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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008−2009年度合同研究班報告)

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)

目  次

合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本呼吸器学会,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会,日本高血圧学会,

      日本心臓病学会,日本心不全学会,日本心臓リハビリテーション学会,日本睡眠学会 班 長 百 村 伸 一 自治医科大学附属さいたま医療セン

ター循環器科

班 員 赤 柴 恒 人 日本大学内科学系睡眠学分野 麻野井 英 次 射水市民病院

安 藤 真 一 福岡済生会二日市病院循環器内科 苅 尾 七 臣 自治医科大学COE内科学講座循環器

内科学部門

塩 見 利 明 愛知医科大学病院睡眠科

清 野 精 彦 日本医科大学千葉北総病院循環器内科 田 村   彰 大分大学総合内科学第二講座 陳   和 夫 京都大学大学院医学研究科呼吸管理

睡眠制御学

中 元 隆 明 獨協医科大学日光医療センター 成 井 浩 司 虎の門病院睡眠センター 萩 原 誠 久 東京女子医科大学病院循環器内科 山 科   章 東京医科大学第二内科

協力員 安 達   仁 群馬県立心臓血管センター循環器内科

協力員 長 田 尚 彦 聖マリアンナ医科大学循環器内科 葛 西 隆 敏 虎の門病院睡眠センター 篠 邉 龍二郎 愛知医科大学病院睡眠科

佐 田   誠 国立循環器病研究センター呼吸器・

感染症制御部

篠 崎   毅 仙台医療センター循環器科 須 賀   幾 自治医科大学附属さいたま医療セン

ター循環器科

芹 澤 直 紀 東京女子医科大学病院循環器内科 高 田 佳 史 東京医科大学第二内科

内 藤   亮 自治医科大学附属さいたま医療セン ター循環器科

前 野 健 一 虎ノ門スリープクリニック 美濃口 健 治 ファミリークリニック・ハーモニー 吉 岡   徹 埼玉社会保険病院

外部評価委員

栗 山 喬 之 栗山医院

篠 山 重 威 同志社大学心臓バイオメカニクスセンター 山 口   徹 虎の門病院

友 池 仁 暢 国立循環器病研究センター 堀   正 二 大阪府立成人病センター

(構成員の所属は2010年3月現在)

序 文……… 964

本ガイドラインで用いる用語について……… 964

治療推奨度(クラス分け)およびエビデンスレベル……… 965

Ⅰ.正常睡眠と睡眠障害……… 968

1.睡眠とは ……… 968

2.睡眠の客観的評価 ……… 968

3.睡眠量(睡眠時間) ……… 968

4.睡眠の質(睡眠経過図) ……… 968

5.ノンレム睡眠とレム睡眠 ……… 968

6.AASMマニュアル2007 ……… 969

7.睡眠障害 ……… 969

8.ICSD-2 ……… 969

9.睡眠呼吸障害とは ……… 969

Ⅱ.疫学(欧米人,日本人における頻度,予後)………… 970

1.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の疫学 ……… 970

2.中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の疫学 ……… 972

(2)

Ⅲ.病 態……… 972

1.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)……… 972

2.中枢性睡眠時無呼吸(CSA)……… 980

Ⅳ.診 断……… 985

1.簡易モニター ……… 985

2.標準・睡眠ポリグラフ検査(PSG)……… 987

3.欧米,日本でのそれぞれの基準 ……… 992

Ⅴ.治 療……… 996

1.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療 ……… 996

2.中枢性無呼吸(CSA)の治療 ………1002

3.その他の治療法 ………1009

4.我が国の保険診療上の治療適応基準 ………1009

Ⅵ.各 論………1009

1.高血圧とOSA ………1009

2.心不全 ………1013

3.不整脈 ………1017

4.脳卒中とSAS ………1020

5.虚血性心疾患 ………1023

6.睡眠時無呼吸と大動脈疾患 ………1026

7.肺高血圧 ………1027

8.腎不全 ………1030

9.睡眠時無呼吸症と突然死 ………1030

10.基礎心血管疾患を有する患者における睡眠呼吸障害   スクリーニングのまとめ………1031

文 献………1032

(無断転載を禁ずる)

序 文

 近年,睡眠呼吸障害が安全管理の面から社会的に関心 をもたれるようになった.一方,様々な心血管疾患に睡 眠呼吸障害を高率に合併することが明らかとなった(図 2).さらに睡眠呼吸障害は偶然に合併するわけではな く,心血管疾患の発症・進展において重要な役割を果た していると考えられるようになった.例えば心不全に睡 眠呼吸障害を合併すると予後は悪化する.また,重症閉 塞性無呼吸患者の心血管事故や心血管死亡率は対照群の 数倍高いが,前向き観察研究では重症の閉塞性無呼吸を 治療すると将来の心血管死亡や心血管イベントを予防で きる.したがって,循環器診療を担当する医師は睡眠呼 吸障害のマネージメントに関与する必要がある.しかし ながら,循環器領域の診療を担当する多くの医師にとっ て,睡眠呼吸障害は馴染みの薄い領域であり,その重要 性が理解できたとしても,どのような方法で評価し,ど のような治療を行うべきかという段階になると行き詰ま る場合が多い.その1つの原因は,循環器診療に携わる 医師を対象とした適切な診療指針が存在しないという点 にある.もちろん,我が国には睡眠呼吸障害研究会編集

の「成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイ ドライン」,日本呼吸器学会

NPPV

ガイドライン作成委 員会による「

NPPV

ガイドライン」,米国においては

AASM

American Academy of Sleep Medicine

)マニュ アルなど優れた指針がある.しかしながら,これらの診 療指針は一般循環器医の目に触れる機会も少なく,広く 普及するに至っていない.

 本ガイドラインは循環器診療に携わる医師を対象と し,これらの医師が睡眠呼吸障害の重要性を認識し,日 常診療においてそのスクリーニングを行い,さらに治療 へと進むための指針を与えるものである.したがって,

その内容は可能な限りプラクティカルにすることを心掛 けた.また,用語の統一を図り,様々な専門的用語の解 説も追加した.

 本ガイドラインにおける最近の医学的根拠に基づいた 診療指針と現行の保険診療の基準とが必ずしも一致して いない場合もあり(例えば持続気道陽圧療法など),両 者を区別して記載した.

本ガイドラインで用いる用語について

 本症の呼称として「睡眠時無呼吸症候群(

sleep apnea syndrome

SAS

)」という言葉が,一般にも知られるよ うになり,現在,最もよく用いられていると思われる.

一般人口においては,そのほとんどが閉塞型呼吸イベン

トによるものであり,この場合は「閉塞性睡眠時無呼吸 症候群(

obstructive sleep apnea syndrome

OSAS

)」と 同義語で用いられているといえる.例えば「閉塞性睡眠 時無呼吸症候群」としては,1999年にアメリカ睡眠医

(3)

治療推奨度(クラス分け)およびエビデンスレベル

 本ガイドラインでは以下の基準に従い,治療推奨度(ク ラス分け)およびエビデンスレベルの表記を行った.

〈治療推奨度〉

Class

Ⅰ:エビデンスから通常適応され,常に容認される.

Class

a

:エビデンスから有用であることが支持される.

Class

b

:有用であるエビデンスはまだ確立されてい ない.

Class

Ⅲ:一般に適応とならない,あるいは禁忌である.

