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貿易 ビジネスにおける電子呈示 -貿易決済の観点から-

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(1)

研究論文

貿易 ビジネスにおける電子呈示

‑貿易決済の観点から‑

岡 本 祥 子

Keywo「 ds:

TradeServiceUtility LITE LC

UCP600

BoleroSettlement

は じめに

アメ リカ発 の経済危機 は世界同時不況‑ と突 入 した。経済問題で倫理的側面 を重視 した理論 を打ち立てたノーベル経済学賞受賞者である、

アメ リカハーバー ド大学のアマーテ ィア ・セ ン 教授 は、その危機 の原因がグローバル化そのも のではなく、アメ リカの経済管理の誤 りにあ り、

それが相互依存の進む世界 に広がっていった と 述べている。つま りグローバル化 はその過程 を 可能に し、結果的に早 くしたのである。彼 は新 自由主義 とい う用語があるとして、用いている が、この新 自由主義 とい う用語が、 もし市場経 済に基礎 を置 くことを意味す るだけな ら、市場 経済は どこにおいて も繁栄の元 となるとい うこ とですば らしい結果 となる。 しか し、市場経済 体制はい くつ もの仕組みによって動いているし、

市場 はその一つに過 ぎない。だか ら、特に主張 していることは、市場の利用だけを考 え、国家 や個人の倫理観 の果たす役割 を否定す るな ら、

新 自由主義の将来は、飛躍発展 しないだろ うと い うことである。正 に、アメ リカ発 の問題 は、

ある部分ではこの倫理観か らはずれた ところに 端 を発 してい ると思われ る。

実際、アメ リカの住宅価格下落 をきっかけ と して起 こったサブプライムロー ン問題 は、当初 株価の下落な ど金融市場の混乱 とい うかたちで

表面化 したが、大手金融機 関の巨額の損失計上 や関連業界の雇用削減、株式市場の長期低迷に 伴 う逆資産効果な どを通 じてアメ リカの実体経 済にも影響 をもた らす に至った。特にサブプラ イムイ ロー ンが証券化 ・再証券化 といったプロ セスを経て金融市場に拡散 させたことが、倫理 観 か らみた 1つの問題点である。 このことで リ スクの所在 ・規模が不明確 になったことも、金 融市場における不安感 をより一層増幅 させ るこ ととなった。 この問題 は証券化商品に対 し信用 保険を供与す る保険会社 (モノライン保険会社) や政府系住宅金融機 関の信用問題 にも波及す る に至って長期化の様相 をみせた(1)。

この問題 の関連損失は、2007年 にバーナ ンキ FRB議長 が出 した議会証言 の予測500億‑ 1000 億 ドル程度か ら2008年 には1000億‑5000億 ドル

‑ と上方修正 され その後8,000億 ドル か ら 1兆 ドル超 な ど‑ と状況変化 し、時間 とともに問題 の大きさが再認識 され るに伴 って、世界貿易の 伸び率は下方‑ と向かっていった。 日本 におい ては、2008年度の貿易バ ランスな どは前年比80

%減まで下がったのであった。2009年度の現在、

この比が少 しづっ回復 されてい くことが期待 さ れている。

この問題が起 こるまでの世界貿易の伸び率は、

非常に順調であった。伸び率は、価格要因 (輸 出価格指数) と数量要因 (輸出数量指数実質、

(2)

貿易額 と伸 び率

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日本菓易 (輸出 Exp 代通関ベース)

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14 国際経営論集 No.38 2009

(3)

輸 出) に分解 され るが

、2 0 0 7

年度 は輸 出価格伸 び率が9.4%増 (ドルベース、IMF)とな り、価 格要因が数量要因を大幅 に上回った。為替変動 要因 も

2 0 0 7

年 の貿易額拡大 に影響 を及 ぼ した。

また、 日本 円や香港 ドル以外の主要通貨が対 ド ル で上昇 したため、 ドル建てでみた世界全体の 貿易額が押 し上げ られた(2)

過去10年 間の貿易黒字の対名 目GDP比 を見 る と、 日本 は平均で23%程度 を維持 してい る。一 方、所得収支黒字 も拡大 を続 けてお り

、2 0 0 7

年 は過去最高 を記録 した。 国際収支 の発展段階説 によれ ば、 日本 は貿易 よ りも投資で稼 ぐ成熟 し た債権国へ の移行 が見込まれ るが、少 な くとも ここ10年 間は、貿易で も投資で も稼 いできた と い うのが実態である。趨勢的な円安や世界経済 の拡大基調 といった国際経済環境が寄与 してき た側面 もあろ うが、 この10年 間の 日本貿易 の変 化 は多様化 とい う言葉 で も特徴付 け られた。具 体的には、輸出先 と輸出品 目の多様化である(3)0

多様化 の 日本 が これか らの関係 で特 に大切 な 国の 1つ として中国をあげてい る。例 えば、非 貴金属資源 の中で も埋蔵量が限 られているか、

経済的 ・技術的な理 由で抽 出が困難 な金属 を レ アメタル とい うが、ハイテク製 品の原材料 を中 心に広 く使用 されてい る。埋蔵量や生産量が特 定国 ・地域 に偏在 してい る場合 が多い。代表的 な もの としては、小型電池 な どに使用す る リチ ウム、 コバル ト、マ ンガン、超硬 工具や フィラ メン トに使用す るタングステ ン、特殊鋼 な どに 使用す るモ リブデ ン、液 晶画面な どに しよ うす るイ ンジウムな どがある。また、 レアアースは、

スカ ンジ ウムやイ ッ トリウムな ど計17元素の総 称であ り、蛍光体や レンズな ど、様 々な用途で 使用 され る。 これ らレアメタル ・レアアース類 の貿易は輸出ベースで見 ると急速 に伸びている。

中で も レアアー スは、世界輸 出の81.2%を中国 が 占めてお りこれか らの中国の資源保護 ・内需 優先 の動 きによ り、価格高騰 の勢いは さらに増 してお り、 日本 に とって、 これか らの供給 に懸 念 を抱いてい る状態であ り、ますます 中国 との 関係 が重要 なもの となる一例で もある(4)。

また、食料 問題 に関 して も、食料 自給率の低 い 日本 に とって、考 えていかなければな らない 重要課題 の 1つで もある。現在 の世界の穀物需 給状況は、天候変動 と原油価格高騰が主因であっ た

1 9 7 0

年代の食料危機時 と比較 して、 よ り複雑 化 してい る。食料不足の恐れ を受 け、国内供給 を優先 して輸 出規制の導入 ・強化 を行 う穀物輸 出国が増 えてい る。国連 によると、今後約

2 0

年 間で、世界の人 口は毎年平均 1億 1千万人以上 増加す ると見込まれてお り、食料需要の拡大傾 向は今後 も続 くことが予想 され る。 よって 日本 において も、価格 の高 とま りによ り、穀物貿易 の拡大は大 きな問題 を抱 えてい る(5)0

このよ うな状況下において、 日本 に とり、必 然的な取引が多様化すればす るほ ど、その決済 方法は、標準的な方式だけでな く、電子化 の流 れ に向かってい くだろ う。本稿 では、変化 の速 い国際 ビジネ スの流れの中で取 り扱 われ る商品 の取引決済に焦点 を絞 り、従来の貿易決済で中 心的役割 を果た してきた信用状取引‑荷為替手 形決済、即ち貿易書類 を担保 として担 ってきた 貿易取引‑そ して、その後の変革の基 となるペー パー レス とい う電子書類 と電子商取引の概念 に そって、 これか らます ます変化 し続 ける電子決 済に的を絞 り、 これか らあるべ き商取引決済‑

と繋げる一考 としたい。

1.

