翻刻『名筆傾城鑑』(上)
著者 翻刻の会
雑誌名 同志社国文学
号 45
ページ 32‑62
発行年 1996‑12
権利 同志社大学国文学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000005154
翻刻﹃名筆傾域鑑−︵上︶三一一
翻刻 ﹃名筆傾城鑑﹄
︵上︶一︑底本には︑関西大学図書館蔵の七行七十六丁本を用いた︒
上演 宝暦二年︵一七五二︶三月廿三日初演︒大坂竹本座︑座本竹田出雲撤︒ 作者 吉田冠子︑中邑閏助︑三好松洛
奥書 竹本大和撤宗貫︑竹田出雲撮清定
版元 山本九兵衛︑山本九右衛門︑鱗形屋孫兵衛
丁付同畠−圃川国.同畠由凶・−■・同凶・回副三十・同呂・同目目・同目﹈ −囹閨
●二︑底本を忠実に翻刻することを原則としたが︑次のような校訂方針に拠った︒
1 本文は文字譜を手掛かりにして︑適宜改行を施した︒ただし︑道行・景事の類等では改行しなかった︒
2 各丁の表.裏の終わりは︑丁数の数字とオ・ウの略号を︵ ︶で示した︒
3 仮名は現行の字体に統一した︒ただし︑感動詞︑送り仮名︑捨て仮名の類以外の︑本文中の﹁二﹂
﹁に﹂﹁は﹂﹁み﹂とした︒
4
56
7
8
9 漢字は︑一部の異体字を除いては︑原則として通行の字体に統一した︒漢字.仮名ともに︑誤字︑脱字︑当て字︑仮名遣い︑清濁は底本の通りとした︒特殊な略体︑草体︑合字等は現行の表記に改めた︒畳字は︑平仮名は﹁︑一︑片仮名は﹁・一︑漢字は﹁々一に統一した︒ただし︑﹁く一文字譜の類はすべて採用し︑本文の右傍の適切と思われる位置に翻字した︒底本の不明箇所は適宜同板の他本で補ったが︑特に断らなかった︒ ﹁ハ﹂﹁︑︑︑﹂
はそのまま残した︒ は
三︑本文の翻刻は︑次に掲げる翻刻の会︵学部学生の研究会︶の会員によってなされた︒
小林美奈︑石川千里
文字譜︑改行︑本文の最終確認は山田和人が担当した︒
※ 翻刻の続きは次号に掲載の予定である︒
なお︑関西大学図書館には︑翻刻の許可を御快諾賜わりました︒記して感謝申し上げます︒
︵山田和人︶
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶三三
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶ 三四
駿のの騎名筆傾城鑑 岬叡トの段
欣一ルキン中 ノル 一ル 中 ハル中 合ウキン 募ス ハル7シ 中 砕︑き君が心は今っく︒はねの空に︒こがれて物思ひ︒一トニタ三イ四ウ世の中も︒あら玉の春︒にぎくと︒佐々木六角殿の都
ハル 中 やかた ひめぎみ なぐさみウ つまおと 小ヲクリ よ 二いた ハルフシ 中 ウキン みね 中の館︒姫君いてうの前のお慰︒奥にしらべの爪音に合す︒女中の珊子板の︒ゑにしをこめて︒っくばねの峯よりおっるみ
フシなの川︒屋敷ぞ︒恋のさかりなる︒
地ハル たきの 色 洞 らう じやうぢう そば すひなふく瀧野殿これ見やしやんせ︒此羽子板の上繭のやうに︒常住男の傍に吸付て一一オ一居るは︒浦山しい事じやない
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かた ウ ウ にほ フシ どうしの形︒よい男見る下心ちらめく花の咲匂ふ︒女コ同士ぞさはがしき︒ ウ
地ウ かの・ ハル 中 ウ かの 戸
程なくお次に足音トして狩野々四郎次郎元信︒姫君のお召シにて参ン上とほのめく声︒そりや彼人よと女中達︒餌を見付ヶたハル ウ ︑レ ︺削かた・み とも中ひろ ウ ゥ しゆすびん わかる小鳥のごとく︒一ニオ一俄に畳さはくく︒春風と倶に入ル広間︒いため付ケたる上下モより生れ付イたる矯子婁︒若
な ウ ぼん ウ フシ菜は心得たばこ盆︒前に置しなふり返りちよっと顔見て入跡へ︒ ウ ウ灘野が持くるせんじ茶の恋ポ顔に見釦もと・戴からさきへ気を付ヶる︒鱒の聾磁りがいそく蹴出る︒漱もせぬ火
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成て・服に引付てゐたいといへば︒わしやあの人の帯に成て︒腰にひったり抱付たいといふも有︒あつたら男の悪性らし ハル きず 地ハル 中 ウ どく せき まぎら はいふき フシいに似合ぬ︒かたいのが︵ニウ︶玉に疵とつぶやきさ・やくそしりはしり︒我事なめりと気の毒さ︒咳に紛し灰吹をめつたにた・いてゐる折ふし︒ ハルフシ芦九なる馨の微ろ織ぴも・雛に・箸さ翻き献に置・レとやかに手をゲいて︒絆はお姫様のおぐし上藤ばかまと申ス者︒
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なた様・いつぞやよりいろくとお恥の人おつ彫ねのすい程す・めてもどふでもお受ヶないとの事︒ポとしや姫君は余
りの事に恋こがれ︒私をおねまへ召シヤイ藤ばかま︒せめての事にそちなりと四郎二郎と名を付ヶて︒心ゆかしに抱て寝よ
そちもおれを抱キ︵三オ︶しめて︒姫かはいひといふてくれともがき事がおいとしさ︒とんと下タ紐打とけて︒ねる程だく 色 ウ ウ かな 胴程しめる程ふたりの心せく計︒どちらぞ男に成リたいといふても泣ても叶は︑こそ︒なふ大名の手わざにも有ルベき道具の ウ 7一ン越ぬのは・警んな物とて乱つかる︒鵠からにいなせの返ン事聞切リ参れとのお使︒わたしも一チ分ン立ツやうにお返ン事なさ
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翻刻﹃名筆傾城鑑−︵上︶ 三五
