MRPシ ス テ ム と 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト
一 日米製造業 の システム構築技術 と技能の形成 および伝承 の比較研究一
松 浦 春 樹
要 旨
本 研 究 は,日 本 製 造 業 に技 術 と して導 入 され て き たMRPシ ス テ ム の あ り 方 を 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの 側 面 か ら検 討 す る もの で あ る 。MRPシ ス テ ム の 導 入 が,米 国 型 シ ス テ ム の 日本 へ の移 転 の試 み で あ っ た との 立 場 か ら, 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トとの 相性 を考 察 す る 。 この た め に,主 と して1990年 以 降 に公 表 され た製 造 企 業 の 生 産 シ ス テ ム に 関す る,社 会 科 学 的 な実 証 研 究 の 成 果 に基 づ い て,日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの特 質 を,現 場 管 理,製 品構 造, 人 材 育 成,サ プ ラ イ ヤ ー との 関係,情 報 の 構 造 の 各 観 点 か ら整 理 す る。 加 え て,製 品 構 造 と,受 注 生 産,見 込 み 生 産 をは じめ とす る生 産 形 態 との 関係 を 考 察 して い る。 これ らを受 け て,MRPシ ス テ ム が 米 国型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト の 特 質 に深 く根 ざ して,そ の 問 題 点 の是 正 を 目的 と して 誕 生 した こ と,日 本 へ のMRPシ ス テ ム の導 入 の動 機 が ,日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの特 質 を否 定 的 に捉 え る傾 向 に あ っ た こ とを指 摘 す る。 この 結 果,MRPシ ス テ ム を現 場 管 理 に まで使 う こ とは 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの利 点 を 阻害 す る き らい が あ る こ とか らあ くま で 生 産計 画 まで に と どめ る こ と,製 品 の 構 造 に よっ て は, 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの利 点 を生 かす 製 品 中心 の計 画 管 理 方 式 を見 直 す必 要 が あ る こ とな どが示 され る。
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1.は じ め に
生 産 シス テ ムへ の 日米 の ア プ ロ ーチ の 相 違 につ い て の切 り口か ら,日 本 に お け るMRPシ ス テ ム の あ り方 につ い て検 討 を加 え るの が 本 稿 の 目的 で あ る 。 現 実 に は 日米 の生 産 シ ス テ ムへ の ア プ ロ ーチ は,相 互 交 流 に よっ てハ イ ブ リ
ッ ド化 が進 んで お り,差 違 は解 消 の方 向 にあ る。
抽 象 化 され た モ デ ル と して は,た とえ ば,「 日本 的生 産 シス テ ム で は従 業 員 の巻 き込 み に よっ て,帰 納 的 に生 産 シス テ ム の継 続 的改 善 が推 し進 め られ る の に対 して,米 国的 生 産 シス テ ム で は専 門技 術 者 に よ って演 繹 的 な改 革 が 進 め られ る。」 と広 く認 め られ て い る と思 う。
従 来 の研 究 の 多 くは,日 本 的 シス テ ム の米 国 へ の 移 転 に 関 す る もの(た と え ば,安 保 ら(1991))で あ っ て,逆 に米 国 的 シス テ ム の 日本 へ の 移 転 に関 す る 取 り扱 い は,ト ヨ タ生 産 方 式 が 脚 光 を浴 び て 以 来,日 本 的 シス テ ムの 米 国 へ の 移 転 一 辺 倒 の 経 過 か ら少 な い 。 ま た,日 本 へ のMRPシ ス テ ム の 導 入 が, 生 産 技 術 者 や シス テ ム技 術 者 が 中心 とな って行 わ れ た経 緯 に よ っ て,日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの特 質 を焦 点 にす えた視 点 か らそ の導 入 につ い て検 討 され
る こ とは,著 者 の 知 る限 りきわ め て少 な か った 。
主 と して1990年 代 に入 っ て製 造 企 業 の生 産 シス テ ム に 関 して,社 会 科 学 的 な実 証 研 究 の 成 果 が 発 表 さ れ る よ うに な っ た 。 第 一 は,安 保(1991)ら の 日本 型 生 産 シス テ ム の 米 国 へ の 移 転 に 関す る研 究 で あ る。 第 二 は,製 品 の構 造 に 着 目 して,日 米 製 造 業 の得 意 分 野 を説 明 し よ う とす る藤 本(2001)ら の研 究 で あ る。 第 三 は,日 本 型 の 生 産 マ ネ ジ メ ン トの構 造 を,そ れ ぞ れ,人 材 育 成, サ プ ラ イヤ ー との 関 係,情 報 の構造 か ら研 究 した,浅 沼(1997),藤 本(2001), 小 池(1997),青 木(1995)ら の 一 連 の研 究 で あ る。
本 研 究 で は,MRPシ ス テ ム の 日本 へ の 展 開 が 米 国 的 シス テ ム の 日本 へ の 移 転 で あ っ た との観 点 か ら,日 本 的 シス テ ム の 米 国 へ の 移 転 とは逆 方 向 の研 究 上 の 空 白 を埋 め て,シ ス テム 構 築 技 術 上 の新 た な視 点 を得 る こ とに努 め た
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い。 検 討 の土 台 は,上 記 の,安 保,藤 本,浅 沼,小 池,青 木 ら に よる研 究 成 果 で あ る。
今 日,MRPを シス テ ム の 中核 とす るERPシ ス テ ムが 広 く国 内 企 業 に導 入 され つ つ あ る。ERPシ ス テ ム の導 入 が 米 国 的 シス テ ム の,日 本 へ の企 業 改 革 を念 頭 にお い た移 転 で あ る との 見 方 も根 強 い こ とか ら,本 研 究 の 成 果 に基 づ い てERPシ ス テ ム 導 入 に際 して の留 意 点 が 明 らか に なれ ば幸 で あ る。
2.日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト
(1)日 米 製造 業 の 生 産 シ ス テ ム構 築 環 境 モ デ ル
安 保 ら(1991)は,日 本 的 生 産 シ ス テ ム の 米 国へ の 「適 用 」 と,現 地 の状 況 に あ わせ た 「適 応」 の 実 態 を調 査 し,ハ イ ブ リ ッ ド具 合 を考 察 した 。 そ の 調 査 項 目 は,作 業 組 織 とそ の運 営 管 理,生 産 管 理,参 画 意 識,雇 用 環境,部 品 調 達,親 一子 会 社 関係 に及 ん で い る。 日本 的生 産 シス テ ム お よび 米 国 的 生 産 シス テ ム を類 型 化 して,各 調 査 項 目につ き 日本 型 か あ るい は米 国 型 か の程 度 を評価 した。
