Ⅴ 学校 の現状
は じめに
本稿 では,神奈川大学教職課程 の共 同研 究 (2007年度〜2009年度) における2008年度の 複数教員か らインタビューで聞 き取 った 「学校 の現状 」 についての報告 の特徴 と 「学校 の現 状」の一般的特徴 との相 関性 について述べてみ たい。
Ⅰ 「学校の現状」 についての一般的特徴 インタビューか ら見 えて くる学校 の現状 を記 述す るに先立 って,学校 の現状 について一般的
に見て取れる特徴 を記 してお きたい。
① 教員の年齢構成の推移
文部科学省の 『平成19年度学校教員統計調 査 (平成20年9月)』 により,平成19年10月 1日現在 における校種別本務教員の年齢構成 と その推移,そ して,平均年齢 を見てみる。
a.小学校教員
年齢構成 は,教貞数の多 い順 に50代,40代, 30代,20代である。「最 も割合の高い年齢 区分
は,50歳以上55歳未満 (20.8パ ーセ ン ト) で ある。前 回 (平成16年度) と比べ る と,30歳 未満及 び50歳以上 の各年齢 区分 で割合が上昇 している」。平均年齢 は44.4歳 (前 回44.1歳) となっている。
b.中学校教員
年 齢 構 成 は, 教 貞 数 の 多 い 順 に40, 50代,30代,20代 で あ る。「最 も割合 の高 い
大 西 勝 也
年齢 区分 は,45歳以上50歳未満 (21.4パ ーセ ン ト) であ る。前 回 と比べ る と,30歳 未満 及 び45歳以上 の各年齢 区分 で割合 が上昇 してい る」。平均年齢 は43.8歳 (前 回42.9歳)
C.高等学校教員
年齢構成 は,教員数の多い順 に40代,50代, 30代,20代である。「最 も割合の高い年齢 区分
は45歳以上50歳未満 (18.7パ ーセ ン ト)であ る。前 回 と比べ る と,45歳 以上 の各 年齢 区分 で割合が上昇 している」。
平均年齢 は45.1歳 (前 回44.3歳)である。
a.特別支援学校
年齢構成 は,教負数の多い順 に40代,30代, 50代,20代である。「最割合 の高い年齢 区分 は, 前回の40歳以上45歳未満 (19.3パ ーセ ン ト) か ら,45歳以上50歳未満 (19.3パ ーセ ン ト) に移行 してい る。前 回 と比べ る と,25歳未満 及 び45歳以上 の各年齢 区分 で割合が上昇 して いる」。
平均年齢 は43.3歳 (前 回42.4歳)である。
中央教育審議会 の 『今後の教員養成 ・免許制 度 の在 り方 につ いて (答 申)』 (平成18年7月 11日)の
「 2 .
教員 をめ ぐる現状 について」で,「現在 の教員 の年齢構成 を見 る と,大量採用期 の40代か ら50代前半の層が多 く,いわゆる中 堅層以下の世代が少 ない構成 となっている」 と い う指摘が教員 の年齢構成全般の特徴 を端的に 表 している。
‑47‑
中央教育審議会の 『今後の教員養成 ・免許制 度 の在 り方 について (答 申)』 (平成18年7月 11日)の 「2.教育 をめ ぐる現状 ⑤教員 の多 忙化 と同僚性 の希薄化」 において
,
「教員 の中には,多 くの業務 を抱 え,‑多忙感 を抱いた り, ス トレス を感 じる者が少 な くない。 また,・・㌧教 員 の間に・‑学 びの共 同体 と しての学校 の機 能 (同僚性)が十分 に発揮 されていない とい う指 摘 もある」 とい う表現があるが,近年,世 間か らの注 目されるこれ らの問題 に中央教育審議会 も言及せ ざるを得 ない ところに現状が反映 して いる。
③ 保護者対応の問題 ・家庭教育機能の低下
「モ ンス ターペ ア レン ト」 とい う言葉 に象徴 されるように,教員 にとって保護者対応が以前 よ り厳 しさを増 している。それ を物語 る例 とし て
,
『困った親への対処法』 (尾木直樹著,教育 開発研 究所,2005年) にはそ う した現状 とそ の打 開策が具体 的に記 されてい る し,NHK制 作 番 組 『孤 立 す る教 師 た ち』(2007年9月21日 19:30‑ 19:55放送)では,保護者 か ら の強いクレームに会い,職場でのサポー トもな く孤立 し,消耗 し, 自殺 に至 る小学校の新人教 員の事例が紹介 されている。 また, フジテ レビ で 「保護者か ら教師‑のクレーム」 を扱 った番 級 (2007年9月) では, ク レームの類型 を紹 介 した後,保護者か らの訴訟 に備 える教員が加 入す る 「訴訟保険」のケース まで登場 した。
