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抽象的属性名詞による there/have 構文交替現象 に関する覚書

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1.はじめに

 言語学において構文の交替現象(alternation)といえばそれはほとんど の場合,動詞を中心としたもののことである。Levin (1993) には何十種類 もの動詞の交替現象が挙がっていて,そのうちいくつかの交替現象(dative alternationlocative alternation)については膨大な量の研究が生み出 され,現在もその傾向は続いている。その一方で,ある種の名詞を中心と した交替現象はおそらくほとんど注目されたことがない。本稿の目的は,

抽象度の高い属性概念を指示する一群の名詞を中心とする構文交替現象の 存在を指摘し,その概略的な特徴と将来的に取り組むべき問題の輪郭を描 いておくことである。

 本稿が着目する抽象的属性名詞による交替現象というのは,(1)-(4)

のようなもののことを指す。

(1)a. There are two sides to everything.

b. Everything has two sides to it.

(2)a. There was an edge to his voice.

b. His voice had an edge to it.

(3)a. There is an aura about him.

b. He has an aura about him.

(4)a. There is a leadership quality about her.

抽象的属性名詞による there/have 構文交替現象 に関する覚書

  南   佑 亮

(2)

b. She has a leadership quality about her.

 いずれも,いわゆる存在を表すthere構文(cf. Lakoff 1987)と,主語 と照応する代名詞を含んだ前置詞句を伴うhave構文の間の「交替」であ るが,この交替の中心となるのは動詞(be/have)ではなく,「雰囲気」「側 面」「性質」などの抽象度の高い意味概念を表す名詞である。「存在」概念 と「所有」概念の近さとその言語カテゴリー化への影響については言語学 において古くから関心が絶えず続いており(Lyons 1967, Clark 1978等) 本研究もその流れに沿っている。しかし,抽象度の高い概念,特に「属性 タイプの名称」とでも言うべき諸概念の「存在」や「所有」を描写した文 を扱った研究は,管見の限り存在しない。後に見るように,前置詞を伴う have構文の意味機能に着目した先行研究は存在するが,いずれも具象物を 表す名詞の事例のみを対象にしたものであり,そこで提示された分析が

(1)(4)のような場合にも当てはまるのかどうかは検討の余地がある。

 以上の背景を踏まえ,本稿ではこの交替現象の記述と分析に向けて検討 が必要と思われる点をいくつか挙げていく。2節では,交替現象を起こす 名詞の例を挙げ,動詞の交替現象と同じような分布のギャップ現象が見ら れることを確認する。3節では空間的位置関係を表す事例に特化した先行 研究の知見が本稿の着目する交替現象の解明にどのように貢献しうるかを 検討する。4節では,その他の検討すべき問題を挙げる。5節は結語であ る。

2.交替現象の概要

 ここでは基本的な事項を確認する。まず2.1節でCOCAに基づく予備 的調査に基づき,この交替現象を起こす代表的な名詞を挙げ,次に2.2節 で動詞の構文交替現象と同様に分布のギャップ現象が観察されることを見 る。

(3)

2.1 代表的な名詞

 当該の交替現象が見られる名詞は,前置詞toを伴うタイプと前置詞about を伴うタイプの2つに大別できるが,どちらの前置詞とも用いられるもの もある(qualityなど)。1節でも触れたとおり,いずれも抽象度の高い概 念を指示する名詞である。toタイプもaboutタイプも共通して,雰囲気・

オーラを表すものがあり,toタイプの方には「側面」「味わい」「響き・

トーン」といった意味のものが,aboutタイプの方にはenergypower といった,力を表すものが,それぞれ含まれる。いずれも,属性の類型を 表すものである。

(5)前 置 詞toを 伴 う 名 詞 の 例: aspect, aura, edge, feeling, quality, ring, side, taste, tone, ...

(6)前置詞aboutを伴う名詞の例: air, aura, energy, power, quality, spirit, strength, ...

