長崎大学工学部研究報告 第31着 第5
7
号 平成13
年1 35
衛星 データを用いた火山噴火活動 と植物活性 に関す る調査解析
後藤 健介* ・後藤君之輔** 岸上 正寛***・後藤 松生*
An a l ys i so fVe g e t a t i o nAc t i v i t ybe f o r ea n da f t e rt h eVo l c a ni cEr upt i o n b yUs i n gSa t e l l i t eDa t a
b y
Ke n s u k eGOTO* , Ke i n o s u k eGOTOH* * , Ma s a h i r oKI S I GAMI
*榊a n dMa t s u oGOTO*
J a p a nha se i g ht y‑ t h z eea c t i v evol c a mo esa ndi sa m ongt h eT T K ) S t
SCVCJ Cl ya f f e c t e dc oun t r ie sbyv ol c a noe r upt i onsi n t hewor l d.Al s oi ndl ey e a r2 ( X 札 Us uv ol c a n oa ndMi ya keI s l a nde r up t e donMa r c h31a ndJ ul y8,r e s p ec t iv e l ya nd t hes eer upt i onsi nf l uer L C edl a rgel yt ot hel i yesofr es i der L t Sa J l dt hei ndus t r ia l s e c t i on.Deyel opl ngf or ecas t i ng t e c hnol ogi e sofe r upt i ons ,notf ul l ye s t a bl i s h e dbypr e s ent ,w il lpr ovi d eusl a r g es oc i a l ben c f i t s .h t hi ss t udy,t h e p os s i b i l i t yofpr e di c t ingvol c a m ice r upt 1 0nWa si nv e s t i ga t e du s i ngc ha ng ei nv e ge t a t i ona c t i vi t yt xf or ea nda 触rt h e e r up t i oni nUs uv ol c a no
areabyus i ngs a t e l l i t ed a t a・Th er e s ul ts h ows
tha tv e ge t a dona c t i v it yn e a rva l c a no
dr opp ed b ef or ee r updon.
1 .
は じめに活火山 とは ,現 に活動 している火山の意であり,そ の数 は世界各地 に約
8(
X氾ヶ所 ,とりわけ環太平洋地域 に5 00
ヶ所以上 が集 中 してい る. 日本 においては8 3
の 活火山が分布 してお り,活火山地域の面積は全国土の 約1 0%
に も上 ってい るl). この ことか らも,日本 は世 界で も有数の火山国であることが分かる.2 (
X氾年 にお いては,3月31日に有珠 山が,7
月8日には三宅島が噴 火 している.火山の存在 は ,豊富 な地下資源や頼光 などによって 周辺地域の住民 に大 きな活力 をもた らすが ,ひ とたび 火山が噴火す ると,人的被害の発生や地域社会への 多 大 な損害 を引 きお こす とい う二面性 を有 している.育 珠山地城では ,噴火活動 により周辺の横光施設 が立 ち 入 り禁止区域 に指定 され ,農林水産業 においては ,降 灰 による収穫量の減少などの被害 を受 けている.また 三宅島 においては ,現在 も全島民の避難生活が続 いて いる. この よ うに ,火山の噴火は住民の生活に大 きな
影響 を与 えるばか りでな く
,1 9
90年 か らの書仙普賢岳 噴火災害の よ うに ,多くの琳牲者 を出す最悪の結果 を 招 いて しまうこともある. この よ うな被害の発生 を最 小限 にとどめるため ,そ して火山地域 に生活す る上で の火山 との共存の必要性 か ら,これ まであらゆる角度 か ら火山の噴火予知 に関す る研究 が進め られて きた.しか しなが ら,現時点 において ,噴火予知技術 は十分 に確立 されていないといえる.
