資料集 1980 年代から 2010 年までの「ジェンダー」:
日本の定期刊行物における
左 古 輝 人*
本資料集は,左古(2014a)「1980 年代から 2010 年までの「ジェンダー」:日本 の定期刊行物における」に詳述できなかった資料の収集や情報処理の方法など 技術的な諸側面を補う姉妹編である.したがって両編は合わせて読まれること ではじめて十全な意義を持つものであることを,読者諸賢には予めご承知置き いただきたい.
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資料体の作成についてまず本研究における〈ジェンダー資料体〉の作成について説明する.
記事の書誌情報の収集について.2011 年 5,6 月に国立国会図書館の雑誌記 事索引を検索語「ジェンダー」,期間 1960 年から 2011 年までで検索した結果ヒ ットしたのは,左古(2014a)では約 4,500 件と書いたが,正確には約 5,100 件であ った.しかし 5,100 件から①特集のタイトル(このオンライン索引では特集内 の内容記事だけでなく,特集そのものをも 1 件としている),②「今次円高(コ ンジエンダカ)」, 「広辞苑第五版(コウジエンダイゴハン)」 「アジェンダ」など,
この検索システムでは取り除けないノイズを手作業で取り除いた結果,残った のは約 4,500 件であった(このオンライン索引ではブール演算子の利用に少な からぬ制限がある).なお,このオンライン索引は随時情報を遡及入力している ため,現在同じ要領で検索すると 5,100 件より多くのヒット件数が得られるは ずである.
記事本体の収集について.まず収集に用いたのは,①国立情報学研究所 cinii,
* SAKO, Teruhito 首都大学東京 人文科学研究科 准教授 [email protected]
同 JAIRO,各研究機関のオンライン・リポジトリである.この作業には 1 名,
5 日間を費やした.この方法で取得できなかった記事を,②首都大学東京図書 館,法政大学図書館,千葉大学図書館,中央大学図書館で収集した.この作業 には 2 名,各 15 日間を費やした.図書館で紙に複写した記事をフラットヘッド・
スキャナーで電子画像ファイル化し,それを文字認識ソフトウェアで ASCII テ クストに変換した.この作業には 2 名,各 15 日間を費やした.その結果,ASCII テクストの記事本体約 2,000 件を得た.
今回入手できなかった記事本体 2,500 件の内訳は通りである.①今回の資料 収集先が所蔵していなかったもの.②所蔵されていたが課金制のもの,特にオ ンラインで提供される医療・看護関係の記事.③所蔵はあったが製本中のため 複写できなかったもの,特に 2009 年から 2010 年.④オンラインで全文を入手 できたが,ASCII テクスト情報を抽出できなかった記事,特にファイルがコピ ーガードされているもの.
①,③,④は特定の媒体やジャンルに偏りがあるわけではないので大きな問 題にはならない.しかし②については重大な偏りをもたらし得るので気を付け たほうがよい.この欠点については後に検討する.
ASCII テクストに変換した記事群は,年次毎にまとめてコーパス化した.コ ーパスのクリーニングは,ページ番号とヘッダーの削除,全く意味がない文字 列の削除のみにとどめた.そのため,人間が読めば明らかに印刷の不鮮明や文 字認識ソフトの誤りの結果と分かるような誤字脱字がすべて放置されている.
たとえば「ジエンダー」や「ジヱンダー」, 「ヅェンダー」, 「ジェングー」が「ジ ェンダー」の誤りであるのは人間が読めば自明だが,機械はこれらをそれぞれ 別の単語として認識してしまう.本研究は語句の初出時点の究明を重視するも のではないし,こうした誤りが特定ジャンルに集中するわけではないと考えら れるため,分析にあたってこうした誤りを訂正するのを見送った.ただし文字 が小さい媒体――たとえば『現代思想』(青土社)が代表的である――,そして 複数冊をまとめて製本した結果,冊子のノド部分の印字が潰れてしまいやすい 媒体――版型が小さい媒体――はしばしばそうなりやすいことを指摘しておく.
以上の作業の結果,合計 41.8MB の〈ジェンダー資料体〉が得られた.
同 JAIRO,各研究機関のオンライン・リポジトリである.この作業には 1 名,
5 日間を費やした.この方法で取得できなかった記事を,②首都大学東京図書 館,法政大学図書館,千葉大学図書館,中央大学図書館で収集した.この作業 には 2 名,各 15 日間を費やした.図書館で紙に複写した記事をフラットヘッド・
スキャナーで電子画像ファイル化し,それを文字認識ソフトウェアで ASCII テ クストに変換した.この作業には 2 名,各 15 日間を費やした.その結果,ASCII テクストの記事本体約 2,000 件を得た.
今回入手できなかった記事本体 2,500 件の内訳は通りである.①今回の資料 収集先が所蔵していなかったもの.②所蔵されていたが課金制のもの,特にオ ンラインで提供される医療・看護関係の記事.③所蔵はあったが製本中のため 複写できなかったもの,特に 2009 年から 2010 年.④オンラインで全文を入手 できたが,ASCII テクスト情報を抽出できなかった記事,特にファイルがコピ ーガードされているもの.
①,③,④は特定の媒体やジャンルに偏りがあるわけではないので大きな問 題にはならない.しかし②については重大な偏りをもたらし得るので気を付け たほうがよい.この欠点については後に検討する.
ASCII テクストに変換した記事群は,年次毎にまとめてコーパス化した.コ ーパスのクリーニングは,ページ番号とヘッダーの削除,全く意味がない文字 列の削除のみにとどめた.そのため,人間が読めば明らかに印刷の不鮮明や文 字認識ソフトの誤りの結果と分かるような誤字脱字がすべて放置されている.
