学 位 論 文 審 査 の 概 要
博 士 の 専 攻 分 野 の 名 称 博 士 （ 医 学 ） 氏 名 島 田 慎 吾
主 査 教 授 坂 本 直 哉 審 査 担 当 者 副 査 教 授 武 冨 紹 信 副 査 教 授 志 田 壽 利
副 査 准 教 授 松 本 美 佐 子
学 位 論 文 題 名
硫 化 水 素 は 生 存 シ グ ナ ル の 増 強 とNrf2の 核 内 移 行 を 介 し て 肝 温 虚 血 再 灌 流 障 害 を 軽 減 す る
( Hydrogen Sulfide Ameliorates Hepatic Warm Ischemia and Reperfusion Injury via Augmentation
of Survival Signals and Nuclear Translocation of Nrf2 )
学 位 申 請 者 島 田 慎 吾 は 、マ ウ ス 肝 部 分 温 虚 血 モ デ ル を 用 い て H2SがPI3K/Akt/p70S6kカ ス ケ ー ド を 増 強 さ せ 、Nrf2の 核 内 移 行 を 促 進 す る こ と で 抗 酸 化 、抗 炎 症 、抗 ア ポ ト ー シ ス 効 果 を 示 し 、 肝 虚 血 再 灌 流 障 害 を 軽 減 す る の み な ら ず 、 肝 再 生 に も 有 益 な 効 果 を 与 え る 可 能 性 が あ る こ と を 示 し た 。 審 査 に あ た り 、 副 査 の 松 本 准 教 授 か ら 、 本 研 究 の 新 規 性 、Nrf2 核 内 移 行 へ の 影 響 、臨 床 応 用 に つ い て 質 問 が あ り 、申 請 者 はH2Sが 再 生 に 影 響 を 与 え る 可 能 性 、 肝 臓 に お い てPI3K/Akt/p70S6k カ ス ケ ー ド を 増 強 さ せ 、Nrf2の 核 内 移 行 を 促 進 す る こ と 、 臨 床 応 用 の た め に 大 動 物 モ デ ル を 用 い た 実 験 や 簡 便 な 血 中 濃 度 の モ ニ タ リ ン グ 法 の 開 発 が 必 須 で あ る こ と を 回 答 し た 。 副 査 の 志 田 教 授 か ら は 、H2S の 本 来 の 化 学 反 応 、 他 の 抗 酸 化 剤 と の 比 較 、STAT3と 肝 再 生 の 関 係 に つ い て 質 問 が あ り 、申 請 者 はH2Sが 強 力 な 還 元 剤 で あ る こ と 、 ビ タ ミ ン C や E、 水 素 ガ ス 分 子 の 抗 酸 化 作 用 、Jak/STAT3 を 介 し た サ イ ク リ ンD1の 活 性 化 と 肝 再 生 に つ い て 回 答 し た 。副 査 の 武 冨 教 授 か ら 、予 備 実 験 で の 死 因 、
H2S の 細 胞 種 ご と の 評 価 に つ い て 質 問 が あ り 、 申 請 者 は 死 因 が 全 例 、 痙 攣→呼 吸 停 止 で あ
っ た こ と 、H2S は 肝 細 胞 自 体 に 効 果 を 与 え て い る と は 考 え て い る が ク ッ パ ー 細 胞 や 類 洞 内 皮 細 胞 へ の 影 響 に つ い て はin vitroの 実 験 が 必 要 で あ る と 回 答 し た 。 主 査 の 坂 本 教 授 か ら 、 当 科 の 研 究 で あ る 重 水 含 有 保 存 液 と の 関 連 、 本 実 験 系 の 問 題 点 や 限 界 、 臨 床 応 用 の 際 の 想 定 投 与 法 、NaHS 投 与 後 の 半 減 期 に 関 す る 質 問 が あ り 、 申 請 者 は 冷 虚 血 再 灌 流 障 害 へ の 効 果 も 想 定 し て い る こ と 、in vitroやknock outマ ウ ス を 用 い た 解 析 を す る 余 地 が あ っ た こ と 、 保 存 液 と 併 用 し た 臓 器 特 異 的 投 与 法 、H2S ガ ス 吸 入 に よ る 半 減 期 は 肝 で の 半 減 期 は 有 酸 素 下 で2.0分 、 無 酸 素 下 で は5.4分 と の 報 告 が あ る こ と を 回 答 し た 。