信用状統一規則の推移

旅行者信用状で見 られ るよ うに、貿易決済に 不可欠 な信用状固有の機能 は、 もともと依頼人 が信用状補 強 のために,発行者 の高い信用 を提 供す ることにあった。 これ は持参人 と受益者が 同一人 となる形態である。 現在 の ロン ドンに お け るMerchantBankない しAccepting House は、他地域特 に外国にも名 の知れ た豪商である 信用状発行商人が、発行者 として手形引受 け業 務 を本業 とした経緯がある。 この よ うに、手形 引受 け業務 を本 業 とす るにい た って 、 そ こに

「発行依頼人」 と 「受益者」 との分離が生 じ,現 代 の信用状‑の先駆 け となったのである。

(4)

20世紀 の初頭 には、依頼人 としての買主が指 名す る受益者が商取引の相手方である売主 となっ た り、また、依頼人 に代わって銀行 が、 自ら手 形 の名宛人 となるな どの新 しい形式 の信用状 に 移行 した時期 で もあった。 1927年、フランス と ベル ギーで取決 めた、銀行 の共 同で決 めた信用 状 に対 しての一定のルール が、現行 の 「信用状 統一規則」の元 となった。 その母体は英米の銀 行 を除いていて、完全 な形 で はなか ったが、

1933年度版 「信用状統一規則」の誕生 となった。

戦後、アメ リカの発案 によ り改定 された1951 年度版 の 「信用状統一規則」 には、 日本 を含 め 30カ国の銀行 が参加 した。 そ して次 には、ア メ リカお よび 旧イギ リス連邦の銀行 が積極参加 す ることになった1962年度版 「信用状統一規則 (ICC Brochure No.222)」(6)が ま とめ られ 、 1972年3月 には175カ国の銀行 に よ り採択 され ることになった。

このよ うに外 国貿易、為替取 引の円滑化 と発 展 のため、名実 ともに、信用状 を制度化す るこ とに成功 した意義は大 きい。 しか しその後2カ 年 間の国際状況が複雑 かつ変動 に富み、商取引 形態及び運送形態 に大 きな変遷 があったため、

1974年12月 に統一 し、1975年10月 に発効 とした 改訂版 がだ された。

そ もそ も統一規則 の 目的は、国際商取引を行 う各国の取引者 または取 引相手 に対 し、紛争や 誤解 の原 因を取 り除 くことにある。そのために は、まず、国際的に通用す る言語 で、考 え方や 言葉 に統一性 と正確性 を持たせ ることである。

次 に、定義や用語 を簡単明瞭にす ることな どが 必要である。

統 一規 則 の 冒頭 に、"These Provisions and de丘nitionsandthefbllowlngarticlesapplytoall documentary credits and are binding upon all partiestheretounlessotherwiseexpresslyagreed"

とあるよ うに、高速性の適用力は弾力性がある。

国際間にまたが る支払いの授受 の媒体である信 用状 の円滑化 によ り、信用状取 引 自体 が、銀行 の与信行為の保護 下に置かれ るこ とによ り、安 全かつ確実 なもの となるであろ うし、その円滑 16 国際経営論集 No.38 2009

化 のために、制度化が必要 となったのである。

しか し、制度化 といって も、法 としての拘束 性 はないのである。起草者 が銀行 であることか ら、 これ は"任意的基準"ルール となって しま う のである。 この統一規則 の採用 は、各 国にお け る各銀行 の判断によるものである(7)0 1974年改 定規則採択 国において も採択す るのは、ある取 引を扱 う‑銀行 の 自由である。統一規則採択国 といえ ども、各銀行 に対す る強制力 はない。 ま して

D/ PD/ A

取 引において、信 用状統一規則 は何 の拘束力 をももち得 ないのである。従 って 信用状統一規則 は、 この意味において も任意的 基準ルールであることがまず指摘 され な くては な らない。

商事法の全分野に関 して国際的統一が望まれ てい る現在 、 ローマに本部 をもつ私法統一国際 協会 、ユニ ドロワ"UNIDROIT"が1994年 に公表 した 「ユニ ドロワ国際商事契約原則」"UNIDROIT Principlesoflnt'lCommercialContracts"が 国 際的に評価 されつつ ある。 この採択者 は、国連 国際商取 引法委員会 であるUNCITRAL "United NationsCommission on lnt'lTrade Law"と南 北問題解決 のため集 め られた国際貿易 開発会議 UNCTAD"UnitedNationsConferenceon Trade and Development"で あ る。UNCITRALは1966 年 に発足 した国際売買、国際運送、国際支払、

国際保 険、国際仲裁 な どが扱われ る国際取引法 規 を扱 う委員会 で、広範 囲にわた るのでその利 用 の効果 が期待 されてい る。

1983年度版統一規則 に引き続 き、1993年度版 信 用状統一規則 (ICC BrochureNo500)にお いて、時代的背景 を伴 った信用状の電子化 の可 能性 についての直接的に支障 をきたす条項はな い。 この場合、信用状の電子的な呈示 は、通知 銀行 か らみた場合、合理的な手法で誰 が コ ミュ ニケー シ ョンを発 したか分 かればよい とい うレ ベルである。

国際間の物 品売買において在来型 の典型的な 決済のひ とつである信用状付取引では、買手が

(5)

自己の取引銀行 に対 し、売手 を受益者 とす る信 用状 の発行 を依頼す ることになる。売手は信用 状 に基づいて船積 を行 ない、信用状記載条項 に 合 致 した船荷証券 を含 む船積 書類 を作成 し,為 替手形 を振 出す。輸 出地の銀行が船積書類 を担 保 に し、その為替手形 を買取 ることで売手は貨 物代金 を受領す る。買手 は信用状発行銀行 に送 付 された取立手形 を引受 ・決済す ることで船荷 証 券 を入 手す る。 ま たD/P (Delivery Against Paymentで な く、 従 来 のDocuments Against paymentで ある)D/A取 引では、上記 のプ ロセ スを信用状 な しで行 な う。

