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円弧歯形をもっ傾斜歯車減速装置の特性

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Academic year: 2021

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(1)

近畿大学工学部研究報告 No. 37, 2003年,pp.7578 Research Reports of the School of Engineering, 

Kinki University No. 37, 2003, pp. 75‑78 

円弧歯形をもっ傾斜歯車減速装置の特性

長寄羊ー*・藤井亮*・田中卓次**

C h a r a c t e r i s t i c  o f  G e a r  S y s t e m  w i t h  l n c l i n e d  P l a n e t a r y  Gear and  C i r c u l a r   Ar c  T o o t h  P r o f i l e  

Y o i c h i  NAGASAKI , 合 Makoto FU J1 I * ,  T a k u j i  TANAKA

Abstract 

Trus paper descri.bes a new reduction  ge systemwhere an eccentric  shaft  oscillates  a slight  angle  of  inclination to the input‑output shaft. The system possesses two types of tooth profile. One is convex teeth used  roller bearing, and the other is concave circular arc. Therefore, preloads cause non‑backlash. From running test,  a feature of this system small torque in idling

, 

high efficiency

, 

low temperature ri.se  and low noise level.  Furthermore, amplitudes of vibration acceleration of gear depend on torque and there is  a limit of among  number ofteeth.

Key words: Gear, Macrune Element, Torsional 

R i

giditぁPlanetGear, Reduction Gear, Efficiency, Circular Arc  Tooth Profile 

1.  緒言

新たに開発された傾斜歯車減速装置(偏心差動歯車装 置)(1)において、相対するそれぞれの歯車の歯形を、一方 では半円状のピン(凸円弧歯)、他方では半円状の溝(凹円 弧歯)としている。また、凸歯としてころ軸受用針状ころ を使用している。これらの歯形をもっ歯車が、入力軸に 対して僅かに傾斜(軸角)してかみ合っている。この構造 により、軸方向に予圧を加えることによって、パックラ ツシを零にすることが可能になる。したがって、将来、

この装置が電動減速アクチュエー夕、各種位置決め装置 などの幅広い範囲で利用される減速機になると思われる。

傾斜歯車減速装置に関する研究は、数例報告されてい る

ω (

4)0 しかしながら、これらの研究においては、一 般転位内歯車、一般転位円すい形内歯車とクラウニング、

を施したヒ。ニオンをかみ合わせた試作機の効率や騒音な どについて述べたもので、本実験に用いた歯形の歯車に

古近畿大学工学部機械工学科 帥自営

75 

ついては報告されていない。したがって、本研究では、

円弧歯形をもっ傾斜歯車減速装置の試作機を用いて、実 験的研究を行い、この装置のねじり、効率、騒音および 振動加速度などの特性を明らかにすることができたので 報告する。

2 .  

実験条件

2 . 1  

傾斜歯車減速装置

図1に本実験に用いた

4

頃斜歯車減速装置(偏心差動歯車 装骨の構造を示している。この装置は構造的には、一般 の2K‑H型差動歯車装置と同様に歯数が僅かに違う遊 星歯車問の速度差を利用するものである。相違する点は、

本装置の場合、図1のように傾斜歯車②と③の回転軸が 入力軸に対して僅かに傾いており、

4

頃斜歯車②と③は入 力軸の回転に伴い、歳若軍動をしながら固定歯車①と出 力歯車②にかみ合って動力を伝達する。この機構から、

Department ofMecharucal Engineering, Sch,1 of Engineering, Kinki University  Self"suppo.ing

(2)

76  近畿大学工学部研究報告 No.37 

① Fixed gear 

② Inclined planet gear 

③ Inclined planet gear 

④ Output gear 

⑤ Input shaft 

⑥ Output shaft 

Fig.1 Gear system with inclined planet gear 

軸方向に予圧をかけることができ、パックラッシを零に することが可能である。本装置の場合、歯切りを容易に するため、固定歯車①および出力歯車④

U

頃斜歯車②、

③のそれぞれの歯車対が外歯車同士のかみ合いになるよ うに、各歯車のピッチ円すい角を決定している。これに よって、固定歯車側および出力歯車側の歯車対の歯数差 を最小のHこすることができる上に、それぞれの歯車対 の歯数を同数にもすることもできる特徴を備えている。

