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平成20年度 研究の成果と課題

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Academic year: 2021

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平成20年度 研究の成果と課題 1.本年度の視点から見えてきたこと

研究主題「自分らしくなる」を立ち上げ、3年目となる本年度、私たちは研究の視点を「教師は自分 を問うていく子どもにどう関わったか」に絞り考えてきた。教師の関わりを切り口に、追究における子 どもの表れをっないでいくことで、何をきっかけにして、どのように子どもが自分の見方・感じ方・考 え方を問うていくのかを具体的に観ていこうとしてきた。総論の検討や授業を通して子どもの姿を語り 合う中で、「問いとは何か」「子どもが自分を問うとは…」「抽出児をもうける意味」「自分にとっての真 理とは…」が議論になった。それは、単に言葉の解釈を共通認識するということではなく、私たちが教 科、教材で、その子が「自分らしくなる」道すじを具体的なイメージとして語り合おうとしてきた故に 起きてきたことだと考える。

以下、本年度の大研、群研の授業実践をふり返る中で、本年度の成果と課題を明らかにしたい。

(1)家庭科群研から見えてきたこと

家庭科群研では、 金曜日のお弁当 という材のもっ魅力が子どもたちにどのように関与するのかが 議論になった。特に「毎回調理の内容を変えていくのか」「同じメニューを作り続けるのか」について は大きく意見が分かれたところだ。「同じメニューを作り続ける」という制約をしなくても、「細かいと ころにまで目を向けていく」という見方・感じ方・考え方をもっているこの子たちならば、「もっとで きるはずだ」と、自然と調理方法(詰め方、切り方、調味料、火加減など)に目を向けていくと授業者 は考えた。ところが、追究が進んでも子どもたちはメニューを変更し続けた。おかずを組み合わせるこ とができるお弁当という材の魅力によって、子どもたちはメニューを広げていった。

そこで、授業者は、調理を「前回の計画と同じメニューで」と 制約 を設け、その上で抽出児のA さんには唐揚げの揚げ方を師範することで関わった。それは、これまでの子どもたちとの追究をふり返 り、家庭科のこの教材で「何に」向き合わせることが必要かを改めてはっきりさせた授業者がいたから だ。「前回の計画と同じメニューで」と 制約 を設け、教師が技術的な支援をすることで、子どもた ちの「こうして作る」という家庭科の「教科としての学び」を支えていく。そうすることが「自分ので きることがあるのではないかと細かいところまで目を向けていく」という子どもたちの見方・感じ方・

考え方を際だたせていくと授業者は決断したのだ。

本群研を通して、私たちは 子どもが自らの見方・感じ方・考え方を問うていく ためには、この教 材で 何に どう 出会う(向き合う)ことに価値があるのかを、より明らかにして構想することが、

子どもの「教科としての学び」を支えることになることをはっきりさせた。

(2)生活科大研から見えてきたこと

生活科大研では、教材の目標②を 「やってみなくちゃ」と働きかけてきた自分に手応えを感じ、

「やってみる」とくり返し働きかけてきた自分を信じるかどうか、自らの「自分を信じよう」という見 方を問う とした。目標を「〜見方を問う」とすることで、私たちはどのようにして子どもが見方・感

じ方・考え方を問うていくのかを追究の中に観ていこうとしたも

抽出児のBさんは、本時Ⅰ、自分の家で過ごし、柱と離れたところから家全体を眺めた後に、「その 柱は立っているの」と授業者に関わられることで、様々に工夫して考えてきた、どっしりと太くなった Bさんにとっての基礎となる柱 が気になっていった。本時Ⅱ、授業者が再び Bさんの柱 で関わ ることで、この柱を立てようと工夫して考えてきた自分をBさんはふり返った。この時、Bさんはさま ざまに工夫して考えたくなる自分の見方・感じ方・考え方を見つめた。より安定感のある家を立てるた めに、たとえ、柵から離したとしてもどっしりと立っ柱を、工夫して考えたくなってしまう自分である ことを感じたのだ。柱を再び豪邸の中央に戻したBさんは、「裾野を広げることで安定して立っ」とい う工夫を生かし、板を逆Ⅴ字に支え合わせるように組み合わせ、壁を作っていった。このBさんの姿に

