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企業財務情報の拡充 と開示 に関す る研究

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『 神奈川大学審査学位論文の要旨

企業財務情報の拡充 と開示 に関す る研究

一環境会計情報の有機的結合を中心として‑

AStudyonExpansionandDisclosureofCorporateFinancialAccounting

‑ FocusonOrganicCombinationofEnvironmentalAccountingInformation一

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士後期課程

大 田 博 樹

HirokiOhta

Ⅰ 研究の意義 と目的

現在、環境問題 は深刻な状況 にあ り、我々の生 活 に も影響 を及ぼすようになって きた。 そのため、

利害関係者の中には企業に環境対策 を求める声 も 出て きている。 また、企業側 も、環境 ビジネスへ の参入や新 しい企業価値の創出、将来 リスクの回 避 などの点か ら積極 的に環境対策 を行な うよ うに なって きた。 そ して、 自らの環境対策の成果 を公 表す る企業 も多 くなって きてい る。企業が開示す る環境情報 は、利害関係者 に有用な情報 を提供す ると期待 されてい るが、現時点ではこれ らの環境 情報が適切 に認識 されていない とい う指摘が され ている。本論文の 目的は、以上のよ うな問題意識 に基づいて、企業の環境情報の拡充 と開示のあ り 方 について考察す ることにある。

そのために、 まず第一に、財務会計 と環境会計 の概念 を明 らかに し、それぞれの会計の持つ問題 点 を明 らかにす る必要 がある。上述 したよ うに、

財務会計の 目的は利害関係者 に会計情報 を提供す

ることであるが、現行の システムでは利害関係者 の情報要求 に対 して十分に対応で きているとはい えない。 それは、環境 コス トが適切 に認識 されて いないだけでな く、貨幣的公準 とい う財務会計が 持つ固有の構造的問題点 も指摘で きる。

一方、環境会計 には、増大す る環境 コス トを適 切 に管理 した り、企業の環境への関わ りを利害関 係者 に開示 した りす る機能が期待 されてお り、環 境会計情報 を開示す る企業 は多 くなっている。 し か し、環境会計 は理論 的に確立 していないため、

各国の環境会計情報 は統一 されていないのが現状 である。 そのため、情報内容 が少 なかった り、他 社の報告書 との比較 が難 しかった りす るとい う問 題 が残 されている。 ここでは、財務会計 と環境会 計の長所 と短所 を指摘 し、二つの会計 を有機 的に 結合す ることで有用 な環境情報 を提供す る方法 を 明確 にす る必要 がある。

第二 には、開示 され るべ き環境情報の内容 を明 らかにす る必要がある。 ここでは、現在開示 され てい る環境会計情報や各機関の開示規制 ・諸ガイ

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74 神 奈 川 大 学 大 学 院経 営 学研 究科 F研 究年 報』 第9 20053月

ドラインを分析す ることで、開示情報の現状 とあ るべ き環境情報 を比較 し、 どのよ うな情報が開示 され るべ きか を考察す る。開示 され るべ き環境会 計情報 は、環境情報 を加 えることで大幅に増加す るため、現在の財務会計領域 を拡充す る必要 があ る。 しか し、現在の制度会計の枠内では認識で き ない環境情報 も多 く含 まれているため、全ての環 境情報 を財務会計で開示す ることは難 しいと言 え る。そのため、本論文 では財務会計 を中心に環境 情報 まで拡充 した新 しい環境会計の枠組み を提言

した。

そ して第三 には、新 しい環境会計で環境情報 を どのように開示すべ きかを考察す る。新 しい環境 会計では、現在の財務情報に環境情報 を付加す る ことで、情報量 その ものが大幅に増加す ることが 予想 され る しか し、単純 に情報量が増加 しただ けでは、利害関係者 にとって有用 な情報 となると はいえない。膨大 な量の情報 を分か りやす く開示 す る必要 があるのである。 ここでは、財務情報 に 環境情報 を加 えた新 しい環境会計の枠組み を包括 的環境会計 として構築 している。 そ して、その論 理 と構造 を明 らかにす ることによって、従来の財 務会計の領域 を拡充 し、また、 これ までの環境会 計領域の充実 をはか ることに努めた。

論述の展開 と構成

本論文 は、三部九章か ら構成 されている。第

‑部では、企業環境の変化 と財務情報の拡充につ いて考察 している。 そ して、第一章では、企業環 境の変化の一つ として環境問題 に注 目し、その現 状 と影響について明 らかに している。次 に第二部 では、企業財務情報の開示 と環境会計について考 察 している。現在の ところ環境会計は理論的に確 立 していないため、各B]・各地域 によって環境会 計の捉 え方 は違 ってい る。 ここでは、環境会計及 び環境報告書の現状 を紹介す ると共 に、各国の法 制度や諸ガイ ドラインを分析す ることで、環境会 計の最新の動向について考察 した。最後 に第三部 では、 これ までの分析 をもとに新 しい環境情報 と して、財務情報 と環境情報 を統合 した新 しい環境

会計の構築 を提言 している。

第一部 企業環境の変化 と財務情報の拡充 第一章 企業環境の変化 と会計のダイナ ミズム 現在の環境問題 は、地球温暖化やオゾン層の破 壊、砂漠化の進行の ように地球規模で発生 してい るのが特徴である。 そ して、 このような状況 に対 応す るために、世界各国では様々な取組みが行な われている。 た とえば、国連主導 による国際会議 の開催や環境保護 に関す る条約の締結、環境 に配 慮 したガイ ドラインの作成 などがあげ られ る。

本章では、上述の ような環境問題の現状 を踏 ま え、環境問題の深刻化が企業へ与 える影響 を、制 度的 ・法的な視点、経済的な視点および社会的な 側面 か ら分析 した。 まず、環境問題が制度的 ・法 的側面 か ら企業 に与 える影響には、環境対策への 法規 制 によ り企業 が何 らかの対策 を求 め られ る ケースが考 え られ る。次に経済的側面 には、次の ような影響 が考 えられ る。 これ まで環境問題の発 生 は、企業 に とってはコス ト増の可能性 があると 考 え られて きたが、実際 には適 切な環境対策 が、

企業の環境 コス トを減少 させ るとい う可能性 が指 摘 され てい る また、適切 な環境 対策 は、エ コ ファン ド等 によって も市場か ら高 く評価 され るこ とが考 えられ、環境問題が企業に環境対策 を行 な わせ る動機付 けを していることが分か る。最後 に、

社会 的側面 による影響 には、環境問題の深刻化 に よる利害関係者 の意識変化が考 えられ る。 日本で は、高度経済成長期 における公害 問題 を経て現在 の環境問題 に至 ってい るとい う背景 があ り、利害 関係者の環境問題への関心は比較 的高い と思われ る。 この ような利害関係者の環境問題への意識の 高 さが、企業へ環境対策 を行なわせ る要因 となっ ている。環境問題 に関心のある利害関係者 は、エ コファン ドやその企業の製品やサービスを購入す るか否かで企業 に影響 を与 えるのである。

以上のよ うに、環境問題の深刻化は企業 に環境 対策 を行 なわせ る要因 となっているといえる。 こ の ような状況の中で、企業側の意識 も変化 して き てい る。環境省が実施 した 「環境 にや さしい企業

