組立分解可能型ロボットを用いた知的情報学習の構築と評価
教科・領域教育専攻
生活・健康系コース(技術) 石 塚 仁 志
指 導 教 員 伊 藤 陽 介
1 .はじめに い技術科(選択教科)を対象とした。 RCXCode 中学校学習指導要領(平成 10年)の技術・家庭 のプログラムは ブロックに類似したアイコン 科(技術分野)の目標にコンピュータ活用に必要 をマウス操作により接続し作成できる。
な基礎的・基本的な内容を実践的・体験的活動 事後調査と授業実践した結果から,生徒はロ を通して指導するとともに先端的技術を題材と ボットやプログラムに関して高い興味・関心を して学習展開することが含まれているO 本論文 示し 本ロボット教材の有用性が明らかとなっ では,この目標を達成するために組立分解可能 た。しかし RCXCodeでは 制御内容が増加す 型ロボット教材を用いた知的情報学習を構築し, るとともにアイコンが平面的に並び,プログラ 授業実践した結果に基づいて,その学習効果を ムの流れを把握することが困難となることが 評価する。 わかったO さらに, GUI型プログラム開発環境
2.組立分解可能なロポット教材 は,規格化されていないため,既習事項を将来 知的情報学習に用いるロボット教材では, にわたって利用しにくいという問題もあった。
ロボット本体を容易に組立分解しながら創意 4. CUI型プログラム言語を使用した授業実践 工夫でき,かつ,ロボットを制御するためのソ と評価
フトウェアの開発環境が技術科の教育内容に つぎに GUI型プログラム開発環境のもつ問 適するレベルで提供されている必要があるO そ 題点を改善するために,従来から用いられてい のため,本研究では複数種類の単位ブロックと るC言語などのCUI型プログラム言語と類似し マイコンを内蔵したブロック聞を凹凸部分の たNQC言語を用いた授業を技術科(選択教科)で 摩擦によって固定し,ギアとモータ,光センサ 実践した。 NQC言語は, C言語のサブセットに や接触センサを用いて短時間に自律型ロボ、ツ 計測・制御用関数が追加されている仕様のため,
トを構成できる組立分解可能なロボット教材 標準的なプログラム言語へと発展的な学習を (LEGO社製ロボットキット RIS)を用いる。 期待できる。
3. GuI型プログラム開発環境を使用した授業 実践と評価
まず,ロボットに触れプログラムの基本的な
プログラムの入力と修正,コンパイル,転送 処理などは, GUI環境で動作する統合型ソフト ウェア開発環境を利用し,開発時間を短縮した。
生徒がNQC言語を段階的に学習できるように新 機能や仕組みについて学習することをねらい
とする授業を実践した。本授業は, RISに含ま たに授業用テキストを制作し,授業に利用した。
さらに,プログラムの学習時はロボットを特定 れる GUI型プログラム開発環境 RCXCodeを用
の形態に固定し 計測・制御に関する内容を重
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点的に授業展開できるように配慮した。 材とする知的情報学習を技術科(必修教科)を 事後調査結果から CUI型プログラム言語に対 対象として構築し授業実践した。
する難易度や学習進度に関する問題点は少な これまでの研究成果からロボット教材に RIS く,プログラムに関して深く学習することがで
きたと回答した生徒も多かった。この要因とし て,プログラムの基本的な機能をロボットの動 作結果から習得できるように,簡単な迷路抜け などの小課題を含めた実習を多く取り入れた ためと考えられる。
知的情報学習をねらいとする場合, GUI型プ
を利用し, CUI型プログラム言語である NQC言 語と改訂した授業用テキスト(122ページ)を用 いた。全 15時間の授業のうち前半の学習内容 は,標準的な四輪型ロボットの製作,基本的な プログラムの機能と命令,及び¥レスキュー競 技に必要なセンサの利用方法の習得とした。
授業後半では,レスキュー用ロボットの製作 ログラム開発環境と比較してCUI型プログラム と競技会を実施した。最終的に製作したロボツ 言語は,計測・制御に関する基礎的な部分を学 トを用いてレスキュー競技に参加し,学習の成 習する場合に明確となるとともに,より発展的 果を発表した。ほぼすべてのロボットが基本的 な課題への解決能力を育成できるという点で なライントレースを行うことができ,被害者の 優位性があるO さらに,学習効果を高めるため 検出を可能とするロボットも含まれていた0̲製 に,生活と係わりのある明確な目標を達成する 作したロボットには,機構的な創意工夫がなさ ことを授業内容に含める必要のあることも明 れ,形状に応じてライントレースに重要な光セ らかとなった。 ンサを利用する部分の定数や待ち時間の調整 5.ロポカップジュニア・レスキュー競技を目
標にした授業実践と評価
も行われていた。
本授業の評価は 事前・事後調査,授業ごと の生徒による自己評価,並びに,定期考査によ 主に小・中学生,高校生を対象とするロボカ
る客観的な評価を統計的に解析した。毎回の授 ツフ。ジュニアは ロボットの設計や製作を通じ
業終了ごとに行った自己評価結果から,生徒は て子供たちの好奇心や探究心を引き出すとと
授業前半時に目標が達成できていないと判断 もに,次世代の科学技術の担い手を育成するこ
していた。その後,授業が進むに従って自己評 とをねらいとし,近年世界的に普及しつつある。
価は良くなり,安定した学習ができていたこと ロボカップジュニアの競技にあるレスキュー
がわかった。一方客観的な評価結果から,生 競技は完全自律型のロボットがアリーナと呼
徒は基本的なプログラムについて理解でき,レ ばれる被災建物に見立てた領域内に書かれた
スキュー競技を目標としてロボ、ツトを製作す ライン上に添付されて被害者マークを検出し ー
る過程において,各種センサの役割と利用方法 ながら経過時間と被害者の検出数を競う種目
を学習できていたことが示された。さらに,事 前・事後調査を加え,総合的に学習効果を評価 ロボ、カップジュニア・レスキュー競技の目的
した結果,本授業を通じて知的情報学習を達成 が中学校学習指導要領の目標に含まれ,かつ,
できていたと推測されるO
生活と係わりの強いことに着目し,本競技を題 となっているO
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