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Academic year: 2021

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第5章 事業化方策の検討

5-1 地域活性化手法の検討

地域の活性化に向けては、「3-2 地区の整備課題」で検討した通り、以下の 5 点の課題に対し、同 時に対応していくことが求められる。

① 周辺開発との関係性や連携を考慮したまちづくり

② 憩える空間づくりや歩行者の快適な回遊性の向上

③ 商業機能を中心とした地区の活性化

④ 防災上の問題の解消

⑤ 建替えの問題に対応

以上の点を踏まえると、対象地区の整備にあたっては、ある程度「面的に整備を行う手法」の選定 が理想的であるが、その他、整備課題を部分的に解決していく手法として、大規模な整備を伴わない、 「まちの空間の質を向上させるためにまちなみの整備を図る手法」、「まちの回遊性やにぎわいをつく るためのソフトな取り組み」なども考えられ、それらの手法を適切に組み合わせていくことが考えら れる。 これまでの検討を踏まえ、地区の課題解決、機能導入などの手法について整理する。

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地域活性化手法の検討

目的

具体的な手法例

利点

課題

面的整備 (5-2参照) ・土地区画整理事業 ・市街地再開発事業 ・防災街区整備事業 ※その他任意事業として「優良建築 物等整備事業」「連担建築物設計 制度」などを組み合わせることに より、地権者の意向や地域の実状 に併せた手法を検討ことも考え られる(参考1、2参照) ・一般的に、従前地権者の残留希望に対応することができる。 ・区画道路などの生活道路整備なども同時に行うことが可能。 ・市街地再開発事業、防災街区整備事業では、さらに建物整備を一体的に行うこと ができ、地区の整備課題を総合的に解消することができる。 ・複雑な権利関係を解消することが可能。 ・一般的に都市計画事業として実施することができるため、地権者の全員同意は必 要とならない。 ・ソフト事業に比べ、事業費が多額となり、市の負担額(補助金)も大きくなる。 ・整備までに、地元との検討・協議なども含め長期間の時間を要する。 ・上物整備が必ずしも地域の活性化に結びつくとは限らない。 ・都市計画事業としての位置づけが必要となる。 まちなみづくり (7-1参照) ・大阪市 HOPE ゾーン事業 ・市民と連携・協働して、様々なまちづくり活動を展開しながら、それぞれのまち の特性を活かしたまちなみづくりを進め、魅力ある居住地づくりを進めることが できる。 ・テーマやコンセプトを定め、それに基づく取り組みを展開することができる。 ・接道条件など基盤整備を伴わずに行うことも可能である。 ・本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため、大規模改修にかかる場合 などにおいて、一定の段階で何らかのハード整備が必要となる。 ・地元組織を組織する必要がある。 ・防災性能を向上させる整備でなく、建物本体が更新されるわけではないので、防 災上の問題が解消されない。 ・特定範囲の総合的整備手法(地区 計画等) ・市街地形成の状況に応じて様々な内容を定めることができる。 <建築協定の場合> ・建築物の敷地規模、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関すること であれば原則として何でも定めることができる。(例えば、建築物の壁面の位置 や、道路に面する外壁、材料、色彩等) <地区計画の場合> ・建築物等の容積率の最高限度、敷地面積の最低限度、壁面の位置、建築物等の高 さ、建築物の構造、後退部分の工作物の制限などを定めることができる。 ・最低敷地面積、壁面の位置、建築物等の高さ、壁面後退部分の工作物の制限を定 めることで、道路斜線制限、前面道路幅員による容積率制限を緩和することがで きる(街並み誘導型地区計画)。 (課題) ・本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため、ルールに基づく建物更新 を行うためには、一定の段階で何らかのハード整備が必要となる。 ・地元組織を形成する必要がある。 ・任意のルールの場合、更新が進まず、防災上の問題の解消されない面がある。 商業振興 (ハード事業) (7-2参照) ・商店街まちづくり事業(補助金) (中小企業庁) ・商店街振興組合、事業協同組合等において組織される法人格を持った商店街組織 として一定の要件を満たせば補助金が得られる。 ・安心・安全、歩行者通行量の改善等を目指す事業であり、回遊性の向上やにぎわ いづくりの取組みとして、課題解消につながる。 例)・街路灯の LED 化 ・防犯カメラの設置 ・アーケードの撤去・改修 ・子育て支援施設などによる空き店舗の 活用 など (課題) ・事業計画の申請とその採択が必要となる。 ・事業費の 3 分の 1 は地元商店街等が負担する必要あり。 ・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。 商業振興 (ソフト事業) (7-3、7- 4参照) ・地域商店街活性化事業(補助金) (経済産業省) ・消費喚起に向けたイベント事業などに対する補助事業で来街者と商店街がひとつ になって盛り上げられる。 例)・夏まつりなど来街者と商店街が一つになって盛り上がるイベント など ・限度額あり(上限 400 万円(単独~4 商店街組織)、800 万円(5~9 商店街組織)、 1,200 万円(10 商店街組織以上)、下限 30 万円) ・事業申請とその採択が必要となる。 ・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。 ・その他任意事業 (まちなかバル、商店街などでの体 験、食育などテーマ性のあるまち 歩きイベント など) ・商店街組織が存在しており、商店街として取り組む事業は実施できる素地はある。 ・天王寺駅南側なども含め、商業集積があるため、エリアとしての展開が可能。 ・回遊性の向上やにぎわいづくりの取組みとして、短期的な実施が比較的可能。(平 成 25 年度に実施経験あり) ・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。