そこで ,広域性 を有 し,かつ反復耕淵が可能 な衛星 リモー トセンシングを用いることによ り,活火山地域 の噴火前後の植生変化 を解析す ることで ,火山噴火の 前兆現象による植生変化 か らの噴火予知の可能性 を検 討 した.今回は研究対象 として
,2
∝X)年有珠山噴火 を 取 り上 げ,同地域の火山噴火前後の植生変化 を解析 し た.2 .2 0 0
0年有珠 山嶋火の概況 と焚書経過図‑1に研究対象地位置図 を示す.有珠山は ,北海道
平成
1 3
年4月20日受理*大学院海洋生産料学研究科
( Gr a du a t eSc ho olofMa r inea ndEng in ee r ing)
**大学院生産科学研究科
( Gr a du a t eSc ho olofSc i e
JICea J l dTe c h nol ogy)
***西都市役所
( Sa it oci t yOf f i c e )
1 3 6
zA
十薫義
責 雷 曽
10
後藤 健介 ・後藤君之轄 ・岸上 正美 ・後藤 松生
図
‑ 1
研究対象地位置図の南端に位置す る内浦湾 と,カルデ ラである洞爺湖に 挟 まれ ,伊達市 ,虻田町 ,壮甘町にまたがる活火山で ある. この活火山は,直径約6
k
mの外輪山と溶岩円項 丘および潜在円項丘 とからなってお り,外輪山の項部 には径約2k
mの円形の火口がある. この中に大有珠 と 小有珠の二つの溶岩円項丘がある.有珠山の過去の火 山活動は,191
1年から197 7
年 までの67
年間に少な くと も11回を記繰 している.11回日の噴火であった19 7
7年 の噴火では,有珠山頂 カルデ ラ内から軽石 が高度1万 20∝)mまで嘱 き上 がる爆発 を起 こし,以後,1遵間で1 5‑2 0
回の噴火が断続的に起 こっている2).1 97 7
年以来,2 3
年ぶ りの噴火が起 こったのは,2∝氾年3月
31
日午後1時10分頃であった.噴火の前兆現象 と して√3月2 7
日か ら火山性地震が始 まり,3月2 9
日には,1
時間あた り100 回の火山性地震 を記録 した.3月3 0
日 には ,有珠山の周辺で100 m以上 にわたる断層や地割 れ群が確認 された.今回の有珠山噴火では,初めて噴 火予知に成功 したといわれているが,この理由として は ,これ までの有珠山の噴火前の現象が一様であった こと,これ まで丹念に有珠山の噴火の研究が押 し進め られていたこと,住民の有珠山噴火に対す る認識が進 んでいたことなどが挙げられている3).今回の2000年噴火は,有珠山頂北西側の山兼一帯で 起 こってお り,3月
31
日の噴火後,4
月1
日に2
度 目の噴 火が起 こり,新たに噴火口が出現 した.その後 も活発 な活勤 が親 いたが,5
月2 2
日にマグマ活動 が低下 して お り,有珠山噴火が終息の方向に向かっていることが 火山噴火予知連絡会か ら発表 され た.7月1 0
日には, マグマの供給がほぼ停止 してお り,火山活動 は徐 々に 低下 してい くといった見解が発表 され ,現在に至 って いる▲).3 .
『董および解析方法3. 1
機軸活性度 による火山嶋火の予知法火山噴火の前兆現象には,火山性地震の群発 .火山 周辺での地帯変動 ,火山の噴気 ,地熱 ,温泉などの温 度や噴出 ・湧水量の変化などがある.今回の噴火では, 火山性地震の増加 ,地下水の自噴などの前兆現象が報 告 されている5). これ らの前兆現象は ,地 中の地下水 位の変動 や地 中における亀裂の発生 な どを引 き起 こ
し,さらに地中におけるこれ らの微妙 な環境の変化は, 樹木 などの植物の活性状態に影響 を与 えている6). し たがって ,火山周辺地城の植生には,その火山の噴火 の前兆現象による地中の微妙 な変化が早期に表れてい るのではないかと考 えられる.そこで ,火山周辺にお ける植生の活性状態の推移か ら,火山噴火の予知 を行 お うとす るものである.
