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九州・中国8県における 不快感を表す形容語 (上)

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(1)

九州・中国8県における 不快感を表す形容語 (上)

大学生の実態

山 県 浩

1.はじめに 2.調査の概要 3.調査結果・考察

1.項目単位の傾向

2.地域差の実態(以下、次号)

4.おわりに 5.別表の説明

1.はじめに

[1]本稿は、山県(2

a)

・山県(2

b)と同じく、沖縄県を除く九州・

山口8県に所在する大学・短期大学の在学生に対して行った、言語使用に関す るアンケート調査の結果を報告するものの一つである。

具体的には、不快感を表す5種の調査項目に関する報告を最初に行うものと して、今後の検討のため、県ごとに不快感を表す諸形式の使われ方の特徴を記

福岡大学人文学部教授

(2)

述することを第一の目標とする。そして、それに基づいて県単位での地域差の 実態などを報告する。

なお、本稿の依る調査は、山県(2

a)と同じく、九州7県及び山口県に

ついて県内を4〜12地域に区画して、これら8県の県内の地域差を報告するこ とを主要な目的とする。従って、本稿で県ごとに特徴を記すことは、県内差を 記述する前提として、県内差の有無やあり様を測る基準を示すことになる。

[2]本稿の依る調査は、不快感に関する前2稿、即ち、山県(26)及び山 県(27)の依った調査を踏まえ、それらの問題点を解消することを第一にし た。(1)

しかし、調査に不備があるとは言え、山県(27)(以下すべて「前稿」と 称する)は、不快感を表す諸形式の使われ方について、九州・山口各県の実態 を示し、問題のありかを絞り込んだ点で、本稿にとって有意義な存在である。

不快感に関する一連の報告で嚆矢となる本稿は、前稿と次の如く関わる。

即ち、前稿は、山県(26)を受けながら、その不備を補うとともに、九州・

山口8県の実態を略述することを目的にした。そして、実態のまとめの一つと して不快感にかかる7種の項目の区分を示した。

例えば、福岡県では、【項目 a・e・(c)

/項目 g/項目 b・d・f】など、7項目

を【〈ウザイ〉〈ウットーシイ〉

〈メンドイ〉〈メンドークサイ〉

〈キツイ〉〈ダル イ〉】の如く3種の語のグループによって3区分した。

このような区分を県ごとに示し、比較をして、福岡県や佐賀県・熊本県の3 区分が九州・山口地域の基本的なあり方であると結論付けた。ただ、他の県は、

長崎県の〈ヤゼイ〉、大分県の〈ヨダキイ〉などの「地域に特徴的な形式の使 われ方によって、県ごとの枠組みに変形したのであろう」(山県(27)p.8)

と述べるに留まった。確かに各県の実態は、この区分によって総合化して示せ た。しかし、各県の区分のあり方が相互にどのような関連を持ち、一方で「地 域に特徴的な形式」によってどのような違いが生まれたのか、「変形」とはど

(3)

のようなことなのかなどは示せなかった。

本稿は、調査票の制限や回答状況のため、対象とする項目は、実質的に4種 である。しかし、各県につき、項目ごとに諸形式の使われ方を示し、それに基 づいて各項目がどのような形式によってどのように区分されるかという区分の あり方をまとめ、この区分のあり方に基づいて地域差を示す。その上で、それ ら相互の関連などを考察する。

[3]西日本地域における、不快感など、感覚・感情を表す形容語の研究のう ち、本稿と同じく何らかの言語差を問題とする研究は、ある地域に限定して、

そこでの世代差を問題とする社会言語学的なものが主流である。

世代差を扱うのは、感覚・感情という抽象的な意味を表す語ゆえ、話者の捉 え方にユレが生じやすく、世代的には伝統的な意味が次の世代に正確に継承さ れにくく、結果的にある地域社会において意味・用法に世代差が生じているこ とが多いためである。

[31]陣内(10)は、博多方言の〈シロシイ〉について、老年層から少年層 までの話者62名につき、25種の質問文によって意味・用法を調査し、意味変 化の相を明らかにした。

〈シロシイ〉一語に限定した研究であるため、論は明解である。しかし、地 域の不快感を表す語彙の体系は見えない。また内省の利かない語を記述するこ との難しさも感じられる。

横手(20)は、徳島方言で不快感を表す〈エライ〉〈シンダイ〉〈セコイ〉

について、意味・用法の違いを世代差・地域差に注目して記述する。この場合、

4種の質問文で、阿南市3世代6名、徳島市2世代4名を調査する。

肉体的・精神的な不快感を表す、これら3語の持つ伝統的な意味・用法は記 述され、語による違い、世代による違いは明らかにされた。しかし、世代差か ら導かれる意味・用法の変化に関する視点が不十分で、地域差は徳島市で老年 層を欠くため、明確でない。

(4)

花岡(22)は、疲労感を表す「意味枠」を設け、そこに広島県大竹市方言 の〈タイギー〉を初めとする6語を位置付ける。その際、中年層20名を対象 にするが、世代差に関する言及も見られる。ただ、11種の質問文によってど のような回答が得られたのか、回答と「意味枠」がどのように対応するのかが 説明されず、整理された結論が示されるだけであるため、その妥当性が検証で きない。

「意味枠」とは、中立枠を含めて、身体・精神、統制の不可で設定される9種 の枠である。疲労感の体系を一般化し、世代差や地域差を客観的に捉える基準 として有効である。しかし、個々の語の意味記述は、「意味枠」での位置付け では不十分であるため、別になされねばならないが、旧来のものに留まる。