〈エビデンスレベル〉

A

:複数の無作為化臨床試験あるいはメタ解析で証明さ れた結果.

B

:単独の無作為化臨床試験あるいは大規模な非無作為 化試験で証明された結果.

C

:専門医の間での合意事項,または,症例報告・レト ロスペクティブ解析・レジストリに基づく事項,標 準的と考えられる治療など.

学会(

AASM

)によって提案された定義では1,無呼吸 低呼吸指数(

apnea hypopnea index

AHI

)≧5に加え,

閉塞型呼吸イベントに伴う自覚症状の存在が重要視され ている.一方,2005年に示された国際睡眠障害分類第2 版(

The International Classification of Sleep Disorders

2nd

ICSD-2

)では2

AHI

≧15の場合では自覚症状の 有無を問わずに定義されているが,いずれにせよ,「症 候群」という言葉には文字通り,自覚症状の存在がおの ずと想定されやすい.しかしながら,最近のほとんどの 研究,特に本症と循環器領域に関連した研究では,自覚 症状の有無を問わずに,

AHI

との関連に焦点が当てられ ている場合が多く,それらの結果をエビデンスとして,

特に循環器領域では,自覚症状の有無にかかわらず,本 症に対する治療介入が推奨されうる.また,本ガイドラ インは循環器領域に従事するものを対象としており,閉 塞型呼吸イベントだけでなく,中枢型呼吸イベントも診 療の対象となる.そこで混乱を避けるため,本ガイドラ インでは,「睡眠時無呼吸症候群」もしくは「症候群」

という用語の使用は避けることとし,以下の用語を使用 することとする.自覚症状の有無を問わずに

AHI

≧5の

も の を「 睡 眠 呼 吸 障 害(

sleep disordered breathing

SDB

)」とし,そのうち閉塞型呼吸イベントが優位のも のを「閉塞性睡眠時無呼吸(

obstructive sleep apnea

OSA

)」,中枢型呼吸イベントが優位のものを「中枢性 睡眠時無呼吸(

central sleep apnea

CSA

)」とする.また,

後者のうち,10分以上持続する漸増漸減の呼吸パター ンを伴ったものを「

Cheyne-Stokes

呼吸を伴う中枢性睡 眠 時 無 呼 吸(

central sleep apnea with Cheyne-Stokes respiration

CSR-CSA

)」とする.「睡眠時無呼吸」,「低 呼吸」の定義については「Ⅳ

-3

 欧米,日本でのそれぞ れの基準」を参照されたい.本文中に用いられる主な略 語とその解説を表にまとめた.

 なお「閉塞性」,「中枢性」のように“性”を付けて呼 ぶか,「閉塞型」,「中枢型」のように“型”を付けて呼 ぶかについては議論のあるところであるが,本ガイドラ インにおいては個々の無呼吸イベントについては「閉塞 タイプ」,「中枢タイプ」,「混合タイプ」のように“タイ プ”を付け,それぞれの病態名としては「閉塞性」,「中 枢性」のように“性”を付けることとした.

本文中に用いられる主な略語とその解説

略 語 用語(欧文) 用語(邦文) 同義語 定 義

AASM American Academy of

Sleep Medicine アメリカ睡眠医学会

AHI apnea hpopnea index 無呼吸低呼吸指数 睡眠中の無呼吸と低呼吸の総数を睡眠時間で

除し,1時間当たりとしたもの(/hr)

AI apnea index 無呼吸指数 睡眠中の無呼吸の総数を睡眠時間で除し,1

時間あたりとしたもの(/hr)

(4)

略 語 用語(欧文) 用語(邦文) 同義語 定 義 ASV adaptive servo ventilation サーボ制御圧感知型

人工呼吸器 心不全に伴うCSR用で,換気量が一定になる ように,ひと呼吸ごとに換気補助を行う装置 Bi-level PAP bi-level positive airway

pressure 2層式気道陽圧 呼気時と吸気時の圧をそれぞれ設定できる持

続気道陽圧 CompSAS complex sleep apnea

syndrome 複合性睡眠時無呼吸

症候群 診断時PSGにおいてOSASと診断され,持続 陽圧呼吸(CPAP)療法を施行した場合に,

CSAが残存してしまう病態 CPAP continuous positive airway

pressure 持続気道陽圧 持続的に気道に陽圧をかける

CSA central sleep apnea 中枢性睡眠時無呼吸 中枢性無呼吸 成人では,10秒以上の気流静止で,胸腹の呼

吸努力を認めないもの.確実な診断にはPes の測定が必要

CSAS central sleep apnea

syndrome 中枢性睡眠時無呼吸

症候群 CSAHS: central sleep apnea hypopnea syndrome,中枢性睡 眠時無呼吸低呼吸症 候群

昼間の眠気やいびきなど何らかの症状があ り,AHIが5/hr以上かまたは,症状がなくと もAHIが15/hr以上で呼吸イベントの大半が 中枢性のもの.閉塞性に比べて一般的にまれ CSR Cheyne-Stoks respiration チェーン・ストーク

ス呼吸 CSBS: Cheyne-Stokes

breathing syndrome 心疾患,脳血管障害または腎不全が基礎疾患 にあり,呼吸の振幅が周期的に漸増漸減を繰 り返すもの

EDS Excessive daily sleepiness 日中過眠 hypersomnia,

somnolence 日中の過剰な眠気.閉塞性睡眠時無呼吸症候

群の代表的な症状 EEG electroencepharogram 脳波

EMG electromyogram 筋電図

EOG electro-oculogram 眼電図

ESS Epworth sleepiness scale エプワース眠気尺度 眠気に対する質問紙による問診票

HI hypopnea index 低呼吸指数 睡眠中の低呼吸の総数を睡眠時間で除し,1

時間当たりとしたもの(/hr)

HOT home oxygen therapy 在宅酸素療法 在宅で,特に夜間に酸素投与を行う

hypopnea 低呼吸 10秒以上の気流の30%以上の振幅の減少に

SpO2の4%以上の低下を伴うもの ICSD-2 The international

classification of sleep disorders:diagnostic and coding manual 2nd edition

睡眠障害国際分類第 2版

MSA mixed sleep apnea 混合性睡眠時無呼吸 混合性無呼吸 成人では,10秒以上の気流静止で,無呼吸の

前半は胸腹の呼吸努力を認めず,無呼吸の後 半に胸腹の呼吸努力を認めるもの.病的意義 はOSAと同等で,最近ではOSAに含めて集 計されることが多い

MSLT multiple sleep latency test 反復睡眠潜時検査 客観的な眠気の評価法

NREM non-rapid eye movement

sleep ノンレム睡眠 レム睡眠以外の睡眠,緩徐眼球運動,瘤波,

紡錘波,高振幅徐波などの脳波を特徴とする 睡眠

OA oral appliance 口腔内装置 sleep splint,

prosthetic mandibular advancement

いびきやOSASに対する歯科的治療に用いら

れるもの

ODI oxygen desaturation index 酸素飽和度低下指数 oxygen dip index SpO2の低下の総数を睡眠時間で除し,1時間 当たりとしたもの(/hr).2%,3%,4%低 下などを算出する.3%ODIやODI(3)など と表す

OHVS obesity hypoventilation

syndrome 肥満低換気症候群 高度肥満により換気が障害されるもの

(5)