たとえば「ジエンダー」や「ジヱンダー」, 「ヅェンダー」, 「ジェングー」が「ジ ェンダー」の誤りであるのは人間が読めば自明だが,機械はこれらをそれぞれ 別の単語として認識してしまう.本研究は語句の初出時点の究明を重視するも のではないし,こうした誤りが特定ジャンルに集中するわけではないと考えら れるため,分析にあたってこうした誤りを訂正するのを見送った.ただし文字 が小さい媒体――たとえば『現代思想』(青土社)が代表的である――,そして 複数冊をまとめて製本した結果,冊子のノド部分の印字が潰れてしまいやすい 媒体――版型が小さい媒体――はしばしばそうなりやすいことを指摘しておく.
以上の作業の結果,合計 41.8MB の〈ジェンダー資料体〉が得られた.
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テクスト・マイニングのソフトウェア,およびその使用法についてテクスト・マイニングのために開発されたコンピュータ・ソフトウェアには,
無料のものから数百万円のものまで多数存在する.今回用いたのは SPSS/IBM 社の Text Analytics for Surveys, version 4 日本語版,および実用に足るシェア ウェアとして定評がある R-Mecab である.他に日本でよく用いられているのは 樋口耕一が開発したフリーソフト KH Corder と Verbi GmbH 社の MAXQDA である.近年ではテクスト情報のほか,画像や音声などをも一括管理できるこ とをうたうソフト(Scientific Software Development GmbH 社の ATLAS.Ti など)も出現している.
SPSS/IBM は専用ファイル形式のほかに,MS エクセルファイルを読み込む こともできる.1 セルに入力できる字数の上限は 4,000 字(英数半角換算)であ る.1 ファイルのデータ量の上限は MS エクセルの規格に依存する.なお原因 は不明だが,このソフトを使用中,コンピューターが比較的頻繁にフリーズし たことを指摘しておく.
R は社会科学統計ではスタンダードなシェアウェアである.Mecab は京大情 報学研究科,NTT コミュニケーション科学基礎研が開発した無料の日本語形 態素分析ソフトである.
IBM / SPSS でできることはおおむね R-Mecab でもできる.しかし R-Mecab には 2 点の難点がある.①計算結果が 4,000 行までしか表示されないため,デ ータが巨大な場合は分割して,手動で再集計しなければならない.②相関分析 を試行するのにたいへん手間がかかる.
そのため本研究では,まず IBM/SPSS によって分析をおこない,その結果を 適宜 R-Mecab で簡潔に再確認するという手順を取った.
なお本研究では IBM/SPSS の諸機能のうち,形態素分析,語彙抽出,出現頻
度測定,共起頻度測定,作図のみを用いた.同社が提供する分析パッケージな
どは全く用いていない.その理由は,技術水準がまだ研究に必要な条件を満た
していないためであり,様々なソフトで再現できる機能のみを用いることが研
究の発展に資するためである.なお,敢えてそのように狭く限定された手段だ
けを用いて,最も確実に指摘できることだけを指摘してゆくという態度が,テ
クスト・マイニングという新しい技術の信頼性を高めるというのが筆者の判断
である.
本研究における分析単位は一文である.つまり文字列に出現する句点,クエ スチョン・マーク,エクスクラメーションに挟まれた文字列を最小単位とする.
これは考察対象の性質に合わせて変更可能である.場合によっては分析単位を 一段落とするのが適切な場合もあるだろう.あるいは IBM/SPSS のスペックに 合わせて半角英数換算 4,000 字で文字列を強制的に一単位とすることもできる.
もちろん分析単位を少し変更しただけで否定されてしまうような知見は信頼性 が高くなく,公表するに値しない.
語句の出現頻度と共起頻度をカウントする場合,たとえば「ジェンダーのジ ェンダーによるジェンダーのための政治.」という一文があったとして,
IBM/SPSS は語句「ジェンダー」の出現を 1 回と数える.この一文における「ジ ェンダー」と「政治」の共起も 1 回と数える.ソフトによってはこの一文にお ける「ジェンダー」の出現を 3 回,「ジェンダー」と「政治」の共起を 3 回とカ ウントするものもある.こうした相違から分析結果の信頼性が損なわれること が予想されるため,複数ソフトによる知見の検証が必要である.
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頻出語彙ランキングについて【リスト 1】(本稿末尾を参照)のランキング表は次の要領で作成した.① SPSS/IBM が抽出した単語群から名詞のみを取り出し,頻出順にリスト化した.
②取り出した名詞群からあまりにも一般的すぎる名詞,たとえば「中」 「他」 「そ れ」「上」「一方」「点」などを取り除いた.③「ジェンダー」を取り除いた.ジ ェンダーを主題とする記事に「ジェンダー」が頻出するのは自明なためである.
このランキング表の右端には, 〈ジェンダー資料体〉から「フェミニズム」 (お よびその類語)を含む文をすべて抽出し,同様の要領で作成したランキング表 を掲げた.〈ジェンダー言論〉と,〈ジェンダー言論内のフェミニズム〉の異同 を検証するための策出的道具として用いる.
なお,左古(2014a)には論じなかった事実をここで指摘しておく.複数年次に 渡って繰り返し頻出 100 位以内に入った人名は,ゲオルク・ジンメルとカール・
マルクスだけである.
ジンメルについて.ジンメルの名は 1980 年代(20 位)と 1995 年(54 位),1996
である.
本研究における分析単位は一文である.つまり文字列に出現する句点,クエ スチョン・マーク,エクスクラメーションに挟まれた文字列を最小単位とする.
これは考察対象の性質に合わせて変更可能である.場合によっては分析単位を 一段落とするのが適切な場合もあるだろう.あるいは IBM/SPSS のスペックに 合わせて半角英数換算 4,000 字で文字列を強制的に一単位とすることもできる.
もちろん分析単位を少し変更しただけで否定されてしまうような知見は信頼性 が高くなく,公表するに値しない.
