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モノつくりを通した、父親と子どもの場と機会の提供

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Academic year: 2021

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モノつくりを通した、父親と子どもの場と機会の提供

−京エコロジーセンターにおける、紙飛行機づくりをテーマにした

コミュニケーション促進の社会実験−

吉 永   裕 通

Graduate School of Policy and Management, Doshisha University

1.はじめに

 筆者は、共に乳幼児の父親である若山直樹(民 間企業勤務)氏と、父親と子どもによるモノつ くりの機会と場の提供を、父活projectと呼び 2010年12月より実施している。この父活project は、子どもや育児にとって必要と思われるモノ を、可能な限り身の回りのモノと身近な仲間で 作り出せることをねらいにしている。材料の知 識や道具の使い方を学び、作り出す困難さ楽し さに気づき、モノを作り出し修理しながら持続 的に使う暮らし方と、その価値観を支える仲間 づくりが目的である。

2.実践研究の場としての京エコロジー センターと展開企画

 以前の社会実験より、子どもと共に、父親が 子どものためのモノをつくる行為と場が、父親 と子どもをつなぎ、他の父親どうしの会話を促 進し結びつける鍵になると推察している。この ことは現在主力メンバーの若山氏の言葉からも 伺える。先に行った実践「京町家の古端材でつ くる積み木づくり」時に、「モノをつくりながら の(他の父との育児に関する)おしゃべりは、

楽しいですね。つくるモノがはっきりしている から、“ながら” おしゃべりができることがいい です。」の発言である。このモノつくりスタイル を発展継承させ、ワークショップ形式での企画 展開を若山氏、後述する仲上氏とともに検討を 重ねた。

 そのワークショップは、京都市における環境 学習と環境保全活動の拠点、京エコロジーセン

ターにおいて、父親と子どもがモノつくりとい う共通体験を通じて過ごす場と機会の提供とし て行った。この実践は、仲上美和(現同施設事 業課職員)氏の協力を得られたところが大きい。

予てより環境教育の同業者であり環境施設展示 の企画相談相手であった仲上氏と筆者は、京都 という新しい生活圏活動圏を得て、これまでの 経験を活かした環境教育の試みや、地域との関 係性を模索しており、似たような境遇の間柄で あった。同志社大学院研究室において、毎週顔 を合わせての議論を重ねるその中で、父親と子 どもとの関係、父親の家庭における役割、町内 地域における役割、社会における役割が、今回 の活動キーワードになることを確認した。

3. 「SuperPaperPlane」の4回の実 践と成果

 このモノつくりのテーマとなったのが胴体を 板材、翼を紙にした紙飛行機である。木と紙、

どちらも身近な材料を使ったものではあるが、

父親の工作への関与と特別感の演出を考慮し、

建築等の模型制作に使う軽量木材と、イラスト 等に使うケント紙を用いた。模型用の軽量木材 とはいえ、加工にはある程度の力と刃物技術が 必要である。子どもへは、色鉛筆を使った主翼 へのイラスト描きや色塗りと、切り取りと組み 立て作業を設定した。

 子どもの工作の場での、大人の技術経験を必 要とするモノつくりの機会が、父子の時間共有 と共通体験を提供するのである。この父子の良 好な時間の生成が、他の父子との関係を生み出 すと想定し、環境学習の場において父親どうし

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吉 永   裕 通 116

のコミュニケーション促進を目標に社会実験を 行った。

 学校の夏休み期間の4日間、京エコロジーセ ンターにおいて、3歳の幼児から小学生を対象 に社会実験を行った。曜日時間帯を変化させ、

それぞれの実施回における父親の参加傾向と、

子どもとの関わり方、育児や仕事に関する考え 方、工作中のスタッフとの行動や会話などの記 録から接近を試みた。(表1)