略 語 用語(欧文) 用語(邦文) 同義語 定 義

OSA obstructive sleep apnea 閉塞性睡眠時無呼吸 閉塞性無呼吸 成人では,10秒以上の気流静止で,胸腹の呼

吸努力を認めるもの(小児では,2呼吸分)

OSAS obstructive sleep apnea

syndrome 閉塞性睡眠時無呼吸

症候群 OSAHS: obstructive sleep apnea hypopnea

syndrome,閉塞性睡 眠時無呼吸低呼吸症 候群

昼間の眠気やいびきなど何らかの症状があ り,AHIが5/hr以上かまたは,症状がなくと もAHIが15/hr以上で呼吸イベントの大半が 閉塞性のもの

PAP positive airway pressure 気道陽圧

periodic breathing 周期性呼吸 健常者で,睡眠段階1,2で周期的に呼吸の

振幅が漸増漸減を繰り返すもの Pes esophageal pressure 食道内圧

PLMs periodic leg movement in

or during sleep 睡眠時周期性下肢運

動 睡眠中の周期的脚動

portable monitoring 簡易無呼吸検査 簡 易 ポ リ グ ラ フ ィ ー,簡易検査,携帯 用装置,簡易診断装 置,簡易SAS検査

携帯装置,最低,気流,いびき音,心拍数と SpO2の4項目の記録のとれるもの.脳波や眼 球運動の記録はないため,睡眠の状態はわか らず,正確な睡眠時間は不明なため,算出さ れた計測値は,あくまでも推測値.AASMで のtypeⅢの装置に相当.睡眠の記録がないの で,簡易ポリグラフィーや簡易ポリグラフ検 査との表現は許せるが,簡易PSGと表現する のは誤用.

Ppl intra-pleural pressure 胸腔内圧 胸腔内圧は直接測れないため,Ppl≒Pesとし

てPesを代用.

PSG polysomnography 睡眠ポリグラフ検査 ポリソムノグラフィ

ー,終夜睡眠ポリグ ラフィー,full PSG

脳波,眼電図,頤筋筋電図,心電図か脈拍,

気流,呼吸努力,SpO2の7項目以上の記録が とれるもの.睡眠呼吸障害の診断の際のゴー ルドスタンダード.監視下で施行されるのが AASMでのtypeⅠ,非監視下で施行されるの がAASMでのtypeⅡ.

pulse oximeter パルスオキシメータ 経皮的に動脈血酸素飽和度を測定する装置.

連続的に測定,記録することにより,呼吸障 害の程度を推測できる.AASMでのtypeⅣの 装置に相当.

RBD REM sleep behavior

disorder レム睡眠行動障害 レム睡眠時にRWAを伴う異常行動(寝言を

含む)

RDI respiratory disturbance

index 呼吸障害指数 定義の異同が多いが,現状では,簡易モニタ

ー上での指数.無呼吸と低呼吸の総数を自己 申告による推定睡眠時間で除し,1時間あた りとしたもの.

REM rapid eye movement sleep レム睡眠 急速眼球運動,頤筋筋電図のトーヌスの消失,

低振幅脳波を特徴とする睡眠

RWA REM sleep without atonia 筋トーヌス低下のないREM

SDB sleep disordered breathing 睡眠呼吸障害 睡眠中の呼吸障害の総称

SHVS sleep hypoventilation

syndrome 睡眠時低換気症候群 睡眠により低換気になるもの

SOREMp sleep onset REM period 入眠後15分以内のREM

(6)

正常睡眠と睡眠障害

1 睡眠とは

 睡眠(眠り)は進化の過程において,脳波睡眠(

elec- tro-encephalic sleep

)と行動睡眠(

behavioral sleep

)に 分けられている.脳波睡眠にはヒトなど高等脊椎動物の ノンレム睡眠とレム睡眠がある.一方,行動睡眠は系統 学的に未分化な睡眠様状態(

sleep-like state

)ともいわれ,

下等脊椎動物や無脊椎動物にみられる3

 睡眠(眠り)は単なる活動停止の時間ではない.正常 人の睡眠は,呼吸循環調節も含めた生体防御機能を備え る生存戦略であり,脳が高次情報処理機能を発揮するた め,脳を持つ生命体に特有の能動的な生命に必須の生理 機能が営まれる時間帯である.

2 睡眠の客観的評価

 1929年,

Berger

によるヒトの脳波(

electroencephalo- gram

EEG

) の 発 見,1953年

Aserinsky

Kleitman

に よる急速眼球運動睡眠(

rapid eye movement sleep

:レム 睡眠)の発見,そして1962年

Jouvet

によるレム睡眠中 の骨格筋,特に抗重力筋活動の消失(

REM sleep with atonia

RWA

)が発見されて以来,睡眠の量と質を客観 的に評価する方法としては,(1)脳波(

EEG

),(2)眼電 図(

electro-oculogram

EOG

),(3)筋電図(

electromyo- gram

EMG

)という3つの電気生理学的指標の測定が 必須である.

3 睡眠量(睡眠時間)

 ヒトは7~8時間眠るが,一日の睡眠時間が6時間以 下の短時間睡眠者や9時間以上の長時間睡眠者でも日常 生活に支障がないと申告する成人がいる.短時間睡眠者 と長時間睡眠者の違いは,深い徐波睡眠の出現量でなく,

浅い睡眠時間の違いに由来するため,正常成人の一日に 必要な睡眠ではその量よりも質が重要である.

4 睡眠の質(睡眠経過図)

 1968年

Rechtschaffen & Kales

R&K

)が睡眠ポリグ

ラフ検査(

polysomnography

PSG

)における睡眠段階

sleep stage

)の国際判定基準を報告して以来,睡眠段 階は覚醒,段階1~4のノンレム睡眠,レム睡眠に分類 されてきた.

 若年正常者では,睡眠の前半に深い睡眠(

slow wave sleep

:徐波睡眠,

R&K

の段階

3+4

)が出現し,入眠後 3時間頃から徐波睡眠量は急速に減少し,睡眠の後半は 主に浅い睡眠(

R&K

の睡眠段階1+2)が占める.レム 睡眠は入眠後に約90分サイクルで繰り返し出現するが,

睡眠の後半では1回当たりにレム睡眠時間が延長する.

正常成人では中途覚醒はほとんどみられず,睡眠効率

sleep efficiency

)が非常に高い.

5 ノンレム睡眠とレム睡眠

1 ノンレム睡眠

 ノンレム睡眠とは,α波の消失,瘤波(

hump

)の出現,

紡錘波(

spindle

)の出現,徐波の出現と睡眠深度が深く なるに従い,出現する脳波の形状が変化するが,頤筋な どの抗重力筋のトーヌスの消失や急速眼球運動は認めな い睡眠ステージである.

 

R&K

PSG

国際判定基準では,覚醒閉眼時に8~ 13Hzのα波が認められるが,これが,30秒1エポックの 中で50%を切った場合に睡眠段階1と判定され,入眠し たとみなされる.若い人では瘤波(3~8Hz,100μ

V

以 上の頭頂部鋭波)が出現することがある.外界の刺激に より容易に覚醒に移行する.背景脳波は,低振幅の速波 や徐波.

 睡眠段階2は,紡錘波(12~14Hzの中間速波の反復 出現,0.5秒以上の持続)の出現を特徴とする.単発の 大徐波と紡錘波の組み合わせを

K

複合と呼ぶが,この段 階で頻発し,身体内部や外界からの刺激に反応して出現 する.