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行動調査lによると、29%の企業 が環境への取 り 組みは、業績 を左右 す る重要 な要素であると回答 してい る。 また、24.5%の企業 が環境への取 り組 みが、最 も重要 な戦略の一つであると回答 してお り、半数以上 の企 業 が環境 問題 を今後 の重要 な 要素 と して捉 えて い ることが分 か る。経営方 針 に関 しては、1999年度の調査では、全体の47.5%、 2000年度 においては55.4%が環境問題 を取 り込 ん でお り、その数は年 々増加傾向にある。 また、経 営 目標 に関 して も1999年度 が41.9%、2000年度 が 50.0%と増加傾向に あ り、企業 が環境問題 を企業 経営 に取 り込み始 めていることが分かる。 このよ うな傾向は、建設業 や製造業、電気 ・ガス等供給 業 といった環境問題 に直接影響 を及ぼす可能性の 高 い業種 に強 く表れてお り、 これ らの業種では全 体 の約8割近 くの企業で環境 に関す る経営方針や 経営 目標 を設 け られ ている。 さらに、具体的な行 動計画 を作成 してい る企業 は76%に ものぼ り、環 境への取 り組みが本格化 してい ることが分かる。

次 に利害関係者の意識変化について も考察 して いる。環境問題 が深刻化す ることで、その影響 を 直接受 ける可能性の ある地域住民や消費者 たちの 環境問題への関心が高 まっている。 そ して、彼 ら の関心 は、環境 問題 に大 きな影響 を与 える可能 性 の あ る企業活動 へ と向か うこととなった。市 民 が求 め る企業 の社会 的役割 に関す る調査 では、

65.9%が環境問題 が重要であると回答 している。

また、「今後企業 が社会 的信用 を得 るために力 を入れ るべ きこと

」 2

とい う調査 では、70.5%が環 境保護 と回答 してい る。以上の ことか らも、消 費 者 や地域住民が企業 に対 して環境保護 を積極 的に 行 うことを望 んでい ることが分か る。 このよ うな 意識変化は、企業の利害関係者の幅 を拡大 させて い る。 これ までは株主 や債権者 などが利害関係者 の中心であったが、現在では、消費者や地域住民 にまで拡大 してい る と言 える。

この よ うに環境問題 の深刻化は、企業意識 と利 害 関係者 の意識 を変 化 させ、企業行動 に大 きな 影響 を及ぼ した。 そ して、 これ らの企業 の 中に は、環境 に関心の高 い利害関係者 に対 して、環境

対策の成果 を公表す る企業が出て きた。環境省の 調査 によると、環境 に関す るデータや環境への取 組みについての情報 を一般 に公開 している企業 は 上場企業で1999年度 は27.7%、2000年度 は38.9%、 2001年度 は42.5%と年 々増加 してい る。 また、開 示 している具体的な環境情報 に関 しては、上場企 業 ・非上場企業共 に環境経営方針が最 も多 く2001 年度 は87%となっている。 そのほか企業が開示 し ている環境情報でその割合 が多 くなっている項 目 は、環境 目標や取組状況 となってい る。企業が こ の ような環境情報 を開示す る目的は、情報提供等 の社会 的な責任 を果 たすために公開 してい ると回 答 した企業 が一番多 くなっている。 その他の回答 には、利害関係者 との コ ミュニケーシ ョンを円滑 に図 るために情報開示 しているとす る企業 も多 く なっている。 この ことか らも、企業 は環境問題の 深刻化や利害関係者 などの情報要求の変化に対応 す るために、環境情報 を開示す るよ うになって き たことが分かる。

第二章 財務会計 情報の拡充

本章では、企業環境の変化 を受 けて財務会計 が どのように対応 しよ うとしてい るのかについて考 察 している。

財務会計 は、株主や債権者、従業員、消費者 な どの外部利害関係者 に対 して会計情報 を提供す る ことを目的 としている。近年、企業規模の拡大 に 伴い利害関係者 が多様化 してい るため、企業の会 計情報 が社会 に与 える影響 が大 きくなってい る。

現在、会計情報 を開示す る手段 として財務諸表 が 利用 されている。財務諸表 は、企業の‑会計期間 の経営成績 を記 した損益計算書 と期末の財政状態 を記 した貸借対照表 を中心的な情報 として構成 さ れてい る。株主 や債権者 といった利害 関係者 は、

企業 によって開示 され た財務諸表 によって企業の 状態 を知 ることが可能 とな り、財務諸表 は各利害 関係者の意思決定の際の重要 な情報源 となってい る。

上述のように財務諸表 には、利害関係者 に有用 な情報 を提供す る役割が期待 されてい るが、現在

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76 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』第9 2005年3月

の企業会 計 は貨幣 的評価 の公準 を前提 と して行 わ れ るため、財務諸表 で開示 され る情報 は貨幣 的に 測定で きる もの に限 られてい るとい う問題 が ある。

したが って、貨幣的 に測定す ることが難 しい環境 情報 は、企業 の経営成績や財政状態 に重大 な影響 を及ぼす可能性 があった と して も財務諸表 には記 載 され ない ことにな る。 この よ うに会計技術 には 制約 が あ るため、財務諸表 による情報 開示 には限 界 が あることを認識 しなければ な らない。

この よ うな状 況 の 中 で、会 計情 事酎ま質 ・量 と もに そ の 内 容 を拡 充 す る こ とが 求 め られ て い る ア メ リカ財 務 会 計 基 準 審 議 会3(Financial AccountingStandardsBoal・d;FASB)は、 この よ

うな財務諸表 の拡充要求 に応 えるために、拡充 さ

れ た財務諸表 と して フィナ ンシャル ・ステ イ トメ ン ト (財務報告) への展 開 を主張 し、 その ための 概念 フ レームワークの構築 を目指 して い る。

図表1‑1の よ うに、財 務 報 告 に は 「財 務 諸表 だけでな く、企業 の資源や債務 、稼得利 益 とい っ た会 計 シス テ ム に よって提 供 され る情 報 と直 接 的、間接 的に関連 す る情報 を伝 達す る手段」4が含 まれ ると してい る。財務報告 におけ る財務諸表 以 外 の情報 と して は、年 次報告書 や企業 が社会 や環 境 に及ぼす影響 につ いての報告 な どがあ る。 そ し て、財務報告の利 用者 には、株主 や債権者 といっ た企業 と直接 的 な関係 にあ る利害 関係者 だけでな く、間接 的 な利害 関係者 までが想定 されてい る。

現在 で は、第一章 で考察 した よ うに、環境 問題

図表1‑1 FASB財務報 告の範 囲 挿 入

投資、貸付及び これ らに類似す る意思決定 に有用な全ての情報

財務報告 Iその他の情報

現行のFASB基本財務諸表基準 によって直接影響 を受 ける領域陣 か 厘 lその他 の財務報告l 認識 及 び測 定 に関

す る概 念 ステ イ トメ ン トの範囲匝 憂頭 財 務諸表への注言司

・貸借対照表 (例) (例)

匝≡ 巨 頭

(例)

・稼得利益及び ・会計方針 ・価格変動の開示 (例) ・SECForm10‑K 包括的利益結合 ・偶発事象 ・石油 .ガスの ・経営者の討議 と における競争及

計算書 ・棚卸資産の 埋蔵量の情報 分 析 び受注 に関す る

・キ ャッシュ . 評価方法 ・株主への挨拶 討議

フロー計算書 ・発行済株式数 ・アナ リス トの

(出典 :FASB、StatementofFinancialAccountingCol乍CePtsNo,5‑RecognitionandMeasurementin FinancialStatementsofBusinessEnterprises,December1984,p.13

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の深刻化で企業の環境 に関わ る情報 を開示する要 求が高 まっている。 したがって、今後は企業に求 め られ る情報開示 の範囲は さらに拡大 していくも の と思われ る。