安 保 ら に よ って ま とめ られ た 日米 生 産 シス テ ム の 基 本論 理 を,本 研 究 に関 わ る範 囲 で以 下 に筆 者 な りに要 約 して み よ う。
日本 的 生 産 シス テ ム につ い て は,1)幅 広 い 熟 練 を 身 につ け た 多 能 工 に よ っ て,狭 い職 務 区 分 に と らわ れ ない 現 場 作 業 組 織 の 編成 シ ス テ ム を もつ こ と, 2)現 場 作 業 者 の 積 極 的 な絶 え間 ない 改 善努 力 に よっ て生 産性 を向 上 させ て ゆ く管 理 シ ス テ ム を もつ こ と,3)こ の よ うな編 成 方 式 と管 理 方 式 に よ って 多 品 種 少 量 生 産 の下 で も高 い効 率 と晶 質 を 同 時 に実 現 で きる こ と,4)現 場 の作 業 者 や管 理 者 が工 場 の計 画 管 理 に も積 極 的 に参 画 す る こ と,を あ げ て い
る(安保 ら(1991),p.36)。
これ に対 して米 国 的 生 産 シ ス テ ム につ い て は,1)個 々 の作 業 者 は,固 定 的 な職 務 配 置 が な さ れ,技 術 者 とIE専 門家 が 作 成 す る作 業 マ ニ ュ ア ル どお
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りの作 業 が 求 め られ,狭 い 職 務 区分 を受 け持 つ 単 能 工 で あ る とい う特 質 を も つ こ と,2)工 程 の 編 成 は ,少 数 の 技 術 者 とIE専 門 家 に よ っ て 行 わ れ, 個 々の 要 素 作 業 が 作 業 者 に職 務 と して 固定 的 に割 り振 られ る こ と,3)個 々 の単 能 工 を最 小 単 位 とす る作 業 組織 は,職 務 の体 系 と対応 す る こ と,4)こ の よ う に工 程 の 編 成 が 固定 的 な 職務 体 系 を基 準 に行 わ れ る こ とを あ げ て い る
(同 書,p,37)。
さ ら に,同 書 で は 要 約 して 次 の よ う に述 べ て い る。 「さ て,以 上 の よ うな 日米 シ ス テ ム の比 較 を さ らに端 的 に表 現 す るキ ー ワー ドは,ア メ リカ企 業 工 場 は ル ー ル 志 向 の 強 い統 合(ヒ エ ラ ル キ ー)型 管 理,日 本 企 業 工 場 は改 善 志 向 を もっ た現 場 主 義 的管 理 とい う こ とに な ろ う。 そ れ が単 純 な い わ ゆ る トップ ダ ウ ン対 ボ トム ア ップ で な い こ とは,以 上 の考 察 か ら明 らか で あ る 。 ア メ リ カ企 業 の場 合 は,職 務 とい う決 め られ た箱 を並 べ て,そ れ に合 う人材 を外 部 市 場 で調 達 し,一 定 の マ ニ ュ アル や ル ー ル に従 って はめ込 み 管 理 す る とい う 点 で,ト ップ ダ ウ ン とい っ て も よい 。 しか し日本 企 業 の場 合,仕 事 現 場 の 自 発 性が 強調 されrそ れ が 全 員 参 加 の 改 善 主 義 と して展 開 され るか らボ トム ア ップ とい え る 面 が あ る こ とは確 か だ がaそ れ は単 純 に現 場 サ イ ドが 主 導 権 を とる こ と を意 味 しない 。 あ くまで トップが 主導 権 を とっ て全 体 的 な企 画 ,方 針 が 形 成 され実 行 に移 され るの で あ り,問 題 は そ の過 程 で あ る。 まず は作 業 長 一 ミ ドル を介 して 一種 の フ ィー ドバ ック活 動 を展 開 しつ つ,現 場 の 意 向 や ア イデ アの 有益 な部 分 が企 画,方 針 か ら開発 ・試 作 段 階 に まで 反 映 され るか ら,最 終 的 に生 産 計 画 が 工 場 に与 え られ た と き,現 場 に はす で に そ れ に応 え うる準 備 が で きて い る こ とが ポ イ ン トで あ る。」(同 書,pp.50‑5!)
日米 の 生 産 シス テ ム の構築 環 境 に は こ の よ う な大 きな環 境 の 相 違 が あ る が,MRPシ ス テ ム の導 入 に関 して,こ れ らの 相 違 が きち ん と検 討 され た と は,少 な くと も筆 者 に は思 え な い。
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(2)製 品 構 造
a)モ ジ ュ ラ0型 と イ ンテ グ ラ ル 型
藤 本(2001)は 製 品 の 構造(設 計 ア ー キ テ ク チ ャ)に 着 目 して モ ジ ュ ラ ー 型 と イ ンテ グ ラ ル 型 に類 型 化 して い る 。
製 品 を 構 成 す る 方 策 と して は 次 の 二 つ の 観 点 が あ る 。 第 一 は,構 成 部 品 の 標 準 化 を重 視 して,社 内 の 製 品 間 で 共 通 の 部 品,業 界 で の 標 準 部 品,あ る い は 市 販 品 を使 用 す る ア プ ロ ー チ で あ る 。 ね らい は,製 品 の 多 様 性 を確 保 し な が ら,部 品 に つ い て は 量 産 の メ リ ッ トを生 か そ う とす る 。 した が っ て 部 品 の つ な ぎ 目 の イ ン タ ー フ ェ0ス を標 準 化 す る必 要 が あ る 。こ の ア プ ロ ー チ で は, 生 産 の 計 画 管 理 は シ ス テ マ テ ィ ッ ク と な る し,組 立 が 容 易 で あ る し,製 品 の 価 格 も抑 え う る な ど の メ リ ッ トが あ る が,製 品 は 大 き く,重 た くな り,外 観 に も制 約 が で て く る 。 ま た,競 争 相 手 の 追 従 を 許 しや す い 。 第 二 は,製 品 特 有 の 部 品 を用 い て,高 性 能 化,小 型 化,軽 量 化,思 い 通 りの 外 観 を重 視 す る
ア プ ロ ー チ で あ る 。 生 産 の 計 画 管 理 を シ ス テ ム 化 す る に は 努 力 を 要 し,組 立 に は そ れ な りの経 験 と熟 練 が 必 要 と さ れ,製 品 の 価 格 も相 対 的 に高 め と な る 。 競 争 相 手 の 追 従 は 難 しい 。
第 一 の 方 策 に 重 点 を 置 く製 品 構戒 が モ ジ ュ ラ ー 型,第 二 の 方 策 に 重 点 を置 く製 品 構成 が イ ン テ グ ラ ル 型 で あ る 。 日本 の 製 造 業 は,イ ン テ グ ラ ル 型 製 品 を 得 意 と し,米 国 の 製 造 業 は 発 祥 以 来,モ ジ ュ ラ ー 型 を指 向 して い る との 指 摘 が な さ れ て い る(藤 本(2001))。 中 国 企 業 もモ ジ ュ ラ ー 型 を得 意 とす る との 指 摘 もあ る(藤 本(2003),安 室(2003))。
こ の 見 方 か らす る と,イ ンテ グ ラ ル 型 を得 意 とす る 日本 企 業 の 運 用 を米 国 企 業 が 学 び,モ ジ ュ ラ ー 型 を得 意 とす る 米 国 企 業 の あ り方 を 日本 企 業 が 学 ぶ
