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「法律上の利益」について(1)

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(1)

取消訴訟の原告適格を基礎づける

「法律上の利益」について(1)

―― 判例理論を前提とした原告適格拡大の方向性に

ついての一考察 ――

山 下 義 昭

*

目次

Ⅰ はじめに

Ⅱ 判例理論(いわゆる「法律上保護された利益説」)の分析 1.「権利」の「侵害」

2.「法律上保護された利益」の「侵害」

3.「公益」と「個人的利益」(以上本号)

4.「行政権の行使の制約」

Ⅲ 原告適格拡大の方向性

Ⅳ おわりに

Ⅰ はじめに

周知の通り、2004(平成 16)年の行政事件訴訟法(以下「行訴法」とい う)の改正において取消訴訟の原告適格に関する第 9 条も改正され、同条に 第 2 項が追加された。第 9 条改正の目的が原告適格の拡大にあったことは

 

* 福岡大学法科大学院教授

(2)

明らかであるが1、この改正により判例が実際どのように展開するかについ ては種々の「予想ないし期待」があったとされている。例えば、「判例変更 は行われず、下級審裁判例の底上げにとどまるというもの」、「少なくとも、

9 条 2 項の基礎になった判例のレベルに達するよう、過去の最高裁判例も見 直されるというもの」、さらには、「過去の判例の水準を超えて原告適格の判 断が柔軟化されるというもの」などである2。しかし、行訴法改正後の最高 裁判例は、後に詳しく検討するように、第 9 条の改正が必ずしも原告適格の

「過去の判例の水準を超え」る判断の柔軟化にはつながらないことを強く示 唆するものとなっている3

第 9 条改正が原告適格の拡大につながっていない最大の理由は、改正後も 判例が原告適格の判断にいわゆる「法律上保護された利益説」をとっている こと4にあるのは確かであろう。この点、ある論者は次のように指摘してい た。すなわち、「原告適格について法律上保護された利益説を採る限り、原 告適格を有する者の範囲をできるだけ広く捉えようとしても、その範囲を抽 象的一般的に表現する文言としては今回の解釈規定と大きく異なるものは想 定し難いのであって、これを適用した結果が相当でないと考えられるとすれ ば、それは、当該事案において行政処分の根拠法規となっている行政実体法 に問題があるといわざるを得ないのであり、結局、原告適格を有する者の範 囲を広くするためには、…今回の改正法と同様の趣旨に基づいて行政実体法

1  参照、ジュリスト増刊・改正行政事件訴訟法研究(2005)62 頁以下。

2  野呂充「原告適格論の再考―改正行政事件訴訟法下での原告適格及び自己の法律上 の利益に関係のない違法の主張制限について―」法律時報 82 巻 8 号(2010)14 頁。

他にも、参照、室井力他『行政事件訴訟法・国家賠償法』(第 2 版)(2006)147 頁。

3  その例が、周知のとおり最判平成 21 年 10 月 15 日([サテライト大阪最高裁判決]

民集 63 巻 8 号 1711 頁)である。

(3)

を個別的に見直すという地道な作業が必要である」と5

判例理論である「法律上保護された利益説」が原告適格の拡大を妨げてい るのであれば、今時の改正を機に、この説の見直しの方向が模索されるべ きであるとの見解も当然あり得るところである6。もっとも、今時の改正に あっても、原告適格に関する定め(「処分の取消しの訴え及び裁決の取消し の訴え…は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有す る者…に限り、提起することができる。」)は変更されることなく第 9 条 1 項 としてそのまま残されたこと7、また、「法律上保護された利益説」は判例 上確立したものとされている8ことからすれば、このような見解が判例に与 えるインパクトは必ずしも大きくないといわざるを得ないであろう9

4  この点については、以下のとおり、小田急大法廷判決の調査官解説でも指摘されて いるところである。「この判示〔最判平成 17 年 12 月 7 日民集 59 巻 10 号 2645 頁〕は、

最高裁が、平成 16 年改正を踏まえた原告適格の判断の在り方について、行政事件訴訟 法 9 条 2 項の規定が同条 1 項所定の『法律上の利益』の解釈指針を定めたものであっ て、この点に関する従来の判例理論自体の変更を求めるものではないという理解の下 に、『法律上保護された利益説』に立ちつつ同条 2 項の解釈指針に従って原告適格を判 断するべきことを示したものである。」(森英明「判解」法曹時報 60 巻 2 号 335 頁)。

