パネル調査における回答者と無回答者の特徴
小島 秀夫*・篠原 清夫**
(2012 年 11 月 16 日 受理)
Characteristics of Respondents and Non-respondents in Panel Surveys
Hideo KOJIMA* and Sugao SHINOHARA **
(Received November 16, 2012)
問 題
社会調査において回収率の問題は,古典的な問題である。低い回収率はデータの質と関連してい るため,回収率を上昇させるための試みが多くなされてきている。しかしながら,そうした努力に もかかわらず,回収率は上昇していないようである。そこで,回答者と無回答者の間で回答にどの ような差が存在しているのかを解明することが重要となる。もし回答者と無回答者の間に差が存在 しない場合には,調査の回収率が低くても問題はないといえる。反対に,回収率が高い場合でも回 答者と無回答者の間に大きな差が存在している場合には,調査の信頼性は低いといえる。
本研究はパネル調査のデータを利用して,回答者と無回答者の特徴の解明を試みるものである。
これまでの回答者と無回答者の特徴の比較研究は,年齢や性別,職業の差に焦点を当てたものが多 く,回答者と無回答者の意識の差に注目した研究は少ない。
調査無回答の研究動向
社会調査における無回答の研究は古くからなされてきているが,体系的に研究が進められてきて いるわけではなく,現在では社会学,マーケティング・リサーチ,医学などの多様な分野で研究が 蓄積されてきている。これらの研究の多くはアメリカやヨーロッパを中心になされており,日本で はあまり研究が進んでいるとはいえない。無回答についての研究を概観することは困難であるが,
これまでの研究動向については朝倉(2005)などが参考になる。無回答の研究は多様な研究領域で
茨城大学教育学部社会情報研究室(〒310-8512 茨城県水戸市文京2-1-1).
三育学院大学看護学部(〒298-0297 千葉県夷隅郡大多喜町久我原1500).
〔付記〕この研究は科学研究費補助金の助成を受けたものである。なお本文と『よろん』第109号には重 複部分があります。パネル調査に御協力いただいた皆様に感謝申し上げます。
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研究がなされてきているが,最近ではそのアプローチにやや差が認められるようである。以下,や や客観性に欠ける可能性があるが,無回答についての研究動向について要約しておくこととする。
無回答研究についての古典的な系譜は,調査を実施した後に無回答者に対しての調査を実施し,
回答者と無回答者の回答分布を比較するというものである。郵送調査では,後期回答者は無回答者 と同じような特性を持つと考え,早期回答者と後期回答者の比較研究が実施されている。これらの 研究は,調査対象者,調査内容,調査方法を変えて今日でも盛んに研究が行われている。
無回答研究に対するもう1つのアプローチは,総合調査誤差アプローチ(total survey error approach)(Andersen et al. 1979;Weisberg 2005) とよばれるものである。このアプローチでは調 査の各局面において発生する誤差を解明し,その誤差を最少にすることによってデータの質を高め ることを目的とするものである。こうしたアプローチが普及するにつれて,無回答の問題に関心が 再び向けられるようになったと考えられる。このことを裏付けるように,社会調査関係の学術雑誌 において無回答関係の特集が組まれたり,無回答についての研究レポートが出され,その数は増加 している。最近観察される無回答に関する研究の増加は,こうした新しいアプローチと関連してい ると考えられる。したがって,今日の無回答についての研究は,古典的な系譜と新しいアプローチ が合流した結果,研究が盛んになってきているといえよう。
データと方法