このことは,時に,家庭教育機能の低下, と りわけ,家庭での膜 の低下 とも関係す る。平成 18年12月22日に公布 ・施行 された新 しい教 育基本法では,旧法 に無かった,父母その他 の 保護者の子 に対す る第一義的教育責任が,明記 されている (第10条)。 ここには家庭教育機能 の低下への危機意識が見て取れな くも無い。
④ 通級 における障害のある児童生徒数の増加 学校施設整備指針策定 に関す る調査研究協力
につ いて』(2007年7月11日) の 「通級 に よ る指導 の現状」 には
,
「通級 に よる指導対象児 童生徒数の推移」のグラフが記載 されている。ここで言 う 「通級 に よる指導」 とは
,
「小 ・中 学校 の通常の学級 に在籍 している障害の軽い子 どもが,ほ とん どの授業 を通常の学級で受けな が ら,障害の状態等 に応 じた特別 な場 (通級椙 導教室)で受ける指導形態である。通級の対象 は,言語障害, 自閉症,情緒障害,学習障害, 注意欠陥多動性障害,弱視,難聴 などである」。上記のグラフを見 ると,通級 による指導対象児 童 生徒 数 は,小 学校 で は平 成5年 度 に 11,963 人であったのがその後増加 し続 け平成18年度 に39,764人 とな り, 中学校 で は平 成5年度 に 296人であ ったのが その後増加 し続 け平 成18 年度 に1,684人 となってい る。つ ま り,通級 に おける障害のある児童生徒数の増加 は統計デー タか ら見て取れる。
NHK政策番組 『ともに生 きる 学習障害』
(2005年4月)では,小学校 の通級 に在籍す る アスベ ル ガーの少年が学習 障害児 を支援 す る NPO法人で 自分 の障害 を知 り,それ とうま く 付 き合 うスキルを習得すべ くプログラムを受け,
しば ら くして,NPO法人 の職員 とともに 自分 の障害 を小学校 のクラスで明 らかに して理解 を 求め 「よろ しくお願い します」 と語 る姿が映 し 出されていた。 ここには,通級 に障害児が増加 しつつあることを背景 に障害児 と健常児 との コ ミュニケーシ ョンのあ り方が クローズア ップさ れている。
また,学校教育法施行規則の一部改正 (平成 18年4月施行 ) に よ り
,
「平 成18年4月か ら新 たにLD・ADHDの児童生徒 を通級 による指 導の対象 に位置づけ」 (平成19年度 『文部科学 白書』 平 成20年4月14日,p.117)た こ と も この増加の促進要因にな りうると考 える。
ちなみに, こうしたことを反映す るかのごと く,TBS番組 の 中での特 集 『新入生 は発 達障 害 16人 に1人』 で は,通級 で増加 す る発達
障害児 について報告 されている。
(9 特別支援学校 に在学 する児童生徒数の増加 学校施設整備指針策定に関す る調査研究協力 者会議 による報告 『学校施設整備指針の改訂等 につ い て』(2007年7月11日) の 「特 別支援 学校 の現状」 には,特別支援学校 (幼稚部 ・小 学部 ・中学部 ・高等部) に在学す る幼児児童生 徒数の推移のグラフあ り,それを見 ると 「知的 障害者が大 きく増加 している (平成8年度か ら 平成18年度 にかけて19,351人増加 してお り, 増加率 は約 1,4倍 となっている)」。
(む 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題 文部科学省 の平成19年度 『児童生徒 の問題 行動等生徒指導上 の諸問題 に関す る調査』 (平 成20年11月20日) によると,「暴力行為の発 生件数は,約5万3千件 と,小 ・中 ・高等学校 すべての学校種 で,調査 開始以来,過去最高の 件数である」。対教 師暴力,生徒 間暴力,対 人 暴力,器物破損すべて前年度 より増加 している。
また,「い じめの認知件数は10万1千件 と,前 年度 (12万 5千件 ) よ り減少 してい るが,依 然 として相当数に上 る」。