翻刻﹁名筆傾城鑑−︵上︶ 三六 ウ轟ひ騨島みに付ヶ籏に余釦合ながら・戯・お返一事申一一一とく識蟹のそねみと申・驚に繍予事世問のあ聯り・よ
きげんちが 地ウうらみ ︑レ ウ と星し 色 胴し御機嫌に違ひいか様に仰付ヶらる・とて︒御ン恨侯まじ御請とては嚇がたし︒よき様にお執成頼入ルとぞいひ切たる︒ハ
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女房が有ルと申なば︒お胸のはる・事もあろ去ながら︒其女房は何者とごどをつかる・念ンの為︒今こ・で私と夫婦かため
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洞さんえ しゆび いとま きこく しやうぐん寸 ゑしえこく参勤の問事故なく首尾よく御暇給はる︒明日帰国すべき間其旨残らず申渡すべし︒扱将軍家の御用に付キ︒絵師雲谷に申
地ウ ハル したが は せ ペ フシ付クる事有︒呼出せとの仰に従ひ︒長谷部ノ雲ン谷御前に出︒ 色地ハル うか︑・ 胴 よしてる おうしうたけぐま御用いかにと伺へば︒此度将軍義輝公風流の御ン思し立チ有て︒日本名木の松の絵をあつめ給ふ︒中にも奥州武隈の松は︒
あまたムち づ か・ ぢやう とさ しやうげん日本第一の名木にてかき得る者なし︒義賢こそ名高き絵師を数多扶持し置ク由︒此図を画せよとの御詫︒土佐の将監光信
たんれん かんどうは鍛練の絵師なれ共︒子細有ツて勘当致し置ク事︒将軍家迄も聞へたる事なれば彼レには申シ︵五オ︶付ヶがたし︒雲ン谷が
ちから かき たけぐま あつはれ じた・ 地ウ ︑ へんたう ハルカにて画得べきやと有ければ︒ハア・︒成程く武隈の松︒天晴画キ認め差上クベしと︒事もなげなる返答に︒山三かぶ
色 洞 のふゐんほうし ゑいりをふりイヤく︒かるはづみの請合其意得ず︒能因法師も武隈の︒松は跡なく成にけりと詠じて︒今の世に誰レ有ツてし
つ てい か︑る者なき名木︒そちは其図を覚へて居るか︒イヤ覚へは致さぬ︒惣じて絵の法は絵そらごと・て︒有リ体には画ぬ物︒武隈
かたち ちが かいの松は名高き名イ木︒然れば松の形は違ふ共︒何ンで有ふと見事に画たが武隈の松︒今の世にない松なれば︒そふでないと いつはとがめる者もなし︒イヤくそふは成まい︒武隈の松でもない物を武隈の松一五ウ一といふは︒将軍家を偽るといふ物︒ 地ハル りやうけん たしなみ フシ せきめん其了簡では心もとない︒嗜めされと一トロにやりこめられて赤面す︒ 洞地中 ふすまハル ウ 中 あさい かたちうしろの襖押シひらき︒四郎次郎御前にひれふし︒委細あれにて承はる︒武隈の松の義は︒我等も兼て形を見たく存る所︒
れいむ かうむ つるが おもむく つげ 地ウ夜前ンふしぎに天満宮の霊夢を蒙り︒武隈の松を見んと思は︒越前の国敦賀の浜辺へ赴べしとの御告︒今日此義を承
ウ ウ かた︷\ふか ハル ウ かの おもむ ウはるも妾 深き天神の御引合せ︒あはれ此絵を我等に仰付ヶられなば︒彼敦賀に赴き松をとくと見とけて︒此度の御用
スヱテ 中にたち申スベしと思ひ︒入てぞ願ひける︒
地ハル色 詞 さし道犬あざ笑ひ︒武隈の松は奥州にこそあれ︒一六オ一越前一いて見セけるとはみすくの作り事︒菱の絵師雲ン谷を指
翻刻﹃名筆傾城鑑−︵上︶ 三七
翻刻﹁名筆傾城鑑﹄︵上︶ 三八
しろと たいせつ りよぐはい置キ︒やうく此比お出入の素人絵師︒太切の御用承はらんとは慮外千万一︒菱一立テとねめ付クる︒イヤくお待チなさ
れいむかうむ か・ さしづうたが 地ハル中 胴
れ道犬老︒四郎次郎が夜前ン天満宮の霊夢を蒙りしは︒元信に画せよとの神の指図疑ひなしと︒聞て義賢打うなづき︒神つげ したが おもむ ゑがき 地ウ ハル めんぼく けい ウの告に従ひ四郎次郎に申付クる︒早く越前に赴き︒松を画指上クベしと︒座を立チ給へば元信は当座の面目身の大慶︒絵 ウ 中 ウ さいしき そニ ニくびやく ウキン とく ハル合 上のあらそひも墨絵にてかざる詞の彩色や︒底の心の黒白も︒白きを後チと花の雪解る︒春こそ三重へのどかなれ︵六ウ︶
第弐松の段
ハルフシ ウ 中二し うみぺ 中 け ひ やしろ けいだい ハル ゑんき ウ とう にうゑ きせん ウ よしずハルがすみ越の海辺に︒けいの浜気比の社の境内に︒天満宮の御遠忌速一チ万燈の大法会貴賎も︒髪にきさらぎや︒日和も葭賢春霞︒
ウ フシ 地色ウ ウ軒端ふく茶の香にめで・︒往来も足を休床︒植 かへて︒育る花や誰レをかも︒しる人にせん︒此里の︒松と成しも︒親
小ヲクリ 本7シ 地色ウ ハル ウ フシの為うられ︒かはれて北国に︒名を遠山と呼れしも︒人にのぼれの恋の坂おろしあゆみの道中は︒花の立木の其儘にぬめり
ハル出たるごとく也︒
地色ハル てうし 胴 けつかう らいかうヲ︑イく二上り撃の声高く︒是はく大夫様︒なんぼ程結構な夢を御らうじたやら︒いさみ一七オ一すえでの御来迎︒
しゃう かムろしゆ こしら そろへ たけ夢合の振舞やら又はお祥月也︒八百五十年の法会とて︒家内の禿衆を此やうに搾へ︒揃のか笠しっかいしめぢ山の茸
がり せい ちわ狩︒ヤもふ祭天神様じや︒コレく禿衆︒かんまへて夜ルも眠らずと手習を精出し︒千話文のあがる様に︒又あなたを頼
︒ むしつ 地ハル 色 胴 かまめば無実の難ンを受ヶぬげなと︒いへば弁弥がヲ・おかし︒わしらが事は構はずと︒おまへのか・んす事を頼んだがゑいは
