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1 1, quandle.,., [Oht],., ( ).,..,.,Atiyah-Singer., :Poincare-Hopf,Gauss-Bonnet,Hirzebruch,Riemann- Roch-Hirzebruch,Rochlin,.,,Statement,,., ( )Statem

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(1)

指数定理の紹介

野坂 武史 

京都大学理学部数理解析研究所 修士2回

1

イントロダクション

私は結び目が専門で,最近はquandleと呼ばれる代数系に興味を持ち研究している.研究はまだ未完状態のた め今回はそれではなく,勉強した内容を報告集に載せる事にした. 修士1回生の際に大槻知忠先生の本を読んで いましたが,過去の報告集で大槻先生が[Oht]報告している内容と重なり,今回は別の内容にしたいと思う. そこ で,2年前に輪読していた「指数定理」(著・古田幹雄)の概要について書きたい. ただ著者は指数定理に関して 専門外の素人なため,驥尾を付しエピゴーネンとして指数定理の概要と本の紹介をするだけである.識者にとっ て何も新しい事も面白い事も書いていない. そういった事で,さかしらな文体と解釈に偏りと誤りがあるかと思 われるのでその点は御海容を俟つ次第である. 本稿での指数定理とは,Atiyah-Singer指数定理である.指数定理は「幾何学の金字塔」と評され,有名な定理が

即座に導ける百尺竿頭である:Poincare-Hopfの定理,Gauss-Bonnetの定理,Hirzebruchの符号数定理 ,Riemann-Roch-Hirzebruchの定理,Rochlinの定理,小平消滅定理などである. 物理への応用もあり,深く広い定理なの で,Statementを理解するのにも,証明や広さを理解するのにも,勉強量が伴う.一応,有名な形で(複素束での一 点上の)Statementで記せば,

定理 1.1. Xn次元閉C∞-多様体とし,Ei −→ X (0 ≤ i ≤ m)を複素ベクトル束とし,楕円型微分作用素

Di : Γ(Ei) −→ Γ(Ei+1)が以下のように与えられていたとする.

0 −→ Γ(E0)−→ Γ(ED0 1)−→ · · ·D1

Dm−1

−→ Γ(Em) −→ 0 such that Di+1◦ Di= 0

この時,Hp= Ker(Dp)/Im(Dp−1)がwell-definedで,dimHp< ∞であり, m X i=0 dimHp= (−1)n(n−1)2 Z X chP((−1)iE i)td(T X ⊗ C) e(T X) 注意 1.2.  m = 1のとき,D0= Dとおき,随伴作用素D∗をとると,左辺はdimKerD − dimCokerDないし dimKerD − dimkerD∗となる.要は微分方程式の解の次元を数え上げている. 因みに,物理ではdimKerDを右

捲き数といい,dimkerD∗を左捲き数という.

このstatementから察するように,切断の無限次元空間Γ(Ei)をどのノルムで完備化するかとか,右辺はK

群上の和であり,chern-指標やtodd類も定義せねばならず,statementを理解するだけでも矢張り大変である*1.

当報告集では,煩雑さを避ける為に定義を逐一書かず,詳細を等閑視し,当本の証明概要*2やアイディアなどを紹 介する程度で草稿にまとめることにする.「お話」として読んで頂けると有難い. 投稿では証明の流れと本紹介だ *1しかし, 主張は素朴なので主張にある用語と spinc構造について理解すれば応用は可能である. *2指数定理の証明でコンパクトにまとまっているものを述べると以下があると思われる. [Sha] 3章では Atiyah-Singer の原論文の方 針に沿い概説がある. 源論文ではコンパクトリー群の作用付きなので読みづらいが, ここでは作用なしとありで紹介されている. [吉 田] には熱核を使った証明である.[Roe] はコンパクトにまとまっている, 但し解析的な議論に行間埋めが要る.

(2)

けになるが,勿論,今の時代では証明方法よりも応用性の方が重要であろう.簡単に記述できる応用例を7節に付 記しておいた. 最後には,代数トポロジーとどう関連するかを少し述べたい. ちなみに,何故この本を著者がお薦めするかといえば,著者が物理をやっていた事もあり,証明やアイディア のはしばしに物理が導来され頗る面白いと思ったからである. 例えば,調和振動子,スケール変換不変性,カイラ ル・アノマリー(藤川の方法),Dirac作用素,0モード付近の対称性,Clifford代数の表現,ゲージ固定など物理の アイディアが豊沃に散見できる. 感じを云えば,局所的に行う代数的議論が,いつのまにか大域的な情報に還元さ れ大理論へと展開されていく.そのうえ,具体例のほとんどが理論の本質を貫いており,豊かな物語が出来れば, 最も単純で非自明な具体例を徹底的に計算しながら理論を作っていく爽快な感じである.

2

指数定理のちょっとした説明

:

局所性と大域性

[Fur1]の第1章や,[BB]のpart1の陳述を剽窃するようなものだが,指数定理のマニュアルを述べておきた い.Xを一点で見てみると, 命題2.1. 有限次元ベクトル空間間の線形写像f : V1−→ V2が与えられたとき

dim(Kerf ) − dim(Cokerf ) = dim V1− dim V2

これは2通りの解釈ができる.一つには,「空間の情報を知りたければ(ここでは次元の差),一つ線形写像を与 えれ左辺から整数性をもった情報を取り出せる」,二つには「どんな線形射fを与えても,左辺の差は空間的情 報である右辺に規定される」. 一点上では上記の内容は明らかだが,ベクトル空間の条件が「群の作用付き」「無限次元空間」「多様体上の ベクトル束」となると上の主張も非自明になっていく. しかし指数定理が応用される時はこの解釈が本質を 残している(??節参照).例えば,一つ目には,スピン多様体などの不変量の整数性がそうであるし,二つ目には (Seiberg-WittenやYnag-Millsの)モジュライ空間の次元の換算などだろう. 応用性からしても指数定理とは上 記の1点上の主張を大域化したものといえる訳である,まるで一点上の同変KKG(pt)が表現環であるよう に・・・. そう,sheafやsiteといった貼り合わせのアイディアで大域化して*3おり,数の出現は一点上(粒子?) の現象を観測していると思われる.