また、サテライト大阪最高裁判決の調査官解説でも以下の指摘がある。「最高裁は、改 正後の行訴法の解釈に関しても、『法律上保護された利益説』に立つ従来の原告適格に 関する最高裁判例の基本的な判断枠組みを維持しつつ、改正により新設された行訴法 9 条 2 項を参酌して、処分の根拠法令と『目的を共通する関係法令』を緩やかにとらえ て『法律上の利益』について柔軟な解釈を示したものと評価されているところである

…。」(清野正彦「判解」法曹時報 62 巻 11 号 206 頁)。

5  藤山雅行「このエネルギーの持続を」ジュリスト 1277 号(2005)42 頁。

6  例えば、越智敏裕「行政事件訴訟法の改正と環境訴訟の展望」上智法学論集 48 巻 3 号(2005)482 頁など。

7  この間の経緯については参照、稲葉馨「取消訴訟の原告適格」園部逸夫=芝池義一 編『改正行政事件訴訟法の理論と実務』(2006)64 頁以下。

(4)

本稿は、以上のような状況を踏まえ、判例の「法律上保護された利益説」

を前提とした原告適格の拡大の方向性を探ろうとするものである10。このた め、まず、判例理論である「法律上保護された利益説」についての分析を 行うこととし(以上についてはⅡで述べる)、次に、この分析を踏まえた上 で、原告適格拡大の方向性ないし可能性を検討することとしたい(以上につ いてはⅢで述べる。)。

Ⅱ 判例理論(いわゆる「法律上保護された利益説」)の分析

小田急大法廷判決11の調査官解説は、最高裁判決 10 例を検討して、原告

8  この点について次の指摘がある。「判例上、『法律上保護された利益説』に立って原 告適格の有無を判定すべきものとする立場は、すでに確立したものになっているとい うことができる。原告適格をめぐる解釈についての、今日的な実務上の課題は、法律 上保護された利益と反射的利益をどのように判別していくべきであるのか、また、あ る利益が法律上保護された利益であると認められる場合に、その利益を個別具体的に 保護されていると認められる者の範囲をどのように画していくべきであるのかいった 点についての解釈手法ないし解釈基準を確立していくことにあるものといえよう。」司 法研修所編『行政事件の一般的問題に関する実務的研究(改訂版)』(以下『実務研究』

として引用)(2000)87 頁。

9  司法制度改革推進本部行政訴訟検討会「行政訴訟見直しのための考え方」(平成 16 年 1 月 6 日)の「委員の意見」で、福井秀夫は次のように述べていた。「原告適格につ いては、考慮事項を規定するのみでは足りず、行政事件訴訟法 9 条の『法律上の利益』

という文言を『法的利害関係』などに変更すべきである。掲示されている考慮事項は 従来の最高裁判例を踏襲したものであるのに加え、現行法で原告適格を定義する唯一 の法令上の文言である『法律上の利益』をそのまま維持する以上、従来の法令と最高 裁判決により画されている原告適格の範囲が判例により今後適切に拡大することは困 難である」。

10  もちろんこのことは、「法律上保護された利益説」以外の説、とりわけ「法的保護に 値する利益説」の検討の重要性をいささかも否定するものではない。

11  最判平成 17 年 12 月 7 日(民集 59 巻 10 号 2645 頁)。

(5)

適格に関する判例理論、いわゆる「法律上保護された利益説」を次のように 整理している。

「ア 当該処分の取消を求めるにつき『法律上の利益を有する者』とは、

当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は 必然的に侵害されるおそれのある者をいう。

イ 当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般 的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利 益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、か かる利益も上記の法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵 害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の原告適格を有 する。

ウ 当該行政法規が、不特定多数者の具体的利益をそれが帰属する個々人 の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは、当該行政 法規の趣旨・目的、当該行政法規が当該処分を通して保護しようとしている 利益の内容・性質等を考慮して判断すべきである」12

上記の整理からも明らかなように、判例理論によれば、行訴法 9 条 1 項の

「法律上の利益を有する者」(=原告適格を有する者)は、「自己の権利若し4 4 4 4 4 4 4 くは法律上保護された利益4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4を侵害され4 4 4 4、又は必然的に侵害されるおそれ4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4のあ る者」(傍点筆者)である。そして、後述のとおり、「自己の権利」と「法律 上保護された利益」とはその内容を異にし、また、それらの「侵害」(以下

「必然的に侵害されるおそれ」を含む意味で用いる)の意味も異なってい る。そこで、以下では、自己の(ⅰ)「権利」の「侵害」、(ⅱ)「法律上保

12  ちなみに、この整理の内容は、もんじゅ事件最高裁判決(最判平成 4 年 9 月 22 日民 集 46 巻 6 号 571 頁)内容とほとんど同じである。

(6)