と の 構 図 が 浮 か び 上 が っ て く る 。 b)製 品 構二造 と生 産 形 態 の 関 係 の 考 察
製 造 企 業 は,市 場 の 要 件 か ら 自社 の 事 業 を 定 義 し,そ れ に基 づ く生 産 戦 略 の 一 環 と し て,製 品 の 構 造 を決 め る こ と に な る 。 こ れ に した が っ て,ハ ー ド
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市場の要件 顧客満足
事業の規定 製遣戦略
製 晶構造
遊ジュ ラー塑vsイ ンテ グラル型
・,
生 産 手段:所 定 の製 品 を効 率 生 産形 態:所 定 の 製 品 を効 率 良 く生 産 す る ため の諸 資 源 ←一 』『 一一→ 良 く生 産 す る た めの し くみ
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図1製 造 戦 略 、 製 品 構 造 、生 産 形 態 の 関係
ウ ェ ア で あ る 生 産 手 段 と ソ フ トウ ェ ア で あ る 生 産 形 態 を準 備 す る(図1参 照)。
モ ジ ュ ラ0型 あ る い は イ ン テ グ ラ ル 型 の 製 品 構 造 と生 産 形 態 の 関 係 は ど う な る で あ ろ う か 。
Vollmannら(1997)は,生 産 の 計 画 と管 理 シ ス テ ム を 基 本 生 産 計 画,詳 細 資 材 計 画,製 造 活 動 管 理 の3層 に 分 け て,第1層 で は,受 注 生 産 ,受 注 組 立 生 産,見 込 み 生 産 の,第2層 で は,タ イ ム フ ェ ィ ズ ド,レ ー トベ イ ス ドの ,第
3層 で は,MRP的,J工T的 の そ れ ぞ れ 選 択 肢 が あ る と述 べ て い る 。 こ れ ら は, 生 産 戦 略 に 基 づ き決 ま る も の も,政 策 に よ っ て 選 択 で き る もの もあ る(図2 参 照)。
詳 細 計 画 層 の タ イ ム フ ェ イ ズ ドは,MRPの よ う に計 画 期 間 を 区 切 っ て 資 材 を 計 画 す る ア プ ロ ー チ で あ る の に 対 して,レ ー トベ イ ス ドは,供 給 速 度 お よ び 消 費 速 度 に よ っ て 資 材 を計 画 す る ア プ ロ ー チ(見 込 み 生 産 向 き)で あ る。 製 造 活 動 管 理 層 のMRP的 管 理 と は ワ ー ク セ ン タ ご と に デ ィ ス パ ッチ ン グ に
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モ ジ ュ ラ ー 度 相性 高い 相性最高
イ ンテ グ ラル 度 相性高 い
基本 生産計画層
詳細資材計画層 製造活動 管理層
製 品 多 様 性 平 準 化 必 要 度
大 低
小
リ ー ド タ イ ム 長
高
短
図2Vollmannら に よ る 生 産 形 態 フ レ ー ム ワ ー ク と 製 品 構 造 の 相 性
よっ て進 行 を管 理 す る伝 統 的 ア プ ロ ー チ で あ っ て,JIT的 と は,プ ル シス テ ム を使 っ た トヨ タ生 産 方 式 的 ア プ ロー チ で あ る。 受 注 生 産 で あ れ ば,タ イム フ ェ イ ズ ドに よ る資 材 計 画 で,MRP的 な活 動 管 理 の 選 択 が 一・つ の典 型 で あ ろ う し,見 込 み生 産 で あ れ ば,レ ー トベ イス ドに よる資 材 計 画 とJIT的 な活 動 管 理 が 典 型 とな る。
製 品 構 造 の モ ジュ ラー 型 とイ ンテ グ ラル型 は概 念 で あ り,現 実 の企 業 は生 産 戦 略 に応 じて モ ジ ュ ラ ー型 と イ ンテ グ ラル 型 の 両 方 を取 り入 れ た製 品 設計 を行 う。Vollmannら の 生 産 形 態 の枠 組 み に製 品 構 造 との 関係 お よ び製 品 の 多 様 性,生 産 の 平 準 化 必 要 度,総 生 産 リー ドタイ ム の特 質 を著 者 が加 味 した もの を図2に 示 す 。 製 品構 造 と生 産 形 態 は一一対 一 で結 び つ く もの で は決 して ない し,互 い に独 立 した 選 択肢 で あ る との見 方 もあ ろ う。 しか しなが ら,傾 向 と して モ ジ ュ ラー 型 は受 注 生 産,受 注 組 立 生 産 向 きで あ り,イ ンテ グ ラル 型 は,見 込 み生 産 と相 性 が 良 い の で は と筆 者 は考 え る(こ こで は 人工 衛 星 な どの 非常 に個 別 色 が 高 く最 適 設 計 が 求 め られ る製 品 は議 論 の対 象 か ら除 く)。
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そ の理 由 は,以 下 の とお りで あ る 。
1)受 注 生 産 の コス トお よび納 期 に及 ぶ マ イ ナ ス面 を,モ ジ ュ ラ ー型 製 品 構 造 で カバ ー で き る。 部 品 レベ ル で の量 産,あ る い は在 庫 が 可 能 に なる か ら で あ る 。都 度 設 計 の 場 合 も,モ ジ ュ ラ ー化 され た 機 能 部 品 を組 み 合 わせ て, 効 率 よ く設 計 で きる。
2)受 注 組 立 生産 は,モ ジ ュ ラ ー型 製 品構 造 を前 提 と した生 産 形 態 で あ る 。 見 込 み 生 産 で は 製 品構 造 をモ ジ ュ ラー型 にす る意 味 が 薄 れ る。 受 注 生 産 ,受 注 組 立 生 産 に 向 い て い る と言 わ れ るMRPシ ス テ ム もモ ジ ュ ラー 型 製 品 構造
に ぴ っ た り合 う。MRPの 駆 動 元 で あ るMPSの 対 象 を モ ジ ュ ラ0部 品 とす る の は部 品 中 心 指 向 で あ るMRPの 典 型 で あ る 。 また ,モ ジ ュ ラ ー型 で 生 きて ゆ こ う とす る企 業 の行 き着 く先 は,市 場 で の競 争 の 結 果 と して受 注 生 産 か 受 注組 立 生 産 で は な い か 。
3)見 込 み 生 産 で は製 品 の顧 客 へ の ニ ーズ へ の適 合 度 と品 質 お よび コス ト が,製 品 の市 場 で の 成功,不 成 功 を決 め る。 こ の過 程 で ,十 分 な先 行 期 間 を もっ て製 品 は最 適 設計 が 行 わ れ る 。 した が って,製 品構 造 は イ ンテ グ ラ ル度 が 高 くな る。 逆 に イ ンテ グ ラル 度 が 高 くな い と市 場 で の 生 き残 りが厳 しい。
イ ンテ グ ラ ル度 の高 い製 品 を一 定水 準 の コス ト,品 質 を満 た しなが ら生 産 す る に は,青 木 ら(1995)の い う水 平 方 向 に強 い情 報 構 造 が 必 要 とな る 。 イ ンテ グ ラル 型 製 品構 造 は,製 品 中心 指 向 と も言 え るJIT的 計 画 管 理 と相 性 が よ さ そ うであ る。 また イ ンテ グ ラ ル型 で 生 きて ゆ こ う とす る企 業 は市 場 で の競 争 の結 果 と してJIT的 計 画 管 理 へ 純 化 して ゆ くの で は な か ろ うか 。