3. 2
衛星データによる解析方法リモー トセンシングでは,対象物 か ら反射あるいは 放射 され る電磁波のエネルギーを渦定するが,その対 象物 によって反射 あるいは放射の特性 は異 な って く る. これ を分光反射特性 とい う7).植物の分光反射特 性 は ,その植物の活性状態によって異なる.植物の活 性状態が長い場合 ,近赤外域においては高い反射 を示 すが ,活性状態が下がってい くと,反射 も低いもの と なってい く.この様な植物の分光反射特性 を用いるこ とによって,植物活性度 を調べ ることがで きる.また, 本研究では,有珠山地域の噴火前か ら噴火後にかけて の植物活性の変化 を訴べるために,噴火前のデータと
して (
a)1 996
年10
月1
1日,(b)1997
年9月4
日,(¢)1 9 98
年9月2 9
日,(d)19 99
年10月9日,(e)1 9 9 9
年12
月1 5
日,(i)2
000年2月9
日,(g) 2
月1 5
日,のデータを, また噴火後のデータとして,(h)2
00年4
月3
日,(i) 4
月1 0
日,(i) 5
月1 9
日,(k)6月1 6
日,(1)9月4
日の データを,それぞれ解析 した.今回の解析 には ,地球観測衛星LANDSAT‑5号/
TMセンサー,およびspoT
‑1,2
号/HRV
センサーの 衛星 データを用いた.TMセ ンサーは,可視光城 か ら 赤外城の波長域にBANDlか らBAND7
までの波長帯 を持つ.空間解像度は30m
であるが ,熟赤外の波長帯 を持つBAND6では120mとなっている.HRV
センサ ーは ,マルチスペク トル とパ ンクロマチ ックの2つの モー ドを持 っているが ,今回の解析では,マルチスペ ク トルモー ドのデータを使用 した.マルチスペク トル モー ドでは,可視光城か ら近赤外域の波長城 にBAND
l
か らBAND3までの波長帯 を持つ.空間解像度 は ,
各BAND
とも2 0mとなっている.
衛星 データを用いた火山噴火活動 と植物活性 に関す る調査解析
植生指標の算出に必要 となって くる赤色光域 あるい は近赤外域 の波 長帯 の
BAND
は,TM
セ ンサ ーで はBAND3
およびBAND4
にあた り,HRV
センサーにお いてはBAND2
とBAND3
に相 当す る.解析手順 としては,まず衛星データか ら対象地の切 り出 しを行 う.切 り出 した衛星データに解析の前処理 として ,画像の幾何的な歪み を補正す る幾何補正 ,空 気 中の大気の影響 を除去す る大気補正の各処理 を行 う.そ して ,植物活性度 を算定式 か ら算出す るのであ る が ,今 回 の 解 析 に は ,正 規 化 植 生 指 標
NDVI ( Nor mal i z e dDi f f er enc eVeget a t i onI ndex)
を用い た . NDVI
の算定式 は以下の ようになる.NDVI ‑ ( I R‑ R)/ ( I R+ R)
ここで
,IR
:近赤外域のBAND
のCCT
値( LANDSAT/
TM :BAND4)( SPOT/HRV :BANDS) ,R
:赤色光域のBAND
のCCT
値( LANDSAT/TM :BANDS)( SPOT/
HRV :BAND
2)で ある.なお ,本研究 で は上式 で得 られ る値 を1 27
倍 した後,1 27
を加 えた値 を用いて結果 を表示す る.こうして得 られた植物活性度の分布 よ り,噴火前か ら噴火活動期 にかけての有珠山地域の植生変化 を明 ら かにす る.
4 .
解析結果 と考察4. 1
衛星データの解析結果 1)有珠 山噴火前画像‑
1 (a)
〜 (1) は ,有珠 山の火山噴火約4
年前 か ら現在 までの ,有珠 山地域 にお け る植生指標NDVI
の解析結果で ある.なお ,水域 にはマスク処理 を行 い ,解析範囲か ら除外 している. これ らの画像の うち ,画像‑1 (a) 〜 (g)
は噴 火約4
年前か ら噴 火直前の ものである.画像
‑ 1 (a)に示す ,1 996
年1
0月1
1日 (噴火の約4
年前)か らは ,日射の関係 か らか南側斜面のNDVI
が 高 く,また有珠 山頂 ではNDVI
が低 い ことか ら,植生 は少ないことが伺 える.画像 ‑1 (b)の
1 997
年9
月4日の場 合 は,1996
年 (画像‑1(a))
と比べ ると,山岳地域 にあたるNDVI
が全体的に高 くなっている.これはデータ研測時期 が ,1 996
年 に比べ約1
ケ月早 い ものであることによる季節 的な影響 と考 えられ る.1 998
年9
月28
日の有珠山地域 を示す画像‑1 (C)か
らは,1 997
年 (画像‑ 1 (b))
と比較 して ,今回の噴 火地域 で ある有珠山頂北西側の山麓一帯のNDVI
が低 下 していることが分 かる. これは ,有珠山山腹 などのNDVI
の変化状態 か ら考 えると,季節的な影響 とは考1 37
えに くく,この地域 で噴火の前兆 による環境の変化が 生 じた もの と考 えられ る.
