奈良教育大学学術リポジトリNEAR
児童における読みのメタ認知的知識の発達に関する 研究
著者 藤田 正, 笹川 宏樹, 亀井 千弘
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 25
ページ 87‑94
発行年 1989‑03‑01
その他のタイトル A Study of the Development of Meta‑cognitive knowledge about Reading in Children
URL http://hdl.handle.net/10105/6664
児童における読みのメタ認知的知識の発達に関する研究.
藤田 正・笹川宏樹・亀井千弘
(心理学教室) (奈良県中央児童相談所) (奈良県心身障害者 リハビリテーションセンター)
要旨:小学3年生と6年生を対象にして、読みのメタ認知的知識の発達を調べ た。調査項目は筆者らが作成した材料変数に限定されたもので、文章の長さ、
内容の親近性・表記形態などに関する10個の条件文について・評定に要する 時間、理解度、精神的負担の3点について回答させた。その結果、時間につい ての判断には発達差はみられなかったが、理解度や精神的負担については判断 に発達差がみられた。3年生では、条件文に表われた比較的表層的情報に限定
した形で判断を行うが、6年生になると、人、課題、方略といったメタ認知的 知識のすべてを考慮した形で、判断を行うように変化していることが明らかに なった。
キーワード読みのメタ認知的知識
読み能力(reading abi1ity)は、言語能力のうちでも学力の基礎となり、教科が異なっても 共通して機能する基本的スキルである。従来、読み能力は 読書力 として扱われ、知能や読 書不振児との関係などについて研究がなされてきた(藤岡,1984;阪本・高木,1968)。しかし、
読書力という用語は、限られた言語活動しか意味しないという恐れがあり、また最近の認知心理 学の知見をふまえた場合、 読み能力 という幅広く言語情報を処理する能力を意味する用語の 方が適切であると指摘されている(北尾,1984)。最近では、読みを高次な情報処理過程、もし くは認知過程として肥えた研究も行われている。例えば、読みの下位過程を発達的に分析した研 究(北尾・豊田・広瀬,1983)や、読みの下位過程に対応して読み能力を測定できる検査の作成
(北尾,1984)がある。我々もこれまでに、読み能力と読書習慣(藤田,1984)や知能の関係
(藤田・笹川,1986)、学業不振児の読み能力の分析(笹川・藤田,1986)について検討を行って
きた。
読み(readmg)は、知覚的な過程、認知スキル、メタ認知的な知識(meta cogmt1ve㎞ow1−
edge)が相互に関係し合って成立する複雑な行動といわれている。したがって、効果的な読みの
A Study of the Deve1opment of Meta−cognitive㎞owledge about Reading in Chi1dren
Tadashi FUJITA(Dψακ肌e耐。ナPsツ。ん。Zogツ,Mαrασπカθrs北ツ0ゾ亙吻κα三0π,Mαrα)
Hiroki SASAKAWA(MαrαP吻e伽rαエ0ん〃ω肋㎜e Ceπ炊,Mα醐)
Chihiro KAMEI(Mαrα加η肋㎞わ脇α鏡㎝Ce肋げ。rP伽s{cα ツα Meπω ツ sαろ賜 PerS0㎎,Mαrα)
指導を考える場合、実際的な読みや読解の活動面の研究だけでなく、読みについてのメタ認知的 知識についても研究を進めていく必要がある。しかしながら、これまでの読みに関する多くの研 究は、これらの要因のうち主に知覚的な過程や認知スキルを扱ったものが多く、メタ認知的なも のにっいてはごくわずかである。
ところで、メタ認知とは、自己の内部で生ずる認知活動(知覚する、記憶する、理解する、問 題を解くなど)に関連したすべての知識のことをいう。これには、認知機能の性能、能力につい ての自己評価や、ある課題条件下での最適方略の選択などが含まれる(F1ave11.1976)。メタ認 知を構成する要因として、①人の変数、②課題変数、③方略変数の3つがある。Myers,II&