ことぢいな︒ム・おれがかくとは何をかくぞ︒ハテ引舟の若葉様に付キ合て居てから︒むかひの琴柱様にふられて︒大きな恥を
まんかえしたじやないか︒ノフ勝一野三弥︒それくこちらもようしって居るぞへ︒コリヤゆるせく︒弓矢八幡大明一七
ウ一神さらく鵬八覚がない︒そりや皆無実といふ物じや︒ソレ見さんせ︒たった今いはんした︒わしらが事よりおま一の たしなま身に・緊恥をかくやうに頼一だがゑいわいの︒ホニニ︒こりやあの子らがいふ通り︒皿八様ン嗜んせく︒コリヤ 地ウ あげ あやま徹つない︒テモちっぽけな形リをして︒此皿八に一本ンさしたな︒ゑいく此意趣ばらしは待て居や︒水揚の時おんもさま誤
・レ 中 詞 すらしてこまそふぞと︒瓜は達ツ者で手はもぢく︒ヤ申シく大夫主︒おまへは子供衆連レ立ツて早ふお参り︒我等は又其間 ハル りやうり 地ウ いは すニ フシお料理を申付ヶて置ませふ︒ヲ・それく︒わしも大事の神参り祝ふて酒を過していなふ︒サア皆おじやと引連レて宮居の
︑レ フ一ン方へ皿八は︒茶屋が葭賢へ別れける︒
地︑色中 ︑レ ゥ たび中 ウ つか づ・獅卵か酊郎︵八オ︶次郎元信︒剖嶋家の仰を受ヶ︒越前の国けいの浦へと旅羽織︒我レは笠きて大小の︒柄にも袋きせる筒
藩がこしの白山も・弩うっらふ・崩塀・激の尾と師の腎やくし︒麟こぼしたる花重がさねくし誰屋が︒瀞もあ
フ一ンっきかんなべの︒敦賀の浜にぞ着にけり︒詞 いにしの会ん よみ 筆 ウヤイ寄之助︒道々もいふ通リ︒奥州武隈の松といふ名木は︒古へ能因法師さへ跡もなしと詠たれば︒名のみ残って印シなし
亀を醜顕はし・誉一をゑさせ給はれと天満宮を梢りし肝に︒諦隈の松を見んと思は・︒越前の国けいの浜辺に行べしと︒
あらたに繁を議れ共・芹は騒熱は露・何をしるべに尋ぬべき︒一八ウ一あはれ里人来れかし梛とはんと呼はる声︒ 色黙聞クより赴り出・肝の者に御用とは扱は都の緊な︒さればく︒御覧のごとく都の老松を尋る子細有︒此所にも名高 ハル もし 地ウ いそき松の侯らめ・お拠へてたべと有ければ︒此敦賀の町に名高き松の侯が︒若も左様の成ル程く︒それこそ尋る名イ木よ急いで
見せて給はれかし︒ヤァく︒早あれ一御帰り︒我等は酒の菅丞相みき天神を三拝九拝︒是にお待チと言捨て︒又もよしず
翻刻﹃名筆傾城鑑−︵上︶ 三九
翻刻﹁名筆傾城鑑﹄︵上︶ 四〇
へ入にけり︒
地色中 ウ 7シ ハル 中高き名の松の門ト立チ立なれて人待チ顔に立帰る︒
地色ウ 地ハル遠山を見て寄之助コレ申シ︒曇島がそれそこへ︒それくといへば畔郎次郎・押ア何ンと松が見一たか顕はれたか・勇し ウ ひやうし 色 胴 讐 ハル寡 ウとめんとふっと立ツ拍子にはた︵九オ︶と行当り︒是は扱松かと思ふてはまった︒本ンの松を尋んと行違ふ︒袖をひかへて
チ申ン︒秋は遠山といふ傾城︒京の磁わの松様一達と銚ぺさんすがふかくの塾り山かし轟なお方には松と見られて鰍しう
フ一ンない︒杉といはれて腹立タず熱の木共磁き共︒ポほうの木共見さんせと・ぎ蔀なしの一冒捨は戴一よねとて笑はれず・ ウ地色中 きげん ︑レ
ヲ︑御機嫌そこねしは御尤︒げにく松とは大夫様︒我等はわるう心得茱襲な御嚢・まっぴらく排警ふを御縁
ンにお近付キ︒我は狩野・四郎次郎元信と申ス者︒去ルお方より武隈の松の酢を仕れとの仰・則チ天満宮の驚に任せ・此所
︑レヘ参つて名有ル松と尋しを︒枯夫様と露へ是は一九ウ一かうも有ふ事・卸︒乃う鰍次手にが付合イも鮒ま評・願ひの叶ふ便−
ウ せ わ フシもあらば︒御ン世話頼︑︑︑奉ると思ひ︒入てぞ語らる・︒
碧ハル ウ ウ つら ウ ウム︑扱は四郎次郎元信様にてましますな︒恥を包も時による何を隠さんわし事は︒土俸ノし榊う蹴糊徹が娘がるが・炉は一ト ウ かんき ハル うきとせいウ しづ ウ すい 色 胴 のたま づとせ勘気を受ケ今浪人の憂渡世︒此身に沈むは申さず共推して泣て下さんせ︒扱とよ只今宣ひし︒武隈の松の図は︒土佐
の家の欝なれば灘す事は叶はね共︒此比ふしぎや天神様の夢の部・狩野といふ人下るべし・武隈の松を嬢せよ父が出・
世の鶴ならんと︒暫はまさく正夢と︒語りもあへぬに四郎次郎・ぎ枇し地を織し・く溝の絵筆絵絹を取一十オ一甘 ウ ウ たごん でんじゆ ハル よぎ 胴 つた ゆるし︒中々他言は致すまじ御伝授なされ下されよと︒余義なく頼めば︒ハアいかにも伝へ申さんが︒親の赦しもなき中チに筆
スヱテ 地ハル あん わづら フシ取ル事はいか︑・也︒ハア・何とせんかとせんと案じ煩ふ折もおり︒
サく大夫様・一一蹴尋て居やんしたと・搬肝る惑ろ共・でそれよ思ひ付イたり︒沸のお供の人のむチ姿を︒松の立チ木に 色
多ら ウ うっウ ウ うつ やつこ 詞 −・
準へ幸イ子供が都た笠を︒松の枝葉の笠となし麦にて移し見せません︒それにて写しとめ給ヘコレそこな奴殿︒菱へこさ ウ やと 地ハル 色 ハル づ せうぎ ウんせ雇ひましよ︒コレかうくと知ラすれば︒ナイくく︒手ふる頭をふる年ふる松の︒床几にか︑る腰付キに︒千年ンの ラクリみどりうつ さくゐ緑写せしは作意︒へなりける次第也︒ 小ヲクリ熾一歌人一の見立一には・一−本−松を一一−木共三木とつらねし註の葉の︒一十ウ一それは老木の緊一なれど窮す︒へ若木の︒
りよぐはいサこのくく・此麟のふし松のふし︒前へぢすりの下枝にぬつと出せし片足は︒慮外千万ン千貫枝︒筆捨枝や久かた
宣めウ フシ かぷろ 中ウ 一ルウキン 中 ウ ・ 一ル