(3)人 材 育成
小 池(1997)は,製 造 を始 め販 売,経 理 な どの専 門分 野 ご との 体 系 的 知 識 と, 実務 的 経験 に培 わ れ た カ ンや ノ ウハ ウ,コ ツ を両輪 と して,環 境 の変 動 に短 時 問 で 対 応 で きる(こ れ を 「知 的 熟 練 」 と呼 ん で い る)よ うに 人材 を育 成 す べ きで あ る と論 じて い る。 また,日 本 企 業 の 終 身 雇 用 制 と年 功 序 列 制 が ,こ れ
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まで 環境 変 動 に短 時 間 に柔 軟 に対 応 で きる人 材 養 成 の基 盤 で あ っ た と指 摘 し て い る。 広 い 範 囲 の職 場 体 験 か ら多 能 工 化 と柔 軟 な作 業 組 織 が 可 能 とな る。
(4)サ プ ラ イ ヤ ・一 と デ ィ ー ラ ー と の 関 係
浅 沼(1997)は,日 本 の 自動 車 産 業 と 電 子 ・電 機 産 業 の サ プ ラ イ ヤ ー ・シ ス テ ム に つ い て 一 連 の 実 証 的 研 究 を行 な い,部 品 の 設 計 を 発 注 元 が 行 う の か, サ プ ラ イ ヤ ー が 行 う の か に着 目 し,サ プ ラ イ ヤ ー を貸 与 図 メ ー カ ー,承 認 図 メ ー カ ー な ど に 類 型 化 し,競 争 力 を 論 じた 。 こ の 論 点 は,小 池 の 人 材 育 成 論 と双 対 関 係 に あ り,長 期 的 な企 業 関 係 に よ っ て,中 核 企 業 の 仕 事 に 対 して サ プ ラ イ ヤ ー が 「知 的 熟 練 」 す る と の 表 現 も可 能 と思 う。 デ ィ ー ラ ー と の 関 係 に つ い て も浅 沼 は 研 究 を 進 め て い る 。
藤 本(2001)は,自 動 車 産 業 の 競 争 力 の 国 際 比 較 研 究 で,承 認 図 メ ー カ ー な どが 育 っ た結 果 が,日 本 自動 車 産 業 の 開 発 リ ー ドタ イ ム の 短 さ の 一 因 で あ る
と報 告 して い る 。
(5)情 報 の 構 造
青 木 ら(1995)は 日本 企 業 の 諸 側 面 を,情 報 シ ス テ ム,内 部 的 イ ンセ ン テ ィ ブ 機 構,雇 用 関 係,下 請 け 関 係,メ イ ンバ ン ク 関 係 か ら論 じて い る 。 こ の 中 か ら と く に 情 報 シ ス テ ム と して の 側 面 を 紹 介 し よ う。 日本 企 業 の 情 報 シ ス テ ム の 特 徴 が 「ジ ョブ ・ロ ー テ ー シ ョ ンや 職 務 区 分 を超 え た 水 平 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 通 じて 情 報 共 有 の 範 囲 を 広 げ よ う とす る努 力 」 に あ る と し て ,次 の よ う な 生 産 面 で の 例 を述 べ て い る(同 書,p.15)。 「ひ と た び 管 理 サ イ ドで 生 産 計 画 が 策 定 さ れ る と,実 際 の 生 産 ス ケ ジ ュ ー ル は コ ン ピ ュ ー タ ・ネ ッ トワ
ー ク の 利 用 に よ り製 品 の 需 要 状 況 に対 応 して 継 続 的 に微 調 整 さ れ る が ,そ の 際 に 必 要 な職 場 間 の 作 業 の コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン は 管 理 機 構を 介 す る こ と な く 水 平 的 に お こ な わ れ る こ とが 多 い(CIM,カ ンバ ン方 式 な ど)。」(同 書,P.16)
山 下(1994)は,青 木 に 基 づ き,「 半 水 平 的 作 業 コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン の 典 型 例
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で あ るJITシ ス テ ム と垂 直 的 な ヒ エ ラ ル キ ー ・コ ン トロ ー ル の 典 型 例 で あ る MRPシ ス テ ム の 特 性 を比 較 検 討 」 して い る 。
(6)本 稿 に お け る 日本 型 生産 マ ネ ジ メ ン ト
以 上 を ま とめ て,本 稿 にお け る 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トを以 下 に 要約 し よ う。
主 と して多 品種 少 量 の イ ンテ グ ラル 型 製 品 を市 場 に 供 給 す る こ とに よ っ て,自 社 の強 み を生 か そ う とす る,多 能 工,柔 軟 な作 業 編 成 ,従 業 員 を巻 き 込 ん だ継 続 的改 善 と計 画 ・管 理 を特徴 とす る生 産 マ ネ ジ メ ン ト。 実 施 の た め
に,安 定 した雇 用 と総 合 的 な序 列 制 度 に よ って 当 該 企 業 の業 務 に 「知 的 熟練 」 した従 業員,長 期 的 な取 引 と相 互 交流 に よ っ て 当該 企 業 の 業務 にや は り 「知 的熟 練 」 した サ プ ラ イ ヤ ー とデ ィー ラー を育 て る方 向 にあ る。 さ らに,こ れ を支 え る基 盤 と して,生 産 現場,社 内各 部 署 間 で の職 務 区分 を超 えた水 平 的 コ ミュ ニ ケ0シ ョ ン,サ プ ラ イヤ ー とデ ィー ラー との 社 内 に準 ず る水 平 的 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン関 係 を醸 成 して い る。 これ らに は,相 互 に因 果 関係 が あ る。
3.米 国 型 生 産 シ ス テ ム と して のMRPシ ス テ ム
(1)MRPシ ス テ ム と は
本 節 で は,阿 保 ら(1998)の 著 者 稿 に基 づ い てMRPシ ス テ ム の 概 略 を 述 べ よ う。
発 注 点 法 に代 表 され る 統 計 的 な 在 庫 管 理 方 式 が,工 場 内 部 で 無 力 な こ と か ら,米 国 生 産 在 庫 管 理 協 会(APICS:AmericanProduction&Inventory
ControlSociety)が,普 及 に 努 め た 現 代 の 代 表 的 な 生 産 管 理 方 式 がMRPで あ る 。 需 要 を,需 要 に 直 結 して い る独 立 需 要 と上 位 部 品 の 需 要 か ら派 生 す る従 属 需 要 に 区 別 して,独 立 需 要 に対 して は,需 要 予 測 に基 づ く統 計 的 な 在 庫 管
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理 方 式 が 意 味 を持 つ が,従 属 需 要 は,予 測 す る の で は な く上 位 部 品 の 需 要 に 基 づ い て 計 算 す べ きで あ る と の 立 場 を取 る 。
当 初 は,MRP(MaterialRequirementsPlanning:資 材 所 要 量 計 画)と してT 製 品 を構 成 す る 部 品 の 親 子 関 係 を示 す 部 品 表 お よ び 部 品 の 在 庫 状 況 情 報 に基 づ き,基 本 生 産 計 画 を満 た す た め の 部 品 の 所 要 量 と必 要 な 時 期 を,コ ン ピ ュ