[32]これらの研究に共通することは、不快感を表す語の中心的意味と周辺的 意味はどのようなものか、複数の語を対象とする場合、周辺的意味での重なり はどのようなものかを重要な課題の一つとする点である。

しかし、意味が的確に記述されることは少なく、どのような状況=不快感の 生じる要因を出発点にして、どのような場合に使われるかという広義の用法が 問題とされる。意味の記述に見えても、同義の共通語を引き当てて終わってい ることもある。内省できる、できないに関わらず、抽象的な意味を持つ語を記 述することの難しさを感じさせられる。

本稿は、アンケートによる地域差を問題とする大人数調査である。上記の3研 究とは出発点から異なる。しかし、本稿でも、中心的な意味や周辺的な意味の 違いが問題となるため、類義的な関係にある複数の語を対象とする横手(20)

や花岡(22)から学ぶところは多かった。しかし、本稿は、形式の整理に留 まり、個々の語の意味・用法の説明に至らず、それらに触れることがあっても、

先行研究に依った。この点は、今後の課題である。

[33]地域ごとの記述的な研究に対し、本稿と同じくアンケート調査によって、

大量のデータを収集し、地域差の実態を示した報告も存する。

(5)

古くは、「疲れる仕事をして、息も絶え絶えになっている様子を言うのに、「あ あ、エライ」「ああ、エラー」「ああ、エレ」「ああ、エラカー」のように、「エ ラ イ」を い う こ と ば を 使 い ま す か」(高 橋・井 上(16)項 目 番 号15)や

「めんどうくさい」「嫌な感じだ」という意味で「ウザッタイ」ということば を使いますか」(真田(18)p.8)などの如く《ある意味・用法を持つ、あ る言い方の使用》を調査したものであった。しかし、近年は、本稿の依る調査 と同じく、「雨でズボンのすそがぬれてしまった。この時、「気持ちが悪い・不 快だ」というのをどういいますか」(岸江他(21)p.4)などの問に複数 の言い方を準備して選択させる調査が見られる。

これらの調査結果は、言語地図などにまとめられ、広域の地域差の実態が一 目で捉えられる。地域差を明らかにしようとする点は、本稿と同一である。

これらに対して、本稿は、地域差以外に、不快感に関する項目に絞り込み、

更に項目相互の関連を明らかにしようとする点が特徴である。勿論、言語地図 でも複数の地図の重ね合わせによってそれは可能になる。しかし、現状は、デー タとして提示されたままである。

[4]本稿は、不快感で共通しつつも、いくつかの異なる中心的・周辺的な意 味がどのような言い方によって言い分けられるか、また共通して言い表される か、即ち、どのような意味と形式の枠組みを持っているか、更に地域によって その枠組みがどのように異なるか、それは相互にどのような関係にあるのかな どを明らかにすることを目指す。

言い換えると、花岡(22)ほどの堅牢さはなく、体系性・網羅性に欠ける が、ある「意味枠」で使われる諸形式のあり様を地域ごとに捉え、それに基づ いて地域差を捉えようとする。この点で、本稿は、地域ごとの記述的な研究と 広域を対象とする地理的な研究の中間に位置する。

(6)

2.調査の概要

[1]本稿の依る調査は、27年10月から28年4月にかけて行った。

調査対象は、九州・山口8県に所在する大学・短期大学16校の在学生であ る(詳細は、山県(2

a)

・山県(2

b)

2章を参照のこと)

これら16校に依頼した結果、1,0名から回答を得た。しかし、九州・中 国・四国各県の出身者と認めがたい者などを除き、有効回答者として1,4名

(全回答の86.0%)を考察の対象とする。

更に本稿では県全体の有効回答者が30名以上である、沖縄県を除く九州7県 と山口県・広島県の出身者1,1名について報告する。また、岡山県・愛媛県 は、有効回答者が10名以上である。適宜、参考に取り上げる。(2)

なお、本稿では、以下、この有効回答者1,1名を単に回答者と称する。

[2]各項目は、所定の質問文に対して、18〜27種の言い方を選択肢として 示し、「自宅で両親や兄弟姉妹など、家族と話をするとき」に使っている言い 方すべてを(複数)選択する形式である(論末の調査資料参照)

山県(2

a)でも問題にしたが、

「学校で親しい友人と話をするとき」など

の場面設定にすれば、若年層に固有な新形式を有効に得られたであろう。しか し、《地域で使われる言い方をできるだけ多く収集する》との趣旨から、話し 相手は家族で、世代の違いを問題としなかった。

勿論、アンケート調査の常として、指定した使用場面が頭に浮かべられ、そ の時に自分が使う言い方が回答される保証はない。実際、沢山の選択肢に○が 施されることもある。回答者の使っているすべての言い方、聞いたことのある 言い方も含まれているのではないかと思われる。

[3]本稿の依る調査において、不快感に関する項目は、次の5種である。

項目5を除くと、『分類語彙表・増補改訂版』で「3.4 苦悩・悲哀」、特 にその02に分類される不快感である(項目5は、「3.3 飢渇・酔い・疲 労・睡眠など」の02)

(7)

調査票・Q2 項目1;前髪が目に掛かるときの気持ち(略称 前髪掛かり)

調査票・Q4 項目2;長雨が降り続いたときの気持ち(略称 長雨続き)

調査票・Q6 項目3;雨夜の出迎えのときの気持ち(略称 雨夜の出迎え)

調査票・Q7 項目4;落ち着きのない子供たちが気になるときの気持ち

(略称 落ち着きのない子供)