Par1s(1978)は、この3つのカテゴリーを参考にして読みのメタ認知的知識の質問項目を作成 しれ人の変数は、自己の読み能力についての自己評価に関する知識である。質問項目には、読 み能力に影響する年齢、動機つげ、性、特殊なスキル、環境条件についての質問が含まれている。
課題変数は、読みのモード、スピード、テーマヘの偏好性、読書の目標、文の構造、熟知度が読 みに及ぼす影響についての知識を問う質問が含まれてい孔方略変数は・読みの際の推論・イメー
ジ、読みの過程でのモニタリング(自己監視)の活用などの知識についての質問が含まれている。
彼らは、小学2年生と6年生に対して、読みのメタ認知を調べるための18項目の質問文を用い、
個別面接法により・読みのメタ認知の発達を検討しれその結果・2年生では文章の長さ・熟知 性・興味・関心などの次元についてメタ認知的知識を持っているが・理解の方略・読みの目標・
文章の意味的構造などの次元については、6年生ほどにはメタ認知的知識を持っていないといっ た発達的な差異を見出している。
読みのメタ認知の発達について研究することは、読みの指導を効果的に行っていく上において も重要な問題であるにもかかわらず、我々の知る限り、日本では読みのメタ認知に関する研究は 行われていない。また、質問紙の形式で読みのメタ認知を簡単に測定することが可能になれば指 導上にも大いに役立てることができると思われ乱
研究を進める上において読みのメタ認知を構成する、人、課題、方略の3つの変数を総合的に 扱うことが前提となるが、今回の報告は、予備的な段階として、課題変数のみに着目して質問項
目を作成することにした。この変数についてMyersらの研究では、項目は文章の長さ、熟知性、
興味の3っだけであった。
本研究では、材料変数について幅広く条件を考慮した項目文を含む質問紙を作成し、読みの材 料変数についてのメタ認知的知識の発達的な差異を検討することを目的とした。なお、メタ認知 的知識の測度には、読みの処理の速さとしての「時間」、文章の「理解度」、動機づけに関連した
ものとしての「精神的負担」の3つの観点を新たに用いることにした。
方 法
調査対象 奈良県内の2つの小学校児童、3年生1学級(38名)と6年生1学級(35名)
の合計73名を調査対象とした。
調査内容 読みの材料変数に関するメタ・リーディング調査表を作成した。調査表は、材料
一88一
についての1O項目の条件設定文とそれぞれに対して3種類の質問文、および回答用の3つの選 択肢から成っている。条件文は・1)文章の長さ・2)文章内容の親近性・3)文章内容への興味・
4)表記形態(文字)、5)表記形態(句読点)、6)表記形態(縦・横書き)、7)表記形態(文字の 乱雑さ)、8)文章内容の図示、9)表記形態(段落)、10)表記形態(行間)の1O項目で条件の 異なる2つの文を比較した内容であ乱表1は・各項目の条件文を示したものであ孔
妻1 読みのメタ認知的知識(材料変数)についての質問項目 1.文章の長さ:
5ぺ一ジの長さの文章と2ぺ一ジの長さの文章を読みましれ 2.文章内容の親近性:
大阪に住んでいる子どもが、北海道のことについて書いてある文章と大阪のことにつ いて書いてある文章を読みました。
3、文章内容への興味:
同じ長さの文章を2っ読みました。1つは先生に読むように言われた文章です。もう 1つは自分が読みたいと思った文章です。
4.表記形態(文字):
ひらがなぱかりで書いてある文章と漢字とひらがなの両方で書いてある文章を読みま した。
5.表記形態(句読点):
句読点(。や・)が打ってある文章と句読点が全く打ってない文章を読みましれ 6.表記形態(縦・横書き):
いつもたて書きの文章を読んでいる子どもが、たて書きの文章とよこ書きの文章を読 みました。
7.表記形態(文字の乱雑さ):
きれいな字で書いてある文章ときたない字で書いてある文章を読みました。
8、文章内容の図示:
絵や写真の入った文章と文字ばかりの文章を読みました。
9、表記形態(段落):
段落で分けてある文章と段落で分けていない文章を読みました。
10.表記形態(行間):
