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博 士 ( 医 学 ) 中 村 昭 伸 学位論 文題名 Impact of Small Molecule Glucokinase Activator on Glucose Ix/Ietabolism and Beta Cell IvIass

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 中 村 昭 伸      学位論 文題名

Impact of Small Molecule Glucokinase Activator on     Glucose Ix/Ietabolism and Beta Cell IvIass

(グルコキナーゼ活性化薬が糖代謝と膵p 細胞量に及ぼす影響)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

【背景と目的】

  2型糖尿病の病因としては、末梢組織でのグルコース摂取の低下、肝臓におけるグルコー スの過剰産生と肝糖放出の増加、インスリン分泌の低下、膵ロ細胞量の減少が考えられる。

近 年、日本 人を含め た2型糖尿病 剖検例 において膵ロ細胞量が低下していると報告され、

膵ロ細胞量が重要であることが注目されつっある。われわれは膵ロ細胞量調節メカニズムの 鍵分子としてグルコキナーゼに着目した。グルコキナーゼは膵ロ細胞や肝でグルコースのり ン酸化を触媒することにより、全身のグルコース恒常性を保つ上で重要な役割を果たしてい る。高脂肪食下でグルコキナーゼヘテロ欠損マウスは野生型と同程度の肥満・インスリン抵 抗性を呈したが、野生型では正常血糖を保っていたのに対し、グルコキナーゼヘテロ欠損マ ウ ス は 早期 か ら 耐糖 能 が 悪化 し 、 野生 型 で みら れ た 膵ロ 細 胞 代償性 過形成とinsulin receptor substrate (IRS).2発現上昇が欠如していた。このことより、高脂肪食誘導性イン ス リン抵抗 性に対する膵ロ細胞量調節メカニズムにおいては、グルコキナーゼとIRS‐2が 重要な役割を果たしていると考えられた。それゆえ、グルコキナーゼ活性化という治療戦略 が 高 脂 肪食に 伴うイン スリン 抵抗性下 では重 要である 。グルコ キナー ゼ活性化 薬(GKA) は、膵ロ細胞でのインスリン分泌能増強作用と肝での糖利用亢進作用を有しており、新しい タ イプの糖 尿病治療 薬とし て期待さ れてい る。しかしGKAの膵ロ細胞量に対する影響につ い ては不明 である。 そこで 膵ロ細胞 特異的 グルコキナーゼヘテロ欠損マウスを用いてGKA の糖代謝や膵ロ細胞量に及ばす影響を検討した。

【方法と結果】

  1.  GKAの グ ル コ ー ス 応 答 性 イ ン ス リ ン 分 泌 能 に 対 す る 効 果 の 検 討 野 生 型 マ ウ ス か ら 膵 島 を 取 り 出 し 、OuM、0.3HM、3uMのGKAを 添 加し 、 グ ルコ ー ス 応 答 性 イン ス リ ン分 泌 能 を比 較 し たところ 、2.8mM、8.3mMグルコー ス条件下 におい て GKAはdose dependentにグ ルコース 応答性 インスリ ン分泌 能を増強 する作用 を認め た。

続 いて個体 レベルで 十分な 血糖降下 作用が 期待され る3uMのGKAを 用いて野生型マウス、

グ ルコキナ ーゼヘテロ欠損マウスから膵島を取り出しグルコース応答性インスリン分泌能 を 比 較 したと ころ、8.3mM、22.2mMグ ルコー ス条件下 におい て、グル コキナー ゼヘテ ロ 欠損マウスの膵島は、野生型マウスに比べ、グルコース応答性インスリン分泌能は低下傾向 を 認 め た。 さ ら に両 マ ウ スと も に2.8mM、8.3mMグ ル コー ス 条 件下にお いてGKA投与群 で有意にグルコース応答性インスリン分泌能が増強した。

  2.  in vivoに お け るGKAの 糖 代 謝 韜 よ び 膵 ロ 細 胞 量 に 対 す る 効 果 の 検 討 野 生型マウ スに高脂 肪食を 負荷した 群、お よび高脂肪食にGKAを混合させた特別食を負荷 した群、グルコキナーゼヘテロ欠損マウスに高脂肪食を負荷した群、および高脂肪食にGKA を 混合させ た特別食 を負荷 した群の4群 において、20週間投与後の体重、脂質代謝、耐糖 能 、膵ロ細 胞量につ いて比 較検討を 行った 。体重は4群間で差を認めず、野生型マウス、

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(2)

グル コキ ナー ゼヘ テロ 欠損 マウ スと も にGKA特別食群 は高脂肪食群に対し投与開始後す ぐに 随時 血糖 の有 意な 低下 を認 め、 負 荷後20週の段階でもGKA特別食群での随時血糖の 有意な低下が持続していた。また4群間で脂質代謝や脂肪組織重量、トランスアミナーゼ、

