子どもに企画実践力を育むための総合的な学習の単元開発
一 小 学 校6年「和菓子プロジェクト J を 通 し て ー学 校 教 育 専 攻 教育方法コース 弘 瀬 恵 三
1 問題の所在
(1)移行措置期間 2年目における現状
教科書もマニュアルもない総合的な学習は、
教師にとっても子どもにとっても学びの転換を 促しているO 今まで経験したことがない学習の ため、現場では試行錯誤が繰り返されている。
そのため、総合的な学習において、意義やねら いの不十分な理解の下に実践されているものが 多い。
(2)総合的な学習に関する先行研究から
亀井・北田は、総合的な学習で最も重要なの は、課題設定段階にあると考え、研究を行ったO
これらの研究から課題設定までの過程を熟考さ せることでその後の追究活動が主体的・意欲的 になることが分かつた。しかし、その後の追究 段階のつまずきが意欲の低下を招くことに対す る改善策や総合的な学習におけるスキル育成の 問題、子どもの生活に根ざした単元構成のあり 方が課題としてあがっている。
以上から、本研究では、総合的な学習に取り 組み始めた学校において、教師も子どももその 意義やねらいを理解しやすく、確実にスキルを 身に付けさせることができるプロジェクト学習 をもとに単元を構想し、その過程で実践を通し て生涯活用できるであろう「企画実践力Jについ て明らかにしていく。
2 研究の目的と方法
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指 導 教 官 村 川 雅 弘
① 「企画実践力jを育むためにメタ認知的活 動と協同学習を活かしたプロジェクト学習 の単元モデ、ルを構築し、それをもとに単元 を開発するO
②実践を踏まえてプロジェクト学習における 課題設定の重層モデルの妥当性を考察するD
3 課題設定の重層モデルの構築
「企画実践力」は、
r
(子どもたちが)自分の生 活領域から出てきた課題に対し、どう迫ってい くかを計画し、意欲的・意識的に解決に向けて 実行する能力jである。先行研究から、課題の 焦点化の困難さが指摘されている。そこで、協 同学習とメタ認知を活用し、課題の焦点化を行う課題設定基本モデル(図1)を考案した。
課 題 自 安 定 の 流 れ 協 同 学 習 活 用 さ れ る メ タ 琵 知 )
図1 課題設定基本モデル
課題の焦点化で課題意識を高めても、その後 の追究活動において様々な問題や障害が発生に より最終目標が見えているのに先へ進めなくな
るため追究意欲が低下する。この問題を解決で きるものとしてプロジェクト学習が考えられるO
プロジェクト学習の流れにおける 5つのフェー ズを子どもたちは明確な目標を持ちながら追究 活動し、フェーズごとに課題設定基本モデルで、
行う課題設定を繰り返すことにより、スキルが 反復され、メタ認知も活用され、目前に迫る課 題を次々に解決していくことで、達成感を得て、
追究意欲も損なうことなく最終ゴールへ向かう ことができると考えた。本研究では、プロジェ クト学習における課題設定の重層モデル(図2) をもとに単元開発を行うO
( 活 用 す る 力 具 体 例 ) (問題発見力)
(構築力・戦略力)
(情報収集カ) (企画力・情報編集力)
(プレゼンカ・表現力) (問題発見力)
(情報収集力) (企画カ・情報編集力)
J (プレゼンカ・表現力)ム (問題発見力) (構築力・戦略力) (情報収集力) (企画力・情報編集力)
(プレゼンカ・表現力)
図2 課題設定の重層モデル 4 単元の設計と実施
単元名:
r
和菓子プロジェクト」対 象 : 徳 島 県 内 公 立 小 学 校6年 33名 実施期間:2001年7月'"'‑'12月
2
和菓子商品開発を通し 自分たちが行ってい ることが社会とつながっているという本物体験 を行う。その本物体験から、学校内だけではな く、専門家や家庭、地域社会などによる社会で も通用する本物の評価を経験させるO
5 単元の実施結果と考察
(1)課題設定の重層モデ、ノレを繰り返すことによ り、子どもの課題意識をはじめ、他者意識や 内面的気づきも高まり、ワークシートへの記 述内容も増加していることが明らかになった。
(2)プロジェクト学習で課題設定を繰り返す中 で、場の設定、他者評価、先を見通しさせる ことで、障壁を仲間と協力して乗り越えるた びに満足感や達成感を味わうことで、学ぶ怠 欲の継続化が図られた。
6 研究のまとめ
(1)プロジェクト学習における課題設定の重層 モデルは、フェーズごとの子どもの課題意識 の高まり、追究意欲の継続、自由記述におけ るスキル向上から有効で、あった
(2)企画実践力を育むための下位スキルの存在 が見出せた
(3)プロジェクト学習において、創造力・思考 力・問題解決力・コミュニケーションカ・自 信を意識し始めた(繰返し活用する必要あり) 7 今後の課題
(1)他学年においても課題設定の重層化モデル を基に新たに単元の開発を繰り返し、低学年 から企画実践力を育むための系統性を図る (2)総合的な学習での学ぶ意欲が教科の学習意
欲につながることから、総合的な学習を深 化・発展させる視点で、教科との関連を図る (3)個々の子どもの関心・意欲・態度の変容を
顕在化させ、その要因を自己評価するシステ ムを考案する