しか しこの在来型 の貿易取引は、様 々な環境 要因を受 け、変化 して くることになる。例 えば、

国際運送 の コンテナ化 は、荷役作業の敏速化 を 促 し、加 えて船舶の高速化、航空貨物の増加 が、

輸送時間をかな り短縮 させ 、大量貨物 を一度 に 運送可能にす る。また、企業 自己資金 の潤沢化、

本邦為替管理の 自由化 、国際情報 の充実化 な ど で、決済の方法 も変化す ることになる。

その変化 に伴 う決済の派生型 がある。 た とえ ば①荷為替手形 によ らない売手 ・買手間決済 と して、送金ベースでの決済 ②清算勘定"open Account"、Netting(BilateralorMultilateral)に

よる貸借相殺 ③信用状付輸 出為替 手形 の純取 立扱 い "Pretended BillsBought,PostPayment Negotiation"これ は手形 買取 による輸 出金融 は 不要 とされ、売手は買手の手形決済後 に電信 買 相場で換算 された円貨で手形代金 を受 け取 る。

④信 用 状 のSilentConfirmation 通知銀 行 が発 行銀行 とは無関係 に信用状の受益者 に対 し輸 出 に為替 手形 をwithoutrecourse条件 で買取 る こ とを確約す る。⑤送金本邦 ロー ン 船積書類 は 売手か ら買手 に直送 され、銀行 は買手が持込む invoiceと

B / L

Copyに基づ き本邦 ロー ンを実行 す る。 また信用状条件 に合致 しない船積書類 であって も軽 いdiscrepancyについては、売手が 銀行 にL/Gを差 し入れ ることによ り手形買取が 行 なわれている。 さらに買手‑の船荷証券全組 または一部 の直送 を許容す る実質stand‑by

L / C

同様 の信用状 もある。以上に述べた変遷 につい

ては、国際決済 を理解す る うえで、 とて も重要 な ことで あるため、"荷為替決済 に伴 う変遷 に 関 Lで 'について、拙稿で述べた こともある(8)0

前述 した、近年 の激動 の変化 に伴い、2007年 度版信用状統一規則 (ICC BrochureNo.600) が、改訂 された(9)。その特徴 といえば、構造的 な変更の一つ として、定義 (第2条)お よび解 釈 (第3条) を扱 ってい る条文の導入 である。

銀行 によ り果た され る役割 の定義及び、特定の 用語及び出来事の意味を定めることで、その解 釈及び適用 を説 明す るために繰 り返 しとなる本 文の必要性を回避 している。同様 に、解釈を扱 っ てい る条文は、信用状 に現れ る漠然 とした、ま た は不 明確 な言葉 か らあいまい さを除去 し、

UCP (The Unifわrm Customs and Practice fわr Documentary Credit)または信用状 のほかの特 徴 を明確 に解 明す ることを狙い としている(10)。

また、電子呈示 に関す る (UCP600)‑ の追補 第1.1版 (Supplementfb∫ElectronicPresentation, Versionl.1) を伴 ってい る。 それは、eUCPとい

う頭文字語 を用いて他 の条項 と区別 してい る。

これ は、紙 の書類 と同等の電子呈示 に適応す るためのUCP600専 門用語 を容認 してい る。 ま た、UCP600とeUCPの両方が一体 となって働 く ことを可能にす る必要なルール を定めた定義 を、

引き続 き定 めてい る。 eUCPは電子的 に呈示す ること、または紙の書類 と電子呈示の混合 を許 容 してい る。だか らこれ を利用す るものは、多 くのUCP条文 が紙 の書類 と同等 の電子 呈示 に よって影響 を受 けない こと、そ して、電子呈示 に対応す るためにいかなる変更 も必要 としない とい うことを理解 しなけれ ばな らない(ll)。

つ ま り1.1版 の全条文 は、 それ らが電子呈示 に 関係 してい るこ と以外、UCP600と整合 してい る。必要 に応 じて、紙 の書類 と同等の電子呈示 に関連す る独特 な問題 を解決す るために、変更 がな されてい る。

2. 荷為替手形決済 と貿易電子化

従来、国際商取引に持 ちこまれ る決済手段 に

(6)

は、種 々の ものがあるが、いずれ を用い るかに よって特殊具体的な環境 のも とでの売手、買手 の利害関係 が規定 され る。 そ うした中にあ り、

両者 の利 害の均衡化 を探 るなかで、貿易決済は 荷為替手形の出現 を見 ることになったのである。

貿易取 引のDocumentsの流れ は従来 の慣習 ・慣 行 とそれ に基づいて構築 されたシステム ・業務 のいちばん洗練 された形 である。 この洗練 され た基本形 は、次の新 しい展 開をす るときに必要

となるので、観 点をかえて述べてみた。

す なわち、荷為替手形 によ り決済 をまず売手 の立場か ら考 えてみ ると、売手は約定品の船積 を完了す るや否や、船積書類 を担保 として為替 手形 を振 り出 し、 これ を為替銀行 に買取 らせ て 輸 出代金 を入手す ることができるのであるか ら、

船積み とほぼ同時に代金がはいるとい う意味で、

C.0.D.にきわ めて近 い形 で決 済 で き るこ とに なる。 もちろん売手 に とっては、金額前払いほ どではないが、延払いや分割払いや、あるいは また普通為替手形 による場合 にみ られ る通常の 危険負担か らは、解放 され ることになる。

一方、買手の立場 にたって考 えてみ る と、延 払いの場合 の有利 さはないが、前払いや分割払 いの場合 のよ うに、契約時や船積 時に契約金額 の全額または一部分 を支払わ され るのに比べて、

この荷為替手形 による場合 には、約定晶が実際 に船積み されて、その積荷 を証券化 した船積書 類 とい う、いわば 目に見 えない商品 と引き換 え に支払 えばよいので、支払いに対す る不安が全 然 なくなる。すなわち、前払いの場合のよ うに、

代金 は契約 時に支払 ったが、果 た して契約条件 通 りに約定晶が船積 み され るか どうか、 といっ た輸入 品に とっての最大の心配 が一応解消 され ることになる。 したがって、買手の立場か らみ て も現品引換払いに近い形 で取引できることに なるので、結局、売買の当事者 間にお ける危険 負担 の均衡 について、ほぼその 目的が達せ られ

るかにみ える。

そ もそ も、船積書類 は、積荷 を運ぶ船 とは一 緒 に送付せず、関係 書類 を第一券、第二券 に付 帯 させて航空郵送 させ るので、従来、積荷が 目 18 国際経 営論集 No.38 2009