調査票・Q10 項目5;働き過ぎによる疲労感(略称 疲労感)

これらは、当初予定した項目のごく一部である。未調査の項目も含め、どの ような全体相で捉えようとしているかは、山県(26)2章[21]項に述べた。

[31]前稿で扱った7項目との関連は、次の如くで、本稿は、前稿の項目を4 項目継承しながら、独自の項目(項目4;落ち着きのない子供)を一つ設けた。

項目 a;長雨のときの気持ち → 本稿;項目2 項目 b;立ち仕事による疲労感 → 本稿;項目5 項目 c;はっきりしない空模様のときの気持ち → φ 項目 d;何もしたくないときの気持ち → φ

項目 e;前髪が目に掛かるときの気持ち → 本稿;項目1 項目 f ;空腹感に伴う身体的な不快感 → φ

項目 g;雨夜の出迎えのときの気持ち → 本稿;調査3

前稿の依る調査は、注(1)の如く2年度にわたる3種である。このため、7項 目も扱えた。しかし、本稿の依る調査は、1度きりで、調査票の紙面の関係の ため、不快感に関する項目は5種に絞り込まざるを得なかった。

[32]7項目から5項目に絞り込む際、『分類語彙表』「3.4 苦悩・悲哀」

に分類される不快感を中心とするとの趣旨から、項目 d・fを外し、また回答 が割れて傾向が捉えにくかった項目 cを外した。

一方で、同じ目障りさ・うるささであるが、物理的な接触を伴う項目1と異 なり、純粋に視覚的な不快感である項目4を設けた。

これは、『分類語彙表』3.4に分類にされる不快感を中心とすることと関

(8)

係する。即ち、本稿の依る調査の目的の一つに、山県(26)の如く新方言〈ウ ザイ〉の実態を明らかにすることが存する。そこで、項目1と意味的に重なる ところのある項目4を設け、〈ウザイ〉の使い分けを明らかにしようとした。し かし、後述の如く、本稿のデータとして項目4は問題があるため、他の4項目 と同列に扱えない。

[4]前稿では、福岡県の回答者が圧倒的に多いため、福岡県での使われ方を 基準にして、他の九州・山口7県での使われ方がどのように異なるかを検討す る形で、地域差の実態を述べた。

しかし、大分県・宮崎県・鹿児島県では回答者が10名以下の項目があるに も関わらず、検討はすべて各形式の回答率に依った。(3)即ち、回答者数の違 いを顧慮することなく、すべての県・項目を同列に扱い、回答率に依って地域 差や項目の違いを記述した。

これに対して、本稿の依る調査は、県単位でも回答者が多く、データの信頼 性は明かである。そこで、前稿の結果との比較を行い、その検証を行う。

勿論、本稿の依る調査も、注(2)で述べた如く、県ごとに回答者の相が異な る。またある基準を設けて回答を絞り込んでいる。このため、この比較は、同 時に本稿の調査結果や方法を検証し、見落としているところを掬い上げること にもなる。そして、両者で一致する傾向があれば、アンケート調査に依るもの であるが、本稿のデータは当該地域の言葉の実態をかなり正確に反映したもの であると言えることになろう。

3.調査結果・考察

[1]本章では、2章の調査によって得られたデータに基づいて、不快感を表 す諸形式につき、九州7県及び山口県・広島県における、それらの使われ方の 特徴をまとめる。次に、これらの項目が県ごとにどのような言い方によって言 い分けられるかなどをまとめ、この県ごとの区分のあり方に基づいて地域差を

(9)

示す。併せてそれら相互の関連などを考察する。

これらの内容につき、本章を構成する二つの章ごとに具体的に記すと、次の 如くである。

1章は、項目単位の検討を基本とする。即ち、項目の順に従って、県ごと に不快感を表す諸形式の使われ方の特徴を述べ、その項目での地域差を県の分 類という形で示す。また前稿と共通する4項目は傾向を比較する。そして、代 表的な言い方について男女差の有無やあり様を検討する。

2章では、前章の項目単位で示した地域差をまとめ、対象とした9県の関 係のあり方を示す。そして、それとは別に、各項目がどのような言い方によっ て言い分けられるか、また言い分けられず、複数の項目がどのような言い方に よって共通して言い表されるかなど、項目の区分のあり方をまとめる。その上 で、区分のあり方に基づいて対象9県の地域差の実態を示す。

更にこの区分について、前稿・山県(27)と傾向を比較し、相互に検証を する。併せて、その区分のあり方の関連などを考察する。

以上、不快感に関する一連の報告の嚆矢として、本稿は、調査項目全体・調 査地域全体の特徴を記述することを目的とする。

[2]考察は、回答された言い方すべてを扱う訳ではない。

対象とするのは、回答率30% 以上の言い方で、これらを《一定の回答率を 持つ、安定した言い方》と称する。これに加え、参考のため、回答率20%〜

9% の言い方は、《一定の回答率を持つ言い方》として一覧表に挙例し、適宜 言及する。

このように言い方を限定した結果、項目4;落ち着きのない子供は、回答率 0% 以上の言い方が少なく、他の4項目と同一基準で比較が行えない。そこ

で、扱いを他の4項目と違える。

なお、本稿の依る調査は、最大で27種の言い方を選択肢に持つ5種の項目 からなる。これらを集計したものは、紙面の関係で、次号(下)の論末に別表

(10)