 睡眠段階3,4(徐波睡眠)は,高振幅徐波(0.5~ 2Hz,75μ

V

以上)δ波の出現が30秒1エポックの中で 20%以上を睡眠段階3,50%以上を睡眠段階4と定義し ていたが,生理的,心理的な差がほとんどないため,

2007年以降の

AASM

新ルールでは合わせて徐波睡眠

StageN3

)とまとめられている.眼球運動はなく,表 面筋電活動は著しく低下する.

 ノンレム睡眠,特に徐波睡眠では,副交感神経が優位 になり,血圧値,呼吸数,換気量,心拍数とも安定し,

規則的になる.

(7)

2 レム睡眠

 背景脳波はノンレム睡眠の睡眠段階1に似るが,頤筋 筋電図の筋トーヌスの消失や急速眼球運動が認められ る.

 レム睡眠では,交感神経が優位になり,血圧値,呼吸 数,呼吸リズム,換気量,心拍数とも不安定で,変動が 激しくなる.

6 AASM マニュアル 2007

 図1は,正常な成人男子の一晩の睡眠経過図を示す.

この睡眠経過図の判定は,ほとんどの診断装置がアナロ グからデジタル方式に移行したため,従来の

R&K

国際 判 定 基 準 に 代 わ っ て,2007年 か ら

AASM

American Academy of Sleep Medicine

)が提唱した新スコアリング ルール(

The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events; Rules, Terminology and Technical Specifications

,以下「

AASM

マニュアル2007」と称す)

に基づき表記したものである(Ⅳ参照)2

AASM

マニ ュアル2007の最大の特徴は,

EEG

で前頭部領域の脳波 電極(

Fp1

Fp2

)が追加され,さらに睡眠段階の分類 と名称が変わった点であった.

AASM

マニュアル2007 では,

R&K

の睡眠段階1は

stageN1

R&K

の睡眠段階2 は

stageN2

,そして

R&K

の睡眠段階3と睡眠段階4は一 括した徐波睡眠として

stageN3

にまとめられ,ノンレム 睡眠段階の分類が4種類から3種類に簡略化されている.

7 睡眠障害

 睡眠障害とは,日中の生活に支障を来たす,何らかの 睡眠および覚醒の障害で,我が国の成人では約20%,

すなわち5人中1人に認められる.24時間社会における 睡眠障害の問題は,国民の健康問題ばかりでなく,労働 災害も含めて社会経済的側面からも重要である.睡眠障

害,覚醒障害,睡眠覚醒リズム障害に対して,従来は主 に精神科が対応してきたが,睡眠時無呼吸症候群(

sleep apnea syndrome

SAS

)などの睡眠呼吸障害は耳鼻咽喉 科,呼吸器科,あるいは循環器科が中心となって診療す べき領域である.睡眠障害は心筋梗塞,脳梗塞の増悪因 子として重要であり,アメリカでは睡眠障害の予防で節 約しうる医療費は1兆6,000億円ともいわれている5

8 ICSD-2

 2005年

AASM

から睡眠障害国際分類第2版(

Interna- tional Classification of Sleep Disorders,

2nd

version

ICSD-2

)が報告された6.これは1990年に発表された 睡眠障害国際分類第1版(

ICSD-1

)に続く改訂版である.

ICSD-2

では,睡眠障害の病名および病状が96種類に分 類されている.表1に,

ICSD-2

の診断分類の概要を示 すが,

SAS

などの睡眠呼吸障害は,96種類もある睡眠 障害全般からみれば非常に限られた病態の一部にすぎな いことを理解すべきである.

9 睡眠呼吸障害とは

  無 呼 吸 は, 閉 塞 タ イ プ(

obstructive sleep apnea

OSA

),中枢タイプ(

central SA

CSA

),混合タイプ(

mixed SA

MSA

)と大別されるが,通常,混合タイプは閉塞 タイプに含まれる.一夜に起こる呼吸イベントは決して

W R N1 N2 N3

Stage

図 1 正常成人の睡眠経過図(AASM マニュアル 2007 ルール4)

表 1 睡眠障害国際分類(ICSD-2)の概要 1)不眠症

2)睡眠呼吸障害

 ◦中枢性睡眠時無呼吸症候群  ◦閉塞性睡眠時無呼吸症候群  ◦睡眠時低換気(低酸素血症)症候群

 ◦内科疾患による睡眠時低換気(低酸素血症)症候群  ◦その他の睡眠呼吸障害

3)睡眠呼吸障害によらない過眠症  ◦ナルコレプシー

 ◦睡眠呼吸障害またはナルコレプシーによらない過眠症  ◦その他の過眠症

4)概日リズム睡眠障害  ◦原発性概日リズム睡眠障害

 ◦行動により引き起こされた概日リズム睡眠障害  ◦その他の概日リズム睡眠障害

5)睡眠時随伴症

 ◦ノンレム睡眠からの覚醒時睡眠随伴症

 ◦ 通常レム睡眠と関連する睡眠時随伴症(レム睡眠行動 障害)

 ◦その他の睡眠時随伴症

6)睡眠時運動障害(むずむず脚症候群)

7)その他の睡眠障害

8)恐らく正常変異および未解決の間題と考えられる孤発症状

* International C1assification of Sleep Disorders, 2nd ed.(文献6 より引用)

(8)

同一のものが続くわけではなく,これらが混在し,経過 により,その組成は変化する.睡眠時無呼吸症状群(

SAS

) は閉塞性

SAS

obstructive SAS

OSAS

)と中枢性

SAS

central SAS

CSAS

)とに分けられるが,通常

SAS

と いえば,最も頻度が高い

OSAS

の意である.

OSAS

は,

米国睡眠学会(

AASM

)の基準によって「

EDS

もしく は閉塞性無呼吸に起因する様々な症候のいくつかを伴 い, か つ 無 呼 吸 低 呼 吸 指 数(

apnea-hypopnea index

AHI

)≧5」と定義される2.しかし,

OSAS

以外にも睡 眠に関連して発病または増悪する呼吸・循環障害は多数 存在し,これらは総称して睡眠関連呼吸障害(

sleep re- lated breathing disorders

)または睡眠呼吸障害(

sleep-dis- ordered breathing

SDB

)と呼ばれる.表2は,

ICSD-2

6 による

SDB

の診断分類を示す.

 循環器疾患を治療する上で関連のある

SDB

は,

OSAS

の他に,チェーンストークス呼吸(

CSR

)がある.

CSR

は,表2の

CSAS

の中に含まれるチェーンストークス呼 吸パターンを示すもののうち,心疾患,脳血管疾患およ び腎不全の既往または合併のある患者において診断され る. 表 中 に は な い が, 最 近,

OSAS

の 持 続 陽 圧 呼 吸

continuous positive airway pressure

CPAP

) 治 療 中 に

CSA

が 新 た に 出 現 す る も の を 複 合 性

SAS

complex SAS

compSAS

)と定義されたが,この疾患の定義や 病態はまだ不明の点があり流動的で,今後のエビデンス の集積が必要である.