第三章 会計デ ィスクロージャーの拡充 第三章では、企業の環境会計情報の開示にかか る理論的背景 として、アカウンタビリテ ィー概念 について明 らかに している。

企業 は さま ざまな情報 を利 害 関係者 に対 して デ ィスクローズ してい る。 デ ィス クロージャー とは、「一定の事実 を情報化 して一般 に開示、伝 達す る

5ことと定義 され るが、会計デ ィスクロー ジャーの論理 を考察す るためには、 まず企業がな ぜ会計情報 を利害関係者 に対 して開示す るのかを 明 らかにす る必要 がある。換言すれば、企業の会 計デ ィスクロージャーを動機づ けている要因を何 に求めるか とい うことである。私有財産制 を基盤 とす る資本主義社会 における企業 の経営活動 は、

第一義的には財産の所有者 と企業の経営者 との委 任契約に基づいて営 まれている。従 って、委託者 (所有者) と受託者 (経営者) との間には、エク イテ ィー (equity;請求権) とスチュワー ドシ ップ (stewardship;受託責任)の関係 が生ず ることとな る。

受託者である経営者のスチュワー ドシ ップの内 容 は、大 きく次の2つか らなる。

①株主等 より受託 した企業財産の管理保全および その有効 な運用 を遂行す る責任

(参企業財産の管理保全の状況 およびその有効 な運 用の成果 を報告 し、説明す る責任

企業の経営者 が負 うこの ような受託責任の うち、

②の報告、説明責任の ことを特 にアカウンタビリ テ ィー (accountability;会計責任) と呼んでいる。

今 日では経営者の遂行す るアカウンタビリテ ィー が、企業の会計デ ィスクロージャーを強制 もしく は動機づける重要 な概念 となっているのである6。

第一章 で考察 した よ うに、企業活動の展 開に よって多種洋の利害関係者が登場 し、 また、環境 問題の深刻化に伴 って会計デ ィスクロージャーの

範囲が拡充す るに至 っている。 この ような現代企 業における会計は、単に所有者 たる株主 に対す る アカウンタビ リテ ィーを遂行す ることだけでは、

十分 とは言 えな くなって きているのである。伝統 的なアカウンタビリテ ィー概念 は、企業 に財産的 なエクイテ ィー (請求権) を有す る株主等 といっ た特定 の利害 関係者 に対 して行 なわれ るスチ ュ ワー ド (経営者) の報告 ・説明責任 を意味 したO これはエクイテ ィー‑スチュワー ドシ ップ関係 と して理解 されたのである。いま、企業の遂行す る アカウンタビリテ ィーの拡充 を問題 にす る時、エ クイテ ィー概念 の拡充 を説明す る論拠が必要 とな る。

日本会計研究学会 の 「会計責任 に関す る研究」

スタデ ィー・グル ‑プ (1976年) は、エクイテ ィー の拡充 につ いて、環境権、市民権、消 費者主権、

労働者主権 などの社会 的生存権 ない し社会的主体 者 としての権利 に基礎 をお く社会 的エクイテ ィー と説明 してい る7。 この見解は、会計デ ィスクロー ジャーを遂行す る企業 を、社会 的 ・制度的実体 と してそのアカウ ンタビリテ ィーを認識す るところ か ら導 き出 された ものである。

この ス タデ ィー ・グル ープ の 社 会 的 エ ク イ テ ィー概念 によれば、たとえば企業の製品 を購入 す る消 費者や企業の立地す る地域の住民が、企業 に対 して会計デ ィスクロージャーを要求す る権利 (社会 的エクイテ ィー) は、当該利害 関係者 の持 つ生活権 とか環境権 を基礎 に しているとみなすの である。企業の社会 的責任の拡張の観点か らすれ ば、株主等制度 的エクイテ ィーを保有す る利害関 係者以外の広範 な各種利害関係者 に対す る企業の アカウンタビリテ ィーの遂行は、当該企業の社会 的責任遂行の重要 な一環 となるものであるS

アカウンタビ リテ ィー概念の拡充 を図示すれば、

図表1‑2の通 りに示す ことがで きる。

図表1‑2の 内側 の円 に囲 まれ てい る株主 お よ び債権者 は、伝統 的なアカウンタビリテ ィーの範 囲であり、外側 の円に含 まれてい る消費者や行政、

地域住民 といった利害関係者 は、拡充 されたアカ ウンタビリテ ィーの範 囲である。企業 はこの拡充

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図表1‑2 アカウンタビリテ ィー概念の拡充

されたアカウンタビリティーによって環境情報 を 消費者や地域住民 といった利害関係者 に提供す る

こととなる。

第二部 企業財務情報の開示 と環境会計 第四章 環境会計の概念の構造

上述 したよ うに、環境問題の深刻化で企業意識 と利害 関係者の意識は大 きく変化 してい る。その 結果、企業 は環境対策 を積極 的に行な うようにな り、その成 果 を開示す るよ うになって きてい る0

‑万 で、利 害 関係者 の範 囲 は、株主 や債権者 と いったこれ までのよ うな利害 関係者 だけではな く、

地域住民や消 費者 にまで拡大 してお り、企業 に対 して開示情報の拡充 を求 めている。 しか し、現在 の企業会計 は貨幣的評価の公準 を前提 として行わ れ るため、財務諸表で開示 され る情報 は貨幣的に 測定で きるものに限 られてい るとい う問題がある。

したがって、貨幣的に測定す ることが難 しい環境 情報は、企業の経営成績や財政状態 に重大 な影響 を及ぼす可能性 があった として も財務諸表 には記 載 されない ことになる。 そこで注 目されてい るの が環境会計である。環境会計は、企業の環境への 関わ りを認識 し、利害関係者 に対 して環境情報 を

(出典 :照屋行雄 ・大田博樹著、前掲書、所収p.232)

開示す るシステムである。

第四章では、環境会計の意義 と構造につ いて考 察 している。 ここでは、 まず各国の研究機関や諸 ガイ ドラインなどを参考 に、環境会計の基礎 的な 前提について明 らかに した。そ して、現在考 えら れている環境会計について 目的別に分類 して、そ れぞれの長所 と短所 を明確 に し、環境会計にかか る諸問題 について分析 している。

環境会計は、企業の環境への関わ りを定量的に 測定 ・測定 し、その情報 を開示す ることで、企業 内部における環境 コス トの管理や企業 内部 および 外部の利害関係者 に有用な情報 を提供す るといっ た役割が期待 されている。 しか し、現在の ところ 理論的には確立 されていないため、環境会計 に対 す る認識は、地域や 目的によって異 なった もの と なってい る。た とえば、環境保護 を目的 とす るエ コバ ランスは欧州 を中心に実施 されている。一方 で、環境投資の効率化や環境 リスクの回避 を目的 とした環境会計 は、 日本やアメ リカなどで多 く見 ることが出来 る。

また、環境会計の測定対象の範 囲で も環境会計 を分類す ることがで きる。現在、環境会計の測定 対象 として次の二種類が考 えられている.