語句の出現頻度と共起頻度をカウントする場合,たとえば「ジェンダーのジ ェンダーによるジェンダーのための政治.」という一文があったとして,
IBM/SPSS は語句「ジェンダー」の出現を 1 回と数える.この一文における「ジ ェンダー」と「政治」の共起も 1 回と数える.ソフトによってはこの一文にお ける「ジェンダー」の出現を 3 回,「ジェンダー」と「政治」の共起を 3 回とカ ウントするものもある.こうした相違から分析結果の信頼性が損なわれること が予想されるため,複数ソフトによる知見の検証が必要である.
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頻出語彙ランキングについて【リスト 1】(本稿末尾を参照)のランキング表は次の要領で作成した.① SPSS/IBM が抽出した単語群から名詞のみを取り出し,頻出順にリスト化した.
②取り出した名詞群からあまりにも一般的すぎる名詞,たとえば「中」 「他」 「そ れ」「上」「一方」「点」などを取り除いた.③「ジェンダー」を取り除いた.ジ ェンダーを主題とする記事に「ジェンダー」が頻出するのは自明なためである.
このランキング表の右端には, 〈ジェンダー資料体〉から「フェミニズム」 (お よびその類語)を含む文をすべて抽出し,同様の要領で作成したランキング表 を掲げた.〈ジェンダー言論〉と,〈ジェンダー言論内のフェミニズム〉の異同 を検証するための策出的道具として用いる.
なお,左古(2014a)には論じなかった事実をここで指摘しておく.複数年次に 渡って繰り返し頻出 100 位以内に入った人名は,ゲオルク・ジンメルとカール・
マルクスだけである.
ジンメルについて.ジンメルの名は 1980 年代(20 位)と 1995 年(54 位),1996
年(17 位)にたいへん高い頻出順位を記録している.井上(2006)によれば 1980 年 代後半の日本の図書におけるジェンダーとはイヴァン・イリイチのジェンダー だった.確かにイリイチの名は【リスト 1】でも 1980 年代に 42 位(イリッチ) と 80 位(イリイチ)に出現しているのだが,ジンメルに依拠したものも存在した のである.しかもイリイチが 1990 年代に入ると 100 位以内から姿を消すのに対 して,ジンメルは 96 年まで頻出していた.
第 2 に,マルクスの名が頻出 100 位以内に入ったのは 1980 年代(63 位),2008 年(61 位),2009 年(15 位),2010 年(16 位)である.
1.2 頻出 12 カテゴリーについて
〈ジェンダー言論〉全体における頻出語句に基づき以下の 12 カテゴリーを構 成した.①《問題》のカテゴリーは「問題」およびその類語「問い」,「課題」
などから成る.同様に,②《女性》は「女性」およびその類語「女」,「妻」,「女 子」などから成る.③《研究》は「研究」,「概念」,「分析」,「理論」など,④
《家庭》は「家族」,「父」,「母」,「親」など,⑤《社会》は「社会」,「社会的」,
「社会学」から成る.以下同様に,⑥《労働》,⑦《男性》,⑧《理念》,⑨《教 育》,⑩《経済》,⑪《政治・政策》,⑫《文化》カテゴリーを作成した.各カテ ゴリーの出現回数をカウントするにあたっては,過度の煩雑を避けるため,い ずれかの年次において 10 件以上の出現を記録した語句のみを対象とした.
【図 1a】は〈ジェンダー言論〉全体における,これら 12 カテゴリーの出現 頻度と共起頻度を図示している.マルの大きさは出現頻度,2 つのマルのあい だを結ぶ線の太さは共起頻度をあらわす.
しかしこれではカテゴリー間の関係が不判明なため,201 回以上の出現およ
び共起のみを抽出し,【図 1b】を得た.「女性」「問題」「研究」という,出現頻
度がきわめて高く,かつ共起頻度もきわめて高い 3 カテゴリーを骨格とし,そ
れに準じて出現頻度と共起頻度が高い「家庭」,「労働」,「教育」などが図の左
側でダイヤモンド型を形成している.出現頻度こそ高いものの他のカテゴリー
と共起しない(つまり〈ジェンダー言論〉において好んで用いられてはいるも
のの,その骨格をなす構造にとっては比較的周縁的な)カテゴリーは,図の上
側で各々孤立している.
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フェミニズムとジェンダーの比較について【表 2】と【図 2】を得る手順は以下のとおりである.
①まず主要 12 カテゴリーのおのおのが,〈ジェンダー資料体〉のなかにどの 程度の割合で出現しているかを計算する. 〈ジェンダー資料体〉全体のセル数を,
各カテゴリーに該当するセル数で割れば求めることができる.したがって【表 2】の「ジェンダー/労働」が「11.1」であることは,「〈ジェンダー資料体〉
全文に占める《労働》カテゴリーに該当する文は,11.1 パーセントである」
ことを意味する.以下《問題》,《女性》などについても同様に求めることがで きる.
②〈ジェンダー資料体〉から《フェミニズム》として括ることができるカテ ゴリー(文字列「フェミニズム」と「フェミニスト」から成る)に該当する文 を抽出し,5,375 行から成る〈フェミニズム・コーパス〉を制作する.
③主要 12 カテゴリーを用いて,〈フェミニズム・コーパス〉を分析する.し たがって【表 2】の「フェミニズム/労働」が「4.4」であることは,「〈フェ ミニズム・コーパス〉全文に占める《労働》カテゴリーに該当する文の割合は,
4.4 パーセントであることを意味する.以下《問題》,《女性》などの値も同様 に求めることができる.
④主要 12 カテゴリーに《三人名》というカテゴリーを追加する.《三人名》
(307 件)には文字列「上野千鶴子」,「マルクス」,「バトラー」のみを組み込み,
「ジュディス」(20 件),「上野」(33 件),「マノレクス」(3 件)は除外した.こう した操作は,ここで筆者が論証したい仮説にとってやや不利な条件を敢えて課 すことによって,本研究の信頼性を強めるためである.