として示す。本稿では、紙面が煩雑になるが、資料として回答率20% 以上の 言い方を回答率とともに示す。

1.項目単位の傾向

[1]本章では、不快感を表す5種の項目ごとに検討を行う。その際、九州7 県及び山口県・広島県ごとに、回答率30% 以上の言い方について、それらの 回答状況によって当該9県がどのように特徴付けられ、それによってどのよう に分類されるかという形で地域差を示す。

この際、九州・山口8県は、項目4;落ち着きのない子供を除く4項目で前 稿・山県(27)と傾向の比較を行う。勿論、本稿は、前稿の調査結果を検証 することを目的とはしない。比較の結果、傾向が一致する場合は、本稿の依っ た調査の確かさを示すことになる。(4)

また、回答率が30% 以上であるなど、各項目を代表する言い方は、[9]項 で男女差について検討する。注(2)の如く一部の県では女性の割合が高い。こ のため、使われ方に男女差のある言い方の場合、女性の傾向が県全体の傾向に なっていることが考えられるためである。

[2]各項目の全体傾向を捉えるため、各項目を代表する言い方として、九州 7県及び山口県・広島県全域で回答率が高く、広く使われていると言える言い 方(=共通語的形式)と特定地域(県)で回答率が高く、地域的に特徴的であ ると言える言い方(=地域固有形式)を次の如き基準で定めた。(5)

これは、ある回答率で一線を引く基準である。このため、回答率30% 以上 の言い方でも対象外になることがある。勿論、これらは、回答率30% 未満の 言い方ともども各検討で触れる。

A1.共通語的形式;9県中7県以上で30% 以上の回答率を有する言い方 A2.準共通語的形式;9県中5・6県で30% 以上の回答率を有する言い方 B1.地域固有形式;ある1・2県で50% 以上の回答率を有する言い方。但

(11)

し、その他の県は、B2.準地域固有形式を除き、20% 未満の回答率で ある。

B2.準地域固有形式;ある1・2県で30% 以上50% 未満の回答率を有す る言い方。但し、その他の県は、B1.地域固有形式を除き、20% 未満 の回答率である。

上記の基準に依ると、項目ごとに次の如き言い方が(準)共通語的形式・

(準)地域固有形式に該当する。

項目1;前髪掛かり

A1.共通語的形式;ウザイ[全9県]・ジャマ(イ)[全9県]・ウットーシイ

[8県、除;佐賀県]

B2.準地域固有形式;セカラシイ[佐賀県]・ヤゼイ[長崎県]

項目2;長雨続き

A1.共通語的形式;ウザイ[8県、除;大分県]

B1.地域固有形式;タイギ[広島県]

B2.準地域固有形式;セカラシイ[佐賀県]・ヤゼイ[長崎県]・ヨダキイ

[大分県・宮崎県]

項目3;雨夜の出迎え

A1.共通語的形式;メンドイ[7県、除;大分県・宮崎県]・メンドークサイ

[7県、除;鹿児島県・広島県]

A2.準共通語的形式;ダルイ[6県、除;福岡県・佐賀県・長崎県]

B1.地域固有形式;タイギ[広島県]・ヨダキイ[宮崎県]

B2.準地域固有形式;セカラシイ[佐賀県]・テソイ[鹿児島県]・ヨダキイ

[大分県]

項目4;落ち着きのない子供 なし 項目5;疲労感

A1.共 通 語 的 形 式;ダ ル イ[全9県]・ツ カ レ タ[全9県]・キ ツ イ[7県、

(12)

除;鹿児島県・広島県]

B1.地域固有形式;エライ[山口県]・タイギ[広島県]

B2.準地域固有形式;ダレタ[宮崎県・鹿児島県]

[21]当該地域で回答率が高く、広く使われる(準)共通語的形式の言い方 8語は、全国共通語だけではない。

全国共通語は、〈ジャマ(イ)〈ウットーシイ〉〈メンドークサイ〉〈ツカレ タ〉及び項目5の〈ダルイ〉である。

しかし、〈ジャマ(イ)〉は調査票の代表形式として示した表記である。実際 は、論末の調査資料の如く、〈ジャマ〉〈ジャマイ〉以外に〈ジャマカ〉〈ジャ マナ〉を含む選択肢の形式である。また〈ウットーシイ〉〈メンドークサイ〉も カ語尾の形で使用する場合も含む。

全国共通語でない言い方は、〈ウザイ〉〈メンドイ〉〈キツイ〉及び項目3の

〈ダルイ〉である。本稿の依る調査は、前述の如く、これらのうち〈ウザイ〉の 使われ方を明らかにすることを目的の一つにしていた。このため、類義的な項 目が存し、〈ウザイ〉は5項目中2項目で共通語的形式である。

[22]特定の県で回答率が高い、(準)地域固有形式7語は、〈セカラシイ〉(佐 賀県)〈ヤゼイ〉(長崎県)〈ヨダキイ〉(大分県・宮崎県)〈タイギ〉(広島 県)〈テソイ〉(鹿児島県)〈エライ〉(山口県)〈ダレタ〉(宮崎県・鹿児島 県)の如く多彩である。

これらのうち〈セカラシイ〉〈タイギ〉は3項目に見られ、〈ウザイ〉より多 い。従って、佐賀県・広島県は、2章で述べる項目の区分のあり方で特徴的 な位置を占めることになる。

なお、福岡県・熊本県には(準)地域固有形式が存しない。特に福岡県は、

県内差が大きいことが一因である。(6)

またこれら以外に、回答率30% 以上であるが、条件を僅かに満たさない言 い方が10語近く存する(項目1〈ジャマクサイ〉、項目2〈ユーウツ〉、項目4

(13)