よって、本装置では、歯車対の歯数を変えることにより 種々の高減速が可能である。 Zlを固定歯車①、 Z2、Z3を 傾斜歯車②、③およびZ4を出力歯車④の歯数とすると、

速比uは同型の差動歯車装置と同様になり、次式のよう に表される。

, Z"

u=l‑ームーと

・・・・・・・・・・・・・(1)

Z 2Z

式(1)より、本装置において、速比uが正(入力軸と出力軸 の回転方向が同じ)、すなわち、次式が成り立つ場合を正 回転とする。

Z2Z4>ZlZ3 

・・・・・・・・・・・・・・・

(2) したがって、速比uが逆回転で ある負の場合、次式が成 り立つ場合で、ある。

Z2Z4ZlZ3

・・・・・・・・・・・・・・・

(3) また、次式が成り立つ時は、速比uが零となり、動力を 伝達することはできない。

Z2Z4=ZlZ3 

・・・・・・・・・・・・・・・

(4) 本装置では、出力側の歯車対の歯数を同数にし、入出力 軸が同方向回転(正回転)で、速比uが1/30になるように 歯数を選んだ。表1に傾斜歯車減速装置の歯車要目を示 す。使用した歯車の歯形は、前述のように、凹面円弧歯 と相対する歯形は凸面円弧歯である。凹面円弧歯の半径 は歯の干渉を考慮して、凸面円弧歯の半径に比べて僅か

Table 1 Specifications of test gears  Fixed  inclined planet gear  gear 1 Gear 2 I Gear 3  Circular arc tooth profile  Convex Concave  Concave  Module  1.2 (1)  1.2 (1)  1.2 (1)  (radius of circularc)

Number of teeth  Zl=58  Z2=60  Z3=58  Shaft angle (Degree)  O  3  3  Face width (mm)  8.0  6.0  6.0  Material  SUJ2  Heat traalent Case'hardening  Surface finishing  Grinding 

令 : ¥ 、 G e a rs y s t e m  

h t t i ¥ : : : : : : f ¥

Fig.2 Measuring method of torsion 

1  Motor 

2  Torquemeter(input side) 

Gear 4  Convex 

1.2(1)  Z4=58  O  8.0 

Gearsystem with inc1ined planet gear  4  Torquemeter(output  side) 

目 一

~里山 tic brake 

Fig.4 Schematic view of gear testing machirie 

に大きくなっている。

2.2  実験装置と実験方法

ねじり試験は図2のように入力軸に天秤を取り付け、

出力軸を固定し、天秤に錘を載せて、天秤の傾きγと負 荷トルク(入力トルクと速比から計算)から、ねじり特性

を求めた。ねじり試験方法は、つり合いの状態から、錘 を加減し、天秤の腕上の位置(入力軸中心からの距離La) で、の垂直方向変位Haを測定した。図2において、回転角

γは次式で求められる。

(3)

円弧歯形をもっ傾斜歯車減速装置の特性

γ

ず そ ω 

そのときに要したトルクTは、錘の重さをW、水平時の 中心から錘まで、の距離を

Lw

とすると、図

2

より、次式の ようになる。

T=W ・ Lw ・ c o s 'y・・・・・・・・・・・・ ( 6 )