ここで本研究に使用するデータについて説明しておこう。本研究は教師の職業的社会化過程の解 明を目的として,1984 年に開始されたものである。1984 年から 86 年にかけて茨城大学教育学部生 1024 人に対して,主として授業時間を利用して調査を実施した。その後,第 1 回のパネル調査が 1991 年に実施された。調査対象者は学生調査の対象者で,卒業後教職に就いたことが確認された 756 人と,教職に就いていると考えられる 47 人の合計 803 人であった。これらの対象者に郵送調 査法を使用し,592 人(回収率 73.7%)から回答を得た。今回の分析で最初に使用するのは,1991 年当時教職に就いていることが確かな 756 人のみを取り出し,第 1 回パネル調査に回答した 577 人 と無回答であった 179 人を比較することとする。
第 2 回パネル調査は 2011 年に実施された。一般企業に就職した後に教職に就いた可能性や,結婚・
出産などによる退職などの可能性を考慮し,対象者の現状と住所などの確認を可能な限り実施した。
その結果,598 人が現在教職に就いていることが明らかにされた。郵送調査法を使用し,309 人(回 収率 51.3%)から回答を得た。この第 2 回パネル調査と第 1 回パネル調査を結合することによって,
ここでは 2 つのタイプに注目することとした。1つのタイプは第 1 回パネル調査と第 2 回パネル調 査の両方に回答したタイプである。もう 1 つのタイプは第 1 回パネル調査には回答しなかったが,
第 2 回パネル調査には回答したタイプである。前者の人数は 252 人であり,後者の人数は 57 人で ある。第 1 回パネル調査に回答せず,第 2 回パネル調査に回答した人を,ここでは便宜的に部分無 回答者とよぶこととする。
分析の方法はまず 2検定を実施して回答者と無回答者の間に統計的に有意な差が認められる変数を 見つけ,その後に判別分析を使用し,回答者と無回答者の判別にどのような変数が効いているのかを
解明する。第 1 回パネル調査の回答者と無回答者の比較には学生調査(257 変数)を使用し,第 2 回パ ネル調査の回答者と部分無回答者の比較には,学生調査と第 2 回パネル調査(155 変数)を使用する。
分析結果
回答者と無回答者の比較(第 1 回パネル調査)
第 1 回パネル調査における回答者と無回答者の間で,学生調査の調査項目に関して危険率 5% 水 準で有意差が認められた変数の数は 16(比率 6%)であった。したがって,ここで回答者と無回答 者の意識にそれほど大きな差はないと推測できよう。以下に,差が認められた質問項目とその質問 に対する回答者と無回答者の回答の特徴を簡単に示しておくこととする。
(1) 異性のこと・・・これは日常的に関心を持っていることを質問したものであり,無回答者より 回答者の方がわずかに異性について関心が高くなっていた。
(2) 日本の経済状況・・・これも日常的に関心を持っていることを質問したものであり,回答者の 方が無回答者よりもこの問題に対する関心がやや高いという傾向が認められた。
(3) 友人関係満足・・・自分の友人関係についての満足度を質問したものであり,無回答者よりも 回答者において満足度がやや高くなっていた。
(4) 現在の住居満足・・・現在の住居についての満足度を質問したもので,無回答者の方が回答者 よりも不満がやや高くなっていた。
(5) 学歴満足・・・自分の学歴についての満足度を質問したもので,回答者の方が無回答者よりも 学歴満足がやや高いことが明らかにされた。
(6) 自分のおかれている環境認知・・・この質問は「あなたは,自分の身におこることは,自分の おかれている環境によって決定されていると思いますか」というものであり,無回答者よりも 回答者において「そう思う」の比率がやや高くなっていた。
(7) コンサート・・・この質問は過去 1 年間に「芝居見物・コンサートに出かけた」経験の有無を 調べたもので,回答者と比較して無回答者の方が「ある」と回答していた。
(8) ものごとの進みぐあい・・・この質問は,ここ2~3週間のあいだに「ものごとが自分の思う とおりに進んでいると感じたことがありましたか」というもので,無回答者よりも回答者にお いて「はい」の比率が高くなっていた。
(9) 古いものは残す・・・この質問は「古いものは,長い間ずっと受け継がれ残ってきたという良 さがあるのだから,できるだけ残そうとするほうだ」というものであり,「そう思う」の比率 は無回答者よりも回答者において高くなっていた。
