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雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

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Academic year: 2021

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(1)

学部と附属の連携による総合的な学習の指導 −学 問の世界にふれ、進路を考える−

著者 植西 浩一, 田渕 五十生, 比留間 良介, 佐古田 康

義, 山尾 文夫, 奥原 牧, 竹村 景生

雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

巻 12

ページ 157‑161

発行年 2003‑03‑31

その他のタイトル Study on teaching of integrated course by cooperation of a faculty and an attached

school  ‑Touch a scholarly world and think a future course‑

URL http://hdl.handle.net/10105/88

(2)

1.大学と附属の連携

学部と附属学校との連携が叫ばれて久しいが、教員 養成大学の将来構想を思い描くとき、その必要性はま すます高まっていると言ってよいだろう。附属中学校 では、これまでから、研究面だけでなく授業でも学部 との連携を深め、附属の生徒が大学教官から指導を受 ける場を設定してきた。また、大学の側からも学部と 附属の連携を求める声も多く上がってきている。そこ で本年度は、附属中学校の第3学年の総合的な学習を

「学問の世界にふれ、進路を考える」とし、これまで 個人的なつながりで依頼し実施してきた取り組みを、

一歩進めたいと考えた。

2.計画の概要

本実践の計画の概要は次のとおりである。

[目標]

学問の世界の深さと広がりにふれ、自分の進路を 考える契機にする。

興味・関心のあるテーマを選び、専門家に直接聞 いたり、文献等の情報を集めたりして、レポート

「卒業論文」)にまとめる。

事前の連絡、取材、事後の報告等の活動を通して、

人と交流し取材する能力を高める。

[学習活動の主な内容]

1 大学教官による特別講座 1学期に2回

−学問の世界にふれ、進路を考える−

植西 浩一(附属中学校) 田渕五十生(社会科教育)、比留間良介(美術科教育)

佐古田康義 山尾文夫 奥原 牧 竹村景生(附属中学校)

Study on teaching of integrated course by cooperation of a faculty  and an attached school -Touch a scholarly world and think a future course-

Koichi UENISHI

(Junior High school attached to Nara University of Education)

Isoo  TABUCHI

(Department of Social Studies Education)

RyosukeHIRUMA

(Department of Artistic Education)

Yasuyoshi SAKODA Fumio YAMAO Osamu  OKUHARA Kageki TAKEMURA

(Junior High school attached to Nara University of Education)

本研究プロジェクトは、学部と附属の連携による中学三年生の総合的な学習の推進の実践と研究である。ここで は、大学教官による特別講座とこれを受けての研究室訪問をふまえ、中学生に卒業論文を書かせることを試みてい る。多くの大学教官の協力を得ることができ、中学3年生の生徒たちが学問の世界にふれ進路を考える契機とする ことができた。これまでの個別で行われてきた学部と附属の連携の試みを一歩進められたのではないかと考える。

今後のより望ましい連携の方法の確立とシステム化が課題である。

キーワード:総合的な学習 integrated course 卒業論文  graduation thesis 特別講座   spetial chair 研究室訪問 a visit to a study office

(3)

2 奈良教育大学研究室訪問 2学期−9月

3 附中版・ようこそ先輩

各界で活躍する先輩を招き、話を聞く。

4 卒業論文作成

題材は、特別講座にヒントを得て、異文化理解学習 等のこれまでの総合学習や教科学習の中から興味・関 心があり調べがいのある課題を個人で選択する。

論文の作成にあたっては、研究室訪問等で大学教官 からの示唆も得て行う。

[学習過程](30時間計画)

4/23 火 2時間  オリエンテーション 6/7 金 2時間  特別講座1

6/11 火 2時間  論文指導1 28 金 2時間  特別講座2 7/9 火 2時間  論文指導2

7/16 火 2時間  論文指導3 研究室めぐり 計画

9/10 火 2時間  研究室めぐり準備 9/24 火 6時間  研究室めぐり 10/1 火 2時間  論文指導4 10/8 火 2時間  ようこそ先輩 10/22 火 2時間  発表会1 10/25 金 2時間  発表会2 11/8 金 教育研究会.代表発表 11/12 火 2時間  反省・評価

3.特別講座

特別講座は、できるだけ多岐にわたる分野の学問の 世界にふれられる場にしたいと考えた。また、前述の ようにこれまでは個別に大学教官に依頼しての取り組 みであったのを一歩進め、学部と附属の連携による計 画的・組織的活動の場設定の糸口とすることを目標と した。そこで、年度初めに、教育実践総合センターか らのメール等を通じ学内に広く声をかけた。その結果、