 8月の計4日間、のべ総実施11時間、京エコ ロジーセンター1階のシアター、及び3階のリ サイクル工房に会場を設定し、組立作業台とカッ ター作業台、飛行試験競技コーナーを設けた。

父親の参加9名、母親の参加の11名、幼児を含 む子どもの参加が30名、Super Paper Planeが合 計30機つくられた。

 この社会実験により3つの知見が得られたの である。1,モノの大切さを伝える機会、2,

モノつくり場へのニーズ、3,モノつくり機会 の喪失、である。

 2回目の実施日を、殆どこの場で過ごしたO さん家族に注目し、Oさんの父子関係、他の家 族との関係を、Oさん父子の会話や行動、発言 から推察をおこなった。

 作業も順調に進み、1枚の軽量木材から2機 分の機体を切出したOさんは、子どもたちに向 けて、「どっちが最初に切った方だ?」と声をか けた。「こっち!」「何でわかった?」「何か(角 が)ぐじぐじしているから」「そうやねん、迷っ た。スパーッとできへんかった。2機目は慣れ とるのでスパーッと切れたねん。どっちがいい ねん?」「(二人とも2機目の方を指差して)こっ ち!」「… よし、もう一機(端材から)切り抜 いたろ。ばしっと綺麗にきったろ!」カッター 作業台で残った端材から更に一機分の機体を切 り抜いたのである。 その様子を見ていた他の家

族は、余った材料を持ち帰り、この後の海のレ ジャーで楽しみたい、と発言していた。限られ た材料の中から工夫し、余すところ無く材料を 使い尽くす父親の姿勢が、子どもたちと他の家 族に示された。

 部屋に設けられたカッター作業台は子どもた ちへの安全配慮と、父子を一時的に離す状況を 作り出すとともに、主宰者との雑談卓の機能を 持たせている。カッター作業をしながらのOさ んとの会話のやり取りで、「(父と子で)いっしょ に出かけて、いっしょに(遊ぶモノが)つくれ るのは、いいことだと思います。」という意見を 得た。このことは、父親と子どもが一緒に一つ のモノをつくる場の需要が伺える。

 またカッター作業の途中で話しかけた他の父 親3人からは、「デザインの仕事をしているので、

(仕事以外での)モノつくりは楽しいです。」「 昔 は、工作や鉄道模型づくりを結構やってました なぁ。」「 子どもが生まれてしなくなったし、こ のような機会が無くなりましたね。」という声が あり、ここからも父親自身のモノつくり機会の 喪失が伺える。かつて父親が楽しんで行ってい たモノつくりを子どもと楽しむことができ、つ くり方や道具の工夫、モノつくりの工夫や技術 を教える機会が提供できたのである。

4.おわりに

 今回の社会実験、父親と子どもによるモノつ くりの場と機会の提供は、父親から子どもへの コミュニケーションを促すことに加えて、父親 から材料を無駄無く使う姿勢が示され、他の家 族がそれを真似する現象が見られた。

 しかし課題として、参加父親どうしのコミュ ニケーション成立は達成し得なかった。この参 実施日 時間帯 場所 製作機数 参加合計 父親 母親 子ども 他保護者 天候 8月 7(日)1316 1Fシアター 9 16 1 4 9 2 813(土)1316 3Fリサイクル工房 11 20 4 5 11 0 821(日)1517 3Fリサイクル工房 5 9 4 0 5 0 曇時々雨

822(月)1316 1Fシアター 5 7 0 2 5 0

合計 11時間 30 52 9 11 30 2

表1 SuperPaperPlane の実施体系、参加者数とその属性

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加父親どうしのコミュニケーションを発生させ 促進するために主宰者は、話題提供や仲介者と なる必要がある。

 この実現のために父親と子どもによるモノつ くりの場と機会の提供に加え、主宰者の人物像 や背景など共通話題となる仕掛けを提示し、コ ミュニケーションの促進及び環境学習的な視点 を加味し実践研究を重ねる計画である。

参照

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