護された利益」の「侵害」を区別して検討を進める。その上で、「法律上保 護された利益」の導出に関する判例の解釈手法について、とくに、(ⅰ)「公 益」と「個人的利益」という観点、並びに、(ⅱ)「行政権の行使の制約」と いう観点から分析検討することとしたい。

1.「権利」の「侵害」

(1)「侵害」について

判例理論では、この場合の「侵害」の意義について、「処分の法的効果」

による自己の「権利」の侵害と理解されている13。すなわち、ここでいう

「侵害」とは、いわゆる、「規律的侵害」14を意味するのであり、この点は、

処分の名宛人の場合であれ、第三者の場合であれ、同様である15。したがっ て、このような理解からすれば「処分の法的効果」によらない侵害、具体的 には、許可処分を受けた者の建築行為による第三者への騒音等による被害な ど(いわゆる「事実的侵害」)は、それ自体では、ここでいう「侵害」に該 当しないことになる。そして、このような事実的侵害については、原則とし て、取消訴訟ではなく、民事訴訟によって権利救済が図られるべきものとさ れる。

ある論者は、以上のことを、公有水面埋立免許に関する実例をあげつつ、

次のように説明している。「埋立免許処分は、免許出願者に対し特定の公有

13  最判昭和 60 年 12 月 17 日(判時 1179 号 56 頁)(伊達火力発電所事件判決)。

14  規律的侵害については、文献の紹介も含め、参照、本多滝夫「行政救済法における 権利・利益」『行政法の新構想Ⅲ』(2009)211 頁。

15  『実務研究』(94 頁)は以下のとおり、この点を明確にしている。「処分の法律上の 効果として、直接権利を侵害され、義務を課される者は、それが処分の名宛人であれ、

それ以外の者であれ、処分の取消しを求めることにつき法律上の利益を有する」

(7)

水面を埋め立て土地を造成する権能を付与し、その竣工認可を条件に埋立地 の所有権を取得させる処分であるから、当該埋立区域において漁業権を有 する者は、同処分の法的効果として権利を奪われる関係にあり、同処分の取 消しを訴求することができる…。これに対して、埋立区域の周辺において漁 業権を有するにすぎない者は、たとえ埋立により操業に影響を受けたとして も、右処分の取消しを訴求することはできない…。すなわち、埋立免許処分 は、埋立区域の外で漁業権を有する者について、漁業権を奪ったり、漁業上 の被害を受忍すべき義務を課し、漁業権に基づく私法上の差止請求権を剥奪 するという法的効果は有しておらず、漁業権に対する侵害があったとしても それは事実上のものにすぎず、その回復のため同処分の公定力を排除する必 要はなく、漁業権者としては民事訴訟により工事の差止め等を請求し、権利 の回復を図ることができるのである…」と16

このような「侵害」観は、取消訴訟の目的を公定力17の排除による個人 の権利利益の救済に厳格に限定する判例の立場18を反映するものである。

そして、このことが、同時に、原告適格を基礎づける「法律上の利益」の解 釈を規定することにもなっている。すなわち、取消訴訟を利用することが認 められる者は、原則として、公定力の排除によって自己の権利利益の回復が 図られる者であり、これに該当するのは、処分の公定力により自己の権利利

16  泉徳治「取消訴訟の原告適格・訴えの利益」『新・実務民事訴訟法講座 9 巻』(1982)

56 頁。

17  「公定力」は一般に次のように理解されている。すなわち、「行政行為は仮に違法で あっても、取消権限のある者によって取り消されるまでは、何人(私人、裁判所、行 政庁)もその効果を否定することはできない、という法現象をさして、通例、行政行 為には公定力があると表現されるのである」(塩野宏『行政法Ⅰ〔第 5 版〕』(2009)

145 頁)。判例は、このような「公定力」の理解を前提としていると考えられる。

(8)

益が侵害されている者だというわけである。

したがって、判例理論では、原告適格を基礎づける「法律上の利益」(第 9 条 1 項)とは、上述の「権利」が「公定力」によって「侵害又は必然的に 侵害されるおそれ」があることによって基礎づけられる「処分の公定力を排 除する利益」19だということになる。この意味で、判例理論では原告適格が 認められるためには「侵害要件」が必要とされるのである。もっとも、同じ

「公定力」による侵害とされるものであっても侵害の客体が「自己の権利」

と「法律上保護された利益」とでは、侵害の意味が異なっている。すなわ

18  この点については、泉・前掲 55 頁で次のように述べられている。「法律が同じ主観 的訴訟である民事訴訟と並んで取消訴訟を設けた趣旨が問題となるが、行訴法が取消 訴訟の対象として定める『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』とは、行 政庁が法の認めた優越的地位に基づき国民に対し具体的事実に関し法的規制をなす行 為と解される。かかる行為は、…法律は、これに公定力を付与し、仮にそれが違法な ものであっても、正当な権限を有する機関により取り消されるまでは有効なものとし て相手方を拘束するものとし、一方、かかる行政庁の行為によって権利利益を侵害さ れた者が公定力のゆえに通常の民事訴訟によっては権利救済を訴求できないという不 当な結果になることを防ぐため、取消訴訟の制度を設け、行政庁を直接の相手方とし て当該行為の効力を争わせることにしたものと解される。すなわち、取消訴訟制度は、