的地 に到着す る前 に、す でに到着 してい るのが 通例であった。 巨大な量 の鉄道貨物で も、一枚 のB/Lで、取 り扱われてお り、ま してや、 トラッ ク、鉄道 、航空運送 は、航海 中心時代 の頃 と比 べて事故 も紛失 も少 な くなってい るのである。

また、運送 の主流が コンテナ輸送の現代 におい ては、海上危険の保 険負担率が大幅 に下が るく

らい事故 はほ とん ど無 くなってい る。

この よ うに貿易環境 の変化 に伴 なって さま ざ まな形態や書類 の変更が必要 になるのである。

貿易取引に電子書類 の導入が求 め られ る背景 には、現在 にお ける世界経済のグローバル化 に 伴 うイ ンターネ ッ トによるネ ッ トワー ク化があ る。書類 を中心 とした情報交換では、 コス トが か さみ、非効率的である。従来の貿易取引では、

多数 の書類 の作成 と管理、そ して、数多 くの取 引当事者間の書類のや り取 りや記載事項のチェッ クな どが書類 中心で処理 されてい る。そのため に、書類 の作成 ・管理 コス トは、取引の増大 と 共 に増加 し莫大な額 となっている。

また時間の誤差が 「船荷証券 の危機」 とよば れ る問題 を引き起 こす。 これ は、 コンテナ船 な どの高速化 で仕 向港 に積荷 が着いて も、銀行経 由の船荷証券が到着せず、積荷が下ろせ ない と い う状態がある。 もちろんこの問題 に関 しては、

実際上、L/Gを売手が船会社 に差 し入れ ること で、船会社はB/Lな しで 物品の引渡 しを行なっ てい る。だが、 この ことで船会社 が負 うリスク は大 きい(12)。

この よ うに、書類 をもとに構築 された在来型 の貿易取引には、環境変化 に伴い色 々な問題 が 生 じてきた。 このよ うな状況 に対す る対応策 と して 日本では、まず船会社 とフォワーダーある い は荷 主 な どを結 ぶpoLINETやS.CノS.F .Net を利用 してきた(13)0

貿易取引における電子書類 の普及 を複雑 に し たのが、電子書類の供給者 と需要者が同 じプラッ トフォームに存在 し、電子書類 にお ける規格 ・ フォームの標準化が企業戦略 として全てに利用 出来ない ところにあった。

それ が

、2 0 0 9

年 になる と、NVOCC (非船舶

(7)

運行業者)の国際組織TANDEMが、統一BLタ ンデムBLの発行体制 を整備 し、4月か ら運用 を開始 した。従来、米 メンバ一店社 のCHパ ウ エル が発行 を代行 していたのを、北米向けを除 いて統括機関タンデム ・グローバル ・ロジスティ クス ・ネ ッ トワー ク・UA(TGLN)に よる一括 管理に変更 した。 同時にク レーム処理体制の整 備や起用す る保険会社米AVALONも決定 した。

日本か らは参加 しているのは東海運輸 〔株〕で ある。 BL名義 にタンデム を利用す るこ とでの 顧客‑の直接のメ リッ トはないが、メンバ一店 社では知名度 と信頼性 の向上による貨物取扱い の拡大が狙い とされ る(14)0

また、金融機 関を結ぶ全銀 システム、国際間 で はSWIFT(The Society for Worldwide lnterbank‑FinancialTelecommunication)、 あるいは金融機 関 と企業 を結ぶファームバ ンキ ングや業界

VAN

等が構築 されてい る。

SWIFTやrT‑CLUB[ThroughTransport(mutual insuranceassociation)CLUB]が発起人で、SWIFT は銀行約

7 , 0 0 0

以上、そ して、TT‑CLUBは海運 会社、大手 フォワーダー、港湾管理 当局な どが 参加 してい る相互保 険組合 が、BOLERO (Bill ofLadingElectronicsRepositoryOrganization)

とい う組織 を設立 した。 ここは貿易金融サー ビ スを提供する企業体であ り、中立的存在をうたっ ている.BOLEROとTEDl(Trade EJectronic

Date lnterchange)は共 に貿易金 融EDIと 呼ばれている(15)0

貿易金融EDIに対す るメ リッ トは、まず書類 偽造 、変造 が防止 され る。 「B/Lの危機 」 の解 消策である書類の搬送が迅速化 され る。それゆ えに搬送 コス トの削減、搬送 中の リスクが削減 され る。また電子書類の保管管理の迅速化 によ り、一元化 な どが されやすい.そ して、貿易関 係書類の処理効率の向上がなされ、そ してチェッ

ク作業の簡素化、もしくは 自動化 され る。

もともと、貿易金融 のEDIのデ メ リッ トは何 か とい えば、 「安全性」 の問題 であった。 これ は技術面だけでな く法制面、行政面、事務面、

運用面な どいろいろな局面における リスクに対

す るもので、偽造 ・変造 リスクの回避、安 く確 実な保管管理な ど安全な取引が期待 され るが、

難 しい面 も多数存在す る。特 に、 「貿易 関係 書 類相互間のチェック」においてチェックを自動 化 にす るのは大変な作業であっただろ う。

貿易取引は、物品の売買契約、物品の運送、

代金決済な どにより金融取引をその主要な構成 要素 とす るため、その過程 において、売買当事 者、銀行、運送業者、通関業者、検数 ・検量業 者、倉庫業者 、保険会社、許認可官庁、港湾管 理 当局等、異なる国々の多種多様 な業界 ・業種 に支 えられて、取引が履行 されてい く。

電子書類の価値 は、まず、いかに多 くの取引 相手が電子書類ネ ッ トワー クに参加 しているか に強い影響 を受 けるが、貿易取引を考 えた場合 に実際にはネ ッ トワー クに参加す る数が問題 と なる。次に、電子書類の価値 は電子書類 を使用

している企業がいかに数多 くの相手先 と取引を しているか、 どれほどの規模 なのかで決まる。

したがって、貿易取引を電子化す る場合、 こ のよ うに異なる業界 ・業種の多数 の関係 当事者 が関与 し、異なる法律の関係 当事者 間で電子書 類の交換がおこなわれ るとい う事実を踏まえて、

法律的に安全で確実な環境 を構築す る必要があ る。

貿 易 電子 化 の背景 と して 、 第 一 に、 SCM (supplyChainManagement)の進展がある。部 品の調達 ・生産 ・販売 ・物流 ・金融の業務の流 れ を一つの大きな供給のチェーンとして捉 え、

