Title
ランプ状負荷外乱に有効な一次ホールダをもつLQI形負
荷周波数制御
Author(s)
山下, 勝己; 宮城, 隼夫
Citation
琉球大学工学部紀要(38): 55-60
Issue Date
1989-09
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/5511
Rights
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LQI- Type Load-Frequency Control with the First-Order
Holder Improved for Ramp Load Disturbances
Katsumi YAMASHITA* and Hayao MIY AGI*
Summary
This paper presents a new method of designing discrete-type load frequency regulator with the first-order sampling holder which improves control performance against rampwise load disturbances. An attractive feature of the proposed control scheme is that the first-order holder is used as the hold device and then. in addition to the accumulative Quantity of the area control error(ACE). the accumulative quantity of time multiplied by ACE is used as feedback signal.
KeyWords: Control Systems. Optimal Control.
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ランプ状負荷外乱に有効な一次ホールダをもつLQI形負荷周波数制御:山下・宮城 56 た線形システム方程式で記述することができる。こ こでは,LFCの研究に広く用いられている,図1 のブロック線図の2地域電力系統モデルを用い る6)。 行しつつある。 筆者らも,この観点に基づき,実用的に有効な種々
の離散形負荷周波数制御器を構築し沼7)-(Ⅲ。しか
しながら,これらの制御器はステップ負荷変動を想 定し設計したもので,ランプ負荷変動が生じた場合 には,必ずしも良好な制御特性を与えるものではな い。この問題の一解決策として,地域制御誤差の積 算値,更に,その積算値をフィードバック信号に用 いる出力帰還のLQI形負荷周波数制御器を構築した('1)。この制御器を用いれば,ステップ負荷並び
にランプ負荷変動に対しても,周波数偏差および連 系線潮流偏差の定常誤差を除去しうる。しかしなが ら,定常リップルを取り去るまでには至っていない。 本論文は,ステップ負荷並びにランプ負荷変動に 対しても,定常誤差および定常リップルを除去しう る-次ホールダをもつLQI形負荷周波数制御器の 構成法について述べたものである。まず,システム の挙動を表す動特性式を,制御則の演算時間のため に生ずる遅れおよびデータの伝送に伴う遅れを,入 力側にまとめた形で取り扱う微差分方程式で記述す る。次に,この微差分方程式を離散化するに際し, ホールダを一次ホールダとして離散形状態方程式を 導出する。更にLFCの基本特`性を満足させるため, 地域制御誤差の積算値,更に,その積算値を導入し, それを加えた拡大システムを対象に制御器を構成す る。なお,本制御方式は出力フィードバックで制御 遅れの形式をとり,更に,ホールダを一次ホールダ としているので,ステップ負荷並びにランプ負荷変 動に対しても有効に動作する,実用的な-制御方式 といえる。 本論文では,以上の構成法を再熱式火力システム より構成される2地域電力系統モデルの最適制御に 適用し,本制御方式の動作特性に与える影響を周波 数偏差および連系線潮流偏差などの時間関係図を用 いて示す。更に,他の制御方式との比較検討により, 本制御方式が,ランプ負荷変動を含む負荷変動に対 しても,系統動作の改善に十分寄与しうることを明 らかにしている。 FiglBlockdiagramof2-areapowersystem. 図1の2地域電力系統モデルの状態方程式を導出 するに際し,状態変数をx=[△f,△Pu△P『,△Pgl△Ptie△f2△H2△Pr2△P区2]Tまた,制御変数
をu=〔△PC]△Pc2]Tとする。このとき,LFCの実用的サンプリング周期T&が2秒程度で(6).(】2),1サ