〈サワガシイ〉〈シャーシイ〉〈セカラシイ〉〈メザワリ〉項目5〈クタビレタ〉

など)

[23]不快感を表す5項目ごとに九州7県及び山口県・広島県における各形式 の使われ方の特徴を示し、地域差を示す。

この場合、各項目を代表する言い方である(準)共通語的形式及び(準)地 域固有形式がどのように使われるか、それら以外の言い方がどのように使われ るかなどの形で述べる。

資料として、県単位に回答率の高い言い方から20% 以上の言い方まで回答 率とともに順に列挙する。この場合、30% 以上の言い方の後には「//」を記 して、30% 未満の言い方と区別する。また回答率の差が20% 以上ある言い方 の間には「≫」を記す。また検討は回答率に依る上、煩雑さを避けるため、個々 の言い方は、回答率だけで、原則として回答の実数は示さない。実数は、次号

(下)の別表を参照されたい。

[3]項目1;前髪掛かり

共通語的形式とした〈ウザイ〉〈ジャマ(イ)〉がすべての県で、〈ウットー シイ〉が佐賀県を除く8県で30% 以上で使われる。

一方、準地域固有形式とした〈セカラシイ〉が佐賀県で30.6%、〈ヤゼイ〉

が長崎県で34.9% で使われる。その他、〈ジャマクサイ〉は、広島県で30.0%

であるが、宮崎県で21.5% であるため、準地域固有形式の条件に該当しない。

前髪が目に掛かって、触覚的・視覚的にうるさい・鬱陶しい気持ちを表す項 目として、当該9県は、若干の出入りはあるが、以上の言い方を基本とする。

福 岡 県(55)〈ウ ザ イ〉53.0%・〈ウ ッ ト ー シ イ〉51.1%・〈ジ ャ マ

(イ)〉44.3%//φ

佐賀県(98)〈ジャマ(イ)〉64.3%・〈ウザイ〉56.1%≫〈セカラシイ〉

0.6%//〈ウットーシイ〉29.6%・〈ヤグラシイ〉20.4%

長 崎 県(19)〈ジ ャ マ(イ)〉60.4%・〈ウ ザ イ〉53.3%・〈ウ ッ ト ー シ

(14)

イ〉35.5%・〈ヤゼイ〉34.9%//φ

熊 本 県(15)〈ウ ザ イ〉54.1%・〈ウ ッ ト ー シ イ〉44.4%・〈ジ ャ マ

(イ)〉41.5%//〈ウザッタイ〉27.4%・〈ヤゼラシイ〉20.0%

大 分 県(13)〈ウ ッ ト ー シ イ〉67.5%≫〈ウ ザ イ〉40.5%・〈ジ ャ マ

(イ)〉35.0%//φ

宮 崎 県(70)〈ウ ザ イ〉50.0%・〈ウ ッ ト ー シ イ〉50.0%・〈ジ ャ マ

(イ)〉34.3%//〈ウザッタイ〉24.3%・〈ジャマクサイ〉21.5%

鹿児島県(27)〈ウザイ〉46.1%・〈ジャマ(イ)〉46.1%・〈ウットーシ イ〉33.6%//〈ウザッタイ〉21.7%

山 口 県(64)〈ウ ッ ト ー シ イ〉65.6%・〈ウ ザ イ〉62.5%≫〈ジ ャ マ

(イ)〉35.9%//φ

広島県(30)〈ジャマ(イ)〉56.7%・〈ウットーシイ〉50.0%・〈ウザイ〉

6.7%・〈ジャマクサイ〉30.0%//φ

[31]回答率は高くないが、特徴的な言い方を有する佐賀県・長崎県・広島県 とそれ以外の6県に二分する。次に、6県は、共通語的形式の〈ウザイ〉〈ウッ トーシイ〉〈ジャマ(イ)〉の回答率の違いで分類する。

なお、広島県の〈ジャマクサイ〉の扱いが問題となる。しかし、当県に特徴 的であるため、佐賀県・長崎県の〈セカラシイ〉と同じ扱いとして、第一次の 分類で基準とする。しかし、a 類内部では別にする。

a1類;佐賀県・長崎県=〈ウザイ〉〈ジャマ(イ)〉が多く、当2県に特徴 的な〈セカラシイ〉〈ヤゼイ〉も見られる。

a2類;広島県=〈ジャマ(イ)〈ウットーシイ〉が多く、当県に特徴的な

〈ジャマクサイ〉も見られる。

b1類;福 岡 県・宮 崎 県・山 口 県=〈ウ ザ イ〉〈ウ ッ ト ー シ イ〉が 多 く、

〈ジャマ(イ)〉も見られる。

b1 類;鹿児島県=〈ジャマ(イ)〈ウザイ〉が並び、〈ウットーシイ〉も

(15)

見られる。

b2類;大分県=〈ウットーシイ〉が多く、〈ウザイ〉〈ジャマ(イ)〉も見 られる。

b2 類;熊本県=〈ウザイ〉が多く、〈ウットーシイ〉〈ジャマ(イ)〉も 見られる。

上の分類は、項目1において、九州7県及び山口県・広島県で使われる、代 表的な言い方に基づく、9県のグループ分けである。これが同時に当項目の県 単位での地域差の実態である。

なお、〈セカラシイ〉〈ヤゼイ〉〈ジャマクサイ〉の有無を第一次の基準とし て分類した。しかし、これらの回答率は30% 台で高くない。このため、a 類 b 類の違いは、後述の諸項目のそれより小さい。共通語的形式も回答率の 差だけであるため、本項目は全般に地域差が顕著でない。