⑤〈ジェンダー・コーパス〉における主要 12 カテゴリー,プラス《三人名》
のカテゴリーの出現頻度と共起頻度を測定し,16 回以上の出現および共起だけ を図示すると,【図 2】が得られる.
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媒体のジャンル分けについて【表 3】は,ジェンダーという語句を表題に含む記事が,主に何をテーマと
した媒体に掲載されたのかを示している.左古(2014a)よりもジャンルを拡充し
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フェミニズムとジェンダーの比較について【表 2】と【図 2】を得る手順は以下のとおりである.
①まず主要 12 カテゴリーのおのおのが,〈ジェンダー資料体〉のなかにどの 程度の割合で出現しているかを計算する. 〈ジェンダー資料体〉全体のセル数を,
各カテゴリーに該当するセル数で割れば求めることができる.したがって【表 2】の「ジェンダー/労働」が「11.1」であることは,「〈ジェンダー資料体〉
全文に占める《労働》カテゴリーに該当する文は,11.1 パーセントである」
ことを意味する.以下《問題》,《女性》などについても同様に求めることがで きる.
②〈ジェンダー資料体〉から《フェミニズム》として括ることができるカテ ゴリー(文字列「フェミニズム」と「フェミニスト」から成る)に該当する文 を抽出し,5,375 行から成る〈フェミニズム・コーパス〉を制作する.
③主要 12 カテゴリーを用いて,〈フェミニズム・コーパス〉を分析する.し たがって【表 2】の「フェミニズム/労働」が「4.4」であることは,「〈フェ ミニズム・コーパス〉全文に占める《労働》カテゴリーに該当する文の割合は,
4.4 パーセントであることを意味する.以下《問題》,《女性》などの値も同様 に求めることができる.
④主要 12 カテゴリーに《三人名》というカテゴリーを追加する.《三人名》
(307 件)には文字列「上野千鶴子」,「マルクス」,「バトラー」のみを組み込み,
「ジュディス」(20 件),「上野」(33 件),「マノレクス」(3 件)は除外した.こう した操作は,ここで筆者が論証したい仮説にとってやや不利な条件を敢えて課 すことによって,本研究の信頼性を強めるためである.
⑤〈ジェンダー・コーパス〉における主要 12 カテゴリー,プラス《三人名》
のカテゴリーの出現頻度と共起頻度を測定し,16 回以上の出現および共起だけ を図示すると,【図 2】が得られる.
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媒体のジャンル分けについて【表 3】は,ジェンダーという語句を表題に含む記事が,主に何をテーマと した媒体に掲載されたのかを示している.左古(2014a)よりもジャンルを拡充し
ている.
各ジャンルの内訳は以下の通りである.
■教育
『教育』,『英語青年』,『家庭科』,『家庭科教育』,『解放教育』,『開発教育』,
『看護教育』,『季刊教育法』,『季刊女子教育もんだい』,『教育』,『教育ジャ ーナル』, 『教育と医学』, 『教育学年報』, 『教育評論』, 『教育方法学研究』, 『教 職研修総合特集』,『月刊社会教育』,『月刊生徒指導』,『現代教育科学』,『言 語』, 『広領域教育』, 『国立婦人教育会館研究紀要』, 『子どものしあわせ』, 『児 童心理』,『女子体育』,『人間と教育』,『人材教育』,『体育の科学』,『大学と 学生』,『大学教育学会誌』,『大学時報』,『内外教育』,『日英教育研究フォー ラム』,『日本の社会教育』,『日本教育史研究』,『日本私学教育研究所紀要』,
『日本理科教育学会理科教育学研究』,『文学と教育』,『歴史地理教育』.
■国際
『Africa』, 『APC アジア太平洋研究』, 『Int'lecowk』, 『JICA frontier』, 『Rim』,
『アジア経済』,『アジア女性研究』,『アジア遊学』,『アジ研ワールド・トレ ンド』,『アフリカレポート』,『アメリカ研究』,『アメリカ法』,『イスラム世 界』, 『ドイツ研究』, 『ロシア研究』, 『異文化経営研究』, 『海外社会保障研究』,
『開発学研究』,『開発教育』,『研究紀要 (世界人権問題研究センター)』,『国 際開発研究』,『国際協力研究』,『国際産研』,『国際資源』,『国際女性』,『国 際農林業協力』,『人口と開発』,『人口問題研究』,『世界と人口』,『世界の農 林水産』,『世界の労働』,『中国』,『中国研究月報』,『中国女性史研究』,『中 東研究』,『日仏文化』,『日米女性』,『日本ニュージーランド学会誌』,『連合 国際レポート』.
■論壇・思想
『Discussion journal『民主』』,『インパクション』,『リベラシオン』,『科学
的社会主義』,『現代思想』,『公評』,『公明』,『思想』,『自由』,『自由』,『社
会主義』,『社会民主』,『諸君!』,『情況. 第三期』,『情況. 第二期』,『進歩
と改革』,『世界』,『世界思想』,『世界週報』,『正論』,『前衛』,『前夜』,『祖
国と青年』,『第三文明』,『中央公論』,『批評空間』,『北の発言』,『明日への
選択』,『論座』.
■人権
『ヒューマンライツ』, 『解放教育』, 『研究紀要 (世界人権問題研究センター)』,
『研究紀要 (兵庫県人権啓発協会研究推進委員会)』, 『人権 21』, 『人権と教育』,
『人権と部落問題』,『人権教育』,『部落解放』,『部落解放なら』,『部落解放 研究』.
■運動
『あごら』,『社会運動』,『女たちの 21 世紀』,『女性&運動』,『女性・戦争・
人権』,『女性学研究』,『女性空間』,『日本婦人問題懇話会会報』,『婦人問題 懇話会会報』,『労働運動研究』.