⑦ 日本語指導 が必要 な外国人児童生徒の受入 れの増加
文部科学省が平成20年9月1日現在 で行 っ た調査 「日本語指導が必要 な外 国人児童生徒 の 受入れ状況等 に関す る調査 (平成20年度)」 に
よると,次の ような結果が報告 されている。
「日本語 指 導 が必要 な外 国人児 童 生徒 数 は 28,575人 (対前年度比12.5%増加)で,調査 開 始以来最 も多い数 となった。‑学校種別の在籍 者 数 を み る と, 小 学 校 は19,504人 (前 年 18,142人)で1,362人 17.50/oiの増加,中学校 は7,576人 (前年5,978人)で1,598人 i26.70/oi 増加,高等学校 は1,355人 (前年1,182人) で 183人 i15,50/oi増加,中等教育学校32人 (前 年25人) で7人 (28.0%)増加,特 別支援 学
Ⅴ 学校 の現状
校 で は98人 (前 年84人 ) で14入 江6.7%i 増加 している
。 」
母語別在籍状況 は,前 回調査 同様,「ポル ト ガル語 を母語 とす る者が最 も多 く,全体 の4割 を占めている。 また,ポル トガル語,中国語及 びスペイ ン語の3言語で全体 の7割以上 を占め ている。」
Ⅱ イ ン タ ビュ ー か ら見 え る学 校 の現 状 次 に,インタビューか ら見 える学校 の現状 を 校種別 (主に小学校 と中学校) に特徴づけてみ たい。
(D 小学校
a.英語教育の導入への不安
平成20年3月28日に小学校学習指導要領の 改訂が告示 され,新学習指導要領 (平成21年 度 か ら可 能 な ものは先行実施,23年度 か ら全 面実施) では小 学校5・6年 で週1コマ 「外 国 語活動」が実施 されることになった。A先生 は 次の ように不安 を述べ た。「実態 は前倒 しで, 21年度か ら移行期 間 とい うこ とで本格 的 に入 って くる・・・英吾 を使 って子 どもたち と一緒 に授 業 を作 ってい くとい う経験が全 くない ものです か ら‑動揺 もや っぱ り大 きいですね,不安 も本 当に」。
b.保護者対応の問題 ・家庭教育機能の低下 A先生 は,学校 で うま くや ってい けない子 どもの背後 に保護者の 「愛情不足」,「す ご く理 不尽 な学校へのクレーム」,「全責任 を教師に転
嫁 してい くような傾 向」があ った り,「なか な か保護者の方が子 どもの学習の様子や生活の様 子 を見てい く余裕がない」 とい うことを指摘 し, 保護者対応や家庭教育機能の低下の問題 を示唆
している。
C.教員の同僚性 の希薄化
学校 で良好 な人間関係が職場 に築かれている B先生の例 もあるが,「学 び合 う場」や 「連携」
をつ くるこ とに難儀 していたC先生 の前任校 があった ように,良好 な人間関係 は簡単ではな
‑ 49‑
し行動で きるとい う同僚性 を有す ることは学校 の課題である。
d.教員の年齢構成の問題
C先生 は,現場 には若い世代 を
「
一番指導 し な くて はいけない年齢層 の」30代後半が いな い」 とい う教員の年齢構成の問題 を挙 げている。e.通級 における障害のある児童の増加 次は,A教員 の言葉 である。「軽度発達障害 を持 っている子 どもたち とい うのは普通級 に必 ずいるような状況 になって きているいま,それ を理解す るとい う部分ではす ご く現実 に緊迫 し てい る
。‑L D
と言 われているこどもたちにつ いて,今 までの私の経験 では通用 しないんです よね。‑ またADHD
と呼 ばれてい る, なか な か授業 に集 中で きない子 ども, またアスベルガ ー と呼ばれるような,ち ょっと落ち着 きが な く, 周 りに手 を出 して しまうような,ある意味,請 が通用 しない ような部分の子であった りとか,‑・」。そ して, なか なか対応が うま くいか ない ことが報告 されている。
f.若 くて経験の浅い教員の苦労
A先生 によると 「いま団塊の世代の先生 たち, ベテランの先生 と言われてた人たちが大量退職
を迎 える時代 は,その分,新 しく新採用の先生 たちがいっぱいは入れる時代 になっているんで すが,その分経験が少 な くて,大学卒業 してま もない先生が即ベテランと同 じ仕事 を求め られ て も苦 しい部分がいっぱいあって,非常 に若 く て経験が浅い先生 にとっては非常 に苦 しい こと もす ご く多いな と見ていてす ご く感 じますね。
