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過疎地域吉野郡天川村の実態と動向についての地理 学的研究

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

過疎地域吉野郡天川村の実態と動向についての地理 学的研究

著者 西田 和夫

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

7

ページ 191‑222

発行年 1971‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10105/6241

(2)

過疎地域吉野郡天川村の実態と 動向についての地理学的研究

西 田 和 夫

(地理学教室〕

      1.天川村榎説 1.概観

 天川村は奈良県の南半を占める吉野郡のほぼ中央部に位置している(図1参照)。第1表により本 村の概観をすることにする。村の面積は1?5.08㎞2で,その規模は吉野郡の町村としてばほぼ中位 にある。昭和45年7月3I日現在の世帯数1,086、人口4,251で,男女別には女子がやや多く,1

   ピ!し回コ(、ノ

ノ男\二 バγ!圭 口

図1 天川村の位置

(3)

θ

      吉  西 ・^ 、

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㌧!

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 、  底谷

・.!0湾尾広港  塩野。

1

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西   曜

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沢原 盲目裏

丸尾

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  湾 村.

   、 ・ ・/   ・

黒 !

川合 中越

中谷 谷 北角

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    山去ケ岳 1          ノ村         !

  ▲ 鮒ケ岳  焔ム岳        。入

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へ粋)

(4)

第I表  天川村の概要(奈良燦市町村別農林統計要覧・役場資料)

人口(45.7.31) 1人ヒ密度

i脳2当り)

製造品 o荷額等 総土地面積

@(昭4④

世 帯 数

i45∫.31) 総数1男1女 事業所数 従業者数

175.08鮎 1,086世帯 4,251人2,037人2,214人 24.3人 13 iO自火 13.102

第1次産業 第2次産業 第3次

Y業

就業者数

i40.1O.1)

就 業 者数

農業1林業漁業 計 1鉱業.建設業1製造業 就業人口㈹

¥成比(殉

I.681 P00.O

849 228 621

T0,5 13,6 36.9

0 238

O.O I4,2

20,1 125

V.5

111

U.6

594

D .・. . . . . . 一   ■

R5.3

㎞2当たりの人口密度は24.3人で極端に低く,本村は吉野山地に位置する山村であることを示して

いる。

 事業所数・従業者数・製造品出荷額等は昭和44年工業調査の結果であるが,それらは数・量とも に小さく,しかもその半ばは一般製材等の木材関係で占められるので,ここにも山村の特色をうかが

うことができる。

 昭和40年の国勢調査の結果により本村の就業者数をみると,総数1,68I人で第1次産業がその過 半に当たる849人,50.5%を占め,そのうちでも林業の占めるウエイトが621人,36.9%と圧倒 的に大きく,これ重た山村の特色を遺憾なく発揮しているものである。第3次産業が2位で594人.

35.3%を占めるのは大和アルプス観光の基地洞川を重点とするサービス業,卸売業・小売業などを 含むからである。ついで農業228人,1316%で,要するところ本村は吉野山地の農山村であるとい え為

 本村は下市口駅から約30㎞,バスで約1時間半の距離にある山村で、村内には県道3路線一大淀 上北山線・川合阪本線・大峯山公園線があり,これを幹線として村道・林道がバイパスとして発達し ている。集落は主として天ノ川に沿って南日裏を中心に22集落があり,その支流山上川沿いに登山 基地の洞川集落がある(図2参照)。

2.地 形

 天川村は奈良県南半を占める吉野山地中,大峰山脈のほぼ中央部に当たり位置している。山脈の東 は吉野川の上流と北山川の渓谷に距てられ,その西ば十津川の渓谷をもって境せられる。山脈の北端 は桜花の名所吉野山にはじ重り,大天井岳(1,439エロ)・山上ケ岳(1,720m)・稲村ケ岳(1,726

皿)・大普賢岳(1,7801口)・行者還岳(1,547m)などが連なり,ついで弥山とその一峰の奈良県 最高峰の仏経岳(一名八剣山,1,915m)がそびえ,さらに南へ明星岳(I,839皿)・七面山(1,5

57価) ・仏生岳(I,805m)・孔雀岳(1,821皿)・釈迦ク岳(1,800工n)・大日岳(1,52I皿)

地蔵岳(1,455皿)などが脊梁をなして連なり,笠桧山(1,3551n)を経て瀞八丁付近に終っている。

2,OOO皿に近い竣峻な山岳が列をなしてそびえ,断崖や深谷が至るところに生じ,実に壮年期の地形 の特色を示している山脈で,一般に「大和アルプス」とも呼ばれている。しかし,いわゆるアルプス

(5)

のように高山性の山肌を現わさず、気候の関係もあって至るところに森林が繁茂し,とくに仏経岳の 原始林は天然記念物に指定されている。また,全域が吉野熊野国立公園の一部となってい為

 北山川・十津川などの支流はこの南北の主脈をさらに東西の細かい支脈に分け,とくに西方に向か う支脈は七,八条に拾よんでいる。支流は深い谷で侵食を行をい,所々に滝や急流を作り,とくに天 ノ川の侵食によりこの脊梁の山脈は大普賢岳け近で東に寄って一響曲をなし,これより以北は山上ケ 岳を盟主とし,以南は弥山拾よび釈迦ヶ岳が中心に座を占めている二つの山群に分ける〜二とができる。