回答率30% 以上の言い方として、佐賀県は共通語的形式3語のうち、唯一

〈ウットーシイ〉を欠く。しかし、その回答率は29.6% で、〈セカラシイ〉と は回答者1名の違いでしかない。従って、当県の代表的な言い方は回答率で

〈ジャマ(イ)〉>〈ウザイ〉≫〈セカラシイ〉〈ヤゼイ〉〈ウットーシイ〉 の如き3グループに分かれ、長崎県と一致する。

〈ウザイ〉〈ジャマ(イ)〈ウットーシイ〉3語の間で回答率の大きな差の 存するのは、山口県の〈ウザイ〉〈ウットーシイ〉と〈ジャマ(イ)〉の間、大 分県の〈ウットーシイ〉と〈ウザイ〉〈ジャマ(イ)〉の間、そして、上記、佐 賀県・長崎県の〈ジャマ(イ)〈ウザイ〉と〈ウットーシイ〉の間である。熊 本県の〈ウザイ〉と〈ウットーシイ〉〈ジャマ(イ)〉の間は、差が約10% し かなく、或いは、3語に差がないとする分類(b3類)を立ててもよいかもし れない。

[32]前稿の項目 eでも、〈ウザイ〉〈ウットーシイ〉〈ジャマ(イ)〉が8県 に一定して見られる。

(16)

また長崎県の〈ヤゼイ〉は、57.9% と高く、特徴的な言い方として目を惹 く。一方、佐賀県の〈セカラシイ〉は、37.9% で、前稿で基準とした40% に 僅かに達しない。

これらの点も含め、本稿の傾向は、前稿でもほぼ確認できる。

しかし、前稿では、〈ウザッタイ〉〈ジャマクサイ〉が多くの県で40% 以上 の回答率を有する(前者は宮崎県・山口県、後者は熊本県・宮崎県・鹿児島 県)。これに対して、本稿で30% 以上は広島県の〈ジャマクサイ〉だけである。

0% 台でも、〈ウザッタイ〉は3県(熊本県・宮崎県・鹿児島県)〈ジャマク サイ〉は1県(宮崎県)に過ぎない。

〈ウザッタイ〉〈ジャマクサイ〉はいずれも〈ウザイ〉〈ジャマ(イ)〉の旧 形式である。本稿・前稿とも回答者はほぼ同じ年齢であるため、調査時期の違 いから、回答者の年齢差は最大で4歳である。若者ゆえの変化の著しさの反映 であろうか。(7)

以上、前稿との比較では、〈ウザッタイ〉〈ジャマクサイ〉の回答率の違いが ポイントになる。このため、前稿でこれらの回答率の低い福岡県・佐賀県・長 崎県・大分県は一致するが、回答率の高い熊本県・宮崎県・鹿児島県・山口県 では若干異なることになる。しかし、本稿で共通語的形式・(準)地域固有形 式となる言い方は、前稿でも同様の性格で、回答状況も概ね一致する。この点 で、上記2語における相違も周辺での問題である。

[4]項目2;長雨続き

唯一の共通語的形式である〈ウザイ〉が大分県を除く8県で30% 以上で使 われる。

広島県の〈タイギ〉は地域固有形式の典型と言える回答状況である。当県で 0.0% の高率であるが、他県では最高で山口県の12.5% に過ぎない(その他、

岡山県27.3%・愛媛県23.1%)

準地域固有形式では、〈セカラシイ〉が佐賀県で32.7%、〈ヤゼイ〉が長崎

(17)

県で33.7% など、項目1とほぼ同じ回答率である。更に本項目では、〈ヨダキ イ〉が、大分県39.3%、宮崎県41.4% と、40% 前後の回答率で並ぶ。

項目1で共通語的形式であった〈ウットーシイ〉は、福岡県・熊本県・大分 県で回答率が30% 以上になるに過ぎない。

なお、項目1と同じく〈ウザイ〉は共通語的形式としての条件を満たす。し かし、全体的に回答率は低くなり、大分県に加え、宮崎県・鹿児島県及び山口 県で40% 未満となる。

以上、項目1と同じく鬱陶しさが問題となるが、長雨が降り続き、気がふさ いで覚える精神的な鬱陶しい気持ちを表す本項目は、共通語的形式が〈ウザイ〉

1語となる一方、(準)地域固有形式が多彩になる。このため、項目1に比べ て地域差が大きい。

福岡県(55)〈ウザイ〉45.2%・〈ウットーシイ〉31.7%//φ

佐賀県(98)〈ウザイ〉44.9%・〈セカラシイ〉32.7%//〈ウットーシイ〉

0.4%

長崎県(19)〈ウザイ〉46.7%・〈ユーウツ〉34.3%・〈ヤゼイ〉33.7%

//

〈ウットーシイ〉20.7%

熊 本 県(15)〈ウ ザ イ〉43.0%・〈ウ ッ ト ー シ イ〉34.1%//そ の 他 4.4%・〈ユーウツ〉23.0%

大分県(13)〈ヨダキイ〉39.3%・〈ウットーシイ〉32.5%//〈ウ ザ イ〉

6.4%・その他22.1%

宮崎県(70)〈ヨダキイ〉41.4%・〈ウザイ〉35.7%//その他27.1%

鹿 児 島 県(27)〈ウ ザ イ〉30.0%//そ の 他28.6%・〈ウ ッ ト ー シ イ〉

5.8%

山 口 県(64)〈ウ ザ イ〉37.5%//〈ユ ー ウ ツ〉26.6%・〈ウ ッ ト ー シ イ〉

5.0%・その他23.4%

広 島 県(30)〈タ イ ギ〉70.0%≫〈ウ ザ イ〉43.3%//〈ウ ッ ト ー シ イ〉

(18)

