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図書館員の文献紹介と 資料の活用
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いる希少な印刷物です。
(1)日本布教の先駆者であるフランシスコ・ザビ エルは忘れられてはならない人物ですが、ここ では16世紀の代表的なザビエル研究者オラツィ オ・トルセリーノによる伝記『聖ザビエルの生 涯』(フィレンツェ、1605年)を出展しました。
ロドリコ・セルグリェルミという人物がイタリ ア語に翻訳し、イタリアの人々が改めてザビエ ルの偉業を振り返るもとになった名著で、数あ るヨーロッパ言語版の中の一つです。
■イタリア人による科学書
イタリアのドミニコ会修道士ヨハネス・バル ブスが編集したとされる『カトリコン』(スト ラスブルグ、1470年) は「万能薬」を意味し、人々 の生活の中での百科全書的な書物とされてきま した。本書の刊行年も1470年であり、前述のイ ンキュナビュラの範疇に入るものです。また、
古代ローマ帝国の政治家や著述家プリニウスが 記したとされる『博物誌』(ベネシア、 1489年)
も『カトリコン』同様に百科全書的な使われ方 をされてきたもので、インキュナビュラでもあ ります。
自然科学系の書物であるヴァンノッチョ・ビ リングッチョの『火工術』([ヴァネジア]、1550 年)は、鉱物学から採鉱冶金の知識をもとに大 砲の鋳造と火薬の製造を書いたものです。また、
『カプラの中傷と欺瞞に対するガリレイの抗議』
(ボローニア、1655年)は、物理学者・天文学 者のガリレオ・ガリレイが望遠鏡を作って月に 山や谷があり、木星に衛星があることを発見し ましたが、バルダッサーレ・カプラという学者 が強く反論し、これにガリレイが抗議した内容 を書いています。
■イタリア人の代表的文学作品
文学の分野からは、イタリア文学として余 りにも有名なダンテ・アリギエーリの『神曲』
(ヴェネティア、1497年)を出展しています。
この作品は1481年にフィレンツェで刊行された
ものですが、本書はそれに校訂がなされて1497 年に刊行されたインキュナビュラです。
このダンテの『神曲』に対して、ジョヴァンニ・
ボッカッチョの『デカメロン』は「人曲」と称 されいてます。内容は100篇の物語からなり、
イタリア・ルネッサンスの代表作と見なされ ているものです。原典の刊行は1469-1470年で、
今回、展示しているものは、1527年にフィレン ツェで刊行された「1527年版」と呼ばれる書物 です。
■おわりに
前述のように本学図書館の稀覯書は、この 展示会で岩倉使節団の素晴らしい関係資料の 持つ価値を文献面からさらに拡充する役割を 担っています。この図書館資料を本学の国際 文化資料館の南博館長をはじめ、学芸員の皆 様のご尽力で美しく展示され、使節団が見た イタリアの文化の素晴らしさ、またその重厚 さが表現されています。
末筆になりましたが、岩倉具視のご子孫でこ の展示会を企画されながら、実現を目前にして 相次いで逝去されました岩倉具忠本学名誉教授 ご夫妻に対し、謹んで哀悼の意を表します。
また、岩倉名誉教授ご夫妻の亡き後も、この 展示会を主催者として開催に導かれましたイタ リア東方学研究所所長のシルヴィオ・ヴィータ 先生をはじめ、久米美術館の久米邦貞館長、並 びに本学校法人の森田嘉一理事長に深甚なる敬 意を表します。
主な参考文献と脚注
( 1 ) 本学図書館編の『洋書百選』(1972年)の「インキュナビュ ラ」によれば、グーテンベルクが活版印刷術を発明してか ら約50年の間にヨーロッパ各地で約38,000点が開版さ れ、その内、イタリアのものが42%を占めていたとされて いる。因みにドイツが30%、フランスが16%、オランダ が8%である。これは、イタリアが文芸復興の時期であった ためと考えられる。