3

証明のアイディア

3.1

位相的指数の場合:

Grothendieck-Riemann-Roch

との比較

以上の議論から推測できるように,指数をどう大域化するか, それが根本的問題となりそうである. 然る に,定理1.1の statementから察するように証明の根本的なアイディアは,なんといっても Riemann-Roch-Grothendieckの定理*4だろう. Fulton著書のintersection theory[Ful]15章にある証明のアイディアをなぞ

り,以下に哲学のみを拾いあげよう.

 指数定理は,一つの対象(X)ではなくある族で持って捉えるべきである.ファミリー化(射で指数をつ

なぐ事)するには,(指数の移る前)左辺と(移った後)右辺を別々に入念にチェックすればよい. 両辺の一

致は,簡単な対象PNk に議論を押し込め,そこで指数の一致を示せばよい.

*3離散的で統計的と思われる物性物理において, 高分子に指数定理を使う場面があるらしい

*4ここでの GRR は nonsingular varieties 間の quasi-projective な射 X −→ Y に対して以下が成り立つものを指す事にする. ch(f∗α) · td(T Y ) = f∗(ch(α) · td(T X)) for any α ∈ K0(X)

(3)

 このアイディアを具現化するために,ファミリー化する際に,射は閉埋め込みとファイブレーション(平 坦族)に限定しておく(標数0では条件を弱めれる). 一つに,ファイブレーション(平坦族)に関しては, サイクルとK群が自然な関係を持つ事に注目する.つまり,Chern指標をK群K0(X)からサイクルのチャ ウ環への(関手的な)環準同型として見れば良いだけである.Todd類は本質に現れない.  2つに,閉埋め込みに関しては,ブローアップにより閉埋込みX ,→ P(N ⊕ 1)に帰着させる.ここで1 は自明ライン束で,N は閉埋め込みに対する法束, Pは射影空間である. また分裂原理よりvector束は line bundleの議論に帰着できる.これにて特性類の計算を容易にし,法束の寄与として射影公式に応じて todd類の出現を確認できる. 一方で,以下のAtiyah-Singarらの証明が上記のアイディアを対比的に辿っていることがわかろう(位相的指 数のみ記述する).  AS-指数定理は,一つの対象(X)ではなくある族で持って捉えるべきである.左辺を解析的指数,右辺 を位相的指数と名づけ,両辺を定義しファミリー化する.右辺はK群で捉える. 指数は自然に写りあう事 を示せば,簡単な対象R2N に議論を押し込め,そこで指数定理を示せばよい(R2N はコンパクトではない ので改良がいる) . R2N 上では微分方程式は解けるはずだし,特性類に関してはChern-Weil理論から関 係を見出せるはずである.ちなみに偶数2N 次元になるのは指数を捉える器がBott周期性定理が背景に あるからである.  さて,ファミリー化する際に,実多様体の射は開埋め込みと閉埋め込みとファイバー束に限定してお

く. 閉埋め込みに関しては,管状近傍のThom同型定理と(Mathai-Quillenによる)Thom形式*5の構

成によって開埋込みに議論を押し付けれる. 開埋め込みに関しては,K 群やhomologyの切除定理によ り埋め込んだ対象に大域化する.一方でファイバー束に関しては,法束のファイバーに沿った積分であ り,Poincare双対の大局化である. 法束から現れるTodd類は分裂原理を使った計算で導出する.   大切な部分は述べたつもりだが、位相的指数のファミリー化を粗く説明したので,感じだけを掴んでもらえば 差し支えないと思う. 以上の説明中には困難が多くあり,色々と端折っているのだから*6.

3.2

解析的指数の場合:超対称な代数の使用

しかし一方の解析的指数に関するファミリー化の説明が不十分である.こちらはGRRにはない論点なので, 本稿は6節までこちらを中心に書いていくことにする. 今不十分になった点は,指数定理における解析的部分の 証明方法をコンパクト性を伴いながらどう方針付けるかという問題に関わる. 今よく知られる方法は4つ:コボ

ルディズム不変性を解析的に示し,complex cobordim cohomology theoryを介してP CNS2N に帰着する方

法*7,SN またはRN に埋め込んで指数の移り合いを見る方法,スペクトル流でRN のメーラー公式に帰着する熱

核の議論,確率論のブラウン運動に帰着するもの. 4つとも各自それはそれで興味深く,意味深である*8.が当書

*5後述の調和振動子と呼ばれるものは,Mathai-Quillen による Thom 形式 (Thom 類の代表元) の2乗根に対応する. すると

boson-fermion 対応が見え隠れする. ここで Thom 類 u とは, 向付け可なベクトル束 E −→ X に対して Thom 同型 · ∧ u : H∗(X) ∼=

Hc∗+n(E) を与えるものである. *6本音を言えば難しいから端折ったとも云える. それに相当する当書の5章と7章は難所でもある. しかしそれを越えれば, 不思議な事 に全体が自然に思えるのである *7Atiyah-Singer の最初の論文では, 証明の概略がそうアナウンスされている. 小生の管見ではその後を知らない.[BB] の III 章3節 B. を参照. *8前者の3つに対して, 証明方針や性質や応用性についての簡剄な表が [BB]p.270 にある. 3つの特徴を順に挙げれば,Stokes の定理 の類似, ポアンカレ双対の類似, 指数の積分への直接的な関係付け, とのことである. また確率論的な証明は [Bis] にあり, 基本解の構 成には伊藤の公式が出発点らしい.

(4)

では2番目の方針に基づき,E.Witten[Wit]*9のアイディアに基づく以下の哲学に基づき,RN 上の調和振動子に 寄り添いながら雄飛に示している.そのココロを表白すれば, 「一般に微分方程式は厳格に解けない.しかし,右辺が捉える位相的指数に見合って,解析的指数とは柔ら かい代物である*10. その柔らかさでもって局所性と大域性をつなげる鍵はトンネル効果である.0モード 付近の低エネルギー状態が,指数の情報全てであり,それはWKB方程式のBorn-Oppenheimer近似を使 えば「柔らかさ」と供に統制が出来る. とくに,0モード付近の波動関数*11がほぼない所では多様体の領 域もないと思える.実際に、切除定理により多様体の取り外しを可能にする。よって論点を局所的に出来 て,さらに方程式をR2N の超対称的な調和振動子に帰着でき,そこでボゾニックな議論で解いてやればい い.なお,法束方向への指数の拡張も調和振動子を使えばいい.」 物理のほうでは,実際に調和振動子を使った径路積分によって指数定理を証明できるらしい.それは物理で扱 う「スペクトル流」に馴染んでいるという. 次節では,この節に述べた内容をもう少し詳しく見てみよう.