 以上のリストは網羅的な列挙を意図したものではない。この他にも coolness, toughness, fairness, shynessといった接尾辞-nessを伴った,属 性の種類ではなく個々の属性そのものを指示する抽象名詞もこの交替を示 すことが分かっているが,まだ調査段階であるため,ここには含めていな い。

2.2 分布の偏り

 次に,分布の偏りについて見ておく。(7)に挙げているのは,名詞way have構文で用いられ,auraatmosphereによく似た意味を表してい る事例である。

(7)a. You have a nice way about you. (瀬戸2007:14)

b. He has a real gentle way about him that allows people to

(4)

open up. (COCA 2002)

c. He’s kind of got a goofy way about him. (COCA 1996)

 意味の近さを考えれば,auraairと同様にこの意味のwaythere 文にも分布してもよさそうなものだが,少なくともCOCAにはそのような 実例は見られない。

 wayほど明確ものではないが,一方の構文に明らかに偏っていると思わ れる名詞は他にもある。一例を挙げると,ringは,2.1節では便宜的に 前置詞toを伴って交替する名詞の一つとしてリストしたが,実際にはかな have構文(=8a)に偏っており,there構文(=8b)の実例は限ら れている。概算だが,2019年1月11日現在COCAから抽出したデータを見 る限りでは,there構文の実例はhave構文の実例の5~6パーセント程度 である。

(8)a. She was beginning her twenty-third year. The thought brought a huge smile to her face. Twenty-three had a nice

ring to it. (COCA 2014)

b. “Better to be a little late than not get there at all,” said the captain.

There was a hollow ring to his statement and the other man

did not miss it. (COCA 2012)

 以上のようは分布の欠落や偏りは,動詞の交替現象にも頻繁に見られる ものであり,当該現象が交替現象の一種であることを物語っている。

3.2つの構文の意味機能の差異をめぐって

 動詞の構文交替現象の場合,交替関係にある2つの構文の間が意味的に ほぼ同義関係にあることが前提条件だが,詳細を見ると必ず何かしらの意

(5)

味機能上の相違点がある。本稿が着目する名詞の交替現象でも同じことが いえる。本節では,空間的位置関係を表す事例に基づいた先行研究の知見 を確認し(3.1節),それが本稿の関心である交替現象の分析に対しどこ まで適用可能かを考察する(3.2節)

3.1 have 構文のトピック性と属性叙述(特徴づけ)

 大西(2010)は前置詞句を伴うhave構文の特徴を情報構造の観点から 明らかにすることを試みており,このhave構文は一種のトピック構文で あると主張する。大西の論点のうち,本稿に関連するものをまとめると,

次のようになる。

(9)a. 前置詞句を伴うhave構文は項構造の観点から見ると前置詞句 という余剰な「項」を伴っているかのように見えるが,実際は haveが事態内の参与者(主語)が別の参与者(目的語)に対し て発揮するコントロール等の関係は表しておらず(=主語指示 物が事態内での役割を持たず),目的語と前置詞句によって表現 される命題内容にアクセスするための参照点としてのみ機能し ている。1)

b. 主題卓立言語である日本語が主題構造をもった属性叙述文を基 本とするのに対し,主語卓立言語である英語は事象叙述を基本 とするため,トピックを含む文であっても事象叙述に最適化し た他動詞構文(have構文)という手段を用いて表現する場合が あり,前置詞を伴うhave構文はその一種である。2)

c. 前置詞句を伴うhave構文の主語は,文内のトピックとしての み機能しているのではなく,談話内で先行する上位トピックと 連動する。

(6)

 この中でまず注目しておきたいのは,(9b)である。大西(2010:25)

にも指摘がある通り,英語は主語卓立言語であるとはいえ,(10)のような 文が表す状況は,there構文(=11a)や裸の存在文(=11b)でも十分 に表現可能なものであるから,単なる状況描写だけが目的であれば,前置 詞句を伴ったhave構文をわざわざ使う動機はないはずである。

(10) That tree has crows on it. (Heine 1997:35)

(11)a. There are (some) crows on that tree.

b. On that tree are (some) crows. / (Some) crows are on that

tree. (大西 2010:25)

