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Japan Advanced Institute of Science and Technology

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

時間関係に基づく事例間の類似性評価システム

Author(s)

是枝, 洋介

Citation

Issue Date

1997‑03

Type

Thesis or Dissertation

Text version

author

URL

http://hdl.handle.net/10119/1026

Rights

Description

Supervisor:東条 敏, 情報科学研究科, 修士

(2)

時間関係に基づく事例間の類似性評価システム

是枝洋介

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科

1997

年

2

月

14

日

キーワード: 事例ベース推論,法的推論,類似性評価,事象間の時間関係.

法的推論システムにおいて,法令をルールとするルールベース推論(RBR)のみならず,

判例を事例とする事例ベース推論(CBR)が重要な役割を果たす.なぜなら,憲法や法令,

慣習法,学説等と並んで,判例は重要な法源の1つだからである.またその数が膨大なた め,計算機による支援が期待されている.

CBRに対する最も重要な研究課題は,事例間の類似性をどのように定義するかである.

これを法的推論の問題として考えると,問題となっている新たな事件と判例との間の類似 性をいかに決定するかに相当する.通常,法的な判断を下すには,ある事象間に因果関係 があるかないかが重要な要因となるが,この因果関係は時間関係と密接に関連している.

また,事象間の時間関係は客観的な基準で決定することができるため,計算機での処理が 容易である.そこで本稿では,事象間の時間関係に基づいて事例間の類似性を評価するシ ステムについて検討する.そのためには大きく分けて以下の2点について議論しなければ ならない.

1. 事例表現の方法

事件を構成する事象間の時間関係を用いて事例を表現する.そのためにまず事件内容から 事象を抽出し,時間特性にしたがってそれらの事象を分類する.時間特性としては,State,

Durative event, Punctual event を定義する.ここで,State は staive な事象,Durative

event はactive な事象のうち達成状態を保つ事象,Punctual event はactive な事象のう ち達成状態を保たない事象,をそれぞれ意味している.これらは時区間および時点を伴っ て成立する.

次に,事象間の時間関係を示す述語としてstart, end, during, overlap, meet の5つを 定義し,これらにより2つの事象を関連づける.この時間関係は定義されたルールに従い 自動的に生成される.

Copyright c

1997byYosukeKoreeda

(3)

2. 類似性評価の枠組

事象の分類および事象間の関係を用いて時間関係間の類似度を計算する.次に,この 時間関係間の類似度に基づいて定義された評価関数により,事例間の類似度が導かれる.

このようにして得られた事例間の類似度を比較することにより事例間の類似性評価を行 う.この評価は(1)事例全体としての評価,(2)事例の部分的な評価の2段階に分けられ る.最初に事例全体の類似度の比較を行い,類似例の候補を絞り込む.次にその候補と新 たな事件との部分的な類似度の比較を行う.さらにこれらの結果を比較し,仮説推論を行 うことにより事例間の類似性を評価する.この手法を「分割評価法」と呼ぶことにする.

本稿では,対象として刑法における「共犯」に関する判例を扱った.刑法には,犯罪行 為の状態として「予備・未遂・既遂」という分類がある.これらの状態をstateに分類さ れる事象と捉え,事件を構成している他の事象との間の時間関係を生成することで判例を 表現した.実験では,新たな事件を仮定し,これと21の実際の判例との類似性を評価し た.その結果,事例全体として評価するだけでは判定できない類似性が見つかり,「分割 評価法」が有効な類似性評価の手法であることが分かった.また,修正した判例を仮説と する類似性評価を行うことで,新たな知識が発見できることを示した.

このシステムは,演繹オブジェクト指向言語であるQUIXO TE を用いて実装されている.

法的知識は不完全な情報である場合が多いが,QUIXO TE では情報の部分性を扱うことが できるために,法的推論に適した言語だと考えられる.QUIXO TEの特徴の1つである仮 説付き問合せを用いることにより,新たな事件および判例の修正が容易に行えるため,よ り多様な類似性評価を行うことができた.

既存の法的推論システムであるHYPOと本システムとを比較すると,HYPOのdimen-

sion が本システムの時間関係に相当する等,いくつかの対応関係が見られる.HYPO は 最も洗練されたCBRシステムの1つであると広く認められているので,本システムで用 いた方法が望ましいものであったことが確認できる.さらに,(1)判例の修正を行う,(2) 新しい時間関係の生成が行える,といったHYPO との相違点に注目することにより,本 システムの類似性評価の有効性が明確に示されている.

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