4

トンネル効果の活用の仕方

多様体としてR2N とか,ベクトル束の全空間を扱いたい.気転の利く多様体のカテゴリーを設定しよう. 定義4.1. 以下での多様体Xとは以下のものにする X = K ∪∂K{∂K × [0, ∞)} ここでKはコンパクト多様体とする(境界∂K = ∅でも構わない). ∂K × [0, ∞) をシリンダーと名づける. 例を言えば,X = RN のとき,Kballとして,∂K = SN −1とおけばよい. また,Xを境界付きコンパクト多 様体の内部と取れば上の例の全てである,なぜならカラー近傍定理から境界付近は襟を取れるからである. シリンダーというものをここで定義した.冗長になるが定義した理由を説明しよう. まずX 上のベクトル束2つE, F を持ってきて,楕円型微分作用素D : Γ(E) −→ Γ(F )が与えられたとす る*12.すると, D + D∗= µ 0 D D∗ 0: Γ(E ⊕ F ) −→ Γ(E ⊕ F ) を定義できる.しかし,この時点ではXがノンコンパクトの時に微分方程式の解が有限dim(Ker(D)) < ∞とは 限らない.例えば,物理でいう自由粒子の平面波解が無限個に生じかねないため,連続スペクトルを持ちかねない からだ. そこで,スカラー場の相互作用項に相当する項を付して,解をコンパクト(作用素)のように制限する. 定義 4.2. h ∈ Γ(End(E ⊕ F ))をとる(つまり微分項を持たない作用素).(D, h)がペアであるとは,以下の条件 を満たす事である.

*9モース・フレア理論の原型 (おもちゃ) と知られる有名なこの論文では, 3章にてキリングベクトル場を利用して,de Rham complex

における指数定理が議論されている. どうやら, Q1= d + d∗ Q2= d − d∗ H = dd∗+ d∗d とおけば,H = Q21= Q22であり Q1Q2+ Q2Q1= 0 と [H, Q1] = [H, Q2] = 0 から fermion-boson 対象性が見えるという. 小 平-Hodge 分解の2乗根によって超対称性が見えるらしい. 実際に, カイラル対称性が ±1 という其其の場合からポアンカレホップの 定理と Hirezebruch 符号数定理を導いている. また局所的な情報に押し込める議論において, 部分多様体の法線方向に沿ってスペク トルを流している. このアイディアは当書の基幹をなし,Dirac operator に拡張されている. *10指数定理でもって「幾何」を表象する為には, 扱う代数・空間に見合った「柔らかさ・硬さ」を伴い指数を定義する必要があろう. *11物理の用語:微分方程式 Dψ = λψ の解 ψ を波動関数という. 固有値 λ ∈ R≥0が0付近の時, 0モード付近という人がいる. *12例えば,E ⊕ F に複素構造や spinc構想や spin 構造が入れば Dirac 作用素を構成できる.

(5)

(1)hがHermite準同型であり以下の形を取る. h = µ 0 h0 h1 0 ¶ : E ⊕ F −→ E ⊕ F

さらに,Dh + hD : Γ(E ⊕ F ) −→ Γ(E ⊕ F )Γ(E) ⊕ Γ(F )の自己写像に制限される.

(2)Supp(h) = {x ∈ X|hx∈ End(Γ(Ex⊕ Fx))の固有値が0を一切もたない}という閉集合がコンパクト.

ペア(D, h)が与えられた時に,指数をindD,h= dim(Ker(D + th0)) − dim(Ker(D∗+ th1)) (t ∈ R>0)と定

義する. 解析的議論をへれば、右辺の2つのKerは有限次元がわかり,さらに十分大きなtであればtの取り方 に拠らない.これは本質的には,楕円型作用素の解が主表象を固定すれば連続的に不変なことによる. このペアという概念は初めは解り難いものだが,本質を掴み慣れてくれば自然なものである. まず手馴れる為 に,R上のペアと指数定理の例*13を見てみよう. X = R = {x ∈ R}として,ベクトル束をE ⊕ F := R × (C ⊕ C) = {(x, s1, s2) ∈ R × (C ⊕ C)}とおこう. DR= µ 0 ∂x −∂x 0 ¶ : Γ(E ⊕ F ) −→ Γ(E ⊕ F ) hR= µ 0 x x 0: E ⊕ F −→ E ⊕ F とおこう.見るからにsupp(h) = {原点}であり,従ってペアの定義を満たす.次にt ∈ R>0に対して,DR+ th(DR+ th)2に興味があるので,それらを具体的に書くと, DR+ thR= µ 0 ∂x+ tx −∂x+ tx 0 ¶ (DR+ th)2= µ −∂2 x− t + tx2 0 0 −∂2 x+ t + tx2 ¶ 解析的な議論からdim(Ker(DR+ th)) = dim(Ker(DR+ th)2))は容易にわかる. そこで右辺の解を計算す ればよい. しかし,この方程式は調和振動子といわれるもので,その解はSl(2)の表現論の議論で解ける. とくに, 固有値(2k − 1)tをもつ解は e−1 2tx2(etx2(−∂x)k−1)e−tx2 となる(Tchebysheff − Hemite多項式とも呼ばれる時もあるらしい).微分方程式の解がわかったので,特に固有 値0の解をみれば,解析的指数はind(R,DR,hR)= 1となる. さて,L2(R)の直交基底であったTchebysheff − Hemite多項式の形状を思い出そう. この関数は原点付近で 上に凸となる.tが大きくなればなるほど,波動関数は原点周りによってきて,一方で端の方は指数関数的な減少 になる*14. ポテンシャルを急激に高めると波動関数の端の方が指数関数的な減少になることを物理ではトンネ ル効果といった. 数学的にはbound geometryのような解析的な議論を踏まえれば,もしポテンシャルの低い所 がコンパクトであれば,解の振る舞いをコンパクト多様体のように出来るわけである. ペアの定義の(2)はそう いった要請を満たす概念であり,シリンダーとは,微分方程式の解が指数的関数な現象になる場所なのであり,ペ アのhが波動方程式の本質的な場所を指定するのである. 初めの方に,「指数とは柔らかいもの」であるとアジった.実際,2つのポテンシャルh, h0がペアの条件を満た しながら連続的に移りあうとする(Xがコンパクトであればh ≡ 0に出来る).すると,ind(D,h)= ind(D,h0)が成 立するのである(同様にしてXのリーマン計量の取り方に拠らない事が解る) . これを解釈するならば,hを変形 していけば,指数を定義する波動関数の本質的な界隈を指定できるのある.これを局所化という*15. しかしながら連続変形しても不変だけでなく,多様体の取り外しも上手くいく柔らかく扱いやすいものである. *13一般に R 上の楕円型作用素をおもちゃの例とした, 指数定理の名解説が [Fur4] にある. *14当書の変分法の解析的議論では, 微分方程式を差分方程式に置き換えることで評価していく面白い手法である. *15これは熱核を使った議論が源来である. ちなみに今では熱核を使えば, 7頁で局所指数定理は証明できるようである.