行政庁の行為の公定力を排除し,国民の権利利益の救済を図ることを本来の目的とす る制度ということができる。」。また、サテライト大阪最高裁判決の調査官も次のよう に述べて、取消訴訟が公定力排除訴訟であることを確認している。すなわち、「『法律 上保護された利益説』は、処分の根拠法規が個人の法益保護を目的とした処分要件を 定めているにもかかわらず、この処分〔(処分)要件の誤植か?〕に違反した処分がさ れ、それが公定力により有効なものとして扱われる場合、当該個人において、根拠法 規によって保護された利益を無視されたという権利利益の侵害(処分に際して、当該 個人の権利利益の保護を目的とした適正な審査がされなかったという権利利益の侵害)

を除去するために、その取消を求める法律上の利益を認める考え方であり、取消訴訟 が公定力排除訴訟であるという伝統的理解に立脚するものである。」(清野「判解」前 掲 205 頁)。

19  この用語は、『実務研究』111 頁が用いている。

(9)

ち、前者の場合は「処分がその本来的効果として制限を加える」という意味 の侵害であるのに対して、後者の場合は「行政法規による…保護を無視」し たという意味の侵害である20。しかし、後述のとおり、判例理論では、これ らの侵害が何れも「公定力」による侵害と理解されるのである。

(2)「権利」について

判例理論のいう自己の「権利」とは、「規律的侵害」、すなわち、処分の法 律上の効果による侵害に対して保護されるべき法的利益である。したがっ て、それが実定法上の権利利益と観念されるものである限り、財産権であ れ、非財産的権利であれ、一般的人格権を含む憲法上の権利であれ、ここで いう自己の「権利」に該当する21。ただ、判例は、取消訴訟を純然たる主観 訴訟であると理解している22ので、侵害から保護されるべき「権利」は、

原告の「個人的利益」を内容とするものでなければならない。したがって、

原告が主張する「権利」が、専ら「公益」に属するものだと解釈される場 合、それはここでいう「権利」ではないということになる。

20  この点について、例えば、伊達火力発電所訴訟最高裁判決(最判昭和 60 年 12 月 17 日判時 1179 号 56 頁)は次のように判示している。すなわち、「[行政処分の取消訴訟 においては]処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害され るおそれのある者に限って、行政処分の取消訴訟の原告適格を有するものというべき であるが、処分の法律上の影響を受ける権利利益は、処分がその本来的効果として制 限を加える権利利益に限られるものではなく、行政法規が個人の権利利益を保護する ことを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている権利利 益もこれに当たり、右の制約に違反して処分が行われ行政法規による権利利益の保護 を無視されたとする者も、当該処分の取消を訴求することができると解すべきである」

と。

21  参照、本多・前掲 214 頁。

22  この点については、参照、泉・前掲 55 頁。

(10)

このような判例の理解は「公益」と「個人的利益」の峻別を前提とするも のであるけれども、両者の区別については、判例上、それほど明確になって いるわけではなく、通常「公益」とされるものの中にも場合によっては「個 人的利益」と捉えることができるものもありうる。そうすると、このような 場合にも、「規律的侵害」が問題になりうることになり、したがって、原告 適格を論じる余地が出てくることになるが、これについては改めて検討する こととしたい。

2.「法律上保護された利益」の「侵害」

(1)「侵害」について

取消訴訟において「法律上保護された利益」の「侵害」が問題になるの は、許可を受けた者による建築、事業等の事実行為によって第三者に不利益 をもたらす場合のように、処分の第三者への「事実的侵害」が問題になる 局面である。もちろん、判例理論では、「事実的侵害」が直ちに「法律上の 利益」を基礎づける「侵害」となるわけではない。後述のとおり、「事実的 侵害」を受ける個人の利益が要考慮利益として行政法規の処分要件に取り込 まれていると解釈されて、すなわち、「法律上保護された利益」とされては じめて当該利益の侵害が「規律的侵害」とされるのである。もっとも、その 侵害は、自己の「権利」の「侵害」の場合のように、「処分の法律上の効果 として、直接権利利益が侵害され」23るという形態ではないが、なお「処分 の法律上の影響を受ける4 4 4 4 4 4 4 4 4 424(傍点筆者)ものであるから一種の「規律的侵 害」であって、「事実的侵害」ではないと解されるのである。