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私たちは、これまでにさまざまに工夫して考えてきた自分を信じられるのかと問い、柵から離してもどっ しりと立っ柱を、工夫して考えたくなってしまう自分であることを明らかにしたBさんがいたと「生活 科における学び」を価値付けた。

Bさんの姿を通して、生活科という教科の学びについて語りあった時に、「教科としての学び」と

「生き方としての学び」が話題になった。確かに生活科という教科の特性から「自分自身への気づき」

は、教科としての学びと考えられる。生活科という教科の特性が、その子の「生き方」を問わせるもの だという考え方もできる。しかし、対象に働きかけて気づいたことが、自分自身を問うきっかけになっ ていたか、そのつながりを言いきれないのも事実だ。

本大研を通して、各教科での「教科としての学び」をより明らかにする中で、そこにどのようなその 子の「生き方」が重なってくるのかを明らかにする必要性が、私たちの目の前に課題としてよりはっき

りしてきた。

(3)理科大研から見えてきたこと

理科大研では、本時までに「理科」という教科として、その子が何を積み重ねてきたのかが話題になっ た。本教材で、Dさんは、1個の電池という制限の中で、ならば「自分で電力を生みだそう」と考えて いった。彼は「電流(電気)→磁力」だけではなく、「磁力→電流(電気)」といった電磁誘導について の考えを持っていた。「電力を強くすることが、電磁石を強くすることになる」と考えたDさんは、追 究の前半を電力を生み出すことに当てていった。この時、コイルの「巻き数→電流の強さ」といった考 えを表出していった。Dさんは、実験を重ねる中で、「電流×電圧=電力」「電力×巻き数=磁力」とい

う式によって、見えない 電流というもの 磁力 との関係を表していこうとした。

Dさんの追究には、授業者のとらえたように「すべての条件がそろうからもっとよいものができる」

と理由を考え、目的をはっきりさせていく Dさんらしさ が発揮されていたと考える。

その上で、改めて理科という教科を切り口に、子どもたちの追究を見ていった時、「理科としての教 科の学び」が議論になった。理科という教科で考えた時に、本時までに子どもたちが「何を」積み重ね

てきたのか、それは、本時、子どもたちが自らを問うていくために、教師がこれまで子どもに「何を」

積み重ねさ■せようとしてきたのかに改めて目を向けさせることになった。子どもたちが、自らの実験を もとに論じ合うためには、具体的な数値、実験方法を通して得られた事実を積み重ねたものが、その子 の考えになっている必要があった。事実の積み重ねが、その子が論じ合っていくための根拠になるから だ。

本大研を通して、私たちが教科で「自分らしくなる」を語ろうとする上で、教科、教材でねらう価値

(目標)に子どもがどう迫っているのかを明らかにする必要性があることを痛感した。

2.これからの研究の方向〜「教科としての学び」を掘り下げる

実践を通して、私たちが、教科で「自分らしくなる」子どもを支えていくためには、「教材としての 学び」を深く掘り下げていく必要性があると考える。本年度、「問いとは何か」「子どもが自分を問うと は…」の議論になったのは、「教科としての学び」とその子が 自分らしく 成長していくこととのつ ながりについて、私たちの課題意識がより向いてきたからだと考える。ならば、そのつながりをより明 らかにするために、あえてその子の 見方・感じ方・考え方が内にある ことへの疑いをもって、研究 を進めていくことも必要なのだろう。その子たちへのとらえを出発点とするのではなく、教材に出会い、

表出するその子の考え、行為、表現、動き方をつないでいくことによって明らかになる「教科としての 学び」をより掘り下げていくことで、その結果として、その子が、その教材の中で自らを成長させてい くことが見えてくるのではないだろうか。まずは、各教科での実践を通して、「教科で学ぶ」ことを明 らかにしていきたい。各教科での学びが、実践を通して明らかになっていくことで、教科主張と総論と のつながりもより鮮明に見えてくるはずだ。その時こそ、教科で 自分らしくなる 子どもの具体が私 たちの前に表れてくるだろうと考える。

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参照

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