の天津・乙女のかたくま枝や腰かけ︒枝の禿松︒勝野弁弥がさす笠は︒月にさはらぬ枝々の︒さ︑れ小枝の松かげを︒サ ウア榊こぐ舟の晦の・概の見へて・デ洲いなには譲の枝︒お縦むる手には不茅枝︒たれて雪見のひかへの枝︒これくく ハルフシ 中 ウ ひじやうフシ った 中 ウ ハルく・ずっと卯びたるながしの枝︒三弥うこんに花之丞︒松は非常の物だにも︒伝へし心の︒色はなをさながらせいくでウ フシうくとして︒松の生キ木のいきくと若やぎ︒立る其ふぜい︒
鎌は一曾がひなくかきつらねたる嚢は・いづれ多し絵いづれを立一十一オ一霧ひつべうぞ見一にける︒
︑レ ウ
地色中ウ いた暮 よら ︑ンう 中 ひと一 ウ ハル言
元信絵図を押シ戴︒扱々思ひ寄ぬ御方に廻り逢︒秘蔵の名木を写し取ル事︒偏に天満宮の御引合セ︒有がたし恭しと巻納 中 ウ 祠ノリ 地ウめ蹴い帖し・嚢帰−村ン麟をとげ軒スベし︒此蹴には御身の上︒わけて父御の御事も受ケ取申さん︒万ン事の礼は国本トより心もせけば柵さらばと・並上るを卵と・め・榊の警に任せしからは恩一にはかけず去ながら︒嬢は伝授縁は縁︒先キ程
翻刻﹁名筆傾城鑑−︵上︶ 四一
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶ 四二 もしより申せし通リ打つ︑く夢のふしぎ︒若と・様ンがもとの様に御出ツ世をなさる・か︒又は我身に此年シ月思ふ願ひの叶ふの
地中ウ ハルもふで轟 ウ ウ ウ ゆる 芒ヘ ウかと︒心にいさむ神詣︒ふっと見初メし殿御ぶりいとしらしやと思ふから︒親の免さぬ口伝の絵教た心を櫛り鼓つして・せめ
ことかはいひ ウ たんのう 入 中 かへ 7シ まじて;目可愛と︒いふ︵十一ウ︶て足納さしたがよいとじっと取ル手をしめ返し︒わりなき中のぬれ姶め︒
地色ハル
そぱ 色 胴 あ婁 わぴ つき 讐 ハル
傍にましくし婁助︒こりやあなたのが皆尤︒旦那一番ン誤ってお詫くと突やられ︒こける拍子に搬き付キ・rの思ひ武フ一ン隈の松をゑにしの始メなる︒
僻い簾の皿八が︒押つちやく遠山様・奥から絃見て居たが笠の御離どふもく・子供みやげの薯の花笠天神花・
色 胴ノル 地ウ ハル すま りやうり よし かぷろ是から始メた事であろ︒天神様の縁ン日に御縁のふかいお二人リ中︒此分ンでは済されまい︒料理のかげんも葭やが座敷禿
衆お夢合点か︒サァくお出を幸イに名木ならねば畔郎次郎・ギとお礼も申一為然らばちよつとお盃・箏は麦にとい 7シ ウ さそふしほのひかれ︒誘はれ入にける︒
地色ハル 色 祠 つよ たつしや つぼ 書
跡をながめて寄之︵十ニオ︶助︒アノ旦那とした事が︒いかに筆先キが強いとて︒野でも山でも達者なわろ︒壼の印ンを押いはれざ 地ウ ハル せうぎ ハルフシ 寸ひウフシ 地色ハ〜らうどうる︑謂カ今しれたと︒ぶっ︑きく腰さげの︒たばこ一ぷく床几のはし︒見はらす蟄の浜伝ひ︒不察郎等犬上団八同
しくゴ一八︒駅を付ヶくる鳥井の歓先キ︒ダくと見すましデヤ三八・瀞城の四郎次郎め・ばらしてしまへと伴左殿が
地ハル頼まれた︒此三八は雲ン谷殿から頼まれた︒先ツニ才めからかた付ヶんと︒鐵くデヤや鮫︑・薪の融麟にいっち苧た 地ハル
さ急う ウ ウ 功室 伯で
作り松︒両枝切て切さげると︒双方一度に切かくるを︒持ツたるきせるで丁くく︒た・き落され両方より︒掘か一る腕 洞 にぎ かいぞく しゆかうおもしろ先キ握り︒海賊めらが手てんがうこりや何ひろぐ︒ヲ・松の趣向面白かつたそれで︵十ニウ︶うぬめを︒ヲ合点・今ま一チ度 ■まよ 地ハル ウ見たくばまつかうく・かふ繊るが捻松猿松︒かふく上るが見こしの松︒そこを遺すがそねの松︒腰骨ぽんと吹上松ころ
うすボもち ウ 帥ろ −ル 色 ウ ゆる 一ル
り一くと榊の木臼︒尻餅っいて二人はほうく︒落たる刀拾ふ間にだんびらひらくコリャたまらぬ︒叶はぬ赦せと犬上兄ハツ︑ミフシ弟逃ヶぼへしてぞ立帰る︒ ウ 色壌く迄もと望助刀ひ搬げかけ行を・デヤ待一々と四郎次郎・静も諸共に鵠ても留らぬ紫の若者︒や卿に搬き留︒詞引 7シカ︑リ ちんてう づくろ 合 ハルウっする所道犬親子が廻し者に極ったり︒血をあやするは神への恐れ︒けがのないこそ互の珍重いさ帰らんと身繕ふ︒名残
つき 合肚奏 書色︑上 ジニひ 地一ル 色 祠ノリ ・
尽せぬ遠山が︒離がたなき︒こしぢの雁さらば︒くの暇乞︒コレ︒必外に内義様持ツてばし下さんすな︒奴殿頼ムぞへ地ハル ウ むす ウ︑何が扱く︒天神様より大夫様追一付おふたり一十三オ一れんりの松︒島台持ツて取結び︒千年ン万年ン万々年︒とぢ付キ引ツ
キン やに はなれ ウ ノル 上 上付松脂の離ぬ中を引わけて心︒残して︒三重へ別れ行
す.︑・り 第三 硯の段
︑レ ウ
欝ピ慧・辞嶋のム々木欝の紗静︐霧御前一・彫君警の前欝の絵の御撃︒雌比ならひしかる書キを影君のお
賊さみと・鮒もとよせてふくさ紙鮒き慧もポ中の・購次郎元信に一一ひそめたる蜜のくまのいどけなき︒評の遊びぞ︒
フ一ンやさしけれ︒ いもせ よみ讐っくぐ絆らんじて・でけいこに瀞が出る程有ツて︒此かる書キのおし鳥は見事そふな︒歌にもおしの妹背と詠夫婦 地ハル ・つゐ ウ中のむつまじい鳥︒姫も追付ヶよい知耳君取ツて︒いもせの︵十三ウ︶中をむつまじう︒初孫見せて下されと仰嬉しくいてう ウ ウ こしもと ウ ウ フシ 一の前︒帥からが絵の上ヵつたも師匠がよさ︒ナア秘 共と四郎次郎元信と︒わりなき中を絵によせて︒母にしらする絵そらこ
翻刻︐名筆傾城鑑﹂︵上︶ 四三
翻刻︐名筆傾城鑑﹄︵上︶四四
とO地色ハルつぱね そぱ 色 胴局お傍に小さし出て︒ほんに元信様は気立テがようて︒なんくせのない殿ぶり︒したが耕升も弟子による・今藤ばかまの
