人 間科 学 部 入 試 方 法 の 検 討(1)噛 大学の成績 を中心とし拳基礎研究
本 ・田 時 雄 ・ 大 熊 保 彦 ・ 勅 使 河 原 勝 男 ・ 森 井 利 夫
An Investigation on Methods of Entrance Examination (1)
Basic Study as to Mainly with University Records Tokio Honda Yasuhiko Ohkuma
Katsuo Teshigahara Toshio Morii
The remarkable results were as follows.
On the average : The marks of the students admitted on recommendation rose year by year, but those admitted on examination did not always rise. In 1981, the former was better than the latter for variables (general educations, foreign languages, physical educations and majors etc.).
Factor Analysis : Pearson product moment correlations of each variable with other variables were obtained, yielding 8 x 8 matrix in 4 groups admitted on recommendation and examination. Then the factor analysis method (The principle axis method) was applied to this matrix.
Two to four factors were extracted and rotated with varimax method.
In some groups admitted on examination, four extracted factors were independent of each other, and labeled as "university", "high school", "English in entrance examination" and "Japanese in entrance examination" .
On the other hand, 4 groups on recommendation had not simple factor structures.
On the conciousness acquiring teachers' licence : This part is related the consciousness acquiring teachers' licence.
This consciousness is correlative with the student's results during high school, their entrance examination, the course and the studies.
University records and extracurricular activities in highschool ; Five comparisons were made about university records between two groups distinguished by criteria concerned with extracurricular activities in highschool.
Significant differences were found in some comparisons.
Especially, compaired those who had been staffs in their classes in highschool age
with those who had not been, the former made significantly better marks than the
latter in the subjects of general educations, foreign languages and majors.
豆 本研 究 調 査 の 意 図
大 学 に と って 入 学 者 を選 抜 す る入 学試 験 は, 年 間 を 通 して の一 大 行事 で あ る.
わ れ わ れ の 文 教 大 学 人 間 科 学 部 は,学 部 開 設2年 目に あ た る1977年 度 よ り,大 学 が 男 女 共 学 に き りか わ った こ と も加 わ っ て,志 願 者 が 激 増 し,定 員150名 に対 し て,推 薦,学 力 合 わ せ て志 願 者 が2,000名 を こす 状況 と な り, 入 学 試 験 に学 部 を あ げ て 従 来 以 上 の 真 剣 な と
りくみ を要 求 され る よ うに な った.
さ らに,1979年 か ら,国 立 大 学 共 通 一 次 試 験 が 実 施 され るに 及 ん で,大 学 受 験 生 全 体 の 間 に大 きな変 化 が 生 じた.す なわ ち共 通 一 次 試 験 は,5教 科7科 目 とい わ れ る よ うに,受 験 科 目の範 囲 が 広 く,私 立 大 学 の,い わ ゆ る
3教 科 型 と両 立 しに くい た め,私 立 大 学 のみ を め ざす 受験 生 が 増 加 し,国 公 立 ぽ なれ が 進 行 した結 果,一 人 で 何 校 もか け も ち受 験 す る 者 が従 来 に も ま し て一 層 多 くな った.
この こ とは,本 学 部 入 学 試 験 に も影 響 を 与 えず に は お か な い.受 験 生 の 多 様 化,学 力試 験 に お け る浪 人 率 の 増 加 な どの 傾 向が 顕 著 に
な った とい え るで あ ろ う.
こ う した経 過 を ふ まえ て,学 部 教 授 会 では 入学 試 験 の あ り方 を め ぐって,し ば しぼ 論 義 され る よ うに な った.そ こで の 意 見 の 中に は, 人 間科 学 部 とい う極 め て ユ ニ ー ク な学 部 にふ さわ しい学 生 像 を,ど の よ うに 求 め るか と い う,学 部 の特 性 や 主体 性 か ら 出発 した 意 見 も あ った.一 般 的 に 学 部 の ちが い を こ え て要 求 され る大学 で の 学 習 能 力 に 加 え て,人 間 科 学 部 に適 性 な 人 材 を,ど の よ うに した ら発 見 し
う るか とい う視 点 で あ る.し か し,人 間 科 学 部 に ふ さわ しい 学 生 像 とい っ て も,具 体 的 な コ ソセ ソサ スを うるの は なか なか 困難 で あ る . また,こ れ を い くら議 論 し てみ て も,た とえ ば学 力選 抜 の 場 合,コ ン マ以 下 の僅 少 の点 差 で合 否 が 決 ま り,合 格 し て も入 学 を辞 退 す る ケ ー スが,比 較 的 成 績 上 位 の者 に 多 くみ られ る現 実 か ら も,学 力選 抜 そ の もの に改 良 を加
え る こ とは 常 に 困難 が つ き ま と う.志 願 者 を 絞 る(減 少 させ る)方 法 と して,入 試 科 目を ふ や す,(た とえ ば 全 員 に 数 学 を 課 す)な ど の意 見 も出 るが,そ れ にふ み 切 る ほ どの説 得 力 は な い.一 方,あ な が ち経営 的発 想 か らぼ か りで な く,志 願 者 が 多 い こ とを の ぞ む 気 持
も否 定 で き な い.
そ の よ うな論 義 を重 ね る うち に,1981年 度 の あ る学 部 教授 会 で と りあ げ られ た の が,推 薦 選 抜 の あ り方 に つ い て で あ った.す な わ ち 推 薦 選 抜 の あ り方 を工 夫 改 善 す る こ とに よ っ て,何 とか よ りの ぞ ま しい 入学 者 の 決 定 に 近 づけ な いか とい う発 想 で あ る.
推 薦 入 学 の利 点 と して あげ られ るの は,① 志 願 者 が,そ の 大学,学 部 を第 一 志 望 と して
い るた め,高 い学 習意 欲 が 期 待 で き る.② 受 験 勉 強 の弊 害 が 少 な く,充 実 した 高校 生 活 を 過 す こ とが で き る.③ 高校 の側 に推 薦 基 準 を 示 し,そ れ に適 合 した 志願 者 に 限 定 して 選 抜 す る こ とが で き る.な どの諸 点 で あ る.
しか し,一 方 で は,調 査 書 に表 示 され る成 績 段 階 は全 国 的 に一 定 の レベ ル で な く,高 校 間 格 差 が あ るの は 事実 で あ る し,推 薦 状 の 内 容 も形 式 に流 れ や す い,な どの 問 題 が あ る.
あ る教 授 会 の議 論 の 中 で,以 下 の よ うな 趣 旨 の発 言 が あ った.「1年 生 の ク ラ ス で"ヨ コ文 字 をみ る と頭 が痛 くな る"と い った 学 生 が いた が,か れ は推 薦 入学 で あ った.推 薦 入 学 には 語 学 な どの 能 力 が低 い者 もま ぎれ こむ 盲 点 が あ る の で は な い か.」
こ の よ うな発 言 を 発展 させ る と,推 薦 入 学 に学 力試 験 を導 入 す る主張 とな り,推 薦 入 学 制 度 そ の もの の 否 定 に つ な が る.し か し,こ
の よ うな推 薦 入 学 者 に対 す る 消 極 的 評 価 が, も し事 実 とすれ ば,推 薦 入 学 の ウエ イ トを 重 く し よ う とす る動 きに は 当 然 ブ レーキ が か か る.現 在 ま で慣 行 的 に 全 入 学 者 の 約3分 の1 を推 薦 選 抜 に よ って 決定 して きた が,そ の 適 否 に つ い て も検 討 しな け れ ぽ な らな い.