画像
‑ 1 (d)
の1 999
年1
0月9
日においては ,有珠山 東部 か ら北西部 にかけてNDVI
が極端 に低 い地域 が拡 がっていることが分かる. これは雲の影響 によるもの で ,雲 が電磁波の反射や放射 を遮 っているためである.雲 による影響 を受けていない地域 を見 ると
,1 998
年のNDVI
画像 (画像‑1(C))
においてNDVI
の低下 が確 認 された噴火地域 について ,この画像で も周辺の有珠 山山腹 よりもNDVI
が低 くなっていることが分かる.画像
‑ 1 (e)
,す なわち1 999
年1 2
月1 5
日のNDVI
画像 で は ,分布 して い る色 の種 類 が少 な くな って お り,NDVI
の分布範囲が狭 くなっていることが分か る. ここまでの
NDVI
画像では ,有珠 山頂や都市域では ,黒 色 や青色 とい った活性 の低 い色 を表 していたの に対 し,1 999
年1 2
月1 5
日のNDVI
画像 では活性 が若干高 く なっている.また ,逆 に有珠山山腹ではこれ まで画像 に比べ ,活性 が低下 していることが分か る. しか し,NDVI
の分布 の仕方 は ,これ まで と同様 に ,有珠 山山 腹 より有珠山頂及び都市域の方が低 くなっている. こ の よ うなNDVI
の分布 になった理由 と しては ,積雪 に よる影響が考 えられ る.2
㈱
年2月9
日のNDVI
画像 (画像‑1(f))において ち,積雪 と考 えられ る影響 によって全体的にNDVI
が 低 く,分布 も狭 くなっている.2
(X沿年の噴火地域 につ いて も,1 999
年 (画像‑1 (e)
) と比較 して さらにNDVI
が低下 していることが分か るが ,これ も積雪の 影響 によるものであって ,噴火の前兆現象によるもの ではないと推察 され る.画像
‑ 1 (g)
に示す2000
年2
月1 5
日のNDV
廟 像 は ,20(
カ年2
月9
日 ((f)) と同 じようにNDVI
が低 くなってお り,積雪 による影響 が大 きい.
2)有珠 山噴火後
画像
一1 (h)
‑ (l)は,火山噴火直後か ら火山活 動 が低下 してい る現在 までの植生指標NDVI
の解析結 果である.画像‑1(h)は ,火山噴火開始か ら4日目の2
0 0
0年4月
3
日の有珠山地域のNDVI
画像である. この画像 を見 ると,NDVI
の分布範囲が1 999
年1 2
月1 5
日,2 0 0
0年2
月9
日,2
㈱ 年2
月1 5
日に比べて拡 がっていることが分か る (画像‑ 1 (e) 〜 (g))
.噴火地域 では ,噴火によ る影響でNDVI
が低下 してい るのが分 か り,有珠山で も降灰 などの火山活動の影響 によってNDVI
が低下 し て い る こ とが分 か る.噴 火 地 域 以 外 の 地 域 で は ,NDVI
が高 くなってお り,穣雪 による影響 も小 さくなっていると考 えられ る.
1 38
後藤 健介 ・後藤君之輔 ・岸上 正寛 ・後藤 松生( a )1 996
年10月11
日(d)
1 999
年1 0
月9
日( g) 2∝
X)年2
月15
日( j ) 2(
料)年5月1 9
日(b)
1 997
年9
月4日( e)1 999
年1 2
月15
日(h)
2
㈱ 年4月3日( C) 1 998
年9
月29
日( f ) 2( X
氾年2
月9
日(i
)20 00年
4月10日(k)20α)年
6
月1 6
日画像‑ 1 有珠山地域のNDVI画像 有珠山噴火 か ら11日目の2000年4月1
0
日の状態 で ある画像‑
1 (i)で は ,有珠 山南側斜面のNDVI
が上昇 している.降灰や火山活動 による影響 を受 けている有 珠 山項 か ら噴 火地域 にかけて は,2000
年4月3日 (画 倭‑ 1
(h)参照) と同様 にNDVIは低 い値 を示 してい るが ,噴火地域の火口部分 と思われ る箇所では ,噴煙 の影響 によ り,さらに低 くなっている.(l
)20 0
0年9月4日高
ー
日日
∪ I
AGN l 低
‑ ■
噴火直後に比べ ,火山活動 が低下 している
2 ㈱
年 月5
月19
日の画像‑1
(j)では,NDVIは全体的に高 くな っていることが分かる.噴火地域 か ら南部 にかけては , 噴煙 の影響 によってNDVIが低 くなってい る.噴火地 域 で噴煙の影響 を受 けていない所 を見 ると,NDVIはさらに低下 してい ることが伺 える.