図3~.:11隙ヰ歯車試験機の概略図を示す。図に示すように、

駆動動力として

100W

、で

1800rpm

の電動機を用い、電磁 パウダーブレーキにより負荷トルクをかける動力吸収方 式を用いた。また、

4

頃斜:歯車減速装置の入、出力軸には それぞれトルクメータを設けている。装置の温度上昇は、

アルコール温度計(精度土lOC)をパテにより装置に接触 させて測定した。各歯車の潤滑にはグリース

( L 1 3 5

V)を 使用した。本実験では、負荷トルクを

9 . 8

1 9 . 6

3 9 . 2

58.8Nm

に、入力軸側の回転数を

1800rpm

一定とし、傾 斜歯車減速装置の入出力軸のトルク、温度、騒音および 振動加速度を測定した。また、空転時(無負荷時)におい てもそれぞれ測定した。

3.  実験結果と考察

3 . 1  

ねじり特性

図4に本実験に用いた傾斜歯車減速装置のねじり試験 結果を示す。横軸に負荷トルク

(Nm)

、縦軸にねじり角

( r a

心をとり、両者の関係を示した。本装置のねじり特性 は、負荷トルクが小さい場合、負荷トルクとねじり角は ほぼ比例関係にあるが、その後、負荷トルクの増加に対 しでねじり角の増加割合が小さくなっており、非線形の 硬化性ばね特性を示しているのが分かる。負荷トルクが

12Nm

で、

0 . 1 7 r a d

のねじり角を生じ、その後、負荷トル クを減少させると、ねじり角も減少し、負荷トルクの増 加時の経路とほぼ一致している。さらに、反対向きの負 荷トルクを加えても同様な傾向となっている。この結果 より、負荷トルクとねじり角の関係において、ヒステリ シスループが存在しなく、パックラッシもないことが分 かる。

3 . 2  

効率

効率

η

は入力軸側トルク

T l

、出力軸側トルク

Tz

およひ' 前述の速比

u=1/30

から、

η=T2/(30Tl)

と計算できる。

5

に本装置の効率結果を示す。この図において、効率 ηが

40%

付近の負荷は無負荷時に要する負荷トルクを示 し、その値は

0.784Nm

で、非常に小さいことが分かる。効 率ηは負荷トルクの増加とともに増し、次第に一定値に 近づき、最高値約

86%

を示した。

77 

.

z o

一 ω

O#LF

ω MW

︿C

‑} 0 

‑ 0  .  1  T o r q u e   N m  

‑ 0 . 2   F i g

.4 T

o r q u e ‑ a n g l e  o f  t o r s i o n  c h a r a c t e r i s t i c  

1 0 0  

' ‑ i .   8 0  

包匂副h0 H

6 4 0 0     2 0  

。 。 9 . 8   1 9 . 6   2 9

439.2 4 9   5 8 .  8 6 8 . 6   T o r q u e   (Nm) 

F i g . 5  E f f i c i e n c y  o f g e

s y s t e m 3 0 . 0  

0.0 

2 5 . 0  

~

2 0 . 0  

1 5 . 0

5100 

0. 

~

5 . 0  

一 。 ‑ 9 . 8   N m  

̲19.2 N m  

‑企ー

3 9 . 2N m  

‑58.8N m  

N m   1 0 0   2 0 0   R u n n i n g  t i m e   ( m i n )  

(a) 

F i g . 6  Temperature r i s e  o f  g e a r  system 

o  3 9 . 2  7 8 . 4   T o r q u e   ( N m )  

(b) 

8 0  

~ 7 0  

F4 Q) 

~

6 0  

....l 

.~

5 0  

40 

o  9.8  1 9 . 6   2 9 . 4   39.2  49  5 8 . 8   6 8 . 6   3 . 3  

温度変化

T o r q u e   ( N m )  

負荷トルクおよび運転時間の変化による温度を装置上

面の中央で測定した。図

6

に温度測定結果を示す。図

6 (

a)

F i g . 7  N o i s e  o f  g e a r  system 

より、負荷トノレクの大小に関係なく、運転時間

120

分で

(4)

78  近畿大学工学部研究報告 No.37 

それぞれ一定温度に近づいており、負荷トルク58.8Nm で約260Cである。また、図6(b)より、一定温度状態にお いて、負荷トルクと装置の温度上昇は、ほぼ、比例関係 にあることが分かる。