天川村は実にこの両山群にまたがり,天ノ川の流域に集落を発達させているのである(図2参照)。

3.気 候

 天川村の気候は,前項の地形でみ走ように本村の位置が吉野山地中の大峰山脈近傍にあるため,山 岳気候を示している。海洋性の表日本式気候をもつ紀伊半島に漸移する地帯でもあるので,海洋の影 響を受けた山岳気候であるといえよう。

第2表  天川村の気象(昭和42年.奈良県統計年鑑資料)

洞川1月・月・舳月・月・月・月1・月.・月1可

気温℃一1.9 0.1 3210,314,718,321,922,818,OI1.6 7.2−1・5 104 降水量ππ162 58 136241 56 66310223 214 289 102 83I.940

 第2表は洞川観測所に歩ける昭和42年の気象状況である。これによると気温は年平均10.4℃で,

奈良(15.1℃)にくらべてやや低い。とくに夏8月22.8℃(奈良27.8℃),冬1月一1.9℃(奈良 3.1℃)ともに奈良にくらべて各5℃も低くて,夏ば涼しく,冬は寒いといえる。降水量は年1,940

㎜に達し,奈良(1,293脇)にくらべてとくに冬へなかでも夏7月3IO間(奈良252回),8月 223腕(奈良125功が多く・登山をすれぱかならず一愛は雨にあうといわれるぐらいに夏季多雨

である。

 気候の諸要素を総合して,類似し走気候を一単元として区分した奈良県の気候区のうち,本村は吉 野山岳区に属することになる。すな司っち気温は夏はもっとも涼しく(20〜2ぺC),冬はもっとも寒

く(O〜3℃),高さの関係で相当較差が多く現われ,降水量は太平洋の影轡を受けて2ρ00〜

4,OO O脳に達し,大台ケ原ば最多雨地である。一般に吉野林業地帯が形成され,所々に原始林も保存 されているのである。

4.林 業

 天川村は林立農従の村である。まず林業についてみることにする(第3表参照)。昭和40年の林 野面積ぱ16,553haで林野率94,5%ときわめて高く、また国営11.9%,公営912%に対して私営

78−9%,13,067haが圧倒的に広い面積を占めている。人工林・天然林の別をみると天然林が49.3

%でやや広い面積を占めるが,樹種からいえば針葉樹が林野面積の過半52.9%を占めることになる。

(6)

第3表 天川村林業の概況(奈良県市町村別農林統計要覧賃料)■     一

1.林野面積(昭40) ha

総 面 積 人工林 天然林

国営公営1私営 針葉樹広葉樹 針葉樹広葉樹 竹林

特殊

人口林

フ伐採ユ地

納在い

エ野

1.966  1.520 13,067 6.796 1.948 6,214 1 768 778 48

2.造林面積(昭42〕 ha

総 面 積     総

計1針葉樹広葉樹 計天然下種ぼ う が

287 287 287

3.森林伐採面積・苗畑面積・苗木生産量(昭42)

伐採面積 ha 苗畑面積

@  a

造林用苗木生産量

数用材林薪炭林 総数すぎひのき1あかまつ・/ろ盲つ

431 353 78 442 734 203 514 17

4.林産物(昭42)

   まリ炭  普通まき

まったけ しいたけ

乾燥 たけのこ 竹材 〈い丸太

しぱまさす ぎひのき

足場

ロ太

7七57千束 4千束 4,500 2,000m1 一Kg3βOOg J9 π  m−790

そして.人工林は針葉樹林のみと亥っている。このことば昭和42年の造林面積をみても,人工更新 による針葉樹の造林のみが287haあったことによってもうなずかれる。

 昭和42年の森林伐採面積は431ha,うち用材林353ha,81,9%で用材り伐採がきわめてさか んであり,これに対して薪炭林の伐採はわずかに78ha,18・1弘にすぎ庄い。苗畑面積ぱ442a に達し,造林用苗木生産量も734千本,うち,ひのきが514千本で70刀%と大部分を占め,ついで,

すぎ203千木,2η%,あかまつ,くろまつぱ1行本.舳%の少量にすぎをい。

 林産物は木炭,まきのほか,すぎ,ひのさの樹皮や足場丸太などがあり,生じい允けの生産は特色 あるものであろう。

5.農 業

 つぎに天川村の農業についてみることにする(第;4表参照)。昭和40年2月I日現在の農家数ぱ 454戸で農家率は41.1%,これを専兼別にみると専業はわずかに15戸,3.3%にすぎず,兼業が 大多数を占めている。兼業のうちでも第1種,すなわち農業を主とするものは少をく,農業を従とす る第2種兼業が431戸.94,9%で大部分のものがこれに当たる。し走がって,経営耕地規模別でも O.3ha未満が305戸,672%,03〜O.5haが94戸,20.7%で,両者を合わせると87−9% まで が0.5ha未満となり,山村に巻ける耕地の零細性を知ることができる。農家入口については女子が 男子よりもやや多く,男女とも59才以下が多いこともちろんであるが,な拾60才以上のものもか なりあることを示している。基幹的農業従事者の構成をみても女子が圧倒的であることがわかる。