 したがって,前置詞句付きhave構文の使用には単なる状況描写に留ま らない意味機能を担っている可能性が高い。大西も参照する益岡(2004,

2008)の叙述類型論の考え方に基づくならば,「トピック構造を有する前置

詞句付きhave構文は主語の属性を叙述する文である」という予測が導か れる。

 この予測を支持すると思われるのが,Lakoff (1987:558-559)による観 察である。

(12)a. There is a vase on the table.

b. The table has a vase on it. (Lakoff 1987:558)

 Lakoffによれば,(12a)は(i)花瓶がたまたまテーブルの上にある という偶然的な空間的位置関係を表す解釈と,(ⅱ)花瓶がtable setting の一部を成しているという解釈の2つの可能性があるが,(12b)では後者 の可能性しかない。同じことが,先の大西の(9b)の観点からも,(12 b)は,トピックであるthe tableについての属性叙述文となっていて,あ る花瓶についての状況描写(=事象叙述)である(i)の解釈にはそぐわ

(7)

ない」と説明することができるのである。3)

 この点に関連して,長屋(2018:238)にも興味深い指摘がある。長屋は タガログ語の存在文と所有文のあいだの意味の微妙な差異に注目し,所有 者に対する「特徴づけ」が認められる度合いが所有文の自然さと相関して いる可能性を挙げており,英語の場合にも同様の傾向がある可能性に言及 している。(13)は対応するthere構文よりも自然で,(14)は対応するhave 構文よりも自然であるが,それは前者の方がより主語指示物の特徴づけと 解釈されやすいからであるという。

(13) John’s house has two bedrooms.

(14) There is a vase on the table.

 「特徴づけ」というのはつまり属性叙述と言い換えて差し支えないもの であるため,長屋のコメントは「there構文と意味機能的に対立するhave 構文は,主語の属性叙述というthere構文にはない機能を担う」と言って いることに等しく,先のLakoffの観察と軌を一にしている。

3.2 抽象的名詞の構文交替の場合

 さて,3.1節で確認した先行研究の知見は,本稿が対象とする交替現象 に対してどの程度まで適用できるだろうか。当該交替現象と先行研究で扱 われていた各事例との間の最も明らかな違いは,後者では属性叙述である ことがあくまでも間接的にしか示されていないのに対して,前者の場合は 交替の中心となる名詞がhave構文の主語またはthere構文の前置詞句目的 語の指示対象が有する属性を明示的に指示していることである。

 したがって,(15)ではLakoffや長屋の説明が適用できるが,(16)の 場合は成り立たないことが予想される。あるオーラが,ある人の周囲に偶 然ただよっている,といった「偶然的に成立している位置関係」に対応す るような解釈は端的に排除されているはずだからである。

(8)

(15)a. There is a flaw in the diamond.

b. The diamond has a flaw in it. (Lakoff 1987:558)

(16)a. There is an aura about him.

b. He has an aura about him. [=(3)

 もしそうだとすれば,3.1節で提示したトピック構造と属性叙述機能を 実質的に同一視する仮説は崩れることになり,属性抽象名詞のthere構文

/have構文の使い分けは叙述のタイプとは関係なく純粋に情報構造にのみ 動機付けられていることになる。

 この段階で注目したいのが(9c)の主張である。大西はDaily Grill いうレストランのレビューである(17)の例を挙げ,末尾の前置詞付き have構文の特徴について(18)のように説明する。

(17) I found Daily Grill to be a low key, casual restaurant. The music, dim lights, and dark wood gave it an upscale feeling. Booths, circular seating, and tables were all decorated with leather look- ing seats and dark wood trim. Each table had a candle on it.