そ こで,教 授 会 と して は,果 して 推 薦 入 学 者 の学 力 は,学 力 試験 に よ る入 学 者 よ り低 い のか,正 確 な デ ー タを も とに 判 断 し よ うとい
2
う こ とに な り,1982年 度 よ りプ ロジ ェク ト ・ チ ー ムを設 け て 追 跡調 査 を お こ な うこ と を決 定 した の が,こ の 調査 研究 の発 端 で あ る.す な わ ち,推 薦,学 力 とい う選 抜 方 法 の ちが い と,入 学 後 の学 業 成 績 との間 に有 意 の相 関が 存 在 す るか を み よ う と した の で あ る.そ して, そ の結 果 で 推 薦 入学 者 の数 や,推 薦 選 抜 の方 法 に 改善 の 糸 口が得 られ る こ とを 期 待 した の で あ る.
プ ロ ジ ェ ク ト ・チ ー ムが 発 足 してか ら も, さ まざ ま な議 論が あ った.果 して大 学 の学 業 成 績 は標 準 化 し うる の か,学 業 成 績 以 外 の フ
ァ ク ター を どの よ うに評 価 す るか な ど,多 く の 問題 に 悩 ま され,暗 中模 索 し なが ら検 討 を つ づ け て きた.
入学 試 験 改革 と い う命 題 が,わ れ わ れ の学 部 一 つ を と って も,い か に云 うは 易 く行 うは 難 い か と い う現 実 に,い くた びか 挫 折 感 を 覚 え な が ら,ま ず,そ の第 一 段 階 と し て の デ ー タを と りま とめた のが,今 回 の 報 告 で あ る.
入 試 の 問 題 を め ぐっ て,当 初 発 足 した の で あ るが,よ り広 く人間 科 学 部 の学 生 像 を 択 え よ うと い う意 図 の下 に,と りあ え ず 次 の 報 告 を した い.ま ず,大 学 入 試 と大 学 生 活 の状 況, 次 い で,教 員 免 許 の取 得 希 望 を め ぐる問 題, 第3に,高 校 時 の課 外 活 動 と大 学 の 成 績 との
関連,最 後 に,今 後 の 研 究 の た め の若 干 の 覚 z..書きで あ る.(森 井利 夫)
表 皿一1調 査 対 象
男 女 計
54年 度
55年 度 ・
56年 度
103 67 80
82 75 69
185 142 149
250 226 476
成 績 は3年 次 ま で の もの で あ る.
調査 項 目:
調 査 項 目は,付 表 に示 す とお りで あ る.
※ 印 の つ い た項 目は今 回 分 析 の 対 象 と した項 目,米 印 のつ いた 項 目は 今 回情 報 を 入 手 で き なか った 項 目,無 印は,今 回 分 析 の 対 象 と し なか った 項 目で あ る.
な お,以 下 の分 析 に おい て,大 学 時 の成 績 は,次 の計 算 に よ って代 表 値 を 決 定 して い る.
まず,成 績 は,一 般 教 育,語 学,体 育,専 門 の4領 域 に分 け て算 出 され た.各 々 の成 績 は 科 目ご と に0‑10α 点で 与 え ら れ て い る の で,領 域 ご と の取 得 科 目数 に よ る平均 点 と し た.そ の際,放 棄,受 験 無 資格 に よ る無 評 価 は除 い た が,不 合 格 に よ る再履 習 の場 合 には, 不合 格 得 点 と再 履 習 時 の得 点 の 平均 点 を もっ て,そ の 科 目の得 点 と した.
皿 推 薦 入 学者 と学 力 入 学 者 の 高 校 、入 試 お よび 大 学 の 成 績 に 関 す る分 析
H方 法
調 査 対 象:
文 教 大 学 人間 科 学 部 昭和54年 度 入学 生 か ら 昭 和56年 度 入 学 生 まで で,内 容 は表 豆一1に 示 す とお りで あ る.
人 間 科学 部 は 昭和51年 度 入 学 生 が 第1期 生 で あ るが,調 査 対 象 を上 記 の よ うに限 った の は,(1)比 較 的 最近 の学 生 で あ る こ と,② 調 査 資 料 が整 備 され て お り入 手 が 困難 で な い こ と, の2点 か らで あ る.
な お昭 和56年 度 生 は 現 在 の4年 生 で あ り,
平 均 値 の 分析
1.方 法
分析 の 対 象 者:分 析 の 対 象 者 は,昭 和54年 か ら56年 ま で の3ケ 年 の 入 学 者 で,表 皿 一1の よ う で あ っ た.
表 皿一1分 析 の 対 象 者
推薦入学者 学力入学者 計
54年 入 学 55年 入 学 56年 入 学
64 53 54
122 90 94
:.
143 148
分 析 の対 象 とな った変 数 は 次 の とお りで あ った.
分析の変数:大 学 での 教 科 目を,① 一 般 教育,
② 語 学,③ 体 育 お よび ④ 専 門 の4領 域 に 分け, そ れ ぞ れ の 試験 の 評 点(100点 満 点)の 平 均 値(分 母 は 単 位 数 で な くて 科 目数).推 薦 入 学 の ⑥ 論 文(50点 満 点),学 力 入 試 の ⑦ 国 語 お よび ⑧ 英 語,高 校 で の ⑨ 国語 の平 均 点 の10 倍,⑩ 英 語 の 平 均 点 の10倍 お よび⑤ 全 教 科 の 平 均 点 の10倍(内 申点).
2.結 果 お よび 考 察
推 薦 入 学 者 全 体 と学 力入 学 全 体 を 比較 す る と,高 校 で の 国語 や英 語 に 関 して,推 薦 入学 者 の 方 が や や 良 い とい う傾 向が 見 られ た.ま た 同様 な傾 向 は 大 学 で の一 般 教 育,体 育 お よ
び専 門科 目Y'関 し て も認 め られ た が,語 学 は ほぼ 等 しか った.
両 者 に 関 し て逐 年変 化 を 追 って み る と,推 薦 入 学者 は,小 論 文 以 外 の全 て の 変 数 が 単 調 増 加 の傾 向 を 示 し(図 皿一1),Tukey法 に よる 差 の検 定 に よって も表1皿一2に 見 られ る よ う に 大 部 分 の 対 比 較 に有 意 差 が 認 め られ た.こ れ に 対 し,学 力入 学 者 は 明確 な傾 向が 見 られ
ず(図 皿一2),し か も差 の検 定 に よ って も入 試 の 国 語 以 外,有 意 に大 きい 差 の認 め られ た も の は 存 在 し な か った(表ID‑3).
次 い で 推 薦 入学 者 と学 力 入 学 者 と の比 較 を 年 度 毎 に 見 て み よ う(表皿一4).昭 和54年 度 で は 学 力 入 学 者 が 語 学 や 専 門 科 目で高 得 点 を 得 てい た が,55年 度 か らは 全 て の変 数 に お い て 推 薦 入 学 者 の 方が 優 れ て いた.特 に高 校 で の 国語 と英 語 に 関 して,3年 間 一 貫 して推 薦 入 学 者 の成 績 は 学 力 入学 者 のそ れ に ま さ って お り,そ の差 が 年 と 共 に ます ます 大 き くひ らい て い く傾 向 が 認 め られ た.こ の傾 向 は,学 力 入学 者 の成 績 も少 しず つ上 昇 して い るが,そ れ 以 上 に 推 薦 入学 者 の 成績 が 高 くな って い る た め で あ ろ う.
ま た 推 薦 入 学者 の 語 学 力 が 学 力 入 学 者 の そ れ よ りも劣 っ てい るの で は な い か とい う指摘 が 以 前 か らあ り,ま た そ の 理 由 と して 入 学試 験 で チ ェ ック され てい な い 等 が 挙 げ られ て い た が,本 研 究 に よれ ば,昭 和54年 度 で は 確 か
に推 薦 入 学 者 は 学 力入 学 者 よ り も劣 って いた が,55年 度 か らは 逆 転 して い る こ とが 明 らか に な った.