23  『実務研究』94 頁。

24  伊達火力最高裁判決(最判昭和 60 年 12 月 17 日判時 1179 号 56 頁)。

(11)

それでは、「法律上保護された利益」の「侵害」は、いかなる意味で規律 的侵害といえるのか。これについて『実務研究』は次のように説明してい る。すなわち、「ある処分に、個人の権利利益を保護することを目的とする 制約に違反する点があったとしても、処分が公定力によって有効として扱わ れる以上、当該第三者は、根拠法規による…制約を通して受けるはずであっ た保護を受けられなかったという権利利益の侵害状態(一種の行政手続上の 権利利益の侵害状態)を受忍すべき拘束を受けることになる。…処分の根 拠法規が、個々人の個別具体的利益を保護することを目的として行政権の行 使に制約を課していることを理由に原告適格を認められる第三者は、以上の ような意味での権利利益の侵害状態(一種の行政手続上の権利利益の侵害状 態)を除去する点において、処分の公定力を排除する利益があるということ ができる」25と。

もっとも、理論的には、これとは別の理解も可能と思われる。ある論者 は、この問題について次の三つの理論的可能性が存在すると指摘している。

第一は、名宛人に対する許可処分により「第三者には、処分の名宛人が当該 処分に基づき行う行動を受忍する(民事法上の)義務が生じる」という理解 である。これは、第三者の受忍義務を許可処分自体の法効果として捉える見 解ということができよう。第二は、名宛人に許可処分をするような場合は、

「行政庁は、当該根拠規範に基づき、当該処分に基づく処分の名宛人の行 動によって第三者の利益が一定の危険に曝されることの無いよう、第三者を 保護する義務(リスク回避義務)を負う(第三者は、当該根拠規範によっ て、そのような危険に曝されることの無いよう保護を求める権利を与えられ

25  『実務研究』110-111 頁。

(12)

る)」のであり、「違法な処分が行われれば、こういった『リスクの回避を求 める権利』が侵害され」る、という理解である。第三は、「行政庁は、当該 根拠規範により、(許可)処分を行うに当たり第三者の利益を考慮する(そ の意味での手続上の)義務を(第三者に対する関係で)負」い、「処分を行 うに際しこのような考慮が払われなかったとしたならば、第三者は、このよ うな手続法上の権利を侵害され」るという理解である26

上記の実務研究やサテライト大阪最高裁判決の調査官解説27では、判例 理論は第三の見解を採っていると理解しているようである。もっとも、第三 の見解と第二の見解とは何れも処分に際しての行政庁の行為義務を想定する ものであって、この点では必ずしも相互排他的ではないように思われる。

(2)「法律上保護された利益」について

判例理論によれば、上記の意味での「侵害」の客体となる「法律上保護さ れた利益」とは (ⅰ)「行政法規」(「当該処分を定めた行政法規」)が、(ⅱ)

「個人の権利利益4 4 4 4 4 4 4を保護することを目的として行政権の行使に制約4 4 4 4 4 4 4 4 4を課して いることにより保障されている権利利益」(傍点筆者)である28。したがっ て、原告が主張する利益が「公益」に属するものと解される場合、つまり、

26  藤田宙靖『行政法Ⅰ(第 4 版改訂版)』(2005)418 頁、同「許可処分と第三者の『法 律上保護された利益』」『塩野宏先生古稀記念 行政法の発展と変革 下巻』(2001)

265 頁以下。

27  清野は「処分に際して、当該個人の権利利益の保護を目的とした適正な審査がされ なかったという権利利益の侵害」(清野正彦「判解」前掲 205 頁)と述べていることか ら第三の見解を採っているものと考えられる。これに対して、藤田は「従来、最高裁 判例等で主として想定されてきたのは、おそらく第二のタイプではないかと推測され る」と述べている(藤田・前掲(『行政法Ⅰ』)418 頁)。

28  伊達火力最高裁判決(最判昭和 60 年 12 月 17 日判時 1179 号 56 頁)。

(13)

行政法規が「公益」の保護を目的として行政権の行使に制約を課している結 果保障されることとなる利益と解される場合には、当該利益は「法律上保護 された利益」ではないということになる。もっとも、 (ⅲ) 原告が主張する 利益が「公益」に属するものと解される場合でも、「行政法規が、不特定多 数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それ が帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を 含むと解される場合」には、このような利益も「法律上保護された利益」に 当たる、とされる。