ンプリング時間の制御遅れを考慮すれば,制御則の 演算時間のために生ずる遅れおよびデータの伝送に よる遅れを十分加味できることから,2地域電力系 統モデルの状態方程式を次式の微差分方程式で定義 するOUI。 戈(t)=Ax(t)+Bu(t-Ts) (1) 但し,Aは9x9次元の状態定数行列,Bは9x2次 元の制御定数行列とする。 なお,(1)式では外乱△Pdlおよび△Pd2に関する項 が省略されているが,後述する地域制御誤差の積算 値,更に,その積算値の導入により,ステップ負荷 並びにランプ負荷変動に対する制御量の定常誤差除 去が可能であることから,この項を省略して設計す る。 まず,サンプラとホールド回路を含めたシステム の離散形状態方程式を導く。その際,ステップ負荷 並びにランプ負荷変動に対しても,制御量の定常誤 差を除去しうる実用的な制御系を構築する必要があ る。このとき問題になるのが,LFCでは実用的サ ンプリング周期が2秒程度と比較的長いため,ラン 2.モデル系統と制御方式の決定 LFC問題における負荷外乱の大きさを,通常こ の種の問題で取り扱われている程度の大きさに限定 すると,電力系統の挙動は,基準運転点で線形化し琉球大学工学部紀要館38号.1989年 57 プ負荷変動に対し零次ホールダを用いると,定常 リップルが生じる点である。ここでは,この点を考 慮にいれ,ホールダを一次ホールダとし,また,入 力に1サンプリング時間の制御遅れをもたせた次式 の制御入力を定義する。 但し, k十l x,,(k+lT慕)=二△ACE,(nlT、),、=⑪ k+1 x12(k+1T圏)=Z△ACE2(、ITS)、=⑪ 更に,その積算値 u(t-TJ=u(k-1T$)+|u(k-1TJ -u(k-2TJI(t-kT、)/T、 (kTs≦t<k+lTs) x2(k+1T、)=[x2,(k+1TJ  ̄ x22(k+1T$)]丁 (6) (2) 但し, このとき,(2)式の制御入力を(1)式に代入すれば,(1) 式に対する解は k十l x2,(k+1T$)==Zx1l(、T‘)m=⑥ k+I ==二(k+2-m)△ACE,(mTs)、=O L+U x22(k+lTs)==Zx12(、T$)m=o k+l ==二(k+2-m)△ACE2(mTs)回=O を導入する。(5),(6)式をそれぞれ行列形式で示すと x(t)=eAit-kT鳥)x(kT醤)+/leAい ̄「)xKT5 Bu(て-T$)。「二=eA(【一k丁s)x(kT、)+
/(ejM‘ ̄「)dでBIku(k-2T3)-(k-1)X
KTS u(k-1T・)}+/teA(【 ̄「)て。「Blu(K-1TJ-
KTH u(K-2T・)|/T&(3) x,(k+lT。)=x,(kTJ+Cx(k+lTs) =x,(kTs)+C#x(kTs) +CPIu(k-1Ts)+CP2u(k-2Ts)(7) x2(k+1Ts)=x】(kTs)+x2(kTs) +Cx(k+1T$) =x,(kT、)+x2(kT、)+C#x(kT、) +CP1u(k-1T。)+CP2u(k-2Ts)(8) となる。従って,離散形状態方程式はサンプリング 時刻k+1T$でのx(k+lTs)を与える式を導出 すればよいことから,(3)式より次式となる。 x(k+lTJ=#x(kT、)+Plu(k-1T.) +P2u(k-2Ts)(4) 但し, p=eATs,9,=IeATs-IIA-lB-P2 但し, 902=[T‘I-IeATs-I}A~']A~'B/T、[i1lIl-I川:
]
C= 次に,LFCに要求される基本特性,すなわち, ステップ並びにランプ負荷変動に対しても周波数お よび連系線潮流を規定値に維持しうる制御器を榊成 するため,地域制御誤差△ACE,(kTs)=β,× △f,(kTs)+△Pti。(kTJ,△ACE2(kTs) =β2△f2(kTJ-△Pti趨(kT扇)の穂算値 となる。このとき,x(kTs),x](kTJ, x2(kT・),u(k-lTs)及びu(k-2Ts)を x(kLx,(k),x2(k),u(k-1)及び u(k-2)に轡に換え,更に,新しく状態変数を i化)T=[x(k)Tx,(k)Tx2(k)Tu(k-1)T u(K-2)T]と定義すれば,(4),(7)及び(8)式よ り xl(k+1T,)=[x,,(k+lTJ  ̄ xl2(k+lT③)]丁 (5) jMk+l)=)it(k)+ipu(k)(9)■ランプ状負荷外乱に有効な-次ホールダをもつLQI形負荷周波数制御:山下・宮城 58
関数のそれぞれは,行列TをT=リークFDとおく
ことにより次式で与えられる。 但し, i(k+1)=PX(k) Pl=E[x(0)TPji(O)] 11 23 11 IⅢ,I〉
01100 00100 11i:Hil
1の,の, の。(し(し(UI△ 但し, p-TTpp=Q+DTFTRFD (14) で示す拡大系が得られる。また,拡大系の評価関数としてはjMk)及びu(k),
