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気候変動に関する定性的情報開示と企業価値

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Academic year: 2021

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(1)地球温暖化と株式市場. 気候変動に関する定性的情報開示と企業価値 田 中 優 希 目 1.本稿の目的 2.開示実態に関する先行研究 3.有価証券報告書における開示実態. 次 4.企業価値に与える影響 5.結論と今後の課題. 日本企業が有価証券報告書で開示している定性的な気候変動情報を調査し、開示行動と企業価値の関係を検証 した。2005年度から17年度の間、有価証券報告書の「事業の状況」において気候変動に言及する企業数は増加 したが、ほとんどの開示は事業との関連が薄く、また、前年度と同じ開示を繰り返す企業も約4割存在していた。 こうした開示と企業価値との関連を調査したところ、定性的な気候変動情報開示を行う企業の株式時価総額は、 企業規模等をコントロールしてもなお、非開示企業より統計的に有意に大きかった。事業との関連が強い開示を 行う企業の株式時価総額も、事業との関連が薄い開示を行う企業よりも統計的に有意に大きかった。. 1.本稿の目的. 提言)の中では、 「気候関連リスクはほぼ全ての 産業が悪影響を被る分散不可型のリスクであるた. 本稿は、日本企業が有価証券報告書の「事業等. め、多くの投資家が特別な注意が必要だと考えて. のリスク」などで開示している気候変動情報につ. いる」(注1)と述べられている。19年1月に世界. いて、実態を調べ、企業価値への影響を検証する. 経済フォーラムが公表した「The Global Risks. ことを目的としている。. Report 2019」においても、「発生可能性が高い. 企業はさまざまな環境情報を開示しているが、. リスク」として気候変動リスクが挙げられてい. 中でも気候変動に関する開示は重要度が高い。. る(注2)。. 2017年に金融安定理事会の気候関連財務情報開. 企業が温室効果ガス(GHG)排出量や気候変. 示タスクフォース(TCFD)が発表した気候関連. 動リスクを報告する媒体は複数あるが、本稿では. 財務情報開示に関する最終報告書(以下、TCFD. 有価証券報告書に着目する。なぜなら、TCFD提. 田中 優希(たなか ゆうき) 法政大学経済学部准教授。2012年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商 学)。13年より現職。. ©日本証券アナリスト協会 2019. 35.

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