■労働
『Int'lecowk』,『LDI report』,『海外社会保障研究』,『海外労働時報』,『企業 と人材』,『季刊社会保障研究』,『金融労働調査時報』,『経済セミナー』,『国 公労調査時報』, 『女性と労働 21』, 『女性労働研究』, 『人材教育』, 『人事実務』,
『大原社会問題研究所雑誌』,『賃金と社会保障』,『賃金事情』,『賃金実務』,
『日本労働研究雑誌』,『労政時報』,『労働レーダー』,『労働運動研究』,『労 働科学』,『労働研究』,『労働社会学研究』,『労働総研クォータリー』,『労働 調査』,『労働法学研究会報』,『労働法律旬報』,『労務事情』.
■文芸
『imago』,『ジョージ・エリオット研究』,『すばる』,『テアトロ』,『フォー クナー』,『ヘミングウェイ研究』,『ユリイカ』,『英文学研究』,『群像』,『現 代詩手帖』,『言語と文芸』,『国文学 : 解釈と鑑賞』,『社会文学』,『昭和文学 研究』,『新日本文学』,『世界文学』,『早稲田文学』,『日本近代文学』,『日本 児童文学』,『日本文学』,『文学』,『文学と教育』,『文芸』,『文學界』,『名古 屋近代文学研究』,『有島武郎研究』,『國文學 : 解釈と教材の研究』,『漱石研 究』.
■法律
『アメリカ法』, 『ジュリスト』, 『季刊教育法』, 『刑法雑誌』, 『月報司法書士』,
『月報全青司』, 『現代刑事法』, 『戸籍時報』, 『司法改革』, 『司法研修所論集』,
『時の法令』, 『世界法年報』, 『日本女性法律家協会会報』, 『犯罪と非行』, 『犯
罪心理研究』,『法と民主主義』,『法学セミナー』,『法学教室』,『法学新報』,
■人権
『ヒューマンライツ』, 『解放教育』, 『研究紀要 (世界人権問題研究センター)』,
『研究紀要 (兵庫県人権啓発協会研究推進委員会)』, 『人権 21』, 『人権と教育』,
『人権と部落問題』,『人権教育』,『部落解放』,『部落解放なら』,『部落解放 研究』.
■運動
『あごら』,『社会運動』,『女たちの 21 世紀』,『女性&運動』,『女性・戦争・
人権』,『女性学研究』,『女性空間』,『日本婦人問題懇話会会報』,『婦人問題 懇話会会報』,『労働運動研究』.
■労働
『Int'lecowk』,『LDI report』,『海外社会保障研究』,『海外労働時報』,『企業 と人材』,『季刊社会保障研究』,『金融労働調査時報』,『経済セミナー』,『国 公労調査時報』, 『女性と労働 21』, 『女性労働研究』, 『人材教育』, 『人事実務』,
『大原社会問題研究所雑誌』,『賃金と社会保障』,『賃金事情』,『賃金実務』,
『日本労働研究雑誌』,『労政時報』,『労働レーダー』,『労働運動研究』,『労 働科学』,『労働研究』,『労働社会学研究』,『労働総研クォータリー』,『労働 調査』,『労働法学研究会報』,『労働法律旬報』,『労務事情』.
■文芸
『imago』,『ジョージ・エリオット研究』,『すばる』,『テアトロ』,『フォー クナー』,『ヘミングウェイ研究』,『ユリイカ』,『英文学研究』,『群像』,『現 代詩手帖』,『言語と文芸』,『国文学 : 解釈と鑑賞』,『社会文学』,『昭和文学 研究』,『新日本文学』,『世界文学』,『早稲田文学』,『日本近代文学』,『日本 児童文学』,『日本文学』,『文学』,『文学と教育』,『文芸』,『文學界』,『名古 屋近代文学研究』,『有島武郎研究』,『國文學 : 解釈と教材の研究』,『漱石研 究』.
■法律
『アメリカ法』, 『ジュリスト』, 『季刊教育法』, 『刑法雑誌』, 『月報司法書士』,
『月報全青司』, 『現代刑事法』, 『戸籍時報』, 『司法改革』, 『司法研修所論集』,
『時の法令』, 『世界法年報』, 『日本女性法律家協会会報』, 『犯罪と非行』, 『犯 罪心理研究』,『法と民主主義』,『法学セミナー』,『法学教室』,『法学新報』,
『法律時報』,『民事法情報』,『労働法律旬報』.
■報道
『Asahi journal』,『Diamond visionary』,『Harvard business review』,
『Newsweek』,『Sapio』,『Themis』,『UP』,『みすず』,『金曜日』,『現代の エスプリ』,『週刊ポスト』,『週刊新潮』,『週刊朝日』,『書斎の窓』,『新潮』,
『宣伝会議』,『創』,『創文』,『婦人公論』.
■歴史
『キリスト教史学』,『ゲシヒテ』,『メディア史研究』,『宮城歴史科学研究』,
『軍事史学』,『史境』,『社会経済史学』,『女性史学』,『人民の歴史学』,『中 国女性史研究』,『唐代史研究』,『日本教育史研究』,『日本歴史』,『仏教史学 研究』,『文化史学』,『歴史と地理』,『歴史学研究』,『歴史地理教育』,『歴史 評論』.
■医療・看護
『医療看護』,『Quality nursing』,『アディクションと家族』,『ペリネイタル ケア』, 『医学教育』, 『看護学雑誌』, 『看護技術』, 『看護教育』, 『教育と医学』,
『月刊地域保健』,『公衆衛生』,『産婦人科治療』,『小児科』,『小児科臨床』,
『診断と治療』,『性差と医療』,『精神医療. 第 4 次』,『総合ケア』,『日本 性科学会雑誌』,『保健婦雑誌』,『母性衛生』,『民族衛生』.
■地理
『地理』,『地理科学』,『歴史地理教育』.