行と行の間がつまっている文章と行と行の間があいている文章を読みました。
それぞれの条件文に対して、1)時間(「読み終えるのにかかる時間は?」)、2)理解度(「文章 の内容がよくわかるのは?」)、および3)精神的負担(「読むことがしんどいと思うか、楽だと 思うかは?」)の3種類の質問文を設けた。また、これらの各質問文に対する回答は、3つの選 択肢を用意し、 イ.2つの文章で同じ。口.2つの文章で違う。ハ.2つの文章で同じか、違
うかわからない!の3つの回答から選択させた。
実施手続き 調査は、1988年3学期に筆者ら、もしくは担任教師が学級ごとに集団で実施 した。実施に際しては、児童に調査表を配布し、氏名などを記入させた後に、条件文、質問文、
および回答文を読みあげて、選択肢のいずれか1つにO印をつけさせた。
結 果 と 考 察
表2は10項目の材料変数に対する3年生と6年生の回答の内訳を人数と割合で示したもので
ある。
2つの文章で 同じ と 違う を選択した児童を「判断あり」とし、 わからない とした 児童を「判断なし」として、各項目についての3種類の質問文ごとに学年による割合の変化をみ
るために2×2のパ検定を行った。その結果、「時間」については、10項目すべてに学年によ る割合に有意な差はなく、いずれの学年においても「判断あり」とした者が多かった。「理解度」
については・表記形態(縦・横書き)(パ=17.07)と表記形態(行間)(パ=12.85)の2項 目に有意な差が認められた(いずれもρ<.01,砂二1)。3年生では「判断した」者が多いが、
6年生では逆に「判断なし」が多い。「精神的負担」については、10項目のすべてにおいて、学 年によって選択内容に有意な差(順に、パ=7.77,12.37,24.44,35.18,44.32,29,57,69.10,
38.82,9.90,12.37)がみられた。6年生では「判断なし」の割合が増えている。
以上のように・「時間」についてはどの学年でも「判断した」児童が多く・発達的な差異はみ られなかったが、「精神的負担」では10項目すべてにおいて6年生では「判断した」児童の割合 が減少し、「判断しなかった」児童の割合が増加している。この結果より、「精神的負担」は時間 や理解度などに比べて曖味さがあり、6年生になると他の要因を考慮に入れることにより「判断
しない」というより「判断できなくなった」というように考えられる。
2つの文章で 同じ 、 違う 、および わからない の3つの回答に対する選択の割合につ いて学年による変化をみるために2×3のパ検定を行った(但し、各セルの期待数が5以上の 13個に限定した)。その結果・「理解度」については次の8項目が1%水準(砂=2)で有意で あった。それらは、文章の長さ(パ=19.70)、文章内容の親近性(パ=28,57)、文章内容へ の興味(パ=25.92)・表記形態(縦・横書き)(パ=28.16)・表記形態(文字の乱雑さ)(パ=
36.62)、文章内容の図示(パ=19.09)、表記形態(段落)(パ=43.30)、および表記形態(行 間)(パ=35.95)である。「精神的負担」ついては、文章の長さ(パ=8.98)が5%水準で、
文章内容の親近性(パ=13.59)、表記形態(縦・横書き)(パ=29.60)、文章内容の図示
(パ:40.98)、および表記形態(段落)(パ=19.63)が1%水準で有意であった。
有意な差を示した8項目の「理解度」はいずれも 違う と選択した児童の割合が6年生に なると減少しているが、 同じ とした児童と わからない とした児童の学年による割合は大 きく3つのパターンに分けることができる。第1のパターンは表記形態(行間)の1項目であり、
図1に示すように 同じ と わからない とした児童の割合がどちらとも6年生になると増 えてい乱この項目は・文章の視覚的な読みやすさに関連したものであ乱
第2のパターンは6項目あり、図2に示すように 同じ が6年生になると増加し、 わから
一90一
言
表2 条件文に対する学年ごと の回答の内訳け(%)
()内は人数
条件文 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1O
