酸化物誘電体多層膜の光損失低減化 に関する研究
Researchofalow」・ossopticalcoatlng岡谷 聖子
1山田 耕太郎
1田中 大祐
1青木 良夫
2seikoOkayal,KoutarouYamadal,DaisukeTanakal,YoshioAoki2
1株 式会社 アル ネ ア ラボ ラ トリ AlnairLaboratoryCorporation
2埼 玉大学 工学部 応 用化学科
DepartmentofAppliedChemi stry,FacultyofEngineenng,SaitamaUmiverslty
1.緒言
弊社が提案 して いる誘電体多層膜 を利用 した光 デバイス は高速光通信 システムに対 応 した極めて重要なキーデバイスである。
このデバイスを実現す るための大 きな課題 の一つ に光損失低減化があるo この光損失 は誘電体多層膜 の内部 をある通信帯域波長 の高速光パルスが多重反射 を繰 り返す こと によ り発生す る。弊社 は こうした誘電体多 層膜 を これ までイオ ンアシス ト型電子 ビー ム蒸着装置(IAD)によって作製 してきた。し か しなが らデバイス化実現 のために要求 さ れ る許容損失値 を達成す るまで には至 って いな い。そ こで低損失化のため に技術調査 を行 った ところ、低損失誘電体多層膜 はイ オ ン ビー ムスパ ッタ リング装置(IBS)で作 製 されて いる ことが分か った。IBSは粒子 エネルギーが非 常 に高 く、低温 プロセスの ため にアモル ファスで撤密な膜が得 られ る。
また、誘電体多層膜 を作製す るためには元 になる基板への特殊研磨が有効であるとも
分か っている。
そ こで、本報告では この元 になる基板の ほ うに着 目す る ことに して、膜 を付 ける前 にまず基板 に特殊研磨 を施 しそ の基板の表 面粗 さの測定 を行 い、光損失 を低減す るた めに必要なガ ラス基板の表面状態 を確認す る ことにする。
2.評価方法
まず、誘電体多層膜作製用基板 を3種類 用意 した。 この基 板は外部か ら購入 した も のを使用 した。以下試料A、試料 B、試料 Cとす る。試料Aと試料Bは5個(a〜e)、 試料Cは2個(a,b)用意 した。各々を10ロ
×10□×5tの形状 に して3種類 を別々に特 殊研磨 を行 い、顕微鏡でキズの確認 を した 後 、それぞれ の表 面粗 さを測定 した。 この 時 の 表 面 粗 さ の測 定 は 原 子 間 力 顕 微 鏡 (AFM)を用 いて行 った O また測 定箇 所 は 各々任意 の点‑箇所 としたO
JGG‥
3.結果 と考察
図1に試料 1の表面粗さと測定回数の図を 示す。
図1試料1の表面粗さ
0 1 2 3 4 5 測定回数 (回)
横軸の測定回数は特殊研磨 を行 った経過時 間を表 している。図1よ り1回目の測定で は各々a〜dにばらつきが見 られるが、測定 開始時と言 うこともあってAFM を使用す る時に何 らかの問題があった可能性が考え られる。 (a〜dは5個まとめて特殊研磨を 行 うため、粗さにば らつきが出るのは考え にくい。)2回目以降になるとばらつきもそ れほど無 くな り、経過時間 と共に表面粗 さ も低 くなっていき0.4mmあた りで落ち着い た。
次に、図2に試料2の表面粗さと測定回 数の図を示す。
(uJu)et] 52 251500
図2試料2の表面粗さ
0
1 2 3 4 5測定回数 (回)
図1と同様に横軸の測定回数は特殊研磨を 行 った経過時間を表 している。まず この試 料2は試料1と比べると全体的に表面粗さ が大きいと言える。試料1の5倍 くらいの 粗さである。測定 1回目と 2 回目は 2‑
2.5mmの粗さで大きな変化は見 られないが 3回目の測定で一気に1nmをきるところに まで至 った。 しか し 4回 目の測定で再度 2nmになってしまっている。これは3回目 の測定終了後の特殊研磨で研磨条件を変更 した ことが最大の原因ではないか と考え ら れる。3回目までの研磨条件 と同様に行っ ていた ら lnm よ りさらに低い粗さになっ ていた可能性 も考え られる。
図3に試料3の表面粗さと測定回数の図 を示す。
図3 試 料3の表 面粗さ
図3も同様に、横軸の測定回数は特殊研 磨を行 った経過時間を表 している。試料 3は3つの試料の中で一番表面粗 さが低 いことが分かる。 1回目の測定開始の時 で0.25nmであった。グラフの傾向とし ては試料2と同じく3回目の測定までは 徐 々に表面粗 さの値が低 くな って いき 0.1nmをきるに近いところまでいったが、
4回目の測定で再度最初の0.25mm に近
‑67‑
い数字にまで戻って しまった。 これは先に も書いたが測定3回目と4回目の時での研 磨条件の変更が原因であると考えられる。
最後 に試料1‑ 3の3回 目の測定時の AFM像を示す。
試料1のAFM像
試料2のAFM像
試料3のAFM像
左 図 が 試 料 1の AFM像である。
白い細かな点が全 体的に存在 してい て均一的ではない ことがわかる。
左 図 に試 料 2の AFM 像 を示す.
表 面粗 さが大 き い こと もあ りと て も凹凸が感 じ られる。また丸み が あ るよ うに も 受 け取れる。
試 料 3の AFM 像 を左図に示す。
3つ の 中で は一 番 均 一 的で あ る よ うに思 われ る が研 磨 キズ の よ うな もの が あ る のが気 にかかる。
上記 AFM 像の測定領域はいずれ も1LL Xl〝である。
4.まとめ
これ までの ことによ り弊社が誘電体多 層膜作製時 に使用す る基板の表面状態 の
‑3はニ
確認が出来た。特殊研磨 を施 した3種類 の基板は各々に特徴 を持 って いるが、試 料3の基板が他の 2種類よ りも表面粗 さ にお いては低 く平坦である ことが分か っ た。今 まで誘電体多層膜作製時の基板の 表面状態 は、はっき りして いな い部分が あったが今回の研究で明確 にな った と言 える。今後更 に この特殊研磨 を施 した基 板 と本題である誘電体多層膜 との関連 を 深めて行 きたい。
5.謝辞
本研究 を行 うにあた りご協力を頂 きま した埼玉大学分析セ ンター 久保正雄氏、
理学部基礎化学科 森谷節子氏 の方 々に は大変お世話 にな りました。 この場 を借 りて御礼 申し上げます。