特 に56年 度 で は,全 ての 変 数 の平 均 値 に お い て推 薦 入 学 者 は学 力入 学 者 よ りも優 れ て い たが,こ こで成 緝 のバ ラ ツキー 標 準偏 差 に注 目 しな けれ ば な らな い.す なわ ち学 力 入学 者
表 皿 一2 推薦入学者の各変数 の年 次
変化(注1)
変 数 S54‑S55 S55‑S56 S56‑S54
一 般 教 育 一2
.4 一2
.2 4,6x
語 学 一5 .4う⇔ ぐ ‐o .i 5.5涛x
体 育 0.4 一4 .3營 3.gx
専 門 一2 .4 一2
.4 4.8x芸
小 論 文 一14 .4xx 2.2XX 12.4xx
内 申 点 一1 .0 一2 .1うぐ 3.1※ 甚 国 語
高校{
英 語
一2 。デ←
‑2 .8x
一2 .4ラぐ
一2 .8X
5.1x※
5.6xx XP<0.05
表 皿 一3
芸XP<0.01以 下 同 様
学力入学者の各変 数の年次 変化(注1)
変 数 S54‑S55 555‑556 S56‑S54
一 般 教 育 1.3 i・ 一 〇.4
語 学 0.8 o.o 一 〇.8
体 育 1.2 一2 .2 1.0
専 門 0.9 0.0 一 〇,9
国 語 入試{
英 語
一3 .3愕x
O.5
0.7 is
幺6×
0.3
国 語 高校{
英 語
一 〇.8
‑1 .0
一 〇.2
‑0 .8
1.0 1.8
表 皿 一4 推薦入学者と学 力入学者の
差の年次変化(注2)
変 数 54年 度 55年 度 56年 度 一 般 教 育 一1 .3 2.4 3.7う ⇔ ぐ
語 学 一3 .7x 2.5 2。6x
体 育 o.i 0.9 3.0褓
専 門 一1 .7 1.6 4.0艱
国 語 高校{
英 語
2.8う ⇔E 2,7罧
4.7XX 4.5ラ ⇔E
6.9ラ ⇔ ぐ 6。5罧
注1:数 値 は 平 均 値 の 前 記 年 度 との 差.検 定 はTukey 法 に よ る.
注2:数 値 は(推 薦 入 学 者 の平 均 値)一(学 力 入学 者 の 平 均 値).
検 定 はt一 検定 に よ る 。
4
図 皿 一1推 薦 入学 者 の 平 均 値
の標 準 偏 差 は 推 薦 入学 者 の それ の2倍 近 い 値 で あ り,推 薦 入 学 者 の 成 績 が か な り均 質 で あ るのに 対 し,学 力 入 学 者 は 良 好 の もの とそ う で ない もの の差 が 大 きい とい うこ とで あ る.
こ こは 推 薦 入 学 者 の方 のバ ラ ツキ の 減 少 に よ るた め で あ る(表 皿一5,6).
以上 見 て きた よ うに,推 薦 入 学 者 が 学 力 入 学 者 に比 して 劣 ってい る ことは な く,む し ろ ま さ って い る といxよ う.前 に も触 れ た よ う に,推 薦 入学 者 は バ ラ ツキが 小 さ く,学 力 入 学 者 は バ ラ ツキ が 大 き い の で,前 者 は,後 者 の優 秀 な 者 と比較 され る と劣 って い る とみ な され るか も しれ ない.表 皿 一3に 示 され て い る よ うに,推 薦 入 学 者 は た しか に 学 部 の 創 設 期 に は平 均 値 の上 で も語 学 を 中 心 と して 劣 っ て い た.し か し推 薦 入 学 者 は 年hレ ベ ル ア ッ
図 皿 一2学 力 入 学 者 の 平 均 値
プす る傾 向 が あ るが,学 力 入学 者 には そ の傾 向が 認 め られ な い.そ の結 果 が,表 皿 一3の 56年 度 の欄 に示 され て い る.
因 子 分 析
1.方 法
前 述 した10ま た は8変 数 に関 して,① 推 薦 入 学 者 と学 力入 学 者 を こみ に した 全 デ ー タを 用 い て,② 推 薦 入 学 者 と学 力入 学 者 の デ ー タ を 別 個 に用 い て,さ ら に③ 年 次 毎 に,ピ ア ソ ソの 積 率相 関係 数 を求 め て,因 子 分 析(主 軸 法 に よ る)を 行 って因 子 を抽 出 し,さ らにパ
リマ ック ス回軸 を行 な った.
以 下 の結 果 の解 釈 に お い て,全 般 的 に相 関 係 数 も因 子 負荷 量 も大 きか った の で,因 子 負 荷 量 力訓0.41以 上 を と りあ げ た.
表ID‑5推 薦入 学 者 の 平均 お よび 標 準 偏 差(N=171)
変 数 昭 和54年 入 学 昭 和55年 入 学 昭 和56年 入 学
MEAN SD MEAN SD MEAN SD
一 般 教 育
語 学
体 育
専 門
小 論 文
内 申 点
国 語
高校{
英 語
72.9 67.4 75.5 72.0 20.2 39.1 38.3 36.7
16.64 18.55 17.51 17.50 5.72 9.20 12..22 12.16
75.3 72.8 75.1 74.4 34。8 40.1 41.0 39.5
15.28 15.49 15.72 13.05 6.45 6.53 7.56
‑.
77.5 72.9 79.4 .:
32.6 42.2 43.4 42.3
4.21 :.
6.18 5.08 3.06 3.26 4.31 4.19
表 皿 一6学 力 入 学 者 の平 均 お よび 標 準 偏 差(N=306)
変 数 昭 和54年 入 学 昭 和55年 入 学 昭 和56年 入 学
MEAN SD MEAN SD MEAN SD
一 般 教 育
語 学
体 育
専 門
国 語
入試{
英 語
国 語
高校{
英 語
74.2 71.1 75.4 73.7 57.5 60.1 35.5 34.0
12.41 13.38 13.13 12.86 12.58 13.17 i 9.56
72.9 70.3 74.2 72.8 60.8 59.6 36.3 35.0
.・:
18.36 14.89 15.39 13.45 13.06 8.55 9.54
73.8 70.3 76.4 72.8 60.1 60.4 36.5 35.8
::
12.ss 12.70 12.20 9.18 9:47 8.34 9.36 注:小 論 文,内 申 点,高 校 の 国 語 と英 語 は50点 満 点.
入 学 者 全 体 の 分 析;
3因 子 が 抽 出 さ れ,全 分 散 の83.5%が 説 明 さ れ た.各 変 数 の 因 子 に 対 す る 寄 与 の パ ラ ツ キ が 少 な く,各 因 子 が 直 交 し て お り,単 純 構 造 を 示 し て い た(図 皿一3a,b,c).な お 共 通 性 は,内 申 点 が 他 の 変 数 に 比 し て や や 小 で あ っ た.
第1因 子 は,固 有 値3.218で,寄 与 率32.2%
で あ っ た.専 門 ④,一 般 教 育 ①,体 育 ③,語 学 ② の 因 子 負 荷 量 が そ れ ぞ れ0.924,0.910, 0.876,0.858で,他 の 変 数 の 負 荷 量 は α2以 下 で あ っ た.し た が っ て こ の 因 子 は 「大 学 」 因 子 と 命 名 で き よ う.
第2因 子 は,固 有 値2.841で,全 分 散 の28.4
%を 説 明 して い た.寄 与 の 大 き い変 数 は 入 試 の 英 語 ⑧0.975と 国 語 ⑦0.972,小 論 文 ⑥ 一〇.933 で あ っ た.こ こ で 推 薦 入 学 の 基 準 で あ る 小 論 文 と 内 申 点 ⑤(‑0.212)が 学 力 入 試 の 英 語 ・ 国 語 と 異 符 号 で あ っ た こ と は 注 目 に 値 す る.