疫学(欧米人,日本人に おける頻度,予後)

 睡眠呼吸障害(

SDB

)の有病率には人種差があり,コ ーカサス系白人に比べアジア系や黒人には

SDB

が多い といわれている.今のところ,

SDB

に関する大規模な 疫学研究のほとんどが欧米からの報告であるが,有病率 に関しては日本と欧米とで大きな違いはないと考えられ る.近年,

SDB

と種々の循環器疾患との関連を示唆す るエビデンスが蓄積されており,多くの循環器疾患で

SDB

の高い有病率が報告されている(図2).

1 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

の疫学

 

OSA

に関しては欧米,オーストラリア,アジアなど 表 2 睡眠呼吸障害(SDB)の ICSD-2 診断分類6)

1)中枢性睡眠時無呼吸症候群   ◦原発性中枢性無呼吸

  ◦病的状態による他の中枢性無呼吸 チェーン・ストークス呼吸パターン 高地での周期性呼吸

上記でない中枢性無呼吸   ◦薬物,物質による中枢性無呼吸   ◦乳児の原発性睡眠時無呼吸 2)閉塞性睡眠時無呼吸症候群   ◦閉塞性無呼吸(成人)

  ◦閉塞性無呼吸(小児)

3)睡眠関連低換気/低酸素症候群

  ◦睡眠関連非閉塞性肺胞低換気,特発性   ◦先天性中枢性肺胞低換気症候群

4)病的状態による睡眠関連低換気/低酸素

  ◦肺実質あるいは血管疾患による睡眠関連低換気/低酸素   ◦下気道閉塞による睡眠関連低換気/低酸素

  ◦神経筋あるいは胸壁疾患による睡眠関連低換気/低酸素 5)他の睡眠呼吸障害

  ◦分類不能

全高血圧7)

薬剤耐性高血圧症8)

心不全9)

心房細動10)

冠動脈疾患11)

急性冠症候群12)

大動脈解離13)

Kales et al.

Lancet 1984

Sampol et al.

Am J Respir Crit Care 2003 Logan et al.

J Hypertension 2001 Oldenburg et al.

Eur J HF 2007 Gami et al.

N Engl J Med 2005 Schäfer et al.

Cardiology 1999 Yumino et al.

Am J Cardiol 2007 30%

80%

76%

50%

31%

57%

37%

図 2 各心血管疾患における睡眠時無呼吸合併頻度

(9)

でいくつかの

population

ベースの

cohort study

(コホー ト研究)が行われており,その高い有病率が報告されて いる.なかでも30~60歳を対象とした米国の

Wiscon- sin Sleep Cohort Study

は有名で,

AHI

≧5の

SDB

の割合 は男性24%,女性9%であり,そのうち症状を呈する

SAS

患者の割合は男性4%,女性2%であったと報告さ れている14.その他の大規模疫学調査でもほぼ同様の結 果が報告されており,平均すると5人に1人は

AHI

≧5 であり,15人に1人は

AHI

≧15,つまり循環器疾患の 発症リスクの高まる中等~重症の

OSA

に罹患している と考えられている.我が国では大規模な疫学研究はなく,

正確な

OSA

有病率は明らかではないが,一般住民910 名を対象とした疫学調査において

AHI

≧10の

OSAS

は 男性3.3%,女性0.5%(全体で1.7%)との報告があり,

患者数は約200万人と推定されている15.しかし問題は 診断率であり,治療の対象となる

OSA

の85%以上が未 診断といわれている.

 未治療の

OSA

患者246名を対象にした8年間の追跡研 究によれば,無呼吸指数(

AI

)>20の群の生存率は63

%であり,

AI

≦20の群(96%)に比べ有意に生存率が 低下する16.また,

Wisconsin Sleep Cohort Study

におけ る1,522名を対象にした18年間の追跡研究においても,

SDB

群に比べ

SDB

群で有意に死亡率が高いことが報 告されており(ハザード比:軽症1.6,中等症1.4,重症 3.0),無治療の重症群になるとハザード比は3.8,さら に心血管系疾患による死亡に限定すると5.2(無治療重 症群)までリスクは上昇する17.同様の報告は,40~ 65歳の男女380名を平均13.4年間追跡したオーストラ リアの研究グループからもされており,中等~重症の

OSA

は有意に死亡リスクを高めることが示されている

(ハザード比:6.24)18

1 循環器疾患と OSA

 

OSA

は低酸素血症や交感神経活性の亢進などを介し て二次的に種々の病態を惹起する.特に循環器疾患との 関連は強く,合併頻度が高いだけでなく,

OSA

により 循環器疾患の病態が修飾される.米国の

Sleep Heart Health Study

SHHS

)によれば,

AHI

≧11の

SDB

があ る群での主な循環器疾患発症のオッズ比は,心不全 2.38,脳卒中1.58,冠動脈疾患1.27であった19

2 高血圧

 

OSA

患者の50%に高血圧が認められ,高血圧患者の 30%に

OSA

が認められる20.米国の

SHHS

では,体格,

アルコール摂取量,喫煙量などで補正した上で

AHI

30群と

AHI

<15群を比較したところ,

AHI

≧30群で有 意に高血圧罹患率が高く(オッズ比:1.37),

OSA

が高 血圧発症の独立した危険因子であることが示されてい る21

3 心不全

 心不全患者の11~37%に

OSA

が合併すると報告され ている22)-24.男女別にみると,男性38%,女性31%と 男性により多いようである22.心不全における

OSA

の 危険因子は,男性では肥満,女性では年齢(高齢)であ る.また,カナダにおける平均2.9年間の前向き観察研 究によれば,

OSA

合併心不全患者における死亡率は,

無治療の場合,

AHI

<15の

OSA

群に比べて

AHI

≧15 の

OSA

群で有意に高いことが報告されている(ハザー ド比:2.81)24.また,我が国での

OSA

合併心不全88例 における観察研究によれば,無治療

OSA

群の死亡およ び入院率が有意に高かったと報告されている(ハザード 比:2.03)25

4 脳血管障害

 50歳以上を対象にした平均3.4年間の観察研究によれ ば,

AHI

≧5の

OSA

患者群における脳卒中および死亡 の リ ス ク は 対 照 群 に 比 べ 有 意 に 高 い( オ ッ ズ 比:

1.97)26.また,脳血管障害発症後にリハビリテーショ ン目的で入院した患者132名における検討では,

OSA

CSA

,混合型の合併頻度は各々17%,21%,1.5%であ ったと報告されている27.さらに一過性脳虚血発作で入 院した患者の62%が

AHI

≧10であり,健常者(12%)

に比べ有意に多いことも報告されており,

OSA

の脳血 管障害発症への関与も示唆されている28

5 不整脈

 

OSA

における不整脈の合併率は高く,

AHI

の増加や 低酸素血症の増悪に伴い増加する.夜間の不整脈は

OSA

患者の50%近くに認められる20.睡眠中に比較的 よく認められるのは,心房細動,非持続性心室頻拍,洞 停止,2度房室ブロック,心室期外収縮などである20. 重度の

SDB

は夜間の不整脈のリスクを2~4倍高める.