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①企業内部の コス ト及び効果に限定す る

⑦①の内容に、企業外部の コス ト及び効果 を加 えた もの

現在、実施 されている環境会計の多 くは、(∋の 企業内 コス トと効果 を測定対象 としている。企業 外部で発生す るコス トには、企業の直接的な出費 ではな く、たとえば企業が環境影響物質 を排出す ることで被害 を受 けた人の治療費などがある。 ま た、企業外部で発生す る効果 には、企業の環境対 策によって 自然環境 が回復 した り景観 を維持 した りした場合 などが考 えられ る。 しか し、 これ らの コス トや効果 に関 しては、推測的要素 を含み測定 が難 しいため現在では、 まだ研究段階にあると言 える。

その他に も環境会計は、測定単位の違いによっ て も分頬可能である。現在、環境会計による定量 的な測定は、貨幣単位 と物量単位の二種類が考 え られている。貨幣単位 による測定 とは、企業の環 境への関わ り、つ まり環境対策や企業活動 による 環境への影響 などを貨幣単位で測定す るものであ る。 この方法では、特に企業外 コス トや効果の測 定 の際 に推測 に頼 らざるを得 ない面 もあるため、

環境会計情報の正確 さとい う意味では解決 されな ければな らない問題 が残 されている。一方、物量 単位での測定 とは、企業の環境への関わ りを燃料 や排出 ガスの項 目ごとに測定す る。たとえば、二 酸化炭素の排出量 が何 トンであったのかや、川へ の排水 が何 リッ トル (トン) あったのかといった よ うに、それぞれの物質に合 った単位で測定 され る。 したがって、物量情報 を測定す る際には推測 的な要素 は入 らないため、環境会計情報の正確 さ とい う意味では優れているといえる。 しか し、そ れぞれの物質の単位がkgや Pなどのように異 なっ ているため、それぞれの物質の比較 が出来ず、企 業の環境影響の全体像 が掴みに くい といった問題 点がある。

以上の ように、現在の環境会計にはい くつかの 問題点が指摘 されているが、企業会計では認識で きない情報 を提供で きるため、その効果が期待 さ れている。 そ して、 これ らの環境会計情報の多 く

は、環境報告書 によって開示 されている。

第五章 環境会計及び環境情報の開示規制 本章では、環境会計及び環境情報の開示 に関す る法規制 とガイ ドラインについて紹介 し、検討 し ている

環境情報 の開示 に関 して は、 デ ンマ ークや ス ウェーデ ン、オ ランダといった欧州諸国 を中心に 法規制が行 なわれている。た とえば、デ ンマーク で は、EnvironmentalAccounting(環境会 計) と いえば、法定環境報告書 と捉 えて しまうほど環境 会計が浸透 している。デ ンマークでは、環境会計 法9(TheGreenAccountsAct)が1995年 に制定 さ れ、環境への影響が大 きい企業 に対 して環境報告 書の作成 を義務付 けてお り、1999年現在で環境報 告書 の作成 が義務付 け られ て い るの は1200社 と なっている。 ここで対象 となっているのは、製造 業や金属やプ ラステ ィックの表面加工、化学製品、

電力関係、養豚場、飛行場、廃棄物 の処理業 など の業種 に関連す る企業である。

一方、ガイ ドラインに関 しては、各国 ・各研究 機 関か ら様 々なガイ ドラインが公表 されてい る。

日本で も、企業等での環境会計の普及 を目的に「環 境会計 ガイ ドライン」 を公表 した。 また、環境情 報の開示 をサポー トす るために 「環境報告書 ガイ ドライン」 も公表 している。前出の環境省の調査 によると、環境会計 を導入す る企業 は年 々増加傾 向にあ り、2002年度 に環境会計 を実施 した企業 は 19.3%となってお り、前年度 よ りも2.4ポイ ン ト増 加 している。 また環境会計 といった何 らかの環境 情報 を開示す るために環境報告書 を作成 している 企業は、上場企業で34% (2002年度) となってお り前年度 よ りも

4

.1ポ イ ン ト増加 してい る。 これ らの企業の中で環境会計情報 を開示 してい る企業 は30.3%となってい る。以上の よ うに、環境省 が 環境会計 ガイ ドラインを公表 した ことで、環境会 計の導入や環境報告書等による環境情報の開示 が 進んでいることが分かる。

ア メ リカ で は、 環 境 保 護 庁 (Envh・onmental ProtectionAgency:EPA)( 以 後、EPAと 記

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80 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』第9 2005年3月

す ) が環 境 会 計 につ い て Fビ ジ ネ ス管 理 ツ ー ル と して の 環 境 会 計 の 紹 介』 (AnIntroduction toEnvironmentalAccountingAsA Business ManagementTool〜KeyConceptAndTel・mS〜 ) を公表 し、環境会計の概要 を紹介 している。本 ガ イ ドラインは環境会計で扱 う環境 コス トの分類に おいて、多 くの研究書 に引用 され るなど現在の環 境会計 に与 えた影響は大 きい。

ま た、 カ ナ ダ で は カ ナ ダ勅 許 会 計 士 協 会 (CanadianInstituteofCharteredAccountants:

CICA)が、 財 務 会 計 領 域 に お け る環 境 コス ト の取 り扱 い につ い て''EnvironmentalCostsand Liabilities:AccountingandFinancialReporting Issues"を公表 してい る。同協会 は、財務会計領 域 において環境 コス トが適切 に処理 されないこと で、企業の利益 を減少 させていると指摘 している。

そのため同書では、財務会計領域 における環境 コ ス ト及び環境負債の具体的な処理 について説明 さ れてい る。 また、環境報告書 につ いて はCICAが

"ReportingonEnvironmentalPerformance"を公 表 している。

環境会計及び環境報告書 に関す るガイ ドライン は欧米 を中心に公表 されてい るが、最近のガイ ド ラインでは扱 う内容 が 「環境」 だけではな く 「社 会」 や 「経済」 とい った内容 まで拡大 されてい る傾 向 にあ る。 これ は企業 の幅広 い社会 的責任 (CorporatesocialResponsibility:CSR)が求 め ら れて きたことや、環境情報だけでは利害関係者の 情報要求に対応 しきれないことなどが考 えられ る。

この ようなガイ ドラインとしては、例 えば イギ リス勅許会計士協会 (血eAssociationofChartered Certi丘edAccountants:ACCA) が TheSIGMA project0と共 同 で 『持 続 可 能 性 の た め の会 計 』 (SUSTAINABILTYACCOUNTINGGUIDE)を公 表 している。本 ガイ ドラインは、従来の会計 シス テムでは環境問題や社会、経済への影響 を認識す ることが難 しいため、会計 システムの拡充が必要 であると指摘 している。 そ して、最近の傾向 と し て 「持続可能性 のための会計」の概念 が受 け入れ

られ始めているとい う。

以上 の よ うに、現 在、様 々な国で環境会 計及 び環境報告書 に関す るガ イ ドライ ンが公表 され てい る。 その ため、環 境会計 を実施 して い る企 業 が増加 してい る もの と思 われ るが、国 ご とに ガイ ドライ ンが異 な るため、 それ に よって実施 され る環境会計 や環境 報告書 も国 ごとに異 なっ て い るとい う問題 が あ る。 開示 され る情報 内容 が異 なってい るこ とで、他社 の報告書 との比較 が難 しくな って しまい、情報 の有 用性 が損 なわ れ て しま う危険性 が あ る。 この よ うな状況 の 中 で、全世界で適用可能 な報告書の作成 のためのガ イ ドラインの必要性 が指摘 され るよ うになって き た。そこでCERES (CoalitionforEnvironmentally ResponsibleEconomies) が UNEP (United NationsEnvironmentProgram me)に 呼 び か け、