0.0%

[41](準)地域固有形式の有無を第一次の基準にし、唯一の共通語的形式で ある〈ウザイ〉の回答状況を加味して9県を次の如く分類する。

a1類;広島県=当県に特徴的な〈タイギ〉が圧倒的に多い。

a1 類;大分県・宮崎県=当2県に特徴的な〈ヨダキイ〉に加え、〈ウッ トーシイ〉または〈ウザイ〉も見られる。

a2類;佐賀県・長崎県=〈ウザイ〉に加え、当2県に特徴的な〈セカラシ イ〉〈ヤゼイ〉も見られる。

b 類;福岡県・熊本県・鹿児島県・山口県=〈ウザイ〉に加え、〈ウットー シイ〉が見られることもある。

(準)地域固有形式と〈ウザイ〉に依る分類であるが、回答率の差は、広島 県の〈タイギ〉と〈ウザイ〉の間を除くと、大きくない。また〈ウットーシイ〉

〈ユーウツ〉が見られるが、回答率30% 以上は数県に留まるため、分類には 関係しない。

なお、選択肢にない言い方を使うという「その他」が20% 以上となる県が、

熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・山口県の5県にも及ぶ。詳しくは県内差 を検討する別稿で資料として一覧表を示し、検討する。(8)

[42]前稿の項目 aでは、〈ウザイ〉や本稿の(準)地域固有形式が代表的な 言い方になっている。しかし、〈ウットーシイ〉が宮崎県を除く7県で40% 以 上の回答率で、〈ウザイ〉と並ぶ。

その他、回答者7名の大分県、6名の宮崎県で本稿との違いが目立つ。即ち、

大分県では、〈シャーシイ〉〈ユウウツ〉が本稿で各々3.7%・12.9% に対し、

前稿でともに3名・42.9%。宮崎県では、〈ウザッタイ〉が本稿で7.1% に対 し、前稿では3名・50.0%、〈ヨダキイ〉が本稿で41.4% に対し、前稿は2名・

3.3% である。

本稿と前稿で回答率を比べると、前稿の方が本稿より高いことが一般的であ

(19)

る(注(4)参照)。この点で、宮崎県の〈ヨダキイ〉は10% もの差はないが、

本稿の方が前稿より高く、特異である。これは、〈ヨダキイ〉が本稿では大分 県・宮崎県とも回答率が40% 前後であったのに対し、前稿では宮崎県の方が 大 分 県 よ り 約50% も 低 い こ と と も 関 係 す る(宮 崎 県33.3%

cf.大 分 県

5.7%)

これについて、前稿では〈ヨダキイ〉の周辺的な意味で差違があり、本項目 の如き精神的な鬱陶しさは、大分県に特有のものではないかと考えた。しかし、

本調査の両県の回答状況から判断すると、前稿の宮崎県出身者の回答に問題が あったと考えざるを得ない。少ない回答者に生じた、僅かな回答ミスなどが原 因であろうか。

以上、前稿との比較では、〈ウットーシイ〉の回答率が前稿で高いため、福 岡県・熊本県で一致、佐賀県・長崎県・鹿児島県・山口県でほぼ一致すると言 える。そして、大分県・宮崎県は、それに加え、それぞれに特徴的な言い方で 違いが存するため、一致しない。しかし、本稿で共通語的形式・(準)地域固 有形式とする言い方は、宮崎県の〈ヨダキイ〉を除くと、前稿でもそのような 性格の語と認められる。従って、全体的な傾向の一致度は低くない。

[5]項目3;雨夜の出迎え

本項目は、(準)共通語的形式・(準)地域固有形式とも多彩であるため、項 目2以上に地域差が顕著である。

共通語的形式は〈メンドイ〉〈メンドークサイ〉準共通語的形式は〈ダルイ〉

である。しかし、条件を満たさない県が多く、〈メンドイ〉は大分県・宮崎県、

〈メンドークサイ〉は鹿児島県・広島県、〈ダルイ〉は福岡県・佐賀県・長崎県 が除外される。

地域固有形式は、〈タイギ〉(広島県)〈ヨダキイ〉(宮崎県)、準地域固有形 式は、〈セカラシイ〉(佐賀県)〈テソイ〉(鹿児島県)〈ヨダキイ〉(大分県)

である。

(20)

福岡県(55)〈メンドイ〉61.2%≫〈メンドークサ イ〉31.5%//〈ダ ル イ〉23.5%

佐賀県(98)〈メンドイ〉52.0%・〈セカラシイ〉38.8%・〈メンドークサ イ〉31.6%//〈メンドー〉24.5%

長崎県(19)〈メンドイ〉56.8%≫〈メンドークサ イ〉30.8%//〈ヤ ゼ イ〉27.8%・〈メ ン ド ー〉25.4%・〈ダ ル イ〉24.3%・〈ウ ザ イ〉