肝重量、肝内中性脂肪含量に差を認めなかった 。負荷後20週での経口ブドウ糖負荷試験で はGB:A特 別食 群で 耐糖 能の 明ら かな 改 善を認めた。GKAの膵ロ細胞機能や肝に与える影 響を評価するために、絶食時及ぴ絶食後2時間再摂食の血糖、インスリン、 肝内グリコー ゲン含量を測定したところ、両マウスともにGB:A特別食群では再摂食後血糖は低下したに もかかわらず、インスリン、肝内グリコーゲン 含量は上昇した。負荷後20週での膵組織全 体に占めるロ細胞の割合は、グルコキナーゼヘテロ欠損マウスは既報のとおり野生型マウス に比し有意に低値であったが、両マウスとも高 脂肪食群とGKA特別食群で差 を認めなかっ た。

  3.  in vitroに お い て GKAが 膵 ロ 細 胞 量 に 与 え る 影 響 に つ い て の 検 討 INS1細 胞 にlow glucose下 でOuM、0.3HM、3uMGKA、 ま た はhigh glucoseを 加 え たところ、high glucose下ではlow glucose下に比し、有意に5‑bromo‑2‑deoxyuridine (BrdU) 取り 込み 率が 増加し、またlow glucose下においては、GKA投与により濃度依存性にBrdU 取り 込み 率が 増加 した 。さ らにBrdU取 り込み率と並行にIRS‑2発現量が増加し、この現 象は単離膵島における検討でも認められた。

  4. GKA短 期 投 与 で の invivoに お け るGKAの 膵 ロ 細 胞 増 殖 能 に 対 す る 検 討 野生型マウスならびにグルコキナーゼヘテロ欠 損マウスに普通食または高脂肪食を20週間 負荷 した 後、 さらに高脂肪食マウスを3日間だけ継続する群とGKA特別食群に分け、膵ロ 細 胞 のBrdU取り 込 み率 を解 析し たと ころ 、両 マウ スと もGKA特別 食群 にお いて 、BrdU 取り込み率が明らかに増加している個体を認めた。

【考察と結諭】

  GKAは膵ロ細胞で のインスリン分泌能増強作用と肝での糖利用亢進作用に より糖代謝を 改善させること、膵ロ細胞増殖作用を有することが確認された。本研究の問題点としては、

第1にGKAが膵 ロ細胞量調節メカニズムにおいてどのよ うな役割を果たしているかという 点である。高脂肪食誘導性インスリン抵抗性に対する膵ロ細胞量調節機序に韜いては、グル コキナーゼを介したグルコースシグナルによりcAMPーresponsive element‑binding protein (CREB)がりン酸化され、IRSー2の発現が上昇す ることでインスリンシグナルが活性化され て膵ロ細胞の増殖が促進されると考えられる。GKAによる膵ロ細胞増殖メカ ニズムについ てはIRS‑2の発 現上 昇以 外に 関し ては 明らかではなく 、今後詳細な検討が必要である。

  第2の問題点とし て、GKA投与により、in vitroでは膵ロ細胞の増殖を認めたのに対し、

in vivoでは膵ロ細 胞量の増加を認めなかったという点である。この乖離を考察する上で、

glucagon‑like peptide‑l (GLP‑1)に着目した。GKAとGLP‑1との共通点として、in vitroで の膵ロ細胞量増加作用、インスリン分泌増強作用が挙げられる。in vivoでのGLP.1の膵ロ 細胞量増加作用に関しては、一定の見解が得られていない。その理由として耐糖能の状態が 膵ロ細胞量に影響を与える可能性が想定される 。実際、本研究においてもGKAの投与によ り耐糖能がすみやかに改善して茄り、持続的な 血糖降下がGKAによるグルコ キナーゼ活性 化をキャンセルし、そのことが膵ロ細胞量の代償性増加を抑制している可能性が考えられる。

  以上、GKAは膵ロ 細胞でのインスリン分泌能増強作用と肝での糖利用亢進 作用により糖 代謝を改善するのに加え、膵ロ細胞増殖作用も有していることを明らかにした。膵ロ細胞量 の保 持あ るい は増加が求められる病態においては、GKAの膵B細胞量増殖作用を期待した 治療応用なども考えられる。

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(3)

学 位論文審査の要旨

     学位論文題名

Impact of Small R/Iolecule Glucokinase Activator on     Glucose IVIetabolism and Beta Cell IVIass

(グルコキナーゼ活性化薬が糖代謝と膵p 細胞量に及ぼす影響)