年齢,性別,

BMI

,冠動脈疾患で補正した上での

SDB

患者(

AHI

≧30)での不整脈発症のリスクは,心房細 動(オッズ比:4.02),非持続性心室頻拍(3.40),心室 期外収縮(1.74)で有意に高い29

6 虚血性心疾患

 冠動脈疾患患者における

SDB

の合併率は,冠動脈疾

(10)

患のない患者における合併率の約2倍である20.また,

健常者と比較した場合,

OSA

患者における虚血性心疾 患の発症リスクは1.2~6.9倍と報告されている30.ス ペインにおける平均10.1年間の前向き観察研究によれ ば,健常者と比較した場合,無治療重症

OSA

患者群の 致死的心血管イベント(心筋梗塞あるいは脳卒中による 死亡)および非致死的心血管イベントの発生率は各々 2.87倍,3.17倍増加する31

7 突然死

 心原性突然死を来たした112例の解析によれば,

OSA

症例での深夜0時~午前6時における突然死は46%であ り,

OSA

のない症例(21%)に比べ有意に高頻度であり,

OSA

症例が同時間帯に心原性突然死を来たす相対危険 度は2.57倍であった10

8 肺高血圧症

 

OSA

患者では睡眠中に肺動脈圧の上昇が起こること がある.

AHI

>20の

OSA

患者220名の解析によれば,

17%に肺高血圧(平均肺動脈圧>20mmHg)の合併が 認められている32

2 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

の疫学

 

CSA

は心不全をはじめ左室機能低下や脳卒中で比較 的多く認められる無呼吸パターンであり,多くの場合そ うした心血管系疾患の結果として出現してくると考えら れている.一般集団を対象とした米国のペンシルベニア における

cohort study

(コホート研究)によれば,中枢 性無呼吸指数(

CAI

)≧20の

CSA

患者は女性および65 歳以下の男性では認められず,65歳以上の男性で5%認 められた33),34.また,

CAI

≧2.5の

CSA

患者は,20~ 44歳,45~64歳,65~100歳で各々0%,1.7%,12% 認められたと報告されている.さらに40~97歳を対象 とした

SHHS

による解析では

CAI

≧1の

CSA

症例は9% であった35

 心不全患者における

CSA

の合併率は21~40%と報告 されている22)-24.これは

OSA

合併率とほぼ同じ割合で あるが,

AHI

≧15/hrをカットオフ値とすると心不全の 51.9%が

SDB

であり,そのうちの63%が

CSA

であった と報告されている9.チェーンストークス呼吸(

Cheyne- Stokes respiration

CSR

)は基本的に中枢性睡眠時無呼 吸低呼吸に伴う呼吸パターンであり,収縮機能障害,拡 張機能障害,各種弁膜疾患など様々な病態で認められる

が,最も多いのが収縮機能障害である.収縮不全例では

CSA/CSR

は主要な予後予測因子の1つであり,死亡リ スクを2.14倍上昇させる36.また,

CSR-CSA

合併心不 全患者は,

CSR-CSA

非合併心不全患者に比べて有意に 死亡率,心臓移植率が高い(相対危険度:2.53)37.心 不全患者における

CSA

の危険因子は,男性,心房細動,

年齢≧60歳,低炭酸ガス血症(≦38mmHg)と報告さ れている22

病 態

1 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

1 発生機序

 睡眠時無呼吸は

CSA

OSA

とに分類されるが,その 大部分は

OSA

である.

OSA

の基本的病態生理は,睡眠 中に出現する上気道(特に咽頭部の)の狭窄・閉塞であ り,これが10秒以上持続したときに無呼吸と定義され る.ヒトは通常,仰臥位で就寝するが,このとき,重力 の影響を受け口蓋垂,舌根部が沈下するため上気道は狭 小化する.睡眠状態に入ると,上気道を構成している筋 肉群(頤舌筋などの上気道拡大筋)が活動性を失い弛緩 するため,上気道はさらに狭小化する.しかし,上気道 に形態学的・機能的異常のない健常者では,この程度の 上気道の狭小化は呼吸に大きな影響を及ぼさない.一方,

OSA

患者は,上気道の形態学的あるいは機能的な異常 により睡眠中に容易に上気道が狭窄・閉塞し,無呼吸が 出現する38

OSA

に特有な著明ないびきは狭窄した上 気道を通過するときの呼吸音である.

P mus

P mus

P mus

P mus Pharynx open : P mus + P lumen > P close Pharynx closed : P mus + P lumen < P close

(文献39より引用)

Luminal Pressure

図 3 上気道の開存性の圧バランスモデル

(11)

 上気道の開存性は図3に示すような圧バランスモデル により決定されると考えられている39.上気道を閉じよ うとする力(

P lumen

)は主として吸気時に発生する陰 圧であり,逆にそれに抗して上気道を広げようとする力 が頤舌筋をはじめとする上気道拡張筋の活動性である.

覚醒時では,十分な上気道拡張筋の働き(

Pmus

)によ り気道は開存している(図4)が,睡眠時にはその活動 性が失われ,その程度が異常であれば上気道は閉塞し(図 5),閉塞性無呼吸が出現する.さらに,この上気道の 開存性に大きな影響を及ぼすのが上気道の解剖(形態)

である.例えば,肥満による脂肪の沈着や軟部組織の発 達が著しく,もともとの上気道の形態が狭ければ,わず かな陰圧でも容易に上気道は狭窄・閉塞を起こす.この ように,上気道の開存性は形態学因子と機能的因子によ り規定されている.

① 形態学因子の異常

 上気道(咽頭腔)の狭小化を来たす因子としては,表 3 40に示すように軟部組織,頭蓋顔面形態,体位の3つ がある.肥満は

OSA

発症の最大のリスク因子であり,

肥満者の上気道は軟部組織の発達や過度の脂肪沈着のた め,に示すように常に狭小化している.したがって,吸 気時の陰圧により容易に閉塞する.肥満を伴う先天性疾 患(ダウン症候群,

Prader-Willi

症候群など)では

OSA

の有無を念頭に置く必要がある.しかし,欧米の

OSA

患者の多くが肥満を伴うのに対し,我が国の

OSA

患者 の1/4~1/3は非肥満であることに注意しなくてはなら ない.扁桃肥大(3度)による

OSA

は成人ではまれであ るが,小児では比較的多くみられ,扁桃摘出により完治 が望める.まれではあるが巨舌を呈する内分泌疾患(甲 状腺機能低下症,先端巨大症)や代謝疾患(アミロイド ーシス)などは二次性の

OSA

を起こすことがある.

 非肥満の

OSA

では,しばしば頭蓋顔面形態の異常が みられる.特に,我が国を含めたアジア人種では,長顔,

下顎の後退,小顎症などのため,仰臥位で咽頭部が狭小 化し

OSAS

を発症しやすい.

② 機能的因子の異常

 図3 39に示すように,上気道の開存性は気道腔内の陰 圧と上気道拡張筋の活動性のバランスにより決定されて いる.気道内陰圧は横隔膜の収縮力によって決定される が,気道腔内の陰圧が上気道拡張筋の活動性を上回れば 上気道は閉塞する.上気道拡張筋の活動性は呼吸中枢や 大脳皮質の上気道支配領域からの刺激の程度に影響さ れ,睡眠状態にも大きな影響を受ける.図6 41に示すよ うに,睡眠により上気道拡張筋群の活動性が低下して上 気道は狭小化するが,この程度が強ければ上気道は閉塞

表 3 上気道閉塞を来たす形態学的因子 1)軟部組織の因子

◦肥満による上気道軟部組織への脂肪沈着

◦扁桃肥大

◦巨舌

◦上気道の炎症(アレルギー性鼻炎,慢性副鼻腔炎,咽 頭炎など)

2)頭蓋顔面骨の因子

◦上顎骨の後方偏位

◦下顎骨後方偏位

◦下顎骨の未発達,小顎症 3)本位の因子

◦仰臥位

◦頸部の屈曲

◦肺気量の変化

◦循環血液量の変化

(文献40より引用改変)

図 5 OSAS 患者の睡眠中の上気道

(文献38より引用)

図 4 覚醒時の上気道

(文献38より引用改変)

喉頭蓋

軟口蓋

口腔咽頭部 後部咽頭壁 頸椎

(12)

OSA

が出現する.アルコールや睡眠導入薬は

OSA

を 増悪させるが,これは,舌下神経の活動が抑制されて上 気道拡張筋の活動性が失われるためである.