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5-2 面的整備方策の例

地域課題を解消していくために望ましい必要な手法として、面的整備方策を以下に整理する。 土地区画整理事業 市街地再開発事業(第1種) 防災街区整備事業 概要 道路、公園、河川等の公共施設を整備・改善し、土地の区画を整え 宅地の利用の増進を図る事業。公共施設が不十分な区域では、地権者 からその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい(減歩)、この 土地を道路・公園などの公共用地が増える分に充てる他、その一部を 売却し事業資金の一部に充てる事業制度。 市街地内の老朽木造建築物が密集している地区等において、細分化 された敷地の統合、不燃化された共同建築物の建築、公園、広場、街 路等の公共施設の整備等を行うことにより、都市における土地の合理 的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図る事業。 権利変換手続きにより、従前建物、土地所有者等の権利を再開発ビ ルの床に関する権利に原則として等価で変換する。 建築物への権利変換による土地・建物の共同化を基本としつつ、100 ㎡以上の宅地については例外的に個別の土地への権利変換を認める 柔軟かつ強力な事業手法を用いながら、老朽化した建築物を除却し、 防災性能を備えた建築物及び公共施設の整備を行う事業。 根拠法 ・土地区画整理法 ・都市再開発法 ・密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律 施行者 ・個人 ・土地区画整理組合 ・農住組合 ・区画整理会社 ・防災街区整備組合 ・地方公共団体 ・独立行政法人都市再生機構 ・地方住宅供給公社 ・個人 ・市街地再開発組合 ・再開発会社 ・地方公共団体 ・独立行政法人都市再生機構 ・地方住宅供給公社 ・個人 ・防災街区整備事業組合 ・事業会社 ・地方公共団体 ・独立行政法人都市再生機構 ・地方住宅供給公社 事業手法 ・換地 ・権利変換 ・権利変換 地区要件 ・高度利用地区、都市再生特別地区又は特定地区計画等区域内 ・耐火建築物等が 1/3 以下 ・公共施設未整備、敷地細分化等 ・都市機能の更新に寄与 ・特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区計画区域内 ・耐火建築物等が 1/3 以下 ・規定に適合しない建築物 1/2 以上 ・公共施設未整備、敷地細分化等 ・特定防災機能の効果的な確保に貢献 補助要件 <道路整備特別会計補助事業>※本地区には都市計画道路がないた め該当せず (公共団体等) ・5ha(既成市街地 2ha)以上 ・街路事業に該当する都市計画道路の新築等を含む ・補助基本額が 3 億円以上 (組合等) ・都市計画事業 ・10ha(既成市街地 2ha)以上 ・街路事業に該当する都市計画道路の新築等を含む ・補助基本額が 3 億円以上 ・施行後公共用地率 25%以上 ・20ha 未満では用地買収方式事業費が全体事業費の 1/3 以上 <都市再生土地区画整理事業(一般会計補助事業)> (面積要件) ・指定容積率/100%×面積≧2.0ha (一般地区) ・DID 区域内又は隣接 ・公共用地率 15%未満 ・都市計画の位置付け (重点地区) ・安全市街地形成重点地区 (社会資本整備総合交付金) ・都市計画決定済 ・国の関与が政策上位置付 ・区域面積原則 1.0ha 以上(0.5ha、0.2ha の緩和措置あり) ・建築物の共用通行部分(交付対象)が基準に適合 (市街地再開発等事業費) ・組合/会社施行 0.5ha 以上 ・個人施行 0.1ha 以上他 (住宅市街地総合整備事業の整備地区内) ・全て (住宅市街地総合整備事業の整備地区外) ・防災都市施設の整備を伴う ・組合/会社施行 0.5ha 以上 ・個人施行 0.1ha 以上他