以上の判例理論によれば、原告の主張する利益―これを訴訟においてどの ように構成するかはそれ自体一つの問題である29―が「法律上保護された利 益」に当たるかどうかは、専ら「当該処分を定めた行政法規」の解釈問題―

個人の利益保護が当該行政法規の処分要件になっていると解釈できるかの問 題―ということになる。これについて、まずは、行政法規の文理解釈が問題 になるが、一般に、行政法規は必ずしも原告適格を意識して立法されている わけではないので、行政法規の文理解釈だけで原告適格の有無を判断するの は困難である。周知のとおり、(改正)行訴法第 9 条 2 項は、「法律上の利益 の有無を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定 の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分におい て考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする」との解釈指針 を置いて、裁判所に、行政法規の文言に拘泥せず、立法者の合理的意思に適 う解釈を求めている。

この点、とくに最高裁判例では、従来から以下のような解釈手法を用いる ことで「柔軟に原告適格を認める方向を示」していたとされる。すなわち、

29  この問題に関して,例えば、清野「判解」前掲 221 頁以下参照。

(14)

(ⅰ)「法律の合理的解釈」

「法律上の利益の有無は、 処分の根拠となる行政法規の解釈によって 定まるものであるが、 処分の根拠となる行政法規による行政権の行使 の制約とは、明文の規定による制約に限られるものではなく、直接明 文の規定はなくても、法律の合理的解釈により当然導かれる制約も含 む(伊達火力発電所事件判決)」とする解釈手法、また、

(ⅱ)「関連法規の関係規定との関係における根拠法規の位置付け」

「根拠法規が不特定多数者の具体的利益をそれが帰属する個々人の個 別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むか否かの判断は…行 政法規及びそれと目的が共通する関連法規の関係規定によって形成さ れる法体系の中において、処分の根拠規定が、処分を通して個々人の 個人的利益をも保護すべきものとして位置付けているとみることがで きるかといった観点からの検討も必要である(新潟空港事件判決)」と する解釈手法、さらに、

(ⅲ)「根拠法規による規制によって保護される法益の性質」

「当該規制に基づく審査に過誤、欠落があった場合に、特定の範囲の 住民が、生命、身体の安全等に直接的かつ重大な被害を受けることが 想定される場合には、当該規制は、単に公衆の生命、身体の安全、環 境利益を一般公益として保護しようとするにとどまらず、当該規制に 基づく審査に過誤、欠落があった場合にもたらされる災害等により直接 的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民の生命、身体の 安全等を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含む と解される…(もんじゅ原子炉事件判決)」とする解釈手法である30

30  実務研究 88 頁以下。

(15)

これらの解釈手法は、行訴法 9 条 2 項が定める第三者の原告適格判断の解 釈指針と基本的に重なるものであり、それ故、結果的に、同項の新設による 判例理論への影響は限定的なものにとどまっているものと思われる。前述の とおり、同項は原告適格の拡大を図る趣旨で設けられたものであるが、すで に強固な判例理論が出来上がっており、しかも、同項がこの判例理論を前提 としていると理解されている31以上、原告適格の拡大は従来の判例の射程 を超えて大きく展開する可能性は元々大きくはなかったように思われるから である。

それでは、このような判例の「法律上保護された利益」の導出に関する解 釈手法にはどのような特徴があるのであろうか。最も問題になるのは、「行 政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させ るにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護す べきものとする趣旨を含む」かに関する解釈手法であるから、この点につい て、節をあらためて、(ⅰ)「公益」と「個人的利益」という観点、並びに、

(ⅱ)「行政権の行使の制約」という観点から分析検討することとしたい。

3.「公益」と「個人的利益」

(1)「公益的な保障」と「個人的利益」

前述のとおり、判例理論によれば、原告適格を基礎付ける「規律的侵害」

の客体たりうる「権利」または「法律上保護された利益」は、原告の「個人

31  行訴法 9 条 2 項が原告適格の判定に関する判例理論の枠組みを踏まえて制定された ことについては多くの論者が指摘しているところである。例えば、橋本博之「原告適 格論の課題」民商法雑誌 130 巻 4・5 号(2004)636 頁、神橋一彦「取消訴訟における 原告適格判断の枠組みについて―小田急訴訟上告審判決(最高裁平成 17 年 12 月 7 日 大法廷判決をめぐって―)」立教法学 71 号(2006)2 頁。

(16)

的利益」と解釈できるものでなければならない。したがって、「公益」と解 釈されるものは、このような利益から除外されることになるが、通常、訴訟 で問題になるのは、例えば、良好な生活環境を享受する利益のように、それ を「公益」と解することも「個人的利益」と解することも可能なものが大半 である。そうすると、改めて、そもそも「公益」とは何なのか、また、「個 別的利益」との関係はどのようなものなのか、が問われなければならないこ とになる。