 昭和42年8月に拾ける経営耕地をみると,田45haに対し畑87ha,うち普通畑が74haを占 めている。田畑とも人為がい魔が年々1O a内外ずつあり,田について40年の87a,畑について

38年の79aと41年の220aぱ著しい人為がい廃であった⊃

(7)

第4表 大川村農業の概況(奈良県市町村別農林統計要覧資料)

L 1.農家数 (40.2.1)

一比%農家数同

総数 専業 兼業 経営耕地規模別

農業主1農業従。蕪。17昨107Ti

454 100−0

15 3.3

8  431 L8 94.9

305  94

67,2   20.7

41  9  3

9.0   2.O   O.7

一     2 一  一 04 2.農家人口 (40.2.1)

i且O王

計はg刊且O至

基幹的農業従事者

計  男  女

2.134 100−O

1.045 49.0

892

41.8

153

7.2

1.089 51.0

884  205   363

41.4    9,6    17.O

50 313

2,3 14.7

3.経営耕地 (昭42.8)

耕地面積ha 構成比 %

樹  園  地

計果樹園茶園1桑園1永年工芸1伽

牧草地

132

100.0

45

34.1

87

65.9

74

56.1

13

9.8

9  1 1  1  一

田 人為がい鹿面積

芒1・・年1・・刊竺i竺腔竺・・年

州 人為がい鹿面積

・・年1・叶・年i・・年1・吐中年1・・平 10 20 5  一 20 87 IO 15 15 10 1 79 20 16 220

4.主要作物作付(栽培)面積・収穫量(昭42)

作付面積ha

10a当り収量Kg

収穫量 t

い も

・・年i・・年1・・年・・年憂;

「^   蜆   里    u  U      U U     〕 〕

豆類

だ(ずあずき

作付面積ha 9  4

収橦量t 10  4

39  40  40  40  39  38  37  37

243 222 223 I77 200 195 217 225

95  88  88  70  78  75  80  83

3  4

1.350

 54

14 910 123

え促りい榊め きゅうり 棚二重くわ を す とまと いちご きゃ^キつ 1

19

1  O  I 19  2 21

1  − 13  一

l

I6

(8)

ば/か1ほうれ1か眺1肌眈1輸1さといも榊ぎ1湖こ、桃いなし 作付面積ha

絈n量t

350 15 463 04 16 334 18

一一 一」 16

一一

果樹

うめかき 栽培

̲家数

鵜面積 生薬

カ産量

荒茶生産量 作付面積ha

絈n量t

415 312 計!せん茶番茶腿iその他 H場数機械製茶 肌O戸細 9t 3t 一1; 3t 一t 一t 一工場

5. 畜(42.2.I)

乳用牛 役肉用牛

採卵鶏 プロイラー

飼養戸数頭数 飼養戸数 頭数 飼養戸数 頭数

飼養戸数羽 飼養戸数羽

1O 1O 120 33百羽 一1S羽

6.農 具(昭40)

駆動型耕うん機 けん引型耕運機

@トラクター 動力噴霧機 動力散粉機

農用トラック

Iート=輪

個人有共有 個人有1共有 個人有1共有 個人有1共有 個人有共

2 14 9

7.農業糧生産額(昭42)

畜産 加工

̲産物 総粗

カ産額 粗生産額万円

¥成比%

I,046 P8.5

    III1■一■一 凹■L一 一一I 一一■1II−I■

V37 1.035  302    1.297  560

P3.l   I8,3    53   −   22.9    9.9

一670

v11.8

135.660

O.2100.O

 主要作物としては水稲・いも・豆類のほか,野菜としては,なす・すいかなどの果菜類,ぱくさい きゃぺつなどの葉菜類,だいこん・さといも在どの根菜類と果樹のうめ・かきなどが目立っている。

茶は農家の半数が自家用に栽培するものである。家畜としては採卵鶏が注目せられる。農機具として は耕うん機が多少導入されている程度である。

 こうして農業租生産額は工芸作物2 %を筆頭に,ついで米・野菜・雑穀などの順となっている。

農家I戸当たり125千円,基幹従事者1人当り156千円,耕地10a当たり51千円である。

6.工業

昭和44年の工業統計調査による天川村の工業はわずかに13で,その大字別配置ぱ第5表に示す

(9)

ようになうている。従業者数は総数108人で1工業平均8−3人、製造品出額額等は総額13,102万 円で1工業平均1.O08万円である。

第5表 天川村大字別工業の概況(昭44年工業統計調査資料)

大     字 洞       川 中       越 川        合 沖        金 中        谷 坪        内 栃        尾 庵       住

平     均

工 業

2 1

1

1

3

3

1

13

 κ  κ  κ  κ  κ  κ  κ  κ

108人

 8,3

製造品出荷額等

    κ     κ     π     κ     κ     κ     κ 13,l02万円

1,O08

(注) 商業に準じて,工業数3以下であるため各大字の従業者数・製造品出荷額等ぱ   κとした。

 工業の内容についてみると,山村にふさわしく製材関係工業が8を数える。まず素材生産・銘木生 産・これら両者を兼ねるもの各1か所のほか,一般製材が2か所あり,さらに屋根板だけを生産する

