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ソフトウェア関連特許に関する調査研究報告書 ―平成16年度―

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(1)

SOFTIC 16-4

ソフトウェア関連特許に関する調査研究報告書

―平成16年度―

平成17年3月

財団法人 ソフトウェア情報センター

(2)

KEIRIN この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

(3)

ソフトウェア情報センターでは、平成4年以降、「ソフトウェア関連発明の特許に関す る調査研究委員会」を設置し、コンピュータ・プログラムに関する日米欧の審判決や審 査ガイドラインなどをとりあげ、コンピュータ・プログラム関連の技術が特許対象にな るか、特許対象になるとしてどのようなクレームが認められるか、更には付与された特 許の保護範囲はどうなるか等についての調査研究を行い、また、国際シンポジウムにお いてコンピュータ・プログラム関連技術の特許保護の動向とそのあり方について検討し てきた。

このような中、特許庁は平成12年12月の新審査基準で、コンピュータ・プログラム も物の発明として特許対象となる旨を明らかにし、更に、コンピュータ・プログラム等 情報財の特許保護強化とネットワーク取引に対応するために、平成14年4月特許法等の 一部改正が行われた。この改正により、一定の要件の下にコンピュータ・プログラムも 特許により保護されることが特許法上も明確となり、ネットワークを利用した発明の実 施規定が整備され、間接侵害規定の拡充が図られた。

しかし、プログラム・クレームについては未解決の課題も少なくない。例えば、ビジ ネス方法に関する特許を含むソフトウェア関連発明の特許の場合は、権利範囲の記載が いわゆる機能的クレーム形式による場合が多く、そのような特許を権利行使した場合の 権利範囲をどのように考えるべきか等の問題がある。このような状況を踏まえて本委員 会では、平成9年度からソフトウェア関連発明特許の権利範囲について関連判例等を中 心に検討することとし、毎年報告書を発表してきた。平成16年度についても、その検討 内容を報告書としてとりまとめた。

本報告書が、今後わが国におけるソフトウェア関連特許の研究に少しでもお役に立つ ことができれば幸いである。

平成17年3月

(財)ソフトウェア情報センター 専務理事 山 地 克 郎

(4)

平成16年度「ソフトウェア関連特許に関する調査研究委員会」

(敬称略、五十音順)

委 員 長 相澤英孝(一橋大学 国際企業戦略研究科教授)

副 委 員 長 水谷直樹(弁護士、水谷法律特許事務所)

委 員 牛久健司(弁理士、牛久特許事務所)

〃 岡 伸夫(富士通㈱ 知的財産権本部特許部特許第三部部長)

〃 尾崎英男(弁護士、大場・尾崎法律事務所)

〃 片岡忠彦(日本アイ・ビー・エム㈱ 第二知的財産)

〃 熊倉禎男(弁護士、中村合同特許法律事務所)

〃 倉永 宏(日本電信電話㈱ 知的財産センタ権利化担当部長)

〃 高原亮二(日本ユニシス㈱ 法務部特許室パテントマネージャー)

〃 谷 義一(弁理士、谷・阿部特許事務所)

〃 筒井邦恵(㈱日本総合研究所 法務部)

〃 中山信弘(東京大学 大学院法学政治学研究科教授)

〃 平嶋竜太(筑波大学助教授 経営・政策科学研究科企業法学専攻)

〃 藤倉信之(㈱日立製作所 知的財産権本部主管技師)

〃 光主清範(㈱東芝 知的財産部デジタル著作権担当部長)

〃 安田有三(弁護士、安田法律特許事務所)

〃 山神清和(東京大学大学院 法学政治学研究科附属ビジネスローセンター助手)

(オブザーバー)

井口加奈子(弁護士、三木・吉田法律特許事務所)

小川憲久(弁護士、紀尾井坂法律特許事務所)

木村 満(弁理士、芦田・木村国際特許事務所)

椙山敬士(弁護士、虎ノ門南法律事務所)

鈴木正剛(弁理士、鈴木国際特許事務所)

辻河哲爾(弁護士、ジョーンズ・デイ法律事務所)

土井健二(弁理士、林・土井国際特許事務所)

三品岩男(弁理士、湘洋内外特許事務所)

山田くみ子(㈱NTTデータ 技術開発本部知的財産室、弁理士)

山本邦彦(技術士)

吉田正夫(弁護士、三木・吉田法律特許事務所)

(5)

まえがき

平成16年の特許法の改正は、職務発明に関する35条の改正、無効の抗弁に関する104条 の3の新設、秘密保持命令に関する105条の4以下の新設などがなされた。日本及びアメリ カ合衆国では、いくつかの侵害訴訟があった。

平成16年5月27日に、知的財産推進計画2004が発表されたが、コンピュータ・ソフトウ ェア関連発明に関する項目はCSDBの公開に関する項目しかなかった。

そこで、これまでの継続として、コンピュータ・ソフトウェア関連発明の特許が侵害 訴訟においてどのように行使されているかということを検証していく研究をおこなった。

なお、本研究会では、これまでも、特許庁、アメリカ合衆国特許商標庁、ヨーロッパ 特許庁の運用、日本の裁判所の判決、アメリカ合衆国連邦裁判所の判決、ヨーロッパ特 許庁の審決等について研究を行い、1995年に『ソフトウェア関連発明の特許法による保 護の現状-1995年-』、1996年に『ソフトウェア関連技術の保護のあり方の研究 報告書』、

1998年に『ソフトウェア関連特許に関する調査研究報告書-機能的クレームの判例を中 心に-』、1999年に『ソフトウェア関連特許に関する調査研究報告書-平成10年度版-』、

2000年に『ソフトウェア関連特許に関する調査研究報告書-平成11年度-』、2001年に『ソ

フトウェア関連特許に関する調査研究報告書-平成12年度版-』、2002年に『ソフトウェ ア関連特許に関する調査研究報告書-平成13年度版-』、2003年に『ソフトウェア関連特 許に関する調査研究報告書-平成14年度版-』、2004年『ソフトウェア関連特許に関する 調査研究報告書-平成15年度版-』を発表してきた。

今年度も、ソフトウェア関連発明の特許についての日本裁判例(東京地方裁判所の二 つの裁判例)及びアメリカ合衆国侵害訴訟の裁判例(連邦巡回控訴裁判所の三つの裁判 例)についての研究について、その成果を発表することにした。

なお、本報告書で採り上げている裁判例については委員会の場で議論したものではあ るが、それぞれの記述は各委員の責任において執筆されたものであり、委員会としての 意見を記述しているものではない。

平成17年3月

委員長 相澤英孝

(6)

掲載判例一覧・目次

判決日 事件名(裁判所) 概 要 頁

2003年9月22日

MEDICAL

INSTRUMENTATION 他 v.