同 3年
5.3( 2)
10.5(4) 28.9(11) 1015(4)O( O)
15.8(6) O( O)
15.8(6) 工3.2(5) 13.2(5)じ
時 6年 11.4(4)
8.6( 3) 2.9( 1)
11.4(4) 25.7(9)
37.1(13)8.6( 3)
34.3(12) 48.6(17) 34.3(12)違 3年 76,3(29) 76.3(29) 63.2(24) 89.5(34) 1OO(38) 78.9(30) 100(38) 76.3(29) 86.8(33) 78,9(30)
う
6年 62.9(22) 80.O(28) 94.3(33) 82.9(29) 71.4(25) 57.1(20) 85.7(30) 60.O(21) 45.7(16) 65.7(23)
間 3年 18.4(
7) 13.2( 5) 7.9( 3) O( O) O( O) 5.3( 2) O( 0)
7.9(3) 0(0)7,9( 3)
わからなし、
6年 25.7(
9) 11.4( 4) 2,9( 1) 5.7( 2) 2.9( 1) 5.7( 2) 5.7( 2)
5.7(2) 5.7(2)0( 0)
同 3年 13.2(
5) 7.9( 3) ユO.5( 4)
1O.5(4)2.6( 1)
21.0(8) 13.2(5)
26,3(1O) 216(1) 21.1(8)じ
理 6年 54.3(19) 62.9(22) 62.9(22) 7413(26) 85.7(30) 31.4(11) 77,1(27) 65.7(23) 71.4(25) 54,3(19)
解 違 3年 60.5(23) 78.9(30) 76.3(29) 84.2(32) 94.8(36) 63.2(24) 71.0(27) 60.5(23) 76.3(29) 73.7(28)
う
6年 14.3(
5)
20.O(7)
20.0(7)8.6( 3) 8.6( 3) 5.7( 2) 5.7( 2)
11.4(4) 8.6(3)5.7( 2)
度
わカ・らな、、 3年 26.3(1O)
13.2( 5) 13.2( 5) 5.3( 2) 2.6( 1)
15,8(6) 15.8( 6)
13,2(5) 2111(8)5.3( 2)
6年 31.4(11)
17,1( 6) 17.1( 6) 17.1( 6) 5.7( 2)
62.9(22)17.1( 6)
22.9(8) 20.0(7) 40.O(14)精 同 3年 13.2(
5)
26.3(10)18.4( 7) 2,6( 1) 2.6( 1)
21.O(8)2.6( 1)
26.3(1O) 15.8(6)5.3( 2)
じ
神 6年 17.1(6) 22.9(8)
8.6( 3)
11.4(4)11.4( 4) 8.6( 3) 0( O)
17.1(6) 37.i(i3) 17.1(6)
的 違
う
3年 78.9(30) 60.5(23) 73.7(28) 94.8(36) 9714(37) 73.7(28) 97.4(37) 73.7(28) 78.9(30) 81.6(31)負 6年 48.6(17) 25.7(
9)
28.6(1O)20.O( 7) 8.6( 3)
25.7(9) 2.9( 1)
14.3(5) 28.6(1O) 31.4(11)担 わからなし、 3年
7.9( 3) 13.2( 5) 7.9( 3) 2.6( 1) O( O) 5.3( 2)
0(0) O(O) 5.3(2) 13.2(5)
6年 34.3(12) 51.4(18) 62,9(22) 68.6(24) 80.O(28) 65.7(23) 97.1(34) 68.6(24) 34.3(12) 51.4(18)
ない は変化しない。これらは・材料の表記形 100
態(文字の乱雑さ、段落、内容の図示、文章の長 さ)に加えて、文章内容の親近性や内容への興味 選 など読み手にとっての内的な要因に関連したもの が多く、・わからない・とした児童の割合が低く、択 50
学年差よりも個人差との関係があると考えられる。
率
第3のパターンは表記形態の縦書きか横書きか の1項目であり、図3に示したように、 わから (%)