■福祉
『福祉』, 『DPI』, 『厚生福祉』, 『子ども家庭福祉情報』, 『社会福祉研究』, 『社 会福祉士』,『週刊社会保障』,『福祉のひろば』.
■宗教
『キリスト教史学』,『近代仏教』,『現代宗教研究』,『宗学研究』,『宗教と社 会』,『宗教研究』,『大法輪』,『福音と世界』,『仏教』,『法華仏教研究』,『北 陸宗教文化』.
■心理
『児童心理』,『心理科学』,『人権教育』,『犯罪心理研究』.
なお,これらのジャンルのいずれにも該当しなかった媒体のうち,記事件数 が10件を超えたのは以下の18誌である. 『学術の動向』71件, 『Image & Gender』
48 件, 『女も男も』30 件, 『生活協同組合研究』24 件, 『ことば』23 件, 『Diatext』
22 件, 『日本の科学者』17 件, 『Sexuality』16 件, 『近きにありて』15 件, 『10+1』
14 件,『アソシエ』14 件,『唯物論研究年誌』12 件,『寄せ場』11 件,『協同組 合研究』10 件,『音楽芸術』10 件,『言語』10 件,『月刊公民館』10 件.
ほとんどは 1,2 回の特集の結果だが,学術(『学術の動向』と『日本の科学 者』で合計 88 件)および協同組合(『生活協同組合研究』と『協同組合研究』
で合計 34 件)を加味した場合,新たな知見が得られる可能性がある.また
『Image & Gender』と『Sexuality』のような,多くのジャンルにまたがる雑 誌が 2000 年代に創刊され,活発に刊行されていることも注記しておくべきだろ う.
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.2
医療・看護関係の記事について今回の記事本体の収集において極端な欠落が生じたのは,オンラインでの記 事の取得がしばしば課金制になっている医療・看護関係である.
〈医療・看護〉ジャンルは記事点数が全体に少なく,最多の〈教育〉ジャン ルに対して 5 分の 1 に満たない.その上,〈医療・看護〉ジャンルの記事は非常 に簡潔に書かれている場合が多く,1 件あたりの文字数が少ない.したがって その欠落は〈ジェンダー言論〉全体に関する本研究の知見の信頼性に影響を与 えなかった.それを確認した上で,若干の解説を加えておく.
【表 3】において,1996 年に〈医療・看護〉ジャンルの記事が 8 件へとジャ ンプアップしているのは『保健婦雑誌』が「ジェンダーの視点から地域・生活 を考える」(記事 7 件)と銘打って連載を組んだためである.2006 年の 18 件への ジャンプアップは『日本性科学会雑誌』が「第 26 回日本性科学会集会 ジェン ダーとセクシュアリティ」の特集(記事 11 件)を組んだためである.
2010 年に記事件数 15 を記録したのは, 『看護教育』が「誌上 FD 自己決定でき る「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育」(記事 12 件)という連 載を掲載したためである.
1996 年の動きは,同じ時期の〈文芸〉ジャンルに明瞭に見えた,既知の事柄
なお,これらのジャンルのいずれにも該当しなかった媒体のうち,記事件数 が10件を超えたのは以下の18誌である. 『学術の動向』71件, 『Image & Gender』
48 件, 『女も男も』30 件, 『生活協同組合研究』24 件, 『ことば』23 件, 『Diatext』
22 件, 『日本の科学者』17 件, 『Sexuality』16 件, 『近きにありて』15 件, 『10+1』
14 件,『アソシエ』14 件,『唯物論研究年誌』12 件,『寄せ場』11 件,『協同組 合研究』10 件,『音楽芸術』10 件,『言語』10 件,『月刊公民館』10 件.
ほとんどは 1,2 回の特集の結果だが,学術(『学術の動向』と『日本の科学 者』で合計 88 件)および協同組合(『生活協同組合研究』と『協同組合研究』
で合計 34 件)を加味した場合,新たな知見が得られる可能性がある.また
『Image & Gender』と『Sexuality』のような,多くのジャンルにまたがる雑 誌が 2000 年代に創刊され,活発に刊行されていることも注記しておくべきだろ う.
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医療・看護関係の記事について今回の記事本体の収集において極端な欠落が生じたのは,オンラインでの記 事の取得がしばしば課金制になっている医療・看護関係である.
〈医療・看護〉ジャンルは記事点数が全体に少なく,最多の〈教育〉ジャン ルに対して 5 分の 1 に満たない.その上,〈医療・看護〉ジャンルの記事は非常 に簡潔に書かれている場合が多く,1 件あたりの文字数が少ない.したがって その欠落は〈ジェンダー言論〉全体に関する本研究の知見の信頼性に影響を与 えなかった.それを確認した上で,若干の解説を加えておく.
【表 3】において,1996 年に〈医療・看護〉ジャンルの記事が 8 件へとジャ ンプアップしているのは『保健婦雑誌』が「ジェンダーの視点から地域・生活 を考える」(記事 7 件)と銘打って連載を組んだためである.2006 年の 18 件への ジャンプアップは『日本性科学会雑誌』が「第 26 回日本性科学会集会 ジェン ダーとセクシュアリティ」の特集(記事 11 件)を組んだためである.
2010 年に記事件数 15 を記録したのは, 『看護教育』が「誌上 FD 自己決定でき る「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育」(記事 12 件)という連 載を掲載したためである.
1996 年の動きは,同じ時期の〈文芸〉ジャンルに明瞭に見えた,既知の事柄
を〈ジェンダーの視点〉から見直す,という動向と軌を一にしていると言える だろう.2006 年の動きは,1990 年代後半における〈論壇・思想〉ジャンルに呼 応する動向と言えるだろう.