カ たけ 青号 ハル 色 胴書きやった此松茸はざんげな形︒ほんに不形リな松茸じやと︒どっと笑へばみだい所︒イヤく絵書キ花絆びは誓ぜの
もてあそ おろか 地ハル翫び︒姫の気に好ク事ならば︒絵は愚何なりと︒心任せと姫君の恋路をしったる詞遣ヵひ・ポさぬ中でも子を思ふ・郷の
心ぞ有がたき︒
地色ウ折から狩野の四郎次郎お召シによって参ン上と︒郁上クれば︒で其元信毅有ツて召鵠たりと・職の箱をうやく敷ク置給 中 ハル らう ハルフシ 中ウ ゥ ゥふ義賢卿︒一十四オ一竹の問の長廊下︒小腰をか・め︒四郎次郎確刀の螢ぶり迄・詳様の眺んぬき男・繊かさがって榔中ゆ
︑ レ ノノ フシれば︒姫君は気もそ︑・ろ︒打もよりたきふぜい也︒
地色ハル 色 胴 婁 しゆび さつそく義賢元信に打向ひ︒其方が業にもあらぬに︒松の図を首尾よく仕りたるによって︒早速名護屋山三に持タせ上瀞させ・義輝
公の御上覧に嚇へしに︒御撃純めならずと︒山三が方より部しらせり・愁以一て汝がは鱗き出かしたりと・仰に元信頭をさ
・ 胴 ぐは二う しゆぴよく ;た めぐみ 地ハルげ︒御意の通リ画工にあらぬ某︒武隈の松の図を首尾能仕リお・せしも︒全く神の御恵と︒申上クれば・ヲ︑神ン妙なる軒
胴 もし墓しげ 芝ぞ つか
シ分ン︒其方が狩野の名字は若︒宗茂の末ならずや︒ハ・ア仰の通リ先祖は頼朝公に仕へし狩野々助宗茂・親狩野の榔瀞迄将軍家太仕一しが︒某裟の時蟹の一十四ウ一蟹によつて父は浪人ニチ類の叙︒がくによつて人と成一たる某・麟の御意お
︑レ ︒ ウ ちぢよく ウ フシもき故元信が身の上を︒申シ上るも先祖の恥辱︒面ン目もなき御物語と︒詞に氏を顕はせり◎
祠ヲ︑さも有なん︒某が先ン祖は佐・木の四郎高綱︒代かはり時税りしが︒昔は源氏に融をならべし狩野佐々木・さすれば其
しやうりう だん方も恥しからぬ氏剰彫︒定メて某が家に硯有ル事聞及ばん︒石キ中に小龍住ンで不断硯に水た︑へり去によつて雲龍の硯と
形く・先キ達ツて将軍より御嚢有一て指上ヶしに・高嶋の家の鎮つ當故硯は義賢預り置ク︒先ン年我家の聾︒小栗宗丹土佐ノ
ニうろん かんどう 隻れ はいけん将監・此硯を達ツて望ミロ論に及び︒両人共に勘当せしが︒此度其方松を書キ得し誉あれば︒彊を拝見させんず︒又是成ル
ふ灘まは小栗土佐が一十五オ一筆島そひし竹の林・此雲一龍の硯にて虎をゑ醗き︒神一劇に叶ふ名筆の︒勲を末ツ世に顕はせよ ハル
つたなひた 地ウ じかへつ りよぐはい中
と︒僻けはつとぴれふして・が・る和併の御硯に拙き筆を浸さんは︒恐れ有レ共辞するは却て殿への慮外と︒硯引寄セ︒ 讐 ・レ 色 詞 二こん ぐま は︑ふり 地ウわざ劉ポりながし・灘い拷より用創の絵筆取リ出し︒小栗土佐は古今の名イ画︒其上を書よごすは偉有ルににたれ共︒其業ならウ 加ハリ らいゐ ハル f づめウ
ぬ元信と・灘ま戸に立向ひ︒ざらくくと墨絵の虎︒でんもく雷威の眼コの光り︒いかり毛いかりふいかり爪︒生ケる誓 ウ フシ ︑レ ウ き ゐ ハル きどくとく寧ければ・剃一龍の硯の水吹キ上くまき上クる膨のいどみ︒元信は我ながら︒奇異の思ひを義賢みだい奇特を︒かんじおはします︒
ザる所一不脈の道犬・概前ン問近メ出・斯殿の御名代として将軍義輝公に御め見へ︒御離の次第一チ・一十五ウ一聞シ
召シ分られ・煮国長を以一て仰渡されし子細は・おや蝉の大吉事︒姫君整の前鴛の聞へ隠レなきによって︒義輝公御ン 地ハル 詞紗知に指置ヵれんのよし達ツて御所望故︒指上ケ奉らんとお受ケを申シ罷リ帰り侯と︒聞キもあへず︒何々娘いてうの前を指上
地ハル とうわく フシヶんとお受ヶを申シ帰りしか︒ハアはつと計に当惑の︒色めは顔に顕はれり︒
彗なっ御離駈かはり・智は又道犬共覚一ぬ零た筆義輝公直キに仰有一誓・一−先一帰り其一一を申聞せ︒お受ケの御
からうしよく つとま のたま 色風鶴は国元トより使者を以ツて申上ヶんとなぜいやらぬ︒夫レ程の分ン別がなふて︒家老職が勤るかと︒宣へばあざ笑ひ︒
四五 翻刻﹁名筆傾城鑑−︵上︶
翻刻﹁名筆傾城鑑−︵上︶ 四六
胴 わきま せつしや其弁へなき拙者にてはなけれ共︒義輝公の御意もおもく︒万ン一若君やどらせ給へば︒主君ンは天下の戟君・御家来の
けい さつ そく あ婁 そこつ我々迄大慶に存るから︒早︵十六オ︶速にお受ケを申帰りたるが︒此道犬が誤りか︒疎忽かな︒兼て身共が申たは菱の事・
募れ 雲は ゆづり でき 地ウ
賜伴左衛門に姫君を要せ︒家国をお譲有レはかやうな事も出来申さぬ︒何ンとそふではござらぬかと・是を事に高嶋のダ ウフシ ハル そ二たくみ おそろくっがへす道犬が︒底工こそ醜しき︒地ハルそうしややく色 祠 こうろん かうむ奏者役罷リ出︒先ン年ン小栗と口論仕り︒御勘ン気を蒙りし土佐ノ将監光ツ信︒御勘ン気御免ンの願ひと申シ斌蛾にひかへ侯
地ハル 色 胴 ゆる 地ハル 色 胴 みづから
と︒申シもあへぬに義賢卿︒ヱ︑にっくき将監︒身が赦さぬに館へ踏ン込ム慮外者と︒いかりの気色に御台所・イヤ自迄はしやめん ちよつか ︑ あ度々の願ひ︒何とぞ御赦免なされては︒ならぬく︒主を直下に見る故に︒獅意にほこって某を踏ミ付ヶるか・老人たけ今
地ウ ハル フシ日はゆるし置クと︒道犬にあて付ヶくずんど立一て入給へば︒
地色ウ ハル きうそく フシ フシサア姫こちへ元信も︒休息せよとあいくろしく打つれ︵十六ウ︶奥へ入給ふ︒
地ハル 色 胴つ︑いて道犬つつ立上り︒将監めにか・つて某迄とはしり︒モウ勘当の詫も叶はぬといへ︒身が取持て雲谷を御奉公に出し