ない が6年生になると増加し、 同じ が変化 0
しない。これは高学年になると横書きの文章に接 する機会も増えるが十分でなく わからない が増加した結果と思われる。
「精神的負担」において学年による有意な割合 100
の差を示した5項目は・いずれも2年生では 違う と反応した児童が多いが・6年生になる 選 と減少し・ わからない と反応した児童が増加 し、・同じ・という反応が変化しないというパター択 ンを示した。
率
質問紙法を用いた本調査では、いずれの条件に おいても、たとえ2年生でも読みの材料が異なれ(%)
ば・その条件に応じて読み手の反応の仕方が違う 0
という結果がほぼ得られた。これは・Myersら
(1978)の面接法を用いた研究の結果と一致して おり、彼らの調べた文章の長さ、文章に対する親 近性、および文章への興味の3つの材料変数以外 にもメタ認知が関与していることが明らかになっ れしかし・6年生になると「時間」の質問を除 遅
いて「理解度」と「精神的負担」の質問において 違う と反応した児童の割合が減少し、 わか折 らない の反応がふえていることは興味のある 傘ところである。
一般には・文章の表記形態などの条件が変われ (%)
ぱ、それに応じて「理解度」や「精神的負担」も 異なることが考えられるが、本研究の結果は、そ れに合わないものとなった。しかし、この結果は おそらく6年生になると、単に質問文にある表記
●→同 じ
(H)違 う
▲__→わからなし
3 6
図1 学年差のパターン1
学年
3 6学年
図2 学年差のパターン2
3 6学年
図3 学年差のパターン3
一92一
形態上の1つの側面の差異だけで、「理解度」や「精神的負担」について評価するのではなく、
表記形態上の1つの側面が異なっていても、読みに有利に作用する別の側面が存在していれば、
2つの文の条件を比較しても差がなくなる場合があるなどと考え、その結果、 違う が減少し、
わからない 、 同じ などの反応がふえたと考えられる。6年生のこのような反応の仕方は、
それまでの読みの経験に基づいて形成された読みのメタ認知の発達が表われたものと考えること ができる。
本研究は、読みのメタ認知的知識について、課題変数のみについて検討したものであり、回答 のさせ方をr時間」、「理解度」、「精神的負担」のそれぞれ3つについて(同じ、違う、わからな い)の3っから選択させる方法を用いた。そのため、反応理由などについて詳しく情報を得るこ とが出来なかったという問題点もあったので、今後、人、課題、方略の変数のすべてを含む読み のメタ認知的知識の質問項目を作成し、反応理由についての情報も得られるような回答のさせ方 を工夫することを考えている。
要 約
児童における読みのメタ認知的知識の発達を調べるために、文章の長さ、内容の親近性、表記 形態などで異なる2つの文章の条件を比較する内容で構成された条件文を作成し、①読み終える のに要する時間、②文章内容についての理解度、③読む際の精神的負担の3つの観点から 同
じ、違う、わからない の中から回答させ、読みについてのメタ認知的知識を測定した。
被験者は、ノ』、学3年生38名と6年生35名であった。調査は集団で行われ、調査者が1項目す っ質問文を読み上げながら回答させた。
その結果、ω読みの所要時間についての判断には、発達差はみられず、 違う という反応が 多かった。(2〕理解度については、3年生は項目条件によって 違う という反応が多かったが、
6年生は 同じ という反応が多かった。13〕精神的負担については、3年生はすべての課題変 数の条件において 違う という反応が多かったが・6年生に わからない という反応が多
かった。
以上の結果か・ら、3年生では、文章の表言己形態上の差異については、メタ認知的知識を持って いること。また、6年生では、メタ認知的知識の拡がりの影響が回答の仕方にも表われているこ とが明らかになった。これらの結果を踏まえて、メタ認知的知識の質問項目の作成、回答のさせ 方などにおける方法論的な問題を指摘しれ
引 用 文 献
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