③ 体 位

 上気道の形態は体位により大きな影響を受ける.仰臥 位では重力による舌根部の沈下のため上気道が狭小化す るが,側臥位や腹臥位では重力の影響を受けにくいため 狭小化が防げる.頸部の屈曲は上気道の狭小化を助長す る.また,肺気量の変化も上気道の形態を変化させ,肺 気量の増加は上気道を拡大し,低下は狭小化を招く.さ らに,体位による循環血液量の変化(立位から臥位)も 上気道の狭小化を招くことが報告されている.

2 臨床症状

 本症候群では極めて大きないびきや無呼吸が典型的症 状である.自覚的臨床症状としては,昼間の過剰な眠気 が典型的であるが,週に2回以上過剰な眠気を訴えるも のは,

AHI

≧5の中年患者のうち,男性で22.6%,女性 で15.5%である14.眠気の主観的な尺度としては一般に

Epworth Sleepiness Scale

ESS

)が使用され,11点以上 が異常な眠気あり,16点以上で重症と判定する.現在,

日本人向けに一部改変されたものも

http://www.i-hope.jp

からダウンロード可能である.循環器疾患患者では自覚

症状が乏しい場合も多く,例えば心不全患者で,客観的 にはより眠気の強い状態でありながら自覚的には眠気を 感じることが少ないという報告がある42.したがって,

循環器疾患患者を診察する際には,肥満・顔面形態・咽 頭形態の異常の有無に注意して,異常が疑われる際には パルスオキシメータ検査などを用いて積極的に

OSA

を 探すよう心掛ける必要がある.我が国での検討によると,

AHI

≧5の群で日中の過剰傾眠,熟睡感の欠如,全身倦 怠感,夜間頻尿,夜間呼吸困難などをはじめとする症状 が報告されている(表4)43.さらに性機能低下,幻覚,

うつといった症状も付随することがある.

OSA

では胸 腔内が陰圧になることによって胃液が食道内に逆流しや すく,この結果,胃食道逆流症の合併が多く,

CPAP

治 療で改善することが知られている44.胃食道逆流症によ る夜間の安静時胸痛は冠攣縮性狭心症の症状と類似して いるため,循環器診療にあたって注意が必要である.ま た,

OSA

患者では夜間口呼吸をしており,口腔内・咽 頭などが乾燥するために扁桃炎を繰り返し生じることが あり,これが

CPAP

などの治療により軽減することもし ばしば経験される.

 他覚的徴候としては,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の象 徴であるいびきが挙げられるが,我が国の報告では

OSA

の93%でいびきの合併を認めている43.一方,週 3回以上いびきをかく人の33%に

AHI5

~15,28%に 図 6 覚醒時と睡眠時の上気道

A Wakefulness B Sleep

(13)

AHI

≧15の睡眠呼吸障害を認めたと報告されている.

その他,多くの症例で,ベッドパートナーなどから睡眠 中の無呼吸や異常体動を指摘されている43

 一方,高度の

OSA

が長期に続いた場合に,循環器疾 患の悪化など心血管系に異常を来たすことが知られてい るが,これに伴う症状については,本ガイドラインの各 論を参照されたい.

1 血行動態への影響

 

OSA

が心血管系に与える影響は,胸腔内が繰り返し 高度の陰圧・低酸素状態・高炭酸ガス状態になること,

これらの結果,交感神経活動の活性が短期的・長期的に 亢進すること,また低酸素のために生じる液性因子や血 管内皮の変化などが重なって生じると考えられている.

 高度な

OSA

では胸腔内に-50mmHg以上の陰圧が一 晩中繰り返して生じているが,これは心臓全体に対して 外部から間欠的な吸引を行うことと同様の作用をもたら しており(

transmural pressure

の上昇),心室収縮に対し て逆方向の力を作用させることで後負荷の上昇と同様の 作用を及ぼし,直接的に心収縮に悪影響を与えているこ とになる45.一方,胸腔内が陰圧になると静脈還流が急 速に増加し,右心系の容積が急激に増大する.その結果,

心室中隔が左室側に変位するため,左室の収縮・拡張が 妨げられ,左心機能が一過性に低下する46(図7).

OSA

で生じる気道閉塞下の吸気時には,上記の結果生じる心 拍出量の減少により,健常心でも体血圧・肺血圧の低下 が認められるが,不全心では心拍出量の低下はさらに大 きくなる上に心拍出量や血圧の回復が遅延することが知 られており47,心不全患者に

OSA

が合併していると夜 間の無呼吸時に心機能がさらなる悪化を来たしているも の と 考 え ら れ る(図8).

OSA

の あ る 心 不 全 患 者 に

CPAP

治療を行うと左室駆出率が改善するが48,この機 序の1つとして,以上のような短期的な物理的悪影響の 改善があるものと考えられる.現時点でこうした血行動 態に対する物理的な悪影響が中期⊖長期的な心機能の悪 化にどの程度関与し,また予後とどの程度関連があるか については明らかになっていない.

 特に重症の

OSA

では一晩中高度の低酸素状態を繰り 返しているが,こうした低酸素状態は,正常人では心収 縮には短期的影響は及ぼさないことが示されている49. しかし,高度の心機能障害がある場合に高度の低酸素が 生じると悪影響がある可能性もあり,今後の検討課題で ある.一方,低酸素状態は左室の拡張障害を招く可能性 が示唆されており50,正常心でも心機能全体としては悪 影響を受ける可能性があるものと考えられる.さらに,

低酸素状態が肺動脈収縮を招き肺動脈圧が上昇すること は古くから知られているが51,短期的中期的に右心機能 を悪化させる原因となる.

 

OSA

患者での中長期的な血行動態変化には交感神経 活動の亢進や体液性因子の変化が関与しているものと考 えられているが,これらの点については他項を参照され たい.

表 4 自覚症状・他覚徴候

症状・徴候 発現頻度(%)43)

いびき 93

無呼吸の指摘 92

夜間体動異常 54

日中の過剰傾眠 83

熟睡感の欠如 51

全身倦怠感 51

夜間頻尿 40

夜間呼吸困難感 38

起床時の頭痛 35

夜間覚醒 35

集中力低下 28

不眠 19

うつ,性機能障害,胃食道逆流症 記載なし

図 7 閉塞性睡眠時無呼吸の血行動態への影響

 上気道の閉塞(①)が生じると,吸気時の呼吸筋運動(②)

により,全身からの静脈還流が増加(③)する結果,心室中隔 は左心室の方向に張り出す(④).また,左心室に対する外部 からの陰圧は(⑤),収縮に対する障害(後負荷の増大)となり,

心機能が低下する.