ITを使 って融合 させ、ス ピー ド化 ・効率化 を図 る経営手法で、TimetoDelivery即 ちス ピー ド 化 に よって収益増 ・コス ト削減 を図 る。 Time toMarket即 ち受注か ら納 品までス ピー ドア ッ プ させ 、物流 ・在庫 の合理化 を図 る。Timeto Volume即 ち大量生産 にはい るまで をス ピー ド ア ップ させ る。 そのためにはSCMのデー タ元 管理 ・効率化 ・ス ピー ド化のイ ンフラ ・電子化 が必要 となる。

第二に、9.11テロ事件後、各国のセキュリティ 強化の対応 に一役買ったのも電子化である。特 にアメ リカでは、通関手続 ・検査がきわめて厳

(8)

格 になった。特に (船積24時間前ルール )がカ ナ ダ ・EU ・豪州 に も適用 され 、急速 、電子化 が必要 となった。それに伴い税 関の役割 も輸出 入 の通関か ら国家安全保障を担 う機 関‑ と変化

していった。

第三に、港湾 ・通関手続 の窓 口一本化 ・簡素 化である。 これは関係官庁な どが港湾手続 ・通 関手続が複雑で、窓 口も多す ぎることか ら負担 を軽 くす るため、手続 き ・検査 を簡素化 し、窓 口一本化 にす る。 また、 日本の港湾競争力 を増 やすために、貿易の電子化 を整 え、利用 しやす くす る。また、それが24時間税 関や税 関手数料 引き下げ‑ と動 くのである。

日本企業は、海外現地法人数が、増加 し、現 法 との商流 ・金流 を効率 よく管理 してい くため に、データの電子化が必要 となる。つま り、第 四 として、企業のグローバ リゼーシ ョンの進展 によ り電子化 を促進 させ ることになる。

第五 は、銀行 の

d o c u me n t s

ベースの事務やデ リバ リーが、特にアジアにおいて、貨物の到着 よ り遅 くなってきた。例えば香港などの船積は、

24時間で土 日も実施 し、 日本‑は 3‑ 4 日で到 着す るが、銀行側 の外為書類 は土 日が入れば

5

日間かかるので、貨物 よ り遅い到着 となって し ま う。 また、企業の 自衛手段 としてB/L一部直 送条件が増加 したため、電子化 による迅速化要 望が特に強 くなった(16)0

3.

電子決済

従来の貿易貨物 に対す る決済方法 として、① 送金ベース (OPEN ACCOUNT)②取立ベース

③信用状買取ベース④決済前払 と大 きく4つに 分 け られ る。

その中で今後、世界の貿易決済は更に、送金 ベース即 ちOPEN ACCOUNT化が進んでい くこ とが考 え られ る。一方 この進展 に反 して、中国 な どアジアや新興 国をのぞいてL/C・ドキュメ ンタ リー決済の ウェイ トは下がってい くことに なるだろ う。

OPEN ACCOUNT領域の更なる拡大が見込ま 20 国際経営論集 No.38 2009

れることで、銀行側か らみると、まず書類チェッ クな どの業務負担は軽減 され るが銀行の収益は 減少す るこ ととなる。 つま り、送金ベー スは

Do c u me n t s

が銀行 に持 ち込 まれ ないので貿易の 商流情報が分か らな くなるとい うマイナス面が 生 じるため、一見、矛盾 しているよ うに思 える が、銀行 としては、その詳 しい情報 を入手 した いニーズがある し、また、L/CベースのL/C開 設料のよ うに、送金ベースよ り高い収益性 を確 保 したい とい うニーズも大きい。 このよ うに貿 易決済に関す る様々なニーズのなかで、全ての ニー ズ を満 足 させ る手段 がOPEN ACCOUNT 化 の拡大に伴 って出現す る。

顧客側か ら見ると、送金ベースだ と、L/Cベー ス と比べて銀行宛支払い手数料が安 くな り、銀 行宛提 出書類が軽減 され ることになる。また、

輸 出顧客に とってL/C決済ベースだ と、輸 出者 側銀行が船積書類 を買取す るかたちで船積後す ぐ現金化 され るが、送金ベースだ と本来の代金 回収が 2‑ 3ケ月後 となるので、現金化が遅 く なる。その上、輸出者は輸入者 を独 自に信用判 断 しなければな らず貿易決済 リスクが上昇す る。

これ らのマイナ ス面 を改善 した形 で

、TS U ( Tr a d eS e Ⅳi c eUt i l i t y)

の重要性が顕著 となっ てきた。例 えば

、TS U

だ と、まず輸 出者 が銀行 か ら貿易ファイナンスを受 け易 くな り、決済の リスクを最小限にす ることもできる。そ して送 金並みの迅速性 を確保 、コス ト面 も押 さえ られ るといった、これ ら全ての条件 を満足 させ うる 手段 として、 これか ら

TS U

がその役割 を果たす

と期待 されている。

TS U

とは、世界の主要銀行間での決済ネ ッ ト ワー クSWIFTが主導で、外為 に強い世界の銀行 との間で分析 ・議論 して開発 されたものである。

銀行間での貿易電子化の仕組み 〔ビジネスモデ ル〕 をさしている。 これは、従来、世界の銀行 間での輸出入 な どの貿易書類 は紙ベースである が、 「船荷証券の危機」 の言葉であ らわ され る よ うに、貨物が先行 して到着す るな ど時間がか か りす ぎる時代 となってきた。 こ うした ことか ら、企業 の物流 と資金決 済の効率化 のた めに

(9)

TSUスキーム図

(出所)三菱東京UFJ銀行国際業務部 ・外為事務部TSU説明資料

TS U

は、それぞれ迅速化 ・利便化 を追求 し、ま ず貿易デー タの ドキュメンツチ ェ ックの電子化 による自動チ ェ ックを 目標 においた。 また、 こ うした貿易の電子デー タを通 関業者や船会社 な どの電子化 とも相互相乗 りできることも考えて、

TS U

が編み 出 され た。

TS U

は、貿易の当事者である輸 出者、輸入者、

輸 出側銀行 、輸入側銀行 の4者 を中心に、銀行 間で貿易書類 の電子化 を行 い、まず、ペーパー レス化 し、定型 のフォームにす る。それ を電子 デー タにて ドキュメンツチ ェ ック し、マ ッチ ン グサー ビスを行 う仕組みである。

この仕組み を活用 し、銀行 は企業 に、 よ り早 く、 よ り簡便 なサー ビスができる。 それ は柔軟 な貿易書類 の処理 と貿易 ファイナ ンス提供 の機 会 を広げ、また銀行 自身の事務合理化 を可能 に させ ることになる。 また、企業 は