ー タ を援 用 し て 展 開 ・計 算 す る 技 法 と して 出 発 した 。 こ れ を狭 義 のMRPと も呼 ぶ 。 こ の 機 能 だ け で は,生 産 を 管 理 す る た め の シ ス テ ム と して 力 不 足 は 否 め な か っ た 。 そ の 後,狭 義 のMRPを 中 心 に,戦 略 的 販 売 製 造 計 画 (S&OPlSales&OperationsPlanning),基 本 生 産 計 画(MPS=Master
ProductionSchedule),能 カ 所 要 量 計 画(CRP:CapacityRequirernents
Planning),現 場 管 理(SFC:ShopFloorcontrol),購 買 管 理rシ ミュ レ ー シ ョ ン(WhatIf分 析)機 能 な どが 追 加 ・統 合 さ れ,計 画 と実 績 と の 差 異 を フ ィ ー ドバ ッ ク し,再 計 画 で き る 生 産 情 報 管 理 シ ス テ ム と し て 成 長 し た 。 こ れ を MRPII(ManufacturingResourcePlanning:製 造 資 源 計 画)と 呼 ん で い る 。 現 状 で 単 にMRPと 言 う と き,MRPHの こ とで あ る と見 な して 差 支 え な い 。 日 本 独 自 の 展 開 を 含 め たMRPIIに つ い て は 中 根 ら(1984)に 詳 しい 。 図3にMRP
Hの シ ス テ ム 構 造 を 示 す 。
論 理 的 に 目新 し さ は な い が,MRPIIを 中 核 機 能 に 据 え,物 流 管 理,財 務 管 理,販 売 管 理,製 品 デ ー タ管 理 な どの 機 能 を 追 加 ・統 合 し,現 代 の情 報 技 術 で 焼 き 直 し たERP(EnterpriseResourcesPlanning:経 営 資 源 計 画)と の 名 称 の 統 合 業 務 ソ フ トウ ェ ア ・パ ッ ケ ー ジ(た と え ば,同 期MRP研 究 所(1997))
を 導 入 す る 企 業 が 増 え て い る 。
MRPIIの 基 本 部 分 の 論 理 を 紹 介 し て お く。 計 画 は,タ イ ム バ ケ ッ トと 呼 ば れ る 計 画 期 間 を 時 間 の 単 位 と して 立 案 さ れ る 。タ イ ム バ ケ ッ トの 大 き さ は, 通 常,週 ま た は 日で あ る 。 市 場 か らの 独 立 需 要 の 予 測 に基 づ い て,政 策,生 産 能 力 な ど を 考 慮 の 上,生 産,物 流,販 売 を 含 め た 各 経 営 機 能 担 当 責 任 者 の 衆 議 に よ り,製 品 グ ル ー プ を計 画 の 単 位 とす る 戦 略 的 販 売 製 造 計 画 を立 案 す
MRPシ ステムと日本型生産マネジメン ト11
戦略 的販売 製造計 画 (S&OP)
▲.‑‑
概略能力計画 ぐ一一 一一 一 一一レ 基 本 生 産計 画 (MPS}
△‑‑I‑▼
f
能カ所要量計画 CRP)
ぐ 一 一 一 一 一 資材 所要量計画
(MRP)
部 品表
ホノ
f‑一一一一 仕 掛 ・在 庫 状 況t‑一 ・
▲‑1‑‑▼
購 買 ・現 場 管 理 (SFC)
加工経路表
図3MRPIIの 構 造
る。 これ を基 本 生 産計 画 対 象 品 目 レベ ル で詳 細 化 した基 本 生 産計 画 を作 成 す る。 基 本 生 産 計 画 を起 点 と して部 品表 と在 庫 状 況 か ら,各 部 品 の所 要量 を上 位 部 品 か ら下 位 部 品へ と展 開 して行 く。親 部 品 の計 画 オ ー ダ量 が 直 接 の子 部 品 の総 所 要 量 とな る。こ こで,発 令 した オ ー ダ量 が 受 入 確 定 量 に記載 され る。
見 込 み 在庫 残 が 負 にな らな い よ う に ロ ッ トま とめ した オー ダ を計 画 リー ドタ イ ム の期 数 分 だ け遡 っ て,発 令 す る計 画 をた て る。 も ちろ ん,ロ ッ トま とめ を行 わ な くて も良 い 。 基 本 生 産 計 画 作 成 段 階 で の概 略 能 力 計 画 ,資 材 所 要 量 計 画 段 階 で の 能 カ所 要量 計 画 とい う,所 有 能 力 で計 画 が 実 施 可 能 か ど うか の
チ ェ ック機 能 も組 込 まれ て い る。
本 稿 で はMRPHをMRPシ ス テ ム と呼 ん で い る 。
(2)部 品 中 心 計 画 管 理 方 式 と して のMRPシ ス テ ム
MRPシ ス テ ム が 根 幹 の部 分 か ら部 品 中心 計 画 管 理 方 式 で あ る こ と を,計 画 面 か ら ま とめ て お こ う。 第 一 は,駆 動 元 を部 品 とす る こ とが 少 な くない こ
とで あ る。MRPシ ス テ ム の駆 動 元 は図3に 見 る とお り,基 本 生 産計 画(MPS)
12国 際 経 営 論 集No.262003
で あ る。この 基 本 生 産 計 画 の対 象 品 目で あ るが,必 ず し も最 終 製 品 で は ない 。 原 材 料 か ら最 終 製 品 まで の部 品 表 を階 層 で 見 る と き に,部 品 点 数 が 最 も絞 り 込 まれ て い る階層 を基 本 生 産 計 画 の対 象 とす る と され る 。 す な わ ち,最 終 製 品 の多 種 多様 さ よ りも,最 終 製 品 を構 成 す るモ ジ ュ ラー部 品 の 方 の 多種 多 様 さが 少 な い場 合 に は,モ ジ ュ ラー部 品 が 基 本 生 産 計 画 の対 象 とな る。 モ ジ ュ ラ ー部 品 を基 本 生 産計 画 の対 象 とす る理 由 と してf計 画 ・管 理 が 簡 潔 とな る こ と,予 測 精 度 が 上 が る こ と,共 通 性 を有 す る た め在 庫 と して な じむ こ と, ロ ッ トサ イズ を大 き くとれ る こ とな どが あ げ られ る。 第 二 に,製 品 の組 立 ス ケ ジ ュ ー ル は,最 終 組 立 計 画 と してMRPシ ス テ ム の脇 に位 置 づ け られ る こ とで あ る。 基 本 生 産計 画 に基 づ い て計 画生 産 され たモ ジ ュ ラ0部 品 を顧 客 か らの 注 文 に基 づ い て,あ るい は最新 の予 測 に したが っ て,組 み立 て て 出荷 す る もの と され る。 モ ジ ュ ラー 部 品 の加 工 時 間 に比 べ て,最 終 製 品 の組 立 時 間 は 短 い こ とが 理 由 の 一 つ で あ る。 第 三 に,MRPシ ス テ ム の ロ ジ ッ クで は, 部 品 の 階 層 ご とに共 通 の部 品 が ま とめ て ロ ッ ト編 成 され,生 産 され る。 む し
ろ,部 品 を大 きな ロ ッ トで生 産 す る こ と を 目的 に論 理 が組 み 立 て られ て い る 傾 向 が 強 い 。
(3)米 国 に お け る必 要 性
こ こで は,な ぜ 米 国 にお い てMRPが 必 要 で あ っ た の か につ い て,第 一 に 製 品 と部 品 をつ な ぐ役 割,第 二 に公 式 的 な情 報 共 有 の観 点 か ら述 べ よ う。