3

.4  騒音変化

騒音レベルは、本装置の側面から1m離れた所で、精密騒 音計を用い、周波数特性をA特性で測定した。暗騒音の 影響は指示の差が10db以下なので影響を受けないもの とした。図7に騒音の測定結果を示す。この図より、騒 音は、負荷トルクの増加に伴って僅かながら増加し、負 荷トルク58.8Nmで、68dbを示した。

815 

1

0

x5 

10 

)

T O

l'que  58.8Nm 

ω U2

#

H

ag

︿

19.2Nm  9.8Nm  O.ONm  O  25  . ~O 15 

Analyzed  frequency kHz 

10.0  3.5振動加速度

振動加速度については、本装置の上面の中心部に加速 度ヒ。ックアップを取り付け、振動加速度計で測定を行う

と同時にFl可解析装置で周波数分析(分解能50Hz)を行 った。本装置では、二組の歯車が同時にかみ合っている ので、かみ合い周波数成分としては、固定歯車①(歯数Zl)

と傾斜歯車②(歯数

Z 0

によるfzlおよび傾斜歯車③(歯数 Fig.8 Results  of  frequency  analysis  of  vibration  Z3)と出力歯車④(歯数Z4)によるおが生じることとなる。 accelerationof gear 

ここで、かみ合い周波数fzlとおは次式で、示される。

nZ

60 

温度、騒音および振動加速度について測定し、考察を行

・・・・・・(7) った。その結果円弧歯形をもっ傾斜歯車減速装置は、硬 化性ばね特性を示し、トルクとねじり角の関係において、

n Z , z

Z"

fZ2=ーームー乙=fZl‑"• • • • • • • • • • . 

 

ω (

60Z2  Z2 

これらの式より、本装置で、はfZl=1740Hz、fZ2=1680Hz となる。図

8

に本実験装置での負荷トルクの違いによる 振動加速度の周波数分析結果を示す。この図において、

二つのかみ合い周波数成分の1/3、2/3および二倍の成 分付近で、振動加速度の振幅が大きくなっていることが 分かる。また、負荷トルクの増加に伴ってそれぞ、れのか み合い周波数(図中a)付近においては、振動加速度振幅は 増加しているが、かみ合い周波数の1/3(図中b)の付近で は減少している。これらの理由として、かみ合っている 歯車対での荷重分担の影響が考えられる。すなわち、本 装置における固定歯車側および出力歯車側のそれぞれの 歯車において、かみ合っているのは

5

6

対の歯と考えら れ、負荷トルクが増加すると歯面の接触状態により、か み合う5、6対の真中付近で一歯あたりの荷重分担が高く なり、歯面荷重も大きくなる。一方、中央付近以外の荷 重分担は少なくなり、歯面荷重が小さくなる。したがっ て、これらの影響が振動加速度に現れたものと考えられ る。

4.  結 言

円弧歯形をもっ傾斜歯車減速装置の試作機を使用し、

ねじり試験および運転試験を行い、ねじり特性、効率、

ヒステリシスループがなく、パックラッシもない。また、

空転時に要する負荷トルクも非常に小さく、効率も約 86%と高く、温度上昇並びに騒音も比較的低く、振動加 速度の振動成分は二つのかみ合い周波数とこれらの113、 2/3および2倍の成分付近に現れ、その振動成分の振幅は

トルクに影響を受けることが分かった。

6.  文 献

1) NIKKEI MECHANI CAL

No.492

, 

1996(10.28)

1213 2)八重島公郎・両角宗晴、傾斜歯車減速機に関する研究 (第1報、理論解析)、機論 60572.C14091414(1994‑4) 3)八重島公郎、両角宗晴、傾斜歯車減速機に関する研究

(第2報、最適化自動設計システム)、機論、 60572、 C1415‑1421  (19944)

4)八重島公郎、両角宗晴、傾斜歯車減速機に関する研究 (第3報、試作および測定)、機論、 60572、C14151421

(1994‑4) 

Fig . 4  Schematic view of gear t e s t i n g  machirie 

参照

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