TS U

を使 って

S u p p l yCh a i nMa n a g e me n t

のいっそ うの合理化 、

ビジネスチ ャンスのス ピー ドア ップな どを可能 にす る。

TS U

は、貿易電子化商 品

Bo l e r o

と異 な り、銀 行 間の貿易電子化 メ ッセージイ ンフラであ り、

船会社、通 関業者 のイ ンフラとも別個 の もので ある。つま り企業 は

TS U

に加盟す る必要 はない が、企業か ら銀行‑の貿易電子デー タベースは 利用可能である。

TS U

にお ける決済に向けた新 しい流れ は、輸 出入 の

L/ C

ベ ー ス の

TS U

Li t eL/ C

また は

e ‑L/ C

の名 称 にて

、S WI FT

が要件 を固 めてお り、2008年11月か らスター トしてい る。 これは

L /

C付 の ドキュメ ンタ リーベ ー ス 〔電子信 用 状〕まで開発す ることになる(17)0

三菱東京

UF

J銀行 国際業務 部外為事務 部 の 説 明資料 によると、第一 フェーズで銀行 は、商 品 の受 発 注 の

P u r c h a s e Or d e r( S a l e sCo n t r a c t )

を基本デー タ とし、その中の必要最低 限 となる 約120の項 目を抽 出 し 〔キーデー タ ・エ レメン ト〕、貿易の相手国の銀行 にそのデータを

S WI FT Ne t

にのせて

TS U

経 由送付す ることで、デー タ

を関係銀行 間で共有 し

、P / 0 ( P u r c h a s eOr d e r )

I n v o i c e ,B/ L

との銀行側 での煩雑 な ドキュメ ンツチェ ックや消 し込み業務 を自動化す る。

顧 客が作成す る

P /

0売買契約書 をベースに輸 入銀 行 が

I n i t i a lBa s e l i n e

と して

TS U

に掲示 し、

これ に基づいて輸 出銀行 も輸 出者か らの売買契 約書の貿易デー タを入力 し、機械で貿易書類 の 整合性 を自動チェックす る貿易書類

B/ L/ I n v o i c e

を輸 出銀行 が入力 し

、Da t aS e t

に変換 して掲示 す る。

銀行 と顧客の間のデー タのや り取 りは紙ベー ス

・Fa x・We b

ベース、各 々の銀行 の システ ム 状況 に合わせていかよ うにで も可能である。銀

(10)

行 は顧 客か ら受 け取 ったデー タを手入力 または 電子 でXML (Extensible Markup Language)転 換 しTSUに送信す る。

TSUの活用 に よ り、銀行 は独 自の電子基盤 が な くともク ロスボー ダの電子貿易金融 チ ェー ン に入 るこ とが出来、TSUを使 って貿易 ファイナ ンス とSCMの物 流 の合 理 化 に寄 与す るサ ー ビ ス を付加価値 としてつ けてい くこ とになる。

同資料 か らみ る とTSU利 用 の銀行 と企業 の共 通 メ リッ トとしては、①貿易の実態がTSUによっ て コンファー ムで き、偽造 ・架空 の貿易取 引や 条件 を防 ぐこ とが可能 とな る。②輸 出 ・輸入 と も、TSUを活用す るこ とに よ り、銀行 に とって の リス クも小 さくなることか ら、銀行 か らの貿 易 ファイナ ンスを受 けやす くなる。③貿易 の決 済 ス ピー ドが電子化 に よ り早 くな り、資金 コス トの軽減や貨物 の引き取 り早期化 が図れ る。④ TSUを本格的に活用す ることにより、顧客のSup‑

ply ChainManagementの合理化進展 に寄与 で き る。

輸入者 のメ リッ トとしては、①相手 の輸 出者 の リス ク、取引状況や コス ト構 造 にあわせ たプ ライ シングの設定が可能 とな る。例 えば、 囚 L/Cベ ース ・・新規顧 客 ・リス クが高い顧 客 ・ 輸 出者 に取 引銀行 か ら輸 出ファイナ ンスを受 け

られやす くさせ る。 匿ILiteL/Cベ ー ス ・・リ ピー タ顧 客 ・輸 出者 に取 引銀行 か ら輸 出ファイ ナ ンス を受 け られやす くさせ る。

L/C

し (D/P・D/A) ・・リス クの低 い顧 客 〔子会 社 な ど〕 団 送金 ベ ー ス (TSU) TSUを活 用す るこ とに よ り輸 出者 に取引銀行 か ら柔軟 にPur‑ chase OrderFinanceを受 け られやす くさせ る。

園 送金ベ ー ス 〔一般 〕 ・・リス クの低 い顧 客 で、貨物 の安全性 の高い取 り引きな ど。②pur‑ chase OrderFinanceな ど、顧 客 のニー ズ に合 わせ た ファイナ ンスの享受 が出来 る。③煩雑 な L/C発行 な どの書類作成 の手 間が省 け、事務 の 合理化 が図れ る。④輸 出者 ‑ のファイナ ンス機 能 が付 け られ る。

輸 出者 のメ リッ トとしては、イ ンボイスネ ゴ シエー シ ョンな ど貿易 ファイナ ンスの弾力 的享 22 国際経 営論集 No.38 2009

受 (Ⅰnvoice Negotiation/Ⅰnvoice Discount)や 顧 客 内部 での事務管理 コス トの軽減化 、また貿易 書類作成 の事務 プ ロセ スの簡素化 な どがあげ ら れ る。

近年 、イ ンターネ ッ ト、ブ ラウザ ソフ トな ど ネ ッ トワー ク関連技術 の発展 に よ りIT関連技術 が さま ざまな業界分野 で急速 に適用 され展 開 さ れてい る。 内外 で実験段 階の電子マネー 、アメ リカ ・オ ンライ ン、ヤ フー な どの大手 ポー タル サイ トのサイバーモール な どに象徴 され るBtoC

〔企 業 一個 人 間〕取 引は も とよ り、電子 ブ ロー キング、株式売買の電子化 、商 品先物、金融先 物 取 引、企 業 間相 互 間 の取 引、 い わ ゆ るBtoB

〔企 業 間 〕 や 政 府 関 係 を 中 心 と したCALS (commerce AtLightSpeed)導入 の動 き にい た るまで、商取引の電子化 は業務 の種類 、業界、

国境 を超 え、国家 の経済活動 にいた るまで広範 囲にわた り展 開 されて急速 な発展 を遂げてい る。

おわ りに

そ もそ も、企業 の取 引において コン ピュー タ は、今 日のECブー ムが始 ま る30年 も前 にそ の 利用 が進 め られてい る。 まず 、企業 の受発注業 務 において求 め られ る機械 的な正確 さ記録性 は、

60年代 に入 る とす ぐに この分野‑の コンピュー タの導入 を促 した。 この受発注 の段 階での コン ピュー タの利用 は通信 システ ム と連動 した電子 受発 注 システ ム :EOSは、付加価値通信網 :V ANの 出現 に よってそ の活用 がい っそ う高 ま っ ていった。