MRP以 前 の 工 場 で は,部 品工 場 は部 品在 庫 を組 立 工 場 で の 部 品 消 費 予 定 と直 接 に連 動 させ ず に積 み上 げ て,減 っ た部 品 在 庫 を発 注 点法 な どで補 充 す る形 で 部 品生 産 活 動 が 行 わ れ た。 組 立 工 場 は積 み上 げ られ た 在 庫 を使 っ て, 市場 の 求 め る製 品 を仕 立 て て 出荷 して い た 。換 言 す れ ば,部 品 生 産 は組 立 工 場 とは独 立 に行 われ た。 論 理 的 に は,部 品 生 産 は部 品消 費 予 定 に従 属 す るべ きで あ って,そ の必 要 性 か ら,製 品 と部 品 をつ な ぐ役 割 を果 た す シス テ ム と してMRPが 必 要 と され た。
MRPシ ステムと日本型生産マネジメント13
一 方 ,公 式 的 な 情 報 共 有 の 必 要 性 か ら な ぜMRPで あ る か に つ い て は,米 国 で のMRPの 普 及 に 尽 く し た ワ イ ト(1985)の 記 述 を引 用 し よ う 。
「MRPIIは,マ ネ ジ メ ン トが 製 造 業 を よ り専 門 的 に 運 営 で き る よ う に す る 一 連 の ツ ー ル に す ぎ ませ ん 。 そ の シ ス テ ム そ れ 自体 は,コ ン ピ ュ ー タ の 大 量 の デ ー タ処 理 能 力 が 可 能 に した論 理 技 術 の セ ッ トに す ぎ ませ ん 。 人 々 が そ の 運 用 の 仕 方 を 修 得 して こ そ,そ れ が 本 当 の 威 力 と な る の で す 。 例 え ば,過 去 に お い て は 通 常,製 造,マ ー ケ テ ィ ン グ,技 術,財 務 の 間 に は 敵 対 関 係 が あ り ま した 。 共 通 の ゲ ー ム ・プ ラ ン を持 た な か っ た の で 一般 的 に チ ー ム ワ ー ク が う ま く と れ ませ ん で し た 。 今 や そ の ゲ0ム ・プ ラ ン を使 っ て チ ー ム ワ0ク が 例 外 で は な く常 識 と な る よ う な 環 境 を作 り上 げ る こ とが マ ネ ジ メ ン トに か か っ て い る の で す 。 ア メ リ カ 人 は,「 一 人 が 一 票 」 と い う よ う に 大 変 個 人 主 義 的 で す 。 ア メ リ カ の 最 も強 力 な 競 争 相 手 で あ る 日本 人 は,偉 大 な チ ー ム プ レ イ ヤ ー で す 。 日本 人 は ゲ ー ム ・プ ラ ン が な い 場 合 で も う ま く協 力 し合 っ て 働 き ます 。 私 達 に は ゲ ー ム ・プ ラ ンが 必 要 な の で あ り,今 そ れ を 手 に す る こ
とが で き た の で す 。」(同 書,PP、13‑24)
ワ イ トの 指 摘 は1青 木 の い う と こ ろ の 水 平 的 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン,小 池 の 言 う と こ ろ の 柔 軟 な 作 業 組 織,知 的 熟 練 に よ る 人 材 の 柔 軟 さ,浅 沼 の い う と こ ろ の サ プ ラ イ ヤ ー と の 長 期 的 相 互 乗 り入 れ 関 係 な ど を言 う もの と考 え ら れ
翻益 の共有 ・公 平 な分配 発 注 と補 充,商 品企 画,業 務 改 革
POSデ ー タ
一
製造企業一
【
販売促進
■ 壷 冤]‑MRP計 画欄
1顧 客!ズ
デ ー タ ベ ー ス 共 有 ・通 信 ネ ッ ト ワ ー ク に よ る 情 報 共 有
図4企 業 間 で の情 報 共有(照 屋 ら(2002)筆 者 稿 よ り)
14国 際 経 営 論 集No.262003
る。ITに よ る情 報 共 有 の必 要 度 は,地 理 的,供 給 形 態 の 関 係 の深 さや そ の 情 報 が 参 考 的 情 報 な の か決 定 的情 報 な のか に よ って 変 わ る と考 え られ る。 日 本 にお い て は,同 一 職 場 内 で は参 考 情 報 の 色 彩 が あ り,他 企 業 との コ ラボ レ
ー シ ョ ンに は必須 で あ る との状 況 で あ る と考 え られ る
。 図4に,企 業 間で の 情 報 共有 を示 す 。 この よ うな観 点 か ら,MRPシ ス テ ム の役 割 は大 きい。
4.MRPシ ス テ ム の 日本 へ の 移 転
(1)日 本 へ の 導 入 経 緯
日本 に お け るMRPシ ス テ ム の本 格 的 導 入 は1980年 前 後 か ら始 ま っ た 。 国 内外 の コ ン ピュ ー タ メ ー カ は,汎 用 機 の売 り込 み と同時 に汎 用 機 の使 い 道 の 一 つ と して
,ユ ー ザ にMRPシ ス テ ム導 入 を推 奨 した 。 また,外 資 系 の 経 営 コ ンサ ル テ ィ ング会 社 も,先 進 シ ス テ ム と して情 報 化 コ ンサ ル テ ー シ ョ ンの 一 環 と してMRPシ ス テ ム 導 入 に熱 心 で あ っ た
。 また,先 進 的 なユ ー ザ グ ル 0プ は,早 稲 田大 学 シス テ ム 科 学 研 究 所 のMRP研 究 会(主 宰:吉 谷 龍 一 ・
中根 甚 一郎 教授)で 体 系 的 な調 査 と導 入 事 例 の検 討 を行 った 。
MRPの 導 入 が 適 切 と考 え られ る企 業 の そ れ まで の生 産 管 理 の論 理 は,製 番 管 理 と呼 ば れ る もの で あ っ た。 す な わ ち,最 終 製 品 に製 造番 号 を振 り,そ の最 終 製 品 に必 要 な部 品 の 生 産 を こ の製 造 番 号 で管 理 して ゆ く方 法 で あ る。
い わ ば,部 品 中心 の 対 極 と して の製 品 中心 の 計 画 管 理 方 式 で あ る。MRPシ ス テ ム 導 入推 進 にあ た っ て は,製 番 方式 の 次 の 諸 点 の是 正 の た め に必 要 で あ る との 論 理 展 開 が 行 わ れ た。 た とえ ば,中 根 ら(1984)で は,製 番 方 式 の 問 題 点 と して,1)生 産 能力 計 画 が 難 しい,2)部 品 の 標準 化 が 図 りに くい,3) 計 画 管 理 工 数 が大 きい,4)督 促 主体 の管 理 とな っ て,イ ン フ ォー マ ル な シ ス テ ム運 営 と な る,5)工 程 の 問 題 点 が 顕 在 化 せ ず,改 善 に結 びつ きに くい ,
を列 挙 して い る。
これ らは,製 番 方 式 が 各社 各様 の 実 務 の総 称 と して の 意味 合 いが 強 い た め,
MRPシ ス テ ム と 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト15
固 有 の 計 画 管 理 方 式 と し て の 論 理 が 明 瞭 で な い こ と に よ る 問 題 点 で あ る 。 現 時 点 に お い て も標 準 的 製 番 方 式 と して 論 理 を 再 整 理 す る こ と は価 値 が あ る と 思 わ れ る 。 ま た,森(1979)は,マ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム と し て のMRPシ ス テ ム 導 入 を推 奨 して い る 。