この問題について、主婦連ジュース事件最高裁判決32の調査官解説では 次のように説明されている。すなわち、「行政法規は、種々の分野における 公益を実現するために定立されるものであるが、それぞれの分野の関係で、

それが全国民の利益に関係する場合もあり、また、一地方の住民の利益…又 は一定の資格を有する者の利益…等一定範囲の者の利益のみにしか関係し ない場合もある(特定の分野における公益実現のため一定範囲の者の利益を 保障することとなるにすぎないものであっても、国民の誰もがそこに入り うる可能性があり、その一定範囲の者の利益を、おしなべて一般的に保障し ようとするものである限り、それは、公益的な保障4 4 4 4 4 4たることを失うものでは ない。)…公益を突きつめてゆけば、国民各人、住民各人、一定資格を有す る者各人という個人の利益に還元して考えることも論理的には不可能ではな い。この意味で、公益も個人と離れて存在するものではない。しかし、法が 公益を保障する場合には、そのような究極的な各個人の利益を直接に個別的 に保障するというのではなく、国民、住民、一定資格を有する者の全体の利 益を一般的に保障することにより、それを通じて間接的に各個人の利益の実

32  最判昭和 53 年 3 月 14 日(民集 32 巻 2 号 211 頁)。

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現を図ろうとしているものであって、各個人の利益は、公益という一般的な 利益の中に完全に包摂解消されていると考えられるのである。換言すれば、

公益と個人との関係は、個人が他の個人と国民・住民・一定の資格を有する 者という側面において公益を共有している関係であって、個人の側面から公 益をみれば、国民、住民、一定資格を有する者の一人としての個人が他の 人々と共通して有する一般的、平均的、抽象的な権利というべきものなので ある」(傍点は筆者)と33

判例は、「不特定多数者の具体的利益」は性質上「公益」に属するものと 解しているが34、この理解には、上記見解の「特定の分野における公益実現 のため一定範囲の者の利益を保障することとなるにすぎないものであって も、国民の誰もがそこに入りうる可能性があり、その一定範囲の者の利益 を、おしなべて一般的に保障しようとするものである限り、それは、公益 的な保障たることを失うものではない」との説明が対応しているように思わ れる。また、上記見解では、「公益を突きつめてゆけば、国民各人、住民各 人、一定資格を有する者各人という個人の利益に考えることも論理的には不 可能ではない」として、「公益」と「個人的利益」の同質性を認めつつ35

「個人的利益」が「公益」だとされる場合には「各個人の利益は、公益とい う一般的な利益の中に完全に包摂解消」され、その内容は「国民、住民、一 定資格を有する者の一人としての個人が他の人々と共通して有する一般的、

33  越山安久「判解」『最高裁判所判例解説民事篇昭和 53 年度』(1982)85 頁以下。

34  例えば、最判平成 10 年 12 月 7 日(民集 52 巻 9 号 1821 頁)など。

35  もちろん「公益」とされるものには「個人的利益」となりうるものと、そうでない もの、したがって両者の同質性が認められないものがありうる。およそ「個人的利益」

となりえないものについては、個別的保障を論じる余地はないであろう。この点につ いては、参照、清野「判解」前掲 221 頁以下。

(18)

平均的、抽象的な権利」だと説明している。ところで、「公益」は、「原則 として、訴訟による保護ではなく、政治的ないし行政過程により保護され るべきもの」36とされるので、問題の利益が「個人的利益」として把握する ことが可能なものであっても、「公益的な保障」に取り込まれると、司法的 救済の対象外に置かれることになる。

(2)「公益的な保障」の例外ないし限界

もっとも、判例理論においてもこのような原則的取扱いの例外はありうる とされる。ある最高裁判決37は、「公益的な保障」に取り込まれているはず の「個人的利益」について、法律の明文の根拠がなくても、個別的保障=司 法的救済を受ける余地があることを前提とした判示をしている。この判決 は、里道の用途廃止処分の取消を求めた里道利用者について原告適格が認め られるか、について判示したものであり、結論的には、「本件里道が上告人 に個別具体的な利益をもたらしていて、その用途廃止により上告人の生活に 著しい支障が生ずるという特段の事情は認められ」ないとして原告適格を否 定したが、これは「特段の事情」があれば原告適格を認める余地があること を認めたものと理解されている38