Elekta AB他事件

(CAFC)

原告が有する、脳のイメージング技術に関する二つの特許(USP5,099,846及び5,398,684) に関する侵害事件。地裁は、陪審評決の1,600万ドルの損害賠償を認定した。

争点は684特許のクレーム1の「複数の画像を選択されたフォーマットに変換する手段」

をイ号が具備しているかであり、CAFC はこの解釈について、地裁は、「変換手段」の機能 を、取得した多数の画像を特定の選択されたデジタルフォーマットへ変換することである と正しく解釈したが、この限定に対応する構造としてソフトウェアを認定した点で誤っ た。明細書等に、ソフトウェアを、選択されたフォーマットへ画像を変換する機能に明確に 関係づけているものは何もない、したがって、被告製品は当該特許を侵害していないとし て、地裁判決差し戻した。

2003年10月8日 ACTV v. The Walt Disney他事件

(CAFC)

原告のテレビ番組に対応したインターネットコンテンツを番組と同時に提供するシス テムに関する「他機能TVシステム」に関する特許(USP5,774,664、5,778,181、6,018,768) について、被告システムが特許侵害であるとして提訴した事件。

当該クレームには、テレビ番組の内容に関するコンテンツのアドレスを示すURLを、

映像信号と共にディスプレイに接続された受信手段に送信することが記載されており、こ れに対して被告システムでは、放送番組中に視聴者が被告のウェブサイトを閲覧できるよ う、映像信号と共に当該ウェブサイトの コンテンツのファイル名を送信ものであり、こ のファイル名がURLに含まれるかが争点となった。

地裁は、URLの解釈として絶対的なURLしか含まれないとして、コンテンツのファイ ル名を指定する被告システムは非侵害であるとした。

CAFCは、そのような限定した地裁の解釈は誤りであり、URLは、ウェブページやオーデ ィオクリップ、画像等の情報セグメントのロケーションを特定するものである、したがっ て、インターネット上でコンテンツ情報の位置が示される以上は、相対的URLも含まれ、

よって、被告システムが送受信する当該ファイル名は、URL に該当する、として、地裁 判決を差し戻した。

原告の有する特許「安定価額の保護を備えた投資プランを管理するためのシステム」

(USP5,926,792)について、被告は、クレーム中の文言「解約金払戻金の保護を備えた投 資のクレジット」が不明瞭で112条違反で無効であると主張。

地裁は被告の主張を認め無効であると判断した。これに対して原告は、この文言は「安

(7)

2004年3月1日 Bancorp Service v. Hartford Life Insurance事件

(CAFC)

定した数値の保護」に類似するものであって、明細書で定義されているとして、控訴した。

CAFCは、「当裁判所は、・・・クレームの解釈が説明できない程度には曖昧ではない場 合,不明瞭を理由として無効であるとはいえない。・・・クレームの意味が認識できる場 合,それが手に負えないほど困難で,その結論が常識人の同意できないものになる場合に も,当裁判所は,かかるクレームを十分に明白であると判示して,不明瞭を理由とする無 効を回避してきた。・・・当裁判所は,クレームを解釈しようとする相当の努力が無益で あると判明する場合に限り,クレームを不明瞭であるとの判断を下すことで,当裁判所は,

特許のまとめ方が理想的なものでなかった場合にも,特許権者の発明に関する進歩的な貢 献を保護するものである。・・・したがって,発行された特許に関する訴訟において不明 瞭か否かというきわどい問題は,特許権者に有利となるように適切に解決される。」とし て、不明瞭を理由とする地裁の無効判断を差し戻した。

平成16年8月31日

ジャストシステム(反訴被告)

対 松下電器産業事件(反訴原 告)

(東京地裁)

原告(反訴被告)製品「ジャストホーム2家計簿パック」が、被告(反訴原告)特許「情 報処理装置及び情報処理方法」(第2083236号)を侵害しているとして提訴された事件。

原告製品で表示される「?」ボタン及び「表示」ボタン等は、当該特許の構成要件にい う「アイコン」に該当するかが主な争点となった。

裁判所は、『本件発明にいう「アイコン」とは,「表示画面上に,各種のデータや処理機 能を絵又は絵文字として表示して,コマンドを処理するもの」であるのに対し,本件製品 の「?」や「表示」,「プロパティ」及び「キャンセル」は,表示画面上にあり,処理機能 を表示しているものの,デザイン化されていない単なる「記号」や「文字」であって,絵 又は絵文字とはいえないことは明らかであるから,本件各構成要件における「アイコン」

には該当しない。』と判示した。

平成 16 年10 月 29

日 松下電器産業 対 ジャスト システム 事件

(東京地裁)

原告特許「文書作成装置及び文書作成方法」(第2893836号)について、被告製品が特 許侵害している(被告の「一太郎Home」等が推定される)として提訴された事件。

裁判所は、被告製品は、構成要件(1-C、1-D)にいう「影付き文字のベクトルデータ」

を生成するかについて、『被告製品において,影付き文字の生成後においては,影付き文 字のベクトルデータを用いて処理を行っていることは認められても,影付き文字の生成過 程において,文字パターンを表すベクトルデータから影付き文字のベクトルデータを生成 し,生成された影付き文字のベクトルデータを影付き文字のビットマップデータに変換し ていると認めるに足りない。すなわち,被告製品において,図2「影付き文字の生成方法

(原告の主張)(推定)」記載の方法で影付き文字が生成されていることを認めるに足りる 証拠はなく,図3・4「影付き文字の生成方法(被告の主張)(推定)」記載の方法で影付

(8)

き文字が生成されていることを覆すに足りる証拠もない。』ことから、被告製品は、本件 発明の構成要件(1-C、1-D)を充足しないとして、原告の請求を棄却した。

(9)

原告-被控訴人

MEDICAL INSTRUMENTATION AND DIAGNOSTICS CORPORATION 対

被告-控訴人

ELEKTA AB, ELEKTA INSTRUMENT AB, ELEKTA INSTRUMENTS, INC.

及びELEKTA ONCOLOGY SYSTEMS, INC.,

連邦巡回区合衆国控訴裁判所(CAFC)

2003年9月22日判決

NEWMAN、CLEVENGER、及びSCHALL 巡回裁判官

1. 事実関係

(1)経緯

(1) MIDCO(原告:MEDICAL INSTRUMENTATION AND DIAGNOSTICS CORPORATION)

は、米国特許第5,099,846号と第5,398,684号の特許権者である。

(2) 1997年 MIDCOは、Elekta AB, Elekta Instrument AB, Elekta Instruments, Inc.、及びElekta

Oncology Systems, Inc.(総称して「Elekta」)の製品が846特許及び684特許を侵害する

として、Elekta に対して特許権侵害訴訟をカルフォルニア南地区合衆国地裁(S.D.)に 起こした。MIDCOによって主張された独立クレームは684特許のクレーム1と846特 許のクレーム9だけである。

(3) Elektaは積極抗弁を主張し、非侵害及び無効の反訴を行った。

(4) 地裁は、マークマン・ヒアリングを行った後、クレーム解釈の命令(第1 のクレーム解 釈命令:Apr 4, 2001)を行い、その後、クレーム解釈の明確化のためのElektaの申立を一 部認容し一部却下する命令を行った(クレーム解釈の一部明確化: July 13, 2001)。

(5) MIDCO は特許は無効ではないとの部分サマリ判決の申立を行い、地裁はこの申立を

認めた。その後、本件は陪審に付され、陪審は両方の特許が侵害されており、損害賠償額と して 1600 万ドルを認める認定を行った。評決後、地裁は Elekta のJMOL の申立を却下し た。

(6) Elektaは、CAFCに控訴し、地裁のクレーム解釈は誤っており、非侵害のJMOLが認めら

れるべきであり、地裁は非無効の部分サマリ判決において誤った旨を主張している。

(2)対象特許(クレーム)

争点となっているクレームは、実質的に684の請求項1のみである。

(10)

1. An apparatus for generating a presentation of images from a variety of imaging sources, the apparatus comprising:

各種の画像源からの画像の表示を行う装置であって、以下の構成を備える。

means for acquiring a plurality of images from a plurality of separate imaging sources;

複数の別々の画像源から複数の画像を取得する手段、

means for converting said plurality of images into a selected format;

前記複数の画像を選択されたフォーマットに変換する手段、

means for storing said plurality of images;

前記複数の画像を蓄積する手段、

means for selectively recalling and displaying at least two images of said plurality of images upon a single display device;

前記複数の画像のうち少なくとも 2 つの画像を選択的に呼び出し1つの表示装置上に 表示する手段、

means for manipulating at least one of said at least two images independently of the other image;

前記の少なくとも2 つの画像のうち少なくとも 1つを他の画像と独立して操作する手 段、

means for comparing said at least two images;

少なくとも2つの画像を比較する手段、

means for determining stereotactic coordinates and performing volumetric determinations from said at least two images; and

定位脳固定座標を決定し前記の少なくとも2つの画像から体積の決定を行う手段、およ び

means for determining distances and areas from said at least two images.

