):  p 1 0 5 1 ‑ 1 0 5 5 .  

5 ) 東日本大震災を契機に治療導入された統合失調症来治療例(吉岡靖史 他 4 名と共著)

臨床精神医学, 4 1 巻 , 9 号(2 0 1 2 ) :  p l l l l ‑ 1 1 1 4 .  

参照

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