(6)

定理 4.3. (切除定理*16)1つの多様体X に対して,ペア(D, h)が与えられたとする.Xの相対コンパクトな開 部分集合Y をとり,X\Y ⊂ X\supp(h)としよう.このとき,Y 上にペアを制限して(D|Y, h|Y )を構成でき,さ らにind(D,h)= ind(D|Y,h|Y )*17

以上は綿密な解析的議論が必要な所であるが,事実だけ甘受して次に筆を進めよう.

5

指数の外積テンソル

柔らかい作業ができるだけでなく,fibrationの作業も出来る.2つの多様体とベクトル束(W, X)(W0, X0)に 対して,ペア(D, H)(D0.h0)がそれぞれあったとする. 外積テンソルW £ W0に対して,ペアを次のように構成 する. D ⊗ D0= D ⊗ idW0+ ²W ⊗ D0 h ⊗ h0= h ⊗ id W0+ ²W ⊗ h0 すると,(D ⊗ D0+ th ⊗ h0)2= (D + th)2⊗ id W0+ idW ⊗ (D0+ th0)2.だから,s ∈ Ker((D ⊗ D0+ th ⊗ h0)2) をとると, 0 = Z X×X0 h(D ⊗ D0+ th ⊗ h0)2s, si = Z X×X0 h((D + th)2⊗ idW0+ idW ⊗ (D0+ th0)2)s, si = Z X h((D + th)2s, si + Z X0 h(D0+ th0)2)s, si = Z X |(D + th)s|2+ Z X0 |(D0+ th0)s|2 ここで指数関数的減衰性から端の方向での積分値は0より,部分積分が使った(多少ごまかしでうそぶいている.)

したがって,Ker((D ⊗ D0+ th ⊗ h0)2) ∼= Ker(D + th)2⊗ Ker(D0+ th0)2.特にind

(D⊗D0,h⊗h0 = indD,hindD0,h0 となる. この節を遂げる連れ2つ注意する.第1に,以上の作業により,RN Rの調和振動子をN 個外積テンソルす ることが出来て,ペアを定義が出来る.その指数は1N = 1である. 第2に,底空間にペアがあったとき,Vector bundleの全空間に対して,ペアを拡張できる.それは,局所自明な 垂直方向にその調和振動子でもってペアを拡張できるので,調和振動子のSO(N )-不変性からそれを全体に張り 合わせるだけである.ファイバー方向の指数は1なので,この構成による全空間の指数は底空間の指数と一致す ることになる.

6

指数定理証明の概説

2節で述べた証明方針を数式込みで概略する.初期条件は,多様体上のベクトル束E −→ Xと1回の楕円型作 用素*18が存在し,ペア(DX, hX)が与えられたものとする. まず閉埋め込みX ,→ R2N を適当に取る.するとX の環状近傍U (X)X closed⊂ U (X) open⊂ R2N と自 然に取れる. 環状近傍U (X)X の法束N (X)と思える.すると前節の議論からU (X) = N (X)にペア (DN (X), hN (X))が拡張できる*19. 次に,「パラコンパクト多様体Y 上の有限次元ベクトル束Eは射影的である.つまり,あるベクトル束Fがあ りE ⊕ F ∼= C2M × Y」を思い出そう. ここでY = U (X)を代入する.ここでF に関するペアを自明的に取り *16このステートメントは少し粗い. 詳細は当書の定理 3.29 を参照 *17取り外した2つの対象間に, 波動関数の自然な一対一対応を構成する. しかしその固有値が0ではなくなるので, 0付近の指数を定義 し, 丹精に議論をする必要がある. こういった視点が「低エネルギー有効理論」に指数定理が受け入れるらしい. *18楕円型作用素を存在するのは非自明である. それはラグランジアンを一つ構成してやる事とほぼ同値で難しい. しかし, 例えば spin や spinc構造があれば楕円型作用素は構成できる. 当書では spinc構造が入る場合のみに限っている. *19大いにごまかした記述だが, 当書の6章に当たる部分で詳細の穴埋めは長い. なお, この議論は1回の微分作用素だからうまくいく.

(7)

指数に関係ないようにする.つまりhF = Ã 0 idF idF 0 ! とおいておく.全体でポテンシャルが高い状態と思う と,固有値0の波動関数を持ち得ないからind(DF,hF)=0に注意する. すると,U (X)上の自明なベクトル束E ⊕ F 上のペア(DE⊕F, hE⊕F)が構成できた.R2N 上のベクトル束は必 ず自明なので,ポテンシャルhを高いままにしU (X)の外に伸ばしていく.これによってR2N 上のベクトル束 R2N× C2M ,ペア(D R2N, hR2N)へ自然に拡張できた. それも解析的指数に関しては,

indDX,hX = ind(DU (X),hU (X))+ 0 = ind(DU (X),hU (X))+ ind(DF,hF)= ind(DE⊕F,hE⊕F)= ind(DR2N,hR2N)

となる.ここで最後の等式には切除定理4.3を用いた. 次にすべきは,R2N 上で解析的指数と位相的指数をつなぐだけだが,その架け橋はBott周期性定理*20である.