前記の少なくとも2つの画像から距離及び面積を決定する手段。

2.争点

地裁は、クレーム中の「前記複数の画像を選択されたフォーマットに変換する手段

<means for converting said plurality of images into a selected format>」の機能を、取得した多数 の画像を特定の選択されたデジタルフォーマットへ変換することと解釈した。

裁 判 所 は こ の 機 能 に 対 応 す る 構 造 は VME バ ス を ベ ー ス に し た フ レ ー ム グ ラ バ

<framegrabber>ビデオ表示ボード、コンピュータ・ビデオ・プロセッサ(「CVP」)、及び「当業 者に知られたデジタル-デジタル変換のためのソフトウェアルーチン」であると認定し た。フレームグラバ及び CVP の両方はアナログデータを選択されたデジタルフォーマッ トに変換する(A/D)ことだけを行う。被告装置はアナログ-デジタル変換は行なわず、ソフ

(11)

トウェアを使用してデジタル-デジタル変換のみを行う。特許権者は、被告装置はフレー ムグラバ又は均等物と考え得るものを有していないことを認めている。

主要な争点は、地裁が、デジタル-デジタル変換のためのソフトウェアを変換手段に対応 する構造に含めた点が正しかったかどうかである。

3.裁判所の判断(CLEVENGER巡回裁判官(多数意見))

(1)結論

地裁は「変換手段」の解釈において誤っており、クレーム解釈に基づき非侵害が認めら れるから、非侵害のJMOLの地裁の却下を取り消す。

Elekta は846 特許及び685 特許の有効性に関する重要な事実の真正な争点を提起する

に十分な証拠を提出したから、我々は非無効のサマリ判決の認容も取り消す。したがって、

我々はその争点及び侵害の争点における Elekta に有利な判決のために本件を地裁に差し 戻す。

(2)理由

(a) 「変換手段<means for converting>」の解釈にだけ焦点を当てる。侵害問題の方向を決定 するものであると認めるからである。

(b) ミーンズ・プラス・ファンクション・クレームの解釈における第1 ステップは、特定の

クレームされた機能を確認することであり、第2ステップは明細書を検討し、その機能 に対応する構造を確認することである。第 2 ステップでは、「明細書に開示された構造 は、明細書又は出願経過がクレームに記載された機能にその構造を明確に関連又は関 係づけている<clearly links or associates>時のみ『対応する』構造<'corresponding' structure>

である」。

(c) 地裁は、「変換手段」の機能を、取得した多数の画像を特定の選択されたデジタルフォ ーマットへ変換することであると正しく解釈した。しかし、この限定に対応する構造と してソフトウェアを認定した点で誤った。明細書又は出願経過中に、ソフトウェアを、

選択されたフォーマットへ画像を変換する機能に明確に関連又は関係づけているもの は何もない。

(d) 構造を、クレームされた機能に明確に関連又は関係づける特許権者の義務は、特許権 者に112 条第 6パラグラフに基づいて機能の表現でクレームを記載することを許すこ との対価である。

112条第6パラグラフは、クレームされた装置<apparatus>における手段として使用す ることができる全ての可能な構造をクレームの中に記載することを特許権者に要求す ることなしに、特許クレームにおける手段<means>表現の使用を許すことが意図されて いる。しかしながら、「この便宜を使用するために払わなければならない代償は、記載中

(12)

に明記された手段及びその均等物へのクレームの限定である。」

(e) 地裁は、「明細書はデジタル-デジタル変換を実行する手段の開示については、あまり 明確ではない」と述べている。それにもかかわらず、地裁は、これらの変換を実行する技 術は本出願時点の当業者に知られていたから、当業者はソフトウェアが変換機能に対 応する構造であることを理解したであろうと結論した。しかしながら、正しい審理は、

本特許の開示を見て、単に当業者がそのようなソフトウェアプログラムを書くことが できたであろうかどうかではなく、当業者がその開示がデジタル-デジタル変換のため のソフトウェアを含むと理解したであろうかどうかを決定することである。

(f) MIDCO が変換手段に対応する構造としてデジタル-デジタル変換のためのソフトウ

ェアが開示されていると主張する明細書の3つの部分と、ソフトウェアと変換の関連を 我々が認定でき得るとする部分について検討する。

両特許の図1における「画像フォーマット変換」ボックスは構造の描写ではない。この図 は、主張するクレームの対象である装置の構造ではなく、本発明の好ましい方法のステ ップを図示するために描かれたものである(684特許、9欄44-45行)。この図は構造を 全く記述していないから、方法のステップの記載以外の何かを当業者が理解するであろ う徴候は存在せず、この図は画像を選択されたフォーマットに変換する機能に対応する 構造としてソフトウェアを明確に関連づける役割を果たしていない。

これはOverhead Door Corp. v. Chamberlain Group, Inc., 194 F.3d 1261 (Fed. Cir. 1999)事件

[コメント参照]における状況とは異なる。この事件においては、「第2のメモリ選択ス イッチ手段」に対応する構造は、本特許の一つの図に示された機械的スイッチの実施例 だけを含み、他の図におけるフローダイアグラムによって図示されたソフトウェアの実 施例は含まないと地裁が認定したのは誤りであると、我々は判示した。本裁判所はソフ トウェアの実施例も代わりの対応する構造として含まれるべきであると判示した。

図1が構造の描写ではないことは、図2を含んでいるという事実によっても明らかであ る。本件特許の図2は本発明の好ましいハードウェアを描いたブロックダイアグラムであ る。

図 2 の中のブロックの一つは「コンピュータ・ビデオ信号プロセッサ」と記載されてお り、明細書は、「各種の(典型的には非標準の)フォーマットのスキャンデータが本発明に 従い標準フォーマットに変換可能である」と説明している。また、その図は「中央処理装 置」と記載されたブロックを有し、明細書は「セントラル・プロセッシング・ユニット

(CPU)は・・・好ましくはディスク記憶装置、フロッピーディスク記憶装置、テープ記憶装 置、及び高速グラフィック・ビデオ画像プロセッサを備える高解像度フレームグラバから 構成される」と説明している。

図3は好ましい装置を描写しているが、参照符号を付された部分のどれもソフトウェア には関連しない。したがって、変換機能に関連する 2 つの構造が図面の中に記載されてい

(13)

るが、デジタル-デジタル変換のためのソフトウェアは記載されていない。既に述べたよ うに、開示された構造はアナログ-デジタル変換を行うが、デジタル-デジタル変換は行わ ない。