(大西 2010:33より抜粋)

(18)ここでは,Daily Grillがテクスト全体をカバーするトピックとなり,

次に店の内装に関する品目がその下位トピックとなっている(2番 目と,3番目の文)。この内装品の1つがtablesであり,最後のhave 構文に現れるeach tableはこれを同定している。このeach table 文内のトピックとして機能し,その内容はitを含む前置詞句によっ て特定される名詞句によって特徴付けられている。しかし,それと 同時に,(中略)イタリック体で示したhave構文がテクストの中で 果たす機能は,単に,ろうそくがテーブルの上に存在するというこ とを伝えることではなく,Daily Grill店内にある各テーブルの様子 を叙述することによって,レストラン自体の特徴を伝えることなの

(9)

である。(中略)この文脈において,このhave構文がその読者に与 えるこのような意味はThere was a candle on each table.などの存 在文では表せないと言える。 (大西 2010:33-34)

 大西が指摘するように,文内主題を超えたレベルの主題と関係を結ぶの が前置詞句付きhave構文に見られる(そして対応するthere構文には見ら れない)一貫した機能であるとすれば,たとえ名詞が属性を表していたと しても,やはり同じ性質を示す可能性がある。現に,筆者が見つけた以下 の例(19)は名詞がan unfairnessという抽象的属性概念を指すものだが,

下線部の前置詞句付きhave構文は「主人公と恋人のChloeの間の未成熟 な関係」というより大きなトピックの下位に位置づけられ,この文全体で 二人の関係の特徴を解説する機能も果たしている(また同時に,この後に 続く私の特徴とChloeの特徴の説明にとってのトピックにもなっている)。

(19) I was not alone in my erratic moods, for there were times when Chloe too would unexpectedly display bursts of aggression or frustration. Discussing a film with friends one night, she swerved into a hostile speech about my “consistently patroniz- ing” attitudes toward other people. I was at first baffled, for I had not even said anything, but I soon guessed that I was being repaid for a previous offense---or even that I had become a use- ful target for a disgruntlement that Chole was feeling toward someone else. Many of our arguments had an unfairness to them: I might get furious with Chloe not for the surface reason that she was emptying the dishwasher very noisily while I was trying to watch the news, but because I was feeling guilty about not having answered a difficult business call earlier in the day.

Chloe might in turn deliberately make lots of noise in an effort

(10)

to symbolize an anger she had not communicated to me that morning.

(On Love;下線は筆者による)

 この文脈で下線部のhave構文をthere構文(There was an unfairness to many of our arguments.)に置き換えても自然かどうかを母語話者のコ ンサルタントに尋ねたところ,「there構文に置き換えても齟齬はないが,

その場合はmany of our argumentsについての話ではなく,an unfairness がより話題の中心になる」とのコメントであった。4)したがって予測通り トピック性に関しては大西の説明と完全に符合するが,(17)の場合とは異 なり,特定の対象物の属性を描写しているという点では両者のあいだに本 質的な差異はない。このことから,トピック性と属性叙述機能は連動する ことが多いものの常に一致するわけではないことが伺える。ただし,これ についてはさらに多くのデータの検証が必要である。

4.その他の問題

 以下では,さらに検討に値すると思われる問題を2つ挙げておく。

4.1 have 構文における前置詞句の随意性/義務性

 Jackendoff (2002:139)は前置詞句付きhave構文の前置詞句は統語的 な余剰項であり,「統語的な項は意味的な項の数と等しいかそれよりも少な い」という原則の例外と見なしている。「余剰」なのであるから当然,省略 しても支障はない。そのような随意性を念頭に置いて,この種の構文の前 置詞句をすべて括弧に入れて提示している文献もある(岸本・影山 2010 等)。しかし大西の主張(9a)でも指摘されるように,この構文における haveは主語指示物によるコントロールを始めとするあらゆる状況レベルの 意味を失っているため前置詞句が主語指示物と目的語指示物との実際の関 係性を特定する機能を担うことになり,とりわけ(20)のように主語名詞

(11)

句に関するフレーム的知識だけでは目的語指示物との位置関係が特定しき れない場合は,むしろ必須要素となっている。

(20)a. The house has a fence around it.

b. The door has Mr. Brook’s name on it, you can’t miss it.

c. Each table has fresh flowers and candles on it.