それぞれの二次形式の和の期待値で定義された,次 式を採用する。 ここでは,初期状態の統計的性質がEbt(O)]=O およびEbt(O)jt(0)T]=Iであるものとする。この とき,(13)式の評価関数は次式となる。  ̄ pI=E[ZIx(k)TQX(k)+u(k)TRU(k)|](lOIp壱⑥ PI=trP (15) 但し,Qはjt(k)に対する評価の重みで半正定位 対称行列,Rはu(k)に対する評価の重みで正定値対 称行列。なお,Eは期待値を意味し,添字Tは転置 を意味する。 今,観測量として従来のFFCおよびTBCに用い られている周波数および連系線潮流偏差,すなわち, y(k)=[△【】(k)△Rie(k)△f2(k)]Tを用いると,そ の要素で栂成きれるxl(k),x2(k)も,またu(k-1), u(k-2)も測定可能量となる。従って,ここでは フィードバック信号u(k)を 但し,trはトレース演算子を意味する。 故に,本問題は(14)式の拘束条件下で(15)式の評価 関数を最小にする利得Fを求める問題に帰蒜され る。 まず,ラグランジュ乗数を表す対称行列Lを導 入し,汎関数Hを グH=trP+trL(Q+DTFTRFD+I、TPr-P)(16)
で定義する。最小化の手順に従い,(16)式をF,L およびPの各々で偏微分し零とおいて解けば,股 小他のための必要条件 u(k)=-Fly(k)-F2xl(k)-F3x2(k)-FCu(k-1) -F5u(k-2)=-FDjt(k)(11〉 F=(R+JTpj)-ljTp;LDT(、LDT) ̄’ (リーリFD)Tp(1-’FD)-p+DTFTRFD+Q=O
(クーリFD)L(;-0F、)T-L+I=0 (17) 但し, 11 89 11 1くⅡリ
ト'1
000 100 000 000 00 10 01 000 000 000o-I
’
が得られる。従って,(17)~(19)式をIiiI時に解き, 段適利得Fを決定すれば,ステップ負荷並びにラン プ負荷変動に対しても,定常誤差および定常リップ ルを除去しうる一次ホールダをもつLQl形負荷周 波数制御器を構築することができる。なお,(17)~ (19)に対する解は,文献(10)で示されたアルゴリズ ムを,Fが適当な精度で収束するまで繰り返すこと により求めることができる。 00010 00100il
として定義する。このとき,閉ループ系および評価琉球大学工学部紀要第38号11989年 59 3.例題計算および結果の考察 図3は,図2に示される△Pdl-t/3000 (PuMW)のランプ負荷外乱が生じた場合の,第1 地域の周波数偏差△叱連系線潮流偏差△PIie, Iill御入力△PC,の応答波形を示している。なお,図 3には参考のためTBC方式による応答波形も示し ている。但し,本シミュレーションではTBCの積分 ゲインを文献(13)を参考に0.35としている。図3か ら明らかな様にNo.1,No.2およびTBCに対する応答 波形は,定常誤差あるいは定常リップルを生じるも のの,No.3の本制御方式は定常誤差および定常リッ プルを除去し,良好な制御特性を与えていることが 前章で提案した手法の有効性を立証するため,図 1に示す2地域電力系統モデルを用いる。表lは, このモデル系統のパラメータを一括して示したもの で,その値は文献(6)に基づくものである。表2は, 最適フィードバック利得Fの値の計算結果を示した もので,No.1が文献(9)のiliU御器に,NO2が文献(11) の制御器に,また,No.3が本制御器に対応する。な お,No.lは地域制御誤差の積算値を帰還する零次 ホールダのLFC方式であり,No.2は地域制御誤篭の 積算値,更に,その積算値を帰還する零次ホールダ のLFC方式であり,No.3は地域制御誤差の積算値, 更に,その積算値を帰還する一次ホールダのLFC方 式である。表2に示される最適フィードバック利得 Fの導出では,それぞれの評価関数に示されるえ(k) に対する重みQおよびu(k)に対する重みRを単位行 列として計算している。ここでは,Fの導出に文献 (10)の繰り返しアルゴリズムを用い,また,収束判
定の条件としてmaxIFijm-Fijm-1l≦1.O
xlO-6を用いている。なお,Fijnは第n回の繰り
返しにおけるフィードバック利得Fの第(i,j)要 素である。 わかる。 円u詣如鳩山鴎叩c鴎 00000000 |[0.【・や皇う回]【ご▲『 CO Fig2Simulationforramploaddisturbance. 10001122 ■●●■●●■d o0000000 一一一一・一 一【IC【PN霊一【】『 TablelSystemParameters.]j雨議講;蒜蒜満舗鵠鐸祷繍