本件においては、「画像フォーマット変換」ボックスが変換機能のためのソフトウェア に関連していると当業者が理解するであろうという徴候はない。

684特許の明細書10欄28行は、以下のように記載している。

「本発明の方法は図 1 に示されている。本発明の方法は、患者の頭部又は他の身体部分の スキャニング 10;得られたスキャンの画像取得 12;同じフォーマットへ変換するための全 ての画像の画像フォーマット変換14;画像保存16;複数画像呼び出し及び表示18;及び画像 操作及び比較20からなる。」

同、10欄25-32行は以下のように記載している。

この部分は、図 1 の簡単な説明であり、装置というよりも本発明の方法を説明している。

当業者がこのフレーズをデジタル-デジタル変換のためのソフトウェアに言及している と理解するであろうという証拠は存在しない。

684特許の明細書第11欄43行は、以下のように記載している。

「画像取得、エンハンスメント部、及び操作のための部分は以下のためのモジュール・ソフ トウェア・サブルーチンを含む:1)画像キャプチャ、保存、及びアーカイブ;2)全体の画像又 はユーザが定義した興味のある部分のピクセル分析;3)ズーム及びパン機能;4)スムージン グ、シェーピング、及び疑似カラーリング機能とともに画像の対比及びフィルタリング;5) 画像比較;6)画像編集;及び7)各種エッジ検出ルーチン・・・」

11欄36-44行は以下のように記載している。

図1 の「画像フォーマット変換」の言及及び明細書中の「画像フォーマット変換」の関連 する議論とは違って、明細書のこれの引用部分はソフトウェアを記述している。しかし、

「画像編集」フレーズの使用を、画像を選択されたデジタルフォーマットへ変換する機能 への言及として当業者が理解するであろうという証拠は存在しない。引用された節の前 には、「ソフトウェアは、CPU34に装備され、好ましくは、画像取得、エンハンスメント及び 操作部と、グラフィック及びユーザ特有機能部から構成されるマルチ-モジュラー2 分割 基板で作成される」。

特許権者が「画像編集」を画像を変換する機能に関連させることを望んだなら、必要で あったものはソフトウェアが含む部分のリストに「変換」を加えることだけであった。実 際の記載には、変換が記載されたソフトウェアによって実行される機能の一つであるこ と、あるいは当業者が明細書に記載されたソフトウェアがデジタル-デジタル画像変換を 実行すると理解するであろうことを示すものはない。このソフトウェアの「画像編集」へ の言及は変換機能へソフトウェアを明確に関係づけるには不十分である。

(14)

明細書のこの部分はクレームされた画像の取得及び操作機能にソフトウェアを明確に 関係づけており、それゆえ、これらの機能に対応する構造であると適切に考えることがで きる。しかし、変換機能へ明確に関係づけられていない。

MIDCO は、デジタル-デジタル変換のためのソフトウェアプログラムはその分野で知

られているという専門家の証言(地裁で提出されている)は、「画像操作プログラムのよう な、本発明を実施するために使用される他のプログラムは商業的に利用可能であるか、プ ログラミング分野の専門家の技量の範囲内である」(648特許、12欄24-27行)という明細書 の記載と結びついて、変換する機能がどのように実行されるかを当業者が理解している ことを十分に示しており、それゆえソフトウェアが対応する構造であることを十分に示 していると主張する。

846 特許及び 684 特許の明細書は変換機能に既知のソフトウェアを明確に関連させて いない。明細書は「商業的に利用可能であるか、プログラミング分野の専門家の技量の範 囲内の」(684特許、12欄26-27 行)ソフトウェアプログラムの使用に言及しているが、この 記載は選択されたフォーマットに画像を変換する機能にソフトウェアを少しも関連させ ていない。明細書が変換のための商業的に利用できるプログラムに言及していることを 示すものはない。仮に、ソフトウェアが画像を選択されたフォーマットへ変換する機能を 実行できることを当業者が知っていたとしても、それが本発明における機能を実行する であろう構造でなければならないと示唆するものは本特許中には全く存在しない。クレ ームされた機能に対応する特定の構造を特許権者が意図していたことを公衆に示すため のものが開示の中になければならない。明細書中に、ある構造を載せるだけでは十分では ない;機能に対応する構造であるためには、その構造はクレームされた機能に明確に関連 されていなければならない。さらに、本件においては、明細書はフレームグラバと CVP を 変換機能を実行するとして明確に記載しており、そうであるから、ソフトウェアが対応す る構造であると認定する必要はない。

現在、我々が審理している事件において、ソフトウェアは明細書中に述べられてはいる が、変換機能に関連する部分では述べられてはいない。

明細書は「本発明に必要なものを実行するために装置ハードウェアと共に用いるのに 適したソフトウェアがこれに添えて開示される」と述べている。684 特許、12 欄 14-16行。

MIDCO の専門家証人さえ認めるように、明細書自体はデジタル-デジタル変換のための

ソフトウェアルーチンを開示していない。そのうえ、特許に添付されたソフトウェアルー チンは変換を処理してはいない。明細書は、添付されたマイクロフィッシュ中にどんなタ イプのプログラムが含まれているのかを説明しているが、どれも変換を処理するプログ ラムではない。

画像変換の機能とソフトウェアを明確に関連又は関係づける記載が明細書中にないこ

(15)

とに加えて、出願経過にもこの関連を提供するものはない。

846特許の出願経過において、出願人はクレームをUmemura文献と区別するための図を

用意した。その図における比較のポイントの一つはそのシステムが「もっぱらA/D[アナロ グ-デジタル]変換システム」であるかどうかである。「現在の発明」と題する欄において、出 願人は「ノー」と記し、Umemuraのための欄には出願人は「イエス」と記している。フレーム グラバ及びCVPはアナログ-デジタル変換を実行するだけであるにもかかわらず、これは 出願人が本発明がデジタル-デジタル変換を含んでいると意図していることを示してい るのかもしれない。しかしながら、デジタル-デジタル変換のためのソフトウェアを、選択 されたフォーマットへ画像を変換するクレームされた機能へ明確に関連づけるには十分 ではない。出願経過のその部分にはソフトウェアの言及はなく、当業者がその表からソフ トウェアが変換を実行するための構造でなければならないことを知るであろうことを示 すものは何もない。

したがって、我々は、明細書及び出願経過が変換機能の実行をソフトウェアに明確に関 連又は関係づけていないから、地裁は変換手段に対応する構造としてソフトウェアを特 定した点で誤ったと結論する。構造がクレームされた機能を明確に関連又は関係づけら れなければならないという要件は機能用語でクレームする便宜のための対価である。

(g) 本件において、変換機能に明確に関連するのは2つの構造、フレームグラバ及びCVP

だけである。MIDCO は被告装置はこれらの構造又はその均等物を含んでいないことを認 めているから、我々は侵害の判決を取り消し、侵害の争点において Elekta に有利な判決の 登録のために差し戻す。

特許権者はフレームグラバ及びCVPをクレームされた変換機能に対応する構造として 明確かつ強調して選択したことは確かである。また、当業者がデジタル-デジタル変換を 達成するソフトウェアプログラムを書くことができたことも同じように確かである。