こ の 因 子 は 「入 試 」 因 子 と 命 名 さ れ た.
第3因 子 は,固 有 値2.294,寄 与 率22.9%で あ った.こ の 因 子 で 負 荷 量 の 高 い 変 数 は 高 校 の 国 語 ⑨0.905,英 語 ⑩0.898お よび 内 申 点0.747で, 他 は きわ め て 低 か った.「 高校 」因 子 と名 づ け た.
II
図 皿 一3a全 入 学 者 の 因 子 分 析 1
6
皿
図 獗 一3b全 入 学 者 の 因子 分析 皿
図 皿 一3c全 入 学 者 の 因 子 分析 推 薦 入 学 者 の 分 析(表 皿 一7参 照)
A.3年 間 全 体 の 分 析
2因 子 が 抽 出 され,全 分 散 の83.3%が 説 明 され た.こ の 因 子 分 析 で は,2因 子 両 方 に 大 き な 負 荷 量 を も つ 変 数(内 申 点,一 般 教 育, 専 門,体 育)が あ り,単 純 構 造 は 得 ら れ な か
っ た.
第1因 子 は,固 有 値3.753,寄 与 率46.9%
で あ っ た.負 荷 量 の 高 い 変 数 は 専 門0.869, 語 学0.863,一 般 教 育0.852,体 育0.827,小 論 文0.615,内 申 点0.547で,大 学 の 教 科 に 関 す る変 数 は 全 て0.8以 上 で あ っ た.こ の 因 子 は
「大 学 ・入 試 」 因 子 と命 名 で き よ う.
第2因 子 は,固 有 値 が2.906で,全 分 散 の 36.3%を 占 め て い た.こ の 因 子 は,高 校 の 英 語0.923,国 語 α885,内 申 点0.760で あ り,少
し 離 れ て 一 般 教 育0.443,体 育0.440,専 門 0.421と 続 い て い た.「 高 校 ・内 申 」 因 子 と 命 名 され た.な お 小 論 文 の 共 通 性 が0.390と 他 の 変 数 の そ れ(α8以 上)に 比 し て きわ め て 小
さ か っ た.
B.年 次 毎 の 分 析
(a)昭 和54年 度;全 体 の 分 析 と 同 様 な 傾 向 が 見 られ,単 純 構 造 は 得 られ な か っ た.2因 子 が 抽 出 さ れ,全 分 散 の90.4%が 説 明 さ れ た.
第1因 子 は,「 大 学 ・入 試 」 因 子 で,固 有 値4.409,寄 与 率55.1%で あ り,高 校 の 国 ・英 以 外 の 全 て の 変 数 の 負 荷 量 が0.7以 上 で あ っ た.
第2因 子 は,固 有 値2.820で,全 分 散 の35.3
%を 説 明 し て い た.高 校 の 英 ・国 が 負 荷 量0.9 以 上,内 申 点 が0.603,さ ら に 一 般 教 育,体 育,専 門 が0.4台 で 続 い て い た.「 高 校 ・内 申 」 因 子 と 命 名 さ れ た.な お 小 論 文 の 共 通 性 は, 他 の 変 数 の そ れ ら と 比 較 す れ ば 低 い が,0.713
と や や 大 き く な っ た.
(b)昭 和55年 度;3因 子 が 抽 出 さ れ,全 分 散 の94.7%が 説 明 さ れ,や や 単 純 構 造 に 近 く な っ た.も し 取 り上 げ る 因 子 の 負 荷 量 の 基 準 を10.451と す れ ぽ 単 純 構 造 と な った.
第1因 子 は,固 有 値3.556で,全 分 散 の44.5
%を 説 明 して い た.大 学 の 一 般 教 育,体 育,語 学,専 門 が 負 荷 量0.8以 上 で あ り,他 は 小 さ
か っ た の で 「大 学 」 因 子 と 命 名 さ れ た.
第2因 子 は,固 有 値2.814,寄 与 率35.2%
で あ った.こ の 因 子 は,高 校 の 英 語,内 申 点 お よ び 国 語 が 負 荷 量0.9以 上 で あ り,さ ら に 専 門 の 負 荷 量0.415で 続 い て い た.専 門 は 第 1因 子 と 重 複 し て お り,第1因 子 の 負 荷 量 の 方 が 大 で あ った.こ の 因 子 は 「高 校 ・内 申 」 因 子 と名 づ け ら れ た.
第3因 子 は,固 有 値1.205,全 分 散 の15.1
%を 説 明 し て い た.こ の 因 子 に 大 き く寄 与 し た 変 数 は 小 論 文0.939で,「 小 論 文 」 因 子 と命 名 さ れ た.
i Q◎
i
表 皿 一7 推 薦入学者 の因子分析
全 体 昭 和54年 度 昭 釉55年 度 昭 和56年 度
変 数
F1 F2 h2 F1 F'2 hZ F1 F2 F3 h2 F1 F2 F3 hZ
一 般 教 育 .852 .443 .923 .856 .478 .962 .911 .316 .211 .975 .73.3 一.083 一
.178 .575
語 学 .863 .341 :. .837 .369 .837 .889 .372 .164 :956 .875 一.017 一
.033 .:
体 育 .827 .421 :. :. ,,. .941 .911 .285 .182 .945 .233 ‐.oar 一
.825 .734
専 門 .869 .440 .,; .880 .427 .956 :. .415 .332 .965 :. ‐.oii 一.421 :.
小 論 文 .sis .i10 .390 .833 .137 .713 .287 .174 .939 .994 .298 一.620 一.274 .548
内 申 点 .547 .760 .877 .742 .603 .915 .371 :. .277 .959 一.033 ::一 一.303 .875
国 語
高校{
英 語
.325 .244
::
.923
,889 .910
.335 .314
.912 .;
.944 .959
.352 .280
.859 .900
.173 .029
.891 ::・
.129
‑ .005
.650 .829
一.452
.257
.644 .753
Σ αi2 3.753 2.906 4.409 2.820 3.556 2.814 1.205 2.163 2.284 1.327
寄 与 率 46.9 36.3 (83.2) 55.1 35.2 (90.3) 44.4 35.2 15.1 (94.7) 27.0 :. 16.6 (72.2)
相 対 寄 与 率 56.3 43.7 61.0 39.0 46.9 37.2 15.9 37.4 39.6 23.0
表 皿 一8 学力入学者の因子分析
全 体 昭 和54年 度 昭 和55年 度 昭 和56年 度
変 数
F1 F2 F3 F4 h2 F1 F2 h2 F1 F2 F3 F4 h2 F1 F2 F3 F4 h2
一 般 教 育
.930 .180 .131 一.125 .929 .862 .426 .924 .941 .093 .180 1: .934 。960 .037 .002 一.055 .925
語 学 .913 .208 .056 一..135 .898 .sii .460 :.・ .936 .010 .184 一.077 .916 .929 .117 .057 一.033 ::
体 育 :: .; .153 一.176 .871 .817 .412 .837 .831 .231 .276 一.229 .873 .930 .037 .016 一.037 :.:
専 門 .912 .222 .164 一.149 .930 .840 .467 .925 :. .199 .271 一.198 :・ .971 .049 一:020 一.050 .,.
国 語
入試{
英 語
.195 .275
.112 .142
.932 .289
一.257
‑ .898 睥.985
.985 :i・
.810 .:
.193 .683 .694
.166 .247
.922 .373
.079 .iai
一.287
‑ .861 .967 .974
一.085
.031 一.033
‑ .028 .101
.;.
・::
.101 .994 .990
国 語
高校{
英 語
::
.195 ::
.911 .221
‑ .035 .036
‑.222 .909
.;
.355 .252
.862
;..
:.・
.871 .332 .213
.251
‑ .075 :.
