九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
チタンの表面形状とぬれ性の相違が初期の細胞挙動 に与える影響
西村, 朋子
https://doi.org/10.15017/1931837
出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(様式3)
氏 名 : 西村 朋子
論 文 名 :
Influence of the wettability of different titanium surface topographies on initial cellular behavior (チ タ ン の 表 面 形 状 と ぬ れ 性 の 相 違 が 初 期 の 細 胞 挙 動 に 与 え る 影 響 )
区 分 :甲
論 文 内 容 の 要 旨
インプラント表面の物理化学的な特徴はオッセオインテグレーション達成において重要な要素の一 つである。市場では表面形状が粗なインプラント(ラフサーフェイスインプラント)が主要な
インプラントとなっているが、近年、親水性のインプラントがオッセオインテグレーションに有効とさ れ、臨床応用されている。しかし、表面形状、ぬれ性、初期の細胞挙動の相互作用についての詳細なメ カニズムは明らかにされていない。そこで、本研究では初期の細胞挙動において異なったチタンの表面 形状とそのぬれ性が及ぼす影響の検証を行った。
ス ム ー ス な 表 面 (SM 群 ) と 異 な る 表 面 形 状 の ラ フ な 表 面 の 3 群 (SA 群:sandblast M 群:microtopography N群: nanotopography)のチタンディスクを作製し、異なったぬれ性を付与する
目的でD0(作製直後)とD56 (作製56日後)のディスクを準備した。各チタンディスクにおいて両
群の表面特性(表面形状、粗さ、ぬれ性)の解析とマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を用いて細胞 挙動(細胞形態、RhoA(small G-protein、複数の細胞機能を制御)活性、細胞接着数)を評価した。
全群で表面形状、粗さはD0とD56で変化はなかったが、ぬれ性においてはD56ではD0と比較し て疎水性への変化を確認した。SM群は、疎水性表面になると、細胞の伸展が抑制されRhoA活性の上 昇が認められたが、ラフな表面では明らかなぬれ性の影響は確認できなかった。細胞接着数は全群、疎 水性表面で減少した。これらより、細胞接着数は表面のぬれ性に影響され、ラフな表面はぬれ性に関わ らず細胞形態、RhoA活性を制御する可能性が示唆された。
次に、4群の疎水性のD56ディスクにタンパクのコーティングを行い、同様の細胞挙動について検討 した。細胞形態は、SM群では細胞伸展が回復したものの、他のラフな群では変化を認めなかった。し かしながら、RhoA 活性は全群で低下し、細胞接着数は増加した。これらよりタンパクのコーティング は、ぬれ性の低下によって起きた細胞挙動を回復させることが示された。
本 研 究 結 果 よ り 初 期 の 細 胞 挙 動 は 、 表 面 形 状 に よ っ て 影 響 を 受 け る こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、ス ム ー ス な 表 面 形 状 よ り も ラ フ な 表 面 形 状 で は ぬ れ 性 の 影 響 は 少 な い も の の 、細 胞 接 着 数 の 増 加 か ら 親 水 性 の 有 効 性 も 示 唆 さ れ た 。