フレームグラバ又はCVPのような変換のための何らかの構造を開示するよう特許権者 に単に要求し、その後、当業者がクレームされた機能を実行するソフトウェアプログラム を書くことができるかぎり、特許権者にソフトウェアのような何かの他の構造によって 侵害を主張することを許さないのか? その理由は、制定法自体が明細書中で対応する構 造の開示を要求しており、その開示が、開示された構造とそれに関係するクレームされた 機能を明確に関連づけなければならないからである。公衆は特許権者が排他的権利を享 受する構造に関して推測することを要求されるべきではない。その代わりに、クレームが 112条第6パラグラフに従って書かれた場合、公衆は特許権者がクレームされた機能のた めにどんな種類の構造を選択したのかを正確に知る権利を有している。

(h) これは我々が正にAtmel事件で強調したポイントであり、その事件において我々は次の

(16)

ように説示した:

[112条第6パラグラフ]の利益を得るためにしなければならないことは、

明細書中にその手段に対応する何らかの構造を記載することである・・・・それゆえ、112 条第6パラグラフにおける特定の構造の要件は、112条第1パラグラフにおけるような要 件が必要とするであろうその分野の誰もが知っているものの果てしない開示の亡霊を呼 び出すものではない<The requirement of specific structure in §112, ¶ 6 thus does not raise the specter of an unending disclosure of what everyone in the field knows that such a requirement in §112, ¶ 1 would entail. >。もし、我々の制定法の解釈が構造の完全な省略と比較して少 しばかりの追加的な記載をもたらすとすれば、それは制定法が許す一般的な手段<means>

の用語を出願人が使用することにより必要となる取引である。

(i) Elekta は、本特許は無効ではないという地裁のサマリ判決の認容に対しても異議を申

し立てている。サマリ判決は証拠が重要な事実の真正な争点を作り出すことがない場合 にだけ適切なものである。 さらに、全ての事実の推論は被申立人に有利になされなけれ ばならない。 新規性は事実問題であり、進歩性は基礎となる事実に基づく法律問題であ る。この証拠提出申立された無効の証拠を見る場合に、発行された特許は有効の推定を享 受し、それゆえ無効を示す証拠は明確で説得力のあるものでなければならない。

Elekta はクレームされた発明と同一又は容易のどちらかであると申し立てる膨大な先

行技術文献を提出した。我々は、Elektaは非無効のサマリ判決の申立に十分に耐える証拠を 提出したと結論し、それゆえ我々は地裁のサマリ判決の認容を取り消す。

本件は地裁に差し戻される。

---

(3)NEWMAN巡回裁判官の反対意見

多数意見はコンピュータをベースにした発明に不適当な条件、それにもかかわらず満 たされるべき条件、を作り出した。トライアルの結果を覆す根拠は示されていない。

多数意見は、ソフトウェアが明細書中に開示されていないと認定する。しかしながら、明 細書は、クレームされた機能はソフトウェアによって実行されると述べている。846 特許 のクレーム8及び30はソフトウェアの使用を特定している。例えば: 8.全ての前記手段は ソフトウェア-プログラム可能であるクレーム1の発明。

地裁は、デジタル-デジタル変換のためのソフトウェア手順は当業者によく知られてい ると正しく認定している。多数意見はこの認定について次のように述べている:

しかしながら、これは正しい審理ではない。正しい審理は、本特許の開示を見て、単に当 業者がそのようなソフトウェアプログラムを書くことができたであろうかどうかではな く、当業者がその開示がデジタル-デジタル変換のためのソフトウェアを含むと理解した

(17)

であろうかを決定することである。

多数意見は正しくない。特許明細書は「ソフトウェアを教示」する必要はなく、記載され た方法をいかに実行するのかを教示するためのルーチンプログラムの記載は必要ではな い。当業者がデジタル-デジタル変換の標準的なプログラムを「書くことができたであろ う」ならば、それで十分である。プログラミング分野の当業者がそのようなプログラムを 過度の実験的作業なしに書くことができたとすれば、制定法の要件は満たされる。

684特許及び846特許の両方の明細書は、「画像編集」は「モジュラー・ソフトウェア・サブ

ルーチン」によって実行されると述べている。

本明細書は、8シートのマイクロフィッシュ(1シートあたり65フレーム)を含む本発明に 特有なプログラムの完全な詳細を含んでいる。

多数意見は、多数意見が欠けていると言うソフトウェアプログラムは「商業的に利用可 能か通常の専門家の技量の範囲内」であることを理解しているが、それでは十分ではない と判示している。先例は明らかに正反対である。数十年の間、ルール及びプラックティス は、そのようなソフトウェアは明細書中に含まれる必要ないというものであった。

トライアルでの証拠は変換ステップの記述及びそれがどのように行われるのかと直接 的に関係している。地裁は、「陪審は被告製品の中のソフトウェアが本裁判所によって解 釈された本特許の要素を満たすという十分で反駁されていない証拠を有している」と判 示した。陪審の評決を支持する実質的な証拠が存在する。私の同僚らによる評決の不適切 な取り消しに、私は謹んで反対する。

本件では、サマリ判決において地裁は有効性の争点に関する Elekta の抗弁について決定 した。本裁判所への控訴において、Elektaは、地裁は陪審の機能を奪い取ったと主張してお り、多数意見は、「Elektaが進歩性に関する重要な事実の争点の存在を証明できなかったと いう認定において地裁は誤った」と述べて、トライアルにその問題を戻しているから、多 数意見は明らかにElektaに同意している。

私は、有効性の争点は控訴審の再審理のために熟していないことは認める。しかし、差戻 審 に お い て 、 当 事 者 間 で 継 続 す る 論 争 は 残 っ て い な い 。 お そ ら く 、 こ れ は 、Cardinal

Chemical 事件において考えられたように、有効性の決定が単純な取り消しを認可する事

件<a case in which a validity determination warrants simple vacatur>である。非侵害が控訴に おいて認定された後に、当事者らが地裁において訴訟を継続し得ることを控訴裁判所が 提案することは不適当である。

4.コメント

1. 判決理由中の「ミーンズ・プラス・ファンクション・クレームの解釈における第 1 ス

テップは、特定のクレームされた機能を確認することであり、第2ステップは明細書を 検討し、その機能に対応する構造を確認することである。第2ステップでは、『明細書に

(18)

開示された構造は、明細書又は出願経過がクレームに記載された機能にその構造を明 確 に 関 連 又 は 関 係 づ け て い る<clearly links or associates>時 の み 対 応 す る 構 造

<'corresponding' structure>である。』」との指摘は非常に厳しく、クレームの作成及び解 釈上重要な指針になる。

2. 判決理由に登場するOverhead Door Corp. v. Chamberlain Group, Inc., 194 F.3d 1261

(Fed. Cir. 1999)事件では、車庫の自動扉開閉システムに関する米国再発行特許第35,364

号に関し、その請求項5にミーンズ形式で記載された「第2メモリ選択スイッチ手段」

に対応する構成が、ハードウエアスイッチ(手動スイッチ)のみであるか、ソフトウ エェを含むかの解釈が問題となった。米国再発行特許第35,364号の明細書に記載され た実施例には、受信機のマイクロプロセッサは、「プログラム」モードと「操作」モー ドを切り換える機能を有し、「プログラム」モードでは、メモリに送信機から受け取っ たプログラムされているコードを記憶することにより、マイクロプロセッサーが複数の コードをメモリに記憶することができることが開示されている。さらに、その、図 3 は、「発明の操作およびプログラムのモード双方を説明する」流れ図を描いている。図3 には、「コード位置ポインターが示す位置にコードを記憶し」、「コード位置ポインター をずらし、もしポインターが5 以上ずれたら、コード位置ポインターに1 をロードす る」等のプロセスが開示されている。これらの説明、さらに、専門家証言により、「第 2メモリ選択スイッチ手段」に対応する構成がソフトウェアを含むと解釈したものであ る。