もの・木箱にするもの・特殊な経木丸太の製材が各1か所となっている。これらで出荷荷の70,3%

を占め,なかでも製材関係の割合が高くなっている。

 以上のほかでぱ靴下・婦人子供服・ゴム引合羽などの衣料関係の工業の進出が最近目立ってさて拾 り,山村の女子労働力を吸収する傾向がみられる。

7.商 業

 昭和45年の商業統計調査による天川村の商店数ぱ103,従業者数158人で,その大字別分布は 第6表のようになっている。洞川は商店数53で総数の51.5%,従業者数71人で同44−9%を占め 観光基地としての特色を遺憾なく発揮している。洞川につくものは,交通の要衝に当たる川合の13 商店.12.6%,従業者数25人,15月%である。この両大字のみがやや集中的で,その他各大字の

ものは散在的に分布するものである。まったく商店のない大字も9か大字を数え,これらは世帯数も 20以下の小大字で,近隣の大字の商店が,または行商に頼っているものである。

 取扱商品の内容をみると,一般に鮮魚・乾物・果実・酒・調味料などの飲食料品,たばこ小売等で ある。商店を分類するとき大きく買回品店と駁寄品店の二つに分けるが,日用雑貨に総括される以上 の各商店は最寄品店に腐ずるものである。都市の商店街の場合に,買回品店は集心性のものであり,

(10)

最寄品店は散在性のものとせられている。

第6表 天川村大字別商業の概況(昭45年商業統計調査資科)

大字 商店数 従業者数 大字 商店数 従業者数 洞 川 53 71 九 尾 2 中 越 1 栃 尾 7 11 川 合 I3 25 和 田 3 κ 沖 金 κ 庵 住 2 π 中 谷 7 1O 広 瀬 1 κ 沢 原 5 7 塩 野 3 κ 南日裏 3 κ 103 158 坪 内 2 κ κの合計 34

(注) κで伏せたところは商店数が3以下であるため,秘密保持の意味からその   実数を隠したことを示す。なおκで伏せた数値ぱκの合計欄に一括計上し烏

買回品店に含まれる衣料品店・化粧品店・薬店は本村でも南日裏・川合・洞川などの各中心地にみ られるものである。

2.天川村各説

1.位置・面積

 天川村は奈良県の南半を占める吉野郡のほぼ中央部にあり,以前は十津川村などとともに秘境とさ れてい光ところである。北には黒滝村・西吉野村、東には川上村・上北山村,南から西にかけては大 塔村がそれぞれ接している。 (図1参照) 本村の数理的位置は北端が北緯34017 ,南端が北緯

34o l O ,東端が東経135059 ,西端が135045 である。な拾村役場は天ノ川上流の南日裏に

ある。

 天川村を大きく分けると3つの地区となる。すなわち大峰信仰とともに立地している洞川地区,天 ノ川沿いの集落群,拾よび広瀬から下流の斜面上の集落の各地区である。これら3地区のうち,天ノ 川沿いの地区を上と下に分けて,それぞれの地区の例として洞川・南日纂I和田・塩野の4大字を選 び,以下の各項に拾いてそれぞれの特色をみることにする。

 吉野郡の面積は2,257.65㎞2で奈良県全体の61%を占め,東京都や大阪府などよりはるかに広 い。天川村の面積ぱ175.08㎞2で,吉野郡てば十津川村・上北山村・川上村についで大きい(郡の

77%を占める)o山辺郡I I3.19㎞2,生駒郡10 9㎞2,北葛城郡96.20㎞2,高市郡49.79

㎞2。磯城郡48〃K固2よりはるかに大きいのである。

 4大字の面積は洞川59.58㎞2,塩野工1.0㎞上2,和田9.O㎞2,南日裏4.0㎞=2でそれぞれ全村の

(11)

34.O%,O.6%,O.5%,O.2%にあたる。洞川がとくに大きく、他の3大字は大字の平均7.6K冊2よ りも小さい面積を占める大字である。

2.地形・地質

 奈良県の地形は中央を吉野川に沿い東西に走る中央構造線(Mθdi a nユi nθ)により内帯(北 側)と外帯(南側とにわかれている。天川村に栂する吉野郡は外帯に含まれ,吉野山地が大部分を

占めている。この山地はいうまでもなく壮年期の山容を示し、急峻な山岳地形をなしている。この山 地の成因は東西に軸をもつ僧曲によるものであるが,北山川・十津川の横谷が深く侵食して吉野』lLヒ 流などとともに,むしろ南北性の3条の山地にわかれる。大和アルプスとも呼ばれる大峰山脈が中央 を走り,東側には高見山・大台ケ原山などの連なる台高山脈が,西側には伯母子岳・護摩壇山・牛廻 山・千丈山などの連なる伯母子山地が南北に走っている。

 天川村の主な山岳・河川・峠は第7〜9表のごとく,地形略図は図3のごとくである。

第7表 天川村の主な山岳 (5万分1地形図資料)

1    _

R岳名 海抜皿 所在地 山岳名 海抜皿 所在地

■  一一I     』 ■… 一 ■   一■■ 『■  一■ I・一 一一 h■一  一  ■一 一   』■   I  一■■.一 .■   II   ■ 』一

