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Japan Advanced Institute of Science and Technology

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

ペトリネットの診断可能性についての研究

Author(s)

林, 欣

Citation

Issue Date

2001‑06

Type

Thesis or Dissertation

Text version

author

URL

http://hdl.handle.net/10119/1545

Rights

Description

Supervisor:平石 邦彦, 情報科学研究科, 修士

(2)

ペトリネットの診断可能性について

林欣

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 平成

13

6

27

事象が非同期的・離散的に生起することによって状態が変化するシステムは離散事象 システム(discrete eventsystem, DES)と呼ばれる.コンピュータネットワーク,Flexible

Manufacturing System (FMS),オペレーティングシステム,通信システム,データベー スシステム,シーケンス制御システムなどがその典型的な例である.これらのシステムを 効果的に制御したいという要求から,様々な角度から離散事象システムに対する研究がな されてきた.

その中で,安全性,信頼性,さらに経済性の観点から,システムの正確かつ適時な故障診 断に対する要求が高まっており,それにより故障診断に関する研究が進展してきた.これ らの研究の多くは自動診断システム(automateddiagnosticsystems)に関するものであり,

理論的な枠組や設計/実装の方針の相違から,様々な方式が提案されている.Ramadge

Wonhamにより提案された離散事象システムの制御理論に基づく方法もその一つである.

この枠組では,システムはオートマトンで表現され,そのふるまいは発生する事象列の 集合(すなわち,事象集合上の言語)として表現される.事象には観測可能な事象(可観 測事象)とそうでない事象(非観測事象)の2種類がある.このとき,観測された有限の 事象の履歴から,過去にどのような種類の障害が発生したかを検出できる時,システムは 診断可能であるという.従来の研究では,有限オートマトンで記述されるような一般の離 散事象について診断可能性が議論されていた.一方で,並行的,非同期的,分散的な離散 事象システムに対しては,ペトリネットのほうか簡潔かつ強力であり,広く用いられてい る.本研究では,オートマトンで記述した離散事象システムについての議論をペトリネッ トに適用し,診断可能であるための条件について検討する.

まず,観測可能性を表現するために,ペトリネットのトランジションにラベル付けを 行ったラベル付きペトリネットを導入する.このとき,ラベル付け関数の性質により,つ ぎの2つに分類される.

自由ラベルペトリネット:各トランジションに固有のラベルまたは空ラベルのいず れかが付けられるもの.

Copyrightc 2001byXinLin

(3)

一般ラベルペトリネット:任意のラベル付けを許すもの.

まず,一般ラベルペトリネットの診断可能性判定問題は,自由ラベルペトリネットのそれ に帰着できることを示した.そして,つぎの2つの問題について考察した.

1.構造的診断可能性判定問題:ラベル付きペトリネット構造C`および障害トランジショ ンtf が与えられる.このとき,以下が成り立つかどうかを判定する:(C`;M0)がラ イブであるような任意の初期マーキングM0に対して,(C`;M0)tf に関して診断 可能である.

2.初期マーキング依存診断可能性判定問題:ライブなラベル付きペトリネットPN`お よび障害トランジションtf が与えられる.このとき,PN`tf に関して診断可能で あるかどうかを判定する.

構造的診断可能性判定問題に対し,診断可能であるための必要十分条件を求めた.この 条件は,マーキングを減少させないような発火回数ベクトル(T-増加ベクトル)の概念を 用いて得られた.また,診断可能であるときに,診断するまでの遅延,すなわち,実際に 障害が発生してから,それが診断されるまでに必要な事象の発生回数,を推定する方法を 示した.方法は2つあり,1つは有界ペトリネットに対して深さ優先探索により遅延を求 めるアルゴリズム,もう1つは,非有界ペトリネットに対し,遅延の上界を求める方法で ある.

最後に,初期マーキング依存診断可能性判定問題に対し,診断可能であるための必要十 分条件を求めた.この条件が,非有界なペトリネットに対して決定可能であるかどうかは 現在の段階では未解決である.これは今後の課題である.

論文は以下の様に構成されている.1章では研究の背景について述べる.2章では,論 文で用いる概念および用語の解説を行う.3章では,離散事象システムに対する診断可能 性について述べる.4章では,ペトリネットの診断可能性について定義し,解決すべき2 つの問題,構造的診断可能性判定問題,および,マーキング依存診断可能性判定問題,を 提示する.5章ではそれらの問題に対し,診断可能であるための必要十分条件を示す.6 章では,本研究で得られた結果をまとめ,さらに今後の課題を示す.

参照

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