マグマ活動の低下 が発表 されてか ら約1ケ月後で あ
衛星データを用いた火山噴火活動 と植物活性 に関す る調査解析
図‑
2
解析地域の範囲1 80
160 些1 40 喜120 zl OO 80 60
9 6 / 1 0 / 1 1 9 7 / 9 / 4 98 / 9 / 2 9 9 9 / 1 0 / 9 0 0 / 9 / 4
図‑4
噴火地域 におけるNDVI
の推移1 80 160 些1 40 喜1 20 z l OO 80 60
9 6 / 1 α11 97 / 9 / 4 98 / 9 / 29 99 / 1 0 / 9 0 0 / 9 / 4
図‑6
南部地域 におけるNDVI
の推移る
2 0 0 0
年6
月1 6
日の画像‑ I(k)
では ,有珠山山腹で のNDVI
が2 0 0
0年5
月1 9
日 (画像‑ 1
(i))と比較 して ,さらに高 くなってい る. しか し,噴火地域である有珠 山頂の北西部 で は ,依然
,NDVI
は低 い ままで あ る.この画像か らは,噴火地域 は噴煙の影響 を受 けてお ら ず ,噴火活動 によ り植生 が被害 を受 けていることが分 かる.
マ グマの供給停 止 が発表 され てか ら約
2
ケ月後の2 0 0 0
年9
月4
日の画像‑ 1 (1)
で は ,有珠 山のNDVI
が 全体的に低下 していることが分かるが ,これは2 0 0
0年6
月1 6
日か らの季節的 な変化であると考 えられ る.噴 火地域 においては,2 0 0
0年6
月1 6
日の画像 と比べ ると,NDVI
が上昇 してお り (画像‑ 1 (k))
,この地域 の植 生が回復傾向にあることが分かる.1 80 160
# 1 40 云 1 20
≡ I OO
80 60
1 3 9
9 6 / 1 0 / 11 9 7 / 9 / 4 98 / 9 / 2 9 9 9 / 1 0 / 9 0 0/ 9 / 4
図
‑3
有珠山地域全体のNDVI
の推移1 80
160
冒: ;:
1 00 80 60
9 6 / 1 0 / I1 9 7 / 9 / 4 98 / 9 / 29 9 9 / 1 0 / 9 W/ 9 / 4
図‑5
東部地域 におけるNDVI
の推移1 80 160 些 1 40 i1 20 1 00 80 60
9 6 / 1 0 / I 1 9 7 / 9 / 4 98 / 9 / 29 9 9 / 1 0 / 9 0 0 / 9 / 4
図‑7
西部地域 におけるNDV
lの推移4. 2
有珠 山地域におけるNDV
lの推移解析 した
NDVI
画像 か ら,NDVI
の推移 をより具体的 に検証す るために ,有珠山地域全体 と特定地域 におけ るNDVI
の最大値 ,平均値 ,最小値 の推移 をグ ラフに 示 した.図
12
に解析対象 と した範 囲 を示す.解析対象地域 として,2
∝X)年有珠山噴火における噴火地域 ,噴火地 域 と植生の類似 している地域である.東部地域 ,有珠 山近郊の麓であり火山活動 による避難勧告対象地城 と なっていた南部地域 ,火山活動 による避難勧告対象地 城に指定 され なかった西部地域の計4地域 を選定 した.図
‑3
‑図‑7
には ,各解析地域 のNDVI
の経時変化 を 示 している.まず ,図
‑3
に示す有珠 山地域全体 につ いて噴火前1 40
後藤 健介 ・後藤君之輔 ・岸上 正寛 ・後藤 松生のNDVIの推移 を見てみ ると,1
996
年10月 11
日〜1999
年1
0月9
日までは ,最大値 ・最小値の幅 に違 いはあるちのの ,平均 をとればほぼ一定であり,変化は見 られ ない.また,最大値 ・最小値の幅の違いは季節的な変 化によるもの と考えられ る.1
99 9
年12
月15
日‑2α
X)午2
月1 5
日にかけては,最大値 と最小値の幅が狭 くなり, 平均値 も低下 しているが ,これは棟雪による影響が大きい と考 えられ る.噴火後のNDVIは,最大値 および 最小値の幅 も徐 々に広 くなり,平均値 も上昇 している が,2
∝
X)年9月4日には再び低下 している.図‑
4
の噴火地域 では,噴火前の1996
年1 0
月1
1日‑1 997
年9月4
日にかけては,一
旦平均値が上昇 している が,1 9 97