(10) 教師志望・・・この質問は「あなたは,どの程度教師になりたいと思っていますか」というも のであり,「ぜひ教師になりたい」の比率は無回答者よりも回答者において高くなっていた。
(11) 教師志望(中学時代)・・・この質問は,中学の頃にどの程度教師になりたいと思っていたの かを質問したものであり,「強くなりたいと思っていた」という比率が無回答者よりも回答者 において高くなっていた。
(12) 担任のすすめ(小学時代)・・・この質問は,小学校の時に担任教師が教師になることをどの
程度すすめたかというものであるが,回答者の方が無回答者よりも「特にすすめなかった」の 比率がやや高くなっていた。
(13) 尊敬できる教師(中学時代)・・・この質問は,中学時代に尊敬できる教師がいたかどうかを 質問したものであり,「いた」という比率が無回答者よりも回答者において高くなっていた。
(14) 創造性不安・・・この質問は「将来,職業についた場合,組織のなかで自分の創造性が発揮で きるかどうか不安を感じる」というものあり,回答者よりも無回答者において不安を感じる比 率が高くなっていることが明らかにされた。
(15) ユーモア・・・この質問は,良い教師になるためにこのような資質がどの程度重要であると考 えているのかを調べたものであり,無回答者よりも回答者においてこうした資質を重視してい ることが明らかにされた。
(16) 昇進の見通し・・・この質問は,教職に就いた場合の昇進の見通しについて質問したものであり,
回答者と比較して無回答者において昇進の見通しは「悪い」という比率が高くなっていた。
これらの変数が回答者と無回答者間で差が認められたものであるが,分析では態度変数なども回 答・無回答に関連していると予想し,そうした変数と回答・無回答の関連についても分析した。具 体的には,以下のような合成変数である。
統制感の所在(locus of control)・・・統制感とは自分個人の力で環境をどの程度コントロールで きると考えているかの程度であるが,内的統制感の強い人ほど調査に回答すると考えられる。統制 感の質問では 18 項目を使用しているが,それらの項目を因子分析にかけ,内的統制感を構成する 質問項目として,たとえば以下のような項目が抽出された。
・ あなたは,努力すれば,立派な人間になれると思いますか。
・ あなたは,努力すれば,どんなことでも自分の力でできると思いますか。
・ あなたが,幸福になるか不幸になるかは,あなたの努力しだいだと思いますか。
こうした因子分析の結果は,これまでの統制感についての研究結果とほぼ一致しているが,これ らの変数を合成し,回答者と無回答者の比較を試みてみたが,関連は認められなかった。すなわち,
統制感は回答・無回答とは関連していないことが明らかにされた。同様に,積極―消極スケールな ども作成し,回答者と無回答者の比較をしたが,関連は認められなかった。では,これらの変数の
表 1 判別分析結果(回答者 対 無回答者)
判別的中率 .633
中でどの変数が回答者・無回答者を分類するのに効いているのであろうか。ここでは,その点につ いて検討することとする。その目的のために,ここでは判別分析を使用する。
判別分析は最初に全変数を投入し,その中から統計的に有意な変数のみを抽出した。表 1 に示さ れた結果では,抽出された8変数の判別係数はどれも絶対値 0.35 前後であり,特別大きな値を示 しているものは見当たらない。すなわち,ここでは回答者と無回答者の間に大きな差は存在してい ないと結論づけることが可能である。
回答者と部分無回答者の比較(第1回パネル調査・第2回パネル調査)
ここで回答者とは第1回パネル調査と第2回パネル調査の両方に回答した人であり,部分回答者 とは第1回パネル調査には回答せず,第2回パネル調査にのみ回答した人のことである。したがっ て,回答者と部分無回答者の差は,回答者と無回答者の差よりは少ないことが予想される。
まず最初に,回答者と部分無回答者について学生調査の項目で差が認められたものについて調べ てみた。その結果,8項目において差が認められた(比率 3%)。これらの差が認められた項目の中で,
回答者と無回答者の間で差が認められた項目と共通していたのは「日本の経済状況」に対する関心 のみであった。こうした事実からも,回答者と無回答者を区別する決定的な要因は,このパネル調 査では見当たらないということが予想できるであろう。換言すれば,無回答によるバイアスは小さ いと判断できるであろう。