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qO232 0.7220 0.12020,116 -0.238107480 L3194 qO627 0.45閃 0.22御 1.0104 -0.0707 02170 00灘3 0.5470 02260 -06090 00698 00000000000ランプ状負荷外乱に有効な一次ホールダをもつLQI形負荷周波数制御:山下・宮城 60 制御」電気学会技術報告(Ⅱ部),40号(51) (2)CEFosha&OLElgerd:“TheMegawatt-Fre quencyControIProblem:ANewApproachVia OptimalControlTheory,,,IEEETransPower ApparatusSysL,PAS-89,4,563(1970) (3)RK、CavinllLM・CBudge&P・Rasmussen:”An OptimalLinearSystemsApproachtoLoad-Fre quencyControl,,,ibid,PAS-90,6,2474(1971) (4)KYamashita&T・Taniguchi:,,OptimalObser・ verDesignfOrLoad-FrequencyControl''’1,t・L ofElectricalPower&EneTgySystems,893 (1986)
(5)EV・BohP&SM、Miniesy,”OptimumLoad-frequencySampled-DataControIwithRandom‐ lyVaTyingSystemDisturbances'0,IEEETrans PowerApparatusSys.,PAS-9115,1916 (1972) (6)MLKothari,P・SSatsangi&lNanda:蟹Sam‐ pled-DataAutomaticGenerationControIoflL terconnectedReheatThermalSystemsConsider‐ ingCeneration・RateConstraints",ibid, PAS-100,5,2334(1981) (7)山下・谷口:「地域制御誤差の積算値を用いる LQl形負荷周波数制御」電学論B,105,634(昭 60) (8)山下・宮城:「1サンプルの制御遅れをもつ LQI形負荷周波数制御」電学論B,105,972(昭 60) (9)山下・宮城:「出力フィードバックのLQI形負 荷周波数制御」電学論B,106,294(昭61) (10山下・宮城:「発電量の増加率制限を考慮した lサンプリング時間の制御遅れをもつLQI形負 荷周波数制御」電学論B,106,1043(昭61) (1D山下・宮城:「ランプ負荷にも有効なLQI形負 荷周波数制御」昭61電気学会全大,No.979 ⑫FPdeMeIlo,RJ・Mills&W、F・B1RelIs:.`Auto‐ maticGeneTationControlPartH-DigitalCon‐ trolThechniques,,,IEEETrans・PowerAppar- atusSySLPAS-92,2,716(1973) (1J佐々木・水津・百合野:「隣接地域の周波数情 報の利用による地域分割形負荷周波数制御に関 する-研究」電学論B,107,349(昭62) 22110000 ●。■C■c●■ 00000000 【ID[●窪ヱコ凸}【⑪凸『 OD 」・lpUluoDO2,00,コロロロ、80.,口EmBnnBm に)Responsesof△PC,、 Fig.3Responsesof△f,,△P上ie,and△PC,. 以上より,地域制御誤差の積算値,更に,その積 算値を帰還する一次ホールダの本制御方式は,ラン プ負荷変動に対して系統動作の改善に十分寄与しう ることがわかる。なお,本制御方式は出力フィード バックで制御遅れの形式を考慮しているので,実用 化の観点からも有効な-制御方式となる。 4.むすび 本論文では,ステップ負荷並びにランプ負荷変動 に対しても,定常誤差および定常リヅプルを除去し うる一次ホールダをもつLQI形負荷周波数制御器の 構成法を提案した。また,本構成法を再熱式火力シ ステムより構成される2地域電力系統モデルの最適 制御に適用し,その有用性については,ランプ負荷 変動に対する本制御方式の周波数偏差および連系線 潮流偏差などの時間関係図を用いて示した。なお, 本制御方式の特徴は,フィードバック信号に地域制 御誤差の積算値,更に,その積算値を用い,また, ホールダを一次ホールダとすることにより,ステッ プ負荷並びにランプ負荷変動に対しても,周波数偏 差および連系線潮流偏差の定常認差および定常リッ プルを除去しうる点にある。また,演算時間遅れお よびデータ伝送に伴う遅れを考慮し,更には,フィー ドバック信号に従来のFFCおよびTBCに用いられて いる周波数偏差および連系線潮流偏差の情報麓のみ を用いて制御できる点にある。 なお,本研究は文部省科学研究費奨励研究Aの補 助を受けたこと,また,数値計算は本学科の計算機 FACOMM-340で行ったことを付記する。 参考文献 (1)給電常置専門委員会:「電力系統の負荷周波数