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土地区画整理事業 市街地再開発事業(第1種) 防災街区整備事業 補 助 率 (国費) <道路整備特別会計補助事業>※本地区には都市計画道路がないた め該当せず ・1/2 <都市再生土地区画整理事業(一般会計補助事業)> ・都市計画道路 1/2 ・一般地区 1/3 ・重点地区 1/2 ・都市計画道路 1/2 ・市街地再開発事業 1/3 ・都市計画道路 1/2 ・防災街区整備事業 1/3 メリット ・換地手法を用いて、私道を集約し、まとまった生活道路としての整 備ができる可能性がある。 ・区画道路整備の際の、狭小な残地や不整形な残地の発生を抑制でき る。 ・区画街路の整備に要する費用について、道路整備特別会計の補助や、 都市再生土地区画整理事業の補助(一般会計補助)が活用できる。 ・建築敷地の整備と公共施設(区画道路等)の整備を一体的に整備す ることが可能。 ・権利者が再開発ビルの床を取得し、営業や居住を継続できる。 ・敷地の共同化と高度利用の実現により、新たな都市機能の導入が可 能となる。 ・残留を希望する借家人の要望に応えることが可能。 ・建築敷地の整備と公共施設(区画道路等)の整備を一体的に整備す ることが可能。(市街地再開発事業に同じ) ・権利者が防災施設建築物の床や、個別利用区の土地を取得し、営業 や居住を継続できる。 ・敷地の共同利用により、新たな都市機能の導入が可能となる。 ・個別利用区の設定により、戸建てを希望する権利者にも土地の権利 変換が可能。 ・残留を希望する借家人の要望に応えることが可能。 課題 ・周辺で代替地になる事業用種地を取得できないと、残留希望者が多 い場合、その要望に応えられない可能性がある。 ・残留を希望する借家人の要望に応える法的な枠組みがない。 ・事業後の沿道敷地が細分化されたままとなる可能性が高く、新たな 都市機能の導入が難しい可能性がある。(上物整備は別となるた め、必ずしも土地の有効活用に結びつくものとなるとは限らない。 また、土地の高度利用が図られないケースが多くなる。) ・地区内には公共施設(市道等)が少ないため、道路の付け替え等を 目的とする敷地整序型区画整理事業の適用はそぐわない。 ・道路整備特別会計の補助を受けるためには、既成市街地では区域面 積 2ha 以上等の条件がつくうえ、都市計画道路の存在が必要。(本 地区には適用できない。) ・都市再生土地区画整理事業(一般会計補助)の活用にあたっては、施 行前の公共用地率 15%未満等の条件をクリアするか(一般地区)、 公共中活計画等による地区の位置づけ等が必要になる(重点地区)。 ・再開発ビルの建設を伴うため、事業費が大きくなる。 ・最終的に保留床を処分する必要があり、万一の場合に売却できない という事業リスクを伴う。 ・戸建てを希望する権利者に対応できない。 ・手法適用にあたって、高度利用地区、都市再生特別地区又は特定地 区計画等の指定が必要。 ・防災施設建築物の建設を伴うため、事業費が大きくなる。 ・最終的に保留床を処分する必要があり、万一の場合に売却できない という事業リスクを伴う。 ・手法適用にあたって、特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区 計画の指定が必要となり、本地区における施行が本来の事業目的に 合致するか、事業の必要性と効果、周辺都市計画との整合性等が強 く求められることになる。 他 事 業 と の 組 み 合 わ せ の 可 能性 ・沿道敷地において、地権者の全員合意のもとで、優良建築物等整備 事業により、敷地の共同化や建物の共同化、協調化等を図ることが 可能である。 ・市街地再開発事業との一体的施行により、権利変換により施設建築 物へ入居するか、宅地へ換地するかのどちらかを選択できる。 ・ただし、再開発事業に参加できるのは市街地再開発事業区に換地を 受けた権利者に限定される。 ・土地区画整理事業との一体的施行を行うことで、権利変換により施 設建築物へ入居するか、宅地へ換地するかのどちらかを選択でき る。 ・ただし、再開発事業に参加できるのは市街地再開発事業区に換地を 受けた権利者に限定される。 ・既に市街地再開発事業と土地区画整理事業の両事業のメリットを兼 ね合わせたような事業であるため、他事業手法を組み合わせること での事業効果は少ない。