‑今見ていると特 に初任 の先生 とか とか,経験 の浅い先生 とかに対す る親の期待が大 きく,そ れ に答 えてい くとい うのは苦 しい」。 この間題 は,b.,C.,d.とも関連 している。
g.職場での一律 的な考 え方
学校 では
,
「同 じようにや りま しょう」 とい う一律 的な考 え方が強 く,「学級担任制 なの に・・・個性 は出ない。同 じようにす ることが一番い い,みたいな考 え方が現状 としては一番大 きな
的な考 え方 を現状 の問題点 としている。
h.教育委員会か らの トップダウ ン
D先生 は 「最近,教育委員会か らのいろいろ な通達です とか指示が増 えて きているなとはす ご く感 じてい ます。そ うい うのは,いわゆる ト ップダウンとい うのか,現場の声 とい うものが あま り反映 されず に,い きな りこれ をや りなさ い とい う形でお りて くるものが次 々 と来 る もの ですか ら,それには本当に戸惑いがあ ります」
と述べ,文部科学省か らの もの も含めて,最近 の顕著 な傾向 を指摘 して くれた。
(∋ 中学校
a.教員の年齢構成の問題
E先生 に よる と,30代 の層 が非常 に薄 く, 若い世代 とベテラン世代 をつ な ぐ世代が貧弱。
若い世代が動 き方 を知 らない まま右往左往 して いる。中堅層の経験 を十分 に伝 え られていない。
F先生 に よる と, 中堅 の30代 は,古参教 師 と若い教 師の間のまとめ役 を しなければな らず, 間に挟 まって苦労 している。教員集団の調整役 としての30代 の苦労が浮 き彫 りになっている。
さらに,G先生 は,年齢構成の 2極化が進む と世代バ ランスが悪 くな り,教員間の仲が悪 く なるとい う経験 を実際 に した。
新任教員が,ベテラン教員 ばか りの中に入 り ジェネ レーシ ョンギ ャップを感 じ,孤立感 を深 めるとい う問題 も教員の年齢構成の問題 と関係 す る と言 える。
b.教員の多忙化 と同僚性の希薄化
H先生 によると,学校 は,少人数指導,他教 科 の担当,発達障害児への対応,臨任 ・非常勤 の増加 による専任の校務分掌 の増加 な どで教員 は非常 に忙 しくなっている。
また,教員 同士が同僚 として交流 した り,逮 携 した り,一枚岩で行動 した りす ることが難 し くなっている。 これは世代間のずれの問題 も関 係 している。
主幹教員 (総括教員)の存在が教員集団のチ
‑ムワークにとって大切 な同僚意識 をそ ぐとい う問題 もある。
C.保護者対応の問題 ・家庭教育機能の低下 保護者の中には,い きな り苦情の形 をとった り,けんか腰 になる人 もいて,教員 は保護者 と の コミュニケーシ ョンの難 しさを しば しば痛感 している。以前 は,抑 える保護者 同士の関係が あったが,今 は保護者同士がば らば らである。
また,「自分 の子 どもに対 して心 の底 か ら注意 しない親」 が多 くなってい るこ とを指摘 し,
「今 の親 と子 は,正 しい親子 関係 とい うのでは な く,友達関係みたいな感 じで,子 どもが暴 れ た り,暴言 を吐けば,そのまま許 して しまう。
・‑だか ら,親 を呼んで注意 して も指導が行 き届 かない」 と述べ る Ⅰ先生 は,まさに家庭教育機 能の低下 を示唆 している。
a.通級 における障害のある生徒 の増加
J
先生 の話では 「この ところ発達障害の子が 非常 に増 えて きていて」,横 浜市教 育委員会 の 数年前 の調査 による と,横浜市全体 で 「2%の 子がADHDとかLDとかアスベルガーだ とか, そ うい うふ うな発達障害 を持 っているとい う調 査 の結果が 出た」 とい うことで,「1
クラス に 1人,2人 当た り前」 で, しか も,「本 来 な ら ば個別学級 に来て もおか しくない レベルの子が 普通級 にいた り,あるいは逆 に普通級でやれそ うな子 が個別級 に来 ていた り, と相乱 れてい る」状態である。さらに困ったことに,中学校ではほとんどの 教員が個別支援の知識 を持 ってお らず,発達障 害のことをよ く知 らない し,実際にどうい うふ うに対応 した らいいか とい うことも知 らない。