大天井ケ岳 1,439 黒滝村・川上村境 トサカ尾山 1,l19

勝負塚山 1」245 川上村境 天 稲 山 1.284 大塔村境

山上ケ岳 1,720 滝  山 1.I40

稲村ケ岳 1,726 唐笠 山 I.118

観音楽山 1,347 乗鞍岳 993 西吉野村境

龍 ケ 岳 1,581 高城 山 1,111 大普賢岳 1,780 川上村・上北山村境 天狗倉山 I,061

行者遺岳 1.546 上北山村境 虜 形 山 1,052 黒滝村境

八 剣 山 1.915 白 石 山 1.119

頂 仙岳 1.717

所在地1

第8表大川村の主な河川 (奈良県地誌資料)

河川名 水   源   地 幹線流路延長 流域面積

㎞2

天 ノ 川 吉野部天川村山上ケ岳 66.4 274.8

川 迫 川       〃 32,5 58.1

弥 山 川  八剣山

(12)

第9表 天川村の主な峠 (5万分1地形図資料)

天川村(広瀬・籠山など)一面吉野村(安場)

天川村(川合)一票滝村(笠木)

天川村(洞』ll)一票滝村(川戸)

天川村(和田)一大塔村(篠原)

       黒滝村

      川上村

      竿篠㍊. 勝

西吉野村

Sポ・1郊

  ノ  白石山       〃

        ム       .

春1天刈.、天杣  チ蓑圭 村嘉一・ノ翁溶レ、脱ノ岳1

      〉

図3 天川村地形略図

 つぎに天川村の地質は図4に示すようになっている。弥山山塊から天ノ川流域は四万十層群とよば れる中生代地層の一部で砂岩 頁岩を主としているが,よく連続する輝緑凝灰岩を來んでいる。山上

ヶ岳なとは秩父古生膳でデッケン構造という特異な地質構造を形成し,チャートが多く,その下底に はしばしば石灰岩をともなう。川迫クム付近や弥山川の白川八丁付近は大峰酸性岩とよばれる第三紀 の酸性深成岩である。測11東方は大峰酸性岩に貫かれて接触変質をうけてできた結晶質石灰岩で,五 代松鐘乳洞がある。弥山川双門ノ滝付近には垂直の節理をもつ硬い岩石,ホルンフェルスがある。

稲村ケ岳頂上付近には礫=岩がみられ,第三紀のものと思われている。

(13)

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圃大峰酸性岩類

時代未詳中生界・…

・・レ高累帯南帯諸岩層

X申臭層・・始新統う上部古生界石灰岩

       ・・秩父黒帯諸岩層 時代未詳中生界目  幽

纒伯テ生界_秩父

・・厓wン帯北帯諸岩層 黒帯諸岩層

図4 天川村地質略図

3.気 侯

大川村の気候は吉野山岳区に属していん概説でひととおり述べたので,ここには図5を瑠げて奈 良県の気候における天川村の位置を示すことにした。

(14)

18

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図5  奈良県の気候(気温・降水量)と天川村の位置

(15)

4.林 業

 吉野杉といえば天下の名木である。吉野川流域ほどには手入れが行きとどいてはいなくとも,天川 村も吉野杉の大産地であ島

 天川村の林野率は昭和40年度で9415%を占め,そのうちわけぱ国営1,966ha,公営1,520ha 私営13,067haである。十津川の最上流都に位置するために,筏流しをするには水量が足らず,木 材を1本ずつ両端の角をとって管流しにし,和歌山県の荻で集めて筏に組み新宮へ出していた.管流

しの時期は台風の拾さまった秋の増水時に行なった。他には酒樽をつくる樽丸をかついで五条・下市 へ出していた。そのために林業の発達は幾分遅れたが,現在てば道路が整備され,トラックで下市へ

出すようになって,そういった簡趨は解消されている。架線も使用せられ,以前とくらべれぱ大きな 進歩をとげることになった。

 一方山林の保護育成にも務め,昭和40年現在で人工林のうち針葉樹林6,796ha・広葉樹林O,

天然林のうち針葉梅林1,948ha,広葉櫓林6.2I4haであり,吉野林業の中心となる針葉樹の約 77,7%が人工林である。さらに同じく昭和40年度の造林面積が人工林のうち針葉樹林287haあ り,まさに天川村産業の中心をなすものである。ちなみに昭和40年の森林伐採面積は用材林353 ha,薪炭林78haで計431ha,苗畑面積ぱ442a, 苗木生産量は,すぎ20万3千本,ひの き51万4千本,まつ1万7千本である。吉野といえば杉を思い出す人が多いであろうが,本村には,

ひのきが多いことに注意しなければならない。

 林業就業1着数は昭和40年現在で全就業者数の36.9%,第1次産業就業者数の73.I%を占める。

そのうち自営業主はわずか55人,8.9%にすぎず,約87%に当走る540人が雇用者で,残り 26人は家族労働者である。15才以一ヒ就業者の年令別割合を謁べたのが図6である。試みに奈良県

65才以上

60〜64 55〜59 50〜54 価〜49 40〜

35〜39 30〜船 25〜卿 20〜24 15〜19

・・

L.