GRl(GlobalReportinglnitiative)とい う組 織 が 設立 され た。 そ して、GRIは2002年 に 『サステナ ビリテ ィ ・リポーテ ィングガイ ドライン』 を公表 している.本 ガイ ドラインでは、単 に企業の環境 情報だけを集約す るのではな く、企業活動の内容 や製品、サービスにつ いて環境 的 ・経済的11・社 会 的12側面 か ら情報 を集約す ると してお り、概念 的 に はCSR (CorporateSocialResponsibility)に 近 い とい える。GRIガイ ドラインの意義 は、各企 業の報告書の体裁 を整 えることにあ り、2003年 に は世界で181社 がガイ ドライ ンに準拠 した報告書 を作成 している。

第六章 環境会計情報の開示状況

本章では、現在開示 されている環境情報 につい て、有価証券報告書、環境報告書の2つの報告媒 体 を収集 し、その内容 を実態的に調査 ・分析 して いる。本調査の 目的は、有価証券報告書及び環境 報告書における財務情報 と環境情報の記載状況 を 調査 し、2つの報告書の価値及び情報利用者の利 便性 について明 らかにす ることにある。

まず、有価証券報告書 における環境情報 (貨幣 的な情報に限定せず、環境対策に関す る情報 も環 境会計情報 とした)の開示状況 を明 らかにす るた めに、有価証券報告書 を公表 している52社の報告

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図表1‑3 業種別の開示割合

自動車工業(7) 化学工業(7) 製薬業(7) 建設業(7) 品石油 .石炭製(4) 電気 .ガス業(7) 運輸業(7) 金融業(6)

環境情報あ り 7社 7社 3社 7社 4社 7社 5社 0社

環境情報な し 0社 0社 4杜 0社 0社 0社 2社 6社

書 における環境情報の記載状況 を調査 した。今回、

調査対象 と したのは、自動車工業、化学工業、製 薬業、建設業、石油 ・石炭製品、電気 ・ガス業、

運輸業、金融業の8業種52杜である。調査は、各 社の有価証券報告書 に環境情報が記載 してあるか どうか、 また記載 してある場合 には、 どの部分に 記載 されているのかをチェ ックす る方法で行なっ た。使 用 した有 価証券報告書 は、2002年度 か ら 2003年度 に公表 され と物 が中心 となっている。

まず、調査対象である52社の うち、まった く環 境情報 を記載 していない企業は12社であった。 そ の内訳 は、製薬業 が4社、運輸業が2社、金融業 が6社 となってお り、特 に金融業での開示割合 が 低 いことが分かる。逆に、 自動車工業、化学工業、

建設業、石油 ・石炭製品、電気 ・ガス業 は、全て の企業 が何 らかの環境情報 を開示 していた。 この ことか ら、企業活動が環境 に及ぼす影響 が大 きい 企業 ほど、環境情報 を積極 的に開示 していること が分かる。

次 に、環境報告書 における環境情報及び財務情 報の開示状況 を明 らかにす るために、環境報告書 を公表 してい る100社の報告書 における環境情報 及び財務情報の記載状況 を調査 した。今回調査対 象 とした環境報告書 は、無作為に選 んだ2002年度 か ら2003年度 に公表 された報告書である。

まず、貨幣単位での環境会計情報の開示 をして いる企業 は、調査対象企業100社の うち86社であっ た。 さらに物量情報での開示 を含め ると99%の企 業が情報開示 を してお り、多 くの企業で、環境会

計情報 が重要視 されてい ることが分 か る。次 に、

環境報告書 における財務情報 に関 しては、67%の 企業が何 らかの財務情報 を開示 してい ることが分 かった。 しか し、財務情報の内容 は、簡単 な売上 高の推移のみ を記載 している報告書 か ら、詳細な 財務諸表 を記載 している報告書 まで幅が広かった。

最 も多 く見 られたのが、売上高 と経常利益の推移 を簡単 に まとめたグ ラフを表示 す る形式 で あっ た。 この中で、財務情報 と環境情報の何 らかの関 連付 けを している企業 は、 2社のみであった。 こ の ことか ら、報告書の中での財務情報 と環境情報 は、ただ単純 に別 々の情報 として開示 されている ことが分かった。

今回の調査で明 らかになったのは、 どち らの報 告書 に関 して も環境情報 を記載 している企業が多 く見 られたとい うことである。 また、有価証券報 告書 と環境報告書 はそれぞれの情報 を一部共有 し ているも明 らか となった。環境報告書 には有価証 券報告書の一部の情報である売上高や経常利益情 報 などが記載 され る。逆 に、有価証券報告書 には 環境報告書の一部の情報である環境問題の課題や 研究開発計画 などの情報 が記載 されている。 しか し、 ここで問題 となるのは、環境報告書 に記載 さ れてい る環境情報 が、 ごく限 られた情報 しか有価 証券報告書 に記載 されていなかった ことで ある。

有価証券報告書 は、会計情報 を提供す ることを目 的 としてい るので、最新の環境技術情報 を記載す る必要 はないが、 コス トがかか る研究開発計画等 は、環境報告書の情報 をもう少 し記載 して も良い

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82 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第9 2005年 3

図表1‑4 有価証券報告書 と環境報告書の関係

と思われ る。逆 に、環境報告書 に記載 されている 財務情報 も非常に限定 された内容であった。

もう一つの問題点は、二つの報告書の環境情報 に関 して、全ての情報が共有 されていないことで ある。図中のAとBは環境情報 を表 している。A の情報 は環境報告書で も有価証券報告書で も、情 報 を得 ることが出来 る。 しか し、Bの情報に関 し ては有価証券報告書 に記載 されていたのに対 して、

環境報告書では確認す ることが出来なかった。 こ

のよ うな状況では、利害関係者 が企業情報 を手 に 入れ るためには、両方の報告書 を使 わなければな

らないため不便であるといえる。

この ような開示方法では、利害関係者 が必要 な 情報 を二つの報告書か ら探 さなければな らない と い う可能性 もあり、情報利用者の利便性や情報の 確実性 を考慮す ると財務情報 と環境情報が結合 し

た新 しい情報開示 システムの構築 が必要 であると 思われ る。

図表1‑5 企業によって開示 される会計 情報の分類

財務 会計 情報

環境 会 計 情報

株主 債権者

環境 団体 地域住民 消 費者等

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第三部 環境会計 情報の有機的結合 第七章 環境会計 情報の情報特性

これ まで企業が外部に情報開示す る際には、誰 が何 を求めているのかを理解す ることが大切であ る。 これ までは図表1‑5のように、財務情報 を 求 めてい る利害 関係者 に対 しては財務報 告書 に よっで 情報開示 が行われて きた0‑万、環境情報 を求 めている利害関係者 に対 しては、環境報告書 によっで 情報開示 が行われている。

しか し、第六章で考察 したように、財務情報 と 環境情報がそれぞれ別の媒体により開示 され るこ

とは、情報 が共有 されに くい とい うことと、情報 利用者の利便性 とい う意味で改善が必要であると 考 えられ る したがって、本論文では、財務情報 と環境情報 を統合 した全 く新 しい環境会計である 包括的環境会計の構築の必要性 を指摘 している

財務情報 に加 え環境情報 を同時に開示す ること により、開示情報量 が増加 して しまうことが予想 され る。 この ような情報の単純 な増加は、必ず し も情報利用者 に対 して有用な情報 を提供で きると は言 えない。 そのため本章では、新 しい環境会計 を構築 し、増加 した情報 を基本環境会計情報 と補