本件明細書の記載と比べれば、ソフトウェアによる処理が明示されている。この差が、

両特許の権利解釈の差につながったものと考えられる。

実務的には、ソフトウェアで実現可能な場合には、「ソフトウェアで実現可能である」

と明示的に言及すると共にそのプロセスをプロセッサとの関連を明示してある程度説明 すべきであろう。

〔木村 満〕

(19)

(20)

ACTV, INC. および HYPERTV NETWORKS, INC. (原告・控訴人)

THE WALT DISNEY COMPANY、

AMERICAN BROADCASTING COMPANIES, INC.、及び ESPN, INC.(被告・被控訴人)

米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)

2003年10月8日判決

1.事実関係

(1)判決の概要

ACTV, Inc.およびHyperTV Networks, Inc.(以下、総称して「ACTV」という)は、(略

式判決の申立てに対し、)The Walt Disney Company, American、Broadcasting Companies, Inc.

およびESPN, Inc.(以下、総称して「Disney」という)が合衆国特許第5,774,664号(以

下「’664特許」という)、第5,778,181号(以下、「’181特許」という)および第6,018,768 号(以下、「’768特許」という)を侵害していないと判断して ACTVの訴えを却下した ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所の決定を不服として控訴した。ACTV, Inc. v.

Walt Disney Co.事件(204 F. Supp. 2d 691, 693 (S.D.N.Y. 2002))(以下、「原審」という)参 照。

地方裁判所の判断は、問題クレームの限定事項の解釈に誤りがあり、さらに、均等論 に基づく侵害に関しても適切に審査されていないため、控訴裁判所としては、Disneyの 主張を認めた地方裁判所の略式判決を取消し、本判決に照らしてさらに審理を尽くすよ う差戻す。

(2)特許について

問題とされた米国特許は 3 件、いずれも一部継続出願であり、共通の特許出願(放棄) に基づいており、明細書は実質的には同じ内容である。

技術分野としては、テレビの情報とインターネット上の情報の同期化に関するもので ある。発明のポイントは、従来のINTERCASTシステムは、VBI(Video Blanking Interval) にイターネットコンテンツを入れていたので、情報を分割して入れねばならないし、そ れを取り出すための特別なハードが必要であったのを、VBIにURLを入れることで、そ れらの不便を解決した点にある。

(3) ’181特許のクレーム1

1. 統合テレビプログラムおよびウェブサイトから取得した対応する関連インター

(21)

ネット上の情報セグメントを提供するシステムであって、以下の事項を具備するこ とを特徴とする:

A. プログラムを受信する手段であって、当該プログラムは、ビデオ信号、オーディ オ信号および 1 つ以上のユニフォームリソースロケーター(uniform resource locator)を含み、当該ユニフォームリソースロケーターはプログラムのビデオ信 号およびオーディオ信号のコンテンツに特に関連のある情報セグメントの1つ以 上のインターネットアドレスを特定する、

B. デコーディングする手段であって、それは当該受信手段に接続され、特定のイン ターネットアドレスを決定するためにユニフォームリソースロケーターをデコ ーディングし、

C. コントローラ手段であって、それは当該デコーディング手段に接続され、ユニフ ォームリソースロケーターを解釈し、

D. ウェブブラウザであって、それは当該デコーティング手段およびコントローラ手 段に接続され、ユニフォームリソースロケーターに対応するインターネットアド レスに位置する特定のインターネットサイトに対してメッセージ要求を送信し、

その結果、決定されたインターネットアドレス上に位置する1つ以上の要求され たインターネット上の情報セグメントを受信するものであり、当該ウェブブラウ ザは、コントローラ手段による指示と制御の下で、要求されたインターネット上 の情報セグメントを取り出し、

E. ディスプレイ手段であって、それは当該コントローラ手段および受信手段に接続 され、インターネット上の情報セグメントと同時に、ビデオ信号およびオーディ オ信号を提供するものであり、

F. そうすることで、インターネット上の情報セグメントは、ビデオ信号に同期化さ れ、プログラム中の予め設定された時間に表示される。

(22)

USP5,778,181 クレーム 1

受信する手段

Video /Audio URL 信

情報セグメント デコーディング

する手段

コ ン ト ロ ー ラ 手 段

イ ン タ ー ネ ッ ト

ディスプレイ手段

Video/Audio 信号

情報セングメント

ウェブブラウザ 受信

- 参考図 -

プ ロ グ ラ ム

(URL 抽出 )

指示 / 制御

RQ

Display Monitor

Internet

Local URL Decoder

(23)

(4)その他の主張されたクレーム

ACTVの主張における各クレームには、少なくとも、(1) URLの受信の手段および(2) URL のデコーディングの手段が含まれており、’664特許のクレーム 3 を除き、URL の 処理の手段も含まれている。

(5)背景(控訴に至る経緯)

①マークマンメモランダム(2002年3月13日)

13個のクレームに関する解釈を詳述。

主張されたクレームは、全て、米国特許法第112条第6項において定義されている手 段プラス機能(means-plus-function)の方式による限定事項によって起案されている。

各手段プラス機能クレームの限定事項に関連する機能を明示的に特定しなかったが、

クレームの総合的な機能は、「『明細書』に記載された種類の構造と対応する方法により、

ビデオおよびテレビのプログラムをウェブページと同期化すること」と特定した。

下記、2つの文節に含まれる機能の文言に関して説明した。

a.「デコーディング」とは、「ビデオ信号またはオーディオ信号に限らず、予め設定さ

れたフォーマットまたはエンコーディングストリームに基づいて、データストリームか らデータを抽出すること」であると定義。

b.「解釈」とは、「ブラウザが関連ウェブページから効果的に抽出できるようにするた

めに利用されるあらゆる種類の分析および書換え」であると定義。

そして、「デコーディング」の文節および「解釈」の文節(さらに、「受信(receiving)」

の文節)において、地方裁判所は、「ユニフォームリソースロケーター」すなわち URL を「プロトコルタイプとリソースロケーションの両方を指定するインターネット上のサ イトの完全なアドレス」と説明した。そして、プロトコルタイプ(「http://」のようなも の)とリソースロケーション(「www.fedcir.gov」のようなもの)とから成るアドレスは、

「絶対的URL」と呼ばれているものであるとした。さらに、これとは対照的に、プロト

コルタイプとリソースロケーターの両方を含んでいるものではない URL は、「相対的 URL」と呼ばれているものであるとした。地方裁判所は、それだから、本件特許が計画 したURLという用語は絶対的URL のみを指すものであると結論付けた。

② 更なる地裁判断

以上の議論に関連して、「インターネットアドレス」とは、「ホストに特有のユニフォ ームリソースロケーターによって指定されたインターネット上の特定のホスト」を意味 し、「インターネット上の情報セグメント」とは、「ウェブページのようなインターネッ ト上の情報が分割された部分」を意味すると判断した。

③ 略式判決

手段プラス機能クレームの限定事項の機能に関する記述にみられる「ユニフォームリ ソースロケーター」に関する地方裁判所の解釈に基づき、Disney は、ETV のシステム

(24)

は、ファイル名を送信するだけであり、絶対的URLを送信しないと主張し、略式判決を 求める申立てを行った。絶対的 URLが送信されない以上、ETV のシステムは、地方裁 判所が定義したURL の受信、デコーディングまたは解釈を必然的に行わない。

④地裁判決

非常に短いメモランダム決定により、地方裁判所は、Disney の ETVシステムは主張 のクレームと同一の機能を遂行するものではなく、すなわちETV は絶対的URLの受信 もデコーディングも行わない以上文言侵害は存在しないと判断した。決定(204 F. Supp.