    天川村林業・狩猟業就業者割合

一一一_@奈良県林業・狩猟業就業者割合

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0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20%

図6  年令別就業者数割合(昭40.I0.1)

(16)

全体の15才以上就業者の年令別割合と比較したところ,本村は15才から29才までの若年労働者 が非常に少ない。これば若い世代が都会にあこがれて村を去り,あるいは村内に停まっても他の仕事 につくというへき地村の一般的傾向と同じくするものであろう。な拾,近くに高校大学などがないた めに,進学したものが当然村を離れることにもよるのであろう。山林労務は重労働であるために,高 年令者や婦人労働者にぱせいぜい下草刈りや苗の橦付けぐらいしかできず,もし若い年令層の者が戻 って来ないようなことがあれぱ、せっかくの林業も危機に頻することになろう。そして高校大学の教 育投資にしても他の行政地域への投資に他ならず,地元へぱほとんどその投資効果をもたらさない結 果となるばかりか,ますます財政を貧困をものとしていくことにもなりかねない。

 な券,用材の他に林産物として木炭7t,まき61千東,樹皮6,500m3,しいたけ3,800K多,足 場丸太790付がある(いずれも昭和42年調)。

 洞川・南日裏・和田・塩野の4大字について,それぞれの山林所有戸数と所有山林面積を調べると 第10表の如くである。

第10表  天川村4大字の所有山林面積

       (1970年一昭45一世界農林業センサス資料)

積a 1戸平均面積a

大字 有I借 所 有借 所有1倍

洞川 84 26 11O 25.365 11.906 37.27I 302.O 457.7

南日裏 13 O 13 4,513 O 4,513 347,2

和田 16 O I6 1O,591 o 1O.591 661.9

塩野 32 O 32 4.927 O 4,927 I54.O L

 洞川の所有戸数のうち農家ぱ29戸非農家が55戸で,借入26戸はすべて農家である。山林を所 有しない農家ぱ1O月あるが,農業の項で述べるように洞川てば農産物販売は行なわれて拾らず,こ の1O戸も山林労務者があるいは他の産業に生活の中心を拾く第2種兼業農家であろう。もちろん山 林所有あるいは借入農家もそのウェイトはほとんど林業にある。

 南日裏では所有農家が11戸,非所有農家が19戸,所有非農家が2戸,和田てば所有農家が15 戸,非所有農家が6戸,所有非農家がI戸,塩野てば所有農家が32戸,非所有農家が14戸,所有 非農家はない。このように山林を所有あるいは借入している者が比較的みられるが,1戸当たりの面 積は少なく,やはり労働者としてその賃金を得ることが最大の収入源となっている。

 それを示すものとして,これら山林所有者の木材販売高を第11表に示すと,昭和45年に販売し たのは和田7戸,洞川6戸,南日裏・塩野が各2戸で,山林所有面積と比較して実に微々たるものに すぎない。

(17)

第11表  天川村4大字の木材販売高別戸数

      (1970年一昭45一世界農林業センサス資料)

大字 5万円「満 5〜20万 20〜@50万 50〜POO万 ㍑12海1・・万円以上

■ …エ川

a田

末?

@計

62721? 1113 1214 31318 11

11

 林業は天川村をささえる最重要産業であることはいう までもないが,1これに従事する村民がほとん ど労働者であることは,山林収益が村外に流出している可能性が高いのではないかと想像される。こ のことば村の林業にとって大きな問題となるであろうし,ひいては天川村そのものの将来の進退を決 定づけていくものとなるであろうと考えられる。

5.錘 業

 一般に都市化が進んだ地域は耕地面積率が減少しているが,これに対して,いわゆるへき地もそれ が減少している。天川村はその後者に属するが,総土地面積175.08㎞戸のうち耕地はO.8%にすぎ ない。しかもそのうち水田ば33.6%,畑地が66.4%で,わが国農業の基幹をなす稲作が,それ自体 狭い耕地のわずかに半ば程度にすぎないのである。これば十津川の最上流部をなす天ノ川沿いの地域 だけに,平麹面といえば天ノ川が堆積したわずかばかりの小段丘のみで,あとは千I口を越える山々へ 続く急斜面となっているためで,畑地はその斜面を利用した傾斜地耕作がほとんどである。米はもち

ろん自給用であるが,それもほんの少しで,大部分は配給米に頼っている。田地は稲作のみで,冬期 は休閑地として放置したままである。畑作もほとんど自給用で,多種類の野菜が作られて拾り,それ ぞれの面検は非常に小さなものである。例として大字和田の一部の耕作景観を図7に示すことにする。

 図に拾いて商品作物はコンニセクとトウキ(薬草)だけで,それも以前よりは減少の傾向にある。

山茶も昔ば売っていたが,現在はまったく自家用のみである。ヒノキ苗木はこの地域が林業を主体と していることからもうなずける。図に示すように少ない耕地であるうえ,な拾減っていく傾向がある。

畑も手入れが十分に行届いでは拾らず,労働力の不足を感じるとともに,山でもうけて野菜を貰った ほうがよいといった考えで耕作を減らしている。昭和35年から40年にかけて人為的にかい廃せら れた面積も倣説屋業の項にみるごとくかなりの面積に達した。