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【参考2】その他の整備手法 (連担建築物設計制度)

(出典:「街並み vol.13」連担建築物設計制度を活用した密集市街地の整備 「大阪・法善寺横丁」の整備では、連担建築物設計制度(「連担制度」)を活用している。以下にその概 要を示す。

■大阪市法善寺横丁の事例

道頓堀の旧「中座」の火災で類焼した「法善寺横丁」(現在再建中)は、復旧に当たって、各方面から従来 の街並みの再現を求める声が多く寄せられた。そのため、大阪市は、現状の道路・敷地パターンを継承しな がら街並みを再建することとし、そのために連担制度を適用した。 ●制度活用の概要 対象区域は、通路に面するすべての建物の敷地を含んだ区域とした。また、対象区域内の建築物は、容積 率 240%、耐火建築物、3階建て(高さ 10m)以下とし、3 階の外壁は通路中心より 3.0m以上後退させ、 奥行き 0.9m、有効長さ 1.8m以上の避難のためのバルコニー及び避難器具を設けた。(図-2、3 参照) ●建築基準法第 42 条第 2 項道路の廃止 法善寺横丁の骨格をなす道路は、建築基準法第 42 条第 2 項に規定される道路であり、この道路をまたい では連担制度の適用ができない※ことから、従来の道路を一旦廃止して連担制度を適用し、幅員 2.7m の通 路を確保した。 ※連担制度は、敷地が連接し設計調整が行われた建築物が制度適用の対象であり、区域内に道路を含むこと はできない。 ●建築協定の締結 法善寺横丁の風情、景観を残し、安全で安心なまちなみを再建するため、地元関係者の自発的総意に基づ いた建築協定を締結することを連担制度の認定基準に追加した。

■連担建築物設計制度(「連担制度」)の概要

連担建築物設計制度(「連担制度」)は、建築基 準法第 86 条第 2 項に位置づけられている。 狭小な敷地が多く基盤が必ずしも十分に整ってい ない市街地では、各敷地ごとの規制のみでは、市街 地の環境を維持・向上しつつ土地を有効利用するこ とが困難であることから、複数敷地を包含するまと まった土地で合理的な建築行為を可能とすること で、設計の自由度を拡大しつつ、土地の有効利用と 市街地の環境の維持・向上の両立を図ることを目的 として創設された制度である。 連担制度の適用に当たっては、当該時点以降も存 続する既存建築物を含めて調整しながら新規建築物 を計画・設計し、区域内の各建築物の位置及び構造 について、特定行政庁が、安全上、防火上及び衛生 上の視点から審査し、支障がないと認めるものにつ いては、上記のルールが適用される。 その場合、区域内の土地所有者、借地権者の同意 が(抵当権者の同意は必要ない)前提となる。 ●密集市街地における連担制度活用のメリット 密集市街地においては、狭小な敷地が多く、接道条件を満たすことが概して厳しいため、一敷地一 建物ごとの建て替えが困難な場合が多い。連担制度を活用することにより、こうした問題を解決しや すくなり、結果的に密集市街地での建替・更新や環境改善が促進される可能性がある。 ・複数の敷地・建物間で設計調整することにより、総合的な計画立案が可能になる。 ・区域内に貫通通路を設けることにより避難の安全性が高まる。 ・区域内の新規建物を準耐火・耐火構造、防火構造とすることにより、区域全体の防災性能が向上する。 ・複数敷地を一敷地とみなして接道規定を適用することが可能であり、未接道宅地でも建替・更新が可能になる。 ・容積率、建ぺい率の算定を区域全体で適用することが可能なため、敷地・建物間で柔軟な空間利用が可能とな り、また関係権利者間の合意形成が容易になる。 ・北側斜線制限等の形態規制の合理化により、3 階建やそれ以上の建築も可能となる。

参照

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