教育委員会 もそ ういった教員 を 「熱心 に研修へ 送 る」 こともした りす るのだが,「部活動があ った り, (研修が)外部であるのでほ とん ど出 れない」 とい うのが現状である。
また,養護教育総合セ ンターの指導主事が子 どもとその親 に面接 を した り,必要 に応 じて臨 床心理士や作業療法士が検査 を してその結果 を 見 て,「個別支援が適 当であ るとか,普通級 が
Ⅴ 学校 の現状
適切であるか とい う判断をして,親 に伝 える
」
が,「最終的な判 断 は親 の判 断 とい うことで, IQがいかほ どに低 くて も,保護者や本人が普 通級がいい と言 えば普通級 に入 れ る。仮 にIQ が70以上あって境界線以上であって も」であ る。そ うい うことで,現在,個別支援学級 には
「純粋 に知的障害の子」 とい うよ りも 「不登校 で学力低下」 とな り,「うま く教室 に馴染 めな い」生徒が多い。いわゆる 「境界領域」増 えて いる。
e.児童生徒 の問題行動等生徒指導上の問題 ある生徒指導 困難校 では,10‑ 20人が授業 エスケープを し,教員の空 き時間はほ とん どパ
トロールに充て られ,そ うした苦労 もあってか, 教員の多 くは短期で異動す る。異動者が多 く, 教員 は生徒指導 に一枚岩 となって当たれない。
別の学校 では,ネ ッ トトラブルが増 えている。
さらに別の学校 では,喫煙や器物破損が頻発 し,一番手のかか る男子は 「ち ょっとしたこと でスイ ッチが入 ってキ レ‑,今 まで穏 やかに話 していたのに何が原因だったかわか らないけ ど, カ ッ ト目の色 を変 えて ガ ラス をバ ッ トで割 っ た」 りして,「その場でいろいろ冷静 になって 悪い ことを した とい うふ うに謝れる時 もある」
が,「謝 った らそれ はそれ, これ はこれ とい う ところがあるので,持続的な指導 は難 し」 く,
「その ときにち ょっとわか って くれたか な」 と 思 って も 「その一瞬 を過 ぎた らまた繰 り返す」。
「子 どもも変 わって」 きていて,以前 の ように 昔 の失敗 を今 の失敗 に くっつ けて指導 す る と
「なんで昔 の ことを言 うんだ よ
十
「関係 ないだ ろう,今 はこれだろう」 と怒 り,全然話 にな ら ない。不登枚 の生徒 も多 く,1クラスに最低1人は いる。2つの タイプがあって,一つ は対人関係 に問題があるタイプ, もう一つ は怠学的な夜型 生活 になっているタイプである。
f.生徒 の学習意欲の低下
Ⅰ先生 に よれ ば,「今,公 立 中学校 だ と, ま るで学習に興味 を示 さない,そ ういった生徒が
‑51‑
の を考 えて生徒 も通 っていた‑で きない生徒 は それな りに」教室で 「静かには していた」が,
「最近の子たちは,教 師の揚げ足 を取 るような, 教 師に食 ってかかる」 ように
,
「気 に入 らない」 ,
「むかつ く
」 ,
「死 ね」 とか言 って,教室 か ら出 て行 って しまう」。当然 この学習意欲の低下の 問題は,生徒指導の問題 と切 り離す ことはで き ない。ど.日本語指導が必要 な外 国人児童生徒 の受 け 入れ
学校 によっては,国際教室があ り, この教室 を担当す る教月 は,外 国につながる子 を指導す る。個別指導の対象の生徒 も多 く,夜 間学級 も あ り,いろいろなス タイルの学校が見 られる。
K先生は,勤務す る中学校の様子 を次の よう に述べ る
。
「外国につなが る子 どもは30名 ぐら いい るんですが,外 国籍 の子が23,4人 ぐらい ですかね。その うちの 日本語の指導が必要 な生 徒 が15人ですね。来 日半年 以内の子が8人 ぐ らいい ますかね,その15人の中で。 ‑・大体, 親の都合ですかね。 自分の意思で くることはあ り得 ない,中学校 だか ら。親御 さんが呼び寄せ た とい う感 じです。 (国籍は)中国が多いで すが,最近多いのはフィリピン。‑・ここの とこ ろ2人続けてモ ンゴルか ら来 ま したね。ち ょう どいま夏休み とい うか,アメリカと同 じなので 学校が夏休みになって中国の子 たち も来る。・‑ 在籍 します よ。突然転入です。編入 とい うんで すが」。h.その他