第2回パネル調査項目について,回答者と部分無回答者の間で差が認められた変数について,以 下で簡単に触れておくこととする。差が認められた項目は,第2回パネル調査では 11 項目(比率 7%)である。したがって,学生調査も含めて全体では 19 項目は回答者と部分無回答者で差が認め られたことになる(比率 5%)。
(1) 大学への愛着度・・・この質問は,茨城大学への愛着度を質問したものであり,部分無回答者 よりも回答者の方が大学に対する愛着度が高くなっている。
(2) 大学の教師と親しくなること・・・この質問は,大学時代に重視していたことを質問したもの であり,大学の教師と親しくなることを重視していた比率は部分無回答者よりも回答者におい て少し高くなっている。
(3) 教科教育科目・・・現在の仕事に役立っている大学で学んだことであるが,回答者ほどこの科 目を「役立っている」と回答している。
(4) 性格が明るいこと・・・良い教師であるための条件を質問したものであるが,部分無回答者よ りも回答者においてこの条件を重視している比率が高くなっている。
(5) 勤務が苦痛・・・現在のメンタル・ヘルスを質問したもので,回答者と比較して部分無回答者 においてこの比率はやや高くなっている。
(6) 同僚とのコミュニケーション・・・この質問は組織風土に関する質問であり,回答者において 同僚とのコミュニケーションが活発に行われているという比率が高くなっている。
(7) 学校の教育目標・・・この質問も組織風土に関する質問であり,部分無回答者よりも回答者に おいて学校の教育目標を教師全員がよく理解しているという比率が高くなっている。
(8) 勤務校に誇り・・・この質問も組織風土に関する質問であり,回答者において勤務校に誇りを持っ ているという比率が高くなっている。
(9) 教師同士の助け合い・・・この質問も組織風土に関する質問であるが,部分無回答者よりも回 答者において教師同士が助けあって学校経営をしているという比率が高くなっている。
(10) 自分の意欲や努力・・・教師としての資質を高めるために役立ったことを質問したものであるが,
回答者においてこの要件の比率が高くなっている。
(11) 勤務校の施設・設備満足・・・日常生活の諸側面の満足度を質問しているが,無回答者と比較 して回答者において勤務校の施設・設備に対する満足度の比率がやや高くなっている。
ここではさらに,回答者と部分無回答者間で早期回答者(締切日までに調査票を返送した人)に なるか後期回答者になるかの可能性についても調べてみたが,差は認められなかった。このことか ら,調査に回答しない傾向のある人(部分無回答者)が必ずしも後期回答者になるわけではないと いうことが推察できる。
表2 判別分析結果(回答者 対 部分無回答者)
判別的中率 .725
回答者と部分無回答者を区別するのにどのような変数が効いているのであろうか。この点を明ら かにするために,学生調査で差が認められた 8 項目と第 2 回パネル調査で両者の間に差が認められ た 11 項目の合計 19 項目を使用して,判別分析を実施した。ここでも統計的に有意な変数のみが抽 出されている。分析の結果,表 2 に示されているような 5 変数が抽出された。
表2の「歯車の一つである」は学生調査において「自分はいくら頑張っても歯車の一つでしかなく,
社会の重要な意思決定には何ら寄与していないという無力感」を感じているかどうかというもので あるが,部分無回答者ほどそう感じる比率が高くなっている。表 2 に示された判別係数の絶対値を 見ると,大学への愛着度が大きな値を示しており,他はそれほど大きな値とはなっていない。した がって,ここでも回答者と部分無回答者の間には差は存在しないと判断できるであろう。
判別分析において,大学への愛着度が回答者と部分無回答者を分けるのに大きく効いていること が明らかにされたので,以下ではこの点についてさらに分析を進めてみることとする。ここで考え られる仮説は,大学卒業後に大学への愛着度が高くなるにつれて回答者になる可能性が上昇し,大 学に対する愛着度のみが回答者と無回答者を分ける大きな要因であるというものである。大学への 愛着度については学生調査,第 1 回パネル調査,第 2 回パネル調査で同じ質問を使用している。質 問文は「あなたは,茨城大学に対してどの程度愛着を感じていますか」と質問し,「非常に愛着を 感じている」「やや愛着を感じている」「どうともいえない」「どちらかといえば愛着を感じていない」