年9月4
日〜1 999
年10
月9
日にかけては低下傾 向にある. これは ,季節的な変化 とも考 えられるが , 画像‑1(b)〜 (C)か ら分かるように,噴火地域 と
その周辺 を比べ ると噴火地域 においてNDVIが低下 し ていることが明 らかである. これは,噴火地域 におい て火山活動 (すなわち噴火前の活動)の影響が植生 に 及んでいたためと考 えられる.1999
年12
月15
日‑200 0
年2月1 5
日にかけては ,さらに低下 しているが ,これ は噴火活動 による影響 と言 える.図‑
5
に示す東部地域では ,噴火前 は,1 997
年9月4
日の平均値 がやや低下 しているものの,1 998
年9月29
日にかけてはほぼ一定である.1 99 9
年1 0
月9
日におけ る最大値 および最小値の幅の減少 と平均値の低下 は , 雲の影響によるものであると考 えられる.1999
年12
月1 5
日〜2000
年2月15
日にかけては,他の地域 と同 じよ うに雪 の影響 に よ る変 化 と考 え られ る.噴 火 後 のNDVI
の推移 を見てみ ると,最大値 ・最小値の幅 も広 が り,平均値 も上昇 している.その後,2(X氾年9月4日 には1996
年1
0月1
1日‑1 998
年9月29
日にかけての値 と ほぼ同 じ値 になっている.図
‑6
に示 した南部地域 について見てみ ると,噴火 前の1 9 96
年〜19 9 9
年にかけては ,平均値が上昇 してい ることが分か る. これは,噴火地域のNDVIが低下 し ているの とは対照的である.199 9
年12
月1 5
日‑2
00年2
月1 5
日にかけては ,雪の影響による変化 と考 えられ る.噴火後においては,2000
年5月1 9
日の平均値 が低 下 してい るが ,これ は雲の影響 によるもので ある.200 0
年5月1 9
日を除いては,他の地域 と同様の変化 を 示 している.図‑
7
に示す西部地域 にでは,噴火前の1 996
年1
0月11
日か ら1999
年10
月9
日にかけて平均値 が上昇 してお り,南部地域 と同 じような傾向になっている.1999
年1 2 月 1 5
日‑20 00
年2月 1 5
日にかけては ,雪の影響によ る変化 と考 えられ る.噴火後については,他の地域 と 平均値が上昇 し,2㈱
年9月4日には下降 している.以上の ことか ら,有珠山噴火前か ら噴火後にかけて の有珠山地域における植物活性 を解析 した結果 ,噴火 地域 においては,噴火前の
1 997
年 か らNDVI
が低下傾 向にあり,逆に有珠山兼の南部地域 および西部地域で は,NDVIは上昇傾向にあることが明 らかとなった.5.
まとめ今回の調査では ,植物活性に着 日して解析 を行 った 結果 ,火山活動 による影響が噴火前に植物活性の変化 に表れている可能性が確認できた. したがって,噴火 の前兆 は環境 に敏感 な植生 に変化 を及ぼす と考 えら れ ,本研究で授業 している手法が噴火予知に十分適用 で きるもの と考 えられ る.この捷案手法には,広域性 と周期性 を有す る人工衛星データの利用が効果的であ る.また人工衛星データは地表面温度の解析なども可 能であることか ら,その他の火山噴火予知技術 との併 用により様 々な視点か ら粛査す ることで ,より明確 な 前兆現象の確認で き,それが火山噴火の予知精度 を上 昇 させるものと考 えられる. しか し,季節変化の影響 を考 えてい く必要 があり,これ を除去す るとともに , さらに定量的に
NDVI
の変化 を見ていけるようにす る ことを,今後の課題 としたい.拳考文献
1
)松林正義 :火山と砂防 ,鹿島出版,p.1,1 9 9
1.2)同上, p.1 65.
3
)荒牧重雄 :噴火予知 と避難,ci vi lEngi neer i ng Cons ul t a n t
,第211号,pp.1 3‑ 1 4,2
00 1.4
)鹿瀬 亘 ・田近 淳 :2 (
X氾年有珠山の噴火 とその 被害 ,応用地質 ,第41巻 ,第3号,pp.1 50‑ 1 54
,2 0 00.
5)佐藤 努 ・太田英順 ・秋田藤夫 ・鈴木教生 ・松島 書堆 :