た上︒素人絵の青二才迄お出入して︒館は絵師てあへかへせば絵書はいらぬ︒職前から鮒ゐまくれとUポんで・へ一問に〃
にけり︒地中ウ はし 中 ウ ︑レ人なき透を窺ひ︒姫君奥より走り出︒のふ逢たかった四郎次郎︒今そなたも聞通リひよんな事が捌こって来た・だなから讐
ウ ウ義輝様の仰でも︒そなたに別れ都へ連いきはせぬ︒必見捨てたもんなや︒やいのくと元信に卿付すかり泣給ふ・
地ウ ハル 色 胴後に不破の伴左衛門立聞ぞ共四郎次郎お心さしは有がたけれ共︒私お家へ御奉公申せは姫君様とは主従・世の人口もいか
地ハル 中 ウ こじりなれば︒元信か事思し召シ切て︒義輝公へ御宮仕︵十七オ︶はお家の為と︒なためすかする其中チに︒伴左衛門は鎗にて︒
ウ ハル つば 色 詞雲ン龍の硯引よせく︒刀の鍔にてはっしとわる︒音に驚キふり返れば︒伴左衛門すっくと立チ︒コレ姫君︒おれがいふ竈
し どそく 地 色ずに︒よう二才めとうまい事をさっしやるの︒そしてまあ御重宝の硯を︒色事仕めが土足にかけて︒大ばちあたりと手に取
祠 て 地ハル ウ上ヶ︒ヤアこりや二つにわれて有︒将軍より預つたる雲龍の硯︒わり人は狩野の四郎次郎︒科は遁れぬ覚悟せいと︒立蹴 ウ 色 中ウ ハル みつ?つ 中 詞 地色ハルにはつたとけすへられ︒みすく我科ならね共︒密通せし身の誤りに︒詞なければいてうの前︒其硯割たは自︒元信の科で
キン 詞 地ハル 詞はないと︒泣詫給へば︒ア・こりやおかしい︒二才が科を身に引請︒かばいたていやらしい︒ヤア親人はおはせぬかお家の
地ハル ウ ウ フシ李がおこつた出あへくのとってう声︒義賢御夫婦道犬雲一十七ウ一谷あはてふためきかけ出れば︒ フシ地ハル 色 詞 わつ 地ハル あきれしたり顔にて伴左衛門︒是成ル狩野めが姫君と︒不義をひろいで雲龍の硯︒コレ此様に打割たと︒聞よりはつと義賢卿勒
て︒しばし詞なし︒
ウ ウ
地色ハル 中あやまつちやうほう ハル つみ いかり
姫は涙にくれながら︒過 て御重宝の硯を割たはいてうの前︒自を罪におとし父上のお怒をなだめてたべ母上︒ヲ・気遣 中フシ し ウ ひたすら あん ハルひ仕やるなと︒いへどみだいも一向に︒案しわびさせ給ひける︒地ハル 色 詞 きず道犬はせ・ら笑ひ︒お預りの硯をわり︒姫君を疵物にした青二才︒将軍への申ひらきに打首︒じたい狩野めをお館へ引入レ
とが さか 地ハル ︑ ウフシた︒山三から大きな科人ン︒打チ首はおろか逆ばっっけがよからふと︒日比ふわなる道犬がもってまいるぞ︒にくさげなる︒
地ハル 色 詞 しぱ あやま義賢いかりの声高く︒ソレ両人共に縛り上ヶ︒一ト間へ押シこめうごかすな︒山三は又四郎次郎を引入たる誤りあれば︒在
どう 地ハル ウ ウ つか ウ ︒ を京の帰りを待直に勘︵十八オ︶当と︒仰の中チより伴左衛門︒飛か・って元信をたぶさ掴んでぐっとねぢ付ヶ︒さげ緒たく
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶ 四七
翻刻﹃名筆傾城錯−︵上︶ 四八 ヲクリつて高手小手にいましめ︒薯巽引立く一ト間の︒へ内へ入にける︒ 中地色ハル さしよつ 胴 しんじつ 地ハルみだい所は指寄て︒此硯割たのが必定姫に極まらば︒おまへは奏いてうの前を︒ヲ・サくどいく︒ハアそれはあんまり
ウ ゥ ちんまんぼう 中 ウ あやま げんざいハルどうよくななされかた︒御重宝の此硯︒たとへ七珍万宝のたからにもせよ高が硯︒それ割たが誤りとて現在我子が切ラれ ハルうか︒いかな邪見な親にもせよ︒我子にあてる刃が︒そもやそも有べきか︒人ならぬ烏獣 さへ︒子に別るればはらはた
を︒きざくにたっといふ︒姫殺さいで叶はずば自をまあさきへ︒殺してたべと計リにて︒姫をかばひ義を立テてかっは
フシと︒ふして泣給ふ︒ 色地ハル み・ 色 胴 地ハル しらす はし 胴義賢耳にも聞入ず︒ヤア将監はなきか︒光信︒くとめさる・声ハア一十八ウ一はつと白洲に走り出︒御勘一当の将監を
にはか しやめん 地ハル フシ はな俄のお召シは︒御勘気御赦免下さる・か︒ハア・有がたや黍なやと地に鼻付クれば︒
胴 ゆるイヤ勘ン当は赦さぬく︒御勘当御赦免ンなきに︒某をめさる・はヲ・其子細よっく聞ヶ︒義賢が孟は先ン腹のいてうの前︒
こほり あつはれ むこ たの もとより けい国郡にもかへがたきひとりの娘︒天晴よき知耳取ツて老の楽しみと思ふ折から︒元信をふかく恋したふ︒元来四郎次郎は系
づた︑・ おの二 ゆづ したさき し ざ図正しき男︒我ヵ知耳として高嶋の家を譲らんと思ひの外︒道犬が舌先によって︒姫を将軍へ指上ヶねばならぬ時宜︒思ひあ
︑ なが そは 地中ウ 胴 あやまふたる姫元信︒何とぞ永く添せたく︒心をいためる時しも︒雲龍の硯をわつたる其誤りを言立テ︒手討チにすると押シこめ
りやうけん 地色ハル置ヶ共︒何ンと我子が殺されうぞ︒姫をひそかに落す了簡︒コリヤ其方︵十九オ︶が勘当ゆるさぬは麦の事︒他人となって
やういく ウさしぞへ色 胴 もの・ムたましゐ われ
我娘の養育頼むくぞと︒御ン指添をぬき出し︒是は是武士の魂なれ共汝にあたふる︒某に成かはり︒此硯のわれと割合フシしてくれるは︒汝と山三計ぞと将監が手に渡し︒
︑レ ウ まよ 上 やす ウ ウ フシハル熾がいづくに剖まよふ共︒尋出して元信と夫婦になし︒娘に迷ふ義賢が︒心を休めてくれよとて︒子故にもろき目に涙たも