学校の生徒 ・保護者の地域差。
③ 高等学校
a.教員の年齢構成の問題
団塊世代の教員の退職 に伴い,大量若手採用 時代のジェネ レーシ ョンギャップに教員 は戸惑 いを感 じている。
b.教員の同僚性の希薄化
主幹制度が導入 され,職員会議の前 に企画会
て職員のモチベーシ ョンが下が り,混乱 してい る。
(彰 特別支援学校 a.児童生徒数の増加
し先生 に よる と
,
「一般の小 中学生 の数が減 っているのに反 して」,特別支援学校 は 「どん どん (児童生徒 の)人数が増 えて きて」いて, 特別支援学校が 「満杯」で一部の特別支援学校 では 「給食 も出せ ない状態。教職員 も足 りな く なっている,教室 も,本来だった ら5名 ぐらい の ところを7,8名詰 め込 んで使 っている とか‑本当に人手不足,施設不足 とい うところが‑・
一番大変」である。
b.ベテラン教員の退職
少子化 に もかかわ らず,特別支援学校 に入 る 子 どもの数が増 えるとい う傾 向は特徴 的 と言 え
るが教職員の数が足 りない とい う問題 に加 えて,
「団塊 の世代 の退職
」 ,
つ ま り,
「ベ テ ラン」の「相次 ぐ退職」 によ り,「ベテランのノウハ ウを 受け継 ぐことがなかなかで きない
」
,あるいは, 特別支援学校 の ことがわかる人がいない とい う 問題が,学校現場で顕著 になって きている。Ⅲ 学 校 の 現 状 を め ぐ る 一 般 的 特 徴 と イ ン タ ビュ ー か らみ え た特 徴 の相 関 亘) 教員の年齢構成
一般的特徴 では30代 の教員数は,小学校 と 中学校 の双方で20代 に次いで少 ないが,最 も 少 ないわけではない。イ ンタビューを聞 くと, 30代の教員が少ないことが話題 に上 っている。
調査 した横浜市,川崎市,神奈川県の教員では, 30代 が一番少 ない とい う意味 なのか どうか は 統計データやインタビューイの話の内容か らは 把握 で きないが,少 な くとも40代・50代 のベ テラ ン世代 と20代 の若い世代 をつ な ぐ世代 の 30代が40代・50代のベテラン世代 に比べ て少
ない とい う範囲では,相関関係があると言 える。
イ ンタビューでは, この30代が教員集団の
世代 間の大事 な調整役 とい う理解が特徴 的に語 られている。
② 教員の多忙化 と同僚性の希薄化
この一般的特徴 とイ ンタビュー内容 にみて と れる特徴 は一致 している。
文部科学省関連の資料 に出て来ない, しか し, イ ンタビューで開けた声 で特徴的だったのが, 主幹教員 (総括教員)の存在が同僚意識 をそ ぐ
とい うことである。
③ 保護者対応の問題
今 日,学校一般 に広 まったとされるこの間題 はイ ンタビューの中で も語 られている。保護者 との コミュニケーシ ョンの難 しさがあることを イ ンタビューを通 して確認 させ られル結果 とな った。
④ 通級 における障害のある児童生徒数の増加 この点 も,③ と同様,一般的特徴 とインタビ ュー内容 にみ られた特徴が一致 している。そ し て,対応 に苦慮 している教員の声がインタビュ ーを通 して聞こえて来る。
(9 特別支援学校 に在学する児童生徒数の増加 この一般的特徴 もインタビュー内容 にみて と ることがで きる。学校が こうした傾向に対応で
きるな らば問題 にはならないが,人手 と施設の 両面で対応で きていない とい う状況がインタビ ューによ り知 らされた。
⑥ 児童生徒の問題行動等生徒指導上の問題 この間題 は,インタビューに関 していえば, 中学校教員の発言の中に多 く見て取れる。
(∋ 日本語指導が必要 な外国人児童生徒 の受 け 入れの増加
日本語指導が必要な外 国人児童生徒 の受け入 れの話 は,国際教室 を持つ中学校 の教貞のイ ン タビューで聞 くことがで きたが,増加 とい う点
Ⅴ 学校 の現状
には触 れ られていないので判断で きない。
以上,現職教員へのインタビューか ら開けた
「学校 の現状」 についての話 には,すべ てでは ないが, Ⅰでみた一般的特徴 と符合す る ものが かな り含 まれていることが読み取れた。
‑ 53‑