デスフルラン時代の周術期管理
岡山大学麻酔科蘇生科 森松 博史
本日のお話
•
デスフルランの特徴!
!
!
•
岡山大学での現状デスフルランの特徴
3
デスフルランの特徴
速い!
Eger et al. Anesth Analg 1998; 86: 414-‐21
デスフルランの特徴
覚醒が速い!
デスフルランの特徴
組織からの消失が
速い!
デスフルランの特徴
機能回復が速い!
デスフルランの特徴
速い!
2つのメタアナリシス
• 2005 Macario et al. Am J Health Syst Pharm
!
!
•
2010 Dexter et al. Anesth Analgデスフルラン
vs
セボフルランどれくらい早い?
メタアナリシス 2005
25
編の研究752
例vs
746
例メタアナリシス 2005
セボ ー デス 95% CI P value 命令に従う 1.7分 0.7 -‐ 2.7分 <0.001
抜管 1.3分 0.4 – 2.2分 0.003
はっきりする 1.8分 0.7 – 2.9分 <0.001
PACUから退室 -‐6.6 – 1.0分 0.07
SEVO DES RR (95% CI) P value
Early Nausea 99/354 (28%) 121/353 (34%) 1.23 (0.98 to 1.53) 0.07 Late Nausea 84/347 (24%) 96/348 (28%) 1.14 (0.89 to 1.47) 0.31
メタアナリシス 2005
•
デスフルランはセボフルランよりも速い・・・• By 1-‐2 minutes
・・・!
•
リカバリーからの退室、PONV
に差はなし。あんまり差がないのねー !?!?
メタアナリシス 2010
メタアナリシス 2010
•
麻酔データベースによる解析(n=32,792)
• 29
編の研究をメタ解析メタアナリシス 2010
抜管までの時間には
外科医の影響が大きい???
メタアナリシス 2010
メタアナリシス 2010
•
研究ごとで評価しても差はあまりない。•
研究ごとでかなり差がある。相対的評価と術者ごとの評価を!
デスフルランはセボフルランと比べて
抜管までの時間の平均値とそのばらつきを
20-‐25%
減らすことができる。抜管までの時間のばらつきが減れ
ば覚醒遅延が減る!
メタアナリシス 2010
•
デスフルランはセボフルランと比較して覚 醒までの時間とそのばらつきを20-‐25
%減 少させる。!
•
デスフルランでは覚醒遅延が減る。まとめ
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デスフルランは速い。!
•
デスフルランは確実に速い。!
•
デスフルランは予測しやすい。岡山大学の現状
27
岡山市
!
!
人口 713,875人医師 600名! 看護師 850名!
パラメディカル 240名 事務員 150 名
岡山大学病院
岡山駅よりバスで10分!
!
外来患者約2000名/日!!
術前外来 約25名/日! ペイン外来 約40名/日岡山大学病院
865
床!
!
ICU/CICU
30
床!
麻酔科2
床岡山大学病院
新総合診療棟開設
(
2013
年5
月)手術室
13
室→20
室へ 手術件数→10,000
件へ手術件数の推移
0 2500 5000 7500 10000
2009 2010 2011 2012 2013
麻酔科管理症例数 局所麻酔症例数
スタッフ
! ! 19
名!
医員! ! ! 13
名!
大学院生! ! 12
名!
非常勤医師! ! 7
名!
レジデント! ! 3
名!
初期研修医! ! 2
名Total 56
名2014. 4. 1 現在
男
:
女= 38 : 18
岡山大学 麻酔科
岡山大学病院での使用状況
➢手術室 20
室(+手術室外3
室)!
– Aisys 、 Avance 、 Aestiva/5!
• Aisys:
それぞれの麻酔機にセボフルラン、イソフルラン、デスフルランの気化器あり
!
• Avance
、Aestiva/5:
セボフルラン、デスフルランの気化器有り!
➢ 2013
年5
月の手術室移転に伴い、全室にデスフル ランの気化器を導入全室に導入した経緯・メリット
➢移転に伴う新規購入 !
– 13
室から20
室への増床!
• 2
台から23
台へ!
➢全ての部屋で同じ条件で麻酔を行える !
–
科によって部屋が分かれてきているが、制約無く麻 酔管理が可能!
–
教育的意義!
➢ Isoflurane
の使用減少岡山大学における吸入麻酔薬の使用割合
(
2012/1
〜2014/4
)Isoflurane Desflurane Sevoflurane
腎移植患者への使用
➢岡山大学病院では 2013
年より生体腎移植 術の麻酔管理をデスフルランを用いて行っ ている麻酔科 腎移植への関わり
➢周術期管理センターでの術前診察、術中の麻
酔管理、術後のICU
管理!