ち・兼て見へ給へば︒みだいを始メ将監も︒御心をさっし入︒倶に涙にくれけるが︒ 中 めうが めん夢かげもなき浄に・暫ト腰と硯のわれ︒F給はり姫君の御ン身の上︒頼むとの御ン仰はハ・アく冥加に余る身の面 ウ︷く 中 かく ︑レ ぢびやう ウ ウ副と・軒シ上クればとこなっ御前︒斯お心をぐるしめ給ひ︒又御持病さしおこらば︒悲しみの上の悲しみ︒お気休めに先ツ
財へと・プめ申せば義賢も・彫片わ鼻に持一て・一十九ウ一がれても末にあふせをば︒頼むげと計にてざい︒諸
ウ いとま中 ヲクリ フシ共入給へば︒将監もお暇給はり︒御門ンの︒へ方へ出て行︒
影もなく不脚雲一谷・ぎを高手小手にいましめ引一立テ出︒幣左衛門声をざ・げ︒ガ信を門前よりぼつぱらへと義賢卿
の仰なれ共・僚レを生ヶて帰しては徽々迄も恋のさ嫌げ・此所にてばらして仕廻一ん︒ナア雲ン谷︒ヲ・某も露有元信︒なぶ
鮒鉢しら 純る ウ 一ルげ フシ
り殺しがヲ・よかろと︒橡柱にぐっくと猿っなぎ︒ヲ・よいざまくと立チ蹴にけすへる折こそあれ︒おむ鋤ひの為腰かけに榔へ待ツたる群之助︒ガくと聞よりかけ入て︒馴ひがけなき伴左衛門がゑりがみつかみ︒白洲へどうどの
めらする・雲ン谷たまらず切かくるを引ツぱづし︒都筋っかんでまっ倒に投ケ付クれば︒ヤァ狩野が奴め遁すなと︒ゆんで ︑ レ ま 弩つれ ウ 色 ウ むす ハル っめ ハツ︑︑︑めてより不破一二十オ一雲谷︒抜連く切てか・る︒心得たりと寄之助︒抜キ合せ切結び︒あなたへ追ツ詰こなたへさ︑一
フシおくには た・か奥庭さして戦ひ行︒ ウ
地ウ ・レ あんぴ ウ ウ スヱ しぱ窪
跡には元信心をもみ︒部之助が身の安否︒いかにと計のび上り︒しだんだふんでもがく程︒次第に︒しまる縛り縄︒ヱ︑む色 詞 訪ん 他はんねん ウかたは 一一
ざくとはしぬまい︒我ヵ一一心をこめて書たる虎︒ふしぎを顕はし元信が︒危難をすく一と観念し︒右の肩に蓼立テてふ翻刻︐名筆傾城鑑−︵上︶ 四九
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶ 五〇 ウ くひ ゑがけ た婁ちせいけつくは フシ い農っっくと喰やぶり︒口に我身の血をふくみ︒画る虎に吹かくれば︒忽精血加はって千一里もかけん勢ひ也・
地ハル ウ 祠 コハリハル道犬は姫君の行方尋廻りしが︒ヤアよい所に四郎次郎︒きやっめから仕廻ハんと︒〃鮒かんとせし肝に・燃かに吹くる風さ
下 州たち 註 導スハル ウ 色 胴葦う
はぎ絵にかく虎は形をげんじ︒示をならして肌か・る︒道犬一チゑん合点行ず︒必定是は元信がゑ醐ける虎・豚絨つをもって︵二十ウ︶働くよな︒いで組とめんとはせ向ふ︒虎はたけって爪をときあたりをけたて三重へもみ合しが・ 中ウフシハル もうじう ハル ゑりもとよりふしぎの猛獣︒道犬か襟たぶさ︒ひっくはへ打チかたげくるりく︒くるくくくるりくと持一て廻り︒一トふ
フ一ン ヘい ウ つらりふって投ヶ付クれば︒塀を打チこし敷キ石に頬をすつてぞ打付ヶける︒
地色ハル せ フシ虎はいさんで元信のいましめをかみきり︒背を指むけてそばへたり︒
ヲクリ地ウ はかま ︑レ ウ元信やがて心付キ袴の︒も︑立しほり上︒ひらりとこそは乗ツたりけれ︒膨は千里の足早く風にうそむく身もかろく・榊も
ついぢ フシ こへ築地もおとりこへ飛こへはね越かけり行︒ ウ地色ハル はし みつからもろとも 中 ハルフシ姫は奥より走り出︒これのふ待ツて四郎次郎︒自 も諸共に︒つれてのいてたもいのと︒涙ながらに元信の・跡をしたふて
7一ン落給ふ︒御有様そいたはしき︒ ウ地ハル やかた 色 胴 地ハル 色敵を追ツて寄之助館の内へ取てかへし︒四郎次︵二十一オ︶郎様元言様と尋廻れど行方しられず︒扱は主人も落給ふか・
ハル ウ ムみ中 ハルフシ 中 ウ ︑レ 色 胴 つかみヤアく今は心やすしとのったる刀を踏なをし︒待ツ問程なく︒伴左衛門雲谷諸共︒辛の者引具しどつとかけ出︒ぞうり掘 地ハル のか ウフシ 祠の寄之助︒遁さしやらしと追ツ取リまく︒ヤァしほらしきうんざいめら︒師匠にさっかる筆先キの切レ職見よと・︸はせもあ
ハル ウヘず伴左衛門︒物ないはせそ討ツて取レと︒抜キ連レくおめいてかえ昏之助︒ポく声にて追ツっまくっっ・柳まく
色 ウ ニ ︑レ 色 ハル フシり切はら一ば︒詞には似亀左衛門コリヤく雲谷︒死物狂ひにかまふなと︒足もしどろにむらくばっと逃ヶ入レば︒ 色 ︑レ 色 ウ ハル やつ二 合ハルキン 色乃くくさも有ラんさも有一べい︒倒一等が筆の命毛取ラいで残念ン去ながら︒逃ヶたを幸イ奴めも︒カラを絵筆くま取リ
︑ レ ノー 上筆船鄭筆先キに饗れ有リ︒天下に︒一ノ筆ソ名も高き︒主人に︒追付キ奉らんと跡を︒したひて︒妻へかけり行
ども 第四 吃の段
地フシ ハル ゥ や ふみ ウばた な︑め 更二う 色 祠 うしろ︑実じうくんの︒一りやう山ン野にはびこり草木を踏折︒田畑をあらす事斜ならず︒近郷の百性声々に︒三井寺の後カら藤 地ハルの尾迄は見と融た・此山桃の撚かげへ逃ヶこんだに極った・戦に癖付ヶずた・き殺せぶち殺せと卿−・わめき講つ誰つす︒
地色ウ 一灯 詞 さは のき よたう ︒