「愛着を感じていない」の選択肢の中から 1 つを選択してもらった。
最初に第 1 回パネル調査の回答者と無回答者の大学時代の大学への愛着度についてみてみること とする。その結果は,統計的に有意ではないが,大学に「非常に愛着を感じている」の比率は回答 者では 20.2% であるのに対して,無回答者では 15.7% となっており,愛着度は回答者において高く なっている。第 2 回パネル調査の結果を利用して回答者と部分無回答者の大学への愛着度を比較し てみると,大学時代に大学に「非常に愛着を感じている」の比率は部分無回答者においては 14%
であるのに対し,回答者においては 23.3%となっており,やや差が認められる。これに対して,第 2 回パネル調査におけるそれぞれの比率は 19.3%と 45.8%となっており,大きな差が存在している。
したがって,大学への愛着度が高いほど調査に回答する可能性も上昇していることが確認できる。
大学への愛着度の変化にも注目してみよう。回答者と部分無回答者に注目して,大学への愛着度 の変化を調べるために,大学時代と第 2 回パネル調査を利用してクロス表を作成し,愛着度の上昇 率を求めてみた。その結果,回答者においては上昇率が 0.46 であるのに対し,部分無回答者にお いては 0.35 であることが明らかにされた。このことは,大学を卒業した後に,一般的に大学への 愛着度が上昇しており,愛着度が高いほど調査に回答する可能性が高くなるということを示してい る。しかしながら,大学への愛着度は調査への回答を高めてはいるが,愛着度が他の項目の回答に バイアスを与えていないことは,回答者と無回答者の比較において,大学への愛着度に差が認めら れなかったことでも明らかである。
要約と結論
本研究はパネル調査データを利用して,パネル調査における回答者と無回答者の差を解明するこ とであった。学生調査,第1回パネル調査,第2回パネル調査のデータが使用された。分析の結果,
以下のようなことが明らかにされた。
(1) 第 1 回パネル調査への回答者と無回答者の比較を,学生調査の調査項目について行ったところ,
差が認められた項目は全体の 6% であった。さらに,差が認められた項目を利用して判別分析 を実施したところ,判別係数の大きな項目は発見できなかった。このことは,すなわち,回答 者と無回答者で意識に大きな差が存在していないということを意味している。
(2) 第 2 回パネル調査と第 1 回パネル調査を利用して,回答者と部分無回答者の比較も行ったが,
両者で差が認められた項目は,学生調査と第 2 回パネル調査項目全体の 5% であった。判別分 析を実施した結果,大学への愛着度がパネル調査への回答の可能性の増加と関連していること が明らかにされた。
(3) したがって,これらの結果より本研究においては回答者と無回答者の間の意識には大きな差は ないと判断できる。換言すれば,無回答によるバイアスはほとんど存在していないと考えられる。
パネル調査においては時間の経過によるパネルの脱落が問題とされるが,本研究ではそうしたパ ネルの脱落はほとんど問題とはならないことを示しているといえる。調査に協力するかどうかは,
かなりの程度ランダムであると判断できる。しかしながら同時に,この研究は教職に就いていると いう比較的同質性の高い集団を研究対象としている点に,研究の限界があることに留意しなければ ならない。
引用文献
Andersen,R.,J.Kasper,M.R.Frankel,and associates.1979.Total Survey Error. San Francisco:Josssey-Bass.
朝倉眞粧美 .2005.「社会調査における無回答―項目無回答と回収率に関する研究動向―」『社会学研究科年報』
No.12.pp.35-48.
Weisberg,H.F..2005.The Total Survey Error Approach.Chicago:University of Chicago Press.