図表1‑6 環境報告書の記載項 目のイメージ

経営 者 の 法規 制 の

環 緒言 環境計画 遵守状況

境 報

環 境 マ ネ 環 境 パ フ

ジメ ン ト 環境会 計 オ ー マ ン

図表1‑7 包括的環境会計報告書のイメージ

環 境

務情戟 情情報環境報貨 幣 環 境 マネ ジ 環 境 パ フ オ

メ ン ト ーマ ンス

法規 制 の遵

守 基本情報

守 基本情報

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84 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第9 2005年3月

足環境会計情報 に分類 した うえで、それぞれ を関 連付 けて開示す ることで 情報の価値 を高 めること を提言 している。図表1‑6は、 これ まで企業 に よって開示 されていた環境情報の イメ‑ジ図であ る。

2つの報告書の イメージの違いは、情報内容 と それぞれの情報の位置づ けにある。 これ までの環 境報告書では、図表1‑6のよ うに様 々な情報 が 記載 されてい るものの、それぞれの情報の関連性 は薄かったとい える。 ここに財務情報 を加 えるだ けでは、ただ単純 に情報量が増 えるだけで利害関 係者の意思決定 を誤 らせて しま う危険性 もある。

しか し、包括的環境会計の報告書 (図表1‑7) では、それぞれの情報 が財務情報 と貨幣単位で測 定 された環境情報 を中心に有機 的に リンク した状 態になっている。 そのため、情報利用者 は企業の 財務情報 と環境情報 を総合 的に把握す ることが可 能 となる。包括的環境会計情報の内容 は、図表1

‑8の よ うに表す ことが出来 る。

包括的環境会計報告書 は、大 きく分けて基本情 報 と補足情報に分類 され る。基本情報 には、財務 情報 と環境情報 (主 に企業 内部で発生 したコス ト 及び効果) を中心 にそれに関連す る情報 を記載す る。補足情報には、基本情報 に記載 されなかった 環境情報 (主 に企業外部で発生 したコス ト及び効 栄)や企業情報 などが記載 され ることになる。

第八章 包括的環境会計の基本情報

本章 では、基本情報 に記載 され る情報 として、

財務会計領域 における環境情報の会計処理 と環境 会計領域 における環境情報の認識 につ いて考察 を 加 えている。 まず、 これ らを議論す る前 に、財務 会計領域 と環境会計領域で扱 う環境情報の違いを 明 らかにす る必要 がある。図表1‑9は、財務会 計 と環境会計で扱 う範囲の違いをまとめた もので

ある。

図表1‑9の よ うに、財務会計領域で認識対象 となっているのは、企業内コス トと企業内効果で ある。 それに対 して環境会計領域 では、企業外情 報 まで含んだ幅広 い環境情報 を測定対象 としてい る。企業 内効果 は、実際に収入があったかどうか によってみな し収益 とリサ イクル収入等の2種類 に分けることが出来 る。企業内効果の うち財務会 計領域 において認識 され るのは、たとえば リサイ クル商品の販売 などのよ うに実際に収入があった ものである。逆 に、省エネルギーなどによるコス ト削減による効果 は、実際の収益 を伴わないため 財務会計領域では認識 されない。 それに対 して環 境会計では、企業外情報 まで含んだ幅広 い環境情 報 を測定対象 としている。

図表1‑9は、図表の右側 にある矢印で も明 ら かなよ うに、縦方向が環境 コス トの範囲 と測定難 易度 を表 してい る。上 に行 けば行 くほど、難易度 が高 く測定が困難であることを示 している。現在、

図表1‑8 包括的環境会計の情報の分類

環境

報告書 基本 財務情報 損益計算書、貸借対照表

環境情報 環境会計情報 (主に貨幣情報)、環境マネジメン ト、環境パ フオ

情報 ‑マンス (概要)等

社会的取組、法規制の遵守状況、訴訟の状況、研究開発等

補足 環境情報 企業情報、経営者の緒言、報告書の基礎的前提 (対象期間や範囲 情報 など)、環境計画、法規制の遵守状況、社会的取組、環境パ フオ

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図表1‑9 環境 コス トの範囲

企 業 外 コ ス ト 環境汚染等 将来的 レベル

企 業 外 効 果 みな し収益等 目標 レベル

企 業 内効 果 み な し収益リ サ イクル収入等 財務領域会計現 行 レベル‑Ⅰ 王境会計領

考 えられている環境会計の多 くは、企業内コス ト と企業内効果の情報が中心 となっている。

一方、図表の下 にある矢印は、測定範囲の広 さ を表 してい る。 これ は、右側 へ行 けば行 くほ ど、

測定範囲が広 くな ることを意味 している。現在、

開示 されている環境会計情報の多 くは、Ⅰの範囲 まで となってい る。 しか し、企業の環境への関わ りを総合 的に認識す るためには、ⅢやⅢの情報 ま でその測定対象 を拡大す る必要 がある。

以上が財務会計 と環境会計の測定対象の違いで あるが、 ここではまず財務会計領域 における環境 情報の会計処理 について考察す る。近年、環境問 題の深刻化によ り企業の環境 コス トは増大 してい る。 しか し、現行の会計制度では、企業の環境へ の関わ りを適切 に会計処理す る基準 が存在 しない ため、 このような状況 には対応 で きていないとい える。たとえば、企業 が環境対策等で支出 した費 用は、その多 くが支出 された期 に費用 として計上 され、その期の利益 を減少 させて しまっている可 能性 がある。 また、その他の環境情報に関 して も 適切 に会計処理 されないために、その情報が財務 諸表 に反映 されず利害関係者 に有用な環境情報 を

測定難易度

測定範囲 広

提供で きな くなっている可能性 もある。 その他 に も、本来な ら資本化 され るべ き環境 コス トが、支 出がな された期に全額費用計上 され ることにな り、

結果 としてその期の利益 を減少 させ ることになっ て しまうことも考 えられ る。逆 に、環境 コス トの 資本化の範囲 を拡大 しす ぎると、将来的に便益 を 生 まない環境 コス トが資本化 されて しまう危険性 がある。環境 コス トの会計処理 の誤 りによって、

利害関係者 に有用な情報 を提供す るはずの財務会 計の機能が十分に果 たせない とい う結果になって しまうのである。 また、環境情報が財務会計に正 しく反映 され ない とい うことは、企業 が抱 える環 境 リスク情報 の伝 え られ ない とい うことになる。

したがって、環境対策 を行 っている企業の環境情 報 を正確 に伝 えるために も、財務会計領域 におけ る環境 コス トの適切 な会計処理 は必要不可欠であ るといえる。

こ の よ う な 状 況 の 中 で、 カ ナ ダ勅 許 会 計 士 協 会 (TheCanadianInstituteofChartered Accountants;CICA)は、財務会計領域 におけ る 環境情報の認識 について具体的な指針 を出 してい る。CICAに よると、環境 コス トは環境対策 コス

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86 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第9 20053月

トと環 境損失 に分 け られ るとい う。CICAは環境 対策 を 「環境汚染の防止、削減 もしくは浄化、 ま たは再生可能資源 および再生不能資源の保護のた めに、事業体 または事業体のためにその他の者 に よって と られ る処置」'3で あると してお り、環境 対策 コス トはそのために支出 したコス トであると 捉 えることが出来 る。実際にどの企業活動が環境 対策に含 まれ るのか とい う選択については、たと