➢ドナーの周術期管理 !
!
!
➢ ICU
入室期間:平均6.1
日(5
〜9
日)!
➢手術時間:平均 9
時間22
分麻酔導入
0 45 90 135 180
8:53 9:53 10:53 11:53 12:53 13:53 14:53 15:53 16:53
0 1.3 2.5 3.8 5
0 50 100 150 200
2017.09.24 9:32 2017.09.24 11:12 2017.09.24 12:52 2017.09.24 14:32 2017.09.24 16:12
麻酔記録(腎移植)
O2 (l/min) 6 0.7 6 Air (l/min) 2.3 0 Des (%) 4 5 4 0 Remi (ϒ) 0.4 0.05 0.2 0.1 0.15 0.1 0
ST1 (ml) 0 500 1000 1500 2400 HES (ml) 500 出血 (ml) 50 100
尿量 (ml) 70 250 600 820
× T ◎ ◎ T ×
血圧 (mmHg) 脈拍 (/min) CVP (cmH2O)
DesET (%)
腎静脈吻合 腎動脈吻合 尿管膀胱吻合
肝移植後、手術室での抜管
吸入麻酔薬の影響
背景1
➢心臓手術後、食道癌手術後、肝移植術後など大き
な手術後に気管内挿管チューブを早期に抜去する ことの利点・欠点について議論がなされている。!
➢肝移植術後の早期抜管による利点として、人工呼
吸器関連肺炎の予防、陽圧換気による肝血流減少 の防止などがあげられ、従来からの管理と比較し て低コストで、安全に行えるとの報告が多い。Rando K, et al. Liver transplantation 17: 1247-‐78, 2011
背景2
➢イソフルラン、デスフルランはいずれも
生体内での代謝率が非常に低く、肝動脈 緩衝作用を抑制しないことから、肝機能 に与える影響が少ない。!
!
➢ドナー、レシピエントを問わず、肝移植
術の麻酔管理に広く用いられている。Gelman S. Can J physiol Pharmacol 65: 1762-‐79, 1987
Ko JS, et al. Liver Transplantation 14: 1150-‐8, 2008
背景3
➢デスフルランはイソフルランと比較して、
覚醒・導入がより速やかである。
!
!
➢術後早期に気管内チューブを抜管すると
いう目的においては、有利であることが 予想されるが、報告は少ない。Yasuda N, et al. Anesthesiology 74: 489-‐498, 1991
目的
➢イソフルランによる麻酔管理と比較して、デス
フルランによる麻酔管理により、肝臓移植術後 に、!
–
手術室での気管内チューブ抜去に違いがあるか! –
抜管が可能であった場合に、抜管までの時間にどの程度違いがあるのか
!
–
術後の肝機能への影響はあるのか!
を明らかにすること。
方法
➢対象:岡山大学病院において 2008
年5
月より、2013
年6
月までに行われた生体・脳死肝臓移植手術118
症例!
➢術中の麻酔管理にイソフルランを用いた 84
症例(I
群)、デスフルランを用いた26
症例(D
群)に分け た。!
➢検討項目:術後 1
、2
、3
、7
日目のAST
、ALT
、T—
Bil
、PT—INR
、Cr
の変化、手術室で抜管を試みた症 例数、実際に手術室で抜管された症例数、吸入麻酔薬 投与終了後抜管までに要した時間、ICU
滞在日数麻酔記録( D 群)
0 40 80 120 160
2017.09.24 9:32 2017.09.24 11:12 2017.09.24 12:52 2017.09.24 14:32 2017.09.24 16:12 0 1.3 2.5 3.8 5
0 40 80 120 160
9:32 10:32 11:32 12:32 13:32 14:32 15:32 16:32
O2 (l/min) 6 1 6 Air (l/min) 2 0 Des (%) 3 4 5 4 5 4 3 0
AR (ml) 0 500 1000 1250 Alb (ml) 250 500 750 1000 1250
RCC (U) 2
FFP (U) 2 4 6 8 10 12 14 16 PLT (U) 10
出血 (ml) 50 560 1210
尿量 (ml) 235 555 845
× T ◎ ◎ T × 無肝期
血圧 (mmHg) 脈拍 (/min) CVP (cmH2O)
DesET (%)
肝動脈吻合 胆管吻合
結果1 患者背景
I群 D群
症例数 84 26 NS
年齢 44.3 46.4 NS
性別 (M/F) 46/38 16/10 NS
MELD 17.4 17.8 NS
身長 (cm) 148.9 152.0 NS
体重 (kg) 56.8 52.2 NS