この分野 にお けるコンピュー タの利用 が最 も 早い段階での電子商取引 とい う事 になるだろ う。

また1960年代後半か らは金融機 関の業務 の電 子化 が急速 に進 んでいった。 まず最初 に同一金 融機 関でのオ ンライ ン化 が進み 同一金融機 関な らば どの店舗 であって も預金 の出 し入れ が可能 にな り、つづ いてCDの利 用 、公 共料金 の 自動 引 き落 としが可能 となった。 1965年 にアメ リカ で販 売時点情報管理‑POSが開発 され 、顧 客 と の現金決済 を効率化 させ るための顧 客カー ドシ

(11)

ステムな どとも組み合わ さった コンピュータが 導入 され るよ うになった

。p os

は小売店で商品 を売 ったの と同時にその時間、商品、金額、顧 客の情報 な どをデータベース としてま とめ、把 握できるよ うにす るシステムである。 このシス テムの出現によ り、受発注業務が格段に簡易化 され ることとなっただけではな く、顧客のニー ズを数値 としていち早 く大量の情報 を把握す る ことができるよ うになった ことか ら、市場情報 の分析力 を大幅に向上 させ、受発注の予測制度 が格段 に向上 したのみな らず新製品の開発 に活 用 され るまでになった。1973年には各都市銀行、

地方銀行間で為替の取引を可能 とす る全国銀行 データ通信 システムが稼動 し始め、1970年代後 半か らはCDに代わってATMが導入 された。

各金融 グループ内でのオンライ ン化が進み、

1980年代後半以降になると各金融機 関 と、企業 を直接結び即時の資金移動 を可能 としたファー ムバ ンキングが実施 され るよ うになった。今現 在 においてはパ ソコンの各家庭‑の普及 とWW Wの発展、お よび決済システムの確立 とともに 急速 に発展 しつつある(18)。

また運輸業界の電子商取引システムは、30年 前に各運送業者 同士の電子商取引の規格 の統一 が進 め られていた。TDCC (TransportationData CoordinatingCouncil)による規格開発 である。

当時産業のグローバル化が進みは じめていたの と同時に各運送手段間での頻繁な積替 えが行 な われ るよ うになったことか ら、それぞれの運送 業者が個別 に伝票 を作成 していたのでは事務が 煩雑 にな りす ぎて しま うため、同一規格のEDI が どうしても必要になったわけである。 この規 格は1975年 に完成 し、運輸業界の書類手続 きの 簡易化 に役立っただけではな く、他業界か らも EDI規格 の雛型 のひ とつ として利用 され ること となった。 ウォルマー ト社、Kマー ト社、シアー ズ社、 トイザラス社 な どの大手の′」、売チェー ン 店 は、それぞれ に独 自のEDIシステ ムを構築 し た(19)0

次に、貿易関連か らみた ここ2‑30年間の電 子化の流れ をみ ると、以下のよ うになる。 1980 年代には運送証券の電子化の試みが行なわれた。

これ は、全書類 のEDI化 が不可能 なことや

L/ C

条件 とのチェックが難 しい ことで実用化には至

らなかった。 1990年代には技術基盤が変化 し、

インターネ ッ トなどの社会的展開が成 された。

大型 コンピュータによる中央集権的なシステム の時代か ら、パ ソコンによる分散処理の時代‑

の変遷 とイ ンターネ ッ ト関連 ソフ トの発達‑ と 移った。そのために異機種間の接続が可能になっ たので、BolerolnternationalLimitedが設立 さ れ、事業化 に踏み切った。貿易取引関係諸国の 貿易金融EDI取引に対す る環境整備 を持つ こと な く、この取引を可能 とす るための統一的な契 約 を制定す ることで当事者 にその法的基盤 を提 供 し、かつ書類 による現在の取 り扱いをシステ ム的に規制す ることで有価証券のある船荷証券 性の取扱いを可能 とした。

これ ら情報化 に観念的基礎 を与えているのは 何か とい うと、その概念はテ クノロジーが導 く 可能性 によって裏打ちされては じめて成立す る モ ノである。情報通信技術 とは意味の伝達 ・蓄 積 ・処理加工において時間 と距離 を克服す るた めの技術であ り、その進歩の 目標 はその可能性 を限 りな く完全化す ることにある。 しか し時間 の距離の克服 とい う過程が進んでいけばい くほ ど、む しろ克服の程度の優劣は際立ってき、そ れが価値 をもちは じめる。そ うして発生す る社 会的資源 が 「情報」である。

これか らも、商取引が電子化 によってもっ と 大きく変化す ることは、予測がつ くことである。

電子化に伴 って、今まで特別の範境に置かれて いた貿易取引も、大きな商取引の中に取 り込ま れてい く。国境 とい うものを考えたばあい、各 国の法的規制 をどのよ うに共通概念 に限 りな く 近づけるか とい う問題 になるし、全ての国が電 子化 された と仮定 した場合、従来の貿易取引の 中心問題 は、金融、情報 と、物理的な観点か ら 生 じる輸送の3点‑ と集約 されてい くだろ う。

ただ し、電子化 については、各国 とも経済水準

(12)

が異 な るた めにイ ン フ ラの た めの高額 投 資 を ど こまで で き るか にな る と、高度 な技術 を もった 国 とそ うで ない国の際立 った二極分解 が起 こ り、

前述 した よ うに書類 取 引 と電子 取 引 は しば らく は併 存 してい か な けれ ば な らない だ ろ う。

これ か らの決 済 関係 の現 状 お よび展 望 は、物 流合 理化 や仕 入 れ 、生産 、販 売 の効 率化 ・迅 速 化 を経営全 体 で捉 え るSupply ChainManagement の 中に あ る とい って も過 言 で は ない。

三菱東京UFJ銀 行 佐 藤 武 男 氏 が主 張 され る よ うに銀行 は貿易 の川 上 か ら川 下 ま で の様 々 な分 野 で 、 フ ァイ ナ ンス に とま らず 、 幅広 いTrade Solutionを企 業 に提 供 す る こ とが求 め られ る。

同様 に貿易 にお いて も輸入者 、輸 出者 、船会社 、 通 関業者 な どの貿易 当事者 の電子化 が独 自に、

また銀行 を伴 い なが ら進 んで い る。

SWIFTのTSUは世 界 の グ ロー バ ル ス タ ンダー ドにな り うる もので、銀 行 間 の メ ッセ ー ジ電子 化 か ら入 った もので あ るた め、浸透 力 は十分 に あ る。 だ か ら、貿 易 当事者 がTSUを活 用 す る こ とで、企 業 のサ プ ライ チ ェー ンマネ ジ メ ン トや 船 会社 、通 関業者 の電子化 ネ ッ トワー クの同 じ 土俵 に上 がれ る よ うに なった。