Nakaneら(1992)に よ れ ば,1980年 代 の 終 わ り ま で に 日本 の 製 造 企 業 の20%
がMRPを 導 入 す る に 至 っ た 。 現 状 に お い てMRPシ ス テ ム は 生 産 管 理 シ ス テ ム の 一 大 潮 流 と な っ て い る 。 しか し な が ら,大 づ か み に は,現 場 の 改 善 機 能 が 備 わ っ て い な い こ と と現 実 と情 報 の 乖 離 が 問 題 点 と さ れ,少 な く と も現 場 の 管 理 方 式 と し て 成 功 した との 評 価 は な さ れ て い な い 。
(2)本 研 究 に よ る 新 た な 視 点
以 上 に よ り強 く示 唆 さ れ る こ と は,MRPシ ス テ ム が 先 の 「ア メ リ カ の 伝 統 的 シ ス テ ム 」 形 態 を大 前 提 と し て,そ の 欠 点 を 是 正 す る コ ン ピ ュ ー タ援 用 シ ス テ ム と し て 登 場 した こ とで あ る 。 した が っ て,こ の よ う な 観 点 か ら見 る と,MRPシ ス テ ム の ロ ジ ッ ク に は 「ア メ リ カ の 伝 統 的 シ ス テ ム 」 が 深 く し み こ ん で い る こ と に改 め て 驚 か さ れ る 。計 画 部 分 に つ い て は先 に 述 べ た の で,
こ こ で は 現 場 管 理 に つ い て 述 べ よ う。 た と え ば,機 能 別 の 機 械 集 団 か ら な る ワ ー ク セ ン タ に週 ご と にJobを 割 り振 る論 理 構 造 と な っ て お り,さ ら に こ の ワ ー ク セ ン タ に対 して 固 定 的 な リ ー ドタ イ ム を 与 え る 構 造 と な っ て い る 。 加 え て,情 報 シ ス テ ム で あ る の で,「 ル ー ル 」 に基 づ い た 運 用 が 強 く求 め ら れ, 現 実 と デ ー タ と の 硬 い 一 致 性 が 求 め ら れ る 。
日 本 にMRPシ ス テ ム を 導 入 す る 必 要 性 を指 摘 して い る 実 務 家 の 初 期 の 文 献 か ら,問 題 点 と さ れ て い る こ と が,実 は 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの 長 所, す な わ ち 日本 の 強 み で あ る と解 釈 で きる 部 分 を拾 っ て み よ う 。
日 本 にMRPシ ス テ ム を 導 入 す る必 要 性 を 指 摘 し たMRPシ ス テ ム 導 入 初 期 の 実 務 家 向 け の 雑 誌(工 場 管 理 臨 時 増 刊 号:日 本 型MRP生 産 管 理 シ ス テ ム, Vol.30,No.5,1984,日 刊 工 業 新 聞 社)を 参 照 し,問 題 点 と さ れ て い る こ と
16国 際 経 営 論 集No.262003
の い くつ か につ い て,日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの長 所 と重 な る こ と を示 そ う。
第 一 に,製 番 方 式 の よ う に最 終 製 品 の製 造 番 号 に基 づ い て計 画 と管 理 を行 う 方 式 で は,工 程 能力 の ア ンバ ラ ンス や計 画 の 変 更 が あ る場 合 を除 き,基 本 的 に在 庫 は発 生 しない 。 そ の た め に,在 庫 を管 埋 す る との 視 点 が な く,こ の 結 果,計 画 と管 理 に柔 軟 性 を欠 き,硬 直 化 ・不 効 率 を招 い てい る。 したが っ て, MRPシ ス テ ム の よ う に部 品 を 中心 に管 理 す る シ ス テ ム が 必 要 だ との 指 摘 で あ る。 在 庫 そ の もの と在 庫 を使 って生 産 を調 整 す る シ ス テ ム は確 か に必 要 で あ る。 しか しなが ら,工 程 能 力 の ア ンバ ラ ンス を速 や か に是 正 あ るい は吸 収 す る し くみ と能 力 を育 て る こ と,計 画 が 変 更 さ れ た場 合 に も在 庫 を発 生 させ な い よ うな し くみ づ く りに重 点 が置 か れ るの が 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの特 質 で あ ろ う。 在 庫 が 基 本 的 に発 生 しない こ とは否 定 す べ きこ とで は ない 。 第 二 に最 終 製 品 を 中心 に計 画 と管 理 を行 う ため に,部 品 の 共通 化 と標 準 化 に遅 れ を と って い る。 部 品 の 共 通 化 と標 準 化 を推 進 す る た め に とMRPシ ス テ ム の よ う な部 品 を 中心 と した計 画 管 理 方 式 に切 り換 え るべ きだ との指 摘 で あ る。 部 品 の 共 通 化 と標 準 化 は確 か に大切 で あ る 。 しか しなが ら,イ ンテ グ ラ ル 型 の 製 品 に つ い て は全 体 と して の イ ンテ グ ラ ル性 が 大 切 さ れ る の で あ っ てr部 品 の 共 通 化 と標 準 化 は程 度 問題 で あ ろ う。
製 品 中 心 型 の 計 画 と管 理 の 問 題 点 は,製 品 中心 型 の支 援 情 報 シス テ ム に よ っ て 補 完 さ れ る べ き筋 合 い の もの で,モ ジ ュ ラ ー 型 の 製 品 と相 性 の 良 い MRPシ ス テ ム の よ う な部 品 を 中心 と した計 画 管 理 方 式 に切 り換 え る こ と に は結 びつ か な い。 ま して,製 品 中心 型 の計 画 と管理 を支 え る 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トが 否 定 さ れ るべ きで は ない 。MRPシ ス テ ム 導 入 が 必 要 で あ る と さ れ た根 拠 の一 部 分 は,日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの 長 所 と重 な り合 う こ とが わ か る ので あ る。
日本 的 生 産 シス テ ム で は,伝 統 的 に イ ンテ グ ラル 型 の モ ノづ く りが念 頭 に あ り常 に製 品 を頭 に描 きなが ら生 産 活 動 が行 わ れ,こ れ を支 え るサ プ ラ イヤ ー関 係,人 材 育 成,水 平 的 コー デ ィ ネー シ ョ ンな どが 育 っ て きた。 これ が 弊
MRPシ ス テ ム と 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト17
害 を も た らす も の と の 指 摘 が,MRPシ ス テ ム の 導 入 時 期 に も な さ れ た 。 し か し な が ら,本 稿 で 紹 介 し た 藤 本,小 池,浅 沼,青 木 ら の 一 連 の 研 究 の 教 え る と こ ろ に よ れ ば,こ れ ら を よ り生 か して ゆ く との 方 向 性 も大 変 有 力 な もの で あ る と言 え よ う。
(3)事 務 所 シ ス テ ム と 工 場 シ ス テ ム