手術時間 (min) 533.9 533.0 NS
無肝期 (min) 142.8 142.0 NS
GW/RBW (%) 1.38 1.53 NS
出血量 (ml) 4709.4 5036.3 NS
RCC (U) 12.5 11.4 NS
FFP (U) 19.7 15.9 NS
PLT (U) 11.0 15.4 NS
結果 2-‐1 AST/ALT の変化
AST
-‐90 182.5 455 727.5 1000
0 2 4 5 7
ALT
-‐225 0 225 450 675 900
0 2 4 5 7
I
群D
群結果 2-‐2 T-‐Bil/PT-‐INR の変化
T-Bil
-‐3.5 0 3.5 7 10.5 14
0 2 4 5 7
RT-INR
-‐0.2 0.24 0.68 1.12 1.56 2
0 2 4 5 7
I
群D
群結果 2-‐3 Cr の変化
-‐0.2 0.25 0.7 1.15 1.6
0 2 4 5 7
I
群D
群生存曲線
������
0 25 50 75 100
0 17.5 35 52.5 70
I群 D群
(月)
(%)
結果3 手術室抜管
I群 D群
症例数 84 26
抜管にトライした症例数 26 (31.0%) 6 (23.1%) NS 実際に抜管された症例数 17 (20.2%) 5 (19.2%) NS
抜管成功率 65.4% 83.3% NS
抜管までの時間 41.7分 15.6分 p<0.05
ICU stay (day) 20.2 19.9 NS
POD1までに抜管された症例 55 (65.5%) 17 (65.4%) NS
* 手術終了までに抜管の基準を満たし、吸入麻酔薬投与中止、筋弛緩薬のリバースなどが行われた症例
**吸入麻酔薬の投与を中止してから気管内チューブが抜去されるまでの時間
肝腎同時移植への使用
脳死肝腎同時移植
移植支える麻酔科医 2012年10月2日(火)NHK 放送
症例
!
58
歳 女性161cm
68.2kg (
理想体重57.02kg)
<現病歴>
!
12
年前よりⅡ
型糖尿病を指摘。2
年前より肝機能、腎機!
能の増悪を認め、今回脳死肝腎同時移植予定となる
!
!
<既往歴>
!
Ⅱ
型糖尿病(
腎症Ⅴ
期、網膜症合併) !
慢性腎不全HD
3
回/
週!
慢性肝不全
Child
分類C
MELDscore23
血液検査所見
WBC 7.34 (10 TP 5.1 (g/dL) BUN 18.6 (mg/dL)
Hb 11.7 (g/dL) Alb 2.1 (g/dL) Cr 5.05 (mg/dL)
PLT 181 (10 T-Bil 2.46 (mg/dL) eGFR 7.6 (mL/min/1.73㎡)
PT 114 (%) D-Bil 1.92 (mg/dL) Na 141 (mmol/L)
APTT 29.0 (sec) AST 34 (U/L)! K 3.2 (mmol/L)
Fibg 341 (mg/dL) ALT 19 (U/L)! Cl 108 (mmol/L)
AT3 56 (%)! ALP 454 (U/L)! HbA1c 4.5 (%)
FDP 10.4 (μg/mL) γ-GTP 30 (U/L)!
D-D 1.9 (μg/mL) CHE 90 (U/L) LDH! 413 (U/L)!
画像所見
両側胸水貯留
うっ血
+
肝萎縮
+
腹水・皮下浮腫
+
麻酔計画
➢ AOD-remifentanil!
➢ A
ライン、SG
カテ!
➢
右内頸静脈よりBA
、CHDF
を予定!
➢輸血: RCC40
単位、FFP40
単位、Plt20
単位!
– RCC
:カリウム除去フィルターO2 (l/min) 6 1 6 Air (l/min) 2 0 Des (%) 4 5 4 0 4 4.5 4 0
0 45 90 135 180
0 1.3 2.5 3.8 5
麻酔記録
× T ◎ ◎ T ×
無肝期
血圧 (mmHg) 脈拍 (/min)
DesET (%)
肝動脈吻合 胆管吻合
肝移植 6時間34分 腎移植 3時間9分
出血 4364ml CHDF
尿量 20ml
!
輸血量RCC 18 単位 FFP 14 単位 PC 10 単位
腎静脈吻合 腎動脈吻合
手術終了時デスフルラン、
レミフェンタニル投与中止
30分後に覚醒し36分後に手術室にて抜管
周術期管理センターの目的
(PERIO:Perioperative management center)
!
– 周術期管理センターは組織横断的に 業務を行い、手術を受ける患者に対して、
快適で安全・安心な手術と周術期環境を 効率的に提供する 2008
年9
月開設効率的な周術期管理と術後合併症の軽減
Anesth Analg 2011; 113: 63-‐9
デスフルランは術後の呼吸機能抑制
が少ない!
Anesth Analg 2012; 114: 410-‐5