2.5%

熊本県(15)〈メンドイ〉55.6%・〈メンドークサイ〉43.0%・〈ダルイ〉

5.6%//φ

大分県(13)〈メンドークサイ〉42.9%・〈ヨダキイ〉41.1%・〈ダルイ〉

6.2%//〈メンドイ〉28.8%

宮崎県(70)〈ヨダキイ〉57.1%・〈ダルイ〉52.9%・〈メンドークサイ〉

4.3%//〈メンドイ〉27.1%

鹿 児 島 県(27)〈メ ン ド イ〉49.8%・〈ダ ル イ〉47.0%・〈テ ソ イ〉

5.5%//〈メンドークサイ〉26.3%

山口県(64)〈メンドイ〉68.8%≫〈ダルイ〉35.9%・〈メンドークサイ〉

1.3%//〈メンドー〉23.4%

広島県(30)〈タイギ〉83.3%≫〈メンドイ〉56.7%≫〈ダルイ〉30.0%

//

〈メンドークサイ〉23.3%

[51](準)地域固有形式の有無、(準)共通語的形式の回答率の違いから対象 9県を次の如く分類する。これまでになく分類が細かい。

a1類;広島県=当県に特徴的な〈タイギ〉が圧倒的に多いが、〈メンドイ〉

も多い。

a1 類;大 分 県・宮 崎 県=当2県 に 特 徴 的 な〈ヨ ダ キ イ〉が〈ダ ル イ〉

〈メンドークサイ〉と並んで見られる。

a2類;鹿児島県=〈メンドイ〉〈ダルイ〉に加え、当県に特徴的な〈テソ

(21)

イ〉も見られる。

a3類;佐賀県=〈メンドイ〉が多く、当県に特徴的な〈セカラシイ〉が

〈メンドークサイ〉と並んで見られる。

b1類;福岡県・長崎県=〈メンドイ〉が多く、〈メンドークサイ〉も見ら れる。

b2類;熊本県・山口県=〈メンドイ〉が多く、〈メンドークサイ〉〈ダルイ〉

も見られる。

(準)地域固有形式は回答率の高さに関わらず重視した。このため、佐賀県 は、〈メンドイ〉と回答率の差が大きいが、〈セカラシイ〉の存在のゆえ、a 類 所属とした。また長崎県は〈ヤゼイ〉が27.8% で、条件を僅かに満たさない ため、b 類所属とした。しかし、満たせば、〈メンドイ〉〈メンドークサイ〉の 回答状況から佐賀県と同じa3類に分類される。

九州7県は〈メンドイ〉と〈ダルイ〉が関係する。福岡県・佐賀県・長崎県 では〈メンドイ〉の回答率が高く、他の言い方との差が大きい。一方、〈ダル イ〉の回答率は30% 未満である。これら3県に対し、熊本県・大分県・宮崎 県・鹿児島県は、〈ダルイ〉の回答率が30% 以上で、〈メンドイ〉の回答率が 0% 未満になることさえある。

本項目は(準)地域固有形式が多彩であるため、分類に(準)共通語的形式 3語の回答状況は殆ど反映していない。しかし、〈ダルイ〉は、準共通語的形

式らしく地域差が見られる。

なお、中国2県は、〈メンドイ〉と〈ダルイ〉に九州のような関係は見られ ない。〈ダルイ〉の回答率に関わらず〈メンドイ〉の回答率は高い。従って、 2類として熊本県と山口県をまとめたが、〈メンドイ〉と他2語との違いのあ

り方は異なる。

広島県に特徴的な〈タイギ〉は、回答率が83.3% と高い。これは、本調査 の全項目中最高の回答率で、他に80% 台は存しない。花岡(22)は、当県

(22)

で〈タイギ〉が属性形容詞としての用法を持ち始め、中間年層でも年若な話者 はどのような状況でも〈タイギ〉を使用するなど、用法の広がりが見られると 報告する。この回答率の高さもその反映であろうか。

なお、当県に隣接する各県の〈タイギ〉の回答率は、山口県は15.6%、岡 山県は27.3%、愛媛県は38.5% である。

[52]前稿の項目 gでは、本稿と同じく〈メンドイ〉〈メンドークサイ〉〈ダ ルイ〉が各県で見られ、〈セカラシイ〉〈ヤゼイ〉〈ヨダキイ〉〈テソイ〉が該当 の各県に見られる。

(準)共通語的形式は前稿でもほぼ同程度の回答率である。しかし、(準)地 域固有形式は本稿の方で回答率が10〜20% 程度低い。この中で、佐賀県・長 崎県の〈ウザイ〉は、前稿でそれぞれ44.8%・63.2% と特に高い。両県に続 く福岡県・宮崎県・山口県は30% を切る。

勿論、本稿でも本項目での佐賀県・長崎県の〈ウザイ〉の回答率は他県より 若干高い(回答率の高い県から順;長崎県22.5%・佐賀 県19.4%・広 島 県 6.7%・福岡県13.2%・熊本県12.6%・山口県6.3%…)。本稿で は30% を 越えていないが、佐賀県・長崎県での〈ウザイ〉の回答率の高さは、実態を反 映しているところがあるのかもしれない。しかし、前稿での回答率の高さ、特 に長崎県の値はやや特異である。(9)

更に長崎県では、当県に特徴的な〈ヤゼイ〉が前稿で57.9% と高い。しか し、本稿では27.8% であるため、対象外である。

以上、前稿と比較した場合、〈ウザイ〉〈ヤゼイ〉の回答率の違いがポイント となる。本稿では、いずれも回答率が30% 以上でないため、佐賀県、更に長 崎県で一致せず、傾向が異なる。しかし、これら以外の6県では問題ない。

[6]項目4;落ち着きのない子供

前述の如く、本項目は、前稿に対応する項目が存しない上、回答率30% 以 上の言い方が少ない。即ち、回答率30% 以上の安定した言い方を1語でも有

参照

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