上記事案において里道利用者に原告適格を認める理論構成としては、これ までの検討から(ⅰ)自己の「権利」の「侵害」、または、(ⅱ)自己の「法

36  『行政事件訴訟十年史』(1958)111 頁以下。

37  最判昭和 62 年 11 月 24 日(判時 1284 号 56 頁)。

38  例えば、前注最高裁判決の匿名解説(判時 1284 号 56 頁)など。この理解について、

「里道は単に国有地であるにとどまり、その利用関係を定めた法律はないから、法律 上保護された利益はあるはずはない」との批判がある(阿部泰隆『行政訴訟要件論』

(2003)73 頁。

(19)

律上保護された利益」の「侵害」という構成が考えられるが、『実務研究』

では何れの構成も可能である旨の見解を述べている。すなわち、一方で、

「このような個人が有する当該道路の使用利益は、当該道路に設定された特 別使用権に準じるものと評価することもできないわけではなく、このような 見解に立てば当該個人は、供用廃止処分によって、この実体的権利を侵害さ れるものということができよう」と「『権利』の『侵害』」的説明をしつつ、

他方で、「また、公共用物の廃止処分に当たっては、明文の規定はなくとも 行政庁がこのような個人の利益に配慮を払うべきことは当然であって、その 意味でこれを保護するために行政権に制約が課されていると解すべきである ということもできるように思われる」と「『法律上保護された利益』の『侵 害』」的説明もしているのである39。もっとも里道利用者のケースでは、ど ちらの説明であっても―どちらの理論構成であっても―当該利益の規律的侵 害となるものと思われる。

判例理論が何れの理論構成を採用しているかはともかく、問題は、いかな る論理で、また、どのような要件の下で、「公益的な保障」に取り込まれて いるはずの「個人的利益」が―法律の明文の根拠なしに―個別的保障を受け うることとなるのか、である。これについては、判例でも『実務研究』でも 明確な説明がなされていないので、あらためて主婦連ジュース事件最高裁判 決の調査官解説や里道の用途廃止処分判決の「特段の事情」の分析等を手が かりに検討しなければならない。

ところで、そもそも個人的利益の「公益的保障」という考え方は、個人的 利益としても捉えることが可能な利益―したがって、その利益の侵害は多か

39  『実務研究』110 頁。

(20)

れ少なかれ特定個人に不利益をもたらすことになる―の保護を行政過程に委 ね、司法的救済の対象外に置くというものである。判例理論では、当然、こ のような法的取扱も不合理ではないことが前提とされているはずであるが、

それはどういう論理によるものであろうか、まず、この点から検討すること にしよう。

第一に考えられるのは、行政庁が処分に当たり不特定多数の具体的利益を 個別的に考慮すること4 4 4 4 4 4 4 4 4 4は極めて困難だという論理である。このため、判例理 論では、行政法規に手がかりがない場合―当該利益を個別的に考慮すべき行 政庁の行為義務を行政法規から導くことができない場合―、処分決定過程に おけるかかる利益の考慮は行政庁の裁量的判断に委ねていると解さざるを得 ない、という理解になるのではないかと思われる。第二に考えられるのは、

いわば受忍限度論的観点からの論理である。すなわち、仮に処分決定過程で かかる利益の侵害が生じても、その利益は、前述のとおり「国民、住民、一 定資格を有する者の一人としての個人が他の人々と共通して有する一般的、

平均的、抽象的な権利というべきものなのである」から、通常の場合、当該 利益の侵害は一般国民として受忍できる程度4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4のものである。そして、一般国4 4 4 民として受忍できる程度4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4のものだとすれば、第一の論理が妥当する限り、一4 般国民として受忍すべきもの4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4(したがって一般的義務であって特定個人の義4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 務ではない4 4 4 4 4)としても不合理とはいえない、という論理である。

もし以上の推論が正しいとすれば、第一、第二の論理が妥当しない場合、

つまり、当該利益を個別的に考慮すべき行政庁の行為義務を行政法規から導 くことが可能で、また、当該利益の侵害が一般国民として受忍できない程度4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 のものである場合には、当該利益の「公益的保障」を超える侵害があったと して個別的保障=司法的救済が必要になるはずである。この点、里道の用途 廃止処分判決の匿名解説が「当該道路が廃止されると生活上又は業務上著し い支障が生ずる…場合には、その者が当該道路を使用する利益は個別的具体

(21)

的性格を有しており、これを一般公衆が当該道路を使用する利益と同一レベ ルのものとみるのは相当でない」と述べていることからすると、「個人的利 益」の「公益的保障」の限界を画す上で決定的な意味を持つのは、第二の論 理に関係する基準、つまり、当該利益の侵害が一般国民として受忍できない4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 程度4 4のものか否か、ではないかと思われる。ただ、そうすると、当該利益の 侵害が一般国民として受忍できない程度4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4のものである場合の第一の論理の妥 当性如何が問題になるが、これについては次の節で検討することにしたい。

(未完)

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参照

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