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法律関係の記事について法律関係の記事は,法改正や学会設立などの出来事があった年に増える傾向 がはっきりしている. 【表 3】において,1996-98 年に山ができているのは,1997 年に雇均法が改正されたためである.これは同じ時期の〈教育〉ジャンルに明 瞭にあらわれていたのと同種の現象であると考えられる.2003 年の山は同年の ジェンダー法学会の設立によるものである.2006 年の山は『法律時報』が「ジ ェンダーの視座から法と政策を問い直す」特集(記事 10 件)を組んだためで,1990 年代後半の〈文芸〉や〈医療・看護〉にはっきり表れていた,既知の事柄を〈ジ ェンダーの視点〉から見直すという傾向が 10 年遅れて法律関係者にも受容され たことを示している.
4 12
カテゴリーによる捕捉度と,6
カテゴリーの共起度の測定【グラフ 2】は以下の要領で得ることができる.
①【表 2】を得た時の要領で,主要 12 カテゴリーのいずれかによって各年次 の〈ジェンダー資料体〉を構成する文をどの程度捕捉できているかを計算する.
これによって得られる値を「12 捕捉度」と呼ぶ.たとえば 1990 年なら全文 2,070 件のうち,12 カテゴリーのいずれかが出現するのは 1,192 件だから,「12 捕捉 度」は 57.6 パーセントである.
或る年次の「12 捕捉度」が高いということは,その年次の〈ジェンダー言論〉
が比較的少ない語彙に強く依拠していたことを意味する.別の年次の「12 捕捉 度」が低いということは,比較的多様な語彙を用いていたことを意味する.
②主要 12 カテゴリーのなかでも最も出現頻度の高い 6 カテゴリーを選ぶ.最 頻出カテゴリーは《女性》, 《家庭》,《問題》, 《研究》, 《男性》, 《労働》である.
③各年次の〈ジェンダー資料体〉において,最頻出 6 カテゴリーのうち少な
くとも 2 つが共起している文の割合を算出する.これによって得られる値を「6
共起度」と呼ぶ.たとえば 1990 年なら全文 2,070 件のうち,6 カテゴリーのい
ずれか 2 つが共起しているのは 354 件だから,「6 共起度」は 17.1 パーセント である(グラフを描くにあたっては「12 捕捉度」との比較を容易にするために 3 を乗じている).
或る年次の「6 共起度」が高いということは,その年次の〈ジェンダー言論〉
が「《家庭》,《労働》,《教育》における《女性》(および《男性》)の《問題》を
《研究》する」という言論構造に強く依拠していたことを意味する.別の年次 の「6 共起度」が低いということは,その年次の〈ジェンダー言論〉における 同じ構造が弛緩していたことを意味する.
④したがって,或る年次に「12 捕捉度」と「6 共起度」が揃って高ければ,
その年次には〈ジェンダー言論〉が「《家庭》,《労働》, 《教育》における《女性》
(および《男性》)の《問題》を《研究》する」という言論構造によってきわめ て強く統合されていたことを意味する.別の年次に「12 捕捉度」と「6 共起度」
が揃って低ければ,その年次には〈ジェンダー言論〉の「《家庭》,《労働》,《教 育》における《女性》(および《男性》)の《問題》を《研究》する」という言 論構造が弛緩し,語彙が多様化していたことを意味する.
【グラフ 2】の結果が明らかにしているように,00 年代における「12 捕捉度」
と「6 共起度」はやや異なる挙動を示している部分がある.
5
暴力について【図 3】は以下の要領で得た.
①〈ジェンダー資料体〉から文字列「暴力」を含むすべての文を抽出し,3,982 行から成る〈暴力コーパス〉を制作する.
②頻出語句に類語を追加し,《セクハラ》(587 件),《レイプ》(526 件),《性暴 力》(309 件),《DV》(154 件),《慰安婦》(124 件),《家庭内暴力》(72 件),《虐待》
(56 件),《ポルノグラフィー》(53 件),《性犯罪》(26 件)という 9 つのカテゴリー を作成する.
③【図 1】 【図 2】と同じ要領で作図し,出現と共起 4 回以上のみを描画する.
マルの大きさから, 《レイプ》と《セクハラ》の出現頻度が高いことが分かる.
しかし《セクハラ》は《家庭内暴力》との共起が弱い.
《性暴力》は他のすべてのカテゴリーと頻繁に共起しており,かつ,出現頻
ずれか 2 つが共起しているのは 354 件だから,「6 共起度」は 17.1 パーセント である(グラフを描くにあたっては「12 捕捉度」との比較を容易にするために 3 を乗じている).
或る年次の「6 共起度」が高いということは,その年次の〈ジェンダー言論〉
が「《家庭》,《労働》,《教育》における《女性》(および《男性》)の《問題》を
《研究》する」という言論構造に強く依拠していたことを意味する.別の年次 の「6 共起度」が低いということは,その年次の〈ジェンダー言論〉における 同じ構造が弛緩していたことを意味する.
④したがって,或る年次に「12 捕捉度」と「6 共起度」が揃って高ければ,
その年次には〈ジェンダー言論〉が「《家庭》,《労働》, 《教育》における《女性》
(および《男性》)の《問題》を《研究》する」という言論構造によってきわめ て強く統合されていたことを意味する.別の年次に「12 捕捉度」と「6 共起度」
が揃って低ければ,その年次には〈ジェンダー言論〉の「《家庭》,《労働》,《教 育》における《女性》(および《男性》)の《問題》を《研究》する」という言 論構造が弛緩し,語彙が多様化していたことを意味する.
【グラフ 2】の結果が明らかにしているように,00 年代における「12 捕捉度」
と「6 共起度」はやや異なる挙動を示している部分がある.
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暴力について【図 3】は以下の要領で得た.
①〈ジェンダー資料体〉から文字列「暴力」を含むすべての文を抽出し,3,982 行から成る〈暴力コーパス〉を制作する.
