- 42 - 英語名ハイラックス,和名をイ
ワダヌキというこの動物,体長が 約 50 センチ。ネズミかモルモット のように見えますが,とてもおと なしい動物です。
アフリカ大陸の東部に広く分布 していますが,古くは『聖書』の中 にも,この動物が登場します。
外見がネズミに似ているため, 以前は蕃歯目に分類されたり,骨 格がゾウに近いというので,長鼻 目 に 分類 された り して いまし た
が,近年は独立したイワダヌキ目ハイラッ クス科イワハイラックス属に分類されるよ うになりました。
アフリカといえば,大型獣や肉食獣を頭 に思い浮かべがちですが,広々とした草原 でこんなにかわいい小動物に出会いますと, 心が和みます。
ハイラックスは岩場や崖などに集団で住 み,岩と岩のすき間や穴を巣にしています。
草食動物ですから,おもに木の葉や草な どを食べますが,水はあまり飲まなくても 大丈夫のようです。
人間が危害を加えないことを知っている
のか,ハイラックスは私たち観光客が宿泊 するロッジの庭や,周辺にもしばしば出没
します。突然のかわいい来訪者に,お客さん たちは大喜びでカメラを向けたり,ビデオ を回したり,賑やかになります。
私が初めてハイラックスに出会ったのは, 四国全体よりも面積が広いケニアの国立公 園ツァボ・ウェスト・ナショナルパークにあ るロッジの庭でした。昼食後,目の前に広大 な風景が広がるテラスで食後の紅茶を楽し んでいた時,すぐ近くに小さな動くかたま りを見つけ,一瞬「何だろう?」と驚いてティ ーカップをテーブルの上に置きました。
初めて見る愛敬たっぷりのハイラックス
かわいいハイラックス
動物雑感 (20)
平 岩 雅 代
アニマルフォトグラファー トラベルライター
- 43 - をじっと見つめていましたら,ロッジのス タッフがにっこり微笑んで「ハイラックス は何もいたずらをしないいい子だから心配 ありませんよ」と教えてくれました。
それ以来度々ハイラックスに出会う機会 がありますが,いつでもおとなしくじっと ポーズをとって写真のモデルをつとめてく れる模範的な優等生です。
巨大な岩を食堂の壁の一部に,うまく採 り入れたタンザニアのセレンゲティ国立公 園にあるセロネラ・ワイルドライフロッジ には,ハイラックスの大家族が暮らしてい ます。
毎朝太陽が昇りますと,巣穴から次々に 姿をあらわして,日の当たる岩の側面にじ っとして日光浴を楽しみ,夜の間に冷えた 体を暖めるのです。この時が一番写真を撮
りやすいシャッター・チャンスであ ることは,間違いありません。
ところが,日没後足もとが薄暗くな ってもまだ遊び足りないのか,ロッジ の渡り廊下をチョロチョロ歩いてい るハイラックスがいるのです。昼間の サファリドライブを楽しみ,シャワー を浴びてさっぱり着替えて「さあ,夕 食をとりに食堂へ行こう」という時に, 遠慮なく歩き回っているハイラック スは,よほど足元に気を配りながら歩 きませんと,つい踏んでしまいそうになる ので,気をつける必要があります。
フラミンゴの営巣地として世界的に有名 なケニアのナクル湖国立公園には,湖全体 を眺望することができるバブーン・クリフ (サバンナヒヒの崖)と呼ばれている高台が ありますが,この崖の上にもハイラックス の家族が暮らしています。岩肌とよく似た 保護色のハイラックスを見つけるのは簡単 ではありませんが,しばらくじっと目を凝 らしていますと,だんだんどこにいるのか, わかるようになります。
面白いことにハイラックスにも家系によ って顔付きが少しずつ違うようで,ナクル 湖の家系は丸顔で小さな目,セレンゲティ の家系はつぶらな瞳で"美男美女"系と感じ るのは私だけでしょうか?