蹴︒の内より刀ぼっ込貴声押ンひらき︒ヤア騒がしい︒何者じや人の軒下︒打テ殺せとはあばれ者︒倶ン夜盗押ン入の手引キか 地ウ しゆり ずみ とうぞく まぎ此庵リを誰レとか思ふ︒土佐ノ将監光信といふ絵師︒某は門ン弟修理之助正澄といふ者︒案ン内もなくそつじ千万ン︒盗賊に紛 ・レ 言 色 詞 や筈あはづ しが婁 りん二うれなし︒弔く帰れと反打かくればア・申シ︒是は矢橋粟津の百︵二十ニオ︶性共︒此比信楽山から虎が出てあれる故︒隣郷 ウ やぷ 地ウ ハル しゆり 色 詞 けものざ ためしが言合せ此藪へ追込ンだ︒さがさせて下されと口々に呼はれば︒修理之助あざ笑ひ︒ヤイ虎といふ獣カ日本に出た例なし︒ 色祭もない間に合イロ・雛くと譲そふ声・絆監夫婦騨つ升を明ヶ︒駅たく︒天地の内に生する物有ルまい共極めがた ウし・藪さがせと繊熊手ひ搬げ々ゑいく声・簾ふってがり立一る︒でむら竹の下かげにそりやこそ物よと火を上クれ 7シば︒あれにあれたる猛虎の形チ︒人に恐る・けしきなく背をたはめてぞ休みゐる︒地ハル色 胴 がんぴ ひつせい まこと将監横手を打て︒アラふしぎや︒顔輝の筆の竹に虎︒其筆勢に少シもまがふ所なし︒是は実の虎にあらず︒名イ筆の絵に ぱつよう搬しあ入て顕はれ出しに極つたり︒ム・しかも新ン筆︒今是程に︵二十ニウ︶か・んず人は︒狩野の助宗茂か末葉︒四郎次郎
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶ 五一
翻刻︐名筆傾城鑑−︵上︶ 五二
元信ならでは覚なし︒ム・︒くよめたり聞へたり︒衆高嶋の御や餓た籔の其場所に・四郎次郎有合せ・鰍島れん筆の
ゑがき けいろ しやうこ 地ウ ウ ウ ウ徳︒血汐を以ツて画し毛色︒何れにもせよ証拠には足跡有ルまい︒物はためしと百性共︒こはぐながら若草を︒押シ分ヶ ウ ︑レ ウ 1 かきて めき︑ ぜんだいみもん どみんら フシ しんかき分ヶ尋れ共︒虎の足形あらざれば書人も書人目利も目利︒前代未聞の名イ人やと︒心なき土民等も拝ム計リに信をなす︒
地色ハル しせう色 胴 さとりひら 地ウ ハル修理之助七尺さつて師匠をはいし︒ア・有がたや此虎を見て︒絵の道の悟を開き侯其印シ︒我力筆先キにてあの虎を湖匁なひ ︑レ ゥ いた︑︑い中 ウ じゆんさし したか かしらまへすねうしろあし引申べしと︒硯引よせ押シ戴て筆を染︒虎の順に指あて四五間ンあいを置ながら︒筆引ク方に随って頭前脚後脚︒胴より フシ きへ うせ じんへんじゆつ尾先に至る迄︒次︵二十三オ︶第に消て失けるは︒神変術共いひっべし︒ 7シ地色ハル ウ あつばれ ウ すみ ハル ゐんか将監悦び︒ホ・適々︒けふより土佐光澄と名付クベしと︒印可の筆をあたふれば︒
百性共舌をまき︒孫子迄の咄シの種︒なふあの上手な絵書殿に︒よいおやまを十人程書イて貰ひ︒金もふけがして見たい︒ 地ハル しやくせん二ひ けし もら いとま ヲクリイヤそれよりは手みじかに︒借銭乞の帳面ンを麦から消て貰はふ物︒お暇申スと打笑ひ在所︒へくへ帰りけり︒ ウ地色中 ぱつていウ 書 ハル ど書ユんぜつ 中 ウ書菱に土佐の末弟浮世又平重起といふ絵書キ有︒生れ付イて口吃言舌あきらかならざる上︒家貧しくて身ン代は︒うすき紙子
ウ ウ ひうちばニ ウ けふり フシ ハルの火燧箱︒朝夕の煙さへ一度を二度に追分ヶや︒ ウ串 蓑 ハル 系くウ ぢく 毫童でウ わらぺ みやけ大津のはづれに店がりして妻は絵のぐ夫トは画︒筆の軸さへ細望姓登リ下りの旅人の︒童ずかしの土産物三銭ン︵二十三
ウ一五銭ンの商に︒命も銭もっなぎしが︒日かげの師匠をおもんじて︒半ン道余りを夫婦づれよなく見舞ぞ殊勝なる︒ 色地ハル そぱ ?つじ 洞 あたふ夫トはなま中目ク礼計リ女房傍から通詞して︒ハァまだ是はおよりませぬ︒誠にめっきりと暖に日も長ヵふ成リまして︒世
間ンは花身の遊山ンのとざはくくく致しまする︒こなたは山かげ御浪人のおっれくをいさめの為・籔のひたしに
たうふ 地色ウ 芸でらウくはん麦ハル ウ 色 ︑豆腐のにしめ︒さ・へでも致しまして︒関寺か高観音へお供して︒春めく人でも見せませふと︒女夫申シて居ますれ共︑心 詞で思ふたばっかり・簑時分一で見せはいそがし・せんだく物はっかへる製にははかいかず︒日がな一チ呈ずくみ︒何
地ハル うなぎ もら ねりぬき ︒ をするやらのらくらと︒急げばまはる勢田鯉只今ぜ︑から貰ひまして︒練貫水の大津酒ゆめく一二十四オ一しうこさり ウ うなぎ あな ウ 色 詞 ざますれ共︒此春からお仕合が直って︒鱒の穴から出る様に︒御世にお出なされませ︒ほんにっべこべくとわたしカいふ
事ばっかし︒こちの人の吃とわたしがしやべりと︒入レ合せたらよい比な︒女夫が一ト組出来ませふア︑おはもじやと笑ひ
ける︒
撃も御緊ギ梛ふてたもつた・今宵は戯な事有一て修理は名字を撚され・土佐の光一激と亀ぞよ︒薯も随分ン筆
ウ 色 詞 さかな 地中 ノルに心島きや︒客を上れば則チ師匠の名も出る道理︒ノウお徳そふじやないか︒まあくよい所へ酒肴︒幸イ々盃もいた︑ ウ ・レ ウ そせ・ついて・叔やかりややいのと有ければ・乃平脚鰐と女房を先キヘ押シ出し也なかをっき︒我身も手をっき頭をさげ︒訴訟有げに
財へければ・如房お徳が得て・漱︵二十四ウ︶に道すがら百性衆の噂を聞︒身は貧也かたわ也おと・弟子に土佐を名のらせ︒
地ウ ハル ウ ひやうたん か ウ兄弟子はうかくと︒いつ迄浮世又平で︒藤の花かたけたおやま絵や︒襲さ一た瓢箪のぶらく生ても甲斐なしと︒身 中 ︑レ 色 ハル ウ じせつをもんでの無念ンがり︒尤共哀共連添わたしが心の内︒申スも涙がこほれまする︒奥様迄は申せしがお直の願ひは此時節︒ ウ
そくめうウウ フシじひ中
ゲン生の思ひ出死ての跡の石塔にも︒俗名土佐の又平と御一チ言のお赦しは︒師匠のお慈悲と計にて涙に︒むせび入ければ︒ スヱテ地ハル ウ ウ はい た︑み又平も手を合︒将監を三拝し畳にくひ付泣ゐたり︒灘も不便さの側に心は紅るれと・枇ざと声をざ・げ︒押ア又してもく叶はぬ願ひ︒コリヤ︒よっく聞此将監は︒近江
翻刻﹃名筆傾城鑑﹄︵上︶ 五三