②頻出語句に類語を追加し,《セクハラ》(587 件),《レイプ》(526 件),《性暴 力》(309 件),《DV》(154 件),《慰安婦》(124 件),《家庭内暴力》(72 件),《虐待》
(56 件),《ポルノグラフィー》(53 件),《性犯罪》(26 件)という 9 つのカテゴリー を作成する.
③【図 1】 【図 2】と同じ要領で作図し,出現と共起 4 回以上のみを描画する.
マルの大きさから, 《レイプ》と《セクハラ》の出現頻度が高いことが分かる.
しかし《セクハラ》は《家庭内暴力》との共起が弱い.
《性暴力》は他のすべてのカテゴリーと頻繁に共起しており,かつ,出現頻
度最高の《レイプ》との共起が,線の太さを見ればわかるように,きわめて頻 繁である.このことから,《性暴力》が〈ジェンダー言論〉における暴力の扱い のなかで中心的な位置にあることが分かる.
[文献]
樋口耕一,
2005
,「計量テキスト分析の方法と実践」大阪大学大学院人間科学研究科2004
年度博士論文.――――,
2013
,「情報化イノベーションの採用と富の有無――ウェブの普及過程におけ る規定構造の変化から」『ソシオロジ』57(3): 39-55
.岡本智周・笹野悦子,
2001
「戦後日本の『サラリーマン』表象の変化――『朝日新聞』を事例に」『社会学評論』
52(1): 16-32
.左古輝人,
2014
,「1980
年代から2010
年までの『ジェンダー』――日本の定期刊行物に おける」江原由美子『ジェンダーをめぐるコミュニケーション齟齬の研究』2011-2013
年度科学研究費補助金研究成果報告書,首都大学東京.佐藤郁哉,
2008
,『質的データ分析法』新曜社.鈴木努,
2006
,「2005
年衆議院選挙における三大紙の社説比較」『マス・コミュニケーシ ョン研究』69
.【リスト1】 ジェンダー言論における頻出語彙ランキング 1980s19901991199219931994199519961997199819992000 1 女性女性女性女性女性女性女性女性女性女性女性女性 2 家族男性セール男性女女男性男性男性男性女女 3 男性研究男性私男男性女女性文化問題女男性問題 4 社会的社会的問題彼女生徒問題意味社会的意味問題問題彼女 5 問題女紀子問題学校主体社会的文化女子供家族男性 6 社会福祉国家女彼彼女意味問題問題彼女男私存在 7 家父長制社会介護者女王男性セックス文化家族自分男女彼女意味 8 家問題仕事筆者役割存在男女社会彼女男自分 9 人々役割意味研究子供生産建築男女男女社会意味主体 10 研究意味男我々男女学生関係意味社会的意味自分バトラー 11意味女子校社会的視点身体ボストン大学彼女社会関係関係社会的言葉 12 男女彼女存在状況社会的フェミニズム社会性男自分存在関係 13 存在男結婚存在女子私家族研究存在社会的家社会的 14 女関係人々人々問題妻存在フェミニズム妻家族フェミニズム私 15 私視点私自分存在身体私夫夫存在社会議論 16 概念男女差別ヴィクトリア社会家事労働女性文化役割子供教育関係暴力 17 日本電子メディア家族日本性役割観文化的彼ジンメル家族家庭子供意識 18 文化結果自分社会私たち大学主張彼女私役割研究夫 19 関係女性性社会言葉b高校労働男女妻研究視点日本私たち 20 ジンメル市民権都市意味a高校男女文化的日本日本家言葉男 21 役割意識記事差別視点大学教育結果男指摘研究分析研究 22 経済的立場天皇運動意味政治的子供主張役割変化現在社会 23 有賀存在パート彼ら進路彼女日本家庭人々女子議論役割 24 フェミニズム本日本ジェンダー自分教育概念関係家結果指摘フェミニズム 25 妻教育役割子供トラック結果役割活動文化彼役割行為 26 家庭共学地理学主張関係構築研究意識分析世界彼妻 27 喜多野文化国民立場フェミニスト男コーラ関連重要状況重要概念 28 立場議論嫁在日朝鮮人家庭自然重要視点身体指摘私たち子供 29 男社会学夫国精神病研究自分概念平等運動状況日本 30 規定概念介護調査形成日本家庭経済的対象生活家庭彼 31 夫教科書子供男グループ共学制差異結果自由仕事人々教育 32 歴史的参照現在役割病関係人間存在権利対象変化結果 33 教育政治的研究婦人仕事夫言葉現在主張人々妻対象 34 生産過程意識議論経験表象分析メディア結果夫歴史家族 35 主張サブカルチャー教育事実人間構成立場生活判決影響概念分析 36 価値経済的比率批判批判概念セックス分析私たち差異視点影響 37 差別女子天皇制政治的職業主張変化性差状況中心対象文化 38 人間分析皇室関心対象言説言説変化フェミニズム日本結果重要 39 論争メディア対象自由男女平等教育ボーヴォワール歴史文化的労働私たち夫家庭 40 子供生徒家イギリス研究人間生物学的自分規定文化個人政治的 41 批判自分妻地位彼カテゴリー人々重要理由意識教育身体 42 イリッチ変化視点現在過程理解政治的世界視点フェミニズム課題現在 43 文化的重要広告エスニシティ選択アイデンティティ観念指摘認識科学影響可能性 44 我々現在労働者地理学中心立場議論権利人アイデンティティ現実政治 45 彼地位関係共和主義文化消費論文仕事立場形成権利仕事 46 生活展開本社員関係結果家族フェミニズム平等変化立場仕事表象 47 過程男子ケア王位胎児条件性差参加家庭活動家父長制法 48 現実利用反乱君主制教師自由形成国家影響概念問い領域 49 子仕事文化実際方法賃金夫今日女子妻彼ら指摘 50 意識人類学変化社会的分析議論私たち言葉結婚人言説立場