2d、693)参照。さらに、地方裁判所は、「完全なインターネットアドレスを受信および デコーディングする手段の存在は、当該2つのシステムの間の基本的な相違である」た め、当該限定事項に関する均等論に頼ることも打ち切った。

地方裁判所は、文言侵害も均等論侵害も認められないと判断し、略式判決での Disney の主張を認め、ACTVの訴えを却下した。同上参照。ACTVは、地方裁判所のクレーム の解釈およびDisneyの主張を認めた略式判決を争い、控訴を提起した。

2.裁判所の判断

(1)議論(Discussion)

当裁判所は、地方裁判所の略式判決を再検討する。

本件特許の受信の手段、デコーディングの手段および解釈の手段のクレームが、米国 特許法第112条第6項が規定する手段プラス機能の形式によるものであることは両者争 わず。

URLの解釈につき、地裁の絶対的URLのみを意味するとしたことに対し、ACTVは、

絶対的URLと相対的URLの両方を含むとし、他方のDisneyは、地方裁判所の証拠の検 討は適切であり、URLが絶対的 URLしか含まないという地方裁判所の判断は適切であ ると主張する。また、Disneyは、当裁判所がACTVのURLに関する広範な解釈を採用 した場合、デコーディングの手段および解釈の手段のクレームの限定事項を地方裁判所 が誤って解釈しているという反対の根拠で、なお、侵害は存在しないと判断した略式判 決は適切であると主張する。

上記のとおり、’181 特許のクレーム 1 には、特に、「プログラムの受信の手段であっ て、・・・1つ以上のユニフォームリソースロケーターを含有し、当該ユニフォームリソ ースロケーターは、受信したプログラムのビデオ信号およびオーディオ信号のコンテン ツに特に関連のある情報セグメントの1つ以上のインターネットアドレスを特定する」

と記載されている。当該クレームのデコーディングの手段の限定事項には、「特定のイン ターネットアドレスを決定するためのユニフォームリソースロケーターのデコーディン グの手段」と記載され、解釈の手段のクレーム限定事項には、「ユニフォームリソースロ ケーターの解釈のためのコントローラの手段」と記載されている。URL という用語は、

(25)

各限定事項の機能の記述において、僅かに異なる文脈に使用されているが、地方裁判所 は、主張の特許すべてにおける主張のクレームを通して同一の意味で使用されていると 判断した。そのため、地方裁判所は、本件全体をURLという用語の解釈および分析によ って処理し、本件を解決できる単純な争点であると判断した。当裁判所は、最初に、こ の重要な用語の解釈を分析する。

ACTVは、URLという用語の通常かつ通例の意味は相対的URLも絶対的URLも含む と主張し、この立場の正式な根拠として、業界の研究グループである World Wide Web

Consortium(W3C)によるコメント要求1808(RFC 1808)という名称のドキュメントを

提出した。RFC 1808 は、絶対的URLに関しても相対的URLに関しても議論しており、

相対的URLは、「絶対的[URL]の短縮形であり」、相対的URLは、「リソースのロケーシ ョンの簡易な表現方法である」と述べた。これに対し、Disney は、URLには絶対的URL しか含まれないという立場の根拠として、同一の機関からのコメント要求 1738(RFC 1738)という名称のより早い時期に出されたドキュメントを提出した。特に、RFC 1738 は、URLはプロトコルタイプとリソースロケーターの両方が必要な典型的なシンタック スを有すると述べている。さらに、RFC 1738 は、関連リソースが「後続の関連パスを 除き、当該リソースと同一の場所」に記載されている「相対的リンク」と、「リソースロ ケーションを抽象的に特定」する一般的なURL シンタックスを区別している。

前提問題として、両当事者が提出したRFCが、当業者が理解するクレームの文言の意 味に関する信頼できる情報源であると判断できるような、問題の技術用語の当時の一般 の理解の公平な反映といえるレベルにあるか否かを検討する。W3C の目的は、「評価の 向上と相互運用性を確保する共通のプロトコルの開発により、ワールドワイドウェブの 能力を完全に発揮させること」である。World Wide Web Consortium (W3C) については

「W3C Website」http://www.w3c.org/Consortium/ (最終閲覧日2003年8月7日)参照。この 目的のために、W3Cのメンバー(多様な業界団体および製造業者等を含み、各自が議題 に独自の享受可能と考えられる利益を有している)は、インターネットの多様なビルデ ィングブロックを説明するための基準を開発している。同上参照。RFC 1738 と RFC

1808 の両方とも、統一に関する議論の間にW3C内の集団および研究グループによって

作 成 さ れ た 報 告 書 で あ る 。 Uniform Resource Locators ( RFC 1738 ))

(http://www.w3.org/Addressing/rfc1738.txt(T. Berners-Lee et al. eds. Dec. 1994)「このドキ ュメントはインターネットの標準的トラックプロトコル…」参照。したがって、RFCの 目的は、共通の理解を促進するため、または潜在する多様な競合利益を考慮し、多様な 技術および用語から基準を選択するために、注釈を収集し、用語を選択することである。

実際、「コメント要求」という意味の「RFC」という頭文字がこの目的を示している。こ の目的は、用語および文言の意味を選択または付与することを目的とはせず、既に確立 されかつ当業者によって共通に理解された意味を報告する辞書および学術論文の役割と

(26)

は非常に対照的である。

両当事者は、正式かつ公平なURLという表現の意味に関する情報源として、当該RFC のドキュメントを提出している。当該RFCは共通の用法を反映するように作成されたも のではなく、将来の会話を促進するために用語の意味を指定するために作成されたもの であること、またRFC 1738とRFC 1808との間の矛盾に鑑みて、当裁判所は、当該ドキ ュメントはどちらも本質的な証拠ではないと判断し、以下の議論に照らして、当裁判所 のクレーム解釈の分析において、当該ドキュメントは採用しない。しかしながら、技術 用語の通常かつ通例の意味の決定の一助として基準設定機関の公表物を使用することが 一般的に禁止されるものではないことを理解すべきである。当該ドキュメントが関連当 業者の共通の用法を反映している場合、ドキュメントは適切な資料となる可能性がある。

本件のように基準設定機関のドキュメントが共通の用法を反映しておらず、将来に使用 する用語の選択を目的としている場合は、当該コメント要求を辞書と同じレベルの正式 かつ公平な資料と評価することは不適切である。

本件において、URLの構造は、主として、平明な用語とクレーム自体の文脈によって 説明されている。当該クレームは、URLは「プログラムのビデオ信号およびオーディオ 信号のコンテンツに特に関連のある情報セグメントの1つ以上のインターネットアドレ スを特定する」’181特許(col. 59, ll. 8-12(下線による強調を追加))参照。URLという 用語の解釈において、手段プラス機能のクレームの表現によって追加された当該用語は、