生 産 現 場 に つ い て,日 本 的 シ ス テ ム は 強 み を も っ て お り,MRPシ ス テ ム の 適 用 は 事 務 所 ま で と い う の が 正 しい 導 入 の あ り方 で あ ろ う 。MRPシ ス テ ム の 適 用 は 事 務 所 ま で と の 考 え 方 が 全 くな い わ け で は な い 。 こ の 例 と し て MES概 念 を 以 下 に紹 介 し て お こ う。
MRPシ ス テ ム は,主 と し て 計 画 の 支 援 シ ス テ ム で あ っ て,製 造 実 行 管 理 (SFC:ShopFloorControl)の 有 効 な 方 法 論 を も た な い との 根 強 い 批 判 が 絶 え な か っ た(結 果 と し て の,計 画 と実 行 の 乖 離)。 こ の ニ ッチ を埋 め る た め に 提 案 さ れ 普 及 し て き た の が,製 造 実 行 シ ス テ ム(MES:Manufacturing
ExecutionSystem)で あ る 。 こ の 観 点 か ら は,MRPシ ス テ ム は事 務 所 で 使 わ れ る 計 画 シ ス テ ム,MESシ ス テ ム は 工 場 で 使 わ れ る 実 行 シ ス テ ム で あ っ てT 計 画 と実 行 が 分 離 さ れ る(図5参 照)。MRPシ ス テ ム とMESシ ス テ ム の イ ン タ 0フ ェ ー ス が 重 要 な こ と は 言 う ま で も な い(MESに つ い て は た と え ば
, Kukla(1994)参 照)。
ま た,サ プ ラ イ チ ェ ー ン に お け る ロ ジ ス テ ィ ク ス 管 理 へ のERPの 適 用 に 関 し て,Bowersoxら(2002)は,「ERPシ ス テ ム は,本 質 的 に プ ロ セ ス と情 報 の 一 貫 性
,サ プ ラ イ チ ェ ー ン業 務 の 統 合 を促 進 す る シ ス テ ム で あ る 。け れ ど も, 統 合 化 され た プ ロ セ ス に は,シ ス テ ム の 機 能 性 と使 い 勝 手 を 低 め る 側 面 が あ る こ と も事 実 だ 。 こ れ は,現 業 度 が 高 い,た と え ば,倉 庫 や 輸 送 管 理 で 顕 著 で あ る 。」 と指 摘 し て い る(同 書,P.241筆 者 訳)。 た と え 米 国 的 管 理 方 式 で あ っ て も,現 場 の 実 行 部 隊 の 柔 軟 さ を 阻 害 す る側 面 をERPシ ス テ ム が も ち う る と の 指 摘 で あ っ て,本 研 究 と の 関 連 に お い て 興 味 深 い 。
18国 際経営論集No.262003
事務所
計 画 シス テム NIRPシ ス テ ム
計画情報
実績情報
工 場
実行 シ ス テ ム ME5シ ス テ ム
図5MRPシ ス テ ム とMESシ ス テ ム の役 割 分 担
5.お わ り に
本 研 究 の 結 果,明 らか に な っ た と思 う の は,MRPの 現 場 管 理 方 式 が ア メ リ カ の 伝 統 的 シ ス テ ム を大 前 提 と し た もの で あ っ て,日 本 的 シ ス テ ム と馴 染 ま な い の で は な い か と い う こ とで あ る 。 ま た,そ の メ リ ッ ト と矛 盾 す る の で は な い か と い う こ と で あ る。 そ の ル ー ル 志 向 自体 が,日 々改 善 が 行 わ れ フ ーレ キ シ ブ ル な 日本 的 管 理 に矛 盾 す る側 面 を も っ て い る 。
現 時 点 で 進 ん で い る シ ス テ ム の 改 革 を ね らい とす るERPシ ス テ ム の 導 入 に お い て も,あ く ま で 事 務 所 シ ス テ ム と して の 導 入 で あ る べ き で,生 産 現 場 の 管 理 に は 向 い て い な い の で は な い か 。ERPパ ッケ ー ジ 導 入 に よ る 業 務 改 革 つ い て,ERPの し くみ が ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィス に 基 づ い て い る の だ か ら,ERP
シ ス テ ム に 合 う よ う に業 務 を改 革 す べ きで あ る との 方 向 性 が 一 部 で 示 さ れ て い る が,現 場 管 理 だ け に 限 っ て も大 変 危 険 で あ る 。 なぜ な ら,ERPが 基 づ く
と こ ろ の ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィス と は,日 本 型 の 長 所 を生 か し た 企 業 で は な い 可 能 性 が 大 き い か ら で あ る 。 そ の 点 を十 分 考 慮 した 上 で,改 革 に 取 り組 む の
な ら ば 良 い だ ろ う。
本 研 究 に よ る 成 果 を 要 約 す れ ば 以 下 の と お りで あ る 。1)MRPシ ス テ ム を事 務 所 レベ ル で の 計 画 の み な らず,現 場 管 理 に 使 う こ と は,日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トの 長 所 を 阻 害 す る 恐 れ が あ る 。MRPシ ス テ ム の 利 用 は 事 務 所 の
MRPシ ス テ ム と 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト19
計 画 まで に と ど め る こ と も選 択 肢 の 一 つ で あ る。2)MRPシ ス テ ムが 力 を 発揮 す る の は,モ ジ ュ ラ ー型 の製 品構 造 を前提 と した部 品 中心 型 の計 画 管 理 で あ る。 日本 型生 産 マ ネ ジ メ ン トが 得 意 とす る イ ンテ グ ラル型 構 造 の 製 品 に 対 して は,JITやSNS(田 中(1988))な どの 製 品 中 心 型 の 管 理 も選 択 肢 とな る。
3)モ ジ ュ ラ ー型 の 構 造 を もつ 製 品 に は,受 注 生 産 や受 注 組 立 生 産 が 似 合 う の に対 して,イ ンテ グ ラル型 の 製 品 につ い て は見 込 み生 産 が 適 して い る と指 摘 した 。4)製 番 管 理 をは じめ とす る製 品 中心 の管 理 方 式 を 日本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン トにふ さわ しい 管 理 方 式 と して再 評 価,見 直 す 必 要 が あ る。
問 題 点 の指 摘 に止 ま っ たが,以 上 の知 見 を もっ て,本 研 究 の 中 間 的 結論 と した い 。
本 研 究 は,2002年 度 神 奈 川大 学 共 同研 究 奨 励 金 「日米独 製 造 業 にお け る技 術 的知 識 と技 能 の 形 成 ・伝 承 に関 す る比 較研 究一 と くに製造 ・会 計 ・マ ー ケ テ ィ ン グ部 門 の場 合 一 」(神 奈 川 大 学 経 済 貿 易研 究 所)に 基 づ い て行 わ れ た。
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20国 際 経 営 論 集No.262003
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MRPシ ス テ ム と 日 本 型 生 産 マ ネ ジ メ ン ト21