えば浄化装置の設置 コス トのよ うに 目的が明確で あれば容易であるが、通常の企業活動 と環境対策 が混 ざっている場合 には注意が必要である。一方、

環境損失 とは、法規制 を遵守 しないことに対す る 罰金や第三者の経済的損害 に対す る支払いなどで、

「事業体 が引 き起 こ した環境汚染のために他者 に 支払い を要求 され る場合や、 または架橋への配慮 の結果、事業体 が他 の損失 を被 る場合」14に発生 す る損失であると している。環境対策 コス トと環 境損失の相違点は、「環境対策 コス トは支出によっ て企業 が将来、直接的または間接的に何 らかの経 済 的便益 を受 け取 ることが期待で きるのに対 し、

環境損失 はそれによって企業が経済的便益 を受 け 取 ることが期待で きない」'5とい うことにある。

CICAは環境 コス トの会計処理 について、図表 1‑10のようにまとめている。

CICAに よれ ば、 当該会計期間 に認識 され た環 境 コス トが会計上の見積 もりの変更 によるもので なければ、その環境 コス トがどの期間の経済的便 益 に関連 しているのかが判断基準 となっている。

当該会計期間に認識 された環境 コス トが、過年 度 の便益 に関連 してい る場合、過年度 に賦 課 さ れ るケ ース と され ないケースが あ る。国際会 計 基 準 審 議 会 (Intel・nationalAccountingStandards Board;IASB)が公表 しているIAS (International AccountingStandards;nS)N0,8では、前期以前

の財務諸表 における重大 な誤謬があることが明 ら かになった場合 に限って、過年度の財務諸表の修 正 を認 めてい る。重大 な誤謬 とは、「当期 におい て露見 した誤謬で、前期 またはそれ以前の期間の 財務諸表 が、その公表 日において信頼で きるもの であった とは認め られないほどに重大な影響 を持

つ もの」‑6と定義 され てい る。 同 じよ うに、環境 問題 に関連 して前期以前に重大 な誤謬がある場合 に適用 され るもの と思われ る。その他、過年度の 便益 に関連す るコス トであって も、過年度の誤謬 の修正や会計方針の変更でなければ当期 に費用化 され ることになる。当期の便益 に関連す るコス ト も当期 に費用化 され る。

また、環境 コス トの うち、将来の便益 に関連す るコス トは資本化 され ることが望 ま しい。環境 コ ス トの資本化に関 しては、その コス トが将来的に 企業の便益 に関連す るものなのか どうかが判断基 準 となってい る。CICAは環境 コス トの資本化 に ついて 「将来便益 の追加 コス トアプローチ」と 「将 来便益 の増加 アプローチ」の2つの見解 を提示 し てい る。 「将来便益 の追加 コス トアプローチ」 で は、「固定資産 に関連 す る新 たなコス トは、 それ が資産か らの将来の期待経済的便益の追加的コス トで あ る と考 え られ る場合 に資本 化 され る」17と い うものである。 このアプローチでは、必ず しも 将来の期待経済的便益 が増加す る必要 はない.一 方、「将来便益の増加 アプローチ」では、「固定資 産 に関連す る新 たなコス トが資本化 され る場合 は、

かかる資産 による将来の期待経済的便益の増加 を 伴 わ なければ な らない」18と してい るo したがっ て、 このアプローチを採用 した場合 には、資産の 増加が認め られなければ当該環境 コス トは資本化

されない ことになる。

上記の2つのアプローチは、当該資産 か ら期待 され る経済的便益 が増大す るか否かによって分洋 されてい ることが分か る。 日本 における資産 とは、

「特定の会計単位 (企業) に帰属 す る有形 ・無形 の財貨 または権利 で あ り、将来 なん らかのか た ちで利益 を生 み 出す ことに貢献す る」19ものであ ると定義 されてい る。 また、SFACN0,6によれば、

資産 とは 「過去 の取引や事象の結果 として、 ある 特定の実態 によ り取得 または管理 されてい る発生 の可能性 の高 い将来の経済 的便益」20と定義 され ている。 日本 における資産の定義 によれば、当該 資産か らの経済的便益 が増大す ることが資産の要 件 となってい るため、将来便益の追加 アプローチ

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図表1‑10 環境 コス トの会計処理概要

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88 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第9 2005年3月

が採用 され る可能性が高い。EITF90‑8に関 して も 当該環境 コス トが資産の耐用年数や資産の能力を 拡大 させ るか、資産の状態 を改善 させ るか、売却 を目的としている資産の価値 を増加 させ ることを 要件 としているため 日本 と同 じアプローチとなる と思われ る0‑万、SFACN0,6に関 しては、発生 の可能性 が高い将来の経済的便益 となっているも

のの、SFASN0,5の偶発事象でい うような会計的 専門性 はないため判断が難 しいといえる。

また、IASNo,16によれば、資産 とは 「資産 に 関連する将来の経済的便益が流入する可能性がか なり大 きく、かつ資産の取得原価 を信頼性 をもっ て測定す ることがで きる21もの と定義 されてい る。IASBは、有形 固定資産 に対 してそれ 自体 が

図表1‑11 環 負債会計処理

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直接的に経済 的便益 をもた らさな くて も、他の資 産 か ら経済的便益 を得 るために不可欠である可能 性 があるとい う理 由か ら将来便益 の追加 コス トア

プローチ を採用 しているもの と思われ るO 次 に環境負債 の会計処理 に関 しては、図表1‑

11のよ うにまとめてい る。

環境負債 の会計処理 に関 しては、 まず将来的に 環境支 出が発生 す る可能性 が高 いか否 かが判断基 準 となる。発生 の可能性 が低 い場合 には偶 発債務 として処理 し、可能性 が高 い場合 には、その環境 負債 が過去 の事象 に関連 してい るものなのか、 あ るいは将来の事象 に関連す るものなのかが判断基 準 とな り、 それぞれ処理 され る。環境負債 が過去 の事象 に関連 してい る場合 は環境負債 と して認識

され、 さらに測定可能で あれば当期 に認識 され る。

また、将来的に環境支出が発生す る可能性 が高 い 場合 には、 その発生 時期や金額の算定 に不確実性 を伴 うことが多 く、 その場合 には引当金 と して負 債 に該 当す るか、偶発債務 と して処理す るかの判 断が必要 である22

IASNo,37に よれ ば、偶 発債務 とは 「過去 の事 象 を原 因 とす る、発生 の可能性の ある義務であ り、

コ ン トロール不 能 で あ る不確 実 な将来 の事 象 に よってのみ、結果 的に、今現在 その義務があった のかなかったのか を確 かめることがで きる義務で、

その義務 を果 たす ために、何 らかの損失 が生ず る 可能性 が不確 かで あるため、 または、その金額の 合理的な見積 もりがで きないために、認識 を して いない義務」23で あ る と定義 され てい る。偶 発債 務 は発生の可能性 が低 い と見積 もられてい る うち は、負債 とは認識 されず注記 によ り情報 開示 され る。 しか し、損失 の可能性 が高 まった際には引当 金 と して計上す る必要 があると している。偶発債 務の注記情報 と しては、次の よ うな情報 を開示 す ることを求 めてい る24。

・財務的な影響 の見積 り額

・損失 の金額 または時期 に関す る不確実性の程度

・損失 の回収の可能性

一方 、引 当金 に関 して は、 「過去 の事象 の結果 と して現在、法的 または実質的な義務 を負 ってお

り、その義務 を果 たすために損失 が生ず る可能性 が高 く、その義務の額 を見積 もることがで きる場 合 に計上 す る必要 が あ る もの」25と定義 され て い る。引当金 が決済 の時期 や金額 が不確実 な負債 で あるのに対 して、偶発債務 は発生 の時期が不確実 な債務 である。 したがって、発生 の時期 が不確実 な環境支 出は偶 発債務 と して処理 され、発生の可 能性 があるものの その時期や金額 が不確実 な場合 は引当金 として処理 され ることになる。引当金 は それ ぞれ に対 して、 「引当金 の対 象 となって義務 の内容 と損失 が見込 まれ る時期 に関す る簡単 な記 述」や 「損失 の金額 および時期 に関す る不確実性 の状況」 などの注 記 をす る必要 が ある26。 しか し、