 農家数については昭和40年現在1.I34世帯の41.4%を占めるが,そのほとんどが兼業で,しか も第2極兼業農家である。したがって人口総数4,612人のうち農業就業者数は228人で,約5%

にすぎない。耕地の減少傾向については先に述べたが,産家戸数もそれと並行して減少している。

(18)

第12表 大川村大字別の農家戸数

 (1970年一昭45一世界農林業センサス資料)

大   字

西

昭 35  54  15  25  32  17

 25−

 15  13  42  32  19  42

 工7

 16  15  15  20

  7

 42  10

473

昭 40  65

 7

 17  23  15  16  16  15  31  25  23  40  25  12  13  17  24

 3

 57  10

454

増 減

(二

昭45推定

 14  16  16  13  26  24  22  35  24  11  13  16  23

  1

 54  10

426

昭35一昭45増減

 斗9  −8  −8

−11

 −3  −9  +1   0

−16

 −8  +3  −7  +7  一5  −2  +1  +3  −6

+12

  0

−4?

TO

(注)増減のOは増(㊥ぱ10戸以上増).△は減(△ばl O戸以上滅)。

第12表によると昭和3島年から同45年の10年間に農家数が減った大字は11で83戸,増えた 大字が7で36戸,差引47戸の減少,その割合は約10%に達している。しかも昭和40年から同 45年の5年間の変化をみると増加した大字は一つもなく,70%にあたる14大字が減少している。

とくに減少のはげしいのは現在役場が券がれ行政上の中心となっている南日裏と,道路の分岐点であ り下市方面からの入口にあたり村の交通の中心となっている川合である。これら減少農家が離村した

(19)

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    ムリ  完。橋端  1川 ・ぐ山・、・  ム

量  真    民 量

コ跡

(20)

ものか,他産業へ転換し先ものか,あるいは他の原因によるものかぱこの表だけでは不明であるが,

いずれにせよこの地域において農業が生活をうる拾すものではないことを示しているようである。

 つぎに洞川 南日裏・和田・塩野の4大字の農業について比較考察をおこなってみよう。

 まず農業規模についてみると第13表のごとく,樹園地は皆無で問題外であるが,洞川にま一つたく 田蝪専ら畑圭い刎特徴的である。これは約800皿の海抜高慶をもち稲作には不適であるうえに,大峰 登山の拠点としてむしろ商業的色彩が濃いことなどに起因すると考えられる。この地域の農業の中心 はやはり畑作であり,しかもほとんどが傾斜地耕作である。

第13表 天川村4大字の農業規模

       (1970年 昭45一世界農林業センサス資料)

樹園地

面積 戸数 面積 戸数 面積 戸数 面積 戸数 洞 川 Oa ○戸 Oa ○戸 743a 65戸 743a 65戸

1戸平均 Oa Oa 11.4a 1L4a

一      ■1

一ム       一」

k日長

.岬、....1..㍗、、.、.

0 O 348 30 768 30

一。一一■一..

1戸平均 18−3 O 11ぺ

 .1..、、...

f.6

1

和 田 、.8g. 2 ...∴.、.、.!....♀,...

1戸平均 4I.5 O 16−9 20.8

一 ■ 一

..岬、.上..叩....

塩 野 ..ヂ㍗...、.....㍗ o O 1,586 46

1戸平均 20.O o 25.3 8裏1ムIII

(注)現在休作地も含む。

 畑地総面積拾よび1戸平均面積最大で農業もっともさかんである塩野は斜面上に立地した集落であ り,畑地ももちろん傾斜している。十津川流域では川岸よりもむしろ尾根近くのほうが傾斜が緩慢な ため集落釦よび耕地は尾根近くの斜面に作られ,支流の上流部では川筋に降りてくるのが一般的で,

天川村に拾いてもその傾向が現われている。しかし海抜高度はいずれも600m前後で,塩野の耕地 面積が他よりも大きいのは以上のような理由によるものである㌔

 拾もな農作物の作付面積は第14表のとおりで,前述のように自給用がほとんどで種類も多いb洞 川では,ばれいしょ・だいこん・きゃぺつが多く作られていて他は,ぱくさいを除きほんのわずかに すぎない。南日豪は種苗苗木の生産が目立ち,和田では少しずつ多様に作られている。この天ノ川沿 いの地区がもっとも自給的であるといえよう。塩野は畑地が他大字より広く,ばれいしょ・豆類,と くに種苗苗木・たばこは比較的広く作られている。種苗苗木は明らかに林業収入につながるものであ 久走ぱこぱ商品作物であるから,塩野は農作収入に力をいれているといえる。これを如実に示すも

(21)

のが第I5表である。

第14表 天川村4大字の畑地主要農作物作付面積

       (1970年一昭4ト世界農林業センサス資料)

