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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

PPR蛋白質の配列特異的なRNA結合に関する研究

小林, 健人

http://hdl.handle.net/2324/2236309

出版情報:Kyushu University, 2018, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

氏 名 :小林 健人

論文題名 :PPR蛋白質の配列特異的な RNA結合に関する研究 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

陸上植物の細胞内共生オルガネラであるミトコンドリアと葉緑体のゲノム情報 の発現は転写後の RNA段階で、核コードの因子によって主に維持・管理されている。このRNA段階での遺伝子発現 の維持・管理は各オルガネラ遺伝子において配列特異的な様式で実行されている。このオルガネラ 遺伝子の配列特異的な RNA 制御を担う実行因子として、陸上植物において非常に大きなファミリ ーを形成する核ゲノムコードのpentatricopeptide repeat(PPR)蛋白質が見出されている。PPR蛋白 質の塩基配列特異的なRNA認識の基本原理であるPPRコードが2013年に解明され、PPR蛋白質を 利用した人工RNA結合蛋白質の設計、および未知PPR蛋白質の標的RNA分子の予測が可能になり つつある。

モ デ ル 植 物 の シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ に お い て 、PPR 蛋 白 質 は 全 蛋 白 質 遺 伝 子 の お よ そ 1/50

(500/25000)を占めており、多様な生理学的な表現型を示す変異株から原因遺伝子として同定され ている。未知PPR蛋白質の標的RNA分子の予測によって、植物基礎科学分野におけるPPR蛋白質 の分子機能、進化的意義、および生理学的役割の理解にさらなる進展が期待されている。しかし、

標的 RNA 分子の予測はいまだ方法論および信頼度が定まらず、その利用は一部の研究者に限定さ れている状態であり、植物科学の研究にあまり活用されていない。

本研究では、PPR蛋白質が有する配列特異的な RNA結合の基本原理である PPRコードの 評価および改定を行うとともに、その有用性を見出すことに取り組んだ。PPR蛋白質はそのアミノ 酸配列およびドメイン構造からPとPLSクラスに大別される。PPRコードを利用した標的オルガネ ラRNA分子の予測が、RNA編集(シチジンからウリジンへの変換)に関与するPLSクラスのPPR 蛋白質に対して有用であると示唆されていた。そこでシロイヌナズナのオルガネラ RNA 編集に関 わることが予測される3つの未解析PLSクラスPPR蛋白質の標的RNA予測および実験的な検証を 行うことで、PPRコードを利用した標的RNA予測の有用性を検証した。

次に、近年特徴づけられた新たなPPR蛋白質とその標的RNA配列に関する情報を基にPPR コードの改定を行い、標的 RNA 編集サイトの予測に関する最適な方法論および信頼度の指標を構 築した。さらにシロイヌナズナに存在する全PLSクラス蛋白質(約200個)の標的 RNA編集サイ トを網羅的に予測し、信頼度の高い予測結果を抽出するとともに、PPR蛋白質を専門としない研究 者が利用可能な情報とした。

さらに、翻訳や安定化など様々なRNA制御に関わるPクラスPPR蛋白質に解析対象を拡 大し、重要な植物育種形質の一つである“細胞質雄性不稔性(cytoplasmic male sterility: CMS)に 対する稔性回復(restorer-of-fertility: Rf)作用”を有するPクラスPPR蛋白質について解析を行っ た。結合RNA 配列が同定されていないダイコンRf-PPR蛋白質に標的RNA予測を適用した結果、

CMS型ミトコンドリアゲノム全配列からCMS関連遺伝子上の特定配列を予測1位で指定できるこ とを示した。そして、予測結合 RNA配列と Rf-PPR蛋白質間の結合を生化学的な手法により実証 することを端緒として、一部の PクラスPPR蛋白質にも PPRコードを用いた標的RNA予測が有 用であることを明らかにした。

(3)

以上の研究により、PPRコードを利用した標的オルガネラ RNA分子の予測は(1)生理学 的な異常表現型から遺伝学的に同定されたPLSクラス蛋白質の分子機能の解析、(2)植物ミトコン ドリア機能の生理学的な研究、(3)雑種強勢を利用した一代雑種育種に資する CMS/Rf システムの 構築に有用であることを明らかにするとともに、今後解決すべき課題を明確にした。本研究の成果 は、共生オルガネラゲノムの発現制御を通じて植物体の成長、発達、環境応答など様々な生理学的 プロセスに関わるPPR蛋白質について重要な学術的知見を提供するものである。

参照

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