6.1 Bott

周期性との関連

2節で「解析的指数をわかりやすい所で解いてやる」と云った.この意味を込めてこの小節を述べる. 今考え ている自明ベクトル束R2N × C2M のペア(DR2N, hR2N)を考える.U (X)の外では,ペアの定義からhR2N の固 有値は正であった. それを利用すると,連続変形するとh2R2N = idC2M on R2N\U (X)と変形できる. とりわけ,U (X)を含むような大きな半径rのballを取り,その境界S2N −1 を考える.すると,hは自明束 R2N × End(C2M)のセクションだから,ユニタリー群への写像h : S2N −1−→ U (2M )とも思える. つまり, アによって,π2N −1(U (2M ))の元が取れた.逆に,f ∈ π2N −1(U (2M ))の元から拡張すれば,R2N 上のペアhf も 構成できる.我々としてはR2N 上の指数の器が 2N −1(U (2M ))になってもらいたい. その器は良く知られて いる. 定理6.1. (Bott周期性定理) M が十分Nより大きいとき,π2N −1(U (M )) ∼= Zであり,π2N(U (M )) ∼= 0 さて,するとf ∈ π2N −1(U (2M ))から指数indD R2N ,hf をとると,準同型Φ : π2N −1(U (M )) −→ Zを定義で きる.指数はhの連続変形によらなかったからwell-definedである*21. すると,一方で調和振動子というペアは 指数1だった事を想起しよう.つまり,この準同型は全射を意味し,Bott周期性定理よりπ2N −1(U (M )) ∼= Zか らΦは同型である.実は,調和振動子はZ値指数の親玉だったのである.

6.2

ペア込みの位相的指数の考察

ところで突然,ここで位相的指数の話に転ずる.ペアのhが定まると,相対Chern指標と言うのが定義できる. つまり, ch(E, h) = str(exp(FA+(−1) 3/4t dAh − t2 2πh 2)) ∈ H c(X, R) とする.ここでAはベクトル束Eの接続であり,その曲率をFAとおき,strはsuper traceである.この定義はt が十分大きければ,接続やhの連続変形に拠らない. またh2= idの部分では,ch(E, h)が消えることが計算で わかるので,定義が上手いことコンパクト台に入るわけである. 相対Chern指標は,普通のChern指標と同様 に,Whitney和に対して和を保ち,テンソル積に対して積を保つ事が示される. さて,指数の親玉になるべき調和振動子において,この相対Chern指標を計算すると以下がわかる.

*20指数定理を Bott 周期性を使わず示す方法が本来で, 指数定理から Bott 周期性が示せる. このスタンスは非可換幾何の Bott 周期性

を示すときに引き継いでいる

(8)

命題6.2. R2N 上の調和振動子のファイバー方向をとして,h ∆をその調和振動子のペアととるとき Z R2N ch(∆, h) = (−1)N 先ほど調和振動子を使ってX からR2N にペアを拡張した.しかし,この命題は正負の差を除いて,本質的 には位相的指数のChern指標が変わらないことを意味する. また Bott周期性に関する関係も位相的指数 に現れる.f ∈ π2N −1(U (M )) からhf ∈ R2N 上のペアは構成できたのだった. だから,準同型ch(∆, h·) : π2N −1(U (M )) −→ Hc2N(R2N) ∼= Rを構成できる.上の命題を認めると,この像の準同型はZとなる. つまり, 位相的指数と解析的指数の事実をまとめると, 定理6.3. (R2N 上の指数定理)R2N 上のベクトル束W とペアhをとると, ind(W, h) = (−1)N Z R2N ch(W, h)

6.3

証明の終結

以上の議論からind(DX,hX)= ind(DR2N,hR2N)とind(W, h) = (−1)

NR R2Nch(W, h)まではわかっている.残 るは位相的指数をもとのX に戻せばいいだけである. 以下は細かい計算を抜きにしてだいたいの感じを述べる. 正負の詳細は割愛する. (−1)N Z R2N ch(W, hR2N) = ± Z U (X)

ch(E ⊕ F, hE⊕F) (R2N\U (X)上でh2= idhだからch(E, h) = 0)

= ± Z U (X) ch(E, hU (X)) ± Z U (X) ch(F, hF) (Chern指標が和を保つから) = ± Z U (X) ch(E, hU (X)) (定義からh2F = idFU (X)上全体に成立したから) = ± Z X Z U (X)→X ch(E, hU (X)) (全空間の積分をfiberに沿う積分と底空間の積分に分解) = (−1)n(n−1)2 Z X ch((EX, hX), Cl(T X))td(T X ⊗ C) (fiber方向の特性類を入念に計算する) 以上により指数定理を示せれた*22.まとめると, 定理 6.4. n次元多様体Xとベクトル束EX = EX0 ⊕ EX1 に対して,ペア(DX, hX)とが与えられたとき,以下 が成立する. ind(DX,hX)= (−1) n(n+1) 2 Z X ch((EX, hX), Cl(T X))td(T X ⊗ C) 注意6.5. ここでtodd類の定義も導出を端折った.todd類の出る本質的な理由を云えば,途中のファイバー積分 において,cohomologyのそれとK群のそれが可換でないため,こぶとしてtodd類が出る感じである(下の非可 換図式を参照). だが私の管見では,なぜtodd類になるかは計算したからとしか言えない.といっても計算を厳 密化するだけでも長くなってしまう. しかし,気になる読者もおられるかもしれない.そこで折衷案として,定義 を縷述せず,8節で多少の論議を添える程度にした.

*22最後の等式の Chern 指標は spinc構造こみで捻らなければならないので ch((E

X, hX)/Cl(T X)) と書いた.[Fur2] の8章にて定義

がある.spin 構造や spinc構造による楕円型作用素の変化に応じ,Chern 指標も変わり位相的指数の表示する特性類も変化する訳で ある.

(9)

E ²² Kc(E) ch // RK E→X ²² Heven c (E; R) R E→X ²² X K(X) ch // Heven(X; R)

6.4

指数定理の公理化と

,

族の指数

2つの指数を以上で示したが,それは指数の開埋め込み,閉埋め込みとファイブレーションによる移り合いが 本質だった.その性質を公理化し指数定理のファミリー化をのべる.これは証明の復習を込めている. 位相的指 数にせよ,解析的指数にせよ,それはベクトル束とペアのhのみによって決まった.だから,それを司る対象を考 えるのは自然である. そこで,ベクトル束とhのペアとした「連続族」全体を考えて、Witt群と連続変形によ る同値関係で割った群Kc(X, Cl(T X)) *23を古田氏は定義している. その定義によると,K群とは空間の途中で 次元がジャンプ(jumping phenomenon)しても構わない対象を扱っているよう思える.Kc(X, Cl(T X))はクリ フォード代数の表現つきの層による貼り合わせで定義をしているので,しっかり書くとテクニカルで難儀である ので割愛する. しかし重要な事は,Kc(X, Cl(T ))の定義はhomology theoryを満たしているので,それは指数の 積や和や共変性に適合している(c.f.[Tam]).すると指数定理の公理化は以下のようになる. 定理6.6. (Atiyah-Singer)全ての多様体に対して一斉に定義される準同型 indX : Kc(X, Cl(T X)) −→ Z で次の性質を満たすようにするものが一意的に存在する. (1)開埋め込みiY U: U −→ Y に対してindU = indY ◦ iY U !. (2)閉埋め込みiY X : X −→ Y に対してindX = indY ◦ iY X!.