大 字 雑穀1舳レ!舳だいずiあ叫叫

洞 川  a      a     a    a    a    a

P5241 311171

南日裏 10     26    26    】7   12

和 田 3 49 83432

塩 野 43   94   38   96  92  21

大字 いちごたまねぎ1肌舳麦1その他麦1花111

洞 川 a     a     a    a      a    a

Q   1   2

南日裏 10   7  10

和 田 9   7   2

塩野 4   20    18   10    15

雑穀1舳し/!カんじ1だいずiあ叫坐坐き約1舳ねぎ

10   2  51        1 17  12  23 21  2I  32

a    a     a     a     a    a

114  228   5  1   7   1  4   26   3

21  48  刎

いちごたまね11舳小麦1その他麦1花11憂憂]二1〔二

  a    a  59

    1 216  I7

a     a     a      a

        703         187         230

2   273   13  1,135

第15表 天川村4大字の農産物販売額別戸数

       (1970年一昭45一世界農林業センサス資料)

総 数 し美方霧    20〜  50〜5〜20万    50万  70万 70〜 1OOカ円

1OO万 以上

65 65

南日裏 30 12 9 9

21 16 2 2 1

46 I0 19 10 2 5

 すなわち農産物販売額は奈良盆地の地域とでは比較に衣らぬほど少ないものではあるが,しかも塩 野が戸数に拾いて最高、販売額も最多である。和田で3戸だけとくに販売額が高いのは,しい九け栽 培で山林中にホグを築いて栽培している。他の3大字てば洞川に1戸3ρ00本があるだけで,和田 てば4戸140,200本の生産をあげ,とくに3戸に集中している。前表で洞川に,ばれいしょ・だい

こん・きゃぺつの作付が多かったにもかかわらず,農産物販売はまったく行なわれていないことも注 意すぺきことであろう。

 家畜は南日裏で,にわとりが1戸200羽みられる他は牛・豚ともにない。

(22)

 農用機械は耕うん機が洞川0,南日裏4台,和田2台,塩野9台のみで,傾斜地耕作のゆえに良用 機械を十分に生かせないのが実情であろう。

 天川村に拾いて農業の占める位置は低いものである。塩野の例にみたように,西部の尾根近くの斜 面上の集落で少しばかり商品作物が活発である程度で,あとは自家の食卓の一都をよそ拾う野菜類の 栽培が主である。和日ヨの,しいたけ栽培は特色あるものといえるであろう。

6.工 業

 天川村の工場総数は13で,そのうち4大字では洞川のみに3事業所があり総数の約23%を占め る。 (図8参照)その内容は山村にふさわしく一般製材と,婦人労働力を吸収する靴下製造と,およ び和・生菓子の製造工場各1であ島

44年の調査では,全村で事業所の新設1と廃業2が みられるが,洞川の和・生菓子製造も廃業したものの

ようである。

7.a.商 業

 昭和45年の調べによると天川村の総世帯数は1,086,

そのうちで商店経営世帯数ぱ99で1割に満たない約9

%の比率を示している。天川村の商店総数は99である

      図8 天川村大字別工場数(昭44)

が,産業別事業所数てば他の製造業・建設業・サービヌ

業などを押えて大きな比率を占めている。事業所総数の47%が卸売業の占める割合である(図9参

照)。

 塩野・和田・南日裏・洞川の4大字の全体に占める割合は63%と高率を示し,なかでも洞川は,

54%と半分余りを占め,4大字のうち際立って大き在比率を示していることがわかる(図10参照)。

これば天川村人口総数4,251入中,洞川で32%を占めていることと関係があると思われ為  商店の従業者数は1〜2人が圧倒的に多くて全商店の84%を示し,5〜9人従事している商店は

南日裏に1軒あるだけである。1〜2人の従業者の商店の場合を4大字でみると67%の割合を示し,

圧倒的に多いことがわかる(図11参照)。

 商店の経営組織は個人経営であり,ほとんど小売業で生計を営んでいる。

 4大字の商店で扱う商品について考察してみると,食料品・衣料品・日用雑貨などの生活必需品が 多く、また1軒の店で種々の食料品を扱ったり,食料品.衣料品・雑貨を同時に扱っている商店が多 いことも,交通の使が悪く市場に遠いという地域の性質を現わしているものであろうと思われる。

4大字のうち,医薬品を扱う店は洞川だけにある。みやげ品の店や飲食店は洞川に多く,洞川を訪れ る大峯山への登山者や旅行者を対象としているもののようである(図12参照)。

(23)

製造業

3 4

サービス業 鉛

59

   総 数

   210

卸売業 gg

 21 建設業

図9 天川村産業別事業所数

    (昭45)

37 総数

99

53

 塩 野 南 3 田日   裏

  3. 図10 天川村大字別商店数

     (昭45)

(24)

5−o人 10

1〜2人    84¢ 8〜 人 1

溝    川   62%

8 8

¢番 その他  88¢ 77,  その他鴉¢

進知慮 1度田日  真

調進知慮     慮 川■晒目     日   裏     裏

図11 天川村従業者数別商店数 (昭45)

58戸

洞 川 日 用 食科 晶 出舳艘榊品鮎

南日裏

8戸

日日 用用 食雅 料債

3戸 和 田

目電 用気 食冒 料具

3戸 塩 野

62戸

4大字計 日 用 食科 品 1用舳竃駿みやげ晶鮎

図12 天川村4大字商品別商店数(昭45)

参照

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