(14)

4 交感神経活性と神経体液性因子への 影響

 

OSA

を有する患者において無呼吸時のみならず昼の 覚醒時においても,交感神経系が亢進していることが,

就寝中の尿中ノルエピネフリン濃度の上昇や筋交感神経 活動の直接記録により確かめられている.交感神経活動 の亢進機序には無呼吸に伴う,(1)低酸素血症,(2)高炭 酸ガス血症,(3)肺伸展反射の消失,および(4)途中覚 醒がある.交感神経活動の亢進は

OSA

における一過性 および持続性の血圧上昇にかかわっている52)-54(図9).

① 低酸素血症

 無呼吸に伴い動脈血酸素分圧は進行性に低下し,二酸 化炭素分圧は上昇する.低酸素血症は頸動脈体の末梢化 学受容器を刺激し,反射性に交感神経活動を亢進させる.

二酸化炭素分圧の上昇も中枢の化学受容野を介して交感 神経活動を亢進させるが,その効果は低酸素化学反射よ り弱い.むしろ二酸化炭素負荷は末梢化学受容器の感受 性を亢進させ,低酸素化学反射を増幅させる効果がある.

② 覚醒反応

 覚醒反応による交感神経活動の亢進は一過性に血圧を 著しく上昇させる.また無呼吸の気道閉塞時には,息止 めや低酸素血症により反射性に副交感神経活動が亢進し

心拍数は減少するが,覚醒により副交感神経緊張が解か れるため心拍数は増加する.覚醒反応は無呼吸終了時の 一過性の血圧サージには大きく貢献しているが,昼間の 持続性血圧上昇には低酸素血症よる交感神経活動の亢進 の関与が大きいとされている55

③ 動脈圧反射のリセッティング

 

OSA

においては,頻回に繰り返される血圧上昇や低 酸素血症により圧反射のセットポイントが変わり,交感 神経の亢進が昼まで持ち越されている可能性がある.圧 反射のリセッティングは,

OSA

患者の覚醒時に認めら れる筋交感神経活動の亢進やノルエピネフリン濃度の上 昇を説明しやすいが,まだ確定されていない.

④ 降圧機序

 

OSA

では昇圧機序と同時いくつかの降圧機序も作動 している.その一つは,低酸素血症による局所血管への 拡張作用である.この作用は血管のタイプにより異なる が,

NO

を介する可能性が示唆されている.第二は,低 圧系圧反射による交感神経抑制である.

OSA

で胸腔内 圧が低下すると中心血液量が増加し,心房の伸展受容器 と迷走神経求心路を介して交感神経が抑制される.第三 に,心房の伸展により心房性利尿ペプチドが分泌され,

血管拡張と腎からのナトリウム・水排泄がおこる.この ような種々の降圧機序が作動しているにもかかわらず昇 図 8 短時間の陰圧負荷に対する血圧・心拍出量の変化

(mmHg)

100

−10−20

−30−40

胸腔内圧血圧

(ml/m2) 4 0

−4

−8

−12

1回拍出量

(mmHg)

10 0

−10

−20

−30

降圧

10秒 正常人 心不全患者

上気道の閉塞時に生じる短時間の胸腔内圧の陰圧化によって,血圧や心拍出 量は大きく低下するが,その程度は心不全患者で高度である.

(15)

圧反応がおこるのは,無呼吸に伴う昇圧機序がはるかに 強力であることによる.

5 炎症,酸化ストレス,血管内皮,動 脈硬化への影響

 動脈硬化の発症と進展には炎症が重要な役割を果たし ており,多くの免疫細胞やサイトカインが関与する57. なかでも高感度

C-reactive protein

CRP

)や

interleukin

IL

-6

は,優れた心血管イベントの発症予知因子である.

実際,

OSA

患者から血清中の

CRP

値と

IL-6

値を測定す ると,

OSA

が重症なほど血清中の

CRP

値と

IL-6

値は増 加していた58.また,炎症マーカーの1つである

serum amyloid A

OSA

患者では増加している59

 

OSA

における無呼吸や低呼吸による低酸素血症の後 の再呼吸による低酸素血症の改善では,虚血と再灌流に よる障害が全身で起こることになる.In vitro

HeLa

cell

を間欠的な低酸素に曝露し,

hypoxia-inducible fac- tor-1

HIF-1

)と

nuclear factor-kB

NF-kB

)の転写因子 活性を検討したところ,間欠的な低酸素曝露では

NF-kB

は活性化されるが,

HIF-1

は活性化されなかった60.よ って,

NF-kB

に依存する

tumor necrosis factor

TNF

-

α,

IL-8

ICAM-1

な ど の 産 生 は

OSA

患 者 で 増 加 し て い る61)-63.また,

DNA oxidation

の指標である8-hydroxy- 2-deoxyguanosine(8-OHdG)の産生も亢進している64. さらに,8-isoprostane(8-isoprostaglandin F2α)を含め,

各種の脂質酸化ストレスマーカーが

OSA

患者の血清や 尿中で上昇している65

 

OSA

患者ではエンドセリンやアンジオテンシンの値 が上昇することで,持続した血管収縮が誘導され血管内 皮障害が誘導される.最近の報告では

OSA

患者から分 離した血管内皮細胞に発現している

eNOS

P-eNOS

は 低下しており,血管内皮細胞からの

NO

産生が低下して

覚醒時の心拍数増加 無呼吸時の心拍数減少

胸部大動 脈伸展 肺血管床

伸展 肺動脈圧

上昇 左室充満圧 上昇 肺血管収縮

副交感神経

高二酸化炭素 血症 低酸素

血症

肺血管床内 血液貯留

心 静脈還流

循環平衡 心室

相互連関

心筋虚血 不整脈 心不全 抑制

亢進 急性効果

急性・慢性 効果 抑制

中心血液量増大

右室流入

増大 左室流入

障害

心拍出量 変動

体血管収縮 腎 O2化学反射

(頸動脈洞神経)

直接作用 圧反射動脈

ANP 低圧系 圧反射

圧反射 リセッティング 副腎髄質

交感神経 緊張

高血圧

左室肥大 左室後負荷

増大 胸部大動脈内

血液貯留 胸腔

内圧低下

増幅 無呼吸

直後の覚醒

閉塞性睡眠時無呼吸

図 9 閉塞性睡眠時無呼吸の病態生理

 閉塞性睡眠時無呼吸では,(1)気道閉塞下の呼吸努力に伴う胸腔内圧の低下,(2)低酸素血症,そして(3)覚醒反 応が循環動態を大きく変動させ,自律神経系と各種反射調節系を巻き込んで,一過性および持続性の血圧上昇にかかわ っている.点線は降圧機序を示す56).ANP:心房性利尿ペプチド

図 3 上気道の開存性の圧バランスモデル
表 9 スコアリングから求められる指標 全就床時間 TIB:time in bed/min 消灯~起床まで
図 18 Stage REM
図 19 覚醒反応(arousal) 30sec 脳波周波数のα,θ,紡錘波を除く周波数 16Hz以上の速波への突然の変化である.最低3秒以上持続し,その前には最低10秒以上 の睡眠がなければならない.occipital,central 両誘導にて判定する. 図 20 無呼吸(apnea) A 中枢性無呼吸(Central apnea) B 閉塞性無呼吸(Obstractive apnea) C 混合性無呼吸(Mixed apnea) 2 min2 min 2 min吸気努力が消失している.吸気努力を認める
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参照

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