.893 .031
‑ .263 .920
.;
.086 .063
.933 .937
一.164
.125 .089
‑ .134 .912 .915
Σ αi2 3.542 1.802 1.072 1.009 4.275 2.397 3.441 1.160 1.798 .998 3.612 1.768 1.035 1.019
寄 与 率 44.3 22.5 13.4 12.6 (92.8) 53.4 30.0 (83.4) 43.0 14.5 22.5 12.5 (92.5) 45.1 22.1 12.9 12.7 (92.8) 相 対 寄 与 率 47.7 24.2 14.4 13.6 64.0 34.0 46.5 15.7 24.3 13.5 一:. 23.8 13.9 13.7
(c)昭 和56年 度;前 年 度 と 同 様 に3因 子 が 抽 出 され た.全 分 散 の72.2%が 説 明 さ れ た が, 単 純 構 造 に な ら ず,単 純 構 造 とす る た め に は 負 荷 量0.5以 上 だ け を と りあ げ な け れ ぽ な ら な か っ た.
第1因 子 は,固 有 値2.163,寄 与 率27.0%
で あ っ た.因 子 負 荷 量 の 大 き い 変 数 は,語 学 0.875,専 門0.836お よ び 一 般 教 育0.733で,体 育 は0.233と 小 さか った.し た が っ て こ の 因 子 は 「大 学 文 系 」 因 子 と名 づ け ら れ た.
第2因 子 は,3因 子 中 最 大 の 固 有 値2.284 を も ち,全 分 散 の28.6%を 説 明 し て い た.寄 与 の 大 き い 変 数 は 内 申 点 α884,高 校 の 英 語
0.829,国 語0.650,さ ら に 小 論 文 一 〇.620で あ っ た.こ の 因 子 は 「高 校 ・入 試 」 因 子 と 命 名 され よ う.
こ こ で 注 目 され る の は,同 一 因 子 に お い て 符 号 の 異 な る 大 き な 負 荷 量 が 見 ら れ た こ と で あ る.こ れ に 関 し て は 昭 和59年 度 の 推 薦 入 学 者 の 内 申 点 と 小 論 文 と の 相 関 が マ イ ナ ス で あ っ た こ と を 付 記 し て お く に と ど め る.
第3因 子 は,固 有 値1.327,寄 与 率16.6%
で,負 荷 量 の ほ と ん ど が マ イ ナ ス で あ っ た.
す な わ ち体 育 一 〇.825,高 校 国 語 一 〇.425,専 門 一 〇.421で あ っ た.こ の 因 子 の 命 名 は 困 難 で あ る が,一 応 「体 育 」 因 子 と し て お こ う・.
学 力 入 学 者 の分 析(表 皿̲g参 照) A.3年 間全 体 の 分 析
4因 子 が 抽 出 さ れ,全 体 の 分 散 の92.8%が 説 明 さ れ た.き わ め て 明 確 な 単 純 構 造 が 得 ら れ た.
第1因 子 は,固 有 値3.542,全 分 散 の44.3
%を 説 明 し て い た.一 般 教 育0.930,語 学 0.913,専 門0.912お よ び 体 育0.882で,他 は き わ め て 小 で あ っ た.推 薦 入 学 者 の55年 の 第1 因 子 と酷 似 し て お り,「 大 学 」 因 子 と 命 名 し た.
第2因 子 は,固 有 値 が 第1因 子 の 約 半 分 の 1.802で,寄 与 率 が22.5%で あ った.負 荷 量 の 大 き い 変 数 は 高 校 の 英 語0.911と 国 語0.811の
2変 数 で,「 高 校 」 因 子 と 命 名 で き よ う.
第3因 子 は,固 有 値1.072で 全 分 散 の13.4
%を 説 明 し て い た.入 試 の 国 語 の 負 荷 量 が 0.932と 大 き く,他 は0.3以 下 で,「 入 試 国 語 」
と 名 づ け た.
第4因 子 は,固 有 値1.009,寄 与 率12.6%
で,高 校 の 国 語 以 外 の 負 荷 量 は マ イ ナ ス で あ っ た.負 荷 量 の 大 き な変 数 は 入 試 英 語1'・' で あ り,「 入 試 英 語 」 と命 名 し た.
入 試 で の 国 語 と 英 語 が 別 個 の し か も 単 独 の 因 子 を 形 成 し て お り,し か も 次 に 述 べ る 年 次 毎 の 分 析 で も,55年 と56年 に お い て も 同 様 の 傾 向 が 現 わ れ た こ と は 注 目 に 値 し よ う.
B.年 次 毎 の 分析
(a)昭 和54年 度;学 力 入 学 者 の 他 の 因 子 分 析 と は 異 な っ て い た.す な わ ち2因 子 だ け が 抽 出 さ れ,全 分 散 の83.4%が 説 明 さ れ た が, 単 純 構 造 を 示 さ な か った.単 純 構 造 を 得 る た め に は,負 荷 量 の 基 準 を0.5と し な け れ ば な ら な か っ た.
第1因 子 は,固 有 値4.275,寄 与 率53.4%
で,高 校 の 国 ・英 以 外 の 全 て の 変 数 の 負 荷 量 はas以 上 で あ っ た.一 一般 教 育0.862,専 門 0.840,体 育0.817,語 学0.811,入 試 英 語0.810 お よ び 入 試 国 語0.809で あ っ た.こ の 因 子 は
「大 学 ・入 試 」 因 子 と命 名 さ れ よ う.
第2因 子 は,固 有 値2.397で,全 体 の 分 散 の29.9%を 説 明 し て い た.高 校 の 英 語 と 国 語 の 負 荷 量 が α8以 上 で,次 い で 専 門,語 学, 一 般 教 育 お よ び 体 育 が0 .4台 で 続 い て お り, 入 試 の2変 数 は0.2以 下 で あ っ た 。 「高 校 ・大 学 」 因 子 と 名 づ け た.
な お 入 試 の2変 数 の 共 通 性 が0.6台 で,他 の 変 数 の そ れ に 比 し て や や 小 さ か っ た.
(b)昭 和55年 度;全 体 の 因 子 分 析 と 同 様 に 4因 子 が 抽 出 さ れ,全 分 散 の92.5%が 説 明 さ れ て,単 純 構 造 が 得 ら れ た.
第1因 子 は,固 有 値3.441,寄 与 率43.0%
で あ っ た.一 般 教 育,語 学,専 門 お よび 体 育 の 負 荷 量 が0.8以 上 で,他 は 小 さ か っ た.し た が っ て 「大 学 」 因 子 と いxよ う.
第2因 子 は,固 有 値 が 第1因 子 の1/3以 下 の1.160で,し か も 第3因 子 よ り も小 さ く,
寄 与 率14.5%で あ った.こ の 因 子 に 大 き く寄 与 し て い た の は 入試 国 語0.922だ け で あ った.
「入試 国語 」 因 子 で あ った.
第3因 子 は,前 述 の 如 く,固 有 値 が 第2因 子 よ りも大 き く,全 分 散 の22.5%を 説 明 して い た.因 子 負 荷 量 の 大 きな 変 数 は 高 校 の2変 数 で,o.s以 上 で あ った.こ の 因 子 は,し た が
って 「高校 」 因 子 と命 名 され た.
第4因 子 は,固 有 値 が0.998で ほ ぼ1で あ り,寄 与 率12.5%で,し か も入 試 英 語 が 負 荷 量 一 〇.861なの で 採 用 し た.「 入 試 英 語 」 因 子 で あ った.こ の 因子 の 負 荷量 は,高 校 国語 以 外全 て マ イ ナ ス で あ った.
(c)昭 和56年度;こ の 分 析 は,55年 度 の 分 析 と酷 似 した 結 果 が 得 られ た.す な わ ち 同一 の4因 子 の 単 純 構 造 が 得 られ,全 分 散 の92.9
%が 説 明 され た.