(大西 2010:27)

 一方,本稿が着目する交替現象におけるhave構文では(20)のような 可視的な空間的位置関係が描かれているわけではないため,about句やto 句の存在意義はそれほどはっきりしていない。したがって,about/to句は 随意的と考えることもできそうだが,筆者はそうではないと考えている。

十分な根拠はまだ揃っていないが,少なくとも,属性叙述としての解釈そ のものが前置詞句を伴うことに完全に依存しているような場合がある。2.

2節で挙げたwayがそれにあたる。wayabout句を伴ったhave構文に しか分布しないが,このabout句がなければ属性叙述としての意味を成さ ない。いわばabout句もともなった文型式が構文文法理論的な意味での

「構文」を形成している可能性を示唆している。5)

 この構文交替における前置詞句の形式的なステータスについては,特に have構文の場合に関して,さらに多くのデータを参照しながら,分析と検 証を重ねていく必要がある。

4.2 不定代名詞(indefinite pronoun)のパズル  最後に,(21)の事実を提示しておきたい。

(21)a. There is something strange about the house.

b. *The house has something strange about it.

(12)

 (21a)は前置詞aboutを伴うありふれた表現で,本稿でここまで見て きた事例との違いは,名詞句が形容詞を伴った不定代名詞somethingであ ることだけである。表す意味は(1)-(4)等と非常に似ているにも関 わらず,have構文で表現することができない(=21b)。つまり,不定代

名詞somethingはどういうわけかこの交替に参入できないのである。しか

way等の場合とは対照的に,there構文にしか分布しない。この事実は どのように説明ができるだろうか。概念レベルか,または情報構造の観点 から何らかの説明が可能なのか,あるいはそのどちらでもなく統語的なレ ベルの制約が働いているのか。現時点では確たることは言えないが,何ら かの形で説明がなされるべき事実である。

5.結語

 本稿では,auraairと言った属性のタイプを指示する一群の名詞が参

入するthere構文とhave構文の間の交替現象の存在を指摘し,空間的な位

置関係の事例のみに基づいて提出された観察や分析は部分的には当てはま るが当てはまらない点もあることを指摘した。さらに取り組むべき問題と して,特にhave構文における前置詞句のステータスを解明していくこと の重要性と,不定代名詞somethingthere構文にしか分布できないとい う事実の存在を指摘した。

 今後の課題は,COCA等を活用しつつ当該交替現象の実態の妥当な記述 を目指しつつ,本稿で特定した諸問題に本格的に取り組んでいくことであ る。

1.これはこの構文に限らず文のトピック全般に見られる特徴である(Langacker 2009)

2.主語卓立言語と主題卓立言語についてはLi and Thompson (1976) を,主題構 造からみた叙述の類型(事象叙述と属性叙述)については益岡 (2004) の議論が参

(13)

照されている。

3.実際はLakoff (1987:558) はいわゆる裸存在文(A vase is on the table.)も 観察対象に含めており,この場合はhave構文とは対照的に(i)の方の解釈に限 られると指摘している。ここでは詳細には立ち入らないが,裸存在文とthere 在文の意味機能上の差異についてはKimball (1973) Milsark (1974/1979) 中右

(1998)等にも譲渡不可能性(inalienability)の概念とも関連付けた興味深い観 察と一般化がある。それらの知見を総合する限り,本稿の関心である抽象的属性 名詞は裸存在文では表現不可能であると思われる。

4.コンサルタントとしてご協力いただいたMarsha Hayashi氏に感謝申し上げる。

5.to前置詞句の統語的ステータスについて,Lakoff (1987:559) は(i)と(ⅱ)

の事実を挙げ,There is not much substance to his claims. のような文のto前置 詞はpostnominal modifierではないと言っている。

  (i) The merit in his theory is considerable. (Lakoff 1987:559)

  (ⅱ) *The substance to his theory is considerable. (ibid.)

  一方,Lakoffははっきりとは述べていないが,(i)からわかるとおり,in 置詞句の方は同じような構文で用いられる(There’s a great deal of merit in his theory.等)と同時に,postnominal modifierとしても機能しうるということで ある。このテストがどの程度妥当なものかは検証の余地があるが,構文としての ステータスを検討するうえでこのような方向の分析は有用であろう。

参考文献

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出典

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