銀 行 はTSUを活 用 す る こ とで 、伝 統 的 なL/C 決 済 と送金 決 済 に加 えて 、第3の貿易決 済 と し て のTSU決 済 を創 出 し、 フ ァイ ナ ンスや 各 種 貿 易 サー ビス の強化 につ な げてい くこ とが大事 で あ る。 また、今 後銀 行 間 の貿易 デ ー タの電子化 であるTSUとアジアの荷主 と税 関の間の貿易デー タの融 合 が 図 られ る こ とが 、真 のSupply Chain Managementの発 展 の た め に必 要 で あ る(20)。

24 国際経営論集 No.38 2009

(1) 『ジェ トロ貿易投資 白書2008年度版』 ジェ トロ発行2008年9月p.1

(2)同携 白書 p.7

(3)前携 自書 『ジェ トロ貿易投資 白書2008年度 版』p.25

(4)前携 白書 『ジェ トロ貿易投資 白書2008年度 版』 p.ll

(5)前携 白書 『ジェ トロ貿易投資 白書2008年度 版』 p.12

(6) The lntemationalChamber ofCommerce

"Unifわrm Customsand PracticefわrDocu‑

mentaryCredits"

(7) "SubjecttoUnifわrm CustomsandPractice for Documentary Credit (1974 Revision) IntemationalChamberofCommerce,Publi‑ cationNo.290"の文言 の導入 に よ り、各銀 行 は この信用状が改訂統一規則 に準ず るか 否 かが決定 され る。

(8)拙稿 "BusinessNegotiationasthecoreof the lnt'lBusiness Communication"神 奈 川 大学国際経営論集第23号2002年p.252 (9) "subjecttoUnifbrm CustomsandPractice

forDocumentaryCredit(2007Revision)Inter nationalChamberofCommerce,Publication No,600"

(10) 『ICC荷為替信 用状 に関す る統 一規則及 び 慣 例UCP6002007年改訂版』 国際商業会議 所 日本委員会 2007年2月p.15

(ll)同携書p.58

(12)前拙 稿 "BusinessNegotiation asthe core ofthelnt'lBusinessCommunication"pp254‑

255.

(13)POLINET:船会社 、 フォ ワ‑ ダ,検数 ・検量 業者 を結ぶEDI

S.C.Net;企業 と船会社 を結ぶEDI 全銀 システム ;国内の銀行 間を結ぶ

E

DI SWIFT;国際間の銀行 を結ぶEDI

フ ァー ムバ ンキ ング ;銀行 と企 業 を結 ぶE DI

(14)2009年4月7日 海事新 聞

(15)これ はEDEN;ElectronicDelivery Negotiable Documentsとよばれ通産省 の電子 商取 引共 通基盤整備事業のひ とつ として、1972年 、 情報処理振興事業協会 の公募 に よ り採択 さ れ た。 このプ ロジェク トでは、船荷証券 、 商業送 り状、梱包 明細 を電子化 し、船荷証 券 の発行 、買取 り処理お よび貨物 引渡 し、

そ して船荷証券 の回収 までの貿易金融取 引

(13)

にかかわ る業務 を電子 的 に処理す る実験 を 行 なった。 EDENプ ロジ ェク トの成果 はプ

ロジェク トに引き継 がれてい る。

(16)佐藤武男著 「貿易 の電子化 の動 き と銀行 の 対応」GLOBAL Angle2007 5月 三菱 U

F

J

リサーチ &コンサルテ ィングp.13 (17) 同掲雑誌 p.14

(18)井上英也著 『ェ レク トロニ ック ・コマース 入 門』 日本経済新 聞社1998年pp26‑29 (19)前拙 稿 "BusinessNegotiation asthe core

ofthelnt'1BusinessCommunication"p.263‑ 264

(20)アジアの電子貿易化 、

(DpAA(Pan Asian e‑commerce Alliance)の 概 要

アジアのクロスボーダにおける電子貿易ネ ッ トワー クで各国の税 関のア ライア ンス (塾pAAは荷主間の貿易デー タの電子化

③ アジア経済圏 にお ける通 関な どの電子貿 易取 り引きの唯一のネ ッ トワー ク

④安全 なIT基盤 の構築 と、貿易 のシー ム レ スな環境 の提供 が 目的で ある。

⑤設 立は2000年7月 で、 メンバーは 日本 ・ 中国 ・韓 国 ・香港 ・台湾 ・マカオ ・シンガ ポール ・マ レー シア ・タイ の9カ国で、ア ジア26万社 の貿易 関連企業が顧客 となる。

⑥ 日本では、港湾EDIシステム、Sea‑NACCS な どを接続 し、関係省庁 の手続 きを一つ の 窓 口でで きるよ うに して、貿易手続 きの簡 素化や電子化 を官民で行 う音頭 をTEDIClub が進 めて きたが、NTTデー タサー ビスが共 通Gatewayをめ ざしてい る。

前掲雑誌 「貿易 の電子化 の動 き と銀行 の対 応」p.16

参考文献

アマーテ ィア ・セ ン著、杉 山武彦訳 『不平等 の経 済論』 日本経済新聞社、1977

アマーテ ィア ・セ ン著、大庭健 ・川本 隆史訳 『合 理 的な愚 か者 一経済学 一倫理学的探究』勤草 書房、1989

本 多光雄著 『産業集積 と新 しい国際分業』文真堂 2007年

秋 山憲治著 『米 国 ・中国 ・日本 の国際貿易 関係』

白桃書房2009

InternationalTrade‑Selected Readingsby Jagdish N.Bhagwati1981

小島清著 『世界貿易 と多国籍企業』創文社1975 猪谷善一著 『国際貿易の理論 と政策』文化書房博

文社1977

久保 田順著 『貿易の理論 と政策』新評論1972 小峯登著 『信用状統一規則』ICC東京1966

『信用状 の知識』ICC東京1974

1ccUnifわrm CustomsandPracticefわrDocumentary Credits:UCP500

by lntemationalChamber ofCommerce The WorldBusinessOrganization

ICC荷為替信用状 に関す る統一規則及び 慣例1993 年 改訂版No.500

ICC荷為替信 用状 に関す る統一規則及び 慣例2007 年 改訂版No.600

1ccUnifbrm CustomsandPracticefわrDocumentary Credits:UCP600

by InternationalChamber ofCommerce The WorldBusinessOrganization

JETRO貿易投資 白書2008

社 団法人 日本貿易会 『日本貿易 の現状』2009 井上洋著 『信用状の実務手続 き』 同文館 出版2007 井上能行著 『電子決済 システムの しくみ』 日本実

業 出版社2000

高橋秀雄著 『電子商取引の動 向 と展望』税務経理 協会2001

ⅥW .bolero.net

参照

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