第1因 子 は 「大 学 」 因 子 で,大 学 の4変 数 負荷 量 が0.9以 上 で あ り,他 は0.1以 下 で あ っ た.固 有 値3.612,寄 与 率45.1%で あ った.
第2因 子 は,55年 度 の 第3因 子 「高 校 」 と 対 応 し,固 有 値1.768で,全 分 散 の22.1%を 説 明 し て い た.高 校 の 英 語 と 国 語 が 因 子 負 荷XO.937と0.933で,他 は0.2以 下 で あ った.
第3因 子 は,固 有 値1.035,寄 与 率12.9%
で,入 試 英 語 だ け が 高 い負 荷 量0.989で あ っ た.「 入試 英 語 」 因 子.
第4因 子 は,55年 度 の 第2因 子 「入 試 国語 」 と対 応 した が,マ イ ナ ス の 負 荷 量 が 多 か った.
固有 値1.019で,全 分 散 の12.7%を 説 明 して い た.
以上 の 分 析 に よれ ぽ,推 薦 入学 者 と学 力 入 学 者 の 因 子構 造 は 異 な って お り,学 力 入学 者 の場 合 は 大学 の 科 目,高 校 の 国英,入 試 の 国 語 お よび 入試 の英語 が互 いに ほぼ独立 で,大 学 の成績 を予 測 させ る ものは殆 ん どなか った.こ れ が 大 学 や 高校 の成 績 に反 映 しな い 受験 勉 強 の結 果 に も とつ く入学 を意 味 す る な らば,速 や か に対 策 を立 て るべ きで あ ろ う.一 方推 薦 入 学 者 の場 合,大 学 の成 績 は 高校 や 小論 文 の 成 績 と何 らか の 関連 が認 め られ,現 行 の推 薦 選 抜 の方 向が 適 正 で あ る と考xら れ る.
以 上 の こ とは,昭 和54年 度 か ら56年 度 ま で の3年 間 だ け の 分 析 で あ り,ま た 本学 部 は51 年 に 設 立 され て間 もな く,入 学 者 の特 性 傾 向
も未 だ 固 定 し てい る と も考 え られ な い の で, 軽 々に 結 論 づ け る こ とは 避 け な け れ ぽ な らな い が,上 記 結 果 を 検 証 し,よ り良 い方 向に 向 け ての 方 策 を 立 て る こ とが 急 務 で あ ろ う.
(本田時雄)
N教 員免許状取得希望者の分析
1.教 員 免 許 状 取 得希 望 者 の状 況
本 学 人 間 科 学 部 で は,次 の 教 員 免 許 状 が 取 得 で き る.1.小 学 校 教員2級 免 許 状(以 下, 小 免).こ れ は,教 育 学 部 で 開 講 す る授 業 の 単 位 を 取 得 す る こ とに よ って 取 得 で き る.2.
中 学1級 ・高 校2級 社 会 科 教 員 免 許 状(以 下, 中 ・高 社 免).人 間科 学 部 で 課 程 認 定 を 受 け てい る教 員 免 許 状 で あ る.3.養 護 学 校 教 員 免 許 状(以 下,養 免).社 免 を 取 得 す る こ と を 前 提 と して,養 護 関 係 の 授業 は,教 育 学 部 で 受 け る こ とに な って い る.
人 間 科 学 部 に お い て,教 員 免 許 取 得 希 望 者 な い し教 員 希 望 者 が,多 い の で は ない か とい う議 論 が しば しば な され る.多 分 そ れ は,本 学 に 教員 養 成学 部 が あ り,そ こ との 併 願 に よ って 人 間科 学 部 へ 入学 した学 生 が 少 な か らず い る とい う推 定,就 職 希 望 状 況 な どか ら出 て きた もの で あ ろ うが,他 大 学 の 類 似 す る学部 との 正確 な 比較 資 料 を も とに述 べ て い る もの で は な い.多 い か 少 な い か,こ の 点 に つ し・て は他 日を期 す よ り仕 方 の な い こ とで あ るが, 事 実 は,表1V‑1で 示 す もの で あ る.皿 で述
べ た よ うに,昭 和54〜56年 度 入 学 生,476人 を母 数 と した もの で あ る.各 年 度 ご との バ ラ つ き は あ る が,ト ー タル で見 れ ば,約7割 の 学 生 が いず れ か の教 員 免 許 状 を 取 得 し よ うと
して い る.
性 別 で は(表N‑1),「 教 免 取 得 せ ず 」 が 男性 で 多 く,そ の分 「中高 社 免 」 が 女 性 で 多 い傾 向 を示 して い る.教 員 免 許 取 得 希 望 の傾
10一
表1V‑1教 員 免 許 取 得 希 望 者
＼ ＼ ̲轡u
教免取得せ ず 小 免 中 高 社 免 養 免 合 計入 学年度
54年 55年 56年
31.4%(58) 38.0(54)
24.2(36)
27.0%(50) 26.1(37) 20.8(31)
26.5%(49) 31.7(45) 40.9(61)
15.1%(28) 4.2(6) 14.1(21)
100.0%(185) 100.0(142) 100.0(149) 性
別 男 女
34.4(86) 27.4(62)
24.8(62) 24.8(56)
29.6(74) 35.8(81)
11.2(28) 11.9(27)
100.0(250) 100.0(226)
合 計 31.1(148) 24.8(118) 32.6(155) 11.5(55) 100.0(476)
注1)()内 の整 数 は 例 数,以 下 同 じ.
2‑‑・‑'‑‑‑‑‑2
注2)性 別 に つ い て,両 側危 険 率5%有 意 水 準 で の カ イ 自乗 検 定は,Xo=3.343〈7.815=X(0.05),以 下 同 様 に 示 す.
向 は,女 性 に や や 多 い と読 め るが,記 述 統 計 一 カ イ 自乗 検 定(両 側 危 険 率5%有 意 水 準)一 上 の有 意 差 は認 め られ な い.
2.分 析 上 の 問 題
デ ー タの分 析 に 入 るに 当 って,分 析 上 の 問 題 に つ い て い くつ か 留保 しなけ れ ば な らな い.
そ れ は,分 析上 の 弱 点 で あ り,と りもな お さ ず 本論 稿IVの 限 界 を示 す もの で あ り,そ れ を 明 らか に して お こ うとい う こ とで あ る.
第1に,こ れ は 「教 員 免許 取 得 希 望 者 」 に つ い て の分 析 で あ り,決 して 「教員 免 許 取 得 者 」 や 「教 職 就 職 者 」 に つ い て の分 析 で は な い こ とで あ る.周 知 の よ うに 「希 望者 」 の 中 か ら 「辞 退 者 」 が 出て 「取得 者 」 とな り,そ の 中 の 何 割 か が,「 就 職 者 」 と な る.そ うし た こ とか ら,教 員 免 許 状 取 得 を 大学 生 活 の 諸 状 況 とか ら ませ て考 え るに は,「 希 望 者 」 「取 得 者 」 「就 職 者 」 に つ い て の分 析 を 相 互 関 連 的 に 並 行 的 に 分 析 してい く必 要 が あ る.し か し こ こで は そ の様 な分 析 は な され て い な い.
第2に,こ の分 析 で分 る のは,教 員 免 許 希 望 と諸 要 因 と の 関連 性 で あ り,例 えば 何 が 小 免 取 得 希 望 に 向わ せ る のか,あ るい は 向わ せ な い のか と い う因果 関係 的 分 析 も行 わ れ て い な い.
第3に,教 員 免 許 希 望 の 中で は,誰 も が等 しい希 望 を持 って い る訳 では な く,是 非 教員 に な ろ うと い う強 い希 望 が あ り,他 方 取 れ る もの な ら取 って お こ うと い う軽 い希 望 もあ る だ ろ う.そ の強 弱 に よ って学 生 生 活 へ の構 え が異 な る こ と も十 分 予 測 され る.個 人 の 動機
に 逆 の ぼ って見 る こ とは,分 析 上 の 必 要 な側 面 で あ る.第2の 問 題 と もか ら んで くる が, 意 識 や 態 度 と の分 析 が 全 くな され てい な い.