(3)偶数次元Euclid空間Eに対してindE : Kc(E) −→ Zは指数と一致する.

存在性はKc(X, Cl(T X))からwell-definedに解析的指数が定義できることをチェックすれば大体よい.一意 性は多様体がEuclid空間に閉で埋め込まれるので(3)から一意的になる. 前節を見れば,解析的指数と位相的指 数が一致する証明は上の公理をチェックしたからと言える*24. さて,上の公理化を踏まえれば,Kc(X, Cl(T X))において族の指数を考察をするのが自然であろう.そこで族 の指数の定義を雰囲気で説明する. まずX˜ −→ Zπ をファイバーFとするファイブレーションとする. すると接束T ˜X でファイバーに沿った部 分ベクトル束をTfiberX˜ とおく.すると 0 −→ TfiberX −→ T ˜˜ X −→ π∗T Z −→ 0 (exact) この分解を一つ固定する:T ˜X ∼= TfiberX ⊕ π˜ ∗T Z (実は一つの分解が接続connectionである). ˜ X上のペア( ˜D, ˜h)を取る.ただしD˜ の主表象や˜hの寄与はTfiberX のみのものを選ぶ(上の分解から容易に 取れる). すると,各点z ∈ ZのファイバーFzにペアを制限したものをDz, hzとおく.するとKer(Dz+ thz) はz上の有限次元ベクトル空間を定める. 実はこの定め方による{Ker(Dz+ thz)}z∈Zは連続的に繋がることが 知られ,さらにD˜ のとり方に拠らない.すると張り合わせてKer( ˜D + t˜h) ∈ K(Z)となる. *23コンパクト Hausdorff 空間 X と spinc構造付き偶数階数ベクトル束 T on X に限れば,K(X) ∼= Kc(X, Cl(T )) が成立する. ここ で空間 X の有限階数ベクトル束の Grothendieck 群を K(X) とおいた.[Fur2] の命題 9.38 と定理 9.60 による. *24この証明だと圏論的な一致にすぎず, 微分方程式と特性類の関係がよくわからない. この関係を興味のある方は, 例えば, 熱核を議論 を使った [Get][吉田 1] を参考にされたし. 微分方程式の解を熱核のメーラー公式に帰着させ, その解から曲率で表示される微分形式 を形作っていく.

(10)

定義6.7. Ind( ˜D, ˜h) := Ker( ˜D + t˜h) ∈ K(Z)を族( ˜D, ˜h) の指数という. この指数はFzの指数定理がZによってパラメータ付け(ファミリー化)されたとも見れる.応用例は[Fur2] の13.2節が良いと思われる. 族の指数定理がしっかり書いてあるものといえば,[BGV]の9,10章であろう.その系10.24では多様体が全 てコンパクトのとき,族の指数をChern指標で送った定式化が以下のようにされている(h=0としている).記号 の説明は省略する. 系 6.8. ch(indD) = (2π√−1)dimF Z ˜ X→Z

ch(E/S)td(TfiberX ⊗ C) ∈ H˜ even(Z)

Riemann-Roch-Grothendieckの定理と比較すれば,左辺のtodd類が消えるのはfiberに沿った部分しか見て いないから(relative tangent bundle)でありによるpushforwardをfiberに沿った積分とみなしている.

因みにf : X −→ Y がproperのとき,フーリエ·向井変換のようにXf ×id−→ X × Y −→ Yp に分解してやれば 自然に指数やK群はファミリー版で捉えれる.代数幾何で謂うproper射はperfectである.c.f.[SGA 6]III.

7

応用例

友人に応用例を追加するよう頼まれ,蛇足ながら簡単なものだけを2つ紹介する. ほかの指数定理の応用に興 味をもたれる方には,[Sha][Fur2][Na2]が入門的で最良だろう.[Fur3]は118-予想のアプローチで,当書との関連が わかる. 一つ目の例は,指数の整数性を利用した議論である. 定理7.1. (c.f.p.414 in [Fur2])S2nには複素構造が入らない.ただし4 ≤ nとする. 証明 帰謬法で示す.S2n に複素構造が入るとする.するとDolbeault作用が定義できるので,定理 1.1 Ei= ∧0,i(S2n), Di= ¯∂T S2nとおけばRiemann-Roch-Hirzebruchの定理が示される: n X i=0 (−1)idimH0,i(S2n, ¯∂T S2n) = Z S2n ch(T S2n)td(T S2n) (∗) 特に右辺は整数である.右辺を計算しよう.S2n ⊂ R2n+1 より,T S2n は実line 束と和をとると自明になるの で,T S2nのポントリャーギン類は全て消える.特にtd(T S2n) = 1がわかる. 一方で, ¯H∗(S2n) ∼= H2n(S2n)を踏 まえると,[Ful]の例15.1.2(c)の議論から,chn(T S2n) = (−1)n+1(n−1)!1 cn(T S2n) = (−1)n+1(n−1)!1 e(T S2n)こ こでe(T S2n)はオイラー類である.よく知られる事にRS2ne(T S2n) = χ(S2n) = 1 + 1 = 2である.よって上記 (*)の右辺は (n−1)!2 .よってn ≤ 3である. 証明終 注意7.2. T Sm= {(z 1, z2, . . . , zn+1) ∈ Cm+1|z12+ z22+ · · · + z2n+1= 1}(c.f.京大数学教室の07年問題)であ る.またS2= CP1は複素構造を持つ.S4は特性類の計算により複素構造が入らない.S6に対しては複素構造を 持つか否かは未解決問題である. 2つ目の例は,多様体にもつ2つの楕円型作用素を比較するものである.局所的な表現の議論が大域的に影響 する現象は興味深い.