  近年、日本人を含めた2型糖尿病剖検例において膵ロ細胞量が低下していると報告され、

膵ロ細胞量が重要であることが注目されつっある。高脂肪食誘導性インスリン抵抗性に対 する膵ロ細胞量調節メカニズムにおいては、グルコキナーゼとinsulin receptor substrate (IRS)・2が 重要な役 割を果た していると報告されている。グルコキナーゼ活性化薬(GKA) は、膵ロ細胞でのインスリン分泌能増強作用と肝での糖利用亢進作用を有しており、新し いタイ プの糖 尿病治療 薬として 期待されている。しかし、GKAの膵ロ細胞量に対する影響 については不明である。そこで本学位論文では膵ロ細胞特異的グルコキナーゼヘテロ欠損 マ ウ ス を 用 い て GKAの 糖 代 謝 や 膵 ロ 細 胞 量 に 及 ば す 影 響 を 検 討 し た 。   まずGKAのグ ルコース 応答性 インスリ ン分泌能 に対す る効果を報告した。次に面VI VO におけ るGKAの糖代謝 および膵 ロ細胞量に対する効果を報告した。野生型マウスに高脂肪 食を負 荷した 群、およ ぴ高脂肪 食にGKAを混合させた特別食を負荷した群、グルコキナー ゼヘテ ロ欠損 マウスに 高脂肪食 を負荷した群、および高脂肪食にGKAを混合させた特別食 を負荷 した群 の4群 において 、20週間投与後の体重、耐糖能、膵ロ細胞量について比較検 討を行 った。 体重は4群間で 差を認めず、野生型マウス、グルコキナーゼヘテロ欠損マウ     丶

スとも にGKA特別食群 は高脂肪 食群に 対し投与 開始後 すぐに随 時血糖 の有意な 低下を認 め、負 荷後20週 の段階で もGKA特別食群 での随時 血糖の 有意な低 下が持 続してい た。負 荷後20週 での経 口ブドウ 糖負荷試験ではGKA特別食群で耐糖能の明らかな改善を認めた。

そして わ晒む 〇におい てGKAが 膵ロ細 胞量に与 える影 響につい て報告 した。INS1細胞に low glucose下 で0ルM、0.3 uM、3uMのGKA、 ま た はhigh glucoseを 加 え た と こ ろ、high glucose下ではlow glucose下に比し、有意に5‑bromo‑2‑deoxyuridine (BrdU)取り 込 み率 が 増 加し 、 ま たlow glucose下にお いては 、GKA投 与によ り濃度依 存性にBrdU取     ー2501

次 夫

鎮 隆

山 池

畠 小

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

り 込み 率が 増加 し てい た。さらにBrdU取り込み率 と並行にIRS‑2発現量が増加 し、この 現 象は 単離 膵島 に おけ る検討でも認められた。最 後にGKA短期投与での而晒VOにおける GKAの膵ロ細胞増殖能に対する検討を 報告した。野生型マウスならびにグルコキナーゼヘ テロ欠損 マウスに高脂肪食を20週間負荷した後、さらに高脂肪食マウスを3日間だけ継続 す る群 とGKA特別 食群 に分 け、膵ロ細胞のBrdU取り込み率を解析したところ、 両マウス と もGKA特別 食群 にね いて 、BrdU取り込み率が明らかに増加している個体を認 めた。以 上、GKAは膵ロ細胞でのインスリン分 泌能増強作用と肝での糖利用亢進作用により糖代謝 を改善す るのに加え、膵ロ細胞増殖作用も有していることを明らかにした。膵ロ細胞量の 保持ある いは増加が求められる病態においては、GKAの膵ロ細胞量増殖作用を期待した治 療応用な ども考えられた。

  質疑応 答では、副査筒井教授から、GKAの膵ロ細胞増殖作用における血晒VOと血vitro の差異に ついて、GKAの膵外作用につ いての質問があったが、実験結果とこれまでの知見 を踏まえ 適切な回答をしていた。次いで副査小池教授から、GKAの発癌の可能性について、

臨床応用 丶される上でのGKAの位置づけについての質問があり、今後臨床の現場における使 用におい て、危険性を踏まえた上での更なる検討が必要であることを述べていた。次いで 主査畠山 教授からグルコキナーゼヘテロ欠損マウス、ホモ欠損マウスにおけるグルコキナ ーゼの活 性について、及ぴグルコキナーゼの酵素特性からみたGKAの臨床応用についての 質問があ り、これまでのノックアウトマウスに関する知見と酵素学的見地からの考察を適 切に回答 していた。

  この論 文は、GKAが膵ロ細胞増殖作 用を有することを明らかにした点で高く評価され、

今後の2型糖尿病への臨床応用が期待 される。

  審査員 一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども 併 せ申 請者 が博 士 (医 学) の学 位を 受け るの に充 分な資格を有するものと判 定した。

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参照

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