第4に,以 上 の こ とを考 え る と,教 員 免 許 希 望 へ 向わ せ る もの と して,個 人的 動機 の 問 題 のみ な らず,そ れ の形 成 に寄 与 して い る で あ ろ う出 身階 層,職 業 な どの社 会 的 要 因 と の 分 析 もな され て い な い.さ らに,教 職 就 職 希 望 の 多寡 と関連 す る社 会状 況 の分 析 もな され て い な い.
以上 の よ うな 問 題 点 を持 つ分 析 で あ る.こ れ は,そ もそ も研 究 の 出発 が,人 間科 学 部 の 学生 像 の把 握 で あ り,そ の た め の デ ー タを 既 存 の もの に 求 め た と い うと ころ に あ る.と 同 時 に デ ー タの 整 理 も十 分 に 行 な わ れ て い な い とい うこ とに も よる.と もあ れ,上 述 の 留 保 の うえ で 以 下 述 べ る こ と とす る.
3.高 校 の 成 績 と の 関 連
高 校 で の 成 績 を か な り客 観 的 に 把 握 す る 方 法 と し て は,内 申 書 以 外 の デ ー タ を 持 ち 合 わ せ て い な い.高 校 で の 成 績 を 内 申 書 の 成 績 評 価 を 資 料 と し て 使 う.
3年 間 の 全 教 科 ・科 目 の 個hの サ ソ プ ル の 平 均 値 が 出 さ れ て い る.こ れ を 通 常 「評 定 平 均 値 」 と し て い る が,こ れ は,出 現 期 待 と し て は,o.oか ら5.0に 分 布 す る.勿 論 こ れ は 論 理 可 能 性 の 問 題 で あ り,実 際 に は,2.5か ら 4.9の 問 に10ケ ー ス のmissingvalnesを 除 く 466ケ ー ス が 分 布 して い る.466ケ ー ス の 「評
定 平 均 値 」 の 加 重 平 均 は,3.74で あ る.「 評 定 平 均 値 」3.7を 区 切 り と し て,以 上 の 者 を 上
表N‑2,「 評 定 平 均 点」 との 関 連
種 別 教免取得せず 小 免 中 高 社 免 養 免 合 計
評 定
上 位
下 位
52.5%(74)
、 47.5(67)
64.1%{75) 35.9(42)
61.7%(95) 38.3(59)
79.6%(43) 20.4(11)
61.6%(287) 38.4(179)
合 計 100.0(141) ・100.0(117) 100.0(154) 100.0(54) 100.0(466)
Xa=12.688>11,341=X2(0.01)
missingvalnes=10
表 】V‑35教 科 の評 定 と の 関 連 一 各 種 別 で 上位 者 の 含 まれ る比 率 一
別 教免取得せず 小 免 中 高 社 免 養 免 全 体 カイ 自乗値
教科 の 評定 上 位
国 語 55.00 54.8 57.4 58.2 56.1 0.356
社 会 49.3 51.3 60.0 60.0 54.8 5.025
数 学 52.5 58.3 49.4 67.3 54.6 6.149
理 科 52.9 53.9 55.2 65.5 55.4 2.722
英 語 51.4 70.4 57.4 67.3 .1! 11.144
注)カ イ 自乗 値 は,各 教 科 の 上 位 ・下 位X種 別,2×4表 の も の.
5%水 準 で,自 由度3の カ イ 自乗 値X2(0.05)=7.815
位 者,満 た な い 者 を 下位 者 と して作 成 した表 が,表 】V‑2で あ る.
「評 定 平均 値 」 上 位 の 者 の 比 率 は,「 養 免」
で79.1%,「 取 得 せ ず 」 で52.5%と 対 極 を な して い る.教 員 免 許 希 望 者 と 「評 定 平 均 値 」 と の間 に は,有 意 の 差 が 認 め られ る.
さ らに,5教 科 の 評 定 に つ い て,上 述 の 操 作 を 行 な い,上 位 者 のみ の 比 率 を 示 した もの が表1V‑3で あ る.上 位 者 と した の は,国 語 で評 定3.8以 上,社 会3.9以 上,数 学3.6以 上, 理 科3.6以 上,英 語3.7以 上 で あ る.国 語 で は, 種 別 に よ って 差 が 見 られ な い が,英 語 で は 明 瞭 な 差 が 見 られ る.数 学 で も差 が 見 られ る.
総 じて 言 え る こ とは,「 養 免 」 で 「評 定 平 均 値 」 や 各 教 科 の評 定 の高 い 者 が 比 率 の うえ か ら も多 く含 まれ る し,「 取 得 せ ず 」 は,そ の 逆 で あ る とい う こ とで あ る.
以 上 を や や 強 引 に敷 衍 す る な らば,高 校 時 代 の 成 績 の良 か った 者 が よ り多 く教 員 免 許 状 を 希 望 し,そ の傾 向 は と りわ け 養 護 教 員 免 許 希 望 者 に強 く出 て い る ことで あ る.さ らに,
この 関 連 性 は,「 評 定 平 均 点 」 と英 語 の 評 定 との 関 連 に お い て読 む こ とが で き る.
4.入 学 経 路 との 関 連
人 間科 学 部 へ の 入学 の方 法(経 路)は,4 通 りあ る.そ れ は,a.附 属 高校 か らの推 薦
に よ る方 法,b.一 般 の推 薦 入学,c.学 力 試験 の 合 格,d.学 力試 験 の繰 り上 げ 入 学 で あ る.aの 経 路 は,当 該年 度 で は 極 め て 少数 で あ った の で,aとbを 推 薦 入 学 と して一 括 し,全 体 を 「推 薦 」 「学 力 」 「繰 り上 げ 」 の3 分 類 との 関 連 を 示 した ものが,表W‑4で あ る.
教 員 免 許 状 取 得 希 望 と入学 経 路 とは 明 らか に 有 意 の 差 が 認 め られ る.特 徴 的 な 傾 向 は, 次 の こ とで あ る.1)「 中 高 社 免 」 「養 免 」 で は 比 較 的 多 くの 推 薦 入 学 者 を含 む.2)「 小 免 」 で は 比 較 的 多 くの 繰 り上 げ 入 学 者 を 含み, 推 薦 入 学 者 は 少 な い.3)「 取 得 せ ず 」 で は 比 較 的 多 くの 学 力入 学 者 を含 む.
この こ とか ら,次 の こ とが 推 測 で き る.す なわ ち,推 薦 入 学 者 は,か な り意 識 的 に 中 高 社 会 ・養 護 教 員 免 許 状 を 取 ろ うと し,繰 り上 げ 合 格 者 は,小 免 取 得 を 考 え る多 くの層 が あ る.学 力入 学 者 は,本 来 の 人 間 科 学 部 の カ リ キ ュ ラム に沿 って勉 学 し よ うとす る傾 向を も
つ.
12一
表IV‑4入 学 経 路 との 関 連
別 教免取得せず 小 免 中 高 社 免 養 免 合 計
入 学 経 路
推 薦 33.6%(4$):. 26.5%(31)18.5 42.6%(66)39.3 42.6%(23)13.7 35.8%(168)100.0 学 力 55.2(79)32.5 50.4(59)24.3 51.0.(79)32.5 48.'1(26)10.7 51.8(243)100.0 繰 り 上 げ 11.2(16)27.6 23.1(27)46.6 6.4(10)17.2 9.3(5)8.6 12.4(58)100.0 合 計 100.0(143)30.5 100.0(117)24.9 100.0(155)33.0 100.0(54)11.5 100.0(469)100.0
注Xo=22.111>is>812=x2(0.01) missngvalnes=7
下 段 は 横 計 の 比 率.以 下 同 じ.