ここで注意 しなければな らないの は、引当金 の計 上基準 は、支 出の原因が過去 の事象 によって発生 したか ど うか を問題 に してい るのであって、将来 の企業の行為 とは直接関係 がない とい うことであ る27。 た とえば、環境破壊 に よる罰金や修 復費用 は、将来的に企業 は回避す ることが出来 ないので 引当金計上 をす る費用 がある。 また、製油設備や 原子力発電所 な どを廃止 した場合 の原状回復費用 も、既 に発生 してい るダメージの範 囲で引 当をす る必要 がある。 これ に対 して、将来的に法規 制等 によ り問題 とな らない よ うに事前 に対処 してお く 費用 は、将来の発生 を防 ぐために必要 な費用 であ

り、引当金の計上対象 とはな らない。

アメ リカではスーパ ーファン ド法 によ り環境負 債の発生率 が高 くなっている。環境負債の認識 に 関 して は

、F AS B

S F ASNo

,528の 「偶 発事象 の会 計」 を利 用す るこ とで認識 が可能 で ある

。S F AS

N0,5で は偶 発事 象 につ いて、将 来 的 に1つ また は複数の事象 が発生す るか しないかによって、企 業 に対 して便益 また は損失 が発生 す るよ うな不 確実性 が存在 している状態で あると定義 されてい る。偶発損失 の例 と して、火事や災害 などによる 資産 に対す る損害や係争 中の訴訟 な どをあげてい る。一方、引当金 に関 しては、次の要件 を満 た し た場合 に限 り計上 を認 めてい る。

・決算 日において資産 に損傷 や債務 が生 じていた 可能性 が高 いことが、財務諸表 発行 日以前 の情

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90 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第9 20053月

報 によ り開示 されてい る。

・損失の金額 が合理的に見積 もることがで きる。

その他 に も環境関連 費用の会計処理 に関 しては、

米 国 証 券 取 引 委 員 会 (SecuritiesandExchange Commission:SEC)に よ る会 計 職 員広 報 (Staff AccountingBulletin:SA石)No,92の 「偶発損失 に

関連す る会計 とデ ィス クロージャー」 や アメ リカ 公 認 会 計 士 協 会 (Am ericanInstituteofCertified PublicAccountants:AICPA)の会 計 基 準 委 員 会

意見書(StatementofPosition:SOP)SOP96‑1の「環 境修復 に関す る負債」 などの指針が示 されてい る。

しか し、 これ らの指 針 は基本 的 にFAS5の枠組 み の中で損失 が発生 す る可能性 と損失額の見積 もり 可能性 の評価 に基づ いて債務認識時期 と計上額 を 検討 してい くことになる29。

以上の よ うに、環境負債の認識 に関 して、引当 金 と して計上す る場合 には発生 の可能性 が高 く金 額の合理 的な見積 もりが可能であることが要件 と

図表1‑12 環境 コス ト及び効果の体系

図表1‑13 損益計算書上の環境情報

事 業年 度 (自 平成 13年4月1日 至 平成 14年3月31日) (百万円)

財務情 報 環 境情 報 関連情 報

Ⅰ 売上高

Ⅱ1売上原価製品及び販売用部品期首たな卸高 82,956 2,13,,026,84112184,85,0,1,829924754321863 1,200(1.4) (2,271,0)100 231 2 当期製品製造原価

3 販売用部品受入高当期製品及び 2,025,167,082154 24,4,600500((1.2.26))

(出典 :本 田技研工業株式会社 『有 価証券報告書』2002年、所収p.80環境情報部分加筆)

(19)

図表1‑14 関連情報

※1 売上高 1)当社 では、HolーdaRecyclePartsと して1998年 か ら トル ク コ ンバ ー ターな どの高機能部 品 を再生 し販売 してい る02001年 度 は合計 で3399個 の部品 を販売 した○ (700)

2)2001年度 のバ ンパ ー回収及び リサ イクルの実績 は、補修 交 換バ ンパ ーが279,966本、使 用済 み 自動車バ ンパ ーが6960本 と な ってい る○ (400)

※2 当期製 品製造原価 1) 3R設計 と して、 モ ビ リオ において次の リデ ュース設計 を 実施 してい る○ (24,600)

・軽量化への取組 ‑構造変更 、材質変更

・消耗部 品の長寿命化 ‑エ ンジ ンオ イル、オ イル フ ィル ター

※3 販売費及び 1) 3R設計の ための研究 、実施 の ための人 件費○按分計算 に 一般管理費 よって算定 した○ (2,000)

2)社用車 の低 公害車 への入 れ替 えで燃 料消 費量 が減 少 したo

なってお り、不確実な要素の多い環境情報 を認識 す ることは難 しいといえる。 したがって、環境情 報は偶発債務 として認識 され ることとなるが、偶 発債務は実現 した債務ではないため財務諸表には 表示 されず、注記情報 となって しまう。

他方、環境会計領域 における環境情報の認識に 関 しては、図表 1‑12のようにまとめることが出 来 る。

環境 コス ト及び効果は、必ず企業活動によって 発生 し、 さらに環境効果は、必ず環境対策の成果 として発生する。そ して、 これ らのコス トと効果 の うち、企業内コス トは実際に発生 したコス トを 認識す るため、大 きな問題はない。 また、企業内 効果に関 して も、 リサイクルや廃棄物の売却等に より実際に収入がある場合 にも、効果額に認識に 問題は起 こらないO しか し、省エネルギーや事前 の環境対策によって、本来な ら払っていたはずの コス トを回避で きたと考 えるいな し収益の認識に は、推測的な要素が含 まれ るために注意が必要で ある。そこで考 えられているのが、プロセスコス テ ィング法である。この方法は、環境対策 を行なっ

ていない時の企業活動 と環境対策 を行なっている 時の企業活動 との差 を、環境配慮型設計や製品製 造プロセスにおける原材料やエネルギー等の違い に着 目して環境 コス トを認識 し、最終的に環境効 果 を測定する方法である。プロセスコステ ィング 法による環境効果の算定は、次の要領で行な うこ とになる。まず、各プロセスにおける当該年度の プロセスコス トを捉 え環境 コス トを算定す る。そ して、これを基準環境 コス トと比較 し、差額 を環 境効果 として認識す るのである。各プロセスにお ける環境 コス トは、購入では環境対応部品等の購 入であり、生産では製造 コス ト、輸送では輸送 コ ス トなどがある。基準環境 コス トの算定に関 して は、その時の社会情勢に合 わせ るためにも最新の 情報 を加味す る必要 がある。

以上のように、財務会計 と環境会計の両領域で 認識 された環境情報 は、図表1‑13のように開示

されることが考 えられ る。

図表1‑13、 1‑14のように、基本情報では財 務情報 と環境情報 (主 に貨幣情報)、それに関連 する環境情報が同時に開示 され ることになる。図

参照

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って有益な」 ,価値創造についてのコミュニケーションのために「財務情報とその他の情報の両 方」を提供するという目的 (IIRC 2013, pars. 1.7 and 1.8