12名の大学教官の快諾が得られ、次のような内容の講 座を、2002年6月7日、11日の両日に開講することが 可能になった。

6月7日(金)特別講座第一回 川北泰彦「漫画と歌と唐詩と」

今正秀「真実を見る目、うそを語る口」

岩本廣美「奈良町の今昔」

西田史朗「海のはなし」

谷口義昭「私が行ってきた木材研究」

堀端眞彦「新金属の開発の歴史」

6月11日(火)特別講座第二回

加藤久雄「日本語の『観察』と発見」

田渕五十生「国際理解と関わって」

松村竹子「川はよんでいる」

岡村泰斗「冒険教育」

鈴木洋子「パキスタンの文化」

竹原威滋「グ リ ム 童 話 と ネ ッ ト ワ ー ク フ ォ ー クロア」

講座は、両日とも午後、2時間連続で実施、生徒た ちは話に聞き入り熱心に記録を取った。生徒たちの声 の一端を記録の中から拾っておきたい。

歴史に関する様々な自分の意見を言え、その ことについて答えてくださったのがうれしかっ た。知らないことだらけだったが、一つ一つ色 々なふうに理解していって、色々な方向から物 事を見ることの大切さを知った。

今回の講座でいちばん印象に残っているの は、牛の形をしたはりがねが、その形にもどっ たことです。形状記憶っていうのはめがねのフ レームとかでしか聞いたことなかったので、実 際に見てびっくりしました。また、私たちの身 の回りにはたくさんの金属があるんだなと思い いました。

特におもしろいと思ったことは、「お父さん」

と「父」の違い。形式的にしか分からなかった のに、呼べるか、呼べないかという視点で考え るのにはびっくりした。

当日の生徒の記録の一端を、本稿の末尾に掲げる。

(4)

4.研究室訪問

講座で学んだことに触発されながら、生徒たちはそ れぞれのテーマを持って卒業研究に取り組み、9月24 日には、大学の研究室訪問を行った。訪問研究室は多 くの分野にわたり、30を越えた。

当日の目標と実施方法、日程を次に示しておく。

[目標]

1 専門家の指導を受け、卒業研究をより深める。

2 大学の研究室を訪問し、学問の世界にふれる。

様々な分野の学問にふれ、進路を考える手がか りにする。

[実施方法]

グループ単位で、研究室を訪問する。訪問までに 事前に電話等で連絡をし、目的を伝え、時間を決め る。研究室めぐりの空き時間には、大学周辺の文化 施設を見学する。

[日程] 9:30 大学講堂前集合

10:00 研究室めぐり・午前の部開始 12:00 昼食

13:00 研究室めぐり午後の部開始 15:10 大学講堂前集合

研究室訪問でも、大学教官の協力で多くの成果が上 がり、それは卒業論文のテーマ設定にも生かされた。

ある生徒は、次のように書いている。

奈良教育大学の研究室訪問に行ったときの先生方 からのお話によると、どの科学の研究も、最終的 に「人間とは何か」という問いに対する答を求め ているそうです。そこで私は、ゲノムを通してこ の問いに対する答えを自分なりに求めてみようと 思いました。

このように研究室訪問の中での学問の世界にふれた 言葉が、生徒たちの心に響き、探究心をゆさぶったの である。

また、一流のスポーツ選手を対象に、上達する人と しない人との違いをテーマに研究したある生徒は、大 学教官の「夢が目標に変わったときに、一流への道を 踏み出した」「秘密練習を始めたときが、目標への気 持ちが本気になったときだ」という言葉を聞き、「何 より私の目標への一押しになった。目標に向かってこ れからも全力投球していくつもりです」と書いた。訪 問が進路選択の後押しとなったのである。

大学教官から貴重な書物を借りたり、検索方法を教 わった生徒も少なくなかった。大学図書館を案内して もらったり、継続的な指導の場を設定してもらった生 徒たちもいた。

それらは卒業論文に生かされ、卒業論文発表会も内 容の濃いものになった。完成した論文の内容の一端は、

本稿末尾の資料に示した卒業論文要旨を通してみてい ただきたい。

5.終わりに

今回の取り組みは、まだ緒についたばかりである。

しかし、多くの大学教官の協力で予想以上に実り多い ものとなった。大学と附属の連携の一つの在り方とし て継続的に考えていく価値のある実践であると考えて いる。

可能であれば、計画段階から大学と附属が連携して 取り組みを進め、システム化していきたいと考えてい る。今後の課題である。

(5)

資料1 特別講座学習記録

(6)

資料2 卒業論文要旨

参照

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