表N‑5専 修 と の 関 連
別 教免取得せず 小 免 中 高 社 免 養 免 合 計
専
修
心 理 学 58.9%(83) 38:2
39.0%(46) 21.2
43.9%(68) 31.3
36.4io(20) 9.2
46.30(217) 100.0 社 会 学 19.1(27)26.7 17.8(21)20.8 23.9{37)36.6 29.1(16)15.8 21.5(101)100.0 教 育 学 12.8(18}17.0 39.8(47)44.3 23.2(36)34.0 9.1(5)4.7 22.6(106)ioo.o
人 間 学 9.2(13)28。9 3.4(4)8.9 9.0(14)31.1 25.5(14)31.1 9.6(45)100.0
合 計 100。0(141)30.1 100.0(118)25.2 100.0(155)33.0 100.0(b5)11.7 100.0.(469)
100.0
Xo=43.176>21.666=XZ(0.001)
missingvalnes=7
5.専 修 との関 連
表W‑5は,専 修 との関 連 を 示 し てい る.
た だ し,昭 和54,55年 度 入学 生 の総 合(B) コース の 学 生 は ,本 来 な ら人間学へ入れ るべ きで あ るが,デ ー タ ・ベ ー スが そ の よ うに作 られ て い な い の で,心 理 学,社 会 学,教 育 学 へ 割 り振 られ 実 情 に 合 わ な い例 数 とな って い る.し か し,一 応 の 傾 向 は見 られ る.そ れ は, 以 下 の 点 で あ る.1)心 理学 専 修 で は,「 取 得 せ ず 」 の 比 率 が 高 い.2)教 育 学 専修 で は,
「小 免 」 の比 率 が 高 い.3)人 間 学 専 修 で は,
「養 免 」 の比 率 が 高 い.4)社 会 学 専 修 は, お おむ ね 学 部 全 体 の情 況 を 反 映 して い る.
パ タ ー ソ化 し て言 うな らぽ,心 理 学 専 修 学 生 は,教 職 よ り も他 の職 種 へ の 志 向を 内在 さ せ て お り,教 育 学 専 修 学 生 は 小 学 校 教 員 へ, 人 間学 専 修 学 生 は 養 護 教 員 へ とい う強 い 志 向 を示 して い る.こ の傾 向 は学 部 の 情 況 を 知 る 者 の常 識 を満 足 させ る もので あ ろ う.
6.履 修 科 目 との 関 連
大 学 で の 勉 学 の関 連 の一 端 を 見 る方 法 と し て履 習 科 目数 と の関 連 を見 る.表W‑6が そ れ で あ るが,一 般 教 育,専 門,そ の 他(他 学 部 聴 講)の 一 学 生 当 りの履 修 登 録 と実 際 に履 修 した 科 目数 の平 均 を示 してい る.参 考 と し て,「(延 登 録 科 目数 一延 履 修 科 目数)/延 登 録 科 目数 」 を 計 算 し,「 放 棄 率 」 と し て い る.
この数 値 が 高 い ほ ど,よ り多 く途 中 で授 業 を 放 棄 す る こ とを 示 して い る.
一 見 して言 え る こ とは,1)「 取 得 せ ず 」 で,登 録 科 目数 は 他 と比較 して 少 な い に もか か わ らず,実 際 の 履 習 科 目は 少 な い,つ ま り 放棄 科 目が 多 い とい うこ とで あ る.2)次 い で,「 中高 社 免 」 で の放 棄 率 の高 さが 目立 つ.
3)「 小免 」「養 免 」 で は,比 較 的放 棄 率 は 低 い.4)「 小免 」 に お い て,そ の 他 科 目 の 放 棄 率 は 著 し く低 い.
この 状 況 を 現 実 に 照 ら して 言 うと,次 の よ
表N‑6履 修 科 目と の 関 連
別 教免取得せず 小 免 中 高 社 免 養 免 全 体
一 科 登 録 14.7 14.3 14.7 13.6 14.5
般教 履 修 11.8 12.6 12.5 12.8 12.3
育 目 放 棄 率 0.195 0.118 0.150 0.063 0.153
専 登 録 33.7 33.9 40.0 45.2 37.1
門科 履 修 25.8 30.9 35.1 41.0 32.2
目 放 棄 率 0.234 11:: 0.122 0.094 0.132
そ科 登 録 2.4 11.4 1.3 1.5 3.1
の 履 修 1.2 11.2 1.2 1.4 3.0
他 目 放 棄 率 0.524 o.ois o.osa 0.067 0.055
登録,履 習は1学 生平均の科 目数
うに な るで あ ろ う.全 体 と し てみ る と教 員 免 許 希 望 者 の 方 が 科 目履 習 の 状 況 は 良 い し,そ れ に反 して,教 員 免 許 を 取 らな い と し てい る 層 は,専 門科 目の4分 の1を 放 棄 し てい る よ うに,履 習状 況 は 悪 い.と りわ け 目立 つ こ と は,養 護 教員 免 許 希 望 者 と小 学校 教 員 免 許 希 望者 の 履 習状 況 の 良 い こ とで あ る.
7.ま と め
教員 免 許希 望 者 とそ うで な い 者 と比較 しつ つ,諸 要 因 との 関連 を 見 て きた.限 定 づ きの 小論 で あ る こ とは,2で 述 べ た通 りで あ り, 今後 の 問題 と言 わ ね ば な らな い.し か し,諸 要 因 との 関連 性 で言 うな らば,次 の暫 定 的 な 知 見 を言 う こ とが で き る.人 間 科 学 部 の学 生 に あ って は,1)高 校 で の成 績 と免許 希 望 と の間 に関 連 性 が認 め られ る.小 免 希 望,養 免 希 望 者 の 中 に 比較 的 高校 時 の成 績 の 良 い者 が 多 く含 まれ て い る.2)入 学 経 路 と教 免 希 望 との 間 に も関 連 性 が 認 め られ る.教 免 取 得 を しな い者 は学 力 入学 者 に 多 い.3)専 修 と の 関 連 では,教 育 学 で小 免,人 間 学 で養 免 と い う志 向 を示 し,心 理 学 では 教 育 免 許 取 得 へ の 志 向は 低 い.4)履 習科 目と の関 連 では,総
じて,小 免,養 免 希 望 者 が 健 実 な履 習 状 況 を 示 して い る.(勅 使 河原 勝男)
V大 学 で の 成 績 と高 校 で の 課 外 活 動
本 節 で は,主 と して 大学 で の成 績 と高 校 で の 課 外 活 動 に つ い て 分 析す る.
基 礎 集 計 1.大 学 で の 成 績
大 学 で の 成 績 は,一 般 教 育(以 下 般 教 と略 す),語 学,専 門 の3領 域 の 成 績 を と り あ げ た.各 領 域 ご と 及 び3年 間 全 体 の 成 績 ヒ ス ト
グ ラ ムが 図V‑1a,b,c,dで あ る.平 均 と 標 準 偏 差 は 表V‑1の と お りで あ る.
表V‑1領 域ご との平均 値と標準偏差
領 域 年度(昭和)平 均 標準偏 差
一 般 教 育54
55 56
76.18 77.09 76.23
4.03 5.65 4.70
語
全
学54 55 56
76.46
72.56 74.85 72.14
4.76
専
is 6.56 8.21
全
門54 55 56
73.10
75.48 75.51 75.26
7.39
6.21 7.66 5.70
全 75.42 6.52
14一
図V‑1a一 般 教 育 の 成 績 分 布
図V‑1b語 学 の 成 績 分 布
図V‑1c専 門 の 成 績 分 布
図V‑1d3年 間 全 体 の 成 績 分 布
一16一