URL という用語の文脈を提供しており、それ自体を解釈する必要がある。したがって、

「インターネットアドレス」および「情報セグメント」に関する地方裁判所の解釈は、

明示的には控訴の対象とはなっていないが、当裁判所は、控訴の対象であるURLという 用語を適切に解釈するために、当該用語も解釈する必要がある。

「情報セグメント」を「単なるインターネット上の情報が分割された部分」の意味で あるとする地方裁判所の解釈は、クレームの文言および明細書を根拠に認められる。マ ークマンメモランダム(204 F. Supp. 2d、653)、’181特許(col. 3, l. 6, col. 6, l. 12)、’664 特許(col. 3, l. 31, col. 8, l. 32)および’768特許(col. 3, l. 33, col. 8, l. 55)参照。当該部分 の例としては、ウェブページやオーディオクリップや画像が挙げられるが、これらに限 定されない。同上参照。しかしながら、「インターネットアドレス」を「ホストに特有の ユニフォームリソースロケーターによって明示されたインターネット上の特定のホス ト」の意味であるとする地方裁判所の解釈は、クレームの文言および明細書を根拠とし て認めることはできず、URLに遡る循環論法である。マークマンメモランダム(204 F.

Supp. 2d、654)参照。むしろ、「インターネットアドレス」という用語の文脈によれば、

当該用語は単にインターネット上の情報セグメントのロケーションの意味であることが 分かる。「インターネット上の情報」が特定のホストまたは特有であることまで要求する べき根拠は存在しない。したがって、URLは、当該用語およびクレームの文脈から定義 すれば、関連情報セグメントのロケーションを特定するものである。その例としては、

(27)

ウェブページやオーディオクリップ等が挙げられる。インターネットコンテンツに関連 する情報セグメントの1つ以上のインターネットアドレスを明示している限り、絶対的 URLや相対的URLも含まれる。

両当事者は、特許明細書は明示的にURLを定義しておらず、特許権者が分析の指針に なるようにURLを定義していないことに合意している。しかしながら、各当事者は、当 該用語の範囲に関し、文脈におけるURLの用法から、異なる推論を提示している。ACTV は、明細書において、当該用語は絶対的URLのみに限定的に使用されてはいないと主張 する。例えば、’181特許の要約には、URLが「インターネット上のロケーションまたは ウェブサイトの有効なアドレス」であると記載されている。’181特許の要約参照。しか し、Disney は、明細書において唯一の実施例が絶対的 URL を使用しており、開示され たとおり、クライアントソフトウェアは絶対的URLを受信かつデコーディングした場合 のみ機能する以上、ACTVが絶対的URL以外を放棄したと主張する。各特許明細書を慎 重に検討した結果、当裁判所は、URLという用語に関し、平明な用語の意味の範囲より 狭く限定する特許権者の明確な意図は明細書からは読み取れないと解する。その代わり、

各特許の要約には、URLが「インターネット上のロケーションまたはウェブサイトの有 効なアドレス」であると記載されている。同様に、発明の要約においては、明細書は、

一般的にURLを「関連するインターネットのウェブページのアドレス」の意味として記 載している。’664特許(col. 3, ll. 28-29)参照。最後に、好ましい実施例において、特許 権者は、URL を「関連するウェブページを引き出すために、ユーザーのコンピュータ 16にインターネット20のアドレスのロケーションまたはウェブサイトを指示すること」

と説明している。同上(col. 4, ll. 32-35)参照。これらは、すべて、URLは単にインター ネット情報の情報セグメントのロケーションを明示するにすぎないという当該クレーム の文言の広範な解釈に合致する一般的な記述である。本件の特許明細書には、当該用語 の意味を絶対的URLに限定する明確な特許権者の意図が読み取れず、かつ当該明細書が 広範な解釈の根拠となる以上、当裁判所はこのような限定を課すことはできない。

’181特許および’664特許が付与された出願審査経過において、特許権者は、合衆国特 許第 5,589,892 号(「以下、「Knee」という)に照らして新規性がないとして拒絶された ことへの応答として、以下のように述べている。

Kneeにおいて開示されているいわゆるリソースロケーターは、製品およびサー ビスに関する情報を提供しているが、ウェブサイトを指定するアドレスである ユニフォームリソースロケーター(URL)を提供していない。さらに、Kneeは、

修正されたクレーム5 および6に記載されている「特定のインターネットアド レスを決定するためにユニフォームリソースロケーターのデコーディングの手 段」を開示していない。

(28)

Knee はユーザーが要求したサービスを検索する識別データの抽出の手段を開 示していると審査官は述べている。しかしながら、Kneeと出願者の発明には基 本的な相違がある。Kneeにおいては、ユーザーのサイトは、出願者の発明のよ うに、ウェブサイトへ情報を要求するような遠隔操作の要求を送信しない。そ の代わり、ケーブルヘッドエンドのように、あらゆるデータフィードが 1 個の ロケーションにおいて受信される。他方、出願者の発明においては、ウェブペ ージによるインターネットの情報セグメントの要求は、各ワークステーション から、URLが開示するインターネットサイトに対して送信される。

前記の応答に基づき、Disneyは、特許権者は、「ウェブサイトを指定するアドレスであ るユニフォームリソースロケーター」と述べることにより、クレームの対象である発明 とKneeとを区別していると論ずる。これにより、Disneyは、特許権者が絶対的URL以 外のURLの意味を放棄したと主張する。ACTV は、前記の応答はURLの広範な解釈を 排除するものではなく、Kneeのシステムはその他の点においてクレームの対象である発 明とは異なると主張する。

当裁判所は、ACTVの主張を支持する。Disneyの議論はKneeの特許明細書を正確に理 解していないものである。Knee は、アナログ信号の VBI プログラムに関する製品およ びサービスに関する情報をエンコードするシステムを開示している。Knee(col. 40, ll.

30-33)参照。Knee は、当該情報を「製品、サービス、価格およびその他の必要な情報

の説明」であると定義している。同上(col. 39, ll. 45-47)参照。言い換えれば、Kneeの 明細書は、VBIに埋め込まれた当該情報は空の「スクリーンフォーマット」のフィラー として使用される生データであることを明確に予定している。同上(col. 41, ll. 10-15)

参照。URLという用語の意味を制限する代わりに、ACTVの発明において、VBIは生デ ータのエンコードのためには使用されていない以上、特許権者は、Kneeとクレームの対 象である発明を明確に区別している。特許権者が示した違いは、生データと識別の方法 の違いであり、相対的URLか絶対的URLという識別の方法の違いではない。したがっ て、当裁判所は、審査過程によっても、URLという用語の通常かつ通例の意味以外の定 義を見出すことはできず、さらにURLという用語の解釈の否認または放棄を見出すこと もできないと判断する。

前記の理由により、当裁判所は、URL という用語には絶対的 URL しか含まれないと する地方裁判所の解釈は誤りであると判断する。したがって、地方裁判所がクレームに 明示した機能とは異なる各手段プラス機能限定の機能を採用したのは不適切である。そ の代わり、当裁判所は、’664特許、’181 特許および’768特許に記載されているように、

URLという用語は、ウェブページやオーディオクリップ、画像等の情報セグメントのロ ケーションを特定するものという意味であると判断する。関連情報セグメントを特定す るために十分な情報をシステムに提供する限り、URL が絶対的URL しか含まないと解 する必要はなく、当該情報セグメントは唯一のものである必要はない。地方裁判所は、

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