定理 7.3. (Rochlinの定理)(c.f.Thm 13.7 in [Fur2])4次元閉多様体M でspin構造を持つ(⇔ w2(T M ) = 0) とする.このとき,符号数σ(M )は16で割り切れる.

(11)

証明 まず符号数σ(M )の定義を思い出そう.自然な射を ∧∗(M ) ⊗ C × ∧∗(M ) ⊗ C −→ C (α, β) 7−→ Z M α ∧ β とると,Stokesの定理からH∗(M ; C) × H∗(M ; C) −→ Cが誘導される.ポアンカレ双対定理より,これは非退 化な交代形式をなす.この符号数をσ(M )とかく. さて,∧∗(M ) ⊗ Cの正()定値の部分空間を± と書く事 にする.それから誘導されるH∗(M ; C)の正()定値の空間をW± とおくとH(M ; C) ∼= W+⊕ W. する

,d+d∗: ∧+−→ ∧が成立し,よってHirzebruchの符号数定理σ(M ) = dimW+−dimW= ind(d+d) =

1 3 R

Mp1(M )が示せる.

一方で,スピン構造をもつとDirac operator Dが定義できるので,spin構造をもつ指数定理は次で知られる.

indD = Z M ˆ A(T M ) (= Z M 1 − 1 24p1(T M ) + 1 5760(−4p2(T M ) + 7p1(T M ) 2) + · · · ).

特にdimM = 4で右辺は 241 RMp1(M )である.2つを比較すると,σ(M ) = 8indDである.よってindDが偶数

を示せばよい.

それにはDirac operatorの構成法を思い出す.相対論的量子力学のDirac方程式の導出と酷似する. クリ

フォード代数Cl(RN)の表現を与え,その表現を主表象とするように局所的に定義された微分作用素を大域化

したものがDirac operatorであった. 4次元の場合はCl(R4)の既約表現C4に4元数構造が入り,クリフォー ド代数Cl(R4)の作用とSp(1)-作用は可換である(c.f.[Fur1]p.46) よってディラック作用素Dも4元数構造を

持った空間上で定義される.従ってKerDも4元数構造を持つ.よって複素次元として偶数である.証明終

注意 7.4. ちなみに物理的議論では,偶数性とは半整数の整数性や対称性を示唆する.例えばChern-Simons作

用を大雑把に見よう. Spin bordism群のΩspinn (pt) = 0 (n ≤ 3)と相まって,任意の閉3次元多様体は必ず

spin構造を持ち,さらに或る4次元spin多様体の境界になる. SO(n) Chern-Simons作用(このcoboundaryが

SO(n) Yang-Mills作用)において,上記と同様の議論を経て,c1(P )の偶数性が出て境界の3次元多様体に移る (SO(2)=U(1)は上記). この事から,共形場理論の枠組みに整数スピンの伴った分配関数と超代数という物理的 要請が入るようである.数学的側面ではη不変量、e不変量 、µ不変量が折衝点であろうか. 他にも色々な応用があるらしいが著者はよく知らない.60年代の数学論文を探れば応用の存在は確認出来る だろう.キーワードを挙げればAtiyah,Bott,Hirzebruch,Singer,Patodiであろうか.ここではとりとめもなく以 下に標語を列挙すれするだけに留める. • G-同変指数定理を使った応用例として[Sha]の5章を参照. ケーラー多様体の小平・消滅定理の簡潔な証明は,[吉田1]の8.4.3を参照.

コンパクトLie群上のWeyl指標公式を、Borel-Weilの定理を経たDolbeault作用素の同変指数の公式

としての理解.[GBV]の8章を参照.

• knot concordance groupを分析するCasson-Gordan不変量(Witt群W (C(t)) ⊗ZQに値を持つ)にお ける交代形式やsignatureの分析.

指数定理の限界として[Fur2]の14.3節でアーベル性が唱えられている.

(12)

8

複素コボルディズム理論を少し

8.1

コボルディズムの復習

著者の非力もあり知られた事しかかけないが,cohomology theoryから少し指数定理を垣間見よう.情けない 事に[KT]にある内容の焼き回しである. よく知られることに,特異コホモロジーや複素K理論は,CW 複体から或るアーベル圏への表現可能関手 CW −→ Abelである: Hn(X, A) ∼= [X, K(A; n)] oKC(X) ∼= [X, Z × BU ]o

ここでK(A; n)はEilenberg-Maclane空間で,BU は無限複素グラスマン多様体とする. 右辺は[X, Y ]oX

からY への基点つき連続写像をホモトープで割ったものである. Y がH空間と呼ばれる空間のとき[X, Y ]o

自然にアーベル群構造を持つ.

一般に,Brown表現可能定理の云わんとすることは,Wedge和で直和になりMayer-Vietoris公理をみたすホモ

トピー関手*25H : CW −→ Abelは表現可能関手になるのだった. 逆にそういったホモトピー関手はcohomology

thoeryをなす. 表現された普遍要素の位相,とくにホモトピー群を考えることがこのコホモロジー理論を調べる ことが定石である.例えば,K群のとき,Bott周期性からπ∗(Z × BU ) ∼= Z[u, u−1] (degu = 2)である.

次に,そういった表現可能関手でユニバーサルなものを考えるのは自然である.リー群Gを固定する.主G

で同伴するn次元ベクトル束の分類空間をBG(n)とおく. 普遍束ζnとおく.

すると,コンパクトC∞-多様体の組(Vn−k closed⊂ Mk)とおく.肩の数字は次元をあらわす.V の管状近傍を 法束ν(V )と同一視する. その法束にG構造が入るとすると,普遍性から∃f : V −→ BG(n)があり,f∗(ζn) ∼=

ν(V )となる. ζnに同伴なDn束とSn−1束をE(ζn), E0(ζn)とおいたとき,M G(n) := E(ζn)/E0(ζn)をThom

複体という. 同様にE(ν(V )), E0(ν(V ))とおいたとき,M ν(V ) := E(ν(V ))/E0(ν(V ))をとると,

h : M ν(V ) −→ M G(n)h(x) = f (x), x ∈ interior((E(ν(V ))),h(x) = E0(ζn), x ∈ E0(ν(V ))とする.これはζ ⊕ 1の分類写像とも 見れる. 定義 8.1. cohomology theoryであるΩGX := [X, M G(n)]oGコボルディズムという.G = U (n)のとき複 素コボルディズムという. 自然にM G(n) ,→ M G(n + 1)なのでM G = limn→∞M G(n)を考える.Thomスペクトラムと云う. さて多様体の法束の構造群の包含写像 e ⊂ Sp(n) ⊂ SU (2n) ⊂ U (2n) ⊂ SO(4n) ⊂ O(4n) は,Thomスペクトラムの間の写像 S −→ M Sp −→ M SU −→ M U −→ M SO −→ M O を誘導する.M OH2Z/Zの無限wedge和と知られる簡単な対象である.一方で左端のSは,法束が自明なベ クトル束と安定度うちである多様体のコボルディズム群Ωf r∗ となり,それは安定ホモトピー群と同型で非常に難 しい. ということで,中道的な対象M U に焦点をあて,その探求は研究し甲斐があると思われる. *25f, g : X −→ Y がホモトープであるとき H(f ) = H(g) となる関手

(13)

Cohomology theory h : CW −→ Abel で複素直線束に対してThom同型が成立しThom類τhを定義でき るものを複素向き付け可能cohomology theoryと云う. 例えば,H∗やK群や複素コボルディズムである.複素向 付け可能のときh(CPn) ∼= h∗(pt)[x]/(xn+1)が成立する.また分裂原理も成立する.そして,複素コボルディズ ムは複素向き付け可能なユニヴァーサルである. 定理8.2. h∗( )を複素向き付け可能とする.このとき,(乗法的な)コホモロジーの変換φ : M U( ) −→ h( )φ(τM U n ) = φ(τnh)が成立するものが一意的に存在する.

ところで,複素向き付け可能cohomology thoryは形式群で決まることがわかっている.Lazard環の普遍性と

上の定理の一意性は同一である.この視点から派生して代数トポロジーと数論の関連があるらしいが私はよく知 らない. 話の岐路を指数定理に戻そう.

8.2

複素コボルディズムと指数定理の関係

Chern指標はch : KC∗( ) −→ H∗( ; Q)というコホモロジー変換と見れる.だから,M U∗( ) −→ KC( )が 気になるだろう.実はそれがtodd類になるのが次の定理である. 定理 8.3. (Conner-Floyd同型)複素K理論の複素向き付けで次の条件を満たすものが存在する:その向き付 けが定義する環準同型 φCF K : π∗(M U ) −→ π∗(K) = Z[u, u−1] は,2n次元概弱複素多様体Mに対して φK([M ]) = (−1)nhtd(T M ), σ(M )iun を満たす.ここでtd(T M )M の接束のTodd類であり,σ(M )M の基本ホモロジー類である.さらに,φCF K により,π∗(K) = K∗M U∗加群とみなすと,次の自然な同型を得る. M U∗(X) ⊗ M U∗K∗∼= K∗(X) 注意8.4. ほかにもφCFKO(M ) = h ˆA, σ(M )iをみたす環準同型φCFK : π∗(M Spin) −→ π∗(KO)をとると, M Spin∗(X) ⊗ M spin∗KO∗∼= KO∗(X) との事である. 特異コホモロジーは単体によって,KC群は複素ベクトル束によって幾何的な実現を持っていた. では複素コボ ルディズム理論ΩGX := [X, M G(n)]oに幾何的表示はないだろうか?それはQuillenの論文[Qui]に一応書い てある.Quillenの表記法に基づいて,指数の境界不変性が議論され,興味深い.

9

あとがき

デッドラインの6月を過ぎ,着手も大変遅れその焦燥感からか,乱筆の目立つ草稿になってしまいました. 繁簡 よろしきを得ず,とはこのことと自省する限りです.議論も粗く,また数式が少なく,証明が物理的なので,数学徒 向けの記述ではない可能性があります. 粗く削った行間の補完には,指数定理の証明は[Fur1,2]と8章は[KT] を参照すれば大丈夫かと思います. 跋語になりますが,城崎新人セミナーに参加させて頂き,1週間は充実した一時を過ごす事ができました. また 遅滞する投稿を快く待って頂いた,運営委員長の木村さんの御好意に大変感謝しております.ご迷惑を掛け事を 改めてお詫び申しあげます. 最後になりますが,木村さんをはじめ運営委員の皆さん,先生方,そして参加者の皆 様方に深く感謝を申し上げます.

(14)

参考文献

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physics, Bull. Amer. Math. Soc. 15 (1986), 243-245. DOI: 10.1090/…, 1986 - ams.org

[Bis] J.M.Bismut, ”Probability and geometry” in Probability and analysis (Varenna,1985), Lecture Notes in Math. 1206, Springer, 1986,pp.1-60

[BGV] N Berline, E Getzler, M Vergne Heat kernels and Dirac operators, volume 298 of Grundlehren

der Mathematischen Wissenschaften 1992 - Springer-Verlag, Berlin-Heidelberg-New York

[Ful] Fulton,W Intersection Theory Springer-Verlag Berlin Heidenlberg New York Tokyo [Fur1] 古田幹雄「指数定理1」岩波講座 現代数学の展開(岩波書店)

[Fur2] 古田幹雄「指数定理2」岩波講座 現代数学の展開(岩波書店)

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[Fur4] 古田幹雄, 積分としての指数,数学のたのしみ16 (1999)日本出版社,pp.28-48

[Get] Getzler, E. A short proof of the local Atiyah-Singer index theorem Topology, 1986 - 18.7.22.69

[KT] 河野明 玉木大,「一般コホモロジー」 岩波講座 現代数学の展開(岩波書店)

[Nak] 中原幹夫 理論物理学者のための幾何学とトポロジーII, ピアソン・エディケーション, 2001

[Oht] 大槻知忠 第1回城崎新人セミナー報告集

[Qui] Quillen D. Elemantary proofs of some results of cobordism theory using Steenrod operations, Advances in Math., 7 (1971), 29-56

[Roe] Roe.J Elliptic Operators, Topology and Asymptotic Methods CRC Press, 1998

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[Tam] Tamaki D. Homology and Categorification ,第2回城崎新人セミナー報告集

[Wit] Witten.E Supersymmetry and Morse theory J. Diff. Geom, 1982 - intlpress.com

[吉田